仮想通貨およびブロックチェーン技術現状と課題 2018 年 11 月 29 日 ( 木 ) 14 時 ~15 時 ( 株 )IT 企画才所敏明 toshiaki.saisho@advanced-it.co.jp http://www.advanced-it.co.jp https://www.facebook.com/toshiaki.saisho 1 本日のお話 1. 仮想通貨とは (10 分 ) 法定通貨 電子マネー ポイント / マイレージ 主要な仮想通貨 2. ブロックチェーンとは (10 分 ) ブロックチェーンの特徴 3. ビットコインとそれを支える技術 (20 分 ) 3.1 ビットコインとは 3.2 ビットコインによる送金 3.3 ビットコインのブロックチェーン 3.4 ビットコイン ウォレット 4. 仮想通貨 ブロックチェーンの現状 課題 (15 分 ) 4.1 仮想通貨の課題 4.2 仮想通貨の新潮流 4.3 ブロックチェーンの新潮流 2 1
自己紹介 1970 年東芝入社社内計算機利用環境企画 構築 活用指導 支援情報セキュリティ研究開発企画 推進 事業支援 2007 年 ( 株 )IT 企画設立事業支援活動 ( 顧問 相談役 ) 2 社 ( 日 米 ) 大学教育活動 ( 情報セキュリティ ) 九大 慶応研究開発活動 ( 研究員 ) 中央大 暗号 認証 バイオメトリクス 電子メールセキュリティ IoT システムセキュリティ FinTech( 仮想通貨 ブロックチェーン他 ) ビッグデータ AI 3 1. 仮想通貨とは 仮想通貨と法定通貨 (1) 法定通貨 ( 円やドル ) は 国家単位で運営されている通貨国が経済をコントロールするために発行 管理する貨幣 国が価値を法律で保証することで 国民は通貨と物やサービスを交換 発行額の上限は決められていないが 通貨の総量規制などにより国が経済をコントロールし国民の安定した経済活動を支えている (2) 仮想通貨 ( ビットコイン イーサリアム ) は 中央管理組織の無い通貨紙幣や貨幣等の実体が存在しない通貨 暗号技術が活用されており 暗号通貨とも呼ばれている ビットコインの場合 発行はすでに決められたネットワーク上のプログラムに沿って自動的に行われ ( 現在 :12.5BTC/10 分 ) 発行されるビットコインの数の上限 (2100 万 BTC) がある 各国の金融政策などで価値が左右されることがない 4 2
1. 仮想通貨とは 仮想通貨 改正資金決済法による 仮想通貨 の定義一物品を購入し 若しくは借り受け 又は役務の提供を受ける場合に これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ かつ 不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値 ( 電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り 本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く 次号において同じ ) であって 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの (1 号仮想通貨 ) 二不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの (2 号仮想通貨 ) 改正資金決済法による規制顧客に対して仮想通貨を販売する販売所, 交換所や, 顧客の売り注文と買い注文をマッチングさせる場を提供する取引所を営む場合, 仮想通貨交換業の登録を受ける必要がある 5 1. 仮想通貨とは 電子マネーとポイント / マイレージ (1) 電子マネー事業者により構築される特定の経済圏内でのみ利用可能な通貨 チャージ という行為によって法定通貨を電子データに置き換え 持ち運びや決済が便利になった通貨 電子マネーは 法定通貨と同じ価値が電子化されたもの 参考 : 改正資金決済法 ( 資金決済に関する法律 ) 事業者は残高の 2 分の 1 以上の保証金の供託義務 (2) ポイント / マイレージ事業者が 顧客の囲い込みなどの目的のために発行するもので サービスにかかるコストは その事業者の利益により負担 参考 : 景品表示法取引価額の 10 分の 2 以内に規制 6 3
1. 仮想通貨とは 仮想通貨概況 (1)2018 年 11 月 6 日現在約 2100 通貨が存在時価総額 $214,948,381,954 全世界の法定通貨発行額の約 2% に相当 (2) 仮想通貨時価総額ベスト 10 (2018 年 11 月 6 日現在 ) 順位 名称 記号 時価総額 1 Bitcoin BTC $111,603,653,485 2 Ethereum ETH $21,686,983,353 3 XRP XRP $21,316,167,697 4 Bitcoin Cash BCH $9,727,964,629 5 EOS EOS $5,062,917,548 6 Stellar XLM $4,788,815,193 7 Litecoin LTC $3,206,426,163 8 Cardano ADA $2,035,116,446 9 Monero XMR $1,862,296,670 10 Tether USDT $1,765,995,152 (52%) 7 1. 仮想通貨とは 主要な仮想通貨 (1) ビットコイン (BTC) 価格 :512,982 円 /1BTC(11/22) 価格推移仮想通貨の中心的存在 分裂 派生した通貨も多い 現在では最も単価が高く 最も人気のある通貨 コンセンサスアルゴリズムは PoW(Proof of Work) 約 10 分間隔で1ブロック生成 マイニング報酬は12.5BTC (1 日に約 9 億円分のBTCが発掘されている ) イーサリアム (ETH) 価格 :15,275 円 /1ETH(11/22) 価格推移ユーザが独自に定義できる契約 ( スマートコントラクト ) の概念を導入 柔軟なプラットフォームを提供 ICOプラットフォームとしても有名 コンセンサスアルゴリズムは PoW PoS(Proof of stake) へ移行予定 約 15 秒間隔で1ブロック生成 マイニング報酬は3ETH (1 日に約 2.5 億円のETHが発掘されている ) 8 4
1. 仮想通貨とは 主要な仮想通貨 (2) リップル (XRP) 価格 :49.823 円 /1XRP(11/22) 価格推移送金 / 決済に特化した仮想通貨 リップル社が技術面で管理 他の通貨と比べて送金速度に優れ 低コスト SBIとの共同事業が行われていて 日本人に人気が特に高い通貨 コンセンサスアルゴリズムにRPCA 採用 (Ripple 社が選んだ企業や団体が検証者 ) ビットコイン キャッシュ (BCH) 価格 :34,035 円 /1BCH(11/22) 価格推移 2017 年 8 月 1 日にビットコインから分裂して誕生した仮想通貨 ビットコインのブロック容量を1MBから32MBへ拡大し 決済スピード ( 処理速度 ) を向上 コンセンサスアルゴリズムは PoW(Proof of Work) 9 ビットコインの価格推移 (2018 年 11 月 22 日 ) 10 5
2. ブロックチェーンとは 50 分 ブロックチェーンは 記録を管理する技術 (1) 中央管理組織の無い記録技術 (2) 過去の記録の改ざんが難しい記録技術 (3) 記録消失の危険性が極めて低い記録技術 分散型台帳技術とも呼ばれている 11 2. ブロックチェーンとは ブロックチェーン 記録 ( 支払等 ) を複数格納しているブロックの連鎖 ブロックブロックブロックブロックブロックブロック 記録記録 記録 12 6
2. ブロックチェーンとは ブロックチェーンの特徴 (1) 中央管理組織の無い記録技術未登録の複数の記録を集めたブロックを構成し ブロックチェーンに追加 ( ブロックを承認 ) する人 組織の選定方法をあらかじめ決めておくことが必要 => コンセンサスアルゴリズム コンセンサスアルゴリズムの例 ( 仮想通貨 ) PoW(Proof of Work): 最初にマイニング ( 採掘 ) に成功した人に 承認権と報酬マイニング : ブロックの構成要件を満たすナンス ( 数 ) を見出すこと PoS(Proof of Stake): 保有量に応じて 承認権と報酬 PoI(Proof of Importance): 保有量に加えて 記録生成 ( 支払等 ) を活発にしている人 組織に 承認権と報酬 13 2. ブロックチェーン技術とは ブロックチェーンの特徴 (2) 過去の記録の改ざんが難しい記録技術 過去の記録の情報 ( ハッシュ値 ) が 以降の記録に反映されているため ハッシュ値 : 対象となるデータの特徴を一定の長さのデータに変換したもので 対象となるデータが 1 ビットでも変われば ハッシュ値も変わる 14 7
2. ブロックチェーン技術とは ブロックチェーンの特徴 (3) 記録消失の危険性が極めて低い記録技術 記録が多数のノードで保管 管理されているため ブロックチェーン ブロックチェーン ブロックチェーン ブロックチェーンネットワーク ブロックチェーン ブロックチェーン 参考 : ビットコインの場合 約 1 万ノードがブロックチェーンを保有 15 3.1 ビットコインとは 40 分 ビットコインの歴史 2008 年 10 月サトシ ナカモト (Satoshi Nakamoto) がインターネット上で論文投稿 2009 年 1 月ビットコインの理論を実現するソフトウェアがオープンソースで開発 ( 直後に 最初の取引が行われた ) 2010 年 2 月ビットコイン両替ができる最初の取引所が誕生 2010 年 5 月現実世界ではじめてビットコインを使った決済 <ピザ2 枚 (25ドル) と10000BTCの交換 ピザ2 枚で約 50 億円分のBTCを入手!> 16 8
3.1 ビットコインとは ビットコインの現状 ワレットユーザ ( ビットコインアドレス ) 数約 2600 万 (7 月現在 ) 日本の取引所利用者登録数約 200 万 アクティブユーザは半分程度か (2017 年 11 月頃 ) ブロックチェーンのサイズ約 140GB(2017 年 12 月現在 ) フルノード数約 1 万 (5 月現在 ) ブロック高約 53.5 万 (8 月 5 日 ) ブロックサイズ 1MB 1 ブロックあたり 1000~2000 トランザクション 1BTC の相場 512,982 円 (11 月 22 日現在 bitflyer 取引所 ) 約 196,000 円 (2017 年 7 月現在 bitflyer 取引所 ) 国内でビットコインが使える店舗約 52000 店 (3 月現在 ) 17 3.2 ビットコインによる送金 A 入力 払者5 確認支A から B への 10BTC 送金の流れ 1 作成 送金記録 ( トランザクション ) <10BTC を B へ > 3 確認依頼 A から B への送金記録 出力 (A 宛に 8BTC) B 宛に 10BTC (A 宛に 7BTC) A 宛に 5BTC ( 原資を指定 ) ( 送金先 金額を指定 ) 注 : 送金先は受取者のビットコインアドレスで指定 2 送付 ビットコインネットワーク ブロックチェーン 4 確認 (PoW) ヘッダ 受取者ブロック 前ブロックのヘッダのハッシュ値 ( ブロック ID) 送金記録のリストのハッシュ値 ナンス B 送金記録送金記録 リスト送金記録ブロックの構造 18 9
3.3 ビットコインのブロックチェーン A から B への 10BTC 送金のための A による新たな送金記録の作成 X から A への送金記録 (ID=n) 入力 出力 A 宛に8BTC YからAへの送金記録 (ID=m) 入力出力 A 宛に7BTC 入力 新規に作成する A から B への送金記録 出力 (A 宛に 8BTC) B 宛に 10BTC (A 宛に 7BTC) A 宛に 5BTC 注 1: 原資は 送金記録 ID および何番目の出力かにより指定注 2: 送金記録 ID は 送金記録のハッシュ値 ハッシュ値 : 対象となるデータの特徴を一定の長さのデータに変換したもの 19 3.3 ビットコインのブロックチェーンブロックチェーンにおける送金記録の連鎖 送金記録 送金記録 送金記録 送金記録 ID が n の 3 番目の出力 A A 送金記録 ID が m の 2 番目の出力 送金記録の出力 - 入力の連鎖 A A B A 入力 1(8BTC) 入力 2(7BTC) 10BTC 5BTC 入力の指定 : 送金記録 ID と何番目の出力かで指定送金記録 ID: 送金記録のハッシュ値 新規の出力 ( 使用可能なビットコイン ) 20 10
3.3 ビットコインのブロックチェーン 作成された送金記録の検証 (1) 作成された送金記録 ( 一部 ) 入力に指定される項目 過去の送金記録 ( 一部 ) 出力に指定される項目 送金額 送金先のビットコインアドレス 参照 送金記録 ID 出力番号 同一性確認 作成者が使用した秘密鍵による送金記録の署名 作成者が指定した公開鍵 ハッシュ値計算 ビットコインアドレス 指定された出力の送金先のビットコインアドレスが作成者が指定した公開鍵で生成されたビットコインアドレスかどうか の確認 注 : 利用者のビットコインアドレスは その人の公開鍵を一定のルールで変換したもの 21 3.3 ビットコインのブロックチェーン 作成された送金記録の検証 (2) 作成された送金記録 入力の数 出力の数 入力 1 入力 n 出力 1 出力 m 送金記録 ID 作成された送金記録 ( 一部 ) 出力番号 ハッシュ値計算 入力に指定される項目 作成者が使用した秘密鍵による送金記録の署名 同一性確認 復号 復号したハッシュ値 作成者が指定した公開鍵 作成された送金記録のハッシュ値署名検証により 作成者が秘密鍵を保有していることを確認 注 1: ビットコイン利用者は 秘密鍵とそれに対応する秘密鍵を保有注 2: 秘密鍵は利用者が秘密に管理すべき情報で 秘密鍵を持っていることが対応する公開鍵 / ビットコインアドレスの所有者であることの証明になる注 3: 送信記録の署名は送信記録のハッシュ値を秘密鍵で暗号化したもの 22 11
3.3 ビットコインのブロックチェーン 作成された送金記録の検証のポイント (1) 指定された送金記録の出力が 作成者が指定した公開鍵に対応するビットコインアドレス宛ての出力 ( 作成者宛の送金 ) かどうかの確認 (2) 指定された署名が 作成者の公開鍵に対応する正しい秘密鍵で作成された署名である ( 作成者が正しい秘密鍵を保有している ) かどうかの確認 (3) 本当に今も使用可能な送金記録の出力なのか? (2 重使用でないことの検査 ) ブロックチェーン全体を確認し その出力が使用されていないことを確認 23 補足説明 : 公開鍵暗号方式 暗号化 / 復号 公開鍵で暗号化された暗号文は 対応する公開鍵で復号可能! 受信者の公開鍵受信者の秘密鍵 平文 暗号復号アルゴリズム暗号文暗号文アルゴリズム 平文 平文の情報の漏洩防止 送信者 受信者 署名 / 検証 秘密鍵で暗号化された暗号文は 対応する公開鍵で復号可能! 送信者の秘密鍵送信者の公開鍵 平文 暗号復号暗号文暗号文アルゴリズムアルゴリズム 平文 平文の送信者の確認 送信者 受信者 24 12
3.3 ビットコインのブロックチェーン ビットコインブロックチェーンにおけるブロックの連鎖 ブロックヘッダ 前ブロックのヘッダのハッシュ値 送金記録リストのハッシュ値 ブロックヘッダ 前ブロックのヘッダのハッシュ値 送金記録リストのハッシュ値 ナンス ナンス 送金記録リスト 送金記録 送金記録 送金記録リスト 送金記録 送金記録 マイナーは それぞれ自分で構成したブロックに対し マイニングを実施ブロックのハッシュ値の先頭に 16 個 0 が並ぶようなナンスを発見する作業 25 3.4 ビットコイン ウォレット ビットコイン ウォレットの機能 ビットコイン ウォレットは ビットコインの受取 支払 管理に使用 (1) 受取 : 送金者に送金記録の出力欄の送金先として 自分のビットコインアドレスを指定してもらう (2) 支払 : 送金記録の出力欄の送金先として 相手のビットコインアドレスを指定する (3) 管理 : ビットコインブロックチェーンを検索し 送金先が自分のビットコインアドレスで未使用の送金が含まれる送金記録を集め 管理する ( 注 ) ビットコインアドレスは 所有者の公開鍵をベースに作成されている正しい所有者かどうかの確認には 対応する秘密鍵を保有しているかどうかで判断される < 公開鍵と所有者の関連は公開されていないので 匿名性がある> 2018 Advanced IT Corporation 26 13
3.4 ビットコイン ウォレット ビットコインウォレットの種類 (1) 完全クライアント型ブロックチェーンの全てのデータをクライアントで管理 ( 約 140GB)(2017 年 12 月現在 ) (2)SPV(Simplified Payment Verification) クライアント型各ブロックのヘッダしかクライアントでは管理しない ( 数十 MB) (3) サーバ クライアント型ブロックチェーンのデータはサーバ 秘密鍵はクライアントで管理 (4)Web サービス型ソフトウェアのインストール不要 秘密鍵も Web サービス側で管理 2018 Advanced IT Corporation 27 4.1 仮想通貨の課題 多発する仮想通貨流出事件 20 分 (1) マウントゴックス事件 (2014 年 2 月 ) 内部犯行概要 : ビットコイン約 75 万 BTC( 当時のレートで約 480 億円 ) と顧客が預けていた現金 28 億円が 仮想通貨取引所 Mt.Gox から消失 原因 : 当初サイバー攻撃によるものとされていたが その後の警察の捜査の結果 元社長であるマルク カルプレスが業務上横領の疑いで逮捕された (2)Coincheck 事件 (2018 年 1 月 ) 概要 : 仮想通貨取引所 coincheck から約 580 億円相当の仮想通貨 NEM が流出 原因 : システムの不備に対する不正アクセス ( ホットウォレットの使用 マルチシグの不使用 ) (3)Zaif 事件 (2018 年 9 月 ) 概要 : 仮想通貨取引所 Zaif から約 70 億円相当の仮想通貨 BTC MONA BCH が流出 原因 : システムの不備に対する不正アクセス ( ホットウォレットのサーバが対象 ) 2018 Advanced IT Corporation 28 14
4.1 仮想通貨の課題仮想通貨規制の動き背景現在の仮想通貨の問題マネーロンダリング ( 資金洗浄 ) テロリストへの資金流入 ICO(Initial Coin Offering) まがいの詐欺の横行価格変動による金融システムの不安材料仮想通貨への規制の動き中国 :ICOの全面禁止 国内 3 大取引所での仮想通貨と人民元の取引禁止 (2017 年 9 月 ) 国内でのマイニング事業の規制 マイニング工場は閉鎖 (2018 年 1 月 ) 習近平主席 ブロックチェーンの重要性に言及 (2018 年 5 月の中国科学院 年次総会 ) 規制緩和の可能性? 韓国 :ICOの全面禁止(2017 年 9 月 ) 金融監督院が国内仮想通貨取引所閉鎖検討を発表 (2018 年 1 月 ) その後 財務大臣が否定 規制緩和の可能性? 日本 : 改正資金決済法の施行 (2017 年 ) 仮想通貨交換業 としてのマネロン対策の義務化 仮想通貨交換業等に関する研究会 (2018 年 3 月 )ICO 規制等の検討仮想通貨のルール作りには国際的な協力が必要 ( ドイツ フランス ) 3 月のG20 財務省 中央銀行総裁会議で規制案が提案された模様 2018 Advanced IT Corporation 29 4.1 仮想通貨の課題 Bitcoin is harmful! コンセンサスアルゴリズムは PoW(Proof of Work) 世界中でマイニング競争 膨大な無駄な計算 1 件の送金処理に必要な電力消費量は VISAの4000 倍以上が必要, 米国家庭 9 軒の1 日分に相当現在 ビットコインネットワークの電力消費量は31 terawatt-hours/year 1 日当たり450 gigawatt-hours 増加中 ( ハイチ (1085 万 ) の全国の電力消費量の1 年分に相当!) 現在のペースで電力使用量が増加すると 2019 年 7 月までに ビットコインネットワークは米国全体の現在の電力を上回る電力を必要となる見込み 2020 年 2 月までに ビットコインネットワークは世界全体の現在の電力と同程度の電力を使用する見込み 2018 Advanced IT Corporation 30 15
4.2 仮想通貨の新潮流 国家による仮想通貨発行ベネズエラ ボリバル共和国 :Petro 背景 :2017 年当初今年初めに 1 ドル 3000 ボリバルであったのが 2017 年 12 月には 103000 ボリバルにまで通貨価値が下落 Petro は 自国の石油資源 ( 世界一の埋蔵量 ) を担保にイーサリアムのブロックチェーン上で発行された仮想通貨 プリセール (ICO) は 2018 年 1 月に実施され 時価総額 50 億ドル相当のトークンとなる予定 ベネズエラでの税金の支払い 公共サービス支払い オンライン取引などに使用可能 ペトロの価格は理論上市場の原油価格と連動して推移するため ベネズエラ国外に住む人は投機商品として利用することもできる 多くの場所や用途で利用されることが予想され 少なくとも 3100 万人のベネズエラ国民が使用 世界における仮想通貨の利用人口よりはるかに多い 2018 Advanced IT Corporation 31 4.2 仮想通貨の新潮流 国家による仮想通貨発行各国の動き エストニア共和国 :Estcoin 国家の仮想通貨となるのは無理か? 欧州中央銀行総裁は ユーロ圏の通貨はユーロのみ と発言デジタル市民 (e-resident 構想 ) 向けのサービスで利用か? ウルグアイ :e ペソ (2017 年 11 に試験運用開始 ) ロシア : クリプトルーブル ( プーチン大統領が発行指示?) カナダ :CAD コイン (Bank of Canada が研究中 ) オランダ :DNB コイン (De Nederlandsche Bank が研究中 ) 米国 :Fedcoin( 噂 ) 世界中から紙幣が廃止されるのは もはや時間の問題 全ての中央銀行は最終的には独自の暗号通貨を必要とするようになる 32 16
4.2 仮想通貨の新潮流 国家による仮想通貨発行日本の動き 日本政府 : 中央銀行によるデジタル通貨を発行する可能性について検討して参りたい (2018 年 2 月安部首相 ) 金融機関 : 1 コイン = 約 1 円か SBI ホールディングス : S コイン (2018 年 10 月より実証実験?) みずほ ゆうちょ銀行 : J コイン (2020 年頃?) 三菱東京 UFJ 銀行 : MUFG コイン (2018 年度?) その他の企業 : 楽天 : 楽天コイン (2019 年ロシアで発行?) サイバーエージェント ( 構想?) 地域仮想通貨 : 飛騨高山 さるぼぼコイン 大阪あべのハルカス 近鉄ハルカスコイン ( 地域通貨 ( 地域振興券 プレミアム商品券 ):1999 年より 現在約 600 地域 ) 33 4.3 ブロックチェーン技術の新潮流 ビッグデータ対応 :BlockchainDB 概要 : 大企業が求める処理能力 大容量 および多様な検索 アクセス制御を提供するデータ管理機能に加え ブロックチェーンの特徴である記録データの不変性 分散コントロール 資産の登録 移転等の機能を提供 実現方式 : ビッグデータ管理システム (MongoDB:NoSQL DBMS) へブロックチェーンの特徴機能を付加 現状 : 世界で 20 社以上がパートナー企業となり 応用 PJ が進行中 ( 日本企業 : リクルート トヨタ ) 34 17
4.3 ブロックチェーン技術の新潮流 IoT 対応 :IOTA 概要 : 機械と機械が直接取引を行うことを想定した IoT 向けの仮想通貨 / 決済プロトコル特徴は マイナーが不要で 取引手数料がかからないこと 実現方式 : ブロックチェーンでは無く Tangle(DAG: 有向非巡回グラフ ) を使用 現状 :2017 年 11 月 IOTA 上で分散型データ販売市場確立のため 20 社以上とパートナーシップ契約 ( マイクロソフト 富士通 シスコ フォルクスワーゲン サムスン等 ) 35 4.3 ブロックチェーン技術の新潮流 Tangle( イメージ ) 取引承認 1 取引承認 1 承認 2 承認 2 取引 取引承認 1 承認 2 取引承認 1 承認 2 取引承認 1 承認 2 承認 1 承認 2 取引承認 1 承認 2 36 18
本日のお話 1. 仮想通貨とは (10 分 ) 法定通貨 電子マネー ポイント / マイレージ 主要な仮想通貨 2. ブロックチェーンとは (10 分 ) ブロックチェーンの特徴 3. ビットコインとそれを支える技術 (20 分 ) 3.1 ビットコインとは 3.2 ビットコインによる送金 3.3 ビットコインのブロックチェーン 3.4 ビットコイン ウォレット 4. 仮想通貨 ブロックチェーンの現状 課題 (15 分 ) 4.1 仮想通貨の課題 4.2 仮想通貨の新潮流 4.3 ブロックチェーンの新潮流 37 終 2018 年 11 月 29 日 ( 木 ) 14 時 ~15 時 ( 株 )IT 企画才所敏明 toshiaki.saisho@advanced-it.co.jp http://www.advanced-it.co.jp/ https://www.facebook.com/toshiaki.saisho 38 19