untitled

Similar documents
untitled

untitled

ColorNavigator 7使い方ガイド(はじめて編)

相続支払い対策ポイント

150423HC相続資産圧縮対策のポイント

ハピタス のコピー.pages

Copyright 2008 All Rights Reserved 2

目次 SDR/HDR 設定を行うには 2 つの調整方法があります お使いの環境 用途に適した方法をお選びください 1. モニターの OSD メニューのみを操作する調整方法 2. モニターの OSD メニューと ColorNavigator 7 を組み合わせた調整方法 I. ColorEdge PRO

ColorNavigator 7使い方ガイド(ColorNavigator 6アップグレード編)

Microsoft Word - QNNZ _SmartInsight_TechnicalOverview.doc

White Paper

初心者にもできるアメブロカスタマイズ新2016.pages

- 2 Copyright (C) All Rights Reserved.

Copyright All Rights Reserved. -2 -!

IPA:セキュアなインターネットサーバー構築に関する調査

Microsoft Word - 最終版 バックせどりismマニュアル .docx

1. 新開発の GY-LS300CH 用 3D-LUT について GY-LS300CH の J-Log1 用の 3D-LUT を より自然な色調で新たに開発しました 本 LUT を使用することで J-Log1 で撮影された映像をより自然な BASIC LOOK に変換することができます この自然な

untitled

how-to-decide-a-title

健康保険組合のあゆみ_top

リバースマップ原稿2

Copyright 2010 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved.

やよいの顧客管理

弥生給与/やよいの給与計算

弥生 シリーズ

弥生会計 プロフェッショナル/スタンダード/やよいの青色申告

弥生会計/やよいの青色申告

弥生会計 ネットワーク/プロフェッショナル2ユーザー


Copyright 2008 NIFTY Corporation All rights reserved. 2

EIZO White Paper

高度な色補正機能 本機は 独自の色補正機能である SPECTRAVIEW ENGINE(SVE) を内蔵しています 工場出荷時の測定で得られたディスプレイ個々の特性を考慮しながら周囲温度や経年劣化による影響を補正し 色や輝度の均一性 精度 安定性において良い状態を維持します Adobe RGB や

Copyright 2006 KDDI Corporation. All Rights Reserved page1


1000 Copyright(C)2009 All Rights Reserved - 2 -

IP IP All contents are Copyright (c) All rights reserved. Important Notices and Privacy Statement. page 2 of 39

! Copyright 2015 sapoyubi service All Rights Reserved. 2

report03_amanai.pages

report05_sugano.pages

untitled

- 2 Copyright (C) All Rights Reserved.

dekiru_asa

pd2015

Copyright Qetic Inc. All Rights Reserved. 2

DC9GUIDEBook.indb

Releases080909

URL AdobeReader Copyright (C) All Rights Reserved.

HDRシリーズカタログ

BVM-E170A BVM-E250A BVM-F250A BVM-F170A sony.jp/bvm/

<4D F736F F F696E74202D2088E E6919C955C8EA A835E82CC90B893788AC7979D>

プログラム 3日目:11月16日(日曜日)

0428_HP用.pdf


不確かさ 資料 1/8

Solibri Model Checker 9.5 スタードガイド

する距離を一定に保ち温度を変化させた場合のセンサーのカウント ( センサーが計測した距離 ) の変化を調べた ( 図 4) 実験で得られたセンサーの温度変化とカウント変化の一例をグラフ 1 に載せる グラフにおいて赤いデータ点がセンサーのカウント値である 計測距離一定で実験を行ったので理想的にはカウ

PPTテンプレート集 ver.1.0

ソニー株式会社 OLED と CRT の カラーマッチングについて White Paper V 年 2 月 1 日

20 180pixel 180pixel Copyright 2014 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

ColorEdge

Copyright (C) 2007 noroiya.com.all Rights Reserved. 2

Copyright 2017 JAPAN POST BANK CO., LTD. All Rights Reserved. 1


% 11.1% +6.% 4, % %+12.2% 54,16 6.6% EV7, ,183 Copyright 216 JAPAN POST GROUP. All Rights Reserved. 1

P. 2 P. 4 P. 5 P. 6 P. 7 P. 9 P P.11 P.14 P.15 P.16 P.16 P.17 P.19 P.20 P.22 P P P P P P P P P

P. 2 P. 4 P. 5 P. 6 P. 7 P. 9 P.10 P.12 P.13 P.14 P.14 P.15 P.17 P.18 P.20 P P P P P.25 P.27 P.28 Copyright 2016 JAPAN POST BA

CDMカタログ_ indd

ColorEdge HDRシリーズカタログ2019

<4D F736F F D20696D6F65646C82C982A882AF82E9955C8EA695698EBF8AC7979D2E646F63>

スライド 1

ColorEdge ColorNavigator 取扱説明書

untitled

技術名

SNMP_Web .C...X.g.[...K.C.h

Ⅴ 古陶器にみる装飾技法

いま本文ー校了データ0822.indd

untitled


展示会レポート修正

ColorNavigator NX取扱説明書

KDDI


PowerPoint プレゼンテーション

KusunokiDayori

Skill_Builder_Spur Gears Part 2_J

2

EIZO ScreenSlicer 取扱説明書

P. 2 P. 4 P. 5 P. 6 P. 7 P. 9 P P.11 P.13 P.15 P.16 P.17 P.17 P.18 P.20 P.21 P.23 P P P P P P P P.31

キャバ嬢口説きテンプレ

untitled

Autodesk Inventor Skill Builders Autodesk Inventor 2010 構造解析の精度改良 メッシュリファインメントによる収束計算 予想作業時間:15 分 対象のバージョン:Inventor 2010 もしくはそれ以降のバージョン シミュレーションを設定する際

PowerPoint プレゼンテーション

キャリブレーションガイド

2

2007 Indie s Movie Project. All Rights Reserved. 02

ネットワーク設定マニュアル(Windows Vista編)

Application Note 光束の評価方法に関して Light Emitting Diode 目次 1. 概要 2. 評価方法 3. 注意事項 4. まとめ This document contains tentative information; the contents may chang


ColorEdge ColorNavigator 取扱説明書

PLQ-20 取扱説明書 詳細編

Transcription:

Technical Overview グラフィックス用モニターにおける液晶パネルの温度特性の補正技術 CONTENTS 1. はじめに...2 2. 液晶モニターの安定性...2 3. 階調特性 輝度の安定性に影響をあたえる要因...3 4. 温度センシング機能と有効性...4 5. まとめ...11 No.10-003 Revision B 作成 : 2010 年 4 月株式会社ナナオ企画部商品技術課 Technical Overview (QNNZ-103005B) 1/11

1. はじめに モニター上で色校正を行うソフトプルーフや写真のレタッチ作業 グラフィックワークの製作など グラフィックス用途に使用されるモニターは 高度で正確な色表示品質 性能や 高い表示品質の安定性が求められる この文書では その中でも 表示品質の安定性 について取り上げ 当社独自の輝度を安定させるための 輝度ドリフト補正機能 階調特性を安定させるための 温度センシング機能 の概要に関して説明を行う 2. 液晶モニターの安定性 2-1. 階調特性の安定性 モニターは通常 環境温度や設定輝度によって階調特性や色味が変化することがある 図 1は 実際にあるモニターの環境温度と輝度設定を変更した場合の 階調特性 ( ガンマ値 ) と入力階調の関係をグラフ化したものである データ上では モニターの階調特性は 環境温度やモニターの輝度設定によって理想値 (2.2) からのズレが生じている 実際のグラフィックスワーク作業において このように輝度や環境温度によって階調特性が変化してしまうと 図 2 のように色付きや階調つぶれが発生する 画像を表示するモニターには正確な色表示が求められるため この階調特性の変化は無視できない問題である 図 1: あるモニターの階調特性 常温時高温時高輝度時 図 2: 階調特性の違い Technical Overview (QNNZ-103005B) 2/11

2-2. 輝度の安定性図 3 のグラフは 各社のモニターの輝度ドリフト特性を表している データ上では モニターの電源 ON 直後から 30 分までは輝度が安定していない モニタープルーフでは モニターの色表示状態を一定に保つためにキャリブレーションを定期的に行うが このデータからすると キャリブレーションを行うには最低 30 分はモニターをエージングする必要がある このように 正確な色評価を行うためには 輝度が安定するまで待つ必要があり 輝度ドリフト特性は無視できない問題である 図 3: あるモニターの輝度特性 3. 階調特性 輝度の安定性に影響をあたえる要因 液晶モニターの階調特性 輝度の安定性に影響をあたえる要因は 設計上としては以下が考えられる 1 液晶モニターはバックライトの光によって表示を行っているが そのバックライトは発光と同時に発熱しており 電源 ONから徐々に温度が上がってしまうこと 2 時間や冷暖房機器による周辺温度の変化 3 温度によるカラーフィルターや液晶素子等の特性の変化 完全に安定した特性を持つモニターを実現するのは現在の技術では難しいが これらの影響を最小限に抑えるために 弊社で搭載している補正技術について 次章にてその原理を説明する Technical Overview (QNNZ-103005B) 3/11

4. 温度センシング機能とその有効性 4-1. 温度センシング機能による補正 当社では 温度変化に伴うモニターの表示品質を安定させるために 温度センサーをモニターに搭載して表示特性の変化を補正する 温度センシング機能 を搭載している 温度センシング機能とは 温度変化に伴う色味や階調特性の変化をあらかじめ測定しておき その温度にあった補正係数を用いてモニターの表示を行うことで 変化を抑える機能である この温度センシング機能を使用すれば 環境温度が変化しても最終的なモニターの表示を理想的な色味や階調特性に近づけることができる 温度センシング機能が搭載されていないモニターでは 環境温度が変化すると 図 4 下段のように 色座標 x y 値が変化する 温度センシング機能を利用すると 図 5 のように 環境温度の変化による色度変化も小さくなり ほぼ同じ色度を保持することができる さらに 0~255 の全階調による補正を行うことによって 中間調も含む全ての色について 階調特性はもちろんのこと加法混色性能についても性能が向上している 0.012 外気温度変化時の色度変化 補正なし _x 補正あり _x 補正なし _y 補正あり _y 0.008 0.004 色度 0.000 図 4: 温度センシング機能のイメージ -0.004-0.008-0.012 15 25 35 環境温度 [ ] 図 5: 温度センシング機能の有無による違い 温度センシング機能は 当社の一部の ColorEdge シリーズに搭載されている機能であり ColorEdge CG245W では中間色も含む全ての階調 (0~255) について補正している 従来は環境温度や設定輝度の変化に関係なく 一律の補正テーブル ( ルックアップテーブル :LUT) を使用していたが 温度センシング機能を搭載したモニターでは 温度に応じて使用する LUT を変更している 環境温度に応じて LUT を変更させることによって 階調特性はもちろんのこと 加法混色特性についても精度が向上するため 中間色のカラー表示の正確性が格段に向上することとなった Technical Overview (QNNZ-103005B) 4/11

4-2. 温度センシング機能の有効性図 6 7 のグラフは 728 色のカラーパッチを測定した場合の色の再現性を比較したものである 図 6 では 温度センシング機能の搭載により どの輝度 環境温度でも目標値の ±5% 以内の誤差となっており 階調特性精度が向上していることが分かる また 図 7 を見ると 理想値と実測値との差が全体的に小さくなり その差を表す E が 0.5 以下のパッチの割合が 86.2% から 91.5% に増加しており 精度が向上していることが分かる このように 温度センシング機能の利用による階調特性の安定により 加法混色特性が向上し 結果としてモニターの色再現性が向上する これにより より正確なカラーマネージメント環境をモニターにて構築することができる EIZO monitor 1 温度センシング機能非搭載 温度センシング機能非搭載 Gamma 2.2 ±5% Gamma 2.2 ±5% 図 6-1: 温度センシング機能の有無による階調特性の違い (EIZO monitor 1) Technical Overview (QNNZ-103005B) 5/11

EIZO monitor 2 温度センシング機能非搭載 温度センシング機能非搭載 Gamma 2.2 ±5% Gamma 2.2 ±5% 図 6-2: 温度センシング機能の有無による階調特性の違い (EIZO monitor 2) Technical Overview (QNNZ-103005B) 6/11

温度センシング機能非搭載 Temp 15[C] / Brightness 80[cd/m2] Temp 25[C] / Brightness 160[cd/m2] Temp 35[C] / Brightness Max Color mixture Temp 15[C] / Brightness 80[cd/m2] Temp 25[C] / Brightness 160[cd/m2] Temp 35[C] / Brightness Max Color mixture Patch number : 729 図 7-1: 温度センシング機能の有無による色再現性の違い (EIZO monitor 1) Technical Overview (QNNZ-103005B) 7/11

温度センシング機能非搭載 Temp 15[C] / Brightness 80[cd/m2] Temp 25[C] / Brightness 160[cd/m2] Temp 35[C] / Brightness Max Color mixture Temp 15[C] / Brightness 80[cd/m2] Temp 25[C] / Brightness 160[cd/m2] Temp 35[C] / Brightness Max Color mixture Patch number : 729 図 7-2: 温度センシング機能の有無による色再現性の違い (EIZO monitor 2) Technical Overview (QNNZ-103005B) 8/11

< 温度センシング機能の有無による 理論値と実測値の差 > モニター 1 モニター 2 平均 ( E) 最大 ( E) 平均 ( E) 最大 ( E) 温度センシング機能非搭載 0.86 5.47 0.34 1.39 0.33 1.79 0.28 1.32 非搭載と搭載の差 0.53 3.68 0.06 0.07 4-3. 輝度ドリフト補正機能による補正輝度ドリフト補正機能は 当社のほぼ全てのモニターに搭載されている機能であるが ColorEdge CG245W ではモニターの電源 ON から 10 分後までの輝度が更に安定するように工夫している 従来は輝度が安定した時の特性を前提条件に補正を行っていたが CG245W では輝度が安定する前の特性 ( 変移時 ) の補正も行っている このように 補正値を適切に変化させることによって 図 8 のグラフのように 電源 ON 直後から起動後 10 分までの輝度の安定が格段に早くなっている 図 8: 輝度ドリフト補正機能の有無による輝度安定時間の違い Technical Overview (QNNZ-103005B) 9/11

4-4. 輝度ドリフト補正機能の有効性図 9 のグラフは 従来の輝度ドリフト補正機能と 改善された輝度ドリフト補正機能を比較したものである これを見ると 従来の輝度ドリフト補正では安定までに 20~30 分ほど時間がかかっていたが 改善された輝度ドリフト補正を搭載したモニターでは 10 分ほどで輝度が安定していることが分かる このように 輝度ドリフト補正機能の利用による輝度の安定により モニターの電源 ON 直後からの色再現が向上する これにより これまではキャリブレーションを行うまでに 30 分ほどエージングする必要があったが 今回 10 分程度のエージングでキャリブレーションが可能となるため 正確なカラーマネージメント環境を構築するための作業効率をアップさせることができる 従来の輝度ドリフト補正機能では20~30 分後よりキャリブレーション可能 改善された輝度ドリフト補正機能では約 10 分後より キャリブレーション可能 図 9: 輝度ドリフト補正機能の有無による輝度安定時間の違い Technical Overview (QNNZ-103005B) 10/11

5. まとめ以上の話をまとめると以下のようになる 1 グラフィックス市場が求める正確な色表示にはモニターの表示特性の安定性が重要である 2 実際には液晶モニターは環境温度によって階調特性や輝度 色度が変化している それらが不安定だと色を正確に表示させることが難しい 3 液晶モニターは電源 ON 直後から輝度が安定するまでに時間がかかる 輝度が安定するまでは正確な色表示やキャリブレーションの実行が難しい 4 環境温度の変化による階調特性や輝度 色度を安定させるには 温度センシング機能での補正が効果的である 5 モニターの電源 ON 直後の輝度を安定させるには 輝度ドリフト補正機能での補正が効果的である 以上 温度センシング機能と輝度ドリフと補正機能を搭載した表示特性が安定したモニターを選ぶことが グラフィックス市場が求める正確なカラーマネージメント環境を提供することになると考える 記載されている会社名および商品名は 各社の商標または登録商標です Copyright C 2010 株式会社ナナオ All rights reserved. Technical Overview (QNNZ-103005B) 11/11