平成13年度 社会福祉助成事業

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序文 特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会 ( 以下 協議会 という ) は キャリアコンサルタントの養成等に関わる団体を会員とし キャリアコンサルティング技能検定の実施 キャリアコンサルタントの能力の維持 向上 キャリアコンサルティングの普及啓発等の事業に取り組んでいます この度 勤労

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理念と使命

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・人は環境から切り離されては生きられないだけではなく、同時に、多様な環境に生きている

はじめに サントリーグループは 企業理念として定める 人と自然と響きあう と Growing for Good 及びサントリーグループ企業倫理綱領に基づき 安全 安心で高品質な商品 サービスをお届けするために 国連グローバル コンパクト 署名企業として公正 公平な取引を実施し サプライチェーン上のお

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

個人情報の取り扱いに関する規程

14個人情報の取扱いに関する規程

September 2005

平成18年度標準調査票

個人情報保護規定

包括規定 案

自治会における 個人情報取扱いの手引き 霧島市市民環境部市民活動推進課

個人情報保護規程

(3) 障害を理由とする差別障害を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいいます (4) 障害を理由とする不当な差別的取扱い客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく 障害又は障害に関連する事由により障害者を区別し 排除し 又は制限すること 障害者に障害者でない

大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ


ANNUAL REPORT

別紙(例 様式3)案

(6) 強制労働 児童労働禁止 わたしたちは いかなる強制労働及び児童労働にも関与しません (7) 労働安全衛生わたしたちは 労働安全衛生に関する法令や労働災害の防止のために定められたルールを順守します また 安全と健康を確保し 快適な職場環境の形成を促進し これらに反する行為はしません 2. オー

資料11-3 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)(案)

財団法人日本体育協会個人情報保護規程

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1. はじめに 本格的な地方分権の時代を迎え 市民に最も身近な地方自治体は 市民ニーズに応じた政策を自ら意志決定し それを自己責任の下に実行することがこれまで以上に求められており 地方自治体の果たすべき役割や地方自治体に寄せられる期待は ますます大きくなっています このような市民からの期待に応えるた

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5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

5. 対象者に対する態度研究者は 対象者の心身の安全に責任を持たなければならない 研究に参加することによって心身の問題や対人関係上の問題が対象者に生じないよう十分に配慮する必要がある また 年齢 性別 人種 信条 社会的立場などの属性にかかわる対象者の人権を尊重しなければならない 6. インフォーム

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JCROA自主ガイドライン第4版案 GCP監査WG改訂案及び意見

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個人情報保護規程例 本文

看護師のクリニカルラダー ニ ズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力 レベル Ⅰ 定義 : 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する 到達目標 ; 助言を得てケアの受け手や状況 ( 場 ) のニーズをとらえる 行動目標 情報収集 1 助言を受けながら情報収集の基本

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

看護部 : 教育理念 目標 目的 理念 看護部理念に基づき組織の中での自分の位置づけを明らかにし 主体的によりよい看護実践ができる看護職員を育成する 目標 看護職員の個々の学習ニーズを尊重し 専門職業人として成長 発達を支援するための教育環境を提供する 目的 1 看護専門職として 質の高いケアを提供

人権教育の推進のためのイメージ図

1 はじめに 本市では 平成 17 年に 鹿児島市安心安全まちづくり条例 を定め 地域の安全は地域で守る を基本理念に 市と市民 事業者等が連携 協働し 安心して安全に暮らせるまちづくりを進めてきました これまでに防犯パトロール隊や青色防犯パトロール車による防犯活動をはじめ 安心安全ネットワーク会議

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岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関 する条例 目次前文第一章総則 ( 第一条 - 第八条 ) 第二章基本的施策の推進 ( 第九条 - 第十六条 ) 附則 ( 前文 ) 手話が言語であることは 障害者の権利に関する条約において世界的に認められており わが国においても

ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

個人情報管理規程

評価項目 評価ポイント 所管部局コメント 評価 国際交流に関する情報の収集及び提供事業国際交流活動への住民の参加促進事業国際理解推進事業在住外国人に対する相談事業在住外国人に対する支援事業 安定 確実な施設運営管理 公正公平な施設使用許可や地域に出向いた活動に取り組むなど新たな利用者の増加に努め 利

第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

はじめに 宅地建物取引業は さまざまな個人情報を取り扱う職種であり 宅地建物取引業法第 45 条には業者の 秘密を守る義務 が明記されています 平成 17 年 4 月に 個人情報の保護に関する法律 いわゆる個人情報保護法が完全施行され 個人情報を保護するための法整備がなされました また今般 同法改正

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

1 策定の目的 この手引書は 茅ヶ崎市地域防犯カメラ ( 以下 地域防犯カメラ という ) の設置及び運用について配慮すべき事項を定めることにより 地域防犯カメラの有用性とプライバシー保護等との調和を図り 地域防犯カメラを適切かつ効果的に活用し 茅ヶ崎市の安心して安全に暮らせるまちづくりを推進するこ

本サイトにおける個人情報の利用目的は以下のとおりです 当社は 本人の同意なく目的の範囲を超えて利用しません (1) 本サイト会員登録者の個人認証及び会員向け各種サービスの提供 (2) インターネットまたは電話を通じて提供する 宿予約サービス 及びそれに付帯関連する業務の遂行 (3) 上記 (2) に

イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

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介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

とはありません 5. 個人情報の利用目的 (1) 当社は お客様よりご提供いただいた個人情報を次の目的のために利用いたします 第二種金融商品取引業および当該業務に関連 付随する業務を行うため 金融商品 ( ファンド ) 第二種金融商品取引業に関する情報を提供するため 取引時確認を行うため お客様との

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平成21年度 指定管理業務評価シート(様式)

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12_モニタリングの実施に関する手順書 

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制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

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第 2 章 個人情報の取得 ( 個人情報の取得の原則 ) 第 4 条個人情報の取得は コンソーシアムが行う事業の範囲内で 利用目的を明確に定め その目的の達成のために必要な範囲においてのみ行う 2 個人情報の取得は 適法かつ公正な方法により行う ( 特定の個人情報の取得の禁止 ) 第 5 条本条各号

3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台

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第 4 条公共の場所に向けて防犯カメラを設置しようとするもので次に掲げるものは, 規則で定めるところにより, 防犯カメラの設置及び運用に関する基準 ( 以下 設置運用基準 という ) を定めなければならない (1) 市 (2) 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 260 条の2

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基準該当短期入所小規模多機能センターさくらテラス 利用契約書 ( 以下 利用者 という ) と社会福祉法人慈徳会 ( 以下 事業者 という ) は 基準該当短期入所小規模多機能センターさくらテラス ( 以下 当施設 という ) が利用者に対して提供する基準該当短期入所サービスについて 次のとおり契約

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B リーグは この方針を実行し個人情報を適切に取り扱うため 個人情報保護規程その 他の規程を策定 改訂し それらの規程に基づいて個人情報を取り扱います 公表事項 1. 取得する個人情報の利用目的 ( 法 18 条第 1 項 ) B リーグの活動範囲内において保存 活用 分析を行うためお客様から請求さ

宮城県福祉サービス第三者評価のご案内(宮城県)

を生かした環境を構成することも求められます 3 安全で保健的な環境次に 施設などの環境整備を通して 保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること としています 子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です 全職員が常に心を配り 確認を怠らず 子どもが安心 安全に過ごせる保育の環境

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義 ソーシャルワークは 社会変革と社会開発 社会的結束 および人々のエンパワメントと解放を促進する 実践に基づいた専門職であり学問である 社会正義 人権 集団的責任 および多様性尊重の諸原理は ソーシャルワークの中核をなす ソーシャルワークの理論 社会科学 人文学

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特定個人情報の取扱いに関する管理規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 特定個人情報の漏えい 滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のための措置を講ずるに当たり遵守すべき行為及び判断等の基準その他必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条 この規定における用語の意義は 江戸川区個人情報保

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必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

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日本医療情報学会

重症心身障害児施設の省令 ( 指定基準 ) を読む 全国重症心身障害児 ( 者 ) を守る会顧問山﨑國治 Ⅰ はじめに 平成 18 年 9 月 29 日 厚生労働省令第 178 号として 重症心身障害児施設の 人員 設備及び運営に関する基準 が厚生労働大臣から公布されました 省令のタイトルは 児童福

3 参照基準次に掲げる基準は この基準に引用される限りにおいて この基準の一部となる - プライバシーマーク付与適格性審査実施規程 - プライバシーマーク制度における欠格事項及び判断基準 (JIPDEC) 4 一般要求事項 4.1 組織 審査業務の独立性審査機関は 役員の構成又は審査業務

個人情報の保護に関する規程(案)

Transcription:

公益社団法人日本社会福祉士会の倫理綱領 1995 年 1 月 20 日に本会の倫理綱領として採択した ソーシャルワーカーの倫理綱領 を改訂し 2005 年 6 月 3 日に開催した第 10 回通常総会にて採択したものである 社会福祉士の倫理綱領 前文 われわれ社会福祉士は すべての人が人間としての尊厳を有し 価値ある存在であり 平等であることを深く認識する われわれは平和を擁護し 人権と社会正義の原理に則り サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって 社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する われわれは 社会の進展に伴う社会変動が ともすれば環境破壊及び人間疎外をもたらすことに着目する時 この専門職がこれからの福祉社会にとって不可欠の制度であることを自覚するとともに 専門職社会福祉士の職責についての一般社会及び市民の理解を深め その啓発に努める われわれは われわれの加盟する国際ソーシャルワーカー連盟が採択した 次の ソーシャルワークの定義 (2000 年 7 月 ) を ソ - シャルワーク実践に適用され得るものとして認識し その実践の拠り所とする ソーシャルワークの定義 ソーシャルワーク専門職は 人間の福利 ( ウェルビーイング ) の増進を目指して 社会の変革を進め 人間関係における問題解決を図り 人々のエンパワーメントと解放を促していく ソーシャルワークは 人間の行動と社会システムに関する理論を利用して 人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する 人権と社会正義の原理は ソーシャルワークの拠り所とする基盤である ( IFSW;2000.7. ) われわれは ソーシャルワークの知識 技術の専門性と倫理性の維持 向上が専門職の職責であるだけでなく サービス利用者は勿論 社会全体の利益に密接に関連していることを認識し 本綱領を制定してこれを遵守することを誓約する者により 専門職団体を組織する 1

価値と原則 Ⅰ( 人間の尊厳 ) 社会福祉士は すべての人間を 出自 人種 性別 年齢 身体的精神的状況 宗教的文化的背景 社会的地位 経済状況等の違いにかかわらず かけがえのない存在として尊重する Ⅱ( 社会正義 ) 社会福祉士は 差別 貧困 抑圧 排除 暴力 環境破壊などの無い 自由 平等 共生に基づく社会正義の実現をめざす Ⅲ( 貢献 ) 社会福祉士は 人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する Ⅳ( 誠実 ) 社会福祉士は 本倫理綱領に対して常に誠実である Ⅴ( 専門的力量 ) 社会福祉士は 専門的力量を発揮し その専門性を高める 倫理基準 Ⅰ. 利用者に対する倫理責任 1.( 利用者との関係 ) 社会福祉士は 利用者との専門的援助関係を最も大切にし それを自己の利益のために利用しない 2.( 利用者の利益の最優先 ) 社会福祉士は 業務の遂行に際して 利用者の利益を最優先に考える 3.( 受容 ) 社会福祉士は 自らの先入観や偏見を排し 利用者をあるがままに受容する 4.( 説明責任 ) 社会福祉士は 利用者に必要な情報を適切な方法 わかりやすい表現を用いて提供し 利用者の意思を確認する 5.( 利用者の自己決定の尊重 ) 社会福祉士は 利用者の自己決定を尊重し 利用者がその権利を十分に理解し 活用していけるように援助する 6.( 利用者の意思決定能力への対応 ) 社会福祉士は 意思決定能力の不十分な利用者に対して 常に最善の方法を用いて利益と権利を擁護する 7.( プライバシーの尊重 ) 社会福祉士は 利用者のプライバシーを最大限に尊重し 関係者から情報を得る場合 その利用者から同意を得る 8.( 秘密の保持 ) 社会福祉士は 利用者や関係者から情報を得る場合 業務上必要な範囲にとどめ その秘密を保持する 秘密の保持は 業務を退いた後も同様とする 9.( 記録の開示 ) 社会福祉士は 利用者から記録の開示の要求があった場合 本人に記録を開示する 10.( 情報の共有 ) 社会福祉士は 利用者の援助のために利用者に関する情報を関係機関 関係職員と共有する場合 その秘密を保持するよう最善の方策を用いる 11.( 性的差別 虐待の禁止 ) 社会福祉士は 利用者に対して 性別 性的指向等の違いから派生する差別やセクシュアル ハラスメント 虐待をしない 12.( 権利侵害の防止 ) 社会福祉士は 利用者を擁護し あらゆる権利侵害の発生を防止する 2

Ⅱ. 実践現場における倫理責任 1.( 最良の実践を行う責務 ) 社会福祉士は 実践現場において 最良の業務を遂行するために 自らの専門的知識 技術を惜しみなく発揮する 2.( 他の専門職等との連携 協働 ) 社会福祉士は 相互の専門性を尊重し 他の専門職等と連携 協働する 3.( 実践現場と綱領の遵守 ) 社会福祉士は 実践現場との間で倫理上のジレンマが生じるような場合 実践現場が本綱領の原則を尊重し その基本精神を遵守するよう働きかける 4.( 業務改善の推進 ) 社会福祉士は 常に業務を点検し評価を行い 業務改善を推進する Ⅲ. 社会に対する倫理責任 1.( ソーシャル インクルージョン ) 社会福祉士は 人々をあらゆる差別 貧困 抑圧 排除 暴力 環境破壊などから守り 包含的な社会を目指すよう努める 2.( 社会への働きかけ ) 社会福祉士は 社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のため 利用者や他の専門職等と連帯し 効果的な方法により社会に働きかける 3.( 国際社会への働きかけ ) 社会福祉士は 人権と社会正義に関する国際的問題を解決するため 全世界のソーシャルワーカーと連帯し 国際社会に働きかける Ⅳ. 専門職としての倫理責任 1.( 専門職の啓発 ) 社会福祉士は 利用者 他の専門職 市民に専門職としての実践を伝え社会的信用を高める 2.( 信用失墜行為の禁止 ) 社会福祉士は その立場を利用した信用失墜行為を行わない 3.( 社会的信用の保持 ) 社会福祉士は 他の社会福祉士が専門職業の社会的信用を損なうような場合 本人にその事実を知らせ 必要な対応を促す 4.( 専門職の擁護 ) 社会福祉士は 不当な批判を受けることがあれば 専門職として連帯し その立場を擁護する 5.( 専門性の向上 ) 社会福祉士は 最良の実践を行うために スーパービジョン 教育 研修に参加し 援助方法の改善と専門性の向上を図る 6.( 教育 訓練 管理における責務 ) 社会福祉士は教育 訓練 管理に携わる場合 相手の人権を尊重し 専門職としてのよりよい成長を促す 7.( 調査 研究 ) 社会福祉士は すべての調査 研究過程で利用者の人権を尊重し 倫理性を確保する 3

社会福祉士の行動規範 この 社会福祉士の行動規範 は 社会福祉士の倫理綱領 に基づき 社会福祉士が社会福祉実践において従うべき行動を示したものである Ⅰ. 利用者に対する倫理責任 1. 利用者との関係 1-1. 社会福祉士は 利用者との専門的援助関係についてあらかじめ利用者に説明しなければならない 1-2. 社会福祉士は 利用者と私的な関係になってはならない 1-3. 社会福祉士は いかなる理由があっても利用者およびその関係者との性的接触 行動をしてはならない 1-4. 社会福祉士は 自分の個人的 宗教的 政治的理由のため または個人の利益のために 不当に専門的援助関係を利用してはならない 1-5. 社会福祉士は 過去または現在の利用者に対して利益の相反する関係になることが避けられないときは 利用者を守る手段を講じ それを利用者に明らかにしなければならない 1-6. 社会福祉士は 利用者との専門的援助関係とともにパートナーシップを尊重しなければならない 2. 利用者の利益の最優先 2-1. 社会福祉士は 専門職の立場を私的なことに使用してはならない 2-2. 社会福祉士は 利用者から専門職サービスの代償として 正規の報酬以外に物品や金銭を受けとってはならない 2-3. 社会福祉士は 援助を継続できない何らかの理由がある場合 援助を継続できるように最大限の努力をしなければならない 3. 受容 3-1. 社会福祉士は 利用者に暖かい関心を寄せ 利用者の立場を認め 利用者の情緒の安定を図らなければならない 3-2. 社会福祉士は 利用者を非難し 審判することがあってはならない 3-3. 社会福祉士は 利用者の意思表出をはげまし支えなければならない 4. 説明責任 4-1. 社会福祉士は 利用者の側に立ったサービスを行う立場にあることを伝えなければならない 4-2. 社会福祉士は 専門職上の義務と利用者の権利を説明し明らかにした上で援助をしなければならない 4-3. 社会福祉士は 利用者が必要な情報を十分に理解し 納得していることを確認しなければならない 4

5. 利用者の自己決定の尊重 5-1. 社会福祉士は 利用者が自分の目標を定めることを支援しなければならない 5-2. 社会福祉士は 利用者が選択の幅を広げるために 十分な情報を提供しなければならない 5-3. 社会福祉士は 利用者の自己決定が重大な危険を伴う場合 あらかじめその行動を制限することがあることを伝え そのような制限をした場合には その理由を説明しなければならない 6. 利用者の意思決定能力への対応 6-1. 社会福祉士は 利用者の意思決定能力の状態に応じ 利用者のアドボカシーに努め エンパワメントを支援しなければならない 6-2. 社会福祉士は 自分の価値観や援助観を利用者に押しつけてはならない 6-3. 社会福祉士は 常に自らの業務がパターナリズムに陥らないように 自己の点検に務めなければならない 6-4. 社会福祉士は 利用者のエンパワメントに必要な社会資源を適切に活用しなければならない 7. プライバシーの尊重 7-1. 社会福祉士は 利用者が自らのプライバシー権を自覚するように働きかけなければならない 7-2. 社会福祉士は 利用者の個人情報を収集する場合 その都度利用者の了解を得なければならない 7-3. 社会福祉士は 問題解決を支援する目的であっても 利用者が了解しない場合は 個人情報を使用してはならない 8. 秘密の保持 8-1. 社会福祉士は 業務の遂行にあたり 必要以上の情報収集をしてはならない 8-2. 社会福祉士は 利用者の秘密に関して 敏感かつ慎重でなければならない 8-3. 社会福祉士は 業務を離れた日常生活においても 利用者の秘密を保持しなければならない 8-4. 社会福祉士は 記録の保持と廃棄について 利用者の秘密が漏れないように慎重に対応しなければならない 9. 記録の開示 9-1. 社会福祉士は 利用者の記録を開示する場合 かならず本人の了解を得なければならない 9-2. 社会福祉士は 利用者の支援の目的のためにのみ 個人情報を使用しなければならない 5

9-3. 社会福祉士は 利用者が記録の閲覧を希望した場合 特別な理由なくそれを拒んではならない 10. 情報の共有 10-1. 社会福祉士は 利用者の情報を電子媒体等により取り扱う場合 厳重な管理体制と最新のセキュリティに配慮しなければならない 10-2. 社会福祉士は 利用者の個人情報の乱用 紛失その他あらゆる危険に対し 安全保護に関する措置を講じなければならない 10-3. 社会福祉士は 電子情報通信等に関する原則やリスクなどの最新情報について学ばなければならない 11. 性的差別 虐待の禁止 11-1. 社会福祉士は 利用者に対して性的差別やセクシュアル ハラスメント 虐待を行ってはならない 11-2. 社会福祉士は 利用者に対して肉体的 精神的損害または苦痛を与えてはならない 11-3. 社会福祉士は 利用者が暴力や性的搾取 虐待の対象となっている場合 すみやかに発見できるよう心掛けなければならない 11-4. 社会福祉士は 性的差別やセクシュアル ハラスメント 虐待に対する正しい知識を得るよう学ばなければならない 12. 権利侵害の防止 12-1. 社会福祉士は 利用者の権利について十分に認識し 敏感かつ積極的に対応しなければならない 12-2. 社会福祉士は 利用者の権利侵害を防止する環境を整え そのシステムの構築に努めなければならない 12-3. 社会福祉士は 利用者の権利侵害の防止についての啓発活動を積極的に行わなければならない Ⅱ. 実践現場における倫理責任 1. 最良の実践を行う責務 1-1. 社会福祉士は 専門職としての使命と職責の重要性を自覚し 常に専門知識を深め 理論と実務に精通するように努めなければならない 1-2. 社会福祉士は 専門職としての自律性と責任性が完遂できるよう 自らの専門的力量の向上をはからなければならない 1-3. 社会福祉士は 福祉を取り巻く分野の法律や制度等関連知識の集積に努め その力量を発揮しなければならない 6

2. 他の専門職等との連携 協働 2-1. 社会福祉士は 所属する機関内部での意思疎通が円滑になされるように積極的に働きかけなければならない 2-2. 社会福祉士は 他の専門職と連携し 所属する機関の機構やサービス提供の変更や開発について提案しなければならない 2-3. 社会福祉士は 他機関の専門職と連携し協働するために 連絡 調整の役割を果たさなければならない 3. 実践現場と綱領の遵守 3-1. 社会福祉士は 社会福祉士の倫理綱領を実践現場が熟知するように働きかけなければならない 3-2. 社会福祉士は 実践現場で倫理上のジレンマが生じた場合 倫理綱領に照らして公正性と一貫性をもってサービス提供を行うように努めなければならない 3-3. 社会福祉士は 実践現場の方針 規則 手続き等 倫理綱領に反する実践を許してはならない 4. 業務改善の推進 4-1. 社会福祉士は 利用者の声に耳を傾け苦情の対応にあたり 業務の改善を通して再発防止に努めなければならない 4-2. 社会福祉士は 実践現場が常に自己点検と評価を行い 他者からの評価を受けるように働きかけなければならない Ⅲ. 社会に対する倫理責任 1. ソーシャル インクルージョン 1-1. 社会福祉士は 特に不利益な立場にあり 抑圧されている利用者が 選択と決定の機会を行使できるように働きかけなければならない 1-2. 社会福祉士は 利用者や住民が社会の政策 制度の形成に参加することを積極的に支援しなければならない 1-3. 社会福祉士は 専門的な視点と方法により 利用者のニーズを社会全体と地域社会に伝達しなければならない 2. 社会への働きかけ 2-1. 社会福祉士は 利用者が望む福祉サービスを適切に受けられるように権利を擁護し 代弁活動を行わなければならない 2-2. 社会福祉士は 社会福祉実践に及ぼす社会政策や福祉計画の影響を認識し 地域福祉の増進に積極的に参加しなければならない 2-3. 社会福祉士は 社会における意思決定に際して 利用者の意思と参加が促進されるよう支えなければならない 2-4. 社会福祉士は 公共の緊急事態に対して可能な限り専門職のサービスを提供できるよう 臨機応変な活動への貢献ができなければならない 7

3. 国際社会への働きかけ 3-1. 社会福祉士は 国際社会において 文化的社会的差異を尊重しなければならない 3-2. 社会福祉士は 民族 人種 国籍 宗教 性別 障害等による差別と支配をなくすための国際的な活動をささえなければならない 3-3. 社会福祉士は 国際社会情勢に関心をもち 精通するよう努めなければならない Ⅳ. 専門職としての倫理責任 1. 専門職の啓発 1-1. 社会福祉士は 対外的に社会福祉士であることを名乗り 専門職としての自覚を高めなければならない 1-2. 社会福祉士は 自己が獲得し保持している専門的力量を利用者 市民 他の専門職に知らせるように努めなければならない 1-3. 社会福祉士は 個人としてだけでなく専門職集団としても 責任ある行動をとり その専門職の啓発を高めなければならない 2. 信用失墜行為の禁止 2-1. 社会福祉士は 社会福祉士としての自覚と誇りを持ち 社会的信用を高めるよう行動しなければならない 2-2. 社会福祉士は あらゆる社会的不正行為に関わってはならない 3. 社会的信用の保持 3-1. 社会福祉士は 専門職業の社会的信用をそこなうような行為があった場合 行為の内容やその原因を明らかにし その対策を講じるように努めなければならない 3-2. 社会福祉士は 他の社会福祉士が非倫理的な行動をとった場合 必要に応じて関係機関や日本社会福祉士会に対し適切な行動を取るよう働きかけなければならない 3-3. 社会福祉士は 信用失墜行為がないように互いに協力し チェック機能を果たせるよう連携を進めなければならない 4. 専門職の擁護 4-1. 社会福祉士は 社会福祉士に対する不当な批判や扱いに対し その不当性を明らかにし 社会にアピールするなど 仲間を支えなければならない 4-2. 社会福祉士は 不当な扱いや批判を受けている他の社会福祉士を発見したときは 一致してその立場を擁護しなければならない 4-3. 社会福祉士は 社会福祉士として不当な批判や扱いを受けぬよう日頃から自律性と倫理性を高めるために密に連携しなければならない 8

5. 専門性の向上 5-1. 社会福祉士は 研修 情報交換 自主勉強会等の機会を活かして 常に自己研鑽に努めなければならない 5-2. 社会福祉士は 常に自己の専門分野や関連する領域に関する情報を収集するよう努めなければならない 5-3. 社会福祉士は 社会的に有用な情報を共有し合い 互いの専門性向上に努めなければならない 6. 教育 訓練 管理における責務 6-1. スーパービジョンを担う社会福祉士は その機能を積極的に活用し 公正で誠実な態度で後進の育成に努め社会的要請に応えなければならない 6-2. コンサルテーションを担う社会福祉士は 研修会や事例検討会等を企画し 効果的に実施するように努めなければならない 6-3. 職場のマネジメントを担う社会福祉士は サービスの質 利用者の満足 職員の働きがいの向上に努めなければならない 6-4. 業務アセスメントや評価を担う社会福祉士は 明確な基準に基づき評価の判断をいつでも説明できるようにしなければならない 6-5. 社会福祉教育を担う社会福祉士は 次世代を担う人材養成のために 知識と情熱を惜しみなく注がなければならない 7. 調査 研究 7-1. 社会福祉士は 社会福祉に関する調査研究を行い 結果を公表する場合 その目的を明らかにし 利用者等の不利益にならないよう最大限の配慮をしなければならない 7-2. 社会福祉士は 事例研究にケースを提供する場合 人物を特定できないように配慮し その関係者に対し事前に承認を得なければならない 9