台風の雲と地震の関係その 1 台風と地震の不思議な関係には 台風の進路と地震の関係 や 台風の雲と地震の関係 などがありますが ここでは 台風の雲と地震の関係 について 観察事実を重視して検証してゆき 科学的な推論をしてゆきたいと思います 台風と地震の不思議な関係 2013 年 10 月 26 日福島県沖 M7.1 地震発生の 3 日前の弧状の雲 台風の渦の外側の弧状の雲が地震雲であることは 気象衛星画像の研究を始めてから1 例確認していましたが 気象衛星画像の地震研究者の方々が多数おられて その方々の永年の研究から 過去の大きな地震の幾つかが このような弧状の雲の下で発生していたことを学ばせていただいたのは 今年 (2014 年 ) の3 月頃のことでした そして 4 月 1 日に 気象衛星画像の記録書庫の存在を知ってからは 過去の大きな地震の検証を精力的にしてゆきました 結果は驚きと興奮の連続でした 台風の外側の弧状の雲が 画像の連続コマ送りで確認すると 台風の渦の流れとは逆に 時計回りに伸びて行っているのを確認した時は驚きました 地震発生 3 日前 23 日 7 時 この弧状の雲は台風の渦の流れとは逆に時計回りに伸びて行き 震源地に向かって進行しています 23 日 13 時 拡大 台風 27 号
新潟県中越地震の台風と地震の不思議な関係 2 2004 年 10 月 23 日新潟県中越地震 M6.8 M6.3 M6.0 M6.5 震度 7 新潟中越地震は 東日本大震災 阪神大震災に次いで 多くの人々の記憶に残っていると思います M6 以上クラスが連続して 4 回も発生し 震源が浅かったので震度 7 もあり 大きな被害が発生しました 阪神大震災を検証する資料は ほとんどありませんし 東日本大震災は かなりの沖合だったため 前兆が出にくかったようですが 新潟中越地震は 内陸で震源も 13km と浅かったので 前兆が多く 特に 7 日前の 10 月 16 日には顕著な前兆がありました ここでは 16 日の前兆に焦点を絞って 気象衛星画像を中心に 確認事実を見てゆきます 1 2 10 月 15 日 超大型に発達しつつある台風 23 号の上空周辺の雲が北東進して日本列島に近づいてゆきます この日本列島より大きく長い放射した雲は 台風の渦とは逆に時計回りに伸びてゆきます 3 15 日 22 時には 関東甲信越の上空に到達します 台風 23 号周辺の雲が 時計回りに伸びながら北東に進み 日本に近づいてゆく 1 2 3
4 16 日 2 時には 台風 23 号上空から北上してきた雲は北側の縁が弧状となり 関東甲信越を北上してゆきます 5 16 日 5 時には 弧状の雲は 新潟中越地震の震源地の上空に到達します 6 7 8 弧状の雲は 5 時から19 時までの14 時間の間 弧状を保ったまま 震源地上空を 南西から北東へと流れ続けます その間も 絶え間なく 台風 23 号上空からは 雲の流れが補給され続けています 以上の1から8までの雲の動きは 15 日から17 日までの気象衛星画像の全てを 1 時間ごとのコマ送りで見てみるとよく分かりました 3 日本に上陸すると 雲の縁が弧状になる 16 日 5 時弧状の雲が震源地上空に到達 4 5 6 7 弧状の雲が 16 日 5 時から 19 時まで 14 時間震源地上空を流れ続ける 8 9
14 時間もの間 東海 関東甲信越を通って 震源地上空を流れ続けた弧状の雲を 地上からの写真で見てみます 4 善光寺平ライブカメラ と KS SKY REPORT の 宏観現象画像掲示板 の写真を掲載させていただきます 善光寺平ライブカメラ 16 日 15 時可視 善光寺平ライブカメラ KS SKY REPORT の 宏観現象画像掲示板 10 月 16 日 17 時 10 分横浜 BK 湘南からキレイナな空チョット不気味です
ナマズは何を感知したのでしょうか? 5 10 月 16 日夕板橋区ぜこの写真より真赤でした 17 時 8 分アウトドア @ 横浜鶴見 2441. 中野のナマス 今夜ついに垂直立ち名前 : 町田 @ 東京日付 :10 月 16 日 ( 土 ) 23 時 35 分中野のナマス ライフ がここ数日角度をあげていましたが 今夜ついに垂直立ちを数分維持していましたここ数年見てきてましたが初めて遭遇しました垂直立ちの写真う P しときます 21 時 37 分正面姿勢で 90 度 新潟中越地震の場合 台風 23 号の上空周辺の広大な雲が 北上し 日本列島上空で雲の縁が弧状になり 震源地上空を 14 時間も流れ続けたことが確認できました また この弧状の雲が 強烈な夕焼けを伴っていたことは 関東甲信越や東京の多くの観察者の方々の写真で確認できました 台風の雲のメカニズムについては FN の高校物理 のホームページで学ばせていただきました FNの高校物理 台風 (Typhoon 熱帯低気圧 ) のメカニズムよりの抜粋台風は暖かい海面上を吹き抜ける風により あたかも電気掃除機の様に海面の熱エネルギーを気化熱という形で水蒸気の中に閉じこめ その中心に向かって吸い集める 中心に向かう原動力がスピンダウン効果である 集めたエネルギーを台風の中で凝縮熱という形で解放して上昇気流を発生させる 上昇気流は断熱膨張により飽和水蒸気をさらに凝縮させて潜熱を解放し上昇気流をさらに強める 台風の中心部には凝縮熱で暖められて膨張した空気が低密度で高く積もるため 地表部はかなりの低気圧になる その低気圧がさらに周囲の空気を吸い込み その強大な運動エネルギーを維持する 貿易風帯で発生した当初はそんなに強くなかった台風が暖流 ( 黒潮 ) に乗って北上するとともに次第に発達して強大になり だいたい北緯 20~25 度あたりで最大規模に成長する 何とも目くるめく驚異の大気現象だ
6 台風の 上空への吹き出し雲 についての科学的考察上図で 学ばせていただいたように 台風は海面の暖かい湿気を含んだ空気を吸い込み 強い上昇気流が発生し -70 ~ ー 80 の上空へ氷晶の絹雲となって噴き出すそうです このことは 広大な台風の内部で 上部に行くほど 暖気と寒気の撹拌による氷晶の激しい摩擦が発生しているものと思われます この現象は 雷雲の発達過程と近似しています 雷雲のように 1~2 億ボルトの電圧が生じることがなくても 氷晶の摩擦により 台風の広大な雲の上層部では かなり高圧の帯電雲が発生していくものと推察できます 台風の雲の規模は 雷雲に比べてはるかに広大です その広大な帯電雲が台風上空に噴き出され 下の気象衛星画像で確認できるように 上空の全ての雲が北東や北北東に進行してゆきます ( 全ての気象衛星画像を1 時間間隔のコマ送りで確認すると 雲の動きがよく分かります ) 台風上空からの雲の流れ 広大な台風 23 号の雲の全様
台風の吹き出し雲 と地震との関係 7 台風の上空から噴き出た 膨大な氷晶や帯電雲が北上し その一部が弧状を描きつつ 震源地上空を 14 時間も通過し続けた事実は 特異なことと思います 異様なほどの真赤な夕焼けが生じるほど この弧状の雲は帯電量が多かったのではないでしょうか 自然現象には 必ず何らかの訳があり 何らかの法則が伴います この弧状の雲が 震源地上空を通過して行く時に 何らかの方法で 震源地に膨大な電気エネルギーを供給したのではないでしょうか そのために 14 時間もの間 弧状の雲のルートが変わらなかったのではないでしょうか 私はそう推察していますが 事実はどうなのでしょうか 中越地震は 地震規模は M6.8とされていますが 大きな余震が頻発した大地震でした 10 月 23 日 17 時 59 分 /M5.3/ 最大震度 5 強 18 時 3 分 /M6.3/ 最大震度 5 強 18 時 7 分 /M5.7/ 最大震度 5 強 18 時 11 分 /M6.0/ 最大震度 6 強 18 時 34 分 /M6.5/ 最大震度 6 強 18 時 36 分 /M5.1/ 最大震度 5 弱 18 時 57 分 /M5.3/ 最大震度 5 強 19 時 36 分 /M5.3/ 最大震度 5 弱 19 時 45 分 /M5.7/ 最大震度 6 弱 19 時 48 分 /M4.4/ 最大震度 5 弱 超大型台風 23 号で発電された多量の帯電雲が 10 月 16 日に震源地上空を 14 時間も通過していったことは 確かな確認事実ですが 地震との関連性を証明する方法はありません 新潟県中越地震の前兆雲の不思議 10 月 16 日 15 時可視 なぜ 外側の雲だけが 縞模様になるのでしょうか なぜ 曲線になることができるのでしょうか なぜ 14 時間も同じラインで流れ続けることができるのでしょうか 自然現象には それが生じる理由があります なぜ この特異な雲が 14 時間も震源地上空を流れ続けたのでしょうか
総括以上のように 地下の地震と 大気の台風の雲との間に 密接な関係がある可能性が高いことは気象衛星画像の検証によって確認することができました ここでは 2 例を検証しましたが この様な例は他にもあるので 次の機会に新たな検証例を掲載したいと思っております 8 また 今年の 8 月からの台風シーズンには このような現象が発生して地震が起きる可能性もあると思われますので 台風の動向を注意深く観察してゆきたいと思っております 台風と雷雲について台風は 自然界の最大の発電システムだ と言えるのではないでしょうか 発電密度では雷雲が最高でしょうが 総発電スケール大きさでは格段の差があるのではないでしょうか 上写真の台風 23 号の全様を見ても いかに台風の雲のスケールが巨大かが分かります 台風の雲は 雷雲に比べて 雲の存在時間 ( 発電時間 ) もはるかに長いことも明白です 雷雲は放電で 大地や大気に電気を放出しますが 台風は広範囲な上空に 帯電した氷晶や雲を吹き出し続けるのです 私は 地球の大気の電気エネルギーの循環に関しても 台風が影響を与えているのではないかと推察しています 雷雲の電気に関しては 昔から膨大な研究がなされてきましたが 台風の電気にフォーカスした研究はあるのでしょうか 台風や竜巻の電気にフォーカスした研究から 新たな発見が生まれるような気がしています 2014 年 6 月 15 日明日香地震気象研究所