Microsoft Word - 事前評価表 (セット版).doc

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド


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2008年6月XX日

事業事前評価表_新様式

めて整備され 文化大革命期の制度の断絶を経て 1980 年代に復活し 徐々に適用対象が拡大されてきた しかし 農村部は一貫して適用対象から外れ 1980 年代の後半に漸く農村部のみを対象にした養老保険制度が一部の豊かな農村を対象に開始された その後中国政府は農村部の養老保険制度の確立を重視してきた

事業事前評価表_新様式

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112 条においても 自由特区の拡大が謳われている 現在ゲシュム島と本国を結ぶ橋を建設中 (3 年後に完成予定 ) で 島内の港を拡張する計画もあり イランにのみならず 独立国家共同体 ( 以下 CIS) 諸国等への物流経路としても ゲシュム島の経済的重要性は今後益々高まると考えられる ゲシュム島の

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の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

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事業事前評価表

おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ セン

(b) マカッサル パレパレ間 1. Trans-Sulawesi Makassar-Parepare( 約 150Km 4 車線以上 ) 3. 協力の必要性 位置付け (1) 現状及び問題点 インドネシア国においては これまで実施してきた開発政策の実施により 国全体としての国民の生活と福祉の質の向

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1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

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第 3 章事業事前評価表 ( 技術協力プロジェクト ) 1. 案件名ブルキナファソ国学校運営委員会支援プロジェクト 2. 協力概要 (1) プロジェクト目標とアウトプットを中心とした概要の記述本プロジェクトは ブルキナファソ国内 2 州 ( 中央プラトー州 東部中央州 ) において 州 県 CEB

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

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周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

平成 31 年度 地域ケア会議開催計画 魚津市地域包括支援センター 平成 31 年 4 月

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資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

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大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

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火山防災対策会議の充実と火山活動が活発化した際の協議会の枠組み等の活用について(報告)【参考資料】

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1 開発途上国 地域の経済 社会の発展 復興への寄与 活動計画表 活動結果表の作成と配属先との合意 JICA ボランティア事業は 同じく JICA が実施する技術協力事業とは異なる点があります 中でも大きな違いは目標の設定方法です 専門家派遣や技術協力プロジェクトでは 派遣される専門家がそれぞれの事

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ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

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(3) その他 全日制高校進学率の向上を図るため 更に公私で全体として進学率が向上するよう工夫する そのための基本的な考え方として 定員協議における公私の役割 を次のとおり確認する 公立 の役割: 生徒一人ひとりの希望と適性に応じて 多様な選択ができるよう 幅広い進路先としての役割を担い 県民ニーズ

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政府開発援助大綱 平成 15 年 8 月 29 日 外務省経済協力局

責任ある農業投資 - 原則の策定に向けた背景と概要 年 7 月 外務省

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

るための HIV 予防という マダガスカルの開発ニーズに合致していた 事前評価時における日本の援助方針との整合性 2006 年の日本とマダガスカルの経済協力政策対話に基づく 健康状態の改善を含む 農業 漁業 農村開発に向けたインフラの維持と人材開発を重点とする 日本の援助方針に合致していた 評価判断

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スライド 1

事業事前評価表

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Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

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事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

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基本的な考え方 羽田空港の機能強化は 首都圏だけでなく日本全体にとって不可欠であり 機能強化の必要性やその実現方策等について 関係自治体の協力も得ながら できる限り多くの方々に知って頂くように努める 基本的な考え方 1 羽田空港の機能強化の必要性やその実現方策等について できる限り多くの方々に知って


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4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

事業事前評価表

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は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

1-1 SPC の経営理念 方針 本事業を長期にわたり運営していくにあたってのSPCの経営理念 方針について記載してください なお 以下の事項については必ず記載してください ( 統括マネジメント業務全体でA4 判 60 枚以内で記載してください なお 各業務における 4 業務の実施費用 の項について

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

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三鷹市指定管理者制度導入の基本方針(仮称)検討試案

0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

3. 現地工事実施にかかる許認可業務対象国にて現地工事を実施する場合 現地工事の対象となる土地の所有者の確認 使用の許可や現地工事を管轄する省庁からの許認可の必要の有無を受注者が必ず確認してください 許認可や利用許諾等が必要な場合は それらを取得してから下請負先と契約締結し 現地工事の発注を行うよう

第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

(1) 当該団体が法人格を有しているか 又は法人格のない任意の団体のうち次の1~2の要件を全て満たすもの 1 代表者の定めがあること 2 団体としての意思決定の方法 事務処理及び会計処理の方法 並びに責任者等を明確にした規約その他の規定が定められていること (2) 関係市町村との協議体制を構築してい

政策目標 6-2: 開発途上国における安定的な経済社会の発展に資するための資金協力 知的支援を含む多様な協力の推進 1. 政策目標の内容自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向け 開発途上国における貧困の問題や気候変動等の地球環境問題等の課題への対応を含む国際的な協力に積極的に取り組むこ

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貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

)各 職場復帰前 受入方針の検討 () 主治医等による 職場復帰可能 との判断 主治医又はにより 職員の職場復帰が可能となる時期が近いとの判断がなされる ( 職員本人に職場復帰医師があることが前提 ) 職員は健康管理に対して 主治医からの診断書を提出する 健康管理は 職員の職場復帰の時期 勤務内容

事業事前評価表

2.MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針の策定 公表 MUFG は お客さま本位の取組みの徹底を図るため グループ共通の指針となる MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 を策定 公表します 本方針の下 グループ各社がお客

Transcription:

事業事前評価表 ( 開発計画調査型技術協力 ) 作成日 : 平成 23 年 10 月 5 日担当部 : 東南アジア大洋州部 1. 案件名ミンダナオ紛争影響地域コミュニティ開発のための能力向上支援プロジェクト 2. 協力概要 (1) 事業の目的本事業は ミンダナオ紛争影響地域において効果的 効率的なコミュニティ開発に係る仕組みづくりを行うと共に バンサモロ開発庁 (BDA) の能力強化を図る (2) 調査期間 2012 年 3 月から 3 年間 (3) 総調査費用 :4.8 億円 (4) 協力相手先機関 : 実施機関 : 和平プロセス担当大統領顧問室 (Office of Presidential Advisor on the Peace Process: OPAPP) 協力機関 : バンサモロ開発庁 (Bangsamoro Development Agency) (5) 計画の対象 ( 対象分野 対象規模等 ) ミンダナオ紛争影響地域全体を対象とする パイロット事業は 20 箇所程度を予定 3. 協力の必要性 位置付け (1) 現状と問題点 紛争分析ミンダナオ島はフィリピン共和国 ( 以下 フィリピン ) の南部に位置する面積 10.2 万平方キロ 人口約 2,160 万人 (2007 年統計 ) の島である 特に南西部 中部ミンダナオ地域では 30 年以上に及ぶ紛争の影響でフィリピン国内でも貧困率が高い地域となっており ( 全国平均の 26.5% に対し ミンダナオ紛争影響地域を含む第 10~13 地域では 31.3%~47.8% (NSCB,2009)) 学校 保健所等の基礎的社会サービスの著しい不足やインフラの老朽化などの課題を抱えている 1996 年にムスリム反政府グループの主たる勢力であったモロ民族解放戦線 (Moro National Liberation Front: MNLF) とフィリピン政府の和平合意が締結され 2000 年にムスリム ミンダナオ自治区 (Autonomous Region of Muslim Mindanao: ARMM) が正式に発足した その後も 1984 年に MNLF より分離したモロ イスラム解放戦線 (Moro Islamic Liberation Front: MILF) とフィリピン国政府との間で武力衝突が繰り返されていたが 2001 年に政府と MILF との間で トリポリ協定 が締結され 安全保障 復興 開発 先祖伝来の土地 の三つの論点から成る和平交渉の枠組みが合意された 同合意に基づき 紛争影響地域の復興 開発 人道活動を担うグループとして MILF のもとでバンサモロ開発庁 ( 以下 BDA) が結成された 本年 4 月にはアキノ新政権下での MILF との和平交渉が開催され 紛争の政治的解決に向けた当事者間の和平交渉プロセスが継続されている 和平の鍵を握るミンダナオの統治体制に関連し 自治権を有する行政組織を新たに設置する方向で和平交渉が進む見込みであり 和平が成立した際は BDA もその一部となることと想定されている よって 和平合意前において BDA に対して能力強化を図ることが必要である 紛争要因 / 不安定要因としては フィリピン政府と MILF との和平交渉の停滞や地方政府の行政能力の低さ 帰還できない国内避難民 (IDP) i の存在及び帰還後の生計不安等があげられる一方で 政府と MILF の間の停戦合意が順守されていることが安定要因である 本プロジェクトは 和平合意成立後を見据えた BDA の能力強化を行うことを目的としており 主に上記不安定要因のうち 地方政府の行政能力の向上 帰還できない国内避難民の生活環境及び帰還後の生計改善等に貢献することが想定される また 本案件は和平に向けた環境

づくりとして BDA と域内の地方自治体やその他機関との関係構築及び信頼醸成を図る 一方で 本案件実施により土地所有権等をめぐるコミュニティ内の抗争が助長されないよう配慮を行う必要がある (2) 相手国政府国家政策上の位置づけフィリピン政府は 中期開発計画 (2011 年 ~2016 年 ) において 紛争解決に向けた取り組みとして 和平交渉を通じた政治的合意と 和平プロセスを円滑に進めるための紛争の原因改善への取り組みを掲げている 特に後者については 和平プロセス担当大統領顧問室 ( 以下 OPAPP) により紛争影響地域の復興と開発フレームワークである PAMANA が策定されている 右枠組みは紛争影響地域の住民への基礎的行政サービスを改善することにより 地域の貧困状態を軽減するとともに行政への信頼感を醸成し コミュニティ内の社会統合を促進することを目指しており 関係省庁 自治体並びにドナーに対し協力が求められている PAMANA は JICA が 2007 年から 2009 年にかけて実施した ミンダナオ紛争影響地域社会経済復興支援調査 (The Study for Socio-Economic Reconstruction and Development of Conflict Affected Areas in Mindanao. 以下 SERD-CAAM) の成果の一つである村落プロファイルを活用して策定されている SERD-CAAM で作成した開発計画を活かしつつ PAMANA のフレームワークを推進するためには BDA 地方自治体等 フィリピン側によるコミュニティレベルでの事業経験がさらに必要であると共に 参加型調査手法によるニーズ把握や個別事業の計画策定等を行うための 仕組みづくり が求められている このため 本事業では SERD-CAAM で取りまとめられた開発ニーズをレビューすると共に PAMANA に基づきコミュニティ開発事業が効果的 効率的に実施されるための仕組みづくりを行い ガイドラインとして取りまとめる (3) 他国機関の関連事業との整合性世銀はミンダナオ信託基金 (Mindanao Trust Fund: MTF) を通じて BDA をカウンターパートとした紛争影響地域での小規模インフラ整備を通じたコミュニティ開発に取り組んでいるほか JICA との協調融資である ARMM 社会基金等を通じて 村落を対象とした小中規模のインフラ整備を実施している 現在 BDA は世銀の支援のもと和平合意後を見据えた将来的なビジョン ( 役割や機能 ) の策定を検討している JICA は本プロジェクトの実施を通して BDA の能力強化支援に協力予定であり 世銀とも連携を図っていく (4) 我が国援助政策との関連 JICA 国別事業実施計画上の位置づけ我が国は 対フィリピン国別援助計画において 3 つの援助重点分野の一つとして ミンダナオにおける平和と安定 を掲げており これを踏まえ JICA は 1 政策立案 実施 2 基礎的生活条件の改善 3 経済開発 4 平和構築の 4 分野に関する支援を行っている これまでの協力実績としては 2003 年以降 ARMM 平和 開発社会基金事業 ( 円借款 ) を実施し 基礎的社会サービスのためのインフラ整備を支援しているほか SERD-CAAM にて紛争影響地域の開発計画策定支援と村落レベルのニーズ調査等を実施している 4. 協力の枠組み (1) 調査項目 1) コミュニティ開発ニーズのレビュー 2) BDA 地方自治体 主な開発アクター (NGO や住民組織など ) のアセスメント ( 体制 責任範囲 人員配置 実施中 計画中の事業等 ) 3) BDA や地方自治体等の能力強化のための研修アクションプランの策定 実施 4) パイロットプロジェクト ( 道路 給水施設 学校 保健施設等のインフラ整備及び農業 漁業等の生計向上支援等 これを計画 実施 維持管理するための住民組織の能力強化 )

の対象地域と受益者の選定 5) 上記 3) 研修成果を踏また パイロットプロジェクトの計画 実施 モニタリング 評価の実施 6) 上記 4) 及び 5) を踏まえて パイロットプロジェクトの実施を通じて得られた知見や教訓をもとに効果的 効率的なコミュニティ開発事業のためのガイドラインの策定 (2) アウトプット ( 成果 ) 1) パイロットプロジェクトの実施を通じてコミュニティ開発の経験 教訓が蓄積され 実践的なガイドラインとして取りまとめられる 2)BDA のコミュニティ開発に関する実施能力と自治体 関係省庁等との調整能力が強化される 併せて対象地域の地方自治体の能力が強化される (3) インプット ( 投入 ): 以下の投入による調査の実施 (a) コンサルタント ( 分野 : 人数 ) ア ) 総括 / 行政能力強化 イ ) コミュニティ開発 ( 道路リハビリ 給水 建築 生計向上支援等 )( 複数 ) ウ ) 社会調査 / 紛争予防配慮 エ ) 業務調整 / 調達 (b) その他研修員受入れ 5. 協力終了後に達成が期待される目標 (1) 提案計画の活用目標本事業で作成されるガイドラインが パイロットプロジェクト対象地域において BDA や地方自治体により継続的に活用される また OPAPP による PAMANA プログラムやその他フィリピン政府関連省庁等による紛争影響地域でのコミュニティ開発において 活用されることが期待される (2) 活用による達成目標本事業で作成されるガイドライン等の活用を通じて プロジェクト対象地域において 施設等の運営 維持管理が持続的に行われるとともに BDA や OPAPP 等が関連して実施する他のコミュニティ開発事業において紛争影響地域の現状に即した効果的 効率的な事業が実施される 6. 外部要因 (1) 協力相手国内の事情 和平プロセス : 和平合意は締結されておらず 最終和平成立の見通しは立っていない 和平合意の時期や和平合意の結果に基づいて設立される新自治政府の枠組み BDA に求められる役割についても流動的であることから 和平の動向を見定めつつ 柔軟性を持って対応する必要がある 治安情勢 : 対象地域は和平の動向によって治安の状況が変化する可能性があり 国軍と MILF との間の戦闘再開のリスクも存在するため 合同停戦調整委員会 (JCCCH) や国連安全保安局 (UNDSS) の情報等を通じた治安状況の確認と必要な安全対策措置を講じることとする (2) 関連プロジェクトの遅れ特になし 7. 貧困 ジェンダー 環境等への配慮 ( 注 ) 本案件は対象村落の貧困層を含む住民に裨益するものである パイロットプロジェクトの実施に際して 参加型による開発計画の策定 コミュニティの組織化を行うことを想定していることから 対象者のジェンダーバランスに配慮を行う

平和構築の観点からは 以下のとおり 1 プロジェクトを実施することにより 不安定要因を縮小 排除できるか ( ポジティブインパクト促進 ) 2 プロジェクトを実施することにより 不安定要因を助長しないか ( ネガティブインパクト回避 ) 3 不安定要因によりプロジェクトの進捗に支障を来さないか ( 負の影響の縮小 回避 ) の 3 つの視点が必要である (1) パイロット事業サイト及び裨益者の選定及びパイロット活動内容社会的公正の観点から 貧困層及び紛争の影響を最も受けた人々の生活の安定を優先することが重要である 一方で 和平プロセスへの負の影響を回避するためにも サイトを選定する際は 宗教 政治的観点から偏在がないよう留意するとともに 社会的不公平感を発生させないために コミュニティ全体に幅広く裨益する活動を支援するよう配慮が必要である 但し 貧困地域は地方自治体が機能不全状態にあるエリアも多く パイロット事業内容次第では実施体制についても勘案して対象地域を選定せざるを得ない なお 土地収用が必要となる事業を実施する場合においては 土地法による土地登記制度と伝統的制度が重複した制度が存在している点に留意が必要である また ミンダナオの場合 地元有力者等の政治的な要因に左右されやすい傾向があることから サイト選定に際しては対応に留意する必要がある (2) 実施体制将来の和平に向けて BDA と地方自治体及び関係省庁が 本プロジェクトの活動を媒体として 段階的に協働関係を構築できるよう工夫することが重要である また パイロット活動の実施を通じて BDA と中央政府 (OPAPP を含む ) との連絡 協働体制の構築を図ることも重要である 本事業では BDA が行政サービスの提供主体である地方自治体と協働し 行政サービス提供に係る実施体制を構築していくため 本事業終了後も 地方自治体による持続的な行政サービスの提供が見込める なお 和平交渉の行方次第では 現場のステークホルダー間の関係づくりが困難となる可能性も残されている 住民組織の設置に際しては 対象地域が宗教的にも民族的に異なるグループから構成されている場合は メンバーについても各グループからの均等な配分とする必要がある 8. 過去の類似案件からの教訓の活用 ( 注 ) SERD-CAAM の経験を踏まえて 以下の点を教訓として 本事業を実施する 1 パイロットプロジェクト対象地域及び対象事業を選定するにあたっては バランガイレベルではなく ミュニシパリティ 州レベル等より広域の視点をもって開発ニーズを把握した上で行うことが重要である 2 コミュニティ開発事業の持続性を確保するためには BDA がパイロットプロジェクトを通じて 行政サービスの主体者である地方自治体と協力関係を構築した上で コミュニティ開発事業の実施プロセス 実施体制を構築することが重要である 加えて プロジェクト終了後の自立発展性を強化するため モニタリング体制を構築することが重要である 3 コミュニティ開発においてオーナーシップを醸成し 適切な維持管理体制を確保するためには 地方自治体との事前のコンサルテーションを行うとともに住民に対して十分な事前説明 意見聴取や住民組織の強化などの社会的な受入準備 ( ソーシャル プリパレーション ) を丁寧に行うことが重要である 9. 今後の評価計画 (1) 事後評価に用いる指標 (a) 活用の進捗度 ガイドラインパイロットプロジェクト対象地域内での活用状況 紛争影響地域にて実施される他のコミュニティ開発事業における本ガイドラインの内容の活用状況 (b) 活用による達成目標の指標 地方自治体 住民組織によるパイロットプロジェクトの運営 維持管理状況

紛争影響地域にて実施される他のコミュティ開発事業において 本事業による教訓 提言を踏まえた対応事例等 (2) 上記 (a) 及び (b) を評価する方法及び時期 フォローアップ調査によるモニタリング 必要に応じ 事後評価を実施 ( 注 ) 調査にあたっての配慮事項 i フィリピン国軍と MILF との戦闘 コミュニティ内の抗争 ( リド ) 自然災害等に起因する国内避難民がマギンダナオ州中心に発生し 約 20,000~24,000 人が避難生活を送っている