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事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

審決取消判決の拘束力

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

訂正情報書籍 170 頁 173 頁中の 特許電子図書館 が, 刊行後の 2015 年 3 月 20 日にサービスを終了し, 特許情報プラットフォーム ( BTmTopPage) へと模様替えされた よって,

 

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平成  年(オ)第  号

O-27567

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

freee・マネーフォワード特許訴訟の解説

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応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

最高裁○○第000100号

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

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平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

2

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

MJS/ 第 79 回租税判例研究会 ( ) MJS 判例研究会 平成 30 年 8 月 9 日 報告者西野道之助 更正の請求/ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除 平成 28 年 7 月 8 日 東京地裁 ( 棄却 )( 控訴 ) 平成 29 年 1 月 26 日

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

同時期に 8 社に対し提起された大阪地方裁判所における判決 ( 大阪地裁平成 24 年 9 月 27 日判決 裁判所 HP) では, 間接侵害の成立に関し, 特許法 101 条 2 号の別の要件である その物の生産に用いる物 にあたるかが問題とされ, 1 特許法 2 条 3 項 1 号及び101 条

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Microsoft Word - CAFC Update(112)

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

平成 23 年 11 月 29 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 22 年 ( ワ ) 第 号特許権侵害差止等請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 10 月 4 日 判 決 広島県呉市 < 以下略 > 原 告 株 式 会 社 H D T 同訴訟代理人弁護士 稲 元 富 保 同

Microsoft Word - CAFC Update(107)

11総法不審第120号

1 アルゼンチン産業財産権庁 (INPI) への特許審査ハイウェイ試行プログラム (PPH) 申請に 係る要件及び手続 Ⅰ. 背景 上記組織の代表者は

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

最高裁○○第000100号

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

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2.2.2 外国語特許出願の場合 2.4(2) を参照 2.3 第 184 条の 5 第 1 項に規定された書面 (1) 日本語特許出願 外国語特許出願を問わず 国際特許出願の出願人は 国内書面提出期間 ( 注 ) 内に 出願人 発明者 国際出願番号等の事項を記載した書面 ( 以下この部において 国

第29回 クレーム補正(2) ☆インド特許法の基礎☆

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

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を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

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として同条 2 項が定めた例 と同様に, 一方が死亡した日から起算して 1 月以内に 他方による標準報酬改定請求があったときに限り, 一方が死亡した日の前日, すなわちその者に係る標準報酬をなお観念することのできた時点において標準報酬改定請求がされたものとみなし, 特例を設ける趣旨であると解される

最高裁○○第000100号

PPTVIEW

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

(イ係)

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

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競走馬の馬名に「パブリシティ権」を認めた事例

Microsoft Word - 一弁知的所有権研究部会2017年7月13日「商標登録無効の抗弁」(三村)

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

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第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

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し, 譲渡し, 貸し渡し, 輸入し, 又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない 2 被告は, 被告製品を廃棄せよ 3 被告は, 原告に対し,1 億円及びこれに対する平成 27 年 8 月 25 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 発明の名称を 分散組

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平成  年(あ)第  号

第10回 出願公開 ☆インド特許法の基礎☆

CAFC Update(135)

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間延長をしますので 拒絶査定謄本送達日から 4 月 が審判請求期間となります ( 審判便覧 の 2.(2) ア ) 職権による延長ですので 期間延長請求書等の提出は不要です 2. 補正について 明細書等の補正 ( 特許 ) Q2-1: 特許の拒絶査定不服審判請求時における明細書等の補正は

である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

☆米国特許判例紹介☆ -第141号-

切り餅 事件 (2)( 知財高裁判決 ) 弁護士人見友美 1. 事案の概要切り餅の側周表面の周方向の切込み ( スリット ) によって膨化による吹き出しを抑制する効果がある ( 焼いた後の焼き餅の美観を損なわない ) ことを利用した発明について 特許権の侵害が争われた事案 原判決は特許権の侵害を否定

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

特許権の侵害行為に当たると主張して, 被告に対し, 特許法 0 条 1 項に基づく別紙物件目録記載の製品の製造, 貸渡し及び貸渡しの申出の差止め並びに同条 2 項に基づく同製品の廃棄を求める事案である 2 前提事実 ( 当事者間に争いがない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣 旨により認定すること

平成  年(行ツ)第  号

原告は 本件事故について 本件試合を主催し 本件ドームを占有していた被告ファイターズに対しては a 工作物責任 b 不法行為又はc 債務不履行 ( 野球観戦契約上の安全配慮義務違反 ) に基づき 指定管理者として本件ドームを占有していた株式会社札幌ドームに対しては d 工作物責任又はe 不法行為に基

Microsoft Word - クレームにおける使用目的に関する陳述 ☆米国特許判例紹介☆ -第105号-

日税研メールマガジン vol.111 ( 平成 28 年 6 月 15 日発行 ) 公益財団法人日本税務研究センター Article 取締役に対する報酬の追認株主総会決議の効力日本大学法学部教授大久保拓也 一中小会社における取締役の報酬規制の不遵守とその対策取締役の報酬は ( 指名委員会等設置会社以

11総法不審第120号

1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告製品目録記載の研磨布を製造し, 譲渡し, 貸し渡し, 譲渡及び貸渡しの申出をしてはならない 3 被控訴人は, その占有にかかる前項の研磨布を廃棄せよ 4 被控訴人は, 控訴人に対し,7 億 8489 万 5000 円及び内金 4 億

なお 本書で紹介した切餅特許事件においては 被告製品は 原告特許発明の構成要件 Bを文言上充足するともしないとも言い難いものであったが 1 審で敗訴した原告は 控訴審において 構成要件 Bの充足が認められなかった場合に備え 均等侵害の主張を追加している 知財高裁は 被告製品は構成要件 Bを文言上充足

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

Transcription:

ケーブル用コネクタ東京地裁平成 19 年 8 月 29 日判決平成 17 年 ( ワ ) 第 22016 号特許権侵害差止等請求事件 弁護士近藤祐史 第 1 事案の概要本件は ケーブル用コネクタに関する後記の特許権 ( 以下 本件特許権 といい その特許を 本件特許 後記請求項 1の特許発明を 本件発明 1 請求項 4の特許発明を 本件発明 2 本件発明 1 及び本件発明 2を併せて 本件発明 という ) を有する原告が 被告が物件目録に記載されるケーブル用コネクタ ( 本判決別紙物件目録 1 記載のケーブル用コネクタを 被告製品 1 別紙物件目録 2 記載のケーブル用コネクタを 被告製品 2 といい 被告製品 1 及び被告製品 2を併せて 被告製品 という ) を製造 販売する行為は 本件特許権を侵害すると主張して 被告製品の製造 販売の差止及び損害賠償等を求めた事案である 1 前提となるとなる事実等 (1) 本件特許権原告は 次の特許権を有している ( なお 上述のとおり 本件で問題とされている発明は2つあるが 本判決で判断されている争点は両者に共通しているため 請求項 4の記載は省略する ) ア特許番号第 3295808 号イ発明の名称ケーブル用コネクタウ出願日平成 11 年 10 月 6 日エ登録日平成 14 年 4 月 12 日オ請求項の記載特許公報の請求項 1の記載は次のとおりである 一面および反対面を持つケーブルを受けるためのケーブル用コネクタであって 前記一面に対向する接点部と前記反対面に対向する係合枢支部とを持つコンタクトと 前記コンタクトを予め定められた方向に挿入し保持するハウジングと 前記係合枢支部に係合するカム部を持ち 前記ケーブルを前記接点部に圧接させるためのアクチュエータとを有するケーブル用コネクタにおいて 前記コンタクトは 第 1および第 2 接点部と第 1および第 2 係合枢支部とを持つ第 1および第 2コンタクトから成り 前記カム部は 前記第 1および第 2 係合枢支部に係合する第 1 及び第 2カム部から成り 該第 1カム部は 前記ケーブルの反対面を押し付ける第 1カム押付面と 前記第 1コンタクトの第 1 係合枢支部と係 1

合する係合カム面とを有し 前記アクチュエータは 前記第 1カム押付面と前記係合カム面とで周回するように 前記第 1 係号カム面に隣接する貫通穴を備え それにより 前記第 1コンタクトの第 1 係合枢支部によって回転可能に支持され 前記第 2カム部は 前記ケーブルの反対面を押し付ける第 2カム押付部と 前記第 2コンタクトの第 2 係合枢支部と受容し係合する係合カム面とを備えることを特徴とするケーブル用コネクタ (2) 構成要件本件発明 1を構成要件に分説すると 次のとおりである A 一面および反対面を持つケーブルを受けるためのケーブル用コネクタであって B B1 前記一面に対向する接点部と前記反対面に対向する係合枢支部とを持つコンタクトと B2 B3 前記コンタクトを予め定められた方向に挿入し保持するハウジングと 前記係合枢支部に係合するカム部を持ち 前記ケーブルを前記接点部に圧接させるためのアクチュエータと を有するケーブル用コネクタにおいて C 前記コンタクトは 第 1および第 2 接点部と第 1および第 2 係合枢支部とを持つ第 1および第 2コンタクトから成り D 前記カム部は 前記第 1および第 2 係合枢支部に係合する第 1 及び第 2カム部から成り E 該第 1カム部は 前記ケーブルの反対面を押し付ける第 1カム押付面と 前記第 1コンタクトの第 1 係合枢支部と係合する係合カム面とを有し F 前記アクチュエータは 前記第 1カム押付面と前記係合カム面とで周回するように 前記第 1 係号カム面に隣接する貫通穴を備え それにより 前記第 1コンタクトの第 1 係合枢支部によって回転可能に支持され G 前記第 2カム部は 前記ケーブルの反対面を押し付ける第 2カム押付部と 前記第 2コンタクトの第 2 係合枢支部と受容し係合する係合カム面とを備えることを特徴とするケーブル用コネクタ (3) 侵害物件被告は 業として 被告製品を製造販売している 被告製品 1の構成は以下のとおりである ( 上述のとおり 本件で問題とされている侵害物件は2つあるが 本判決で判断されている争点は両者に共通しているため 被告製品 2の構成要件は省略する ) ただし 別紙物件目録を入手できなかったため その詳細な構造は不明である なお 判決文において 部位 2は 別紙物件目録 1 添付の図イ2のうちの青色で着色した部分であり 面 2aは 同目録添付の図イ3 7のうちの茶色で着色した部分であり 面 2b は 同目録添付の図イ3 7のうちの青色で着色した部分である とされている a 一面および反対面を持つケーブルを受けるためのケーブル用コネクタであって b b1 ケーブルの一面に対向する接点部 (1b 6b) とケーブルの反対面に対向する部位 2

(1a 6a) とを持つコンタクト (1 6) と b2 コンタクト (1 6) を後方から前方に挿入し保持するハウジング 5と b3 コンタクト (1 6) のケーブルの反対面に対向する部位 (1a 6a) が受け入れられ接することができ 閉じたときにケーブルの反対面を押し付ける平坦な側面 および底面を含む下方部 6 分を持ち ケーブルを接点部に圧接させるためのアクチュエータ4 と を有するケーブル用コネクタにおいて c コンタクトは ケーブルの一面に対向する接点部 1bとケーブルの反対面に対向する部位 1aとを持つ第 1コンタクト1およびケーブルの一面に対向する接点部 6bとケーブルの反対面に対向する部位 6aとを持つ第 2コンタクト6から成り d アクチュエータ4の平坦な側面と底面とを含む下方部分は 第 1コンタクト1のケーブルの反対面に対向する部位 1aが受け入れられ接することができ ケーブルの反対面を押し付ける部位 2および第 2コンタクト6のケーブルの反対面に対向する部位 6aが受け入れられ接することができる部分 7aとケーブルの反対面を押し付ける部位 7bとを含む部位 7から成り e 部位 2は ケーブルの反対面を押し付ける面 2bと 第 1コンタクト1のケーブルの反対面に対向する部位 1aが受け入れられ 接することができる面 2aとを有し f アクチュエータ4は 面 2bと面 2aとで周回する ( まわる ) ように 面 2aに隣接する貫通穴を備え それにより 第 1コンタクト1のケーブルの反対面に対向する部位 1aによって回転可能に支持され g 部位 7は ケーブルの反対面を押し付ける部位 7bと 第 2コンタクト6のケーブルの反対面に対向する部位 6aが中に受け入れられ接することができる部分 7aとを備えることを特徴とするケーブル用コネクタ h h1 上記ケーブル用コネクタにおいて 部分 7aは 第 2コンタクト6のケーブルの反対面に対向する部位 6aが中に受け入れられ 接することができる切欠部分であるため 部位 7bは ケーブルの反対面を押し付ける縮小した部分として形成され h2 それにより アクチュエータ4が閉じた状態のときには 第 2コンタクト6のケーブルの反対面に対向する部位 6aは 部分 7aに隣接している部位 7bの近傍部分に当接することにより 第 2コンタクト6はアクチュエータ4を係止していることを特徴とするケーブル用コネクタ (4) 対比被告製品が本件発明の構成要件 A B1 B2 B3を充足することに争いはない 2 争点 本件における争点は以下のとおりである ただし 争点 1 以外は本判決において判断されていない (1) 被告製品は 第 1 カム押付面押付面 第 1 カム部 を有するか ( 本件発明の構成要件 D E F 3

の充足性 )( 争点 1) (2) 被告製品 2は コンタクトを予め定められた方向に挿入し という構成を有するか ( 本件発明の構成要件 B2の充足性 )( 争点 2) (3) 被告製品は 第 2 係合枢支部 を有するか ( 本件発明の構成要件 Cの充足性 )( 争点 3) (4) 被告製品は 第 2カム部 を有するか ( 本件発明の構成要件 D 及びGの充足性 )( 争点 4) (5) 被告製品は 本件発明 2の構成要件 Hを充足するか ( 争点 5) (6) 本件特許は 特許無効審判により無効にされるべきものか ( 争点 6) ア進歩性の欠如イ特許法 36 条 4 項違反ウ特許法 36 条 6 項 2 号違反 (7) 損害額 ( 争点 7) 第 2 争点に関するする当事者当事者の主張別紙 判決全文 をご参照のこと 第 3 裁判所の判断判断 1 結論請求棄却 2 争点 1( 被告製品は 第 1 カム押付面押付面 第 1 カム部 を有するか ( 本件発明の構成要件 D E Fの充足性 )) について (1) 本件発明における 第 1カム押付面 第 1カム部 の意味について前記争いのない事実等において認定した本件明細書の特許請求の範囲の記載及び前記アで示した本件明細書及び本件図面の記載を前提に 本件発明における 第 1カム押付面 第 1カム部 の意味を検討する ( ア ) 前記のとおり 本件明細書の特許請求の範囲には 前記係合枢支部に係合するカム部を持ち ( 構成要件 B3) 前記カム部は 前記第 1および第 2 係合枢支部に係合する第 1および第 2カム部から成り ( 構成要件 D) 該第 1カム部は 前記ケーブルの反対面を押し付ける第 1カム押付面と 前記第 1コンタクトの第 1 係合枢支部と係合する係合カム面とを有し ( 構成要件 E) 前記アクチュエータは 前記第 1カム押付面と前記係合カム面とで周回するように 前記第 1 係合カム面に隣接する貫通穴を備え それにより 前記第 1コンタクトの第 1 係合枢支部によって回転可能に支持され ( 構成要件 F) と記載されている これらの記載によれば 本件発明に係るケーブル用コネクタに設けられている第 1カム部は 第 1 係合枢支部に係合する係合カム面とケーブルの反対面を押し付ける第 1カム押付面とからなり アクチュエータが周回運動できるように 係合カム面と第 1カム押付面をその周回面とする第 1カム部が基軸となり アクチュエータに設けられた貫通穴に位置する第 1 係合枢支部と係合し この第 1 係合枢支部により回転可能に支持されるという構成を有するとともに 第 1カム部の第 1カム押付面は アクチュエータが閉じた状態で 4

ケーブルを押し付けるものであると認められる また 本件明細書の発明の詳細な説明の段落 0014 には 前記のとおり アクチュエータの貫通穴において 第 1コンタクトは 第 1カム部を第 1 係合枢支部で包み込むように作用する との記載があり 同記載からすれば 第 1コンタクトの第 1 係合枢支部が 貫通穴において 第 1カム部を包み込むように作用するというのであるから 第 1カム部は 第 1コンタクトの第 1 係合枢支部により包み込まれる柱状の部材でなければならず 第 1カム部を 当該部材のみならず アクチュエータの一部の平面も含めて構成される部材と解することは 明らかに不合理といわなければならない さらに 段落 0033 には 前記のとおり 図 15~ 図 17 図 21 及び図 22に示されているアクチュエータ400の第 1カム部 410は 断面がレーストラックの楕円形状を呈する 係合枢支部 230は このような楕円形状の第 1カム部 410を係合するように形成されている と記載されているが この記載は 第 1カム部が 上記同様 柱状の部材のみであると解することによって 初めて 合理的に理解することができるものである したがって 本件発明における 第 1カム部 とは 起立したアクチュエータの中央部分の貫通穴の下に位置し 本件発明突起部分 1 及び2のように略円柱状の突起物であって 第 1コンタクトの第 1 係合枢支部と係合して周回する部材を意味し 第 1カム押付面 とは その略円柱状の周回面の一部であって アクチュエータを閉じた場合に ケーブルを押し付ける部分を意味すると解するのが相当である ( イ ) これに対し 原告は 第 1カム押付面 は 別紙参考図 16 及び22の青色で着色した部分であり 第 1カム部 に相当する部分は 別紙参考図 17 及び23の青色で着色した部分であると主張するので 同主張について 以下検討を加える a 原告は 上記のように解する理由として 本件明細書の特許請求の範囲請求項 1には 前記係合枢支部に係合するカム部を持ち 前記ケーブルを前記接点部に圧接させるためのアクチュエータ との記載があり 同記載からすれば カム部はアクチュエータの一部である旨主張する しかしながら カム部がアクチュエータの一部であるとしても このことによりカム部の位置が定められるわけではなく また 前記 ( ア ) の説示とも反するものではないから 上記記載により原告主張が裏付けられるものではない b 原告は 本件発明における 第 1カム部 は 突起状の部材とアクチュエータの一部から構成されるとの解釈に基づいて 第 1カム押付面 の範囲について アクチュエータが閉じたときにケーブルに接することになるアクチュエータの平面部分 ( 以下 アクチュエータ押付面 という ) のうちの第 1コンタクトに対応する部分も含まれると主張する しかしながら 原告の上記主張によれば アクチュエータ押付面の一部を占める第 1カム押付面の具体的範囲を定める基準が明確でなく また 第 1カム押付面 の範囲を原告主張の基準で画することの合理的理由も本件明細書から導き出せないから 本件発明の技術的範囲の外縁も曖昧とならざるを得ない ( この点 現に 本件訴訟においても 原告は 当初 第 1カム押付面 及び 第 1カム部 の範囲について 明確な主張をしていなかった ) また 侵害訴訟などにおいて 侵害の有無が問題となる製品の具体的構 5

造によっては アクチュエータ押付面のうちのどの部分までが 第 1カム押付面 に含まれるかによって 本件発明の技術的範囲に含まれるか否かの結論が左右される場合もあり得る ( 例えば アクチュエータ押付面を平坦なものとせずに 凹凸を付けて 凸部分でケーブルを押し付けるようにした構成を採用した場合 その凸部の位置によっては 第 1 カム押付面 に含まれるか否かが曖昧となり 同構成が本件発明の技術的範囲に含まれるか否かを判断することができない場合が生じ得る ) そして 本件明細書の特許請求の範囲の記載において 第 1カム部 及び 第 1カム押付面 の範囲が上記のとおり不明確であるとすると 特許法 36 条 6 項 2 号に反する余地も生じることとなる ( なお 本件訂正請求に係る訂正がされたとしても 第 1カム部 及び 第 1カム押付面 の範囲が不明確であることに変わりはない ) 他方 前記 ( ア ) の説示のように 第 1カム押付面と係合カム面とが一体の略円柱状の部材となって第 1カム部を構成し これが第 1 係合枢支部により回転可能に支持されるとする解釈は 明確かつ合理的である上 前記指摘の本件明細書の記載とも合致するものである しかも 本件図面においては 前記アで認定したとおり 第 1カム部を示す符号の引き出し線が柱状の部材から出ており アクチュエータの側面を指示するものでないことが明白である ( この点 原告は 第 1カム部 の一部が第 1コンタクトに隠れているので 第 1カム部 の見えている代表的な部分から引き出し線を引いただけである旨主張するが 本件図 4 及び本件図 21については 前記アのとおり アクチュエータのうち 原告の主張に係る 第 1カム押付面 に相当する部分が明瞭に視認できるのであるから 上記の説明が当を得ないことは明らかである ) 以上からすれば 原告の上記主張は採用できない c 原告は 本件発明の構成要件 Fの 前記アクチュエータは 前記第 1カム押付面と前記係合カム面とで周回するように 前記第 1 係合カム面に隣接する貫通穴を備え との記載の意味について 係合カム面は第 1 係合枢支部と係合し 第 1カム押付面はケーブルからの反作用として押し付けられて アクチュエータは第 1 係合枢支部とケーブルとにより挟まれた状態となり この状態で 第 1 係合枢支部と係合する係合カム面と ケーブルにより反作用を受ける第 1カム押付面とで アクチュエータが周回することができるように 第 1 係合カム面に隣接する貫通穴を備えるという意味であると主張する しかしながら 上記主張は 必ずしも明確でない上 前記第 1カム押付面と前記係合カム面とで周回するように との文言と合理的に整合しないことは 前記 ( ア ) 及び ( イ )bの説示に照らして明らかであるから これを採用することはできない d 原告は 第 1カム部 を前記説示のように略円柱状の部材と解し 第 1カム押付面 をその周側面の一部であると解すると 本件発明の第 1 実施の形態例の図面である本件図 1 4 及び5においては アクチュエータが閉じた状態で 第 1カム押付面 はケーブルに接しないから 不合理である旨主張する しかしながら 特許発明の技術的範囲は まず第 1に特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない ( 特許法 70 条 1 項 ) ところ 本件における特許請求の範囲の記載の解釈は 前記 ( ア ) のとおりである上 同解釈は 本件明細書のその他の記載とも 6

e f 合致するものであるから これが本件図 1 4 及び5の図示と整合しないとしても 上記解釈が左右されるものではない 原告は 本件明細書の段落 0014 の 第 1コンタクトは 第 1カム部を第 1 係合枢支部で包み込むように作用する との記載は 作用 の欄にあるから 本件発明の構成を定めるものではないなどとして 上記記載を根拠として本件発明の構成を認定することはできない旨主張する しかしながら 発明の詳細な説明における記載が作用についてのものであっても 発明の構成の認定のために参酌できることは当然であり 段落 0014 の上記部分は 第 1 係合枢支部が第 1カム部を包み込むように作用する旨明確に記載しているところ 仮に 第 1 係合枢支部が包み込む部分が第 1カム部のうちの係合カム面のみであり 第 1カム押付面を包み込むものではないとすると 例えば 第 1コンタクトは 係合カム面を第 1 係合枢支部で包み込むように作用する などと記載して 上記の構成が理解できるような表現となるのが自然であると解されるから 原告の上記主張は理由がない 原告は 第 1カム部が第 1 係合枢支部で包み込まれる形状であるとすれば 第 1カム押付面も第 1 係合枢支部で包み込まれることになり 第 1カム押付面はケーブルの反対面を押し付けることができなくなると主張する しかしながら 例えば 前記アで判示したとおり 本件発明の第 2 実施の形態例の図面である本件図 15 17 21 及び22は 第 1カム部が第 1 係合枢支部に包み込まれる形状であり しかも 第 1カム押付面はケーブルの反対面を押し付けていることからも明らかなように 第 1カム部が第 1 係合枢支部で包み込まれる形状であっても アクチュエータを閉じたときに 第 1カム押付面がケーブルを押し付けることのできる形状は十分考えられるから 原告の上記主張は理由がない (2) 対比 被告製品の構成は 前記争いのない事実等で判示したとおり 別紙物件目録 1 及び2 並びに別紙被告図面 1ないし10のとおりであるところ 被告製品のうち本件発明の 第 1カム部 に相当する部材として考えられる部分は 別紙被告図面 1ないし10 中の青色と赤色で囲まれた第 1コンタクト対応部分であるが 同部分は 第 1コンタクトの係合枢支部 (1a) と係合する係合カム面 (2a) を有するが 前記争いのない事実で判示したとおり アクチュエータ (4) を閉じたとき ケーブルに接しないから ケーブルを押し付けるものではない したがって 被告製品における第 1コンタクト対応部分は 本件発明における 第 1 係合カム面 を有するのみであるから 本件発明の 第 1カム部 には当たらない したがって 被告製品は 本件発明の 第 1カム部 及び 第 1カム押付面 を有しないことになるから 被告製品は 本件発明の構成要件 D E 及びFを充足しない 3 その他の争点したがって その余の点について判断するまでもなく 原告の請求はいずれも理由がない 7

第 4 検討 1 クレーム解釈解釈の手法特許権の保護対象は 特許請求の範囲に記載された発明である したがって 特許発明の技術的範囲は 特許請求の範囲である 特許法 70 条 1 項は 特許発明の技術的範囲は 願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない と規定し 同条 2 項は 前項の場合においては 願書に添付した明細書の記載および図面を考慮して 特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする と規定している 本判決でも まず特許請求の範囲の記載に基づいて解釈したのち ( 上記第 3 2(1) アの第 1 段落 ) 本件明細書の発明の詳細な説明の記載がかかる解釈と整合することを挙げて解釈を補強する ( 上記第 3 2(1) アの第 2 第 3 段落 ) という構造になっている 2 図面とのとの不整合本件では 原告が 被告の解釈 ( 裁判所が採用 ) によると明細書の図面 ( 本件図面 ) と整合しないと主張した これに対し 本判決は 以下のように述べている 妥当な判断と思われる 特許発明の技術的範囲は まず第 1に特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない ( 特許法 70 条 1 項 ) ところ 本件における特許請求の範囲の記載の解釈は 前記 ( ア ) のとおりである上 同解釈は 本件明細書のその他の記載とも合致するものであるから これが本件図 1 4 及び5の図示と整合しないとしても 上記解釈が左右されるものではない 3 作用作用 の欄の記載記載の参酌本件では 原告が 被告の解釈 ( 裁判所が採用 ) がその解釈の根拠の1つである記載は 作用 の欄にあるから 本件発明の構成を定めるものではなく かかる記載を根拠として本件発明の構成を認定することはできないと主張した これに対し 本判決は 以下のように述べている 妥当な判断と思われる 発明の詳細な説明における記載が作用についてのものであっても 発明の構成の認定の ために参酌できることは当然 以上 8