作成日 :2016 年 12 月 1 日 欧州共同体意匠検索ミニガイド 目次 内容 1. 欧州連合における意匠検索 ( 調査 ) の必要性... 2 1.1 欧州連合における意匠制度... 2 1.2 欧州共同体意匠の調査の対象地域... 3 1.3 欧州意匠の調査の意義... 4 1.4 国際登録意匠の調査の必要性... 4 2. データベースへのアクセス... 5 2.1 EUIPO... 5 2.2 WIPO... 5 3. 意匠の検索方法... 5 3.1 アクセス方法... 5 3.2. 具体的な検索方法... 6 3.3 他の検索項目による調査... 9 4. 欧州連合加盟国の国内意匠調査... 16 4.1. Design view の操作方法... 16 5. WIPO ハーグ出願に基づく国際登録意匠の調査... 18 5.1 国際登録意匠調査の意義... 18 5.2 Hague Express の操作方法... 19 1
1. 欧州連合における意匠検索 ( 調査 ) の必要性 1.1 欧州連合における意匠制度欧州共同体意匠制度とは 欧州連合知的財産庁に 1の出願 登録を行うことで 欧州連合加盟国全部をカバーする意匠権を得ることが出来る制度です 欧州連合は 下の地図のうち 水色及び薄緑色の国が加盟し成立しています スイスとノルウェイは加盟国ではありません また イギリスは 2016 年 6 月の国民投票が 欧州連合からの離脱 を指示する票が過半数を占めました 今後 欧州連合の加盟国ではなくなる可能性はありますが 当面は欧州連合の加盟国として 欧州共同体意匠の調査検索が必要です 2
また 欧州連合の意匠制度は 上記地図が示す各国の国内意匠制度と欧州共同体意匠 制度の二重構造により成り立っています 下図の通り 各国の国内意匠法 ( 橙色 ) と欧州共 同体意匠制度の基本となる意匠規則 (Regulation 黄色 ) が法律の役割を果たしています 1.2 欧州共同体意匠の調査の対象地域前述の通り 欧州連合の意匠制度は 欧州連合の意匠制度と加盟国の意匠制度の二重構造です 理論的には 欧州共同体意匠規則に基づき登録されている意匠 ( 以下 欧州意匠 といいます ) と 加盟国の国内意匠法に基づき登録されている意匠 ( 以下 国内意匠 といいます ) とを調査する必要があります 一方 加盟国は 25 ケ国以上あり すべての加盟国に存在する国内意匠を調査することは経済的にも時間的にも大変な負担です そこで 欧州意匠の調査を行う際は 少なくとも 1 欧州意匠 2 国際登録意匠 ( ハーグ出 3
願による登録 ) の調査を実施することが推奨されます 3 国内意匠は 欧州における重要市場に絞り調査を実施するなど 案件毎に調査対象国の検討をご推奨致します なお 欧州共同体意匠制度は EUIPO に登録していない意匠であっても 欧州連合域内のいずれかの国に投入してから 3 年以内は未登録のまま保護が認められます しかし この未登録意匠を調査する電子的な情報は残念ながらありません 1.3 欧州意匠の調査の意義欧州意匠は 欧州連合知的財産庁 (European Union Intellectual Property Office 略称: EUIPO) に出願し審査を受けます 一方 EUIPO の審査官は 出願された欧州意匠について審査を行いますが 欧州意匠が公序良俗に反しないかを職権で審査します しかしながら EUIPO の審査官は 出願された欧州意匠が第三者の既に登録した欧州意匠と同一若しくは類似する場合に このことを理由に出願した欧州意匠の出願を却下しません 第三者が登録された欧州意匠に対し登録に無効の宣言を申し立てた場合は EUIPO が登録した欧州意匠の維持の可否につき審査を行うことになります このような 特有の審査制度でありますので 日本企業が実施する欧州意匠の調査の目的は EUIPO における登録の可能性を調査するのではなく 欧州意匠を取得した後に第三者から無効宣言の申立を受けるおそれがないか 並びに 第三者の欧州意匠を侵害するおそれはないかを判断することが主要な目的となります 1.4 国際登録意匠の調査の必要性欧州連合の加盟国の意匠調査は 経済的にも時間的にも負担が大きいことは説明致しました 一方 国際登録意匠を調査することにより 欧州連合の加盟国の調査を個別に行うことなく 一定の範囲で加盟国における意匠登録状況を審査することができます 国際登録意 4
匠はハーグ協定ジュネーブアクトという条約に基づく出願ですが 欧州連合の加盟国はす べてこの条約に加盟しており 国際登録意匠を利用し欧州連合の加盟国に国内意匠に保護 を求めている場合があるからです 2. データベースへのアクセス 欧州意匠を収録したデータベースとしては EUIPO が提供するデータベースがあります また 世界知的所有権機構 (WIPO) のデータベースがあります 2.1 EUIPO - 運営母体 : 欧州連合知的財産庁 (European Union Intellectual Property Office) -URL : https://euipo.europa.eu/ - 特徴 : 欧州意匠とともに 欧州連合加盟国の国内登録意匠のデータベースを提供しています 検索に使用できるキーワードが豊富で使いやすい仕組みです また 図形意匠などイメージからなる意匠 及び イメージを含む意匠も調査できます 2.2 WIPO - 運営母体 : 世界知的所有権機構 (WIPO) -URL : http://www.wipo.int/haguebulletin/ - 特徴 : 欧州連合若しくは欧州連合加盟国を指定した国際登録意匠のデータベースを提供しています 3. 意匠の検索方法 3.1 アクセス方法右記の URL にアクセスし下のトップ画面を開きます https://euipo.europa.eu/ 5
次に esearch plus をクリックします つぎの画面が現れます 3.2. 具体的な検索方法 初期画面として次の画面が現れますので Design のタブをクリックします 6
次の画面が現れましたら 調査したい項目の単語を入力することになりますが 次の画面に radio という情報を入力した場合は radio という表示を含む意匠を検索します 一方 radio という意匠に係る物品を調査する場合は 次の画面では調査できませんので注意が必要です radio というキーワードで調査した場合は 後掲の調査結果が表示されます 入力した単語が外観上表れている意匠を調 査します 意匠に係る物品名による調査は この入 力画面に検索用語を入力しても調査できません radio と入力します その結果 次の画面が現れます ご覧の通り 意匠を示す写真上に radio の文字が表れている意匠が抽出されています 7
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3.3 他の検索項目による調査実務上 意匠に係る物品 権利者名 を用いた調査の実施が多いと思われます そこで 意匠に係る物品 に調査を解説いたします 意匠に係る物品 の調査は 意匠に係る物品名 を用いる場合と 意匠の分類である ロカルノ分類 を用いた調査が一般的です 3.3.1. 意匠に係る物品 による調査初期画面である次の画面を表示します そして 右側にある Advanced search をクリックします 次の画面が現れます 9
次に Classification の下にある Indication of the products をクリックします その結果 次の画面が現れます 10
そこで Indication of the products の入力画面に radio と入力します その結果 意匠に係る 物品が radio である意匠の情報が検索されます 11
また 意匠に係る物品が 自動車 の意匠を調査するものの 競合会社が存在する土ドイツ国籍の企業が所有する意匠を調査する場合は 次のとおり Owner country に DE-Germany Indication of the products にcars を入力します その結果 次の画面が現れます 12
この登録意匠の図面 写真等を確認したい場合は 左上の番号をクリックします その結 果 登録意匠の詳細情報を確認することができます また 各写真をクリックすると 拡大し た写真を見ることができます 13
この登録意匠の図面 写真等を確認したい場合は 左上の番号をクリックします その結 果 登録意匠の詳細情報を確認することができます また 各写真をクリックすると 拡大し た写真を見ることができます 14
3.3.2. ロカルノ分類 による調査 欧州意匠の意匠登録は ロカルノ分類 により行います ロカルノ分野の内容を確認するた めには 次の初期画面にある Locarno Classification の右にある * をクリします その結果 次の画面が現れます そこで 調査したい意匠に係る物品名を入力します 仮に automobiles と入力した場合は 次の結果が表示されます 15
結果の画面から Automobiles はロカルノ分類 12.08 に属することが分かります そこで 検索画面の Locarno classification の入力画面に 12.08 と入力し Owner country に Germany-DE と入力します これにより 検索結果を絞り込むことができます 4. 欧州連合加盟国の国内意匠調査欧州連合の加盟国は 自国の意匠法に基づく国内意匠登録の制度があります また 欧州連合加盟国の国内登録意匠は 欧州共同体意匠を新たに出願する際に 無効宣言請求の根拠になります その為 欧州共同体意匠の登録を受けたのち 無効宣言請求を受けるおそれを事前に確認する方法として 欧州連合加盟国の国内登録意匠の調査が理論上必要です 各国特許庁のウェッブサイトを利用し調査する方法もありますが EUIPO のウェッブサイトが提供する DesignView を利用すると便利です 4.1. Design view の操作方法まずは EUIPO のウェッブサイトにアクセスします https://euipo.europa.eu/ そして DesignView をクリックします 16
その結果 次の画面が表示されます たとえば フランスとイタリアに国内登録のある時計 (clocks) の登録意匠を調査するとしま す この場合は 次の Advances searched をクリックします その結果登場した次の画面に 必要な情報を入力します 17
その結果 次の画面が結果か表示されます そして 各画像をクリックすると写真若しくは図面の拡大図を確認できます 5. WIPO ハーグ出願に基づく国際登録意匠の調査 5.1 国際登録意匠調査の意義欧州意匠の調査において 国際登録意匠の調査を実施することも有効です 意匠出願人は 欧州連合を指定する国際登録が可能です また 欧州連合加盟国の国内意匠の保護を国際意匠登録を通じて行っている場合があるからです 18
5.2 Hague Express の操作方法具体的には ハーグ出願の公報である International Designs Bulletin を調査することもできますが 公報の発行単位の検索であり実際的ではありません 横断的に調査できる Hague Express の利用をお勧めします つぎの URL から画面を開きます http://www.wipo.int/hague/en/design_search/ そして Access the Hague Express database をクリックします そして フランスとイタリアに国内登録のある時計 (clocks) の登録意匠を調査するとします まず Design のタブをクリックします そして clock を入力します 19
つぎに Applicant s Contracting Party に国の略称を入力します そして Search をクリックしますと次の調査結果が登場します そして DM から始まる国際登録意匠番号を入力すると 国際登録意匠の公報を確認できま す 20
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