答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

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大情審答申第 号

平成25年2月 日

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( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

個人情報の取扱いに関する規則 平成 12 年 9 月 29 日 奈良県規則第 2 2 号 改正 平成 13 年 3 月 30 日 規則第 68 号 改正 平成 17 年 3 月 29 日 規則第 30 号 改正 平成 18 年 3 月 31 日 規則第 38 号 改正 平成 27 年 9 月 25

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

論 点 整 理 表

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個人情報の保護に関する規程(案)

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

個人情報保護方針

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

Microsoft Word - guideline02

第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

第 1 開示決定等の審査基準 1 全部又は一部を開示する旨の決定 ( 条例第 23 条第 1 項 ) は 次のいずれかに該当する場合に行う (1) 開示請求に係る保有個人情報に非開示情報が記録されていない場合 (2) 開示請求に係る保有個人情報の一部に非開示情報が記録されている場合であって 当該非開

社会福祉法人渋谷区社会福祉事業団 個人情報保護規程 第 1 章 総則 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 社会福祉法人渋谷区社会福祉事業団 ( 以下 事業団 という ) が保有する個人情報等の取扱いについての基本的事項を定め 個人の権利利益の保護及び人格の尊重を図るとともに 事業の適正な運営に資する

別紙 答申 1 審査会の結論 委託事業者の企画提案書 及び 選考会議の資料 について行われた部分公開の決定は 妥当である 2 異議申立ての趣旨 (1) 異議申立人 ( 以下 申立人 という ) は 神戸市情報公開条例 ( 以下 条例 という ) に基づき 以下の公開請求 ( 以下 本件請求 という

第1 審査会の結論

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

11総法不審第120号

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社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

保有個人情報開示請求書 年月日 出入国在留管理庁長官又は 長殿 ( ふりがな ) 氏名 住所又は居所 ( ) 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 ( 平成 15 年法律第 58 号 ) 第 13 条第 1 項の規定に基づき, 下記のとおり保有個人情報の開示を請求します 記 1 開示を請求す

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

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個人情報保護規程

privacypolicy

個人情報の保護に関する

情報公開に係る事務処理規則 ( 平 18 規則第 16 号平成 18 年 8 月 1 日 ) 改正平 19 規則第 52 号平成 19 年 9 月 21 日平 26 規則第 2 号平成 26 年 5 月 13 日平 26 規則第 22 号平成 27 年 3 月 31 日 第 1 章総則 ( 目的 )

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

財団法人杉並区スポーツ振興財団個人情報保護規程

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

答申第203号(公表用)

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

Microsoft Word - 答申第41号.doc

財団法人吊古屋都市整備公社理事長代理順位規程

諮問庁 : 防衛大臣諮問日 : 平成 28 年 2 月 25 日 ( 平成 28 年 ( 行情 ) 諮問第 192 号 ) 答申日 : 平成 29 年 1 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 行情 ) 答申第 694 号 ) 事件名 : 洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準 運用上の留意事項等に

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個人情報によって識別される特定の個人をいう ( 基本理念 ) 第 3 条個人情報は 個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ その適正な取扱いを図るものとする 第 2 章個人情報 ( 利用目的の特定 ) 第 4 条個人情報を取り扱うに当たっては 定款の定める業務を遂行

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の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

メ 札幌市オンブズマン条例 平成 12 年 12 月 12 日条例第 53 号 改正 札幌市オンブズマン条例 平成 15 年 10 月 7 日条例第 33 号 平成 20 年 11 月 7 日条例第 36 号 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 第 4 条 ) 第 2 章責務 ( 第 5 条 第 7

(4) 保有個人情報実施機関の職員 ( 本市が設立した地方独立行政法人の役員を含む 以下同じ ) が職務上作成し, 又は取得した個人情報であって, 当該実施機関の職員が組織的に利用するものとして, 当該実施機関の公文書に記録されているものをいう (5) 特定個人情報行政手続における特定の個人を識別す

役職員等 とは, この法人に所属するすべての理事, 監事及び組織内にあって直接又は間接にこの法人の指揮監督を受けてこの法人の業務に従事している者をいい, 雇用関係にある従業者のみならず, この法人との間に雇用関係のない者 ( 派遣社員等 ) も含む. (10) 個人情報管理責任者 個人情報管理責任者

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

する実施機関 ( 以下 実施機関 という ) に提出しなければならない ( 収集の制限 ) 第 6 条財団は 個人情報を収集するときは あらかじめ個人情報を取り扱う目的 ( 以下 取扱目的 という ) を明確にし 当該取扱目的の達成のために必要な範囲内で適法かつ公正な手段により収集しなければならない

地方職員共済組合個人情報保護規程(案)

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

Taro-議案第13号 行政手続条例の

個人情報保護規定

情報公開答申第733号本文(諮問第923号)

第 4 条センターは 個人情報保護方針 ( プライバシーポリシー ) を定め これを実施する 2 センターは 個人情報保護方針を 文書等で従業者に周知徹底させるとともに センターのホームページ上に公表する ( 規程の改定 ) 第 5 条センターは 個人情報保護法の運用 監督官庁のガイドライン等の変更

当該実施機関が保有しているものをいう ただし 公文書 ( 越谷市情報公開条例 ( 平成 11 年条例第 10 号 ) 第 2 条第 2 項に規定する公文書をいう 第 7 号において同じ ) に記録されているものに限る (4) 事業者法人その他の団体 ( 実施機関並びに国及び他の地方公共団体を除く )

第 1 号様式 個人情報開示請求書 独立行政法人自動車事故対策機構理事長 殿 令和年月日 請求者の氏名 住所又は居所 TEL ( ) 連絡先 :( 連絡先が上記の本人以外の場合は 住所 氏名 電話番号 ) 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律第 13 条第 1 項の規定に基づき 下記

処分済み

会員に対する処分等に係る手続に関する規則 (2018 年 7 月 30 日制定 ) 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本規則は 定款第 15 条に規定する会員に対する処分及び不服の申立てに係る手続の施行に関し 必要な事項を定めることを目的とする ( 定義 ) 第 2 条本規則において 次の各号

(3) 障害を理由とする差別障害を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいいます (4) 障害を理由とする不当な差別的取扱い客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく 障害又は障害に関連する事由により障害者を区別し 排除し 又は制限すること 障害者に障害者でない

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

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エーシーニールセン・コーポレーション株式会社 個人情報保護方針

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

平成11年6月8日

学校法人金沢工業大学個人情報の保護に関する規則

第 4 条公共の場所に向けて防犯カメラを設置しようとするもので次に掲げるものは, 規則で定めるところにより, 防犯カメラの設置及び運用に関する基準 ( 以下 設置運用基準 という ) を定めなければならない (1) 市 (2) 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 260 条の2

< F2D F8C668DDA A91E D86939A905C>

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

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茨城県後期高齢者医療広域連合個人情報保護条例施行規則(案)

- 2 - ⑷ 保育所又は学童クラブにおいて 保育又は学童クラブの目的を達成するために 児童又はその保護者に対してされる行政指導 ⑸ 市の職員 ( 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 2 条に規定する地方公務員に該当する職員をいう 以下同じ ) 又は市の職員であった者に対して

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

答申第693号

11総法不審第120号

東レ福祉会規程・規則要領集

おいて開催されていた法の制度運営に関する検討会の報告 ( 平成 17 年 3 月 29 日 ) では, 法の運用に関する改善措置として, 理由付記に関して 特に, 文書不存在を理由とする不開示決定については, 例えば, 請求対象文書をそもそも作成 取得していない, 作成したが保存期間が経過したので廃

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

個人情報の取り扱いに関する規程

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

H 刑事施設が受刑者の弁護士との信書について検査したことにつき勧告

イ不動産鑑定評価書のうち次の部分 ( ア ) 鑑定評価額並びに鑑定評価額を導くための単価 補正係数 補正事項 想定係数及び想定事項 ( イ ) 取引事例に関する情報 ( 市町村名を除く ) (3) 開示しない理由ア (2) のア当該文書の作成又は取得をしていないためイ (2) のイの ( ア ) 条

Taro-答申第64号

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教員等の懲戒処分に係る審査に関する規程 ( 平成 21 年 9 月 16 日 ) ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 教育公務員特例法 ( 昭和 24 年 1 月 12 日法律第 1 号 以下 法 という ) 第 9 条第 2 項の規定に基づき 沖縄県立看護大学教授会 ( 以下 教授会 という )

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

Transcription:

答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26 号 以下 条例 という ) に基づき 実施機関に対し 異議申立人の子である ( 以下 本件児童 という ) について 児童相談所が保有する文書全ての個人情報の開示請求 ( 以下 本件開示請求 という ) を行った 2 平成 24 年 2 月 3 日 実施機関は 本件開示請求に対して 名古屋市子ども青少年局子育て支援部児童福祉センター中央児童相談所 ( 以下 中央児童相談所 という ) が保有する児童記録 ( 以下 本件児童記録 という ) を特定し 次の理由により一部開示決定 ( 以下 本件処分 という ) を行い その旨を異議申立人に通知した (1) 条例第 20 条第 1 項第 2 号に該当本件児童に関する情報については 開示請求者に開示することにより 本件児童の利益に反すると認められるため (2) 条例第 20 条第 1 項第 3 号に該当開示請求者以外の者の個人情報については 開示することにより 当該開示請求者以外の者の正当な権利利益を害するおそれがあるため (3) 条例第 20 条第 1 項第 7 号に該当担当者の評価及び判断が含まれる情報並びに関係機関とやりとりをした情報については これを開示することにより 事業の性質上 事業の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため (4) 条例第 20 条第 1 項第 9 号に該当児童虐待の防止等に関する法律 ( 平成 12 年 5 月 24 日法律第 82 号 ) 第 7 条により 児童相談所に漏えいが禁じられている 通告した者を特定させるもの の情報が含まれているため 1

3 同年 4 月 9 日 異議申立人は 本件処分を不服として 実施機関に対して 異議申立てを行った 4 平成 25 年 7 月 25 日 異議申立人は 異議申立書の補正を行った 第 3 異議申立人の主張 1 異議申立ての趣旨本件処分のうち 本件児童の発言部分を非開示とした部分を取り消す との決定を求めるものである 2 異議申立ての理由異議申立人が異議申立書 反論意見書及び口頭による意見の陳述で主張している異議申立ての理由は おおむね次のとおりである (1) 開示された部分において事実と異なる記録が多い (2) 本件児童に関する情報について異議申立人に開示することは 本件児童の利益に反するとは認められない 本件児童と接していくうえで 本件児童の気持ちを知る必要がある (3) 中央児童相談所の利益ばかりが優先されており 中央児童相談所の本件児童に対する見解及び対処並びにその理由が不明確なままになっているので 親権者としてそれを知る必要がある 第 4 実施機関の弁明実施機関の弁明は おおむね次のとおりである 1 本件児童の発言部分については 条例第 20 条第 1 項第 2 号に規定する 未成年者又は成年被後見人の法定代理人により開示請求がなされた情報であって 当該法定代理人に開示することが当該未成年者又は成年被後見人の利益に反すると認められるもの である 2 また 本件児童の発言部分を開示することになれば 児童が自身の発言を差し控えるなど 児童と児童相談所職員の面接等が成り立たなくなり ひいては 児童の安全確保という児童相談所業務の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため 条例第 20 条第 1 項第 7 号に該当する 2

第 5 審議会の判断 1 争点本件児童記録のうち本件児童の発言部分が 条例第 20 条第 1 項第 2 号又は第 7 号に該当するか否かが争点となっている 2 条例の趣旨等条例の目的は 第 1 条に規定しているように市民の基本的人権の保護及び市政の適正かつ円滑な運営の確保に寄与しようとするものである そして このような目的を達成するためには 市が保有する自己の個人情報は 開示が原則とされている しかし 開示請求の対象となる個人情報の中には 法令又は条例の規定で本人に開示をすることができないと明示している情報や 社会通念上本人に開示をすべきでないもの 開示をすることにより他者の正当な権利利益を侵害したり あるいは行政の公正又は円滑な運営が阻害されたりするものなど 本人であっても 例外的に非開示とせざるを得ないものがある このため 立法者は 条例の制定に際し 制度の趣旨及び個人情報の開示の原則を定めるとともに なお 例外的に非開示とせざるを得ない情報があると判断し これを条例第 20 条第 1 項各号において非開示情報として具体的に類型化している この例外的な非開示情報については 個人情報開示の原則に照らし できる限り制限的に解すべきであるが 個人情報の開示を請求する権利は プライバシーの権利の保障の観点から 条例によって具体的に認められたものであることから 開示か非開示かは 条例の法文を解釈すれば足りる したがって 当審議会における具体的事案の審理に際しては 条例第 20 条第 1 項各号に該当するか否かが 条文の文言 趣旨及び目的に照らして判断されるべきものである 3 児童相談所の業務について児童相談所は 児童福祉法 ( 昭和 22 年法律第 164 号 ) 第 12 条第 1 項に基づき 都道府県 指定都市 ( 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 252 条の19 第 1 項の指定都市をいう ) 及び児童相談所設置市 ( 児童福祉法第 59 条の 4 第 1 項の児童相談所設置市をいう ) に設置される行政機関である 児童相談所は 1 児童に関する家庭その他からの相談のうち 専門的な知識及び技術を必要とするものに応ずること 2 児童及びその家庭につき 必要な調査並びに医学的 心理学的 教育学的 社会学的及び精神保健上の判定を行うこと 3 児童及びその保護者につき 上記 2の調査又は判定に基づ 3

いて必要な指導を行うこと 4 児童の一時保護を行うこと等の業務 ( 以下これらを 相談援助活動 という ) を行っている なお 厚生労働省が定めている児童相談所運営指針によれば 児童相談所における相談援助活動は すべての子どもが心身ともに健やかに育ち その持てる力を最大限に発揮することができるよう子ども及びその家庭等を援助することを目的とし 児童福祉の理念及び児童育成の責任の原理に基づき行われるため 常に子どもの最善の利益を考慮し 相談援助活動を展開していくことが必要であるとされている 4 本件異議申立ての対象となる保有個人情報について (1) 本件児童記録は 中央児童相談所が本件児童に対する相談援助活動を行うに当たり 本件児童に係る児童記録票 各種会議資料 経過一覧その他本件児童に関連した文書を一括してファイルに収録したものである このうち 異議申立人が開示を求めている保有個人情報は 本件児童の発言部分であり 本件児童記録のうち経過一覧の以下の部分 ( 以下 本件発言内容 という ) であると認められる 平成 年 月 日及び同月 日の記載記事欄の 行目から 行目までがあるページ (2) 実施機関は 本件発言内容について 条例第 20 条第 1 項第 2 号及び第 7 号に該当するとして非開示としている (3) なお 本件開示請求及び本件異議申立ては 未成年者である本件児童に代わって 本件児童の法定代理人である親権者が行ったものである 5 非開示事由該当性 (1) 条例第 20 条第 1 項第 2 号該当性当審議会は まず 本件発言内容が 条例第 20 条第 1 項第 2 号に該当するか否かを判断する ア本号は 未成年者又は成年被後見人の権利利益を保護するため 未成年者又は成年被後見人の法定代理人による開示請求がなされた場合において 未成年者又は成年被後見人本人と法定代理人との利益が相反する場合は非開示とすることを定めたものである イ条例第 18 条第 2 項の規定に基づく親権者の開示請求権は あくまで子の利益を実現する手段として設けられているものである 4

そして 親権者と子であっても その人格がそれぞれ別個であること は当然であるから 子は 親権者に対する関係においてもプライバシーを保護される権利を有している ウ当審議会の調査によると 本件発言内容には 本件児童が自身の私生活 家庭環境 身体の状況 健康等に関して中央児童相談所の職員に話した内容が記載されており 本件児童の内心に関する情報であることが認められる これらの情報は 秘匿性の高い内面的 身体的な状態を示すものであり 極めて機微にわたる私的な情報であると認められ 本件児童にとって親権者である異議申立人に対しても知られたくない情報であると認められる エしたがって 本件発言内容を異議申立人に開示することは 本件児童の利益に反すると認められる オ以上のことから 本件発言内容は 条例第 20 条第 1 項第 2 号に該当すると認められる (2) 条例第 20 条第 1 項第 7 号該当性実施機関は 本件発言内容が 条例第 20 条第 1 項第 7 号にも該当すると主張しているが 上記 (1) で判断したように 本件発言内容は非開示とすべきであると考えるので これについて重ねて判断する必要はない 6 上記のことから 第 1 審議会の結論 のように判断する 第 6 審議会の処理経過 年 月 日 処 理 経 過 平成 24 年 4 月 19 日 諮問書の受理 4 月 24 日 実施機関に弁明意見書を提出するよう通知 5 月 31 日 実施機関の弁明意見書を受理 6 月 4 日 異議申立人に弁明意見書の写しを送付 併せて 弁明意見書に対する反論があるときは反論 意見書を 口頭での意見陳述を希望する場合は意見陳 述申出書を提出するよう通知 7 月 5 日 異議申立人の反論意見書及び意見陳述申出書を受理 5

9 月 5 日 調査審議 ( 第 170 回審議会 ) 実施機関の意見を聴取 11 月 7 日 調査審議 ( 第 172 回審議会 ) 異議申立人の意見を聴取 平成 25 年 7 月 25 日 異議申立人が異議申立書を補正 9 月 20 日 調査審議 ( 第 182 回審議会 ) 10 月 18 日 調査審議 ( 第 183 回審議会 ) 10 月 25 日 答申 6