Colloquium 第109 回 運輸政策コロキウム テーマ1 地方におけるインバウンド観光の実態とその効果 テーマ2 観光立国の推進について 平成 24 年 2 月 16 日 運輸政策研究機構 大会議室 講演の概要 テーマ1 1. 講師 栗原 剛 運輸政策研究機構運輸政策研究所研究員 2. 講師

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渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

Ⅰ 観光振興計画制定の背景 1 観光による地域振興 観光立国推進基本法 に基づき策定された 観光立国推進基本計画 の中で 観光立国の実現は地域経済の活性化 雇用機会の増大 国民の健康の増進 潤いのある豊かな生活環境の創造 国際相互理解の増進等の意義を有するものである と位置づけられています また 東

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Transcription:

第109 回 運輸政策コロキウム テーマ1 地方におけるインバウンド観光の実態とその効果 テーマ2 観光立国の推進について 平成 24 年 2 月 16 日 運輸政策研究機構 大会議室 講演の概要 テーマ1 1. 講師 栗原 剛 運輸政策研究機構運輸政策研究所研究員 2. 講師 コメンテータ 志村 格 国土交通省観光庁観光地域振興部長 3. 司会 杉山武彦 運輸政策研究機構運輸政策研究所長 てみなかみ町 高山市等の事例を取り は 社会的 文化的な効果を挙げ 文化 上げ 旅の質にこだわることや 万人受 的効果として地域の芸術 工芸 伝統文 けを狙わないこと等をインバウンド推進 化活動の再生や人々の文化アイデンティ の要点としてまとめている 各事例に対 ティと誇りの強化等を指摘した 一方 人口減少が進むわが国では 地方活 して定性的な分析はなされているもの 環境への効果を指摘する文献もいくつ 性化のためにインバウンド観光の役割 の 地方への来訪需要等を定量的に分 かみられ Page 2003 5 は受入環境が は大きいと考えられる その中で 歴史 析した研究はみられない 整備される正の効果がある他 観光客 講師 栗原 剛 1 はじめに 的町並みを味わえる高山や宿坊体験の 広く観光がもたらす効果として 経済 の集中による環境悪化という負の効果 できる高野など 地方において多様なイ 的効果 社会 文化的効果 環境効果が を挙げた 以上大きく3 つの効果が指 ンバウンド観光の形態が表れてきた 本 指摘されている 経済的効果は最も古 摘されているものの インバウンド観光に 研究は地方におけるインバウンド観光の くから認識されており 戦前 外客誘致 着目してその効果を整理した研究はこ 実態を把握するとともに インバウンド観 は外貨獲得に貢献することが議論され れまでのところみられない 光が地方にもたらす効果を検証するこ ていた 国際貸借審議会 1929 2 とを目的とする その後 観光基本法 1963 は前文で観 ①地方のインバウンド観光実態を定量 光のもつ意義を述べており 経済的な効 的に分析すること ②インバウンド観光 2 既存研究の整理と本研究の位置づけ 果だけでなく国際親善の増進など社会 が地方にもたらす効果を検証することに 地方におけるインバウンド観光の実態 文化的な効果があることが示された 特色がある 特に 効果はその全体像 と効果を対象として既存研究を整理す 以降の文献には経済的 社会 文化的効 を示し 定量的 定性的に検証を加える る 近年の地方における多様なインバ 果の両側面を捉えるものが多い 例え ことに新規性がある 本報告は 研究の ウンド観光の内容は 観光庁等により紹 ば鈴木 1974 3 は 国際観光の効果と 前半にあたる実態分析ならびに効果の 介されている 日本交通公社 2011 1 して国際親善の増進 国際文化の交流 全体像までを報告する は インバウンドが振興している地域とし Böhm 2009 4 促進を挙げている また 既存研究の整理を踏まえ 本研究は 3 地方におけるインバウンド観光の実態 3.1 統計データ インバウンド観光に関する統計は 観 光庁や日本政府観光局 JNTO を中心 に整備されてきた 表 1 観光客入込統計は 従来都道府県が 独自に整備してきた統計に対して 全国 共通基準を設けて 2010 年より公表を 始めた統計である インバウンド観光に ついて 日帰りと宿泊の両者を捉えるこ 講師 栗原 剛 054 運輸政策研究 Vol.15 No.1 2012 Spring 講師 コメンテータ 志村 格 とのできる唯一の統計である ただし コロキウム

1980 2010 11 10 250 3.2 1 1 1 2 2 3.3 3.1 Vol.15 No.1 2012 Spring 055 2010 1980 2010 2007 2010 JNTO 0 0.2 0.4 0.6 80 0 / 60 0 4 8 12 16 / / /

1 10 3 3 5 41 2 2005 2010 0.360.23 5.6 7.8 20052010 10.0 7.15.3 4 4.1 3 6 4 2000 7 Vol.15 No.1 2012 Spring 056 n893 n57 n84 n77 n6,973 3.5 1.7 3.5 0.8 51.6 33.9 8.5 23.0 16.2 100.5 3.4 25.8 13.5 15.2 12.2 28.3 6.4 2.9 11.4 5.6 45.3 35.4 18.3 18.5 11.2 4.9 13.6 58.8 12.0 7.0 7.4 59.6 11.7 2.4 21.5 2.4 41.4 37.7 16.5 23.4 37.6 1.7 4.1 1.2 18.6 10.3 18.6 56.3 5.4 6.5 5.5 1.1 37.6 29.8 6.6 13.0 14.3 6.0 2.1 1.5 4.0 9.0 3.1 22.7 5.3 5.3 12.8 0.9 44.9 34.4 12.2 30.5 13.8 9.9 4.2 29.4 8.3 12.3 13.9 37.2 155 110 90 89 68 67 54 48 29 527 194 477 12.5 6.4 5.4 4.6 3.1 2.9 2.6 1.9 1.7 0.28 0.054 0.32 0.34 0.25 0.23 0.16 0.13 0.11 0.11 0.099 0.094 0.10 0.058 0.10 a/ a/ a

8 10 4 4.2 2 5 5 a Haukeland1984 11 b JNTO c 2011 12 CVM dc 2001 13 e 2011 14 5 Vol.15 No.1 2012 Spring 057 a b c d e

1 2009 25.5GDP5 6 906822 5 1.2 4.6 5327 462 622 2003521 20101,000 2009 2011 72 102 308 WTO 2 2.1 2016 200925.530 2011 6221,800 45 60 5 2011 1,7002,000 2010 2.122.5 4 2016 2,400 1,000 2011 43.6 58.4 2.2 4 1 2 JNTO YouTube 1020SNS 3MICE 23 MICE 4 Vol.15 No.1 2012 Spring 058

131 3.2 ipad 26,000 2011 101241,920 16.9 / 201179 330.9 2011462 46.93 1 11 8.8 2011793 51 2011 46 2 41 44.384.5 4 2011462 2.3 3 3.1 4 3,000 2,000 1,000 0 2,274 2,869 30.9 2,310 1,976 46.9 1,207 46 79 1012 13 46 22 23 238JNTO 22 46 23 46 22 79 23 79 0 20 40 60 80 100 41 60 55 38 25 27 15 22 18 22 46 23 46 22 79 1,982 79 0 50 100 150 130.6 54.8 33.3 44.366 40.9 25 23.530 30 64.2 43.0 132.8 51 26 23 84.536 23 42.733 79 37.613 a. b. JNTO 1 12389 2 Vol.15 No.1 2012 Spring 059

2011793 435 25 5 2011 462 DVD 10 6 3.3 25.5 22 46 23 46 22 79 23 79 0 20 40 60 80 100 48 41 49 43 32 34 31 32 19 28 20 25 24 5 2011462 6050 40 7 22 46 23 46 22 79 23 79 0 20 40 60 80 24.3 18.071 14.068 12.250 25.9 3.4 44.1 41.8 62.2 24 5 65.1 36.744 26.836 20.919 a. b. JNTO 1 12389 2 49.5 35.4 43.8 27.9 28.9 46.8 27.3 19.2 21.4 29.2 21.3 21.6 20.7 23.3 19.5 21.8 17.7 18.7 12.6 19.1 7.4 27.6 6.9 21.4 5.9 23.5 4.9 19.6 2.6 14.1 2.5 1.7 7.3 17.1 1.4 13.7 25.1 1.0 18.8 0 50 100 37.1 47.4 58.3 70.4 N3,244 N2,182 94.3 2011793 060 Vol.15 No.1 2012 Spring

3.5 3.6 WTO 3 133 45 4 Böhm2009 4 Q A Q A Q 10 A 10 Q TV Vol.15 No.1 2012 Spring 061 18,189 18,189 38,092 38,092 41,255 41,255 48,907 48,907 47,956 47,956 46,183 46,183 50,428 50,428 40,726 40,726 16,585 16,585 40,437 40,437 39,193 39,193 36,943 36,943 43,865 43,865 50,218 50,218 46,932 46,932 45,595 45,595 0 50,000 60,000 30,000 40,000 10,000 20,000 9 10 20 30 40 50 60 70 9 10 20 30 40 50 60 70 5,903 5,903 6,025 6,025 10,579 10,579 16,231 16,231 22,580 22,580 15,706 15,706 15,182 15,182 14,255 14,255 7,526 7,526 14,724 14,724 13,384 13,384 12,995 12,995 13,518 13,518 17,735 17,735 14,727 14,727 11,766 11,766 18,189 38,092 41,255 48,907 47,956 46,183 50,428 40,726 16,585 40,437 39,193 36,943 43,865 50,218 46,932 45,595 5,903 6,025 10,579 16,231 22,580 15,706 15,182 14,255 7,526 14,724 13,384 12,995 13,518 17,735 14,727 11,766 0 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000

A 30 1919 Q A A Q A A 12 Q A Q A 100 12011 21980 31974 4Böhm, K.2009Social and cultural impacts of tourism -A holistic management approach for sustainable developmentvdm Verlag Dr. Müller Aktiengesellschaft & Co. KG, Saarbrücken, Germany. 5Page, S. J.2003 Tourism Management Oxford, Butterworth-Heinemann, pp. 304-318. 62000, p. 7 72000 81996 Vol. 205pp. 16-17 92004 No. 13 pp. 175-185 102007 11Haukeland, J. V.1984Sociocultural impacts of tourism in Scandinavia -Studies of three host communitiestourism Management, Vol. 5, pp. 207-214 122011 132001 142011 062 Vol.15 No.1 2012 Spring