答申

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答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

大情審答申第 号

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( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に

横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

(Microsoft Word - 06 \223\232\220\\\217\221\201i\214\210\222\350\201j.doc)

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

11総法不審第120号

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

個人情報保護規定

個人情報保護方針

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

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メ 札幌市オンブズマン条例 平成 12 年 12 月 12 日条例第 53 号 改正 札幌市オンブズマン条例 平成 15 年 10 月 7 日条例第 33 号 平成 20 年 11 月 7 日条例第 36 号 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 第 4 条 ) 第 2 章責務 ( 第 5 条 第 7

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

個人情報の保護に関する

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

第1 審査会の結論

個人情報の保護に関する規程(案)

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

個人情報保護規程

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

第 4 条公共の場所に向けて防犯カメラを設置しようとするもので次に掲げるものは, 規則で定めるところにより, 防犯カメラの設置及び運用に関する基準 ( 以下 設置運用基準 という ) を定めなければならない (1) 市 (2) 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 260 条の2

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

保健福祉局地域福祉課

( 登録の審査及び登録 ) 第 7 条市長は, 前条の規定による申請を受けたときは, 第 5 条に規定する登録の要件を満たしていることを確認の上, 届出のあった情報を登録するものとする ( 登録情報の利用 ) 第 8 条市長は, 次に掲げる事由に該当するときは, 市民等の生涯学習活動を促進し, 又は

11総法不審第120号

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

別紙 答申 1 審査会の結論 委託事業者の企画提案書 及び 選考会議の資料 について行われた部分公開の決定は 妥当である 2 異議申立ての趣旨 (1) 異議申立人 ( 以下 申立人 という ) は 神戸市情報公開条例 ( 以下 条例 という ) に基づき 以下の公開請求 ( 以下 本件請求 という

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

privacypolicy

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

Microsoft Word - 素案の概要

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

答申第203号(公表用)

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

第 3 条市長は 前条に規定する申請に基づいて医療費の給付を受けることができる者であることを確認したときは 申請者に重度心身障がい者医療費受給者証 ( 第 2 号様式 以下 受給者証 という ) を交付するものとする 2 前項の受給者証の資格取得日は 市長が交付決定をした日の属する月の翌月の初日 (

財団法人日本体育協会個人情報保護規程

Microsoft Word - guideline02

鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等に関する規則 平成 19 年 3 月 31 日規則第 15 号 改正 平成 21 年 2 月 16 日規則第 2 号平成 21 年 8 月 25 日規則第 28 号平成 28 年 3 月 25 日規則第 17 号鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等

保健福祉局地域福祉課

報主体の権利利益及びプライバシーの侵害の防止に関し 必要な措置を講じるよう勤める 2 本センターの職員等は 業務上知り得た個人情報を漏えいし または不当な目的に使用してはならない 第 2 章 管理体制及び責任 ( 管理体制 ) 第 6 条本センターは 個人情報の適切な管理を効果的に実施するため 役割

基づく事業協同組合並びにこれらに準ずる団体 ⑶ 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 244 条の2 第 3 項に規定する指定管理者 ( 以下 指定管理者 という ) ⑷ 地方自治法第 260 条の2 第 1 項に規定する地縁による団体及び町会 自治会その他これらに準ずる団体 ⑸

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

新請願・陳情全部

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

財団法人杉並区スポーツ振興財団個人情報保護規程

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第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

14個人情報の取扱いに関する規程

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

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おいて開催されていた法の制度運営に関する検討会の報告 ( 平成 17 年 3 月 29 日 ) では, 法の運用に関する改善措置として, 理由付記に関して 特に, 文書不存在を理由とする不開示決定については, 例えば, 請求対象文書をそもそも作成 取得していない, 作成したが保存期間が経過したので廃

個人情報の取扱いに関する規則 平成 12 年 9 月 29 日 奈良県規則第 2 2 号 改正 平成 13 年 3 月 30 日 規則第 68 号 改正 平成 17 年 3 月 29 日 規則第 30 号 改正 平成 18 年 3 月 31 日 規則第 38 号 改正 平成 27 年 9 月 25

個人情報管理規程

論 点 整 理 表

個人情報の取り扱いに関する規程

学校法人久留米大学個人情報の保護に関する規程

- 2 - ⑷ 保育所又は学童クラブにおいて 保育又は学童クラブの目的を達成するために 児童又はその保護者に対してされる行政指導 ⑸ 市の職員 ( 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 2 条に規定する地方公務員に該当する職員をいう 以下同じ ) 又は市の職員であった者に対して

( 誓約事項 ) 児童福祉法第 19 条の9 第 2 項に該当しないことを誓約すること 1 第 1 号関係申請者が 禁錮以上の刑に処せられ その執行を終わり 又は執行を受けることがなくなった日を経過していない 2 第 2 号関係申請者が 児童福祉法その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律 ( 医

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Microsoft Word - 答申第41号.doc

平成11年6月8日

Microsoft PowerPoint - 03 要綱概要版

<様式2> 個人情報ファイル簿(単票)

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

Taro-議案第13号 行政手続条例の

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

事案である 3 仲裁合意本件では 申立人の申立書において仲裁合意の内容の記載があり 被申立人は答弁書においてこれを争わなかったので 本件についての書面による仲裁合意が存在する なお 被申立人は審問期日においても本仲裁に応じる旨の答弁をした 4 当事者の主張 (1) 申立人の主張申立人は 請求を基礎づ

2 前項の規定による通知を行った場合において 市長は 当該特定空家等の所有者等が除却 修繕 立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置を講じたことにより特定空家等の状態が改善され 特定空家等でないと認めるときは 遅滞なくその旨を 特定空家等状態改善通知書 ( 様式第 7 号 ) に

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学校法人金沢工業大学個人情報の保護に関する規則

社会福祉法人渋谷区社会福祉事業団 個人情報保護規程 第 1 章 総則 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 社会福祉法人渋谷区社会福祉事業団 ( 以下 事業団 という ) が保有する個人情報等の取扱いについての基本的事項を定め 個人の権利利益の保護及び人格の尊重を図るとともに 事業の適正な運営に資する

< F2D95F193B98E9197BF D86A D D96B1>

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

26労271棄却(業務上外)

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

当該実施機関が保有しているものをいう ただし 公文書 ( 越谷市情報公開条例 ( 平成 11 年条例第 10 号 ) 第 2 条第 2 項に規定する公文書をいう 第 7 号において同じ ) に記録されているものに限る (4) 事業者法人その他の団体 ( 実施機関並びに国及び他の地方公共団体を除く )

高齢者虐待防止対応マニュアル別冊 6 関係機関との連携 (1) 各機関の役割 市町村や地域包括支援センター等の関係機関は それぞれ対応可能な範囲があります 範囲を超えた対応は行うことができません また 事例によって関係機関の対応を依頼する場合があります 市町村が中心となるコアメンバー会議によって 大

足利市妊産婦医療費助成条例 昭和 48 年 3 月 23 日条例第 2 号改正昭和 49 年 6 月 11 日条例第 38 号昭和 59 年 12 月 20 日条例第 32 号昭和 62 年 3 月 23 日条例第 7 号平成 6 年 12 月 21 日条例第 35 号平成 10 年 3 月 24

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

情報公開に係る事務処理規則 ( 平 18 規則第 16 号平成 18 年 8 月 1 日 ) 改正平 19 規則第 52 号平成 19 年 9 月 21 日平 26 規則第 2 号平成 26 年 5 月 13 日平 26 規則第 22 号平成 27 年 3 月 31 日 第 1 章総則 ( 目的 )

個人情報保護規程例 本文

Transcription:

答 申 第 1 審議会の結論公立大学法人名古屋市立大学 ( 以下 実施機関 という ) の行った非消去決定は妥当でないので 本件異議申立ての対象となる保有個人情報は 消去すべきである 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 1 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26 号 以下 条例 という ) に基づき 実施機関に対し 異議申立人が同月 14 日に取得したカルテに記載の面談内容に関する個人情報 ( 以下 本件対象情報 という ) の消去請求 ( 以下 本件消去請求 という ) を行った 2 同年 2 月 18 日 実施機関は 本件消去請求に対して 以下の理由により 非消去決定 ( 以下 本件処分 という ) を行い その旨を異議申立人に通知した 条例第 7 条の規定に違反して 本件記載内容を保有しているとは認められない (1) 個人情報を取り扱う事務の目的が明確であること実施機関は 条例第 6 条に基づき 診療録事務について個人情報を取り扱う事務として名古屋市長に届け出ることにより 外来診療の記録を目的として保有個人情報を取り扱う事務を処理している (2) 事務の目的を達成するために必要な範囲内で保有すること外来カルテの保有は 外来診療の記録を目的としている カルテに患者との面談で知り得た医療に関する相談内容を診療の記録として残すことは 患者との対応の経過を診療情報として記録に残し 医師を始めとした他の医療従事者との連絡調整を図るために必要なことであり 当該目的を達成するための一つの手段である また 本件対象情報は 医師が作成する患者の診療情報提供書に対する対応についての記載であり 医療に関する相談内容に含まれる よって 本件対象情報の保有は 当該目的を達成するために必要な範囲内であるといえる 1

3 同年 3 月 26 日 異議申立人は 本件処分を不服として 実施機関に対して 異議申立てを行った 第 3 異議申立人の主張 1 異議申立ての趣旨本件処分を取り消す との決定を求めるものである 2 異議申立ての理由異議申立人が異議申立書 反論意見書及び口頭による意見陳述で主張している異議申立ての理由は おおむね次のとおりである (1) 今回 希望もしていないのに 勝手に診療情報提供書を出され 医療ソーシャルワーカーとの話の行き違いでこのようなことになって 半年以上も苦しめられている あまり 病人や を馬鹿にしないでほしい 正しい判決を求める 真実は一つである (2) 外来診療記録を目的として 無理矢理に真実でないことを記載している 条例第 6 条に定められた個人情報取扱事務の届出事項である記録項目であるが 私の医療に関係のない個人情報の記録項目も疑問に思う カルテの必要条件でないことも多く 本人の同意は得ていない 規定に反した事実でないことを記載している (3) 本人から取得していないため 条例第 8 条第 2 項に違反しており 公正ではない (4) カルテはあくまでも治療目的で 本人の同意もなく他人に開示してはいけない 実施機関は 事実でないことばかりで 公平とは言えない (5) 医者が診断しながらカルテを書くことは理解するが 本件対象情報については 医師にも相談していないことを 医療ソーシャルワーカーの独断で書いたものである 第 4 実施機関の弁明実施機関の弁明は おおむね次のとおりである 1 実施機関は 条例第 6 条の規定に基づき 診療録事務について個人情報を取り扱う事務として名古屋市長に届け出ることにより 外来診療の記録を目的として保有個人情報を取り扱う事務を処理しており 個人情報を扱う事務 2

の目的が明確である 外来カルテの保有は 外来診療の記録を目的としている カルテに患者との面談で知り得た医療に関する相談内容を診療の記録として残すことは 患者との対応の経過を診療情報として記録に残し 医師を始めとした他の医療従事者との連絡調整を図るために必要なことであり 当該目的を達成するための一つの手段である すなわち 医療は 単に医師のみが患者に提供するものではなく 医療に従事する多種多様な医療スタッフが 各々の高い専門性を前提に 目的と情報を共有し 業務を分担しつつも互いに連携補完し合い 患者の状況に的確に対応して提供するものである また 本件対象情報は 医師が作成する患者の診療情報提供書に対する対応についての記載であり 医療に関する相談内容に含まれる よって 本件対象情報の保有は 条例第 7 条に規定する 当該目的を達成するために必要な範囲内であるといえる なお 本件対象情報の取得及び保有は 職務上行ったことであり 条例と照らし合わせても 本人の同意を必要とするものではない 2 本件対象情報は 異議申立人と実施機関の職員との間の面談内容を記載したものである この記載内容は 異議申立人とのやり取りについて 客観的に事実を記載し 併せて実施機関の判断を記載したものであるが 当該やり取りの内容は 正に 異議申立人本人から取得したものであるから 本件対象情報の取得は 条例第 8 条第 2 項の規定に違反するものではない 3 異議申立人は 本人の同意もなく 他人に個人情報を開示していると述べているが カルテは 原則として 名古屋市立大学医学部附属病院長 ( 以下 病院長 という ) の承認した職員しか閲覧できず 職員以外の者が閲覧するものではない 第 5 審議会の判断 1 争点本件対象情報の保有が 条例第 7 条に違反するか否かが争点となっている 2 条例の趣旨条例の目的は 第 1 条に規定しているように市民の基本的人権の保護及び市政の適正かつ円滑な運営の確保に寄与しようとするものである そして このような目的を達成するために 条例第 41 条第 1 項は 実施機関から開示を受けた保有個人情報が 事務の目的を達成するために必要な範囲を超えて 3

保有されているとき 適法に取得されたものでないとき 条例第 11 条の規定に違反して事務の目的以外の目的で利用又は提供されているときに 本人がその消去並びに利用の停止及び提供の停止を請求することができる権利を保障したものである 3 本件消去請求に至る経緯について当審議会の調査によると 本件消去請求に至る経緯について 次の事実が認められる (1) 平成 23 年 1 月 14 日 異議申立人は 病院長に対し 名古屋市立大学病院診療情報提供要綱 ( 平成 13 年 7 月 1 日病院長決裁 ) 第 6 第 2 項に基づき 本件対象情報の提供の申込みを行った (2) 同日 病院長は 本件対象情報を異議申立人に提供した 4 本件消去請求について当審議会は 本件対象情報の保有に関し 診療録事務に必要な範囲内か否かについて 次のように判断する (1) 医療ソーシャルワーカーが電子カルテの記載権限を有することについてア名古屋市立大学医学部附属病院 ( 以下 名古屋市立大学病院 という ) の医療ソーシャルワーカーは 社会福祉士の資格を有しており 社会福祉士は 社会福祉士及び介護福祉士法 ( 昭和 62 年法律第 30 号 ) 第 2 条の規定により 専門的知識及び技術をもって 身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ 助言 指導 福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者とされている イ実施機関が 名古屋市立大学病院管理部医事課職員 ( 以下 医事課職員 という ) である医療ソーシャルワーカーに 社会福祉士の資格を要件としているのは 医師その他の保健医療サービスを提供する者と連絡調整を行い 相談援助を行う福祉専門職として 療養中の患者の心理的 社会的問題の解決や調整援助 退院援助 社会復帰援助 受診 受療援助 経済的問題の解決等の業務を担当することにより 医療行為に付随 関連する福祉的なサービスを提供することによって より質の高い医療の提供に資することを目的としていると考えられる 4

ウしたがって 医療ソーシャルワーカーは 医療行為を行うことができる者ではないとしても 名古屋市立大学病院情報システム ( 以下 病院情報システム という ) 上 各診療科における診療録のほか看護記録等を含んだ 患者ごとに編成された統合的な電子カルテに 担当業務に関する事項について記載する権限を有することは チーム医療を提供する観点からも有益であり 妥当であると認められる (2) 本件対象情報の性格についてア本件対象情報の記載は 異議申立人に対する診療情報提供書の発行に関し 異議申立人の同意の有無について 名古屋市立大学病院と異議申立人との間で 紛争が生じたことに起因するものである イまず 異議申立人の平成 22 年 12 月 17 日より前の電子カルテの記載を見ると 診療情報提供書に関して 科医師とのやりとりから始まり 医療ソーシャルワーカーが対応にあたった経緯が記載されている そのうち 医療ソーシャルワーカーによる記載内容は 異議申立人からの診療情報提供書に関する申立てやそれに対する病院側の説明である これらは 他の医療機関の紹介及び他の医療機関との連絡調整に関する事項であり 診療情報提供書に関する相談支援として 医療ソーシャルワーカーの受診 受療援助に関する業務であると認められる ウ次に 本件対象情報は 同日に 異議申立人と医事課職員とが面談した時の記録である エこれに関し 本件対象情報の直前の記録である同月 3 日の医療ソーシャルワーカーによる電子カルテの記載事項の末尾には 以後自分を含め医療社会事業室職員への今回の診療情報提供書に関する相談は受けられないと通告し 対応を終結とした と記載されている また 本件対象情報のタイトルは 苦情対応 とされているが それより前の電子カルテの記載事項のタイトルは 相談支援 電話相談 等と異なる名称が付されている オまた 本件対象情報を見ると 同日の医療ソーシャルワーカーに対する異議申立人の暴言の内容及び医療ソーシャルワーカーから暴言を吐かれたとの申立て 同日の医療ソーシャルワーカーが異議申立人に診療情報提供書に関する相談は受けられないと通告したことに関する異議申立 5

人の申立て並びに同年 11 月 19 日の医療ソーシャルワーカーの回答に対する異議申立人の発言についての医療ソーシャルワーカーの評価が記載されているが これらは 診療情報提供書の内容とは直接関係のない 医療ソーシャルワーカーが以前行った相談支援から派生した 第二次的な事柄に関する情報である このほか 医療ソーシャルワーカーが異議申立人に対応した時間及び が異議申立人を迎えに来たことに関する記載は 診療情報提供書とは関係のない情報である カ以上のことから 本件対象情報は 診療情報提供書に関することが紛争の発端であるとしても 全体として見れば 診療情報提供書に係る相談支援に関するものではなく 異議申立人からの苦情に関する事項であると認められる (3) 本件対象情報を電子カルテにおいて保有する必要性についてア本件対象情報を 電子カルテに記載することが必要か否かを判断する イ実施機関は 本件対象情報は 診療情報提供書に関する記載事項であり 条例第 6 条第 1 項に基づき 名古屋市長に届け出ている保有個人情報の記録項目のうち 健康状態 に該当するとしている ウ確かに 診療情報提供書は 患者の疾病に関する内容を含むものであり それに関して 医療ソーシャルワーカーが医師等との連携のもとに行う相談支援の内容も 患者の 健康状態 に関する個人情報に含めて考えることが可能である エしかし 本件対象情報には 診療情報提供書の内容についての記載はなく また 医療ソーシャルワーカーが異議申立人との対応にあたったこと自体も 医療ソーシャルワーカーに対する異議申立人の苦情に関しての応対であり 相談支援とは性質が異なることから 本件対象情報が診療情報提供書に関する記載を一部含むことをもって 健康状態 に該当するとは認められない なお 異議申立人の暴言についても 疾病の症状としての暴言とも認められないことから 健康状態 に該当しないと認められる オまた 名古屋市立大学病院の電子カルテは 病院情報システム上 名古屋市立大学病院の医師及び看護師 ( 以下 医師等 という ) が 全 6

患者について閲覧することができることとされていることから 異議申立人の診療等に関わっていない医師等についても 異議申立人からの苦情に関する事項を閲覧することが可能となっている カこれに関し 異議申立人からの苦情に関する事項を 名古屋市立大学病院の医師等が閲覧可能な状態に置く必要があるか否かについては チーム医療を前提としても 診療情報提供書に関する紛争が 科において発生し その後 医療ソーシャルワーカーによる対応が継続していたが 紛争が病院全体に波及することなく 局所的な範囲にとどまっていたことから 本件対象情報を名古屋市立大学病院の医師等が共有し 病院全体として対処しなければならない必要性が大きいとも認められない キしたがって 本件対象情報を電子カルテに記載することは 診療録事務の目的を達成するために必要な範囲内における個人情報の保有ではないと認められる (4) 以上のことから 本件対象情報は 条例第 7 条の規定に違反して保有されていると認められる 5 上記のことから 第 1 審議会の結論 のように判断する 第 6 審議会の処理経過 年 月 日 処 理 経 過 平成 23 年 4 月 5 日 諮問書の受理 4 月 15 日 実施機関に弁明意見書を提出するよう通知 5 月 6 日 実施機関の弁明意見書を受理 5 月 9 日 異議申立人に弁明意見書の写しを送付 併せて 弁明意見書に対する反論があるときは反論 意見書を 口頭での意見陳述を希望する場合は意見陳 述申出書を提出するよう通知 5 月 13 日 異議申立人の反論意見書を受理 7 月 13 日 ( 第 156 回審議会 ) 調査審議実施機関の意見を聴取 8 月 10 日 ( 第 157 回審議会 ) 調査審議異議申立人の意見を聴取 7

9 月 14 日調査審議 ( 第 158 回審議会 ) 10 月 12 日調査審議 ( 第 159 回審議会 ) 10 月 18 日答申 8