<4D F736F F F696E74202D2091E682588D C8B8DE096B18F94955C205B8CDD8AB B83685D>

Similar documents
連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

計算書類等

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

(2) サマリー情報 1 ページ 1. 平成 29 年 3 月期の連結業績 ( 平成 28 年 4 月 1 日 ~ 平成 29 年 3 月 31 日 ) (2) 連結財政状態 訂正前 総資産 純資産 自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円銭 29 年 3 月期 2,699 1,23

(訂正・数値データ訂正)「平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

3. その他 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3)

<4D F736F F D2095BD90AC E31328C8E8AFA8C888E5A925A904D C8E86816A2E646F63>

平成30年公認会計士試験

Microsoft Word 決算短信修正( ) - 反映.doc

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

NO 連結精算表科目 & 連結開示 前連結会計 当連結会計 増減差額 科目 借 年度 年度 借方 方 連結借対照表 千円 千円 千円 千円 開 38 社債 20,000,000 5,000,000 開 39 長期借入金 16,500,000 16,071,500 開 40 リース債務 632,000

highlight.xls

第4期電子公告(東京)

参考 企業会計基準第 25 号 ( 平成 22 年 6 月 ) からの改正点 平成 24 年 6 月 29 日 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 の設例 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 平成 22 年 6 月 30 日 ) の設例を次のように改正

Microsoft Word - 訂正短信提出2303.docx

<92F990B3925A904D5F91E636348AFA91E6318E6C94BC8AFA>

連結会計入門 ( 第 6 版 ) 練習問題解答 解説 練習問題 1 解答 解説 (129 頁 ) ( 解説 ) S 社株式の取得に係るP 社の個別上の処理は次のとおりである 第 1 回取得 ( 平成 1 年 3 月 31 日 ) ( 借 )S 社株式 48,000 ( 貸 ) 現預金 48,000

<4D F736F F D F816992F990B C B835E92F990B3816A E31328C8E8AFA208C888E5A925A904D816B93F

リリース

(訂正・数値データ修正)「平成29年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

営業報告書

第1章 財務諸表

前連結会計年度 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) 当第 2 四半期連結会計期間 ( 平成 30 年 6 月 30 日 ) 負債の部流動負債支払手形及び買掛金 8,279 8,716 電子記録債務 9,221 8,128 短期借入金 未払金 24,446 19,443 リース

財剎諸表 (1).xlsx

添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

第 16 回ビジネス会計検定試験より抜粋 ( 平成 27 年 3 月 8 日施行 ) 次の< 資料 1>から< 資料 5>により 問 1 から 問 11 の設問に答えなさい 分析にあたって 連結貸借対照表数値 従業員数 発行済株式数および株価は期末の数値を用いることとし 純資産を自己資本とみなす は

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

第1章 簿記の一巡


第 151 回日商簿記 2 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 解答 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 現 金 8,500,000 車両減価償却累計額 760,000 1 商 品 6,100,000 本 店 17,640,000 車 両 3,800,000 2 その他有価証券 2,000,00

財務諸表 金融商品取引法第 193 条の 2 第 1 項の規定に基づき 当社の貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書及び附属明細表については 有限責任あずさ監査法人の監査証明を受けております 貸借対照表 科目 ( 資産の部 ) 流動資産 平成 27 年度末平成 28 年 3 月 31 日現在

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

(3) 連結キャッシュ フローの状況 営業活動によるキャッシュ フロー 投資活動によるキャッシュ フロー 財務活動によるキャッシュ フロー 現金及び現金同等物期末残高 百万円 百万円 百万円 百万円 27 年 3 月期 495 2,552 5,252 5, 年 3 月期 2,529 71

財務諸表 金融商品取引法第 193 条の 2 第 1 項の規定に基づき 当社の貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書及び附属明細表については 有限責任あずさ監査法人の監査証明を受けております 貸借対照表 科目 ( 資産の部 ) 流動資産 2017 年度末 2018 年 3 月 31 日現在 (

リコーグループサステナビリティレポート p

<4D F736F F D20834F838D815B836F838B8F5A94CC81408C768E5A8F9197DE E718CF68D90817A E36>

連結の補足 連結の 3 年目のタイムテーブル B/S 項目 5つ 68,000 20%=13,600 のれん 8,960 土地 10,000 繰延税金負債( 固定 ) 0 利益剰余金期首残高 1+2, ,120 P/L 項目 3 つ 少数株主損益 4 1,000 のれん償却額 5 1,1

添付資料の目次 1. 連結財務諸表 2 (1) 連結貸借対照表 2 (2) 連結損益計算書及び連結包括利益計算書 4 (3) 連結財務諸表に関する注記事項 6 ( セグメント情報等 ) 6 2. 個別財務諸表 7 (1) 個別貸借対照表 7 (2) 個別損益計算書

計算書類等

(1) 連結貸借対照表 ( 添付資料 16 ページ ) (3) 連結株主資本等変動計算書 ( 添付資料 28 ページ ) 6. 個別財務諸表 (1) 貸借対照表 ( 添付資料 31 ページ ) (3) 株主資本等変動計算書 以上 2

平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説


<4D F736F F D2081A F838D815B836F838B8F5A94CC81408C768E5A8F9197DE8B7982D1958D91AE96BE8DD78F F

キャッシュ・フロー計算書.docx

 資 料 2 

山口フィナンシャルグループ:IR資料室>平成30年3月期(平成29年度)>平成30年3月期決算短信


注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3) 発行



平成31年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

包括利益の表示に関する会計基準第 1 回 : 包括利益の定義 目的 ( 更新 ) 新日本有限責任監査法人公認会計士七海健太郎 1. はじめに企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 以下 会計基準 ) が平成 22 年 6 月 30 日に

第21期(2019年3月期) 決算公告

Taro-入門ⅡA jtd

2019年年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

企業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について⑦・連結税効果実務指針(その2)


ずほ証券連結財務諸業績と財務の状況 みずほ証券連結財務諸表み表繰延税金資産 15,653 14,554 当社は 平成 28 年度及び平成 29 年度の連結貸借対照表 連結損益計算書及び連結株主資本等変動計算書について会社法第 444 条第 4 項の規 定に基づき 新日本有限責任監査法人の監査証明を受

2018 年 8 月 10 日 各 位 上場会社名 エムスリー株式会社 ( コード番号 :2413 東証第一部 ) ( ) 本社所在地 東京都港区赤坂一丁目 11 番 44 号 赤坂インターシティ 代表者 代表取締役 谷村格 問合せ先 取締役 辻高宏

2019 年 12 月期中間決算短信 ( 連結 ) 2019 年 9 月 10 日 会社名 株式会社日本経済新聞社 URL 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 岡田直敏 問合せ先責任者 ( 役職名 ) 経理局長 ( 氏名 ) 木村研三

第 3 期決算公告 (2018 年 6 月 29 日開示 ) 東京都江東区木場一丁目 5 番 65 号 りそなアセットマネジメント株式会社 代表取締役西岡明彦 貸借対照表 (2018 年 3 月 31 日現在 ) 科目金額科目金額 ( 単位 : 円 ) 資産の部 流動資産 負債の部 流動負債 預金

(訂正・数値データ訂正)「平成30年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について


2019年3月期 中間期決算短信〔日本基準〕(連結):東京スター銀行

決算書(全社) xls

日本基準基礎講座 資本会計

平成26年度 第138回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

2019 年 3 月期 第 2 四半期決算短信 日本基準 ( 連結 ) 2018 年 10 月 30 日 上場会社名 日本冶金工業株式会社 上場取引所 東 コード番号 5480 URL 代 表 者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 木村 始 問合

085 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 新株予約権 少数株主持分を株主資本に計上しない理由重要度 新株予約権を株主資本に計上しない理由 非支配株主持分を株主資本に計上しない理由 Keyword 株主とは異なる新株予約権者 返済義務 新株予約権は 返済義務のある負債ではない したがって

第6期決算公告



新規文書1

貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

計算書類 貸借対照表 ( 平成 31 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 百万円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 17,707 流動負債 10,207 現金及び預金 690 電子記録債務 2,224 受取手形 307 買掛金 4,934 電子

第4期 決算報告書

(2) 財政状態 ( 連結 ) の変動状況総資産 株主資本 株主資本比率 1 株当たり株主資本 百万円 百万円 % 円 銭 18 年 6 月期第 1 四半期 27,832 10, , 年 6 月期第 1 四半期 17 年 6 月期 27,515 11,159 40

第 4 経理の状況 1. 四半期連結財務諸表の作成方法について 当社の四半期連結財務諸表は 四半期連結財務諸表の用語 様式及び作成方法に関する規則 ( 平成 19 年内閣府令 第 64 号 ) に基づいて作成しております 2. 監査証明について当社は 金融商品取引法第 193 条の2 第 1 項の規

スライド 1

第28期貸借対照表

添付資料の目次 株式会社錢高組 (1811) 平成 31 年 3 月期第 2 四半期決算短信 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. 四半期連結財務諸表及び主な注記 3

営 業 報 告 書

<4D F736F F D B A904D82CC8F4390B382CC82A8926D82E782B92E646F63>

計 算 書 類

Taro-New2級連結-B.jtd

Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(計算書類及び連結計算書類)新旧対照表

(2) 財政状態 ( 連結 ) の変動状況 総資産純資産自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円 銭 19 年 12 月期第 1 四半期 8,992 5, 年 12 月期第 1 四半期 8,740 5, 年 12


6. 個別中間財務諸表等 株式会社キョーリン (1) 中間貸借対照表当社はより中間財務諸表を作成しているため 前中間会計期間末は記載しておりません 末 ( 平成 18 年 9 月 30 日 ) の要約貸借対照表 ( 平成 18 年 3 月 31 日 ) 区分 注記番号 構成比 構成比 ( 資産の部

(2017 年 3 月 31 日 ) (2018 年 3 月 31 日 ) 負債の部流動負債支払手形及び買掛金 59,382 73,592 短期借入金 8,520 27,414 関係会社短期借入金 年内返済予定の長期借入金 1,805 4,307 未払費用 9,189 9,273 未

第10期

IFRSへの移行に関する開示

平成29年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)

<4D F736F F D208A948EE58E91967B939995CF93AE8C768E5A8F912E646F6378>

東京電力エナジーパートナー

国家公務員共済組合連合会 民間企業仮定貸借対照表 旧令長期経理 平成 26 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 円 ) 科目 金額 ( 資産の部 ) Ⅰ 流動資産 現金 預金 311,585,825 未収金 8,790,209 貸倒引当金 7,091,757 1,698,452 流動資産合計 3

Microsoft Word - 決箊喬å‚−表紎_18年度(第26æœ�ï¼›

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

Transcription:

今日の学習項目 会計学 1 第 9 講連結財務諸表 ( その 2) 1. 連結財務諸表の基礎知識 ( 以下 その 1 ) 2. 連結貸借対照表の作成 3. 連結損益計算書の作成 ( 以下 その 2 ) 4. 連結株主資本等変動計算書 5. 持分法 6. 連結キャッシュ フロー計算書 7. 連結財務諸表の表示 8. まとめ 1 2 3. 連結損益計算書の作成 連結 作成のフローチャート 定義 親会社と子会社の個別損益計算書を基礎とし, (a) 収益 費用のをごとに合算するとともに, (b) 連結会社相互間の取引高の相殺消去, および (c) 未実現損益の消去を行うことにより, 企業集団としての当期純利益を算定表示する ( 原則第五の一 ) 親会社 子会社 合算 連結 連結手続き (1) 会社間取引の相殺消去 (2) 未実現損益の消去 (3) その他 3 4 連結会社相互間の取引高の消去 P 社 受取利息 ( 収益 ) 100 内部取引 消去 ( 戻し ) S 社 支払利息 ( 費用 ) 100 (1)S 社から P 社への利息の支払は, 内部取引であり, 企業集団全体で見た場合の収益 費用には影響を及ぼさないので, 消去 ( 戻し処理 ) します 合算 の収益 費用から 100 ずつ控除します (2)S 社から P 社に支払われた配当金についても, 同様の消去を行います P 社の収益 (),S 社の配当金 ( 株主資本等変動計算書 ) から, 同額を控除します 未実現損益の消去 連結会社相互間の資産 ( 商品 製品等 ) の売買も, 企業集団内部の資産の振替えにすぎません 企業集団外部の経済主体に当該資産を販売するまで, その販売活動は完結しません 連結会社相互間の取引価格に利益が加算されている場合は, 当該資産に未実現利益が含まれていることになります 連結損益計算書を作成する際には, そうした未実現利益を消去します 5 6 1

未実現損益の消去設例 (1)P 社は S 社に商品を販売 S 社の仕入れはすべて P 社商品 P 社は S 社に商品 250 を販売した (2)P 社は 10% の利益を加算して,S 社に販売 (3) 棚卸高は, 期首 70, 期末 80 である 売上原価の計算方法 商品勘定期末商品有高 C 期首商品有高 A P 社 利益剰余金期首残高 7 期首未実現損益の消去 S 社 期首棚卸高 70 ( 未実現損益 7) 当期仕入高 B 当期払出高 D ( 売上原価 ) 売上高 250 内部取引の消去 仕入高 250 売上総利益 8 期末未実現損益の消去 期末棚卸高 80 ( 未実現損益 8) 売上原価 =(A+B)-C 売上高が所与の場合,C が大きくなるほど, 売上総利益は大きくなります 逆の場合は, 売上総利益は小さくなります 7 8 連結損益計算書の作成設例 P 社 S 社 売上高 250 300 売上原価 期首商品有高 35 70 当期仕入高 210 250 期末商品有高 20 225 80 240 売上総利益 25 60 期首未実現利益 7 を当期実現利益に繰入れ 売上原価の計算設例 期首商品有高 35 28 当期仕入高 210 P 社商品勘定 期末商品有高 20 12 当期払出高 ( 売上原価 ) X Y X=(35+210)-20=225 ( 前 S の P 社 で表示 ) Y=(28+210)-12=226 期末未実現利益 8 を次期首に繰越し 9 10 連結損益計算書の作成設例 連結損益計算書 計算式 売上高 300 (250+300)-250 売上原価 期首商品有高 98 (35+70)-7 当期仕入高 210 (210+250)-250 期末商品有高 92 216 (20+80)-8 売上総利益 84 その他の消去項目 (1) 固定資産の未実現利益連結会社相互間の固定資産取引で売買価格に利益が加算されている場合は, 売り手企業に生じた未実現利益 ( 固定資産売却益 ) を消去します それとともに, 販売対価として受領した流動資産を未実現利益のだけ減額修正します 他方, 買い手企業は購入価格にもとづいて当該資産の減価償却費を計算しているので, 当該資産価額を未実現利益を控除した価額に修正するとともに, 当該修正価額にもとづいて減価償却を再計算します 11 12 2

純資産合計資本金資本剰余金利益剰余金自己株式株主資本合計 新株予約評価 換算少数株主額等時価評価にともなう修正事項 資本連結に先立って時価評価された子会社の資産 負債が, 収益 費用となって利益計算に組み込まれる場合 子会社の個別損益計算書では, 時価評価前の帳簿価額にもとづいて収益 費用が計上されています (1) 有形固定資産の減価償却費 時価評価後の資産価額にもとづいて修正 (2) 資産の売却 除却にともなう損益 時価評価後の資産価額にもとづいて修正 (3) 低価基準による棚卸資産価額 時価評価後の資産価額と期末時価を比較し, 低い方を当該棚卸資産の価額とします その他の消去項目 (2) 子会社が計上した未実現利益親会社から子会社に転売する取引を down stream, 子会社から親会社に転売する取引を up stream といいます アップストリームでは, 子会社に未実現損益が発生します 子会社に少数株主が存在する場合, 未実現損益の処理には以下の3つの処理方法が考えられます 子会社の未実現損益 全額消去 親会社持分相当額のみ消去 全額親会社負担方式 (A) 持分比率負担方式 (B) 親会社持分相当額消去方式 (C) 原則 ( 第五の三の 3) では,B 方式を規定 経済的単一体説と整合的 13 14 税効果会計 連結財務諸表では以下のような場合に, 連結固有の一時差異が生じます (1) 資本連結に先立って実施された子会社の資産 負債の時価評価にともなって生じた評価差額 (2) 連結会社相互間の売買取引に含まれ, 連結損益計算書の作成過程で消去された未実現損益 ( 益金 ) (3) 連結会社相互間の債権 債務の相殺消去にともなって減額修正された貸倒引当金 ( 損金 ) 一時差異に係る税金の額は, 連結損益計算書に法人税等調整額として計上するとともに, 連結貸借対照表に繰延税金資産または繰延税金負債として計上します そのは, 資産負債法 ( 解消年度の税率 ) で計算します 会計処理は, 個別財務諸表における一時差異の場合と同様です 15 4. 連結株主資本等変動計算書 役割と位置づけ Statement of Shareholders Equity(S/S). 純資産の各項目の期首残高が期中変動を経て期末残高に至る過程を網羅的に明らかにします 第三の財務諸表 かつての利益処分計算書に代替 会社法 435 条 2, 会社計算規則 91 条 1, 基準第 6 号 導入の理由 (1) 会社法の施行により, 株式会社は剰余金の配当をいつでも決定でき, また株主資本の内訳をいつでも変動させることができるようになったこと (2) 所定の有価証券の時価評価差額等, 貸借対照表の純資産の部に直入される項目が増加したこと ( 貸借対照表と損益計算書のクリーンサープラス関係の毀損 ) 16 資産 B/S 負債 B/S,,S/S の関係 期首純資産 期末純資産 純資産の当期減少額 期末純資産 S/S 期首純資産 純利益 その他純資産の当期増加額 費用 純利益 純資産直入項目 収益 連結株主資本等増減計算書の様式 株主資本前期末残高当期変動額新株の発行剰余金の配当当期純利益 権持分差当期変動合計 17 当期末残高 少数株主持分は, 個別株主資本等変動計算書では記載されません 18 3

連結株主資本等増減計算書の作成 親会社と子会社の個別株主資本等増減計算書を基礎として, (1) 各項目の増減や残高を合算するとともに, (2) 連結会社相互間の資本取引や配当に係る取引を消去して, 作成します 確定方式と繰上方式 確定方式 連結会計期間に確定した剰余金の配当を基礎として連結決算を行う方法 利益剰余金を減少させる取引としてS/Sに記載されるのは12 繰上方式 処分の確定時期によらず, 連結会計期間の利益に関する処分を基礎として連結決算を行う方法 利益剰余金を減少させる取引としてS/Sに記載されるのは23 総会で決算確定 配当決定 1 総会で決定した配当 2 中間 四半期配当 総会で決算確定 配当決定 3 総会で決定した配当 当期の利益から配当 ( 繰上方式 ) 当期に確定した剰余金の配当 ( 確定方式 ) 19 20 利益配当の修正消去 年次 中間 四半期等の配当金の分配について, 修正します 設例 議決権の 60% を支配する子会社が, 個別財務諸表で利益剰余金の減少高として, 配当金 200 を計上している場合 1 親会社の受取配当金 120(200 0.6) を, 子会社の支払った配当金と相殺 2 少数株主持分 80(200 0.6) を, 子会社の支払った配当金と相殺 少数株主の受取配当金は, 小数株主持分の減少額として認識します 3 以上の修正消去の結果, 子会社が支払った配当金 200 の全額が, 連結財務諸表から消去されることになります 5. 持分法 定義 持分法 (equity method) は, 非連結子会社と関連会社の業績 ( 株式評価 ) を, 親会社の B/S に反映させる会計手続きです 非連結子会社と関連会社に対する投資勘定に適用します ( 原則第四の八の 1) 定義 非連結子会社 第 12 回 定義 関連会社 影響力基準で判断 親会社および子会社が, 出資, 人事, 資金, 技術, 取引等の関係を通じて, 財務や営業の方針決定に対して重要な影響を与えることができるような会社 次のような場合 (a) 議決権の 20% 以上を実質的に所有している場合 (b) 議決権の所有割合が 20% 未満であっても, 一定の議決権を有し, かつその会社の財務や営業の方針決定に重要な影響を与えることができる一定の事実 ( 契約等の存在 ) が認められる場合 21 22 持分法の会計処理 持分法の会計処理図解 関連会社株式は原価で評価 ( 金融商品会計基準 ) 持分法では, 被投資会社 ( 関連会社等 ) の純資産および損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて, 投資株式の評価額を連結決算日ごとに修正します (1) 投資株式の取得時点では原価評価 取得原価と被投資会社の資本勘定の差額はのれんとして処理します (2) 被投資会社の年次損益が判明するつど, その損益額に持株比率を乗じた額を算定し,B/S の投資株式の評価額に当該を加算するとともに, 同額を損益項目として当期純利益に加算します (3) 被投資会社から配当金を受け取った場合は, その額だけ被投資会社の資本勘定に対する持分が減少したものとして, 投資株式の B/S 価額を減額し, 受取配当金と相殺消去します 当期純利益 20 資本勘定 150 A 社株式 30% を 45 ( 43) 45で取得 被投資会社 A B 社持分相当額 (20 0.3) を A 社株式に加算 持分法による投資利益 6 受取配当金 2 投資会社 B A 社株式と相殺消去 その結果 A 社株式は 49(45+6-2) になります 23 24 4

一行連結 持分法適用の前提 (1) 被投資会社の資産 負債を時価評価し, 資本勘定のを算定 (2) 税効果会計を適用 (3) 投資会社の投資勘定と, 被投資会社の資本勘定の差額は, 投資勘定に含め, のれんと同様に処理 (4) のれんの償却を実施 連結会社と持分法適用会社の間の取引に係る未実現利益を消去 以上の処理を実施した場合, 連結損益計算書の当期純利益は, 連結を行った場合と持分法を適用した場合とで同額になります 連結は親子会社の収益 費用を合算し, 総額法で子会社の業績を連結利益に反映させる方法です 全部連結 (full consolidation) これに対して, 持分法は, 被投資会社の純利益に占める投資会社の持分相当額のみを純額法で連結利益に反映させる方法です 純利益のみの連結という意味で, 一行連結 (one line consolidation, 純額連結 ) と呼ばれています 25 6. 連結キャッシュ フロー計算書 役割 発生主義会計情報では明らかにされない情報の提供 会計的発生高 ( 現金収支を伴わない減価償却費や引当金繰入額等 ) を含まない資金情報 Cash is King (Copeland[1990]). Cash is fact, and accounting profit is opinion (Wall Street Jr., Aug. 28, 2002). (1) 発生主義会計利益にどの程度資金的な裏付けがあるかを示し, 利益の質 ( 利質 ) を明らかにする (2) 資金繰りの観点から企業の安全性 ( 支払能力 ) の評価に役立つ情報を提供する 連結キャッシュ フロー計算書等の作成基準 同注解 26 資金の概念 キャッシュ フロー計算書における 資金 は, 現金および現金同等物 ( 基準第二の一, 注解 1 2) 現金 Cash. 手元現金, 当座預金, 普通預金, 通知預金等 ( 要求払預金 ) 現金同等物 Cash Equivalent. 容易に換金が可能で, かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資 (3 カ月以内 ) 定期預金, コマーシャル ペーパー等 株式は価格変動のリスクが高いので, 資金に含まれません 手元流動性 = 現金 預金 + 有価証券 (1 年未満 ) キャッシュ フローの 3 区分 資金の 1 期首残高 2 期中変動 3 期末残高 そのプロセスを,(1) 営業活動,(2) 投資活動,(3) 財務活動に区分して表示します ( 基準第二の二の 1) (1) 営業活動 企業が主として営む事業に関する活動 売上収入, 商品 原材料の仕入支出, 人件費, 販管費の支出等 (2) 投資活動 設備投資, 証券投資, 融資 各種資産への投資 設備 有価証券の売却収入, 貸付金の回収等, 固定資産への資本的支出, 有価証券の取得支出, 貸付等 (3) 財務活動 資金の調達と返済 新規の借入金, 社債発行, 増資等, 借入金の返済, 社債の償還等 27 28 直接法と間接法 キャッシュ フロー計算書の様式 ( 直接法 ) 営業活動によるキャッシュ フローの区分の作成 表示法には, 以下の 2 つの方法があります 投資活動, 財務活動の区分の作成 表示法は, 直接法のみです (1) 直接法 主要な取引ごとにキャッシュ フローを総額表示する方法 損益計算書上の収益 費用の各項目のに所定の調整を施して収入 支出の総額を算出し, その差額を求めることによって, 期中の資金の増減を明らかにします 営業収入から出発 上の収益 ± 調整 1 収入 上の費用 ± 調整 2 支出 1-2= 資金の増減額 (2) 間接法 税金等調整前当期純利益から出発して, 収益と収入の食違い部分, 費用と支出の食違い部分を調整することにより, 期中の資金の増減を明らかにします 3 上の収益 4 上の費用 3-4= 上の純利益 ± 調整 資金の増減額 Ⅰ. 営業活動によるキャッシュ フロー営業収入商品の仕入その他の営業支出受取配当金営業活動によるキャッシュ フロー計 Ⅱ. 投資活動によるキャッシュ フロー固定資産の取得による支出固定資産の売却による収入投資活動によるキャッシュ フロー計 Ⅲ. 財務活動によるキャッシュ フロー短期借入金 コマーシャルペーパーの増減額長期借入金の返済による支出財務活動によるキャッシュ フロー計現金及び現金同等物の増減額現金及び現金同等物の期首残高現金及び現金同等物の期末残高 29 30 5

キャッシュ フロー計算書の様式 ( 間接法 ) キャッシュ フロー計算書の作成設例 Ⅰ. 営業活動によるキャッシュ フロー税金等調整前当期純利益減価償却費引当金の増減額営業債権の増減額営業活動によるキャッシュ フロー計 Ⅱ. 投資活動によるキャッシュ フロー固定資産の取得による支出固定資産の売却による収入投資活動によるキャッシュ フロー計 Ⅲ. 財務活動によるキャッシュ フロー短期借入金 コマーシャルペーパーの増減額長期借入金の返済による支出財務活動によるキャッシュ フロー計現金及び現金同等物の増減額現金及び現金同等物の期首残高現金及び現金同等物の期末残高 (1) 期首の財政状態現金 300, 資本金 300 (2) 期中の取引 1 銀行から300を借入れた 2 備品 200を購入し, 代金は現金で支払った 3 商品 200を現金で仕入れた 4 仕入れた全商品を250で, 掛け売りした 5 備品の減価償却費は40である 31 32 設例による B/S と の作成 設例による CF 計算書 ( 直接法 ) の作成 期首 B/S 現金 300 資本金 300 売上原価 200 減価償却費 40 純利益 10 当期 売上高 250 現金 200 売掛金 250 備品 160 資産合計 610 期末 B/S 現金残高が期首 300 から期末 200 に,100 だけ減少しています その原因 ( プロセス ) を明らかにするのが, キャッシュ フロー計算書です 借入金 300 資本金 300 純利益 10 負債資本合計 610 Ⅰ. 営業活動によるCF 営業収入 0 仕入支出 200 200 Ⅱ. 投資活動によるCF 備品の購入支出 200 Ⅲ. 財務活動によるCF 借入金収入 300 現金及び現金同等物の増減額 100 現金及び現金同等物の期首残高 300 現金及び現金同等物の期末残高 200 33 34 設例による CF 計算書 ( 間接法 ) の作成 7. 連結財務諸表の表示 Ⅰ. 営業活動によるCF 純利益 10 減価償却費 40 売掛金の増加 250 200 Ⅱ. 投資活動によるCF 備品の購入支出 200 Ⅲ. 財務活動によるCF 借入金収入 300 現金及び現金同等物の増減額 100 現金及び現金同等物の期首残高 300 現金及び現金同等物の期末残高 200 連結財務諸表は, 以下の 4 つからなります (1) 連結貸借対照表 (2) 連結損益計算書 (3) 連結株主資本等変動計算書 (4) 連結キャッシュ フロー計算書 35 36 6

連結貸借対照表に固有の特徴 (a) 投資勘定と資本勘定の相殺消去の際に生じたのれんの残高を, 無形固定資産または固定負債に表示します 借方と貸方ののれんは相殺して記載できます (b) 少数株主持分を, 純資産の部の最下段に記載します (c) 子会社が所有する親会社の株式は, 自己株式とともに資本の控除項目として, 株主資本の末尾に記載します (d) 企業集団の財政状態について誤解を生ぜしめない限り, を集約して表示することができます 連結損益計算書に固有の特徴 (a) 資本連結の結果生じたのれんの償却額は, 借方の場合は販管費に, 貸方の場合は営業外収益に, それぞれ表示します (b) 持分法による投資損益は, 営業外収益または営業外費用に一括して表示します (c) 税金等調整前当期純利益を算定した後, 利益に関連する税金費用を控除したうえで, 小数株主損益を加減して当期純利益を表示します (d) 企業集団の財政状態について誤解を生ぜしめない限り, を集約して表示することができます 37 38 連結株主資本等変動計算書に固有の特徴 (a) 資本剰余金と利益剰余金を, 準備金とその他剰余金に区分する必要がありません 合算して表示します (b) 為替換算調整勘定と少数株主持分が表示されます 為替換算調整勘定は, 外貨で表示された財務諸表を作成している在外子会社を連結した場合に生じる項目です 連結キャッシュ フロー計算書に固有の特徴 (1) 新しく子会社が連結範囲に含まれることによって増加した資産 負債 のれん 少数株主持分は, その純額を子会社株式の取得支出として計上します のれんの償却による減少額は, 連結損益計算書ののれん償却額と相殺します (2) 子会社が純利益を獲得したことによって増加した少数株主持分は, 連結損益計算書の少数株主損益と相殺します 子会社が行った配当金の分配による少数株主持分の減少額は, 少数株主への配当金支出として連結キャッシュ フロー計算書に計上します (3) 関連会社が純利益を獲得したことによって増加した関連会社株式は, 連結損益計算書の持分法による投資利益と相殺します 関連会社が行った配当金の分配による関連会社株式の減額分は, 関連会社からの配当金収入として連結キャッシュ フロー計算書に計上します 39 40 その他の特徴 (a) 連結財務諸表の注記事項連結の範囲, 持分法の適用, 連結子会社の事業年度等, 会計処理基準, 連結子会社の資産 負債の評価, 連結で生じたのれんの償却, 剰余金の配当等の取扱い, 連結キャッシュ フロー計算書における資金の範囲等 (b) 関連当事者との取引関連当事者とは, 親会社, 関連会社, 兄弟会社, 役員等, 支配従属関係にあったり, 財務や営業上の意思決定に重要な影響をもつ企業や個人 これらの当事者との取引は, 会社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすことがあるためです (c) セグメント情報異質的事業を営む子会社 ( 金融子会社等 ) も連結の範囲に含まれますが, そうした子会社の財務諸表を合算するとかえって, 企業集団の財務内容に関する判断について誤解が生じるおそれがあります そのような誤解を防止するとともに, 多角化した事業内容に関する詳細な情報を提供するために, 事業種類別セグメント情報 所在地別セグメント情報 などが, 開示されます 8. まとめ (1) 連結財務諸表の基礎概念を, 正確に理解しておきましょう とくに会計主体論, 連結範囲の判断基準等については, 体系的な理解が求められます (2) 連結財務諸表の作成手続きについて, 体系的な整理をしておきましょう 連結貸借対照表の作成では資本連結が, 連結損益計算書の作成では未実現利益の消去が, とくに重要なポイントになります (3) 連結財務諸表に固有の諸特徴を, 整理しておきましょう 税効果会計, セグメント情報等の意義も, それらの諸特徴と関連させて体系的に理解しておきましょう (4) 持分法の意義と手続き, 持分法と連結手続きの異同について, 整理をしておきましょう 41 42 7