エネルギー環境論 11 放射線 放射線 化石燃料を使えば二酸化炭素が排出されるように 原子力を使うと放射性物質が生じる 放射線は目には見えないし 感覚で捉えることもできない 似たものとして 赤外線がるが 赤外線は 目には見えないが 身体が温まることで その存在を知ることができる ただし 赤外線は放射線ではない 皆が知っている放射線の例では レントゲン( 線 ) がある 極微の世界 分子の大きさ程度 その分子は 原子から出来ている 例として 水分子は2 個の水素原子と 1 個の酸素原子からできてる その原子は 原子核と電子からできている 原子核の大きさは 程度 原子核は 陽子( ) と中性子 ( ) からできている 原子の様子
原子番号と質量数 原子番号原子核の中の陽子の個数質量数原子核中の陽子の個数と中性子の個数の和 例 ) 原子番号 7 で質量数 14 の窒素元素のあらわし方 同位元素 同位元素 安定同位元素 放射性同位元素 ( 説明 ) 窒素のうち % はである だが 他に なども存在する これら窒素の仲間のことを 同位元素という このうち は安定して存在できるので 安定同位元素と言われる ところが は 自然に 別の原子に変わる これは の原子核の中性子 1 個が陽子に変化したと考えることができる この変化する際に 放射線を出す このため放射性同位元素 ( ラジオアイソトープ ) と言われる 放射能 自然に放射線を出しながら別の原子に変わることを崩壊 ( ) と言い 崩壊しようとする性質を放射能という より厳密には 単位時間あたりに崩壊する数 であらわすことができる 放射能の単位としては 1 秒間に1 個の割合で崩壊がおこるとき1 ( ベクレル ) という 放射性崩壊 放射性崩壊とは 放射性同位元素が放射線を出しながら崩壊すること その種類には 崩壊 崩壊 崩壊 がある これらの崩壊で出る放射線は それぞれ 線 線 線と呼ばれます
放射線の正体 線 線 線は 最初どういうものか正体が不明だったので そう呼ばれていた しかし その後の科学の発達により それらの正体がわかった 線とは 原子核 線とは電子 ( ) 線とは高エネルギーの電磁波 ( 広い意味での 光 のこと ) このとき 原子がどう変化するか考えよう 原子番号を 質量を と表す の粒 子は 崩壊では と変化する 崩壊では ) 崩壊では ) 半減期 放射性元素は崩壊するのだから その個数は減っていく 個数が半分になる時間のことを半減期と言う 個数の減り方は 指数関数的に減る 時間をとして 時間での個数を 時間での個数をと書くと と書ける 半減期を と書くと 定義より したがって 即ち これを 上の式に代入すると となる
グラフに描くと 崩壊の例をあげると 4 y + 4 y 半減期の例
核種トリチウムコバルトクリプトンストロンチウムヨウ素セシウムウラニウムウラニウムプルトニウム 半減期年年年年日年 7 億年億年年 半減期の違いを表から見ると ウラン238は44 億年ほどで ウラン235は7 億年ほどである したがって 20 億年後には に減る ということは 20 億 年前に遡ると 倍存在した 一方 ウラン 235 は 20 億年で 7 1 39 に減る よって 20 億年前には倍存在したことになる 現在のウラン鉱石には ウラン 238 が 99.3% ウラン 235 が 0.7% とされる だが 20 億年前にはウラン 235 の比は 即ち 3.6% であった 現在の原子炉のウラン燃料は 3-10% なので 過去にはウラン燃料と同程度の濃度のウラン鉱石が存在した 天然原子炉があった可能性がある < オクロ鉱山 > 1972 年にフランスの科学者たちが アフリカ ガボン共和国のオクロにあるウラン鉱山で この天然の原子炉の痕跡を発見 ここで採掘されたウランは 当然ウランの濃度が通常の % よりかなり低く % 程度のものもあった これより そこでは臨界に達していたと推測される
高レベル放射性廃棄物最終処分 2007 年 4 月 22 日に実施された高知県東洋町長での争点は 高レベル放射性廃棄物最終処分場の初期調査 ( 文献調査 ) 実施の受け入れの是非だった その結果 受け入れを拒否した沢山保太郎候補が得票数の割を得て当選した 処分場の調査を実施するのは 原子力発電環境整備機構 (NUMO) というところである そこの調査を受け入れるだけで10 億円の交付金が出るという 東洋町の人口が約三千五百人であるから 一人当たり毎年 285 万円ほどのお金が支給されることになる計算になる 各家庭に配布されるわけではないが 配布されれば 町民全員が遊んで暮らせる額となる それほどの額の交付金を住民は拒否した NUMOのパンフを貰って読んでみた 以下要点を抜き出す 地層処分 処分場として 1000 ほどの土地を必要とする 地下施設は 300m より深い岩盤中に建設 そこにガラス固化体オーバーパックに入れ定置 地区の選定地震 噴火 隆起 侵食 第四紀の未固結体積物である地域 鉱物資源のある地域を含まないこと 地域共生 100 年以上にわたって共に発展に向けて歩む関係を築く とある この中で気になるのは やはり 地震 だ 日本にこれから 100 年間も安定した地域などないのではないかと思える ガラス固化体オーバーパックが地震で壊れない保証はない パンフには 100 年以上にわたって共に発展 を謳っているが これは 100 年の間に放射能が減ることを期待した文句であろうと推測する 高レベル放射性廃棄物が 半減期 ( 半分になくなる時間 ) が 10 年の放射性同位体であると仮定するならば 100 年間でその放射能は 1000 分の 1 まで落ちる だが 高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性物質は 100 年程度で小さくなるものばかりではなかろう たとえば の半減期は 44.4 億年である 地球が出来たのが 46 億年であるから その程度の時間でようやく半分になるだけである 100 年程度では ほとんど減りはしない プルトニウムで 24,000 年である これは 238 に比較して短いと言っても 100 年ではこれまたほとんど減りもしない
放射線 放射線の影響 電離と励起 イオンとは ベータ線の作用 運動エネルギーの一部をエックス線 ( 制動エックス線 ) として放出 アルファ線の作用 多くのデルタ線 ( 電離した電子 ) を出す ガンマ線の作用 光電効果 : ガンマ線が電子に与えて消滅すること 電子は ガンマ線からエネルギーを受け取るので電離が起こる コンプトン散乱 : 電子による散乱 電子と陽電子の対発生 放射線の透過能力 透過能力の高い順 ガンマ線 中性子 ベータ線 アルファ線 自然の中の放射線の発生源 放射性同位元素 宇宙線 ( 一次宇宙線は陽子が主 二次宇宙線は地上ではミュー中間子が主 ) 人工的な放射線原水爆実験による放射性元素など
放射線の検出 ( ガイガー ミュラー ) 検出器の仕組みとは ガンマ線を電子の流れに変えること 日常生活での放射線被爆 被ばくは 自然放射線医療用放射線によるものがある 日本人の被ばくの実態を見ると
ここで ( シーベルト ) とは実効線量といわれ 人体に対する影響を表す単位 体内には呼吸や食物を通して 放射性同位元素が入っている カリウムという元素がある 原子番号 19で 質量数は大半が39だ だが わずかに質量数 40のカリウム40 と呼ばれる放射性同位体が存在する このカリウム40がガンマ線を出す カリウムは人体には筋肉に多く含まれているようだ そのため 同じ年代の男女を比較すると男の方が女性よりも放射能が倍も強いという よって 全身これ筋肉の塊であるシュワツネッガーは 放射能が日本人男子の3 倍くらい強い はずだ 許される被ばく量 世界 m 日本
放射線の平和利用 蛍光塗料アイソトープから出るベータ線の電子による電離作用が蛍光を起こす煙探知機アメリシウム-241の出すアルファ線の電離作用で隙間に電流が流れる そこに 煙が舞い込むと電流の流れが止まるレントゲンよく知られているように 線を利用 は ポジトロンとも呼ばれ ポジトロン ( 陽電子 ) を放出するアイソトープで標識された薬剤を注射し その体内分布を特殊なカメラで映像化する新しい診断法 カメラは陽電子と電子の対消滅の際に出てくるガンマ線を捕らえる がん細胞がわかるで使用される薬剤 ( ) は がん組織に多く取り込まれ この部分から正常組織よりも強い放射線が出る 放射線の量はがん細胞がブドウ糖を取り込む量 つまり活動性に比例するため はがん細胞の機能 ( 活動性 ) を反映する 脳の活動を知る脳は活動時に 多くのブドウ糖を取り込む このことを利用して 脳のどの部門が活動しているかを知ることが可能となる