表 3 衛研番号 複数のウイルスが検出された検体 検出ウイルス採取月日診断名年齢性別住所咽頭糞便 Polio 1 Polio 2 H 腸重積 11 ヶ月女福島市 Adeno 2 Noro virus GⅡ H 急性腸

Similar documents
案1 SIDMR

<4D F736F F D E9197BF815B A8AB490F58FC B C982A882AF82E B835895AA97A E A2E646F63>

6/10~6/16 今週前週今週前週 インフルエンザ 2 10 ヘルパンギーナ RS ウイルス感染症 1 0 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 8 10 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目 )

Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス

今週前週今週前週 2/18~2/24 インフルエンザ ヘルパンギーナ 4 4 RS ウイルス感染症 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 7 4 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目

SIDMR_18-10

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

pdf0_1ページ目

熊本県感染症情報 ( 第 31 週 ) 県内 170 観測医の患者数 (7 月 28 日 ~8 月 3 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 0 1 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 7 0 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

Ⅰ 滋賀県感染症発生動向調査事業の概要

熊本県感染症情報 ( 第 14 週 ) 県内 165 観測医の患者数 (4 月 4 日 ~4 月 10 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 10 8 ヘルパンギーナ 6 5 咽頭結膜熱 A 群溶血性連鎖球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

1 月号は以下の情報を掲載しています 1. 茨城県感染症発生動向調査事業に基づく試験検査 検出状況 1) 全数把握疾患 2) 病原体定点依頼検査その他の検査 3) 集団 ( 施設や学校等 ) 事例 月別検出件数 1) 三類 四類 五類 ( 全数把握 ) 2) 五類 ( 定点 ) その他の検査 3)

outline-h28-ar

4検査情報.indd

Microsoft Word - H24年報表紙・目次・合紙

Microsoft Word - WIDR201839

鹿児島県感染症発生動向調査事業 ( 内容に関するお問い合わせ : 健康増進課感染症保健係 ) 感染症のホームページアドレス 第 20 週の手足口病の定点当た

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

Ⅰ 滋賀県感染症発生動向調査事業の概要

定点報告疾患 ( 定点当たり報告数の上位 3 疾患の発生状況 ) (1) インフルエンザ 第 51 週のインフルエンザの報告数は 1025 人で, 前週より 633 人多く, 定点当たりの報告数は であった 年齢別では,10~14 歳 (240 人 ),7 歳 (94 人 ),8 歳 (

Microsoft Word - WIDR201826

10/3~10/9 今週前週今週前週 インフルエンザ 7 1 百日咳 1 0 RS ウイルス感染症 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 急性出

熊本県感染症情報 ( 第 50 週 ) 報告期間 インフルエンザ 水 痘 突発性発しん ヘルパンギーナ マイコプラズマ肺炎 クラミジア肺炎 ( ロタウイルス ) 第 43 週第 44 週第 45 週第 46 週第 47 週第 48 週第 49 週第 50 週第 47 週第 48 週第 49 週 7

2表05-10.xls

鹿児島県感染症発生動向調査事業 感染症のホームページアドレス 咽頭結膜熱の報告数は, 前週と同数の 59 人 ( 定点当たり 報告数 1.09) でした 保

1

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

Microsoft Word - 【H29-5F】報文 修正版4

A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 第 50 週の報告数は 前週より 39 人減少して 132 人となり 定点当たりの報告数は 3.00 でした 地区別にみると 壱岐地区 上五島地区以外から報告があがっており 県南地区 (8.20) 佐世保地区 (4.67) 県央地区 (4.67) の定点当たり報告数は

疾患名 平均発生規模 ( 単位 ; 人 / 定点 ) 全国 県内 前期 今期 増減 前期 今期 増減 県内の今後の発生予測 (5 月 ~6 月 ) 発生予測記号 感染性胃腸炎 水痘

事務連絡 令和元年 6 月 21 日 ( 公社 ) 岡山県医師会 ( 一社 ) 岡山県病院協会 御中 岡山県保健福祉部健康推進課 手足口病に関する注意喚起について このことについて 厚生労働省健康局結核感染症課から別添のとおり事務連絡が ありましたので 御了知いただくとともに 貴会員への周知をお願い

された マイコプラズマ肺炎は 1 月に 2 件の送付のみであった 細菌性胃腸炎は 4 月 4 検体をピークとし 2 月から 5 月の検体送付数が細菌性胃腸炎全体の 71.4% を占めた 細菌性髄膜炎は 8 月 4 検体をピークとして 送付された ウイルス関係ではウイルス性胃腸炎の検体が4 5 月に

syuho_43.xls

43w.xdw


顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

Taro-N1.jtd

48小児感染_一般演題リスト160909

埼衛研所報第 52 号 2018 年 埼玉県におけるエンテロウイルス検出状況について ( 年度 ) 中川佳子篠原美千代富岡恭子鈴木典子峯岸俊貴小川泰卓青沼えり内田和江岸本剛 Enterovirus Isolated in Saitama Prefecture(April 2016-

19w.xdw

31w.xdw

別記様式 7-2 感染症発生動向調査 ( インフルエンザ定点 ) 調査期間平成年月日 月日医療機関名 : 性別 歳 歳以上 合計 ( 注 ) *

12w.xdw

2019 年 7 月 4 日 ( 木 ) 愛知県保健医療局健康医務部健康対策課感染症グループ担当内田 久野内線 ダイヤルイン 手足口病警報を発令します!! 愛知県では 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 に基づき 県内の小児科を標榜する

Microsoft Word - p docx

untitled

神戸市感染症発生動向調査週報 1 年 月 11 日作成 全数把握対象感染症発生状況 ( 三類感染症細菌性赤痢 ) 女 5 代 - 1 年 月 5 日 1 年 月 日 sonnei(d 群 ) 分離 同定による病原体の検出 ( 便 ) なし 接触感染 第 13 週報告患者の家族 全数把握対象感染症発生

インフルエンサ 及び小児感染症の疾病別推移グラフ 平成 年 京都市 _ 本年 全国 _ 本年 京都市 _ 過去 5 年平均値 全国 _ 過去 5 年平均値 6 インフルエンザ 8 手足口病 RS ウイルス感染症

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

13w.xdw

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

報告は 523 人 (14. 5) で前週比 9 と減少した 例年同時期の定点あたり平均値 * (16. ) の約 9 割である 日南 (37. 3) 小林(26. 3) 保健所からの報告が多く 年齢別では 1 歳から 4 歳が全体 の約 4 割を占めた 発生状況 ( 宮崎県 ) 定

表紙

感染症情報22週(週報)

Weekly Report on Aomori Prefecture Infectious Disease 青森県感染症発生情報 (2019 年第 3 週 ) 発行青森県感染症情報センター (2019 年 1 月 24 日 ) ( 青森県環境保健センター : 担当微生物部 ) TEL

表 1. 疾病別の被検者数及び検体件数内訳 疾病名インフルエンザ様疾患麻しん風しんデング熱ジカ熱日本脳炎 SFTS リケッチア感染症無菌性髄膜炎手足口病ヘルパンギーナ発疹症感染性胃腸炎流行性角結膜炎その他計 被検者数 ( 人 ) 検体数 ( 件 ) 咽頭拭い液鼻腔拭い液糞便髄液血液血清尿その他 19

Microsoft Word - 感染症週報第48週

東京都インフルエンザ情報 第20巻 第20号

Bull. Nagano Environ. Conserv. Res. Inst. No.8(2012) 3. 結果および考察 3.1 長野県における手足口病患者およびヘルパンギーナ患者からのエンテロウイルス検出状況 手足口病患者およびヘルパンギーナ患者 67 検体のうち, が 45 株 (67 %

42w.xdw

別記様式 7-2 感染症発生動向調査 ( インフルエンザ定点 ) 調査期間平成年月日 月日医療機関名 : 性別 0-5 ヶ月 6-11 ヶ月 1 歳 歳以上 合計 (

大阪府の市街地における蚊の調査について

検査項目情報 インフルエンザウイルスB 型抗体 [HI] influenza virus type B, viral antibodies 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F410 分析物 インフルエン

平成 25 年 8 月号目次 トピックス 横浜市における 2012/2013 シーズンのインフルエンザウイルス流行株の解析 1 平成 24 年度薬事検査について 5 感染症発生動向調査 感染症発生動向調査委員会報告平成 25 年 7 月 6 情報提供 衛生研究所 WEB ページ情報 ( 平成 25

syuho_51.xls

図 年岡山県における手足口病発生状況 図 2 保健所別患者発生状況 2.2 方法患者発生状況は, 毎週の患者報告数から1 定点医療機関あたりの患者数 ( 定点あたり患者数 ) を算出し, 保健所別, 年齢群別に比較解析した 流行開始時期の判定は, インフルエンザで用いられる定点あたり患

3.2013/14シーズンのインフルエンザアップデート(12/25現在)

インフルエンサ 及び小児感染症の疾病別推移グラフ 平成 年 京都市 _ 本年 全国 _ 本年 京都市 _ 過去 5 年平均値 全国 _ 過去 5 年平均値 6 インフルエンザ 8 手足口病 RS ウイルス感染症.6 伝染性紅斑 りんご病

Microsoft Word - 案1 week14-21

東京都感染症発生動向調査事業実施要綱

25w.xdw

クチ ワ ン で安心 予防接種は集団生活前に子育て応援券を有効活用 感染症発生動向速報 ( 平成 31 年第 10 週分 3 月 4 日 ~3 月 10 日 ) インフォメーション 予防接種をご確認くださいこの春から保育所 幼稚園に通い始めるお子さんも多いと思います 一般に乳幼児は感染症に対する抵抗


本文.indd

インフルエンサ 及び小児感染症の疾病別推移グラフ 平成 9 年 京都市 _ 本年 全国 _ 本年 京都市 _ 過去 5 年平均値 全国 _ 過去 5 年平均値 5 インフルエンザ 手足口病 RS ウイルス感染症.6 伝染性紅斑 りんご病

(Microsoft Word \212\264\220\365\217\307\217T\225\361.doc)

1-1まとめ.indd

流行の推移と発生状況疾病名 推移 発生状況 疾病名 推移 発生状況 インフルエンザ RSウイルス感染症 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 水痘 手足口病 伝染性紅斑 突発性発疹 百日咳 ヘルパンギーナ 流行性耳下腺炎 急性出血性結膜炎 流行性角結膜炎 細菌性髄膜炎 無菌性髄膜炎

syuho_49.xls

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日


Microsoft Word - 感染症週報


<< インフルエンザ >> 区別 別報告定点当り 2. 平成 3 年 月 29 日 ~ 3 月 4 日 [ 平成 3 年 ~ ] 鶴見神奈川 西 中 南 港南保土ケ谷 旭 磯子金沢港北 緑 青葉都筑戸塚 栄 泉 瀬谷 定点数

Infectious Diseases Weekly Report FUKUSHIMA IDWR 2017 年 第 35 週 (8 月 28 日 ~9 月 3 日 ) 福島県感染症発生動向調査週報 福島県感染症情報センター ( 福島県衛生研究所 ) 福島市方木田字水戸内 16 番

1-1まとめ.indd

記号の説明 前からの推移 : 倍以上の減少.~ 倍未満の減少. 未満の増減.~ 倍未満の増加 倍以上の増加 流行状況 : 空白発生なし 僅か 少し やや多い 多い 非常に多い 定点当り患者数について 過去 年間の標準偏差値に感染症の種類毎に係数を乗じた値を 等分し 流行状況の目安として 段階で表示し

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

syuho_3.xls

48w.-3doc.xdw

<< インフルエンザ >> 区別 別報告定点当り. 平成 3 年 2 月 5 日 ~ 3 月 日 [ 平成 3 年 ~ ] 鶴見神奈川 西 中 南 港南保土ケ谷 旭 磯子金沢港北 緑 青葉都筑戸塚 栄 泉 瀬谷 定点数

33w.xdw

11w.xdw

高知県感染症発生動向調査 ( 週報 ) 2015 年第 40 週 (9 月 28 日 ~10 月 4 日 ) お知らせ 手足口病に気を付けて! 定点医療機関からの報告数は第 39 週の 3.03 から第 40 週は 2.63 とほぼ横ばいです 高知市 中央東 中央西では注意報値を超え 高知県全域でも

第51回日本小児感染症学会総会・学術集会 採択結果演題一覧

Transcription:

2006 年感染症発生動向調査事業報告 ( ウイルス ) * 金成篤子菱沼郁美広瀬昌子水澤丈子三川正秀大竹俊秀 * 微生物グループ試験検査グループ はじめに 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 に基づき, 県内の感染症発生の治療, 予防に役立つ情報の提供を目的として, 毎年対象病原体について感染症動向調査を行っている. 本報では 2006 年のウイルス検索結果について報告する. 材料 2006 年 1 月から 12 月までの間に, 県内の基幹定点 7 機関, インフルエンザ定点 8 機関, 小児科定点 5 機関, 眼科定点 1 機関より採取された 1,302 症例由来の咽頭拭い液, 糞便, 髄液, 眼瞼拭い液等, 計 1,506 件を検体とした. 方法 RD-18S,HEp-2,Vero,LLCMK2,MDCK, B95a の 6 種類の細胞を用いてウイルス分離を実施した. 検体が糞便の場合には, ラテックス凝集反応によるアデノ ロタウイルス, さらに 2006 年は RT-PCR 法によるノロウイルスの検出も併せて行った. 分離ウイルスの同定には, 抗血清を用いた中和試験を基本とし, 補助的にダイレクトシークエンス法を行った. また, インフルエンザやパラインフルエンザなどのミクソ系ウイルスについては, 赤血球凝集抑制試験と赤血球吸着試験, 単純ヘルペスウイルスには蛍 光抗体法を用いた. 結果及び考察 1 保健所別受付検体症例数各保健所の月別の受付検体症例数を表 1 に示した.2006 年は,2005 年に比較して県南が 2 倍以上であったのに対し, 県北が約半数に減少した 1). また例年同様, 相双と郡山からの検体が多く, 県中, 会津方面からの検体は少なかった. 2 検体の種類別検出状況検体 1,506 件の内,443 症例 457 件の検体から 464 株のウイルスが検出された. 検出された検体の種類別の内訳は, 咽頭拭い液 339 件 (74.2 %), 糞便 110 件 (24.1 %), 髄液 5 件 (1.1 %), 眼瞼 1 件 (0.2 %), その他 2 件 (0.4 %) であった. 検査種類別検出率は, 咽頭拭い液が 31.9 % で 2005 年より低かったが, 糞便と髄液ではそれぞれ 33.1 % と 6.0 % と 2005 年の倍近くであった 1) ( 表 2). 表 2 検査種類別受付件数 検出件数咽頭糞便髄液眼瞼その他計受付件数 1,064 332 84 17 9 1,506 検出件数 339 110 5 1 2 457 検出率 (%) 31.9 33.1 6.0 5.9 22.2 30.3 表 1 採取月別地区別受付検体症例数 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月計 県北 28 16 8 7 3 3 14 8 7 7 8 6 115 県中 10 1 11 県南 12 10 9 15 29 21 21 18 17 15 27 16 210 会津 2 2 1 2 2 2 1 12 南会津 1 8 3 1 5 2 1 21 相双 82 53 20 23 28 43 22 20 35 33 46 70 475 郡山市 60 25 25 29 18 24 34 11 20 26 27 46 345 いわき市 26 6 13 11 10 6 13 6 9 7 6 113 計 221 121 62 87 92 103 104 74 87 91 115 145 1,302-63 -

表 3 衛研番号 25 366 594 704 1266 1183 113 複数のウイルスが検出された検体 検出ウイルス採取月日診断名年齢性別住所咽頭糞便 Polio 1 Polio 2 H18.1.2 腸重積 11 ヶ月女福島市 Adeno 2 Noro virus GⅡ H18.2.10 急性腸炎 1 歳男白河市 Polio 1 Polio 2 Influenza B CoxA 9 Adeno dry(+) CoxB 2 H18.4.14 感染性胃腸炎 H18.6.2 急性扁桃炎 2 歳女 6 ヶ月男いわき市 会津若松市 H18.11.13 急性胃腸炎 2 歳男郡山市 Adeno dry(+) Noro virus GⅡ H18.11.16 急性胃腸炎 10 ヶ月男福島市 Rotadry(+) Noro virus GⅡ H18.12.4 急性胃腸炎 10 歳女郡山市 : 複数ウイルス検出 :1 つのウイルス検出 : ウイルス検出無し 表 4 複数検体からウイルスが検出された症例 衛研番号 検出ウイルス採取月日 診断名 年齢性別住所咽頭糞便髄液 236 Adeno 1 H18.1.28 上気道炎 9ヶ月男相馬市 366 Adeno 2 Noro virus GⅡ H18.2.10 急性腸炎 1 歳男白河市 878 CoxB 4 H18.7.20 髄膜炎 0 ヶ月男郡山市 936 Echo 30 H18.8.21 髄膜炎疑い 11 歳男泉崎村 1018 CoxA 16 H18.9.5 扁桃炎口内炎 : 複数ウイルス検出 :1 つのウイルス検出 8 ヶ月男相馬市 1021 CoxA 16 H18.9.7 手足口病 1 歳女相馬市 1027 CoxA 16 H18.9.11 手足口病 1 歳男相馬市 1032 CoxB 2 H18.9.18 1026 Echo 5 H18.9.9 1139 Entero 71 H18.11.2 1223 Entero 71 H18.11.15 咽頭炎熱性けいれん 2 歳男浪江町 肺炎ヘルハ ンキ ーナマイコフ ラス マ感染 扁桃炎手足口病 手足口病下痢 1 歳男相馬市 8 歳男相馬市 3 歳男相馬市 23 Entero 71 H18.12.5 手足口病 3 歳男相馬市 1 つの検体から 2 種類のウイルスが検出されたものは 7 件あった ( 表 3). インフルエンザ B 型とコクサッキーウイルス A9 型が検出された上気道炎の患児の咽頭拭い液 1 検体以外は, 胃腸炎患児の糞便からの検出 であった. 1 つの症例で異なった検体からウイルスが検出されたのは,12 例あった ( 表 4). 髄膜炎 ( 疑い )2 症例の内 1 症例では, 咽頭拭い液と糞便, 髄液, 他の 1 症例は咽頭拭い液 - 64 -

と髄液から検出され, それら以外は咽頭拭い液と糞便からであった. 急性腸炎の 1 症例で糞便からアデノウイルス 2 型とノロウイルス G Ⅱ 型が検出された以外は, 全て同一ウイルスが検出同定された. 3 月別検出状況月別ウイルス検出状況を表 5 に示した. 搬入検体は,1 月の 221 症例 246 件を最高に 1 ヶ月平均 109 症例 126 件であった. ウイルス検出は, インフルエンザウイルスが多く検出された 1 月が最も多く,120 症例 ( 検出率 54.3 %),122 株 ( 検出率 49.6 %) であった ( 図 1). 9 月は, エンテロウイルスが多く検出されたため検出率が高くなった. ( 例 ) 250 200 150 100 50 0 図 1 受付症例数検出症例数検出率 1 月 4 月 7 月 10 月 (%) 60 50 40 30 20 10 月別受付検体 ウイルス検出症例数 0 ( 例 ) 100 80 60 40 20 0 2005 年 11 月 2006 年 2 月 5 月 図 2 A (H1) (52) A (H3) (165) B (26) C (1) インフルエンザウイルスの検出状況 株検出された. 検出数は, インフルエンザウイルス全体で過去 5 年間で 2003/2004 シーズンに次いで少なく 2-5), 規模の小さい流行であった. また, 今シーズンも 3 種類の混合流行であったが, 前年シーズンが B 型と A (H3) 型の 2 つの型を中心としたものであった 5) のに対し,A(H3) 型を中心とした流行であった. また,2006 年は,C 型が 5 月 8 日採取の咽頭拭い液から検出され, 患者は相双地区の 7 ヶ月の扁桃炎の男児であった. アデノウイルスは, 全体で,76 症例 78 株検出された. 内訳を図 3 に示した.2006 年最も検出株数が多かったのは 2005 年同様アデノ 2 型で, 31 症例 32 株, 年間を通して 4 ウイルス別検出状況最も検出数の多いインフルエンザウイルスについて,2005/2006 シーズンの最初の検出は,11 月 21 日採取の検体からの A(H3) 型であった. 患者は県北地区の 5 歳男児であった. その後 A(H3) 型は,11 月に 5 株,12 月に 40 株検出された後,1 月の 90 株をピークとして 4 月まで 166 株検出された ( 図 2). また,A(H1) 型は,1 月に入ってからの検出であり,4 月まで 52 株検出された. 一方 B 型は,3 月に最初の 1 株の検出があり, その後 5 月の 14 株をピークとして,6 月まで 26 6 型 1% 3 型 18% 5 型 17% 2 型 42% 1 型 17% Adeno dry (+) 5% 図 3 検出アデノウイルス内訳 (76 症例 ) - 65 -

表 5 月別ウイルス検出状況 上段 : 症例数, 下段 : 株数 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月計 Adeno virus 1 3 1 1 5 2 1 13 (4) (1) (1) (5) (2) (1) (14) Adeno virus 2 1 2 2 2 3 6 4 1 1 4 2 3 31 (1) (3) (2) (2) (3) (6) (4) (1) (1) (4) (2) (3) (32) Adeno virus 3 1 3 1 2 3 4 14 (1) (3) (1) (2) (3) (4) (14) Adeno virus 5 3 1 2 3 3 1 13 (3) (1) (2) (3) (3) (1) (13) 1 1 Adeno virus 6 (1) (1) Cox virus A4 1 1 2 (1) (1) (2) Cox virus A9 1 3 1 5 (1) (3) (1) (5) Cox virus A10 1 1 (1) (1) Cox virus A16 1 1 7 6 1 4 20 (1) (1) (7) (9) (1) (4) (23) Cox virus B2 1 1 5 3 1 11 (1) (1) (6) (3) (1) (12) Cox virus B4 2 2 (4) (4) Echo virus 5 1 8 1 10 (1) (9) (1) (11) Echo virus 18 2 2 1 5 (2) (2) (1) (5) Echo virus 30 3 1 3 7 (3) (2) (3) (8) Entero virus 1 2 2 3 1 9 71 (1) (2) (2) (5) (2) (12) Polio virus 1 1 1 1 1 5 (2) (2) (1) (1) (1) (7) Influenza 19 18 11 4 52 virus A (H1) (19) (18) (11) (4) (52) Influenza 90 20 4 5 2 121 virus A (H3) (90) (20) (4) (5) (2) (121) Influenza 1 9 14 2 26 virus B (1) (9) (14) (2) (26) Influenza 1 1 virus C (1) (1) Parecho virus 1 1 1 (1) (1) Parecho virus 1 3 2 1 7 3 (1) (3) 2 (1) (7) Mumpus virus 1 2 1 1 5 (1) (2) (1) (1) (5) Herpes 1 1 1 1 1 1 6 simplex virus (1) (1) (1) (1) (1) (1) (6) Reo virus 3 Noro virus GⅡ Rota dry (+) Adeno dry (+) 1 1 (1) (1) 10 3 9# 52 74 (10) (3) (9) (53) (75) 1 1 (1) (1) 1 3 # 4 (1) (3) (4) 検出症例数 120 49 22 27 24 19 19 14 29 21 34 65 443 ( 株数 ) (122) (51) (22) (28) (24) (20) (21) (15) (34) (21) (38) (68) (464) 症例数 221 121 62 87 92 103 104 74 87 91 115 145 1,302 ( 検体数 ) (246) (140) (66) (96) (103) (120) (116) (85) (115) (111) (138) (170) (1506) 検出率 (%) 54.3 40.5 35.5 31.0 26.1 18.4 18.3 18.9 33.3 23.1 29.6 44.8 34.0 (49.6) (36.4) (33.3) (29.2) (23.3) (16.7) (18.1) (17.6) (29.6) (18.9) (27.5) (40.0) (30.8) 及び #: 同一症例 - 66 -

表 6 診断名別検出ウイルスおよび検出率 上気道炎 下気道炎 インフルエンサ 胃腸炎 髄膜炎 手足口病 口内炎 発疹症 ヘルハ ンキ ーナ 熱性痙攣 結膜炎等 Adeno virus 1 7 4 1 1 13 Adeno virus 2 19 6 3 1 2 31 Adeno virus 3 11 1 2 14 Adeno virus 5 7 3 1 1 1 13 Adeno virus 6 1 1 Cox virus A4 1 1 2 Cox virus A9 3 1 1 5 Cox virus A10 1 1 Cox virus A16 2 18 20 Cox virus B2 6 1# 1 1 1 1 11 Cox virus B4 1 1 2 Echo virus 5 4 2 2 1 1 10 Echo virus 18 2 3 5 Echo virus 30 1 4 1 1 7 Entero virus 71 1 1 7 9 Polio virus 1 3 1 5 Influenza virus A (H1) 1 51 52 Influenza virus A (H3) 5 4 111 1 121 Influenza virus B 4 1 21 26 Influenza virus C 1 1 Parecho virus 1 1 1 Parecho virus 3 1 2 1 1 2 7 Mumps virus 1 1 2 1 5 Herpes simplex virus 1 その他 2 4 6 Reo virus 3 1 1 Noro virus GⅡ 74 * 74 Rota dry (+) 1 1 Adeno dry (+) 4#* 4 検出症例数 80 25 183 94 5 25 4 7 5 8 3 4 443 (%) (18.1) (5.6) (41.3) (21.2) (1.1) (5.6) (0.9) (1.6) (1.1) (1.8) (0.7) (0.9) (100) 受付検体症例数 332 175 231 213 28 39 15 47 55 63 26 78 1,302 (%) (25.5) (13.4) (17.7) (16.4) (2.2) (3.0) (1.2) (3.6) (4.2) (4.8) (2.0) (6.0) (100) 検出率 (%) 24.1 14.3 79.2 44.1 17.9 64.1 26.7 14.9 9.1 12.7 11.5 5.1 34.0 ( 胃腸炎については #* についても ): 同一症例 計 - 67 -

検出された. 診断名は, 上気道炎がほとんどであった ( 表 6). アデノ 1 型,3 型,5 型は, いずれも 13 ~ 14 株検出された.6 型が 11 月に県南で急性鼻咽頭炎の 1 歳男児の咽頭拭い液から検出された. エンテロウイルスは, 全体で 77 症例 90 株の検出で過去 5 年間で最も少なかった 1,6-8).2006 年は, 手足口病や髄膜炎などの流行が小さかったためと思われる 9). 最も多く検出されたのは,2005 年に引き続きコクサッキーウイルス A16 型で,20 症例 23 株と全体の 27 % を占めた ( 図 4).2005 年多く検出されたエコーウイルス 16 型の検出はなかった 1). Echo 30 9% Echo 18 6% Cox B4 3% Entero 71 12% Echo 5 13% Cox B2 14% Polio 6% Cox A4 3% Cox A16 27% Cox A9 6% Cox A10 1% 図 4 検出エンテロウイルス内訳 (77 症例 ) コクサッキーウイルス A16 型は,1 月に 1 株検出され, その後 7 月 ~ 11 月の手足口病の流行時期に合計 22 株検出された. 上気道炎の患児 2 名 ( 内 1 名は口内炎を伴う ) 以外は, 全て手足口病の患児からの検出であった. また, コクサッキーウイルス A16 型と並んで手足口病の主要原因ウイルスであるエンテロウイルス 71 型は, コクサッキーウイルス A16 型より 1 ヶ月遅れて流行が始まり,8 月 ~ 12 月に合計 9 症例から 12 株検出された. その他のコクサッキー A 群ウイルスは,4 型,9 型,10 型が検出された.4 型は, 全国的には 2006 年最も多く検出されたエンテロウイルスの 1 つであったが 10), 本県では 6 月と 7 月の 2 株の検出にとどまった. 臨床診断名は, ヘルパンギーナと無熱性けいれんであ った.9 型は,6 月,10 月,11 月に上気道炎, 胃腸炎, 発疹症の患児から検出された. コクサッキー B 群ウイルスは,2 型と 4 型の 2 種類のみで,2005 年多く検出された 3 型は検出がなかった.2006 年は,2 型が 11 症例 12 株で最も多く検出された 1). これは, 全国と同じ状況であった 10). 検出時期は,9 月をピークとして 6 月から 11 月までであった. 臨床症状としては上気道炎が多かったが, 胃腸炎や熱性痙攣, ヘルパンギーナ, 発疹症などの患児からの検出もあった.4 型は,7 月に髄膜炎の生後 1 ヶ月未満の患児の咽頭拭い液と糞便, 髄液の 3 種類の検体から検出された. エコーウイルスは,5 型,18 型,30 型の 3 種類が検出された.5 型は本県において 1992 年以来の検出であったが 11),10 症例 11 株と最も多く検出された. 県北と相双地区の上気道炎や胃腸炎の患児からの検出が多かったが,9 月に相双地区の 16 歳の髄膜炎患者の髄液から検出された.18 型は, 全国的にはエンテロウイルスの中で 2006 年最も多く検出されたウイルスであったが 10,12), 本県においては,5 症例と少なかった.7 月,8 月に会津地区の上気道炎と発疹症の 1 歳以下の患児 4 名,9 月に県南の上気道炎の患児 1 名から検出された.30 型は,7 月と 12 月に浜通り地区の胃腸炎患児 4 名とヘルパンギーナ患児及び下気道炎患児各 1 名から検出され,8 月には県南地区の髄膜炎の 11 歳患児の咽頭拭い液と髄液から検出された. ポリオウイルスは, 春と秋の定期集団予防接種後の時期を中心に乳児 5 症例から 7 株が検出された. これらは全てワクチン接種後の検出で, ワクチン由来株であると思われる. その他のウイルスについて,2006 年は, パレコウイルスが 1 型 1 株と 3 型 7 株の合計 8 株検出された.9 ~ 12 月の 0 ~ 2 歳児の咽頭拭い液 3 件と糞便 5 件からの検出であった. 臨床症状は,38.5 以上の発熱を伴ったものが 5 名で, 上気道炎 3 名, 胃腸炎 3 名, 発疹を伴ったものが 1 名などであった. 麻疹ウイルスは,2006 年は患者報告が 1-68 -

名もなく 9), 検出もなかった. 一方ムンプスウイルスは,2005 年に引き続き流行があったため 9),5 症例から検出された. この内 2 症例は髄膜炎を発症した. 単純ヘルペスウイルスは 1 型が,6 株検出された. ロタウイルスは,2 月と 8 月を除いて搬入のあった生便検体合計 92 件について検査を行ったが, 検出は 12 月の検体 1 件のみであった. 患者は郡山市の胃腸炎症状の 10 歳児であった. また,2006 年は年間を通して,RT-PCR 法によるノロウイルスの検査を行った. 検査は, 糞便 90 件とノロウイルス感染が疑われる症例の直腸拭い液 120 件の合計 210 件について実施した. その結果,2 月 10 件,3 月 3 件,11 月 9 件,12 月 53 件, 合計 75 件からノロウイルス G Ⅱ 型が確認された. 感染性胃腸炎は, 例年 11 月から 12 月にかけて流行のピークがある.2006 年は特にこの時期全国的にも大流行があり, 検体も多く搬入された. その生便検体のほとんどから検出された結果となった. ノロウイルスは冬期間における感染性胃腸炎の主要原因ウイルスであると言われている 13). 本県においても同様であることが今回の検査結果から確認できた. 今まで当所ではノロウイルスなどの細胞分離ができないウイルスについて本事業では検査を行っていなかったが,2006 年の検査結果から今後も実施していく必要があると考える. 5 診断名別検出状況 2006 年受付検体症例数が最も多かったのは, 上気道炎の検体で,332 症例あり, 内 80 症例からウイルスが検出された ( 検出率 24.1 %). 内訳は, アデノウイルス, コクサッキー A 群及び B 群ウイルス, エコーウイルス, インフルエンザウイルス, ムンプスウイルス, 単純ヘルペスウイルスと多岐に渡った. その中でも 2006 年はアデノウイルスの検出が多く,2 型 19 症例,3 型 11 症例など合わせて 45 症例と 56 % を占めた. インフルエンザは, 流行規模が小さかったため搬入検体数も 231 症例と例年より少なかった. 内 183 症例からウイルスが検出 され ( 検出率 79.2 %), 全てインフルエンザウイルスであった. 3 番目に受付検体症例数が多かった胃腸炎の検体からは,213 症例中 94 症例でウイルスが検出された ( 検出率 44.1 %). 内訳は, ノロウイルス, ロタウイルス, エコーウイルス, ポリオウイルス, アデノウイルス, コクサッキー A 群及び B 群ウイルスと様々であった. その中で最も多かったのは, ノロウイルスで 74 症例で 78.7 % を占めた. 2006 年は年間を通じてノロウイルスの検査を行ったためであるが, 結果として, 胃腸炎症例全体の検出率も,2005 年,2004 年の 2 倍以上になった 1,8). 下気道炎の検体からは,175 症例中 25 症例からウイルスが検出された ( 検出率 14.3 %). 内訳は, アデノウイルス 2 型 6 症例 (24.0 %), アデノウイルス 1 型とインフルエンザウイルス A(H3) 型が共に 4 症例 (16.0 %) 等であった. 手足口病について, 患者報告が前年の約半数と過去 5 年間で最も少なかったこともあり 14,15), 搬入検体数も 39 症例と少なかった. 内 25 症例からウイルスが検出され, 検出率は 64.1 % と高率であった.2006 年は, 2005 年同様コクサッキーウイルス A16 型が主流で 1),18 症例 (72.0 %)20 株検出された. また,2005 年検出が無かったエンテロウイルス 71 型が 7 症例 (28.0 %)10 株の検出された. 全国的には 2005 年主流だったコクサッキーウイルス A16 型が減少し, エンテロウイルス 71 型が半数を占め主流であった 16). このことから, 本県においても今後エンテロウイルス 71 型に移行していくのではないかと思われる. 髄膜炎は,2006 年も流行がほとんど無く 9), 受付検体も 28 症例と少なかった. 検出は 5 症例 ( 検出率 17.9 %) で, ムンプスウイルスが 2 症例, コクサッキーウイルス B4 型とエコーウイルス 5 型, エコーウイルス 30 型が各 1 症例検出されたのみであった. ヘルパンギーナについては, 受付検体 55 症例中 5 症例からウイルスが検出された ( 検出率 9.1 %). 検出ウイルスは, アデノウイ - 69 -

ルス 5 型, コクサッキーウイルス A4 型, コクサッキーウイルス B2 型, エコーウイルス 5 型と 30 型が各 1 症例であった. 流行性角結膜炎は, 春から夏の流行期を中心に眼科定点から 16 症例の検体の搬入があったが,4 月に県北地区の 40 歳の患者の眼瞼拭い液からアデノウイルス 3 型が 1 株検出されたのみであった. また, 咽頭結膜熱については,2005 年,2004 年に引き続き流行したが 9), 相馬地区を中心に 10 症例の検体の搬入にとどまった. ウイルスの検出は 2 症例で,6 月に相双地区の 3 歳患児からアデノウイルス 5 型,11 月にいわき市の 9 歳患児からアデノウイルス 3 型が検出された. まとめ 1 搬入検体 1,506 件の内 457 件から 467 株のウイルスが検出された ( 検出率 30.3 %). 2 インフルエンザは, 小規模な流行で, 検出ウイルスは A(H3) 型を主流とした A (H1) 型と B 型の混合流行であった. 3 手足口病も, 流行が小さかった. 検出ウイルスは 2005 年に引き続きコクサッキーウイルス A16 型が中心であったが, エンテロウイルス 71 型の検出もあり, 全国の状況から今後は変化していくものと思われた. 4 エコーウイルス 5 型が, 本県では 1992 年以来 14 年ぶりに検出があり,10 症例 11 株検出された. 5 ノロウイルスについて,2006 年は年間を通じて検査を実施した. その結果, 合計 74 症例 75 株の G Ⅱ 型が検出され, 胃腸炎の患者から検出されたウイルスの 78.7 % を占めた. 謝辞検体採取等本事業にご協力いただいた病原体定点の医療機関の諸先生方に深謝いたします. 引用文献 1) 金成篤子, 水沢丈子, 広瀬昌子, 他.2005 年感染症発生動向調査事業報告 ( ウイルス ). 福島県衛生研究所年報.2005;23:73-79. 2) 亘理智子, 平澤恭子, 菅野正彦, 他. 2001/2002 シーズンの県内におけるインフルエンザの流行状況. 福島県衛生研究所年報. 2000/2001;18/19:148-156. 3) 亘理智子, 菅野正彦, 水澤丈子, 他. 2002/2003 シーズンの県内におけるインフルエンザの流行状況. 福島県衛生研究所年報. 2002;20:55-63. 4) 亘理智子, 水澤丈子, 慶野昌明, 他. 2003/2004 シーズンの県内におけるインフルエンザの流行状況. 福島県衛生研究所年報. 2003;21:71-77. 5) 水澤丈子, 結城智子, 平澤恭子, 他. 2004/2005 シーズンの県内におけるインフルエンザの流行状況. 福島県衛生研究所年報. 2004;22:67-73. 6) 慶野昌明, 菅野正彦, 金成篤子, 他. 平成 14 年感染症発生動向調査 ( ウイルス検出状況 ). 福島県衛生研究所年報.2002;20:41-45. 7) 金成篤子, 慶野昌明, 水澤丈子, 他. 平成 15 年感染症発生動向調査病原体検査結果報告 ( ウイルス ). 福島県衛生研究所年報.2003 ;21:55-62. 8) 金成篤子, 慶野昌明, 水澤丈子, 他.2004 年感染症発生動向調査事業報告 ( ウイルス ). 福島県衛生研究所年報.2004;22:54-58. 9) 福島県衛生研究所感染症情報センター. 福島県感染症発生動向調査週報 2007 年第 6 週. 2007;6:4-11. 10) 国立感染症研究所. 感染症情報センター http://hasseidoko.mhlw.go.jp/byogentai/pdf/data 58j.pdf 2007/2/16 11) 横山博子, 鈴木サヨ子, 水澤丈子, 他. 平成 4 年結核 感染症サーベイランス事業調査報告 ( ウイルス ). 福島県衛生公害研究所年報.1993;10:79-84. 12) 国立感染症研究所. 感染症情報センター http://hasseidoko.mhlw.go.jp/byogentai/pdf/data 60j.pdf 2007/2/16 13) 国立感染症研究所. < 特集 > ノロウイルス感染集団発生 2003 年 9 月 ~ 2005 年 10 月. 病原微生物検出情報.2005;26:1-2. 14) 福島県感染症情報センター. 平成 17 年福島県感染症発生動向調査事業報告書 2006; 22:16. - 70 -

15) 福島県感染症情報センター. 平成 15 年福島県感染症発生動向調査事業報告書 2004 ;29:21. 16) 国立感染症研究所. 感染症情報センター http://hasseidoko.mhlw.go.jp/byogentai/pdf/data 37j.pdf 2007/2/16-71 -