奥深き品の良い山 祖母山日本百名山を著した深田久弥が品のいいゆったりとした金字塔と形容した祖母山に向かう 別名 姥ヶ岳 と呼ばれ 神武天皇の祖母豊玉姫命( とよたまひめのみこと) を祀ってあることからこの山名がついたと言われている 昔は九州第一の高峰とされ 日本アルプスの父ウェストンも来日して富士山に次いで祖母山に登ったらしい 阿蘇山や九重連山とは異なり 明らかに火山という形の山ではなく 頂上まで黒々と木々に覆われた奥深い山である 百名山でなければ訪れる人もかなり少なかっただろう 今回は 深田が登ったコースと同じ北側にある神原( こうばる) 登山口から登る 一合目の滝駐車場にレンタカーを停め出発する 神原渓谷の沢沿いに水の流れの音を聞きながら登る 初夏の日差しが木々の緑の葉にきらめいている 神原渓谷の最も奥にある御社( おやしろ) の滝を過ぎると五合目の避難小屋に到着する ここからが急な登りになるので ここで少し休憩する 国観峠までは かなりの急登になる 土の斜面を滑らないように気をつけながら登ると 突然視界が開け 目の前に草原が広がる ここが国観峠である 日差しが強くなければ 爽やかな草原で休憩するには丁度いい場所である ここから頂上までは 最後の一登り 泥の斜面に滑らないようにスズタケや木につかまりながら登る 国観峠から一時間弱で祖母山頂上に到着する 頂上には誰もいない 北に九重連山 西に阿蘇山 東に特徴的な傾( かたむき) 山 南には九州山地の山並みが続いている 信仰の山らしく小さな祠がある 少し休憩し 頂上からの景色を楽しむが 空が霞んで遠くの景色がはっきり見えないのは残念だ 前回の開聞岳 霧島山の時も空が霞んでおり 今回も天気は良いのに霞んでいる 中国の黄砂や大気汚染の影響を受けているのだろうか 少し気になる 休憩の後 下り始める 国観峠までは 泥の斜面の下りになる ここ数日雨が降っていないと思われるが それでも少し湿っているところがある 日頃はストックを使わない主義であるが 今回は持ってきた方が良かったと後悔する 木やスズタケにつかまりながら慎重に下る 途中 高校生の集団とすれ違う 高校総体の山岳競技を行っているようで 元気なあいさつに気持ちが良くなる 国観峠には 先程の高校生の大きなザックがまとめておかれていた 国観峠からも急な土の下りになる 小股でつま先に力を入れて滑らないように慎重に下る 今日は天気がいいので まだ条件がいいが これが雨だったらかなり難儀したことだろう この山はストック必携だと感じた 五合目避難小屋からは 沢に沿って滝や渓流の流れを楽しみながらゆるやかな登山道を下り 駐車場に無事到着 今回の祖母山は 神原からのピストンだけだったので 本当の祖母山の良さを理解するには やはり傾山への縦走を行ってみるべきだろう いつか機会があったら挑戦してみたいものだ 御社の滝国観峠からの祖母山
国観峠祖母山は 大分県と宮崎県の県境にまたがる標高 1,756mの山で 日本百名山の一つ 別名 姥とよたまひめのみことヶ岳 と呼ばれ 神武天皇の祖母 豊玉姫命を祀ってあることからこの山名がついたと言われている 昔は九州第一の高峰とされ 日本アルプスの父ウェストンも来日して富士山に次いで祖母山に登ったらしい 深田久弥は この山を品のいいゆったりとした金字塔と表現した 1 日時 : 平成 26 年 6 月 1 日 ( 日 ) 2 天気 : 晴れ 3 行動の概要及び概念図 場所時間 こうばる神原登山口 ( 一合目の滝 ) 駐車場 06:17 五合目小屋 06:48-07:00 P 一合目の滝駐車場 五合目小屋 峠 08:30 祖母山 09:14-26 峠 09:57 こうばる神原登山口 ( 一合目の滝 ) 駐車場 11:16 祖母山 (1756m) 九合目小屋 4 行動計画 九重連山の一面のミヤマキリシマ (5 月末から 6 月中旬 ) が見たくて この時期に計画をたてる 今年の 2 月に利用した航空券 レンタカー 宿泊代がセットで 3 万円台のツアーを再び利用する 3 日間で 九州中部の三つの百名山を巡る 九重連山では 法華院温泉に是非宿泊したかったので 少しでも空いてそうな日曜日に宿泊するよう計画する 初日は早朝の飛行機で熊本へ まず阿蘇山に登った後 熊本市内のホテルで宿泊 2 日目は 午前中に祖母山に登り 九重山に移動して坊ガツルへ その後平治岳のミヤマキリシマを見に行き 時間があれば頂上へ 最終日は 中岳 久住山へ登った後に下山 温泉に入った後 熊本空港に戻り帰宅の途に就く 3 日間で盛りだくさんの計画だが 体調や天候が悪いときは中止も考慮し 無理のない行動を心掛ける 特に阿蘇山の火山規制情報には注意する ( 計画段階では平常の 噴火警戒レベル 1 ) 5 行動記録 平成 26 年 (2014 年 )6 月 1 日 ( 日 ) こうばる 神原登山口 ( 一合目の滝 ) 駐車場 06:17 ~ 五合目小屋 06:48-07:00 こうばる早朝に熊本のホテルを出発し 祖母山の登山口神原へ向かう 一合目の滝登山口へは舗装はされているが かなり 狭い道を走る 途中で対向車が来ても離合はできそうにない 約 5~10 分で駐車場に到着する 駐車場は比較的広 く 水洗トイレも完備されている 車が数台あり 数人の登山者が準備をしている 06:17 駐車場を出発し 神原渓谷に沿って 水の流れの音を聞きながら 沢沿いの登山道を登る 20 分強で神原渓谷 おやしろの最も奥にある御社の滝に至る 昔は ここで修験者が滝にうたれ 身を清めてから祖母山へ登ったそうだ 滝から少し登ると五合目小屋 小屋に入って右側には 2 段ベッド 奥には中央に土間があり 左右が板張りになった典 型的な山小屋である 確認していないが さらに奥にはトイレがあるようだ
神原登山口一合目の滝駐車場本登山道入り口 おやしろ御社の滝 五合目小屋 峠 08:30 小屋からは階段状の丸太で土留めされた登山道を登る 新緑のブナの樹林に囲まれ 初夏の強い日差しも遮られ て助かる しだいに傾斜がきつくなり 急な土の斜面を滑らないように気をつけて登る ここ数日は天気が良かった ので土は濡れていなかったが 雨の中ならかなり苦労するだろう 急登を登り続け いのち水 ( 全く流れていない ) を 過ぎ ひたすら登ると樹林の中から突然開けた草原に出る くにここが国 み観 峠だ 広々とした爽やかな高原で休憩するには丁度いい場所だ 正面には 緩やかな三角錐の祖母山 が見える 頂上までは もう一登りだ 五合目小屋からの登山道 丸太で土留めされた階段がしばらく続く 初夏の強い日差しにきらめく新緑 樹林の中なので日差しが直接当たらず助かる
土の斜面の登山道いのち水 ( 全く流れていなかった ) 国観峠まで土の斜面の急登が続く 広々とした草原が広がる国観峠 後方は祖母山 祖母山 (1,756m) 頂上 09:14-26 国観峠からは スズタケの中の泥の斜面の登りになる 滑らないよう注意しながら登るが 下りが心配になる ここ はストックを持ってきた方が良さそうだ 私はストックを使わない主義だが 少し後悔する スズタケや木々につかまり ながら八合目 九合目と登り 開けた頂上に出る 祖母山は 奥深い黒々とした山と言われる通り 頂上までほぼ樹林に覆われていた かたむき頂上からは 東に特徴的に傾いた傾山 西に昨日登った阿蘇山 北に今日の午後から登る九重連山 南には延々と 続く九州山地の山並みが見える しかし 天気が良いのに 空が霞んで景色がはっきり見えないのが残念だ 中国から の黄砂や大気汚染の影響なのか 少し心配になる 今回も頂上には誰もおらず 頂上からの眺めを独占する しばらく休憩するが虫が多くて閉口する 八合目 九合目
頂上の小さな祠と傾山 祖母山頂上 かたむき東の奥に傾山 南に続く九州山地の山並み 北に九重連山 西に昨日登った阿蘇山 下り 峠 09:57 ~ 一合目の滝駐車場 11:16 休憩後 下り始める 泥の斜面は滑りやすいので 木やスズタケにつかまりながら 滑らないように注意して下りる 途中 高校生の大集団とすれ違う 聞くと高校総体の山岳競技を行っているようだ 中にはかなり疲れた学生もいる この暑さだとかなり堪えるだろう しかし 高校生の元気の良い挨拶には気分が良くなる さすが九州と感心する 慎重に下り 国観峠へ 広場の隅に先程の高校生たちの大きなメインザックが集積して置かれている 国観峠からも 急な斜面を気をつけながら下り 五合目小屋 こうばるここからは 神原渓谷の新緑と滝や渓流を眺めながら下り 駐車場に無事到着 気温はかなり上昇しているが ほぼ樹林の中だったので 強い日差しを直接浴びることもなく 助かった しかし 登 り一辺倒の登山には やはり疲れた トイレの横に靴を洗えるように水道があったので その水を頭から浴び 少し休憩 した後に次の目的地の九重連山に向けて出発する
峠 高校生のメインザックが置かれていた おやしろ御社の滝 新緑の木々 無事駐車場に到着 阿蘇山や九重山のような草原や特徴的な山を持った火山とは異なり 九州の奥深い樹林と渓谷が楽しめる祖母山 こうばるに登った 今回は神原登山口からの最短コースでのピストンだったので 樹林の中の土の斜面の急登は ほぼ景色も見 えず あまり面白味のあるものではなっかた しかし 祖母山の良さは深い樹林 V 字型に切れ込んだ渓谷と稜線に続 く岩峰 岩壁のマッチングである これを体験するには やはり傾山までの縦走を行うのが良いだろう 今回は時間の 関係でピークハントを優先したが いずれかは祖母山から傾山の縦走に挑戦してみたいと思う