我が国の宇宙技術の世界展開

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Transcription:

背景 我が国の宇宙技術の世界展開 - 最先端宇宙科学 技術と人材育成をセットにした新たな海外展開戦略 - 世界の宇宙関連産業の市場は 過去 5 年間で毎年平均 14% の勢いで成長しており 今や 15 兆円規模のマーケットとなっています 今後も 宇宙新興国を中心に 更なる成長が期待されています 宇宙新興国からの受注を巡る国際競争は激化国際競争を勝ち抜くため ブランド力向上を図るとともに ニーズに応える 人材と技術 をパッケージとして提供 我が国の優れた宇宙システムの優れた宇宙システムの海外市場に向けた展開 戦略 1 ブランド力を育てる 戦略 2 ニース に対応したシステム / アフ リの提供 戦略 3 人材を育てる 温室効果ガス 災害監視 植生 降水 海色 海上風 海面水温 はやぶさ に代表される最先端宇宙科学 技術をさらに発展させ その成果をアピールします 宇宙新興国の幅広いニーズに柔軟に対応できる衛星観測システムを開発し 各国に提供することを通じ 我が国の技術体系による衛星利用を世界に広めます 諸外国が必要とする人材育成を技術と併せてパッケージとして提供します 1

2 世界の宇宙産業の市場動向 世界の宇宙関連産業の市場は 過去 5 年間で毎年平均 14% の勢いで成長し 今や 15 兆円規模のマーケットとなっており 今後も宇宙新興国を中心に更なる成長が期待されます ( 億円 ) 160,000 140,000 1US$=90 円で換算 120,000 毎年平均 14% の成長 144,810 100,000 129,960 80,000 60,000 40,000 74,430 79,920 94,950 109,530 20,000 0 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年出典 1:Satellite Industry 2 Association 3 State of 4the Satellite 5Industry Report(2010) 6 成長市場の獲得による我が国の経済成長の実現に向け 宇宙新興国に我が国の優れた宇宙技術をより積極的に展開するためには 新たな戦略が必要です

戦略 1 ブランド力を育てる 宇宙開発は大規模な投資を必要とするにも関わらず リスクが高いため 市場獲得には信頼性と実績が大きな鍵となります 我が国は 宇宙システムに関して高い技術力を持っていますが その技術力の高さが欧米と比較し国際的なブランドとして浸透しているとは依然言えず 我が国のブランド力を海外に強く発信することが必要です そのため 世界を圧倒的にリードした はやぶさ 技術力の高さを実証した HTV の技術を発展させ その背景にある我が国の宇宙技術の高さを海外にアピールします (1) はやぶさ後継機 はやぶさ 2 の開発 はやぶさ によって日本が先頭に立った始原天体サンプルリターン等の分野で 日本の独自性と優位性を維持 発展させるため その後継となるミッションを行います 太陽 地球 小惑星帯太陽系内側 木星 太陽系外側 (2) 回収機能付加型宇宙ステーション補給機 (HTV-R) の開発 国際宇宙ステーション (ISS) の物資補給を行う宇宙ステーション補給機 (HTV) は 安全に ISS に接近できる高度な自律制御機能を備え 米国のスペースシャトル運用終了後は ISS に大型物資を輸送できる世界で唯一の補給機となります この HTV に回収機能を付加し 宇宙実験の成果を我が国の力で地球に持ち帰る能力を開発するなど 技術をさらに発展させます 3

戦略 2 宇宙新興国のニーズに対応した宇宙システム / アプリケーションの提供 衛星観測データは 多額かつ時間を要する他の地上インフラに比べて 短時間に広い地域をカバーすることが可能です このため 地上インフラの整備がまだ進んでいない宇宙新興国は これら衛星観測データを防災 地図作成や森林 水資源管理といった活動に役立てたいと考えており 今後大きく発展していく可能性があります 宇宙新興国では 導入当初のシステムが長期にわたりその国のスタンダードとなる傾向があるため いかに初期の段階から宇宙新興国のニーズに対応したシステムやアプリケーションを提供できるかが我が国の海外展開の鍵と言えます そのため 各国の幅広いニーズに柔軟に対応できる地球観測衛星技術を確立し そのデータ利用を含めた技術体系を各国に提供することで 我が国の宇宙システムを宇宙新興国に広めます 地球観測衛星技術の確立 宇宙新興国のニーズが高い分野防災 主な観測ニーズ ( 例 ) 災害時の緊急観測防災マップ作成 陸域観測技術衛星 だいち (ALOS) 災害発生時に被災域の緊急観測を実施 森林管理 地図作成等にも利用 幅広いニーズに柔軟に対応できる地球観測衛星技術を確立するため 以下に取り組みます 陸域観測技術衛星 2 号 (ALOS-2) の開発 水循環変動観測衛星(GCOM-W) の開発 全球降水観測/ 二周波降水レーダ (GPM/DPR) の開発 地球観測データの利用促進 森林 国土管理環境監視水 資源管理 洪水森林の違法伐採地図作成温室効果ガス植生の変化河川 治水降水分布の変化水資源 陸域観測技術衛星 2 号 (ALOS-2) ALOS を超える高頻度 高精度観測を実現 ALOS では困難なビル 道路 橋の被災状況把握が可能温室効果ガス観測技術衛星 いぶき (GOSAT) 環境省との共同プロジェクト 二酸化炭素 メタンの濃度分布を全球くまなく測定水循環変動観測衛星 (GCOM-W) 地表の水分や水蒸気量等を観測 地球規模での水循環メカニズム解明に貢献全球降水観測 / 二周波降水レータ (GPM/DPR) 日米の共同プロジェクト 日本はセンサ (DPR) を開発 降雨を三次元で観測 4

戦略 3 技術を使う人を育てる 宇宙新興国が宇宙システムを導入しようとするためには 宇宙システムを活用する上で必要となる能力開発や人材育成が必要不可欠です 宇宙新興国が欲する衛星利用技術や 能力開発 人材育成 人材派遣をパッケージとして提供することにより 我が国の優れた衛星開発技術 衛星データ利用の宇宙新興国への浸透を図ります そのため 衛星利用の技術協力や小型衛星の開発を通じた人材育成を行います また アジア太平洋地域との協力で培ってきた知見を活かし 国際協力機構 (JICA) やアジア開発銀行との協力枠組み等も最大限に活用し 宇宙新興国との協力関係を構築します 宇宙振興国への技術協力と人材育成のパッケージによる宇宙システムの海外展開 技術協力地球観測衛星など我が国が培った宇宙システムを新興国に提供し これらの国が台風 洪水 地震 津波など自然災害被害の把握 予防対策や環境監視に宇宙システムを活用できるよう協力します 人材育成衛星開発分野における人材育成の機会提供 相手国が求める衛星観測ニーズに対応した能力開発 宇宙システム導入にあたっての基盤整備に関する人材育成を実施します 5

国際協力の枠組みを通じ 宇宙新興国に対し 地球規模で宇宙活動を推進 展開しています 6 JAXA において これらの国々と下記の目的に関連した人工衛星利用の協力を実施中 また 我が国の衛星利用促進のため 官民合同チームによりアフリカ ( エジプト 南アフリカ ) や南米 ( ブラジル アルゼンチン ペルー ) を訪問 パキスタン洪水監視 ブータン氷河湖監視 バングラディッシュ河川管理 ( 計画中 ) 地図作成 ラオス森林監視 メキシコ森林監視 ハイチ地理情報地殻変動解析 中央アフリカ諸国森林不法伐採監視 ( 計画中 ) 水資源管理 ( 計画中 ) ガボン森林監視 トーゴ ブルキナファソ セネガル ジブチ モザンビーク地図研修 カンボジア農業利用 ベトナム河川管理 森林管理 水資源管理 衛星技術研修 フィリピン地図作成火山監視河川管理 ( 計画中 ) ハザードマップ グアテマラ地図研修 コロンビア気候変動監視 ( 計画中 ) カリブ海沿岸生態系調査 ブラジル森林監視 地図作成 ケニア ルワンダ地図研修 スリランカ地図 沿岸監視 タイ沿岸侵食監視 ( 計画中 ) インドネシア森林監視 地図作成 地盤沈下 土地被覆森林火災 チリ防災利用推進 ボリビア等アンデス氷河湖監視