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平成23年9月29日WG後修正

Microsoft Word - MMR事業事前評価表.doc

Transcription:

事業事前評価表 1. 案件名 国際協力機構経済基盤開発部ジェンダー平等 貧困削減推進室 国名 : ホンジュラス共和国案件名 : 和名金融包摂を通じた CCT 受給世帯の生活改善 生計向上プロジェクト英名 Project on Life Improvement and Livelihood Enhancement of Conditional Cash Transfer Beneficiaries through Financial Inclusion 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における貧困世帯の現状と課題ホンジュラスの貧困率 1 は 2003 年の 65.1% から 2011 年には 61.9% 2 と微減しているものの 依然として高い数値を示している 貧困世帯の保健医療サービスへのアクセスは概して低く 乳児死亡率や妊産婦死亡率は 中南米 カリブ地域全体の平均を大きく上回っている また 教育へのアクセスも大きく制限されており 例えば極貧層 3 の就学率は 初等教育 77% 中等教育 48% に止まっている 4 こうした状況下 ホンジュラスの人間開発指数は 2011 年 0.630 であり 187 ヵ国中 121 位 中南米諸国 33 ヶ国中 29 位と域内でも低位となっている 5 ホンジュラスの経済は コーヒー バナナなど一次産品の依存度が高く 自然災害や国際市場の変動等の影響を受けやすく構造的に脆弱である ホンジュラス政府は 保税加工区 ( マキラ ) における海外製造業の誘致や観光業など 新産業の育成を図っているが 依然として 特に地方における産業は低迷している こうした背景から 労働者の 70.7% はインフォーマルセクターに従事しており 6 特に貧困層は 安定した職を得ることが困難となっている 農村部における貧困層の生計手段は一層限定的である 国内でも貧困度合いの高い西部地域では 貧困層の多くはコーヒー農園等の日雇い労働により日々の生活費を稼いでおり 収入は更に不安定で低い 近年国際的に注目されている金融包摂を取り巻く議論では フォーマルな金融へ 1 貧困層 : 世帯構成員一人当たりの収入が 最低限必要と考えられるカロリー消費量に見合う食料品の購入に必要な支出レベル ( 食料貧困ライン ) 及び 基本的ニーズを満たすために必要な非食料品支出 ( 非食料貧困ライン ) を合計した額より低い場合 2 世界銀行 国内貧困者率 ( ホンジュラス人口比率 ) 3 極貧層 : 貧困層の中でも 食料貧困ライン を下回る場合 4 世界銀行 Honduras Poverty Assessment 2006 5 Human Development Report (2003)(2011) UNDP 6 ILO The trap of undeclared employment in Latin America 1

のアクセスが 貧困層の状況を改善するための必要条件の1つだと認識されている しかしながら 貧困層は 信用力が十分になく扱う額が小口になる傾向があることから 金融機関にとって顧客となりづらい現状がある ホンジュラスにおいても 15 歳以上のフォーマルな金融口座の保有率は 21% 7 に止まっている この様な貧困世帯を取り巻く環境から 貧困世帯は様々な制約に直面しており 貧困からの脱却が一層困難になる悪循環が続いている 係る状況の下 ホンジュラス政府は貧困削減を最重点施策の1つと位置づけ 1990 年代から条件付現金給付制度 (CCT:Conditional Cash Transfer) による貧困世帯を対象とした支援を実施している これは 保健や教育への投資を促し 次世代の人的資本形成を促すことによって 福祉依存を避け 世代を越えて受け継がれる貧困サイクル (intergenerational cycle of poverty) を断ち切ることを目的としたものである 2010 年から開始された現行プログラムの Bono 10mil( ボノディエスミル ) では 選定基準 8 を満たした全国約 37 万世帯 9 に保健や教育についての条件を課して現金を支給している これまでの CCT では 就学率や医療サービスの利用率の向上 消費活動の改善等 一部効果が確認されている一方で 受益世帯の貧困状態の緩和という点からは十分な効果は確認されていない このため CCT 受給世帯の貧困状況を改善するためには 現金給付に併せ 受給世帯が自ら生活改善や生計向上に取り組むためのキャパシティビルディングが必要であり またそれをサポートする中央政府 自治体 NGO 民間などによる支援も不可欠であることが指摘されている (2) 当該国における貧困削減政策と本事業の位置づけホンジュラス政府は国家ビジョン及び国家計画で 貧困削減への取組みを明言している 国家ビジョンでは 目標の 1 つに 極度の貧困がなく 教育を享受し 健康的であり 安定した社会システムを有した国家 を掲げている 国家計画では 貧困問題の緩和と地域経済の活性化が謳われている 上記政策に基づき 大統領府直轄の PRAF( 家族計画プログラム :Famliy Allowance Program) が実施機関となり CCT プログラムを実施しており ホンジュラス政府が最重要視する政策の一つとなっている また 金融包摂に関する取り組みも行われている 金融規制 監督機関である国家銀行 保険委員会は AFI 10 に参加し 貧困層をターゲットとした低額の金融口座開設の 7 世界銀行 Financial Inclusion Data 8 3.(8)2) 2 貧困削減 にて選定基準を記載 9 PRAF(2013) 10 Alliance for Financial Inclusion ( 金融包摂同盟 ) 80 カ国以上の途上国及び新興国の中央銀行や金融規制監督機関等からなる国際的なネットワークで これらの国々で金融包摂を促進するための様々な取り組みが行われている 毎年グローバルポリシーフォーラムを開催しており 国家レベルでの戦略や政策において金融包摂を進めるための包括的な議論の場となっている 2

ための規制の策定を進めている さらに Bono 10Mil においても 現在の現金給付をキャッシュレス化 金融口座経由へと移行する動きがある (3) 貧困削減に対する我が国及び JICA の援助方針と実績我が国の対ホンジュラス国別援助方針では 地方の貧困削減に重点を置き 地方産業の発展とそのために必要な人材育成を実施することが示されている 本事業は 貧困削減を長期的な目的に据え それを促進するホンジュラス政府機関等の人材育成を中心とした技術協力であるため 国別援助方針が目指す地方の貧困削減に貢献するものである これは JICA のホンジュラスへの協力プログラムである 社会 経済開発プログラム にも合致する また 金融包摂について 我が国は CGAP 11 への加盟 APEC や G20 を通じて金融包摂を促進する国際的な取り組みに参加している 本プロジェクトは受給世帯への金融教育や金融機関への働きかけ行うことで 金融包摂の促進に資するものにもなっている さらに JICA は 戦後日本の貧困からの脱却に貢献した生活改善運動の経験を活かし ホンジュラス及び他中南米諸国において住民の主体性を重視した地域開発の経験と実績がある これにかかり ホンジュラス国内及び他中南米地域において帰国研修員を中心とした人的ネットワークも構築されているため これまでの JICA による協力成果を活用することができる (4) 他の援助機関の対応米州開発銀行 世界銀行 中米経済統合銀行は Bono 10Mil の実施と制度強化を支援しており 同プログラム予算の約 9 割を融資している Bono10Mil 本体制度については ホンジュラス政府並びに資金提供を行っているドナー機関がその実施 強化を担っている 一方 本事業 (JICA 事業 ) は 受給世帯に焦点を当て 受給世帯の生計向上 生活改善を図るために必要な技術の習得を目指すものとなっている 3. 事業概要 (1) 事業目的本事業は ホンジュラスの対象市 5 市において CCT 受給世帯の家計管理能力の強化 金融サービスへのアクセス改善 生活改善 生計向上の技術向上を図り それら成果をとりまとめたガイドラインを作成することにより CCT 受給世帯の生活改善 生計向上を促進するモデルの構築を図り もって同モデルの全国展開に向けた制度 11 Consultative Group to Assist the Poor( 貧困層支援協議グループ ) 途上国の貧困層への金融アクセス確保を目指して設立された 金融包摂に関する研究 政策提言のための国際機関 1995 年に世界銀行内に設立され 現在は世界銀行からある程度独立した機関となっている CGAP には 30 以上の政府 援助機関と民間財団が参加している 日本は 1997 年からオブザーバー参加し 2000 年からは正式参加している 3

化に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名都市部 1 市 ( フランシスコモラサン県テグシガルパ市 ) 農村部 4 市対象地域は都市部か農村部か CCT の支給のキャッシュレス化の動き JICA 事業の活動地域等を勘案し定める (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) 対象 5 市の CCT 受給世帯 ( 対象市によっては CCT 受給世帯の数に差があるため 各市の目標受益世帯数者はプロジェクト開始後協議 決定する ) (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2015 年 1 月 ~2020 年 1 月 ( 計 60 ヶ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) 約 5 億円 (6) 相手国側実施機関家族支援プログラム (PRAF) (7) 投入 ( インプット ) < 日本側 > 1) 専門家派遣 ( 約 86MM) 総括 / 生活改善 生計向上家計管理金融アクセスビジネス連携業務調整 / 研修計画 2) ローカルコンサルタント等 3) 本邦研修 / 第三国研修 4) 機材供与 : 車両 オフィス機器等 5) 現地活動費プロジェクト関係者の研修参加にかかる旅費 NGO 事業委託費等 < ホンジュラス側 > 4

1) カウンターパート人材の配置 (PRAF) プロジェクトダイレクター ( 長官 ) プロジェクトマネージャー ( プロジェクト調整部長 ) オペレーションマネジャー対象地域の地域コーディネーター対象地域の県コーディネーター及び都市部スーパーバイザー対象市のプロモーター 2) 研修実施経費 3) 必要な設備を備えたプロジェクト事務所 (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1カテゴリ分類 C 2カテゴリ分類の根拠 JICA 環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最低限であると判断されるため カテゴリ C に該当する 2) ジェンダー平等推進 平和構築 貧困削減 1ジェンダー平等推進世帯内の福祉における女性の役割は重要であり CCT 受給世帯の生活改善 生計向上にあたっては 女性のエンパワメントとその能力の活用が不可欠である このため 本プロジェクトにおいても CCT 受給世帯向け研修は参加者の 50% 以上を女性とし 意思決定プロセスへの女性の参画確保やモニタリング / 評価に当たっての男女双方からの情報収集等 計画 / 実施 / モニタリング 評価の全ての段階において ジェンダー視点を組み込み事業を実施する なお Bono10 Mil においても 同様の観点から女性を 受給者名義人 として登録することを推奨しており 実際に受給者の 90% は女性となっている 2 貧困削減本事業はホンジュラスにてCCTを受給している世帯を対象としている CCT を受給するためには ア ) 貧困地域に指定された村及び地区の住民であること イ ) 社会経済調査を受け 極貧または貧困世帯に分類されていること ウ ) 教育 保健 栄養の条件順守対象となる世帯構成であり エ ) 同地域で教育 保健 栄養に関するサービスが提供されていること が全て満たされなければならない そのため 5

本事業は貧困層を対象とした事業である 3) その他特になし (9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 本事業の対象地域を含む全国レベルで 技術協力事業 地方開発のための自治体能力強化プロジェクト (FOCAL2) (2011 年 11 月 ~2016 年 11 月 ) が実施されており 市や市連合会 12 を通じた住民の自主的な地域開発を促進する活動が行われている FOCAL2で実施している 参加型住民センサス調査 では各世帯の生活状況に関する調査結果を得ることが出来る また 参加型コミュニティ開発計画 では 必要と考えられる生活改善の具体的な事業が整理されている 技術協力事業 国家保健モデルに基づくプライマリーヘルスケア体制強化プロジェクト (2013 年 4 月 ~2018 年 4 月 ) が実施されており国家保健モデルに基づいた保健サービス向上のための実施体制や能力強化が図られている 同案件の対象地域を選定することを予定している 農村地域の貧困世帯及び生活改善という視点では これまでにオコテペケ県 ラ パス県やサンタ バルバラ県などで 村落開発普及員をはじめとする JOCV が 日本の生活改善アプローチを用いた活動を実践し 現場の課題に取り組んできた 草の根 無償資金協力により 1989 年以降 学校建設など教育分野において 150 件 (2009 年 ~2013 年の 5 年の年平均 12 件 ) 並びに診療所建設など保健分野へ 50 案件以上 ( 同 5 年の年平均 3 件 ) の支援を通じて 教育 保健サービスの向上に貢献している 2) 他ドナー等の援助活動 2. (4) 他の援助機関の対応 に記載の通り Bono 10Mil は 米州開発銀行 世界銀行 中米経済統合銀行の融資により実施されている これらの国際金融機関が Bono10Mil 本体制度の実施 強化の支援を行っている 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 12 市連合会とは 個々の市では解決が難しい課題に対して対処することを目的に 近隣の複数の市によって設立される地域団体で 地方自治体法に根拠を有する 6

1) 上位目標 : CCT 受給世帯の生活改善 生計向上を促進するために構築されたモデル ( ) が全国展開に向けて制度化される 指標 : 構築されたモデルが法令もしくは条例として制定される 構築されたモデルを実施するための予算が PRAF 及び市 市連合会において確保される モデルは 対象市での実践を通じて確立した CCT 受給世帯の家計管理 金融アクセス 生活改善 生計向上を促進するための手法 関係機関 各関係機関の役割 予算策定のためのアプローチ等を含む 2) プロジェクト目標 : CCT 受給世帯の生活改善 生計向上を促進するモデルが構築される 指標 : 対象市の CCT 受給世帯のうち XX 世帯以上が生計向上や生活改善のための活動を開始する 成果 4 のガイドラインが大統領府により承認される 3) 成果及び活動成果 1: 対象市のCCT 受給世帯の家計管理能力が強化される 成果 2: 対象市のCCT 受給世帯の金融サービスへのアクセスが改善される 成果 3: 対象市のCCT 受給世帯が 生活改善 生計向上に必要な技術を身につける 成果 4: 成果 1~3をとりまとめ CCT 受給世帯の生活改善 生計向上を促進するためのガイドラインが作成される 5. 前提条件 外部条件 ( リスク コントロール ) (1) 前提条件 対象地域の市 市連合会がプロジェクトに協力する (2) 外部条件 PRAF 市連合会をはじめとする関係機関の役割 方針が大きく変わらない 対象市の治安 経済状況が大きく悪化しない ホンジュラス政府の CCT に関する方針が大きく変更されない 関連する他ドナーの CCT 支援に関する方針が大きく変更されない CCT 受給世帯の生活改善 生計向上を行うための PRAF の人員 予算が継続的に確保される 等 7

6. 評価結果 本事業は ホンジュラス国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 <ホンジュラス国 西部地域開発能力強化プロジェクト (FOCAL) より> 同プロジェクトでは 政権交代による人の異動や方針変更等の政治的な影響を受けにくい市連合会に働きかけて地方行政の能力強化を行うことで 継続性のある技術支援が可能となっている また コミュニティ参加型の手法によるベースライン調査及び市の事業計画等を実施 計画立案することで住民の積極的な関与やプロジェクト実施の透明性と効率性が高まった 本プロジェクトにおいても CCT 受給世帯の能力強化を行うに当たっては 市連合会を関係機関として積極的に巻き込むこと また CCT 受給世帯の現状把握のために参加型手法を活用したベースライン調査を行うことを想定している <ホンジュラス国 地方女性のための小規模起業支援プロジェクト (MeM) より> 同プロジェクトではホンジュラス国の貧困層の農村女性を対象に 現金収入向上を目的とした小規模事業の起業支援を行った 貧困層が自主的にオーナーシップを持って経済活動を行うためには問題解決に向けた一人一人の意識改革が必要であることから 社会研修と題した自尊心向上やチームワークを図る研修が行われた しかし 活動の初期段階においては女性グループの状況改善のための活動が中心となり そのプロセスをファシリテーションする人材や体制作りが遅れた したがって 本プロジェクトでは CCT 受給世帯の支援を行う政府機関 関連組織の能力強化と体制構築を担保するために TOT 研修やモニタリング活動を組み込むことで持続性の高いモデルの構築を目指している なお 同プロジェクト活動 5 年間のノウハウはガイドラインとして取りまとめられていることから 同国におけるプロモーターの養成や小規模事業のための組織作りに関する能力強化研修を行う際にリソースとして活用する 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画事業開始 6 ヶ月以内ベースライン調査 8

事業終了 3 年後 事後評価 以上 9