85 Carl von Rokitansky Adenomyoma Adenomyoma Sampson Frankl Adenomyosis Bird Adenomyosis MRI T junctional zone low intensity area high intensity spot Gn RHa Oral contraceptives IUS mm cm mm G W W
86 太田ほか 図5 欠損部が大きくても convex lens resection では 図 仮縫合をおかずに縫合が可能 切開腺が左右漿膜内側に沿うように病巣部端を クロウ鉗子で牽引しつつカウンタートラクショ ンをかけて切除 図6 表層は出血や癒着を防ぐために漿膜 筋層縫合 を行う 図 半凸レンズ状に片側ずつ切除する 図4 最終的に凸レンズ型に病巣を摘出 図7 奬膜に余裕があるため創縁に張力がかかりにく い の純切開モードで 子宮を縦切開していく腹 腔鏡下という次元映像下の作業環境ではどの 深さまで切開すべきかを決めるのが困難である が 断面の腺筋症病巣を視認しながら切開を行 うまた正常筋層に入ると出血が増えることや 鉗子での触覚も参考となるまた内膜までの距 図8 wedge resection による腺筋症病巣の摘出 離を把握することは困難であり 内膜を損傷す る可能性もあるが 腺筋症病巣の可及的切除を 第一目標として切開を進めていく内腔が開放 したときにはモノフィラメント合成吸収糸連続 縫合で修復を行っている 蠱 病巣の切除 図 4 腹腔鏡下腺筋症摘出の際 病巣をなるべく広 図9 欠損部の縫合修復の際 表層部で張力が高く創 面を寄せるのが困難となる く切除し かつ筋層の縫合を容易にするために 当院で行っている工夫について解説する病巣 除し 半凸レンズ型に片側ずつ切除する最終 部は凸レンズ状 convex lens resection に切 的に凸レンズ型に病巣部を摘出することにな 除する病巣部端をクロウ鉗子で牽引しつつカ る場合によっては漿膜側に腺筋症病巣を残さ ウンタートラクションをかけて切除を行う切 ないように追加切除を行う漿膜に欠損を作ら 開創の両側の漿膜をできるだけ温存するように ないようにするため 常にカメラや子宮の位置 腺筋症病巣を奬膜の内側に沿って抉るように切 を移動させ切除範囲の立体的な位置関係を確認
当院での腹腔鏡下子宮腺筋症切除術 convex lens resection について 87 左漿膜に沿って腺筋症を削ぐようにモノポーラ ーで病巣を切除 MRI T矢状断 子宮腺筋症は前壁 から底部優位に分布し後壁にまで及ぶ 瀰漫型 ずに また創縁が内翻するため 出血や癒着の 防止に便利と考えている 蠹 病巣の回収 腺筋症病巣の回収には 状況に応じて種類 の方法を使い分けている病巣が比較的小さい 場合にはモノポーラーで病巣を短冊状に分割し 回収袋に収納し 臍部の第一トロッカー孔より 回収を行っている 病巣が大きい場合には 経腟回収を行うこ の場合 子宮マニュピレーターを抜去し腟パイ プ Vagi パイプ 譁八光メディカル を挿入す 1 子宮腺筋症病巣を分割するようにモノポーラー で縦切開 る腟パイプの先端を後腟円蓋に押しつけ モ ノポーラーで腟壁を切開し回収経路とする摘 出病巣部に縫合糸をかけ持針器で後腟円蓋開放 しながら切除を行う 部に誘導し 鋏刀で細切し回収する腟が著し 蠶 く狭く後腟円蓋が開放できない場合には 電動 子宮壁の修復 図5 6 7 単純に楔状に切除 wedge resection する と欠損部を縫合修復する際 創面を寄せるのが モルセレーターを用いて腺筋症病巣を回収する 症 例 困難となる 図8 9 convex lens resection 症例1 歳未産婦主訴は月経困難症 過 は 子宮壁の欠損が大きくても比較的容易に修 多月経MRI で子宮腺筋症は前壁から底部優 復を行うことが可能となる欠損部深部では 位に分布し後壁にまで及んでいた 合成吸収糸で埋没単結紮縫合を行うこの際 腹腔鏡下に1 倍希釈バソプレッシンを子宮 創部に比較的張力がかかりやすいため 単結紮 腺筋症病巣部漿膜下に局注し 子宮前壁 底部 を形成した後 助手の鉗子で結節点を把持する 後壁半分までフック型モノポーラーで縦切開 など緩まない工夫が必要である状況により を行った 1 次に切開線左側の漿膜に沿 square slipknot を用いるのも有用である表 って腺筋症を削ぐように切除する 半 層は出血や癒着を防ぐために創縁が内翻するよ 凸レンズ型に病巣を摘出する 右側も うに漿膜 筋層縫合を行うこの縫合を行うこ 同様に腺筋症を半凸レンズ型に摘出する以上 とにより縫合部が隆起し 張力が創縁にかから convex lens resection を行い 摘出物は8 g で
88 太田ほか クロウ鉗子でカウンタートラクションをかけな がら半凸レンズ型に病巣を摘出 5 切除病変は短冊状に分割し回収袋に収納 4 単結紮形成後に助手の鉗子で結紮点を把持する ことにより緩まずに結紮が可能 6 漿膜 筋層縫合により縫合部が隆起し創縁に張 力がかからないように縫合 あった子宮壁欠損部の修復は層縫合で行っ 時間は 1 分 出血量は7 5g であった た1層目は埋没単結紮縫合表層からの出血 7週日 術 後年 後 IVF ET で 妊 娠妊 娠 や癒着防止に層目は漿膜 筋層縫合を行った 5 g 女児を帝王切開で分娩となった 4 切除病変はモノポーラーで短冊状に分 結 果 割回収袋に収納し 5 臍部のトロッカー 年から 7年1 月まで 1 例の腹腔鏡下 挿入孔より回収した手術時間は1 1 分 出血 腺筋症切除術を行った1 例の年齢 5±4 量は8 5g であった 6 歳 手術時間 1 4±4 1分 出血 5 ± 8 g 症例 6歳未産婦主訴は月経困難症 挙 摘出腺筋症重量 7 9 7±7 4 6g 腺筋症のみ筋 児 希 望MRI で 子 宮 は 全 体 で1 1 1 7cm, 腫合併なしの症例は1 4±7 7g であった開 1 1 Gn RHa 療法をコース行い術前は1 腹手術への移行例や輸血例はなかった手術療 cm に縮少した 7 法の適応に関しては腫瘤型の子宮腺筋症に限ら 出血軽減のため子宮頸部を6Fr ネラトンカ ず 子宮前壁から後壁にまで及ぶ瀰漫型まで行 テーテルで一時的に結紮し 子宮動脈からの血 った妊娠例は術後年の症例に1例であった 流を遮断した 8 前壁と後壁はそれぞれ 術後1年未満の症例が多く 挙児希望および に convex lens resection を 行 い g 腺 筋 症 組織を切除した 9 子宮腺筋症病巣 の回収は 電動モルセレーターで行った手術 妊娠許可症例は8例であった 考 察 子宮内膜症の増加 出産年齢の高齢化に伴い
当院での腹腔鏡下子宮腺筋症切除術 convex lens resection について 89 9 前壁子宮腺筋症摘出修復後 7 MRI T矢状断 子宮腺筋症は瀰漫型 子宮全体で1 1 1 cm 8 子宮頸部を6Fr ネラトンカテーテルで一時的に 結紮し血流を遮断 図 後壁子宮腺筋症摘出修復後 摘出病巣は g 子宮温存を希望する子宮腺筋症症例の増加が予 との断面の性状や出血量の違いを目安にして 想される近年 機器の発達や手術手技の向上 これらの欠点をある程度補うことも可能であ により さまざまな内容の内視鏡手術が急速に るまた 今回の子宮腺筋症病変部を凸レンズ 発展している内視鏡手術は術後の回復がきわ 型にくり抜く手法 convex lens resection に めて早く 社会復帰も早い子宮腺筋症に対す より多くの病巣 1 4±7 7g の摘出が可能で る手術療法は 限られた症例に行われ 従来 あった その困難性から開腹手術が主であったが これ 腺筋症病変を残さないためには 内膜の開放 を腹腔鏡下に行うことにより低侵襲に行うこと をためらわずに切開を進め より多くの病変を が可能となるまた術後の癒着も少なく不妊の 切除する必要がある内腔が開放したときには 改善にも有利と考える反面 視覚の限界や操 縫合修復する従来行われている wedge resec- 作の困難性や合併症の増加など内視鏡下手術に tion ではとくに瀰漫型病変で腺筋症病巣の摘出 も克服すべき問題があるまず 腹腔鏡下手術 が不十分になる可能性が高く また子宮壁の修 による腺筋症摘出術は病変の拡がりを立体的に 復に際して創縁の張力が高くなるため縫合が困 把握するのが困難であり また触診による検索 難となるその点 convex lens resection では ができないなどの欠点があるしかし正常筋層 層々 layer to layer 縫合を行っていく過程
90 Takeuchi double flap g g Double flap convex lens resection convex lens resection Farquhar C et al. Medical and Surgical management of adenomyosis. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol Yeniel O et al. Adenomyosis : prevalence, risk factors, symptoms and clinical findings. Clin Exp Obstet Gynecol Benagino G et al. History of adenomyosis. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol Dueholm M et al.trans ultrasound or MRI for diagnosis of adenomyosis. Curr Opin Obstet Gynecol Tamai K et al. Spectrum of MR features in adenomyosis. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol Takeuchi et al. Laparoscopic adenomyomectomy and hysteroplasty : A novel method. J Minim Invasive Gynecol