REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

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主文第 1 項と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は, 平成 24 年 6 月 14 日, 発明の名称を 遊技機 とする特許出願をし ( 特願 号 請求項数 3 ), 平成 26 年 5 月 12 日付けで拒絶理由通知 ( 甲 8 以下 本件

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弁理士試験短答 逐条読込 演習講座 ( 読込編 ) 平成 29 年 6 月第 1 回 目次 平成 29 年度短答本試験問題 関連条文 論文対策 出題傾向分析 特実法 編集後記 受講生のみなさん こんにちは 弁理士の桐生です 6 月となりましたね 平成 29 年度の短答試験は先月終了しました 気持ちも

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

1 アルゼンチン産業財産権庁 (INPI) への特許審査ハイウェイ試行プログラム (PPH) 申請に 係る要件及び手続 Ⅰ. 背景 上記組織の代表者は

インド特許法の基礎(第35回)~審決・判例(1)~

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

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認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

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事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

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2.2.2 外国語特許出願の場合 2.4(2) を参照 2.3 第 184 条の 5 第 1 項に規定された書面 (1) 日本語特許出願 外国語特許出願を問わず 国際特許出願の出願人は 国内書面提出期間 ( 注 ) 内に 出願人 発明者 国際出願番号等の事項を記載した書面 ( 以下この部において 国

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意匠法第十七条の三意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは その意匠登録出願は その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす 2 前項に規定する新たな意匠登録出願があつたときは もとの意匠登

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

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訂正情報書籍 170 頁 173 頁中の 特許電子図書館 が, 刊行後の 2015 年 3 月 20 日にサービスを終了し, 特許情報プラットフォーム ( BTmTopPage) へと模様替えされた よって,

MJS/ 第 79 回租税判例研究会 ( ) MJS 判例研究会 平成 30 年 8 月 9 日 報告者西野道之助 更正の請求/ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除 平成 28 年 7 月 8 日 東京地裁 ( 棄却 )( 控訴 ) 平成 29 年 1 月 26 日

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

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7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

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上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

実体審査における審査官面接に関して GPE には面接における協議の方法 時期および内容など 詳細な要件が定められている 例えば GPE には 最初のオフィスアクションの応答書が出願人により提出された後 審査官は当該出願の審査を継続しなければならない と規定されている (GPE 第 II 部第 2 章

である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

Ⅰ. はじめに 近年 企業のグローバル化や事業形態の多様化にともない 企業では事業戦略上 知的財産を群として取得し活用することが重要になってきています このような状況において 各企業の事業戦略を支援していくためには 1 事業に関連した広範な出願群を対象とした審査 2 事業展開に合わせたタイミングでの

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参加人は 異議申立人が挙げていない新たな異議申立理由を申し立てても良い (G1/94) 仮 にアピール段階で参加した参加人が 新たな異議申立理由を挙げた場合 その異議申立手続は第 一審に戻る可能性がある (G1/94) 異議申立手続中の補正 EPCにおける補正の制限は EPC 第 123 条 ⑵⑶に

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事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

例 2: 組成 Aを有するピアノ線用 Fe 系合金 ピアノ線用 という記載がピアノ線に用いるのに特に適した 高張力を付与するための微細層状組織を有するという意味に解釈される場合がある このような場合は 審査官は 請求項に係る発明を このような組織を有する Fe 系合金 と認定する したがって 組成

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なって審査の諸側面の検討や評価が行われ 関係者による面接が開始されることも ある ベトナム知的財産法に 特許審査官と出願人またはその特許代理人 ( 弁理士 ) の間で行われる面接を直接定めた条文は存在しない しかしながら 審査官は 対象となる発明の性質を理解し 保護の対象を特定するために面接を設定す

特許出願の審査過程で 審査官が出願人と連絡を取る必要があると考えた場合 審査官は出願人との非公式な通信を行うことができる 審査官が非公式な通信を行う時期は 見解書が発行される前または見解書に対する応答書が提出された後のいずれかである 審査官からの通信に対して出願人が応答する場合の応答期間は通常 1

優先権意見及び回答

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ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -MY MY 1 頁 マレーシア知的所有権公社 ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 MY.Ⅰ 国内段階移行手数料 ( 特許様式 No.2A) 附属書 MY.Ⅱ 特許代理人の選任又は変更 ( 特

平成  年(行ツ)第  号

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事件概要 1 対象物 : ノンアルコールのビールテイスト飲料 近年 需要急拡大 1 近年の健康志向の高まり 年の飲酒運転への罰則強化を含む道路交通法改正 2 当事者ビール業界の 1 位と 3 位との特許事件 ( 原告 特許権者 ) サントリーホールディングス株式会社 ( 大阪市北区堂島

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

同時期に 8 社に対し提起された大阪地方裁判所における判決 ( 大阪地裁平成 24 年 9 月 27 日判決 裁判所 HP) では, 間接侵害の成立に関し, 特許法 101 条 2 号の別の要件である その物の生産に用いる物 にあたるかが問題とされ, 1 特許法 2 条 3 項 1 号及び101 条

特許無効審判の審判請求書における補正の要旨変更についての一考察審判請求後の無効理由の主張及び証拠の追加等に関する裁判例の検討

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取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

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欧州特許庁(EPO)拡大審判部の決定と今後のヨーロッパにおけるコンピュータプログラム保護について

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法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

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平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

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第 32 回 1 級 ( 特許専門業務 ) 実技試験 一般財団法人知的財産研究教育財団知的財産教育協会 ( はじめに ) すべての問題文の条件設定において, 特に断りのない限り, 他に特殊な事情がないものとします また, 各問題の選択枝における条件設定は独立したものと考え, 同一問題内における他の選

1 特許庁における手続の経緯原告は, 名称を 5 角柱体状の首筋周りストレッチ枕 とする発明につき, 平成 20 年 10 月 31 日に特許出願 ( 本願 特願 号, 特開 号, 請求項の数 1) をし, 平成 25 年 6 月 19 日付けで拒絶

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

平成  年(あ)第  号

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2018 年 2 月 8 日第一東京弁護士会総合法律研究所知的所有権法部会担当 : 弁護士佐竹希 バカラ電子カードシュー 事件 知財高裁平成 29 年 9 月 27 日判決 ( 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号 ) I. 事案の概要原告 ( エンゼルプレイングカード株式会社 : カー

特許制度 1. 現行法令について 2001 年 8 月 1 日施行 ( 法律 14/2001 号 ) の2001 年改正特許法が適用されています 2. 特許出願時の必要書類 (1) 願書 (Request) 出願人の名称 発明者の氏名 現地代理人の氏名 優先権主張の場合にはその情報等を記載します 現

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -AL AL 1 頁 工業所有権総局 (GDIP) ( アルバニア ) ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 AL.Ⅰ 委任状 附属書 AL.Ⅱ 略語のリスト国内官庁 : 工業所有権総局 (GD

(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

審 査 請 求 事 務 取 扱 要 領

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作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消訴訟 ( 不服 2012-26122 号審決取消請求事件 ) 事件番号 平成 26 年 ( 行ケ ) 第 10057 号 裁判所部名 知財高裁 3 部 判決日 平成 27 年 2 月 18 日判決 キーワード 増項補正 第 17 条の2 第 5 項第 2 号所定の 特許請求の範囲の減縮 事件の概要 <1. 手続の経緯 > 平成 19 年 12 月 21 日出願平成 24 年 4 月 23 日拒絶理由通知平成 24 年 6 月 26 日手続補正平成 24 年 9 月 21 日拒絶査定平成 24 年 12 月 28 日拒絶査定不服審判手続補正 ( 本件補正 ) 平成 26 年 1 月 20 日請求棄却審決平成 26 年 3 月 3 日審決取消訴訟 ( 本事案 ) 原告は 入金端末, 入金端末の制御方法, 及び入金端末のプログラム とする発明について特許出願 ( 特願 2007-330214) をしたところ 拒絶査定を受けた 原告はこれを不服として 拒絶査定不服審判を請求するとともに 手続補正をした 特許庁は 審判請求時の補正が特許法第 17 条の 2 第 5 項各号のいずれを目的とするものでもないとして補正を却下し 補正前発明に進歩性がないとして拒絶審決をした そこで原告は 拒絶審決の取消しを求めて本件訴えを提起した 本件訴えでは 3 つの争点があったが 今回の報告では その中の 1 つである補正に係る争点について取り上げる <2. 特許請求の範囲の記載について > 本件補正前の特許請求の範囲の請求項 1 の記載は, 次のとおりである 請求項 1 実店舗に設置された入金端末であって, 貨幣端末に記憶される貨幣価値の増額要求に応じて, 前記貨幣端末に対して, 当該貨幣端末が記憶する貨幣価値の金額を所定金額分だけ増額させる金額変更情報を送信する金額変更情報送信手段と, 前記増額要求に応じて, 複数の割引内容識別情報にそれぞれ関連づけて複数の割引内容を記憶する記憶装置から取得される前記複数の割引内容識別情報のいずれかを, 入力される割引内容識別情報に基づいて前記記憶装置から取得される割引内容の適用可否を判断する前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式で出力する出力手段と, を具備したことを特徴とする入金端末 本件補正後の特許請求の範囲の請求項 1,2 の記載は, 次のとおりである ( 下線は補正部分を示す ) 請求項 1 実店舗に設置された入金端末であって, 貨幣端末に記憶される貨幣価値の増額要求に応じて, 前記貨幣端末に対して, 当該貨幣端末が記憶する貨幣価値の金額を所定金額分だけ増額させる金額変更情報を送信する金額変更情報送信手段と, 前記増額要求に応じて, 複数の割引内容識別情報にそれぞれ関連づけて複数の割引内容を記憶する記憶装置から取得される前記複数の割引内容識別情報のいずれかを, 入力される割引内容識別情報に基づいて前記記憶装置

から取得される割引内容の適用可否を判断する前記実店舗に設置された決済端末に入力可能且つ当該決済端末が前記割引内容を特定可能な形式で出力する出力手段と, を具備したことを特徴とする入金端末 請求項 2 新たに追加した請求項前記記憶装置は, 前記実店舗に設置されており, 前記出力手段が出力する前記形式は, 前記決済端末が特定する割引内容に関連づけられた前記割引内容識別情報であることを特徴とする請求項 1 に記載の入金端末 ~ 本願の図 1~ <3. 裁判所の判断 > ( 下線は報告者が付与 ) 審決は, 本件補正は特許法 17 条の 2 第 5 項に規定される, 請求項の削除, 特許請求の範囲の減縮, 誤記の訂正, 明りょうでない記載の釈明のいずれも目的とするものではないとして, これを却下したところ, 原告は, 本件補正が同項 2 号の 特許請求の範囲の減縮 を目的とするものに該当するものであると主張するので, 以下, 検討する 原告は, いわゆる増項補正が特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号所定の 特許請求の範囲の減縮 を目的とするものに該当するか否かについては, 請求項の数から外形的, 抽象的に判断すべきではなく, 補正前後の請求項の内容に基づいて, 新たに審査すべき必要を生じさせるものであるか否かを個別的, 具体的に検討して判断すべきであると主張する これに対し, 被告は, 同項の趣旨が, 出願人の便宜と迅速, 的確かつ公平な審査との調整の趣旨に基づき, 例外的に一定の範囲に限って補正を認めたものであることに照らすと, 同項 2 号は, 補正前の請求項と補正後の請求項とが一対一の対応関係にあることを前提としているというべきであり, 一対一の対応関係にないような請求項を増加させる補正は, 同号かっこ書の規定に該当しないと主張する 同項 2 号は, 特許請求の範囲の減縮 ( 第 36 条第 5 項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて, その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る ) と規定している その趣旨は, 単に 特許請求の範囲の減縮 とのみ規定したのでは, 出願当初の明細書又は図面に記載された事項の範囲内において, 請求項に新たな構成要素を付加することにより, 特許請求の範囲の減縮を行う補正も 特許請求の範囲の減縮 に含まれることとなることから, このような補正を許容すると, 既に審査においてなされた先行技術文献の調査などの審査結果を有効に活用することができなくなり, 再度審査を行う必要が生じ, 上

記 17 条の 2 第 5 項の趣旨に反することになるため, 請求項に記載したすべての事項のうちの個々の事項を上記規定の趣旨で限定する補正に限る旨を明確化することにあると解される 以上のような特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号の規定振り及びその趣旨に照らすと, 同号に該当する補正は, 多くの場合, 補正前の請求項の発明特定事項を限定して減縮補正することにより, 補正前の請求項と補正後の請求項とが一対一の対応関係にあるようなものになることが考えられる しかし, 同号が, 補正により, 単に形式的に請求項の数が増加することがないという意味を含めて, 補正前の請求項と補正後の請求項が一対一の対応関係にあることを定めていると解すべき根拠はない したがって, 被告の前記主張の趣旨が, 補正により請求項の数が増加するものはすべからく同号かっこ書の規定に該当しないというのであれば, そのような主張には法的根拠がなく, 採用の限りではない 同号は, かっこ書を含めてその要件を明確に規定しているのであるから, 問題となる補正が同号の 特許請求の範囲の減縮 を目的とするものに該当するといえるためには, それがいわゆる増項補正であるかどうかではなく, 1 特許請求の範囲の減縮であること, 2 補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであること, 3 補正前の当該請求項に記載された発明と補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であること, という要件 ( 以下, 上記各要件を単に 1 の要件 のようにいう ) を満たすことが必要であり, かつそれで十分であるというべきである したがって, 原告の前記主張中, これと異なり, 補正前後の請求項の内容に基づいて, 新たに審査すべき必要を生じさせるものであるか否かを個別的, 具体的に判断すべきであるとする部分も採用することができない ところで, 審決は, 請求項 2 を新たに追加する補正は, 特許法 17 条の 2 第 5 項各号に掲げるいずれの事項も目的とするものではない旨を述べるのみであり, 上記 1 から 3 のいずれの要件を欠くことをその判断の理由としたのかは明らかではない 仮に, 審決が, 請求項 2 を新たに追加する補正は当然に同項 2 号所定の 特許請求の範囲の減縮 を目的とするものに該当しないと判断したのであるとすれば, 判断の手法として, 不適当なものといわざるを得ない そこで, 項を改めて, 請求項 1 の補正及び請求項 2 を追加する補正が, 原告の主張する特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号所定の 特許請求の範囲の減縮 を目的とするものに該当するか否かについて, 更に検討する ~ 請求項 1 の補正について ~ 請求項 1 の補正は, 補正前の請求項 1 に記載された 前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式 における 形式 について, 且つ当該決済端末が前記割引内容を特定可能な形式 とする補正である まず, 補正前の請求項 1 に記載された 前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式 における 形式 の意義について検討すると, 本件明細書には, 店舗の会計担当者が決済端末 3 に当該数字を入力したり ( 0020 ), 決済端末 3 は, 顧客の購入する商品やクーポン券 6 のクーポン ID をバーコードにより認識する ( 0023 ), 電子マネーカード 5 にクーポン情報を記憶させるように構成することもできる ( 010 6 ) との記載がある これらの記載に照らせば, 補正前の請求項 1 に記載された 前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式 における 形式 とは, 例えば 数字 や バーコード, 電子マネーカード に記憶されるデータのような, 会計担当者が決済端末に入力したり, 決済端末が特定することを可能とする, 割引内容識別情報の表示 ( クーポン券への印字 印刷 ) 形式ないし記録形式をいうものと認められる 言い換えれば, 補正前の請求項 1 においては, 決裁端末 に入力可能な割引内容識別情報の表示形式ないし記録形式が, 会計担当者が入力可能な形式であるか, あるいは, 決裁端末が特定可能な形式であるかについては, そのいずれとも限定されていなかった これに対し, 補正後の請求項 1 においては, 形式 について, 補正前の 前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式 に付加して 且つ当該決済端末が前記割引内容を特定可能な形式 とする補正により, 補正後の請求項 1 においては, 決裁端末 に入力可能な割引内容識別情報の表示形式ないし記録形式は, 決裁端末が特定可能な形式に限定された これを, 請求項 1 に記載された 決裁端末 についてみると, 補正前の請求項 1 においては, 決裁端末 は, それが 実店舗に設置された ものであることと, 割引内容の適否を判断する ものであることのみによって特定されているにすぎなかった 補正後の請求項 1 においては, 上記特定事項に加えて, 割引内容を特定可能 という構成によっても特定されることになったものである そうすると, 請求項 1 の補正は, 補正前の請求

項には存在しなかった構成を付加するものというべきである したがって, 請求項 1 の補正は, 特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号かっこ書に規定する 補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの という要件 (2 の要件 ) を充足しない ~ 請求項 2 前半の補正について ~ 請求項 2 前半の補正は, 補正前の請求項 1 に記載された 複数の割引内容識別情報にそれぞれ関連づけて複数の割引内容を記憶する記憶装置 における 記憶装置 について, 新たに追加した請求項 2 前半において, 前記記憶装置は, 前記実店舗に設置されており とする補正である 記憶装置 は, 補正前の請求項 1 においては, 記憶される情報の内容によって特定されているのに対し, 補正後の請求項 2 においては, 記憶される情報の内容によってではなく, 記憶装置が設置される場所によって特定されている したがって, 請求項 2 前半の補正は, 特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号かっこ書に規定する 補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの という要件 (2 の要件 ) を充足しない 原告は, 補正後の請求項 1 における 記憶装置 は, 実店舗内あるいは実店舗外の例えばデータセンター等に設置された記憶装置を含んでいるのに対し, 請求項 2 は, このうち, 実店舗内に設置された記憶装置 に発明を限定するものであって, 請求項 2 前半の補正は, 請求項 1 の発明の技術的範囲内において, さらに発明を限定するものであるから, 発明を特定するために必要な事項を限定するもの に該当する旨主張する しかし, 請求項 2 前半の補正の適否の判断に当たり, 補正後の請求項 2 の記載と対比すべきは補正前の請求項 1 の記載であって, 補正後の請求項 1 の記載ではない したがって, 補正後の請求項 1 における 記憶装置 と補正後の請求項 2 の 記憶装置 とを対比する原告の主張は, それ自体失当である そして, 補正前の請求項 1 において, 記憶装置 は, 記憶される情報の内容によってのみ特定されていたのであり, 補正後の請求項 2 において, 同特定事項に加えて, 記憶装置が設置される場所によっても特定されることになったのであるから, これが, 補正前の請求項には存在しなかった構成を付加するものであって, 発明を特定するために必要な事項を限定するもの に該当しないことは明らかである ~ 請求項 2 後半の補正について ~ 請求項 2 後半の補正は, 補正前の請求項 1 に記載された 前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式 における 形式 について, 新たに追加した請求項 2 後半において, 前記出力手段が出力する前記形式は, 前記決済端末が特定する割引内容に関連づけられた前記割引内容識別情報である とする補正である 補正前の請求項 1 に記載された 前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式 における 形式 とは, 例えば 数字 や バーコード, 電子マネーカード に記憶されるデータのような, 会計担当者が決済端末に入力したり, 決済端末が特定することを可能とする, 割引内容識別情報の表示 ( クーポン券への印字 印刷 ) 形式ないし記録形式をいうものと認められる これに対し, 補正後の請求項 2 においては, 前記形式は, 前記割引内容識別情報である と記載されており, これによれば, 形式 は, 割引内容識別情報 そのものをいうものと認められる そうすると, 請求項 2 後半の補正は, 補正前の請求項 1 の 形式 及びこれに係る限定を除くことになる すなわち, 形式 が 割引内容識別情報 そのものを指すことになれば, 補正後の請求項 1 は, 補正前の請求項 1 における 入力される割引内容識別情報に基づいて前記記憶装置から取得される割引内容の適用可否を判断する前記実店舗に設置された決済端末に入力可能な形式で という限定を除くことになり, 特許請求の範囲を拡張することになる したがって, 請求項 2 後半の補正は, 特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号に規定する 特許請求の範囲の減縮 という要件 (1 の要件 ) を充足しない 原告は, 請求項 2 後半の補正は, この情報 ( 出力手段で出力される情報 ) が 割引内容識別情報 であることを限定するものであるから, 請求項 1 の 前記形式 を前提としたものであり, 前記形式 に該当する限定を除くものではなく, 請求項 1 を正に限定するものであると主張する しかし, 請求項 2 後半の補正の適否の判断に当たり, 補正後の請求項 2 の記載と対比すべきは補正前の請求項 1 の記載であって, 補正後の請求項 1 の記載ではない したがって, 出力手段で出力される情報について, 補正後の請求項 1 の記載と補正後の請求項 2 の記載とを対比する原告の主張は, それ自体失当である そして, 補正前の請求項 1 において, 形式 は, 割引内容識別情報の表示形式ないし記録形式を意味するものとして記載されていたのに対し, 補正後の請求項 2 においては, 割引内容識別情報そのものを意味するものとして記載されて

いるのであるから, これが, 割引内容識別情報の表示形式ないし記録形式を限定するものでないことはもとより, 補正前の請求項 1 における 形式 に係る限定を除くものであることは明らかである したがって, 原告の上記主張は, 採用することができない 以上のとおり, 請求項 1 の補正及び請求項 2 を追加する補正は, 特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号所定の 特許請求の範囲の減縮 を目的とするものに該当しない <4. 私見 考察 > (1) 審査基準第 Ⅲ 部第 Ⅲ 節 4.3.2(2) では 第 17 条の 2 第 5 項第 2 号かっこ書きの 限定する の解釈において 発明を特定するための事項を 限定する 補正とは 1 補正前の請求項における 発明を特定するための事項 の一つ以上を 概念的により下位の 発明を特定するための事項 とする補正であるとしている そして 作用で物を特定しようとする記載を用いた発明特定事項 ( 機能実現手段等 ) に対し その作用とは別個の作用を有する発明特定事項は 通常 概念的に下位のものとは認められないとしている このため 請求項 1 の補正と 請求項 2 の前半の補正とが上記 2 の要件を満たしていないことについては 審査基準からすると妥当な判断であると考える (2) 判決文からは 特許法 17 条の 2 第 5 項 2 号所定の 特許請求の範囲の減縮 を目的とするものに該当するのであれば 増項補正であっても当該補正は認められる ともとらえることができる しかし 基本的には 審査基準 や 審判請求の審理に関する Q&A に記載されている内容で判断が行われ 現状では 択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする 場面のように ごく限られた場面でのみ認められているようである ここで 増項補正に関する過去の判例について調べた ~ 平成 17( 行ケ )10192 号 ~ 補正前の請求項 2 及び請求項 3 の発明特定事項を, 本件補正前の請求項 1 に繰り入れて, 実質的に前記請求項 2 及び請求項 3 を削除することにより, 請求項の項数を 2 個削減した上で, 本件補正前の請求項 1 に記載されていた発明特定事項の 耐火膨張シート (b) を, さらに本件補正後の請求項 2 から請求項 5 までの新たな 4 個の請求項に展開させることにより, 実質的に 4 個の新たな請求項が追加記載されたものであり, その結果として, 本件補正により, 差し引き 2 個の請求項が増加していることになる 当該一つの請求項を削除して新たな請求項をたてるとか, 当該一つの請求項に係る発明を複数の請求項に分割して新たな請求項を追加するというような態様による補正を予定しているものではないとした上, 本件のように, 一つの請求項に記載された発明を複数の請求項に分割して, 新たな請求項を追加する態様による補正は, たとえそれが全体として一つの請求項に記載された発明特定事項を限定する趣旨でされたものであるとしても, 特許法 17 条の 2 第 4 項 2 号の定める 特許請求の範囲の減縮 には当たらない ~ 平成 19 年 ( 行ケ ) 第 10335 号 ~ 旧特許法 17 条の 2 第 4 項は, 審判請求に伴って行われる場合における特許請求の範囲についてする補正は, 同項 1 号ないし 4 号に掲げる事項を目的とするものに限ると規定しているもので, 請求項を増加させる補正は, 原則として, 同項で補正の目的とし得る事項として規定された 請求項の削除 (1 号 ), 特許請求の範囲の減縮 (2 号 ), 誤記の訂正 (3 号 ) 及び 明りょうでない記載の釈明 (4 号 ) のいずれにも該当しないものと解するのが相当である 以上から 最後の拒絶理由通知時 又は審判請求時において 増項補正は 基本的には補正却下されるリスクが大きいと考えられる このため 本件判決文に過度な期待を寄せず 出願時から増項補正を行わなくてもよいクレーム展開を行ったり 最初の拒絶理由通知時において 後に補正要件が厳しくなる場合に備えて 特許査定につながりそうな請求項を予め追加したりするのが望ましい 以上