事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

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年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

(イ係)

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

<4D F736F F D F93FC82E D835382CC82DD816A2E646F63>

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

21855F41214EA DB3000CCBA

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

平成  年(オ)第  号

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

原判決は, 控訴人ら及び C の請求をいずれも棄却したので, 控訴人らがこれを不服として控訴した 2 本件における前提事実, 関係法令の定め, 争点及びこれに対する当事者の主張は, 後記 3 のとおり, 原判決を補正し, 後記 4 のとおり, 当審における当事者の主張 を付加するほかは, 原判決 事

算税賦課決定 (5) 平成 20 年 1 月 1 日から同年 3 月 31 日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正のうち還付消費税額 6736 万 8671 円を下回る部分及び還付地方消費税額 1684 万 2167 円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定 (6) 平成 20 年 4 月

事実及び理由控訴人補助参加人を 参加人 といい, 控訴人と併せて 控訴人ら と呼称し, 被控訴人キイワ産業株式会社を 被控訴人キイワ, 被控訴人株式会社サンワードを 被控訴人サンワード といい, 併せて 被控訴人ら と呼称する 用語の略称及び略称の意味は, 本判決で付するもののほか, 原判決に従う

旨の申告 ( 以下 本件申告 という ) をしたところ, 処分行政庁から, 本件不動産取得税を還付しない旨の処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 処分行政庁が所属する東京都を被告として, 本件処分の取消しを求める事案である 原判決は, 控訴人の請求を棄却したので, これを不服とする控

最高裁○○第000100号

主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する 2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人 P3 及び被控訴人会社は, 大阪府内, 兵庫県内, 京都府内, 滋賀県内及び和歌山県内において, 千鳥屋という名称を使用して菓子類を販売してはならない

F43A6E4AA7A71FA249256BD

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

4 処分行政庁が平成 25 年 3 月 5 日付けでした控訴人に対する平成 20 年 10 月 1 日から平成 21 年 9 月 30 日までの事業年度の法人税の再更正処分のうち翌期へ繰り越す欠損金 4 億 万 6054 円を下回る部分を取り消す 5 処分行政庁が平成 25 年 3 月

賦課決定 ( 以下 本件賦課決定 といい, 本件更正と併せて 本件更正等 という ) を受けたため, 本件更正は措置法 64 条 1 項が定める圧縮限度額の計算を誤った違法なものであると主張して, 処分行政庁の所属する国に対し, 本件更正等の一部取消し等を求める事案である 原審は, 控訴人の請求をい

最高裁○○第000100号

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

同訴訟代理人弁護士同同同同同同同同同同同 三好徹石田央子津田直和井川真由美鶴﨑有一石井修平山崎哲内田尚成前田香織本田雄巳黒木義隆籔之内千賀子 主文 1 控訴人の本件控訴を棄却する 2(1) 被控訴人の附帯控訴に基づき 原判決主文 1 2 項を次のとおり変更する (2) 控訴人は 被控訴人に対し 78

審決取消判決の拘束力

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告製品目録記載の研磨布を製造し, 譲渡し, 貸し渡し, 譲渡及び貸渡しの申出をしてはならない 3 被控訴人は, その占有にかかる前項の研磨布を廃棄せよ 4 被控訴人は, 控訴人に対し,7 億 8489 万 5000 円及び内金 4 億

ない 4 訴訟費用は, 第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 第 2 事案の概要 1 事案の要旨本件は, 原判決別紙 商標権目録 記載の商標権を有する控訴人が, 被控訴人に対し, 被控訴人が原判決別紙 被告標章目録 記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が, 控訴人の商標権を

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

 

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

いう ) に対し, 本件周辺道路整備工事の係る公金の支出 ( ただし, 支出命令を除く ) の差止めを求めるとともに, 文京区と東京大学との間で締結した 小石川植物園と区道の整備に関する基本協定書 による本件周辺道路整備工事に関する基本協定 ( 以下 本件基本協定 という ) に基づく年度毎の協定の

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

国籍確認請求控訴事件平成 12 年 11 月 15 日事件番号 : 平成 12( 行コ )61 大阪高等裁判所第 4 民事部 裁判長裁判官 : 武田多喜子 裁判官 : 正木きよみ 松本久 原審 : 大阪地方裁判所平成 11 年 ( 行ウ )54 < 主文 > 一. 原判決を 取り消す ニ. 訴訟費用

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人株式会社バイオセレンタック, 同 Y1 及び同 Y2は, 控訴人コスメディ製薬株式会社に対し, 各自 2200 万円及びこれに対する平成 27 年 12 月 1 日から支払済みまで年 5 分の割

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

2 被控訴人は, 別紙標章目録記載の標章を付した薬剤を販売してはならない 3 被控訴人は, 前項記載の薬剤を廃棄せよ 第 2 事案の概要 1 事案の要旨本件は, PITAVA の標準文字からなる商標( 以下 本件商標 という ) の商標権者である控訴人が, 別紙標章目録記載の標章 ( 以下 被告標章

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

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REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

平成25年5月  日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

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式会社 (A) の債務に係る保証債務及び清算人を務める株式会社 (B) の債務の履行にそれぞれ充てた控訴人が 上記各債務の履行に伴って生じた求償権を一部行使することができなくなったとして これに相当する金額につき 譲渡所得の金額の計算上なかったものとみなす所得税法 ( 法 )64 条 2 項の規定を

8FDEC4DDAFB890A249256E BC

B0B820DFD845F9DE49256B7D0002B34

6 年 9 月 11 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 訴訟費用は第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 4 仮執行宣言第 2 事案の概要等 1 事案の概要 ( 略称は, 原判決に従う ) 本件は, 名称を 盗難防止タグ, 指示信号発信装置, 親指示信号発信装置及び盗難防止装

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

主 文 本件控訴を棄却する 控訴費用は, 控訴人の負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 外務大臣が控訴人に対して平成 18 年 4 月 27 日付けでした行政文書の開示請求に係る不開示決定 ( 情報公開第 号 ) を取り消す 3 訴訟費用は, 第 1,2 審を通じ,

 

事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は 控訴人に対し 427 万 5200 円及びこれに対する平成 4 年 8 月 7 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 訴訟費用は 第 1 2 審とも 被控訴人の負担とする 4 仮執行宣言第 2 事案の概要等 1

Microsoft Word - CAFC Update(107)

平成  年(あ)第  号

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

O-27567

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それぞれ改める 原判決 7 頁 9 行目の 国の機関 から同頁 14 行目末尾までを次のとおり改める 国の機関, 独立行政法人等, 地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって, 公にすることにより, 次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上, 当該事務又は事業の適正

freee・マネーフォワード特許訴訟の解説

最高裁○○第000100号

MJS/ 第 79 回租税判例研究会 ( ) MJS 判例研究会 平成 30 年 8 月 9 日 報告者西野道之助 更正の請求/ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除 平成 28 年 7 月 8 日 東京地裁 ( 棄却 )( 控訴 ) 平成 29 年 1 月 26 日

訂正情報書籍 170 頁 173 頁中の 特許電子図書館 が, 刊行後の 2015 年 3 月 20 日にサービスを終了し, 特許情報プラットフォーム ( BTmTopPage) へと模様替えされた よって,

 

31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

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25 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 5 訴訟費用は, 第 1,2 審とも, 被控訴人らの負担とする 6 仮執行宣言第 2 事案の概要 1 本件は, 服飾品の販売等を業とする控訴人が, 控訴人の従業員であった被控訴人 Y2 及び同 Y3 が控訴人を退職し, 被控訴人 Y1 が経

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

令和元年 6 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 31 年 ( ワ ) 第 2629 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 16 日 判 決 5 原告日本コロムビア株式会社 原告株式会社バンダイナムコアーツ 10 原告キングレコード株式会社 原告ら訴訟代理人

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淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

3 当審における訴訟費用は全て控訴人の負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 控訴人に対し,2 億 9505 万 9600 円及びこれに対する平成 26 年 10 月 10 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え ( 主位的請求 ) 3 被控

特集《ソフトウエア》 1. 方法クレームとプログラムの間接侵害

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平成 24 年 1 月 16 日判決言渡平成 23 年 ( ネ ) 第 10056 号特許権侵害差止等請求控訴事件 ( 原審 東京地方裁判所平成 21 年 ( ワ ) 第 35411 号 ) 口頭弁論終結日平成 23 年 11 月 29 日 判 決 控訴人 ( 原告 ) 株式会社ジンテック 訴訟代理人弁護士 田 中 浩 之 野 口 明 男 飯 塚 卓 也 弁理士 原 島 典 孝 被控訴人 ( 被告 ) 株式会社クローバー ネットワーク コム 訴訟代理人弁護士 石 嵜 信 憲 山 中 健 児 柊 木 野 一 紀 林 康 司 小 川 周 哉 補 佐 人 弁 理 士 坂 本 智 弘 主 文 本件控訴を棄却する 控訴費用は控訴人の負担とする - 1 -

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録媒体から作成されたものを含む ) を廃棄せよ 4 仮執行宣言 第 2 事案の概要 1 控訴人 ( 原告 ) は, 発明の名称を 電話番号リストのクリーニング方法 とする本件特許権 ( 特許第 3462196 号 ) の特許権者であるが, 被控訴人 ( 被告 ) による原判決別紙被告方法目録記載の被告サービスの実施は上記特許権を侵害するものであると主張して, 被告サービスの実施の差止めと被告サービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ等の廃棄を求めた 2 原判決は, 被告サービスは本件特許発明の構成要件を充足せず, これと均等のものと認めることもできないとして, 控訴人の請求をいずれも棄却した 3 争いのない事実は, 原判決 2 頁 13 行目以下の 1 争いのない事実 記載のとおりであり, そのうち, 本件特許発明の特許請求の範囲の記載は次のとおりである ( 下線部は, 平成 22 年 8 月 26 日の訂正審決確定により追加された部分である また,A~Dの項目は原判決が付したものである ) 請求項 1 A ISDNに接続した番号調査用コンピュータにより, 使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4 桁の数字のすべての組み合わせからなる調査対象電話番号について回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し, 網から得られる情報に基づいて有効な電話番号をリストアップして有効番号リストを作成する網発呼プロセスと, - 2 -

B 前記網発呼プロセスにより作成された前記有効番号リストを複数のクリーニング用コンピュータに配布して読み取り可能にするリスト配布プロセスと, C 前記各クリーニング用コンピュータにおいて, クリーニング処理しようとする顧客などの電話番号リストを読み取り可能に準備し, このクリーニング対象電話番号リストと前記有効番号リストとを対照することで, 前記クリーニング対象電話番号リスト中の有効な電話番号を区別するクリーニング処理プロセスと, D を含んだことを特徴とする電話番号リストのクリーニング方法 第 3 当事者の主張 1 原審からの主張原審における当事者の主張は, 原判決 4 頁 21 行目以下の 3 争点に関する当事者の主張 記載のとおりである 2 当審における控訴人の主張 ( 構成要件 Aの充足の有無について ) (1) 原判決は, 構成要件 Aの 使用されているすべての市外局番および市内局番 という文言を, 市外局番および市内局番として使用されているすべての番号 と解釈した上で, 総務省が電気通信事業者に割り当てた市内局番の中に被控訴人が調査対象としていない局番がいくつか存在するという事実のみをもって, 被告サービスは構成要件 Aを充足しないと判断した このような判断からすると, 原判決は, 使用されているすべての市外局番および市内局番 の意味を, 総務省が電気通信事業者に付与した市外局番及び市内局番であって, 総務省の管理上 使用中 とされているもの一切を指すという解釈を採ったものと考えられる (2) しかしながら, 特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するに当たっては, 明細書の記載を参酌すべきところ, 本件明細書において, すべての という語が用いられている部分や, 構成要件 Aに対応する調査対象電話番号の作成及び発呼に係るプロセスにおいて用いられる市外局番及び市内局番に関する記載 ( 段落 0011 ~ 0013, 0026 ) は, いずれも調査対象となる一定の地域において使用されている市外局番及び市内局番を意味するものである また, - 3 -

構成要件 Aに係る訂正を認めた訂正審決においても, 調査対象地域を北海道 青森県 秋田県 岩手県とする本件明細書の段落 0013 の記載から, 当該訂正事項は当初明細書に開示されていると判断している さらに, 本件特許発明の作用効果は, 地方, 県, 市町村を問わず一定の地域において使用されているすべての市外局番及び市内局番を持つ電話番号を対象とした場合であっても提供可能であり, 効果を奏するものである 他方, 本件明細書のどこにも, 原判決の採った上記解釈を基礎付ける記載はないし, 使用されているすべての市外局番および市内局番 が日本中のすべての市外局番及び市内局番であると解する根拠となる記載もない したがって, 構成要件 Aの 使用されているすべての市外局番および市内局番 とは, 調査対象となる一定の地域において使用されているすべての市外局番及び市内局番を意味するものと解釈されるべきである (3) 被控訴人は, 株式会社エヌ ティ ティ ドコモ等の 7 社に対して割り当てられた市内局番について, 調査対象としていない旨主張する しかしながら, 北海道の愛別町, その他多数の市町村においては, 被控訴人が調査対象としていない ( 上記 7 社に対して割り当てられた ) 市内局番がない そうすると, 上記 (2) のとおり, 構成要件 Aの 使用されているすべての市外局番および市内局番 を調査対象となる一定の地域において使用されているすべての市外局番及び市内局番と解し, 上記市町村を調査対象となる一定の地域とした場合には, 被控訴人は, すべての市外局番及び市内局番を調査対象としていることになるのであって, 被告サービスは構成要件 Aを充足する (4) また, 本件明細書の記載によれば, 本件特許発明は, コンピュータを用いて電話回線網で実際に使われている電話番号 ( 又は使われていない電話番号 ) を調査し, その調査結果に基づいて既存の電話番号リストをクリーニングする方法であるから, ここで念頭に置かれている 電話番号リスト の電話番号は, 顧客の電話番号リストに代表されるように, いわゆる一般的な意味での電話番号, すなわち, - 4 -

電話回線網を通じて一般に架電可能な電話番号を意味すると解すべきである だとすれば, この電話番号リストのクリーニングに用いる調査結果を得るための構成要件 Aにおける 使用されている という語もまた, ごく通常の意味として, 電話回線網を通じて一般に架電可能な電話番号に使用されているもの と解すべきである したがって, 電気通信事業者に使用が許可されている市内局番であったとしても, 外部から電話回線網を通じて接続できる電話番号が一つも付与されていないとすれば, そのような市内局番は 使用されている市内局番 とはいえない そして, 被控訴人が調査対象としていない旨主張する市内局番は, 全国のうち2 8 県において, 株式会社エヌ ティ ティ ドコモに対してのみ使用が許可されているところ, 控訴人の調査によれば, 同社に許可されている上記市内局番には, 外部から接続可能な加入者番号が付与されているものが1 件も存在しないから, 構成要件 Aの 使用されている市内局番 には該当しない したがって, 上記 (2) のとおりの解釈を採り, 上記 28 県の各地域を 調査対象となる一定の地域 とした場合には, 被控訴人は, 使用されているすべての市内局番 を調査対象としていることになるのであって, 被告サービスは構成要件 Aを充足する 3 被控訴人の当審主張 (1) 控訴人の主張 (2) に対してそもそも, 本件特許発明の特許請求の範囲に, 控訴人が主張するような構成は一切記載されていないし, それを示唆する記載も存しない また, 控訴人の上記主張は, 本件明細書の実施例のうち, 段落 0011 ~ 0 013 等の記載に依拠するものであり, そこには, 北海道等の4 道県の電話番号を調査する旨の記載があるが, この4 道県は例示にすぎないし, 段落 0032 には, これと同様のことを全国の各地域ごとに行い, 全国の電話番号の調査を行うことが明瞭に開示されている 加えて, 段落 0032, 0039 には, 全国的な調査を地域的に分散させて行うことにより, 本件特許発明の作用効果の一つである交換局の輻輳防止が図られる旨の記載がある - 5 -

これらの記載によれば, 構成要件 Aにおける 使用されているすべての市外局番および市内局番 は, 文字どおり何らの限定なく, 全国で使用されているすべての市外局番及び市内局番を意味すると解される なお, 本件明細書の段落 0011, 0026 には, 市外局番及び市内局番は一般に公開された情報である旨の記載がある 我が国の市外局番及び市内局番は, 関係法令に基づき総務省によって管理がされており, その総務省が公表する情報が最も信頼できる公開情報である したがって, 総務省が 使用中, 未使用, 使用予定 等の区分を用いて公表している全国の局番に関する情報を前提として, 構成要件 Aの技術的範囲を解釈することは妥当である (2) 控訴人の主張 (4) に対して本件特許発明の特許請求の範囲に, 控訴人が主張するような構成は一切記載されていないし, それを示唆する記載も存しない また, 上記 (1) で主張したとおり, 本件明細書には, 一般に公開された情報から市外局番及び市内局番を取得する旨の記載があるのであって, 一般に公開されていない私的な電話番号リストなどを前提とするものではない さらに, 控訴人は, 本件明細書における 実際に使われている電話番号を調査する という趣旨の記載を根拠に, 調査対象は 実際に使われている電話番号 に限定されると主張する しかし, 理論的に存在しうる電話番号のうち, どれが実際に使われている電話番号かを調べることが本件特許発明の目的であり, 控訴人の主張は倒錯している 第 4 当裁判所の判断 1 当裁判所も, 被告サービスは, 少なくとも本件特許発明の構成要件 Aを充足せず, 禁反言の法理の関係で本件特許発明と均等とは認められないものと判断する その理由は, 次のとおり付加し, 原判決 43 頁 13 行目 ~14 行目の ( 調査対象となる地域において ) を削るほかは, 原判決 30 頁 3 行目以下の 第 3 当裁判 - 6 -

所の判断 のとおりである 2 控訴人の当審主張について本件特許発明の特許請求の範囲においては,( 使用されている ) すべて の市外局番及び市内局番という文言が用いられているのであって, 範囲の広狭がある場合には, 最も広い範囲を指すと解するのが自然であり, 逆に, これを 調査対象となる一定の地域 に限定する記載はない 本件明細書 ( 甲 1,47) の記載をみても, 課題を解決するための手段 ( 段落 0009 ) には, 調査対象となる一定の地域 の市外局番及び市内局番に限定する旨の記載はなく, 唯一の実施例も, ここまでは1 台のパソコン1で北海道 青森県 秋田県 岩手県エリアの調査を行うと説明した 同様にして, 全国の電話網をいくつかの地域に分割し, それぞれの地域にて全国の電話番号の調査を複数の地域に分散した複数のパソコンで分担実行する そして, それぞれに担当した地域の前記調査リストを通信などを通じて1つに集約することで, 全国的な広域の調査リストを作成できる ( 段落 0032 ) と記載されるように, 全国を対象として調査するものである なお, 控訴人が主張の根拠とする記載 ( 段落 00 11 ~ 0013, 0026 ) は, 全国を調査する一環として, ある地域を分担したパソコンによる調査方法を説明したものであって, 控訴人の主張するような, 一定の地域に限定して調査を行う旨の記載であるとは認められない また, 控訴人は, 訂正審決が本件明細書の段落 0013 を根拠に訂正を認めたと主張するが, 審決は, 当該段落に加えて上記の段落 0032 も引用して訂正事項が当初明細書に開示されていると認定したのであり ( 甲 47), 控訴人の主張に沿う判断をしたものではない さらに, 本件特許発明の解決課題 作用効果についても, 従来技術の2つの課題のうちの1つである 交換局の輻輳の問題 ( 段落 000 6 ) に対して, 本件特許発明では, 全国を複数のパソコンで分担調査することにより, コンピュータに近い交換局の輻輳が起きないという効果を奏する旨記載されているのであって ( 段落 0034, 0039 ), この点においても, 全国 - 7 -

の調査を前提とするものである したがって, 構成要件 Aの 使用されているすべての市外局番および市内局番 とは, 調査対象となる一定の地域において使用されているすべての市外局番及び市内局番を意味するという控訴人の主張は, 採用することができない そして, 控訴人のその余の主張は, 上記説示により排斥された解釈を前提として, 一定の地域においては, 被控訴人が調査対象としていない局番が存在せず, すべての局番を調査していることになるので, 構成要件 Aを充足しているというものであるから, その前提を欠くことになる したがって, その余の点について判断するまでもなく, 控訴人の主張は採用することができない 第 5 結論 よって, 被告サービスは本件特許発明の技術的範囲に属するとはいえず, 本件控 訴は理由がないから, これを棄却することとし, 主文のとおり判決する 知的財産高等裁判所第 2 部 裁判長裁判官 塩月秀平 裁判官 古谷健二郎 - 8 -

裁判官 田邉実 - 9 -