染色体微小重複による精神遅滞・自閉症症例

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統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

統合失調症の発症に関与するゲノムコピー数変異の同定と病態メカニズムの解明 ポイント 統合失調症の発症に関与するゲノムコピー数変異 (CNV) が 患者全体の約 9% で同定され 難病として医療費助成の対象になっている疾患も含まれることが分かった 発症に関連した CNV を持つ患者では その 40%

精神医学研究 教育と精神医療を繋ぐ 双方向の対話 10:00 11:00 特別講演 3 司会 尾崎 紀夫 JSL3 名古屋大学大学院医学系研究科精神医学 親と子どもの心療学分野 AMED のミッション 情報共有と分散統合 末松 誠 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 11:10 12:10 特別講

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

統合失調症モデルマウスを用いた解析で新たな統合失調症病態シグナルを同定-統合失調症における新たな予防法・治療法開発への手がかり-

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ


本成果は 以下の研究助成金によって得られました JSPS 科研費 ( 井上由紀子 ) JSPS 科研費 , 16H06528( 井上高良 ) 精神 神経疾患研究開発費 24-12, 26-9, 27-

別紙 自閉症の発症メカニズムを解明 - 治療への応用を期待 < 研究の背景と経緯 > 近年 自閉症や注意欠陥 多動性障害 学習障害等の精神疾患である 発達障害 が大きな社会問題となっています 自閉症は他人の気持ちが理解できない等といった社会的相互作用 ( コミュニケーション ) の障害や 決まった手

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遺伝子の近傍に別の遺伝子の発現制御領域 ( エンハンサーなど ) が移動してくることによって その遺伝子の発現様式を変化させるものです ( 図 2) 融合タンパク質は比較的容易に検出できるので 前者のような二つの遺伝子組み換えの例はこれまで数多く発見されてきたのに対して 後者の場合は 広範囲のゲノム

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

( 図 ) 自閉症患者に見られた異常な CADPS2 の局所的 BDNF 分泌への影響

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

計画研究 年度 定量的一塩基多型解析技術の開発と医療への応用 田平 知子 1) 久木田 洋児 2) 堀内 孝彦 3) 1) 九州大学生体防御医学研究所 林 健志 1) 2) 大阪府立成人病センター研究所 研究の目的と進め方 3) 九州大学病院 研究期間の成果 ポストシークエンシン

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

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Microsoft Word - 研究報告書(崇城大-岡).doc

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

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別添 1 抗不安薬 睡眠薬の処方実態についての報告 平成 23 年 11 月 1 日厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部精神 障害保健課 平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究 ( 研究代表者 : 中川敦夫国立精神 神経医療研究センタートラン

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

創薬に繋がる V-ATPase の構造 機能の解明 Towards structure-based design of novel inhibitors for V-ATPase 京都大学医学研究科 / 理化学研究所 SSBC 村田武士 < 要旨 > V-ATPase は 真核生物の空胞系膜に存在す

汎発性膿庖性乾癬の解明

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報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

研究から医療へ より医療への実利用が近いもの ゲノム医療研究推進ワーキンググループ報告書 (AMED) 臨床ゲノム情報統合データベース公募 対象疾患の考え方の方向性 第 1 グループ ( 主に を目指す ) 医療への実利用が近い疾患 領域の着実な推進 単一遺伝子疾患 希少疾患 難病 ( 生殖細胞系列


神経発達障害診療ノート

4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

性疾患等政策研究事業 ( 難治性疾患政策研究事業 ) などの支援のもとで行われました 研究の背景 :A20 ハプロ不全症の発症メカニズム 1 ベーチェット病類似の早期発症型自己炎症性疾患として TNFAIP3 遺伝子がコードするた んぱく質 A20 のハプロ不全を病因とする A20 ハプロ不全症が

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

1.若年性骨髄単球性白血病の新規原因遺伝子を発見 2.骨髄異形症候群の白血病化の原因遺伝子異常を発見

生物時計の安定性の秘密を解明

( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

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東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

概要 名古屋大学環境医学研究所の渡邊征爾助教 山中宏二教授 医学系研究科の玉田宏美研究員 木山博資教授らの国際共同研究グループは 神経細胞の維持に重要な役割を担う小胞体とミトコンドリアの接触部 (MAM) が崩壊することが神経難病 ALS( 筋萎縮性側索硬化症 ) の発症に重要であることを発見しまし

小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい

サカナに逃げろ!と指令する神経細胞の分子メカニズムを解明 -個性的な神経細胞のでき方の理解につながり,難聴治療の創薬標的への応用に期待-

報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

平成 30 年 2 月 5 日 若年性骨髄単球性白血病の新たな発症メカニズムとその治療法を発見! 今後の新規治療法開発への期待 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 門松健治 ) 小児科学の高橋義行 ( たかはしよしゆき ) 教授 村松秀城 ( むらまつひでき ) 助教 村上典寛 ( むらかみ

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発達障害研究所公開セミナー 2014 発達障害における臨床 基礎研究の インターフェイス 抄録集

発達障害研究所公開セミナー 2014 発達障害における臨床 基礎研究のインターフェイス プログラム 日時 : 平成 26 年 12 月 19 日 ( 金 ) 午後 1 時 15 分 ~ 5 時 30 分 会場 : 愛知県心身障害者コロニー管理棟講堂 13:15 開会挨拶 ( 所長 : 細川昌則 ) 企画のねらい ( 神経制御学部 : 永田浩一 ) 13:25 尾崎紀夫 ( 名古屋大学精神医学 親と子どもの心療学分野 ) 自閉スペクトラム症のゲノム解析研究 司会 : 中山敦雄 ( 発生障害学部 ) 14:25 山形崇倫 ( 自治医科大学小児科 ) 自閉症スペクトラムと概日リズム関連遺伝子 司会 : 永田浩一 ( 神経制御学部 ) 15:25 休憩 15:45 田畑秀典 ( 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 神経制御 ) 子宮内電気穿孔法を用いた大脳発生機構の解明 および発達障害関連分子のシステマティックな解析 司会 : 東雄二郎 ( 周生期学部 ) 16:25 高橋孝雄 ( 慶應義塾大学小児科 ) 大脳皮質の発生メカニズムと高次脳機能障害 司会 : 斉藤伸治 ( 名古屋市立大学小児科 ) 17:25 閉会挨拶 ( 副所長 : 若松延昭 )

自閉スペクトラム症のゲノム解析研究 尾崎紀夫 ( 名古屋大学大学院医学系研究科精神医学 親と子どもの心療学分野 ) 自閉スペクトラム症 (ASD) の診断に関わる問題として ASD の基本障害である対人相互関係の障害を背景に 思春期以降一過性に統合失調症類似の精神病あるいは緊張病症状を呈する頻度は高いが その結果 統合失調症と診断が下されるという事がある この様な症例に向精神薬が投与されても 対人関係の障害には変化が見られないため 治療抵抗性の統合失調症 とみなされ 不必要に大量の向精神薬が継続投与されることも稀ではない 一方 ASD と統合失調症はともに神経発達の障害が病態の背景因子として想定されてきたが 認知機能障害の共通性を有しており 疫学的知見から発症に関する遺伝因子を共有すること さらには同一のゲノムコピー数多型 (CNV) が関与していることも明らかになっており 両者の関係性は改めて着目されている この様なことを背景に 我々は ASD と統合失調症を対象に 頻度は稀であるが 発症に大きく関与する遺伝子変異を全ゲノムにわたり探索し 既報のメジャーな CNV に加えて 神経発達関連遺伝子において新規の遺伝子変異を同定している これら遺伝子変異の病態面での意義を明確化すべく 細胞生物学的検討 遺伝子改変モデル動物を用いた検討を行っている 本講演では ASD を巡る診断的な課題を再確認した上で 我々が進めているゲノム解析研究を紹介し ASD を含む精神医学診断体系の再構築 病因 病態に基づく診断法 治療法の開発を目指した研究の方向性について検討する 略歴 : 1982: 名古屋大学医学部卒業 1990: 米国国立精神保健研究所 (NIMH)visiting fellow 1995: 藤田保健衛生大学医学部精神医学教室講師 1998: 藤田保健衛生大学医学部精神医学教室教授 2003: 名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野 親と子どもの心療学分野教授名古屋大学医学部附属病院精神科科長 親と子供の心療科科長 遺伝カウンセリング室室長就任 現在に至る

自閉症スペクトラムと概日リズム関連遺伝子 山形崇倫 ( 自治医科大学小児科 ) 自閉症スペクトラム (ASD) の遺伝学的病因として 染色体微小変異や単一遺伝子異常が多数報告されている 病因遺伝子は多彩であるが シナプス形成や機能 あるいは遺伝子発現調節に関連する遺伝子などが多く同定されている 我々も シナプス結合に関連する CADM1 シナプス足場蛋白の LIN7A B と ASD および知的障害への関与を示してきた 一方 ASD は 44~83% に睡眠障害を合併するとの報告があり 食行動の異常や消化器系の障害も多く観察されることなどからも 概日リズム異常が病態に密接に関連していると考えられる 概日リズムは Bmal1 Clock など多数の遺伝子が順次作用して Per1 2の発現を調節する feedback loop で形成されている 我々は 睡眠障害を持つ ASD 患者 持たない患者および対照に対し 概日リズムに関連する遺伝子群のエクソンとその近傍を 次世代シークエンサーを用いて変異解析した その結果 睡眠障害を持つ群のみならず 持たない ASD 群でも 多数の遺伝子変異を検出し 概日リズム関連遺伝子が ASD の病因 病態に関連していると考えられた ASD の多様な病態を報告する 略歴 : 昭和 61 年 3 月岐阜大学医学部卒業平成 3 年 10 月国立精神神経センター流動研究員平成 4 年 4 月自治医科大学附属病院病院助手 ( 小児科 ) 平成 8 年 4 月自治医科大学講師 ( 小児科 ) 平成 9 年 11 月ー平成 12 年 4 月米国ベイラー医科大学分子遺伝学教室リサーチフェロー ( テキサス州ヒューストン ) 平成 16 年 8 月自治医科大学准教授 ( 小児科 ) 平成 22 年 5 月自治医科大学教授 ( 小児科学発達医学部門 ) 平成 25 年 12 月自治医科大学小児科学主任教授平成 26 年 4 月自治医科大学とちぎ子ども医療センターセンター長

子宮内電気穿孔法を用いた大脳発生機構の解明 および発達障害関 連分子のシステマティックな解析 田畑秀典 ( 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 神経制御学部 ) 大脳皮質発生過程においては 神経細胞の産生 移動 配置 軸索形成 樹状突起形成が厳密に制御されたプログラムによって進行し さらに生後の発達段階ではシナプス形成や余分なシナプスの刈り込みが起きてくる これらの過程のいずれかに乱れが生じると 知的障害や自閉性障害 さらには統合失調症が惹起されることが強く示唆されている これらの精神疾患には多数の病因 病態分子が発見されてきており その作用点を発生学的に辿ることで 精神疾患の全体像が解明され始めている 我々は子宮内で発生過程にあるマウス胎仔脳に極めて簡便に しかも高効率に遺伝子導入することのできる子宮内電気穿孔法を開発した この方法により導入した外来遺伝子の発現は生後数ヶ月を経ても持続しており 神経細胞の分化 成熟過程の全ての過程において その表現型を観察することが可能である 我々は この系を用いて発生 発達段階の各ステージにおける表現型解析を行うための検査バッテリーを構築し 自治医科大学小児科 名古屋大学精神科 名古屋市立大学小児科 第二青い鳥学園との共同研究として同時進行的に多くの発達障害関連遺伝子の機能解析を進めている 本演題ではこうした取り組みの例として A2BP1 をはじめとしたいくつかの遺伝子の解析結果を紹介する また 導入に用いるベクター系の開発により可能となってきたグリア細胞の発生機構の解析も合わせて紹介する 略歴 : 平成 4 年 3 月東京都立大学理学部 II 部生物学科卒業平成 9 年 3 月東京都立大学理学研究科博士課程修了 博士号 ( 理学 ) 取得平成 9 年 4 月理化学研究所奨励研究員平成 9 年 10 月理化学研究所基礎科学特別研究員平成 11 年 10 月東京慈恵会医科大学助手平成 14 年 4 月慶應義塾大学医学部助手平成 17 年 11 月慶應義塾大学医学部専任講師平成 24 年 8 月愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所室長

大脳皮質の発生メカニズムと高次脳機能障害 高橋孝雄 ( 慶應義塾大学医学部小児科 ) 先天要因による高次脳機能障害は大脳の発生 発達障害に起因する疾患群と考えることができる 大脳の情報処理能力は 胎内での緻密な発生プログラムに基づいて周到に基盤整備され 生後の数年間で急速に育まれる 発生プログラムは 遺伝情報により規定されたシナリオに従って進行しつつ 遺伝要因や環境因子により直接的 間接的に影響を受けると想定されている 心の発達を含めた知能発達のメカニズム解明は21 世紀の基礎 臨床医学にとって極めて重要なテーマと位置付けられている 本講演では 胎内でおこる大脳皮質発生の概略 生後におこる大掛かりな大脳皮質の構造変化を 知能発達のメカニズムとその障害に関連させてご紹介する 神経幹細胞から幼若な神経細胞が産生される過程は 大脳皮質を構成する興奮性ニューロンと抑制性ニューロンおよびグリアについて それぞれ数のバランスや分布パターンがおおかた決定される極めて重要なステップである この時期の正常発生メカニズムについて 大脳皮質ニューロンの大半を占める投射ニューロンを中心に概説する 加えて 高次脳機能発達に不可欠な脳の可塑性について 生後起こるシナプス形成と剪定のメカニズムにも触れたい また 大脳発生異常による高次脳機能障害の具体例とそのメカニズムについてもご紹介したい 略歴 : 昭和 57 年 3 月慶應義塾大学医学部卒業昭和 63 年 9 月米国ハーハ ート 大学 マサチューセッツ総合病院小児神経科平成 4 年 6 月ハーハ ート 大学医学部 Instructor in Neurology 平成 6 年 8 月慶應義塾大学助手 ( 医学部小児科学 ) 平成 14 年 4 月慶應義塾大学教授 ( 医学部小児科学 ) 平成 19 年 10 月慶應義塾大学病院副病院長

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事務局 480-0392 春日井市神屋町 713-8 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 ( 研究企画調整科 ) TEL 0568-88-0811 ( 内 3503) FAX 0568-88-0829 http://www.inst-hsc.jp