別紙 諮問第 869 号 答 申 1 審査会の結論 関係者間で最終的に平成 18 年 12 月 26 日に合意された東京消防庁ヘリの運用に係る文書 在日米軍航空機の乗組員と東京都のための規約 を非開示とした決定は 妥当である 2 異議申立ての内容 (1) 異議申立ての趣旨本件異議申立ての趣旨は 東京都情報公開条例 ( 平成 11 年東京都条例第 5 号 以下 条例 という ) に基づき 異議申立人が行った 関係者間で最終的に平成 18 年 12 月 26 日に合意された東京消防庁ヘリの運用に係る下記の文書 在日米軍航空機の乗組員と東京都のための規約 の開示請求に対し 東京都知事が平成 25 年 8 月 6 日付けで行った非開示決定について その取消しを求めるというものである (2) 異議申立ての理由 異議申立書及び意見書における異議申立人の主張を要約すると 以下のとおりであ る ア異議申立書 ( ア ) 異議申立人は 2013 年 6 月 7 日付けで本件の開示請求を行った 本件開示請求より以前の同年 2 月 8 日 異議申立人は当該文書の開示請求をアメリカ情報自由法 (Freedom of Information Act 以下 FOIA という ) により在日米軍司令部宛てに行い 同年 3 月 20 日付けで回答を得た それによれば それは東京都の規約で 在日米軍司令部では保持していません そういうことなので その請求に対しては 当局としては東京都に対し請求されるものであると提案いたします という回答であった - 1 -
また 念のため 同年 3 月 22 日 赤坂プレスセンターを管理する在日米陸軍司令部宛てに 同様にFOIAの請求を行い 同年 4 月 19 日付けでそれへの回答を得た それによれば それは東京都の規約で在日米軍司令部では保持していません そういうことなので その請求に対しては当局としては東京都に対し請求されるものであると要求します という回答であった このように 在日米軍司令部及び在日米陸軍司令部の2か所から 在日米軍司令部として当該文書を保持しておらず 東京都の規約なので東京都に対し請求をなすよう異議申立人に対し それぞれ 提案 及び 要求 されたものである 異議申立人はそれらの回答に従って 本件開示請求をなしたものである ( イ ) 本件決定の理由に 関係機関 に対して意見照会を行ったとしている しか し それが具体的にどこなのかが書かれていない 理由として挙げている以上 関係機関 とはどこか明示する必要がある ( ウ ) 本件決定の理由に 安全性に支障が出る可能性 とあるが 何を指すのか意 味不明である また 当該施設に離発着する航空機の安全の確保ができなくな る との記載もあるが なぜそうなのか意味が不明である ( エ ) 本件決定の理由に 関係機関との信頼関係が損なわれる とあるが まず 関 係機関 とは前記 ( イ ) で述べたように不明であり 信頼関係 とは何かが不 明である ( オ ) 前記 ( イ ) ( ウ ) 及び ( エ ) で述べたように 本件決定理由の記載は 関係機関 安全性云々 信頼関係 など それぞれが意味不明である そのような理由で非開示とされるのでは到底納得することができない また 前記 ( ア ) で述べたように 当該文書を在日米軍自らが保持せず 東京都に請求することを求めており 安全性や信頼関係云々とは答えていない イ意見書 - 2 -
( ア ) 赤坂プレスセンターは 港区六本木七丁目に存在し 基地の周辺は 政策研究大学院大学 国立新美術館がある 国立新美術館は 2007 年に開館以来 来館者数が実に1500 万人を超えると報道されている 政策研究大学院大学は 本件基地の目の前にそびえ立つ形で立地する 日本学術会議も近くに存在する そして 周辺は 住宅地 オフィスと 一たび事故が起こったらと想像するだけでぞっとするのは私たちだけではあるまい 米軍ヘリは 米軍が自ら定めた飛行ルール等を無視あるいは軽視し 傍若無人な飛行を繰り返す一方 共同使用の東京消防庁ヘリには着陸前 消防車まで用意させている 本件 在日米軍航空機の乗組員と東京都のための規約 の開示が 東京都の基地対策の政策を 公正で透明な行政 として 推進 させ 米国側に都民 国民にとり安全な飛行を要求するため 米国側が日本側に要求している安全な飛行をさせるマニュアルの確認が是非とも必要なのである ( イ ) 理由説明書に記載されている 在日米陸軍 だけでは不明である 具体的な部 局や部署を示す必要がある 異議申立人は 異議申立書及び書証で全て明らかに している ( ウ ) 理由説明書に 開示された場合 通信や運用の妨害に利用され 離発着する航空機の安全が確保できなくなる可能性がある とされているが 異議申立人が提出した証拠が示すように 使用周波数は既に公開されている それ以外のものであればその部分だけを非開示にすればよいことになろう また 運用の妨害とは何のことか不明なので その点を明らかにされたい ( エ ) 理由説明書に 施設管理者である在日米軍は 対象公文書は米国法令に基づく情報開示の除外に当たるとしており とあるが 異議申立人が提出した証拠によれば 米国側は本件規約について保持していないと異議申立人に回答した 保持していないものが どうして非開示にできるのか きちんとした説明がなくては 納得しかねる そのような主張をする以上は 少なくとも異議申立人が示したような証拠を添付すべきである - 3 -
( オ ) 理由説明書に 当該事由に反して開示すれば 東京都と在日米軍との信頼関係が損なわれることとなる とある 東京都と在日米軍の 信頼関係 とは何か明らかにされたい 東京都は 在日米軍基地の 全面返還 を要求しながら 一方で その基地を共同使用している これは基地反対と言いながら 実は賛成しているものである あるときは 在日米軍陸軍との 信頼関係 を保ちながら 米軍との共同使用をし また 別のときには米軍基地の 全面返還 を要求する そうした姿勢で真の 信頼関係 がそもそも持てるはずがあろうか 必要なのは 東京都と私たち住民との 信頼関係 である 3 異議申立てに対する実施機関の説明要旨 理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると 以下のとおり である 対象公文書は 日米地位協定に基づき 在日米軍が管理する施設 ( 赤坂プレスセンター ) について 東京都が災害対応及び救急患者搬送のために使用する際のヘリポートの運用方法を定めるため 在日米軍との信頼関係のもとで締結された規約である 本請求に関し 関係機関である東京消防庁 東京都総務局及び在日米軍に対して意見照会を行ったところ 開示された場合 通信や運用の妨害に利用され 離発着する航空機の安全が確保できなくなる可能性があることから 開示に対する反対意思が示された また 施設管理者である在日米軍は 対象公文書は米国法令に基づく情報開示の除外に当たるとしており 当該事由に反して開示すれば 東京都と在日米軍との信頼関係が損なわれることとなる これらのことから 災害対応や島しょ地域の救急患者搬送を目的とした当該事業の適正な遂行に支障を及ぼすのみならず 都の米軍基地対策業務全般にも支障を及ぼすおそれがあるものとして 条例 7 条 6 号により全部非開示とした さらに 対象公文書の開示は 犯罪の予防など公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることから 東京都情報公開審査会への諮問に当たって 条例 7 条 4 号を非開示理由として追加する なお 対象公文書は 行政機関の保有する情報の公開に関する法律 ( 平成 11 年法律第 42 号 )5 条 3 号の国の安全等に関する情報にも当たる可能性があると思料される - 4 -
4 審査会の判断 (1) 審議の経過 審査会は 本件異議申立てについて 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 25 年 11 月 6 日 諮問 平成 25 年 12 月 19 日新規概要説明 ( 第 145 回第二部会 ) 平成 26 年 6 月 11 日 実施機関から理由説明書収受 平成 26 年 6 月 26 日実施機関から説明聴取 ( 第 150 回第二部会 ) 平成 26 年 7 月 9 日 異議申立人から意見書収受 平成 26 年 7 月 23 日審議 ( 第 151 回第二部会 ) (2) 審査会の判断 審査会は 異議申立ての対象となった公文書並びに実施機関及び異議申立人の主張 を具体的に検討した結果 以下のように判断する ア赤坂プレスセンターにおけるヘリポートの利用について赤坂プレスセンターは 日米地位協定に基づき 在日米軍が管理する施設であり 現在 ヘリポート 星条旗新聞社等として使用されている 赤坂プレスセンターのヘリポートについては 昭和 59 年に環状三号線の工事に伴い 隣接する都立青山公園の一部に臨時ヘリポートが設置された 平成 5 年に環状三号線の工事が終了し 平成 19 年 1 月に東京都 東京防衛施設局及び在日米軍の三者で調整した結果 臨時ヘリポートのために提供された公園用地を上回る代替地の返還を受けること並びに緊急時及び災害時のヘリポートの共同使用について合意された その後 緊急時及び災害時の赤坂プレスセンターのヘリポート利用に関して 東 - 5 -
京都と施設管理者である在日米軍との間で 赤坂プレスセンターへの限定的かつ人道的立入のための現地実施協定 ( 平成 19 年 4 月 ) 及び 災害準備及び災害対応のための在日米軍の施設及び区域への限定的立入についての現地実施協定 ( 平成 20 年 11 月 ) を締結し さらに 当該ヘリポートの具体的な運用方法について 在日米軍航空機の乗組員と東京都のための規約 が定められた 上記の協定等に基づき 東京都は 当該ヘリポートを 防災訓練といった災害対応及び島しょ地域における救急患者搬送のために利用している イ本件対象公文書について本件異議申立てに係る開示請求は 関係者間で最終的に平成 18 年 12 月 26 日に合意された東京消防庁ヘリの運用に係る下記の文書 在日米軍航空機の乗組員と東京都のための規約 の開示を求めるものである 実施機関は 本件開示請求を受け 平成 23 年 10 月 18 日及び平成 24 年 12 月 11 日にそれぞれ作成された 前記の 在日米軍航空機の乗組員と東京都のための規約 ( 以下 本件対象公文書 という ) を対象公文書として特定し 条例 7 条 6 号に該当するとして 非開示決定を行った また 理由説明書において 同条 4 号にも該当する旨主張し 非開示理由の追加を行っている ウ条例の定めについて条例 7 条 4 号は 公にすることにより 犯罪の予防 鎮圧又は捜査 公訴の維持 刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報 を非開示情報として規定している 条例 7 条 6 号は 都の機関又は国 独立行政法人等 他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって 公にすることにより 当該事務又は事業の性質上 当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの を非開示情報として規定している エ本件対象公文書の非開示妥当性について 実施機関によると 本件非開示決定に先立ち 赤坂プレスセンターの施設管理者 である在日米軍に条例 15 条 1 項に基づく意見照会を行ったところ 在日米軍は 米 - 6 -
国法令における情報開示の除外事項に該当することを理由に 開示に反対する意思を示したとのことであった また 審査会が見分したところ 本件対象公文書には 赤坂プレスセンターのヘリポートの運用方法に係る詳細な情報が記載されていることが確認できた したがって 本件対象公文書を公にすることとなると 施設管理者との信頼関係が損なわれるだけでなく 当該ヘリポートやそれを利用するヘリコプターに対する妨害行為などの不法行為が容易になることにより 実施機関が行う災害対応や救急患者搬送のための当該ヘリポートの利用が制限されるおそれがあると認められる 以上のことから 本件対象公文書に記載された情報は 公にすることにより 実施機関の今後の災害対応及び救急患者搬送業務の遂行に支障が生じるおそれがあるものと認められることから 条例 7 条 6 号に該当し 同条 4 号該当性を判断するまでもなく 非開示が妥当である 異議申立人は その他種々主張しているが いずれも審査会の判断を左右するものではない よって 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申に関与した委員の氏名 ) 横山洋吉 中村晶子 乳井昌史 山田洋 - 7 -