第1章 財務諸表

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第 9 章純資産の会計 問題 43 問題 43 資本剰余金の振替え 借方科目金額貸方科目金額 次の独立した取引の仕訳を示しなさい ⑴ 資本準備金 2,000,000 円とその他資本剰余金 800,000 円を資本金とすることを株主総会で決議し その効力が生じた ⑵ 資本金 500,000 円を資本準

【H 改正】株主資本等変動計算書.docx

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平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

計算書類等

平成30年公認会計士試験

「中小企業の会計に関する指針《新旧対照表

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

第10期

CC2: 連結貸借対照表の科目と自己資本の構成に関する開示項目の対応関係 株式会社三井住友フィナンシャルグループ ( 連結 ) 項目 資産の部 イロハ 公表連結貸借対照表 (2019 年 3 月末 ) 現金預け金 57,411,276 コールローン及び買入手形 2,465,744 買現先勘定 6,4

本資料の記載数値について 第一生命保険株式会社 ( 旧 第一生命 : 下図 A) は 2016 年 10 月 1 日付で 第一生命ホールディングス株式会社 に商号を変更し 事業目的をグループ会社の経営管理等に変更しています 旧 第一生命が営んでいた国内生命保険事業は 会社分割により 第一生命保険株式

公開草案 (2) その他利益剰余金 積立金繰越利益剰余金利益剰余金合計 5 自己株式 5 自己株式 6 自己株式申込証拠金 6 自己株式申込証拠金株主資本合計株主資本合計 Ⅱ 評価 換算差額等 Ⅱその他の包括利益累計額 1 その他有価証券評価差額金 1 その他有価証券評価差額金 2 繰延ヘッジ損益

2 会計処理 ( 単位 : 百万円 ) 新株の発行に伴う会計処理現金預金 2,000 資本金資本準備金 1,000 1,000 剰余金の配当に伴う会計処理 繰越利益剰余金 1,100 利益準備金 現金預金 100 1,000 自己株式の取得に伴う会計処理 自己株式 400 現金預金 400 自己株式

2019年年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

営 業 報 告 書

連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示項目 のいずれに相当するかについての説明 ( 付表 ) 1. 株主資本 資本金 33,076 1a 資本剰余金 24,536 1b 利益剰余金 204,730 1c 自己株式 3,450 1d 株主資本合計 258,893 普通株式等 Tier1 資

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平成26年度 第138回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

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第 36 期決算公告 浜松市中区常盤町 静岡エフエム放送株式会社代表取締役社長上野豊 貸借対照表 ( 平成 30 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 資産の部 負債の部 Ⅰ. 流 動 資 産 909,595 Ⅰ. 流 動 負 債 208,875 現金及び預金 508,

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科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

営 業 報 告 書

包括利益の表示に関する会計基準第 1 回 : 包括利益の定義 目的 ( 更新 ) 新日本有限責任監査法人公認会計士七海健太郎 1. はじめに企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 以下 会計基準 ) が平成 22 年 6 月 30 日に

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(訂正・数値データ修正)「平成29年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

第 16 回ビジネス会計検定試験より抜粋 ( 平成 27 年 3 月 8 日施行 ) 次の< 資料 1>から< 資料 5>により 問 1 から 問 11 の設問に答えなさい 分析にあたって 連結貸借対照表数値 従業員数 発行済株式数および株価は期末の数値を用いることとし 純資産を自己資本とみなす は

連結会計入門 ( 第 6 版 ) 練習問題解答 解説 練習問題 1 解答 解説 (129 頁 ) ( 解説 ) S 社株式の取得に係るP 社の個別上の処理は次のとおりである 第 1 回取得 ( 平成 1 年 3 月 31 日 ) ( 借 )S 社株式 48,000 ( 貸 ) 現預金 48,000

2018年12月期.xls

東京電力エナジーパートナー

令和元年 6 月 14 日 各位 会社名日本空港ビルデング株式会社代表者名代表取締役社長執行役員兼 COO 横田信秋 ( コード番号 9706 東証第 1 部 ) 問合せ先常務取締役執行役員企画管理本部長田中一仁 (TEL ) ( 訂正 数値データ訂正 )

BS_PL簡易版(平成28年度).xlsx

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営業報告書

2019年3月期 中間期決算短信〔日本基準〕(連結):東京スター銀行

連結貸借対照表の科目が自己資本の構成に関する開示項目のいずれに相当するかについての説明 ( 付表 ) (2018 年 3 月末自己資本比率 ) 自己資本の構成に関する開示事項の金額 については 経過措置勘案前の数値を記載しているため 経過措置により自己資本に算入されている項目については本表には含まれ

連結貸借対照表の科目が自己資本の構成に関する開示項目のいずれに相当するかについての説明 ( 付表 ) (2018 年 9 月末自己資本比率 ) 自己資本の構成に関する開示事項の金額 については 経過措置勘案前の数値を記載しているため 経過措置により自己資本に算入されている項目については本表には含まれ

(2) サマリー情報 1 ページ 1. 平成 29 年 3 月期の連結業績 ( 平成 28 年 4 月 1 日 ~ 平成 29 年 3 月 31 日 ) (2) 連結財政状態 訂正前 総資産 純資産 自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円銭 29 年 3 月期 2,699 1,23

10 第 1 章 1 株式会社の設立 会社法 445 条 1 項 [ 株式会社の資本金の額 ] 株式会社の資本金の額は この法律 [ 会社法 ] に別段の定めがある場合を除き ( memo. ) 設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする 株式会社

山口フィナンシャルグループ:IR資料室>平成30年3月期(平成29年度)>平成30年3月期決算短信

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

第 14 期 ( 平成 30 年 3 月期 ) 決算公告 平成 30 年 6 月 21 日 東京都港区白金一丁目 17 番 3 号 NBF プラチナタワー サクサ株式会社 代表取締役社長 磯野文久

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

計算書類 貸借対照表 ( 平成 31 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 百万円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 17,707 流動負債 10,207 現金及び預金 690 電子記録債務 2,224 受取手形 307 買掛金 4,934 電子

計算書類等

第 3 期決算公告 (2018 年 6 月 29 日開示 ) 東京都江東区木場一丁目 5 番 65 号 りそなアセットマネジメント株式会社 代表取締役西岡明彦 貸借対照表 (2018 年 3 月 31 日現在 ) 科目金額科目金額 ( 単位 : 円 ) 資産の部 流動資産 負債の部 流動負債 預金

平成 29 年 6 月 26 日株式会社八十二銀行 連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示項目 のいずれに相当するかについての説明 ( 29 年 3 月期自己資本比率 ) 科 ( 単位 : 百万円 ) 公表連結貸借対照表金額 ( 資 産 の 部 ) 現 金 預 け 金 885,456 コ

その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の

参考 企業会計基準第 25 号 ( 平成 22 年 6 月 ) からの改正点 平成 24 年 6 月 29 日 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 の設例 企業会計基準第 25 号 包括利益の表示に関する会計基準 ( 平成 22 年 6 月 30 日 ) の設例を次のように改正

ほくほくフィナンシャルグループ (8377) 2019 年 3 月期 4. 補足情報 株式会社北陸銀行の個別業績の概要 2019 年 5 月 10 日 代表者 ( 役職名 ) 取締役頭取 ( 氏名 ) 庵栄伸 問合せ先責任者 ( 役職名 ) 執行役員総合企画部長 ( 氏名 ) 小林正彦 TEL (0

第 76 期 計算書類 自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 大泉物流株式会社

会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(計算書類及び連結計算書類)新旧対照表


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連結貸借対照表のが 自己資本自己資本の構成構成に関するする開示項開示項 のいずれにのいずれに相当相当するかについてのするかについての説明 ( 付表 ) (2018 年 9 月期自己資本比率 ) ( 注記事項 ) の については 経過措置勘案前の数値を記載しているため 自己資本に算入されているに加え

プルータスセミナー 新株予約権の税務について 株式会社プルータス コンサルティング 平成 18 年 12 月 7 日

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財剎諸表 (1).xlsx

2019 年 12 月期中間決算短信 ( 連結 ) 2019 年 9 月 10 日 会社名 株式会社日本経済新聞社 URL 代表者 ( 役職名 ) 代表取締役社長 ( 氏名 ) 岡田直敏 問合せ先責任者 ( 役職名 ) 経理局長 ( 氏名 ) 木村研三

財務諸表 金融商品取引法第 193 条の 2 第 1 項の規定に基づき 当社の貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書及び附属明細表については 有限責任あずさ監査法人の監査証明を受けております 貸借対照表 科目 ( 資産の部 ) 流動資産 2017 年度末 2018 年 3 月 31 日現在 (

(1) (2) (3) (1) (2) (3) (4) 決算整理後残高試算表 勘定科目 金 額 勘定科目 金 額 現 金 預 金 ( ) 未払法人税等 ( ) 土 地 ( ) 租 税 公 課 ( ) 法 人 税 等 ( ) 2

第 33 期決算公告 浜松市中区常盤町 静岡エフエム放送株式会社代表取締役社長上野豊 貸借対照表 ( 平成 27 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 資産の部負債の部 Ⅰ. 流動資産 665,173 Ⅰ. 流動負債 141,626 現金及び預金 290,479 未払金

085 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 新株予約権 少数株主持分を株主資本に計上しない理由重要度 新株予約権を株主資本に計上しない理由 非支配株主持分を株主資本に計上しない理由 Keyword 株主とは異なる新株予約権者 返済義務 新株予約権は 返済義務のある負債ではない したがって

貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針(案)

3. その他 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3)

第 13 章 財務諸表入力マニュアル 平成 30 年 4 月 2 日公開版

貸借対照表 ( 平成 30 年 12 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資 産 の 部 負 債 の 部 流 動 資 産 7,957,826 流 動 負 債 5,082,777 現 金 及 び 預 金 2,678,514 支 払 手 形 1,757,477

2019 年 6 月 27 日株式会社中国銀行 連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示事項 に記載する項目のいずれに相当するかについての説明 連結:2019 年 3 月末 ( 別紙様式第十四号 ) ( 単位 : 百万円 ) CC2: 貸借対照表の科目と自己資本の構成に関する開示事項の対応

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財務応援Ai 企業会計 基金拠出型医療法人の運用方法について

サンプル集

第 151 回日商簿記 2 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 解答 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 現 金 8,500,000 車両減価償却累計額 760,000 1 商 品 6,100,000 本 店 17,640,000 車 両 3,800,000 2 その他有価証券 2,000,00

ずほ証券連結財務諸業績と財務の状況 みずほ証券連結財務諸表み表繰延税金資産 15,653 14,554 当社は 平成 28 年度及び平成 29 年度の連結貸借対照表 連結損益計算書及び連結株主資本等変動計算書について会社法第 444 条第 4 項の規 定に基づき 新日本有限責任監査法人の監査証明を受

(3) 連結キャッシュ フローの状況 営業活動によるキャッシュ フロー 投資活動によるキャッシュ フロー 財務活動によるキャッシュ フロー 現金及び現金同等物期末残高 百万円 百万円 百万円 百万円 27 年 3 月期 495 2,552 5,252 5, 年 3 月期 2,529 71

問題 20 C 為替予約 攻める 6 分 問題 21 C 会社分割 持分法適用 攻める 6 分 問題 23 D 国内成果連結 のれん 攻める 4 分 問題 24 C 国内成果連結 繰延税金資産 攻める 6 分 問題 25 C 国内成果連結 非支配株主持分 攻める 6 分 問題 26 C 国内成果連結

損益計算書 ( 自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ) 科目 金額 営業収益 31,577,899 運用受託報酬 5,111,757 委託者報酬 26,383,145 その他 82,997 営業費用 17,381,079 支払手数料 11,900,832 調査費 4,


経営 V iewpoint 相 談自己株式の取得に係る会計と税務について 宮澤正彦相談部東京相談室 自己株式の取得については 平成 18 年に資産の取得から資本の控除項目へと会計基準が変更されました この改正に伴い 税法も取扱いが変更されました 自己株式の取得についての手続きや留意

計 算 書 類

計算書類 貸 損 借益 対計 照算 表書 株主資本等変動計算書 個 別 注 記 表 自 : 年 4 月 1 日 至 : 年 3 月 3 1 日 株式会社ウイン インターナショナル

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株式会社 2019 年 5 月 13 日山陰合同銀行 自己資本の構成に関する開示事項 (2019 年 3 月期自己資本比率 ) 1. 自己資本の構成 連結 ( 単位 : 百万円 %) 項目 当四半期末 経過措置による不算入額 前四半期末 経過措置による不算入額 コア資本に係る基礎項目 (1) 普通株

第4期電子公告(東京)

第62期_計算書類_ xdw

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基礎演習問題 2(P.198) (SS2 連結精算表 : 単純合算表 (XXX6 年 3 月 31 日 )) ( 千円 ) NO 連結精算表科目 貸 3CC 3C American ライン 単純合算 借 Inc. [7 純資産 ] A811 資本金 期首 貸 1,080, ,000 A8

Microsoft Word 決算短信修正( ) - 反映.doc

財務諸表 金融商品取引法第 193 条の 2 第 1 項の規定に基づき 当社の貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書及び附属明細表については 有限責任あずさ監査法人の監査証明を受けております 貸借対照表 科目 ( 資産の部 ) 流動資産 平成 27 年度末平成 28 年 3 月 31 日現在

09企業組織法-1

第1章 簿記の一巡

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

2018 年度 (2019 年 3 月 31 日現在 ) 貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 科 目 金額 科 目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 現金及び預貯金 1,197,998 保険契約準備金 908,017 預貯金 1,197,998 支払備金 2,473 有価証券 447,49

(1) 連結貸借対照表 ( 添付資料 16 ページ ) (3) 連結株主資本等変動計算書 ( 添付資料 28 ページ ) 6. 個別財務諸表 (1) 貸借対照表 ( 添付資料 31 ページ ) (3) 株主資本等変動計算書 以上 2

平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

平成 30 年 11 月 22 日株式会社中国銀行 連結貸借対照表の科目が 自己資本の構成に関する開示事項 に記載する項目のいずれに相当するかについての説明 連結 : 平成 30 年 9 月末 ( 資 産 の 部 ) 現 金 預 け 金 コ ー ル ロ ー ン 買 入 金 銭 債 権 商 品 有 価

Transcription:

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 1 テーマ 7 純資産会計 1. 純資産の概念と分類純資産は 資産と負債の差額として求められる ( 純資産 = 資産 - 負債 ) 純資産は その発生源泉を重視し Ⅰ. 株主資本 Ⅱ. 評価 換算差額等 Ⅲ. 新株予約権の 3 つに分類される 純資産 株主資本 評価 換算差額等 自己資本 新株予約権 Ⅰ 株主資本 1 資本金 2 資本剰余金 ⅰ 資本準備金 ⅱ その他資本剰余金 3 利益剰余金 ⅰ 利益準備金 ⅱ その他利益剰余金 a 任意積立金 b 繰越利益剰余金 4 自己株式株主資本合計 Ⅱ 評価 換算差額等 1 その他有価証券評価差額金 2 繰延ヘッジ損益 3 土地再評価差額金 4 ( 為替換算調整勘定 ) 評価 換算差額等合計 Ⅲ 新株予約権 Ⅳ ( 少数株主持分 ) 純資産合計 * 為替換算調整勘定と少数株主持分は連結の場合にのみ現れる項目である

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 2 2. 株主資本株主資本は 資本金 資本剰余金 利益剰余金および自己株式に区分される このうち 資本金と資本剰余金は株主から出資を受けた部分であるという意味で払込資本と呼ばれる 利益剰余金は株主からの出資を受けた元本を元手に会社が増やした部分で 留保利益とも呼ばれる 株主資本 資本金 資本剰余金 利益剰余金 資本金資本準備金 その他資本剰余金利益準備金その他利益剰余金 払込資本 留保利益 自己株式 自己株式 払込資本の控除 2.1 資本金 会社の設立または株式発行の際 株主となるものが払込みを行った金額である ただし 払込みを受けた金額のうち 1/2 を超えない額を資本金に組み入れないことができる 株主か ら払込みを受けた金額のうち 資本金に組み入れた金額が貸借対照表額である 原則 ( 借 ) 現 金 100 ( 貸 ) 資 本 金 100 例外 ( 借 ) 現 金 100 ( 貸 ) 資 本 金 50 資本準備金 50 2.2 資本剰余金資本剰余金は 資本準備金とその他資本剰余金に分類される 会社の設立または株式発行の際 株主からの払込額のうち 資本金に組み入れなかった部分は株式払込剰余金と呼ばれ 資本剰余金の一項目である資本準備金として積み立てる 他にも 吸収合併や新設合併で生じた資本準備金 株式交換や株式移転で生じた資本準備金 吸収分割や新設分割で生じた資本準備金も含まれる また 資本金の減少により生じた資本金減少差益や資本準備金の取崩し 自己株式をその取得原価以上の金額で処分した差益は この資本準備金に類似する性格を持っており その他資本剰余金として示される これらの項目は 株主からの資本の払込みと類似する性格を有しているために 払込資本と呼ばれる

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 3 2.3 利益剰余金利益剰余金は留保利益とも呼ばれ 企業が稼得した利益のうち配当せずに企業内に蓄積されたものをいう 利益剰余金は 利益準備金とその他利益剰余金に分類される 利益準備金は 会社法によって設定が強制されるものであり その他利益剰余金は 企業が経営上必要と認めた場合に設定する任意積立金 当期純利益 および前期からの繰越利益の合計である繰越利益剰余金から構成される 会社法では 株主への配当などによって資産の社外流出が生じた場合 当該流出額の 1/10 に相当する額を 資本準備金または利益準備金として積み立てることを要求している この際 その他資本剰余金から配当した場合には資本準備金を 利益剰余金から配当した場合には利益準備金をそれぞれ積み立てることが要求されているが 資本準備金と利益準備金の合計が資本金の 1/4 に達するまでそれが必要とされる 2.4 自己株式会社が過去に発行した自社の株式を保有している場合 この株式を自己株式あるいは金庫株という 自己株式は 株主総会の承認を得て 分配可能額の限度内で取得可能である 取得された自己株式は 第三者への売却や転換社債 新株予約権付社債などの新株予約権の行使をする者への交付など種々の用途に利用される 自己株式は 実質的に資本の払戻しであるため 株主資本から控除する形式で表示され 取得するために要した金額が貸借対照表価額となる 自己株式の売却や交付は増資に準じるので 自己株式を処分した際に生じた売却益は資本剰余金の性格を有しており その他資本剰余金に含まれる < 自己株式の会計処理 > 取得された自己株式は B/S 上では 取得原価をもって純資産の部の株主資本の末尾に控除形式で表示される 取得時 ( 借 ) 自己株式 100 ( 貸 ) 現金 100 自己株式処分差益は B/S 上では その他資本剰余金の部に表示される 処分時 ( 借 ) 現金預金 120 ( 貸 ) 自己株式 100 自己株式処分差益 20 * 自己株式処分差損が発生した場合には 1 自己株式処分差益 2 その他資本剰余金 3 繰越利益剰余金の順で相殺する

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 4 3. 評価 換算差額等原則として 取得原価で評価される土地などの資産の評価にあたって時価による評価が認められている場合 その評価差額を損益計算書を経由させずに 直接 貸借対照表の純資産の評価 換算差額等に計上する これは 評価差額を認識することは 収益の実現主義の原則に反することになり また これらの損益は金額も大きく 当期純利益に算入すると 利益数値の解釈が混乱するおそれがあるために これらの損益を当期純利益から除外するとともに 貸借対照表の評価 換算差額等に表示する これらの項目には その他の有価証券の評価差額金 繰延ヘッジ損益 土地再評価差額金 為替換算調整勘定が含まれる 項目説明 その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ損益 土地再評価差額金 為替換算調整勘定 その他有価証券を時価評価した際の取得原価と時価との差額であり 損益計算書に評価損益を計上するのではなく 貸借対照表に直接計上される金融商品について価格が下落する可能性が存在し その損失の発生を回避するための対処 ( リスクヘッジ ) がなされている場合 その損失の発生を回避するための対処の結果が確定するまで損益とせず 繰り延べたもの 土地の再評価に関する法律 に従って 企業が事業用の土地を再評価した際に 生じた取得原価と時価との差額があり 評価益は損益計算書には計上されず 貸借対照表に直接計上される為替換算調整勘定とは 在外子会社及び関連会社の財務諸表を円換算する際に発生する貸借差額を処理する勘定科目で 連結貸借対照表の固有の勘定科目であり 貸借対照表の純資産の部に計上される 4. 新株予約権新株予約権とは 会社に対して一定期間 あらかじめ定めた一定の価額で株式の交付を請求できる権利である 会計上は その権利を割り当てられた者が権利行使のとき または払込期日までに払い込んだ金額を新株予約権として表示する 現在の株主からの払込資本とは発生源泉が異なるので 区別して記載される 新株予約権には 普通社債に新株予約権が付加された転換社債 そして 新株発行決議時に優先的に新株を発行する義務を負う新株引受権 新株発行決議にかかわらず新株を発行する義務を負う新株予約権が含まれる さらに 労働サービスの提供の対価として 特に会社の従業員 役員などに対して付与されるストック オプションもこれに含まれる

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 5 コラム : 株主資本等変動計算書 すべての会社は 純資産の部の各項目の変動事由を報告するために 株主資本等変動計算書を作成しなければならない 株主資本等変動計算書は 純資産の部と同様に 株主資本 評価 換算差額等 新株予約権に区分され それぞれの内訳および増減額が記載される 株主資本等変動計算書を読むことで 事業年度における配当 自己株式の取得 増資などの状況や 発行済株式数などの変動が一覧できる 5 ストック オプションストック オプションとは 会社の取締役または従業員等が あらかじめ決められた価額 ( 権利行使価格 ) で一定期間 ( 権利行使期間 ) 内に自社株式の購入を選択できる権利のことをいう ストック オプションは 新株予約権の有利発行のケースと位置づけられる ストック オプション付与日から権利確定日までの対象勤務期間 各期末 ( 借 ) 株式報酬費用 100 ( 貸 ) 新株予約権 100 ストック オプション権利確定日から権利行使期間の最終日 権利行使時 ( 借 ) 現金預金 300 ( 貸 ) 資本金 500 新株予約権 200 権利失効時 ( 借 ) 新株予約権 200 ( 貸 ) 新株予約権戻入益 200 6. 分配可能額 6.1 分配可能額とは株式会社では 株主の有限責任制が採用されている そのため 債権者の権利は会社の純財産によってのみ保証されることになる 従って 会社の財産が配当により無制限に社外に流出してしまえば 債権者の権利が著しく害されることになる そこで 会社法は 債権者の保護と株主と債権者の利害の調整の観点により 剰余金の配当が可能な上限額を分配可能額として制定し 分配可能額を超える配当を禁止している そして この配当できる金額の上限を分配可能額という この分配可能額は 前期末の剰余金の額を基礎として 以下のプロセスにより計算される STEP1 効力発生日の剰余金の額の計算 STEP2 分配可能額の計算

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 6 6.2 効力発生日の剰余金の額の計算分配の効力発生日 ( 分配時 ) の剰余金は 前期末の剰余金の額に前期末から効力発生日までの剰余金の変動要因を反映して計算する なお 前期末の剰余金の額とは 前期末の貸借対照表におけるその他資本剰余金 +その他利益剰余金となる 株主資本 資本金資本剰余金利益剰余金 自己株式 資本準備金その他資本剰余金利益準備金その他利益剰余金任意積立金 剰余金 その他利益剰余 6.3 分配可能額の計算 分配の効力発生日 ( 分配時 ) の剰余金の額から 1 自己株式による分配制限 2のれん等調整額による分配制限 3その他有価証券評価差額金による分配制限を控除して分配可能額を求める 1 自己株式による分配制限分配可能額の計算にあたり 以下の項目を剰余金の額から控除する 効力発生日における自己株式の帳簿価額 前期末から効力発生日までに自己株式を処分した場合の自己株式処分対価 2 のれん等調整額による分配制限のれん等調整額とは 資産の部に計上したのれんの額の 2 分の 1 と繰延資産に計上した額の合計額をいう のれんと繰延資産はそれ自体には換金可能性はなく 株主に対して会社財産の払戻しを認めるのは適当ではないため 分配可能額の算定にあたって控除される のれん等調整額が前期末貸借対照表における資本等金額 ( 資本金 資本準備金及び

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 7 利益準備金の合計額 ) を超過している場合には 分配可能額を計算する上で その 超過額または一定額を剰余金から控除する 3 その他有価証券評価差額金による分配制限前期末貸借対照表に その他有価証券評価差額金が計上されている場合 その金額は剰余金には含まれない しかし その他有価証券評価差額金がマイナスの場合には その分の会社財産の社外流出を防ぐ必要があり分配可能額の計算上 控除する

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 8 問題 1 次の文章の ( ) 内に入る適切な語句を記入しなさい 1. 純資産の部は それが生じた源泉によって 株主が出資した部分である ( ) 特定の資産 負債についてその取得原価と時価による評価額との差額である ( ) 将来株主となることを前提に会社が受け入れた金額である ( ) に分類される また 株主資本は 株主が払い込んだ部分である ( ) とその元本を元手にして会社が増やした部分である ( ) から構成される 2. 株式会社が発行済みの自社株式を買い戻し これを保有している場合 その株式を ( ) という これは 一定の制限の下で 自由に取得することができるが この保有は株主に対する会社財産の ( ) と考えられ 株主資本の末尾に一 括して ( ) する形式で表示される 3. 発行済みの自社株式を買い戻して保有したものを ( ) といい ( ) とも呼ばれる 実質的には 株主に対する資本の払戻しに相当するので ( ) の合計から控除する形式で示される 原則として 取得原価で評価される有価証券や土地などの資産の評価にあたって時価 による評価が認められる場合 それによって生じた ( ) は ( ) を経由させずに貸借対照表に計上する 問題 2 次の文章が正しければ を 間違っていれば を記入しなさい 純資産の部には 利益準備金 資本準備金 自己株式 その他有価証券評価差額金等が含まれる 利益準備金として積立てる金額は 剰余金の配当を実施する場合 資本準備金と利益準備金の額が資本金の 2 分の 1 に達するまで配当額の 10 分の 1 の金額を積立てなければならない 評価 換算差額等は その他有価証券評価差額金 繰延ヘッジ損益 為替換算調整勘定 土地再評価差額金の 4 つである

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 9 問題 3 貸借対照表の純資産の部を構成する以下の要素の金額から株主資本の金額を求めなさい 利 益準備金 1,000 新 株予約権 1,000 評価 換算差額等 2,000 自 己 株 式 3,000 繰越利益剰余金 6,000 資 本 金 8,000 答え 問題 4 てづか株式会社の貸借対照表は 以下のとおりであった 当期の金銭による分配可能額は いくらですか < 資料 > 貸借対照表 ( 単位百万円 ) 諸 資 産 10,000 諸 負 債 3,100 資 本 金 2,800 資本準備金 50 利益準備金 150 任意積立金 2,000 繰越利益剰余金 1,000 自己株式 250 土地再評価差額金 850 その他有価証券評価差額金 300 10,000 10,000 分配可能額 百万円

会計学概論 2010( 太田浩司 ) Lecture Note 7 10 問題 5 次の図は 貸借対照表の構造を示している 空欄に入る用語を解答欄に記入しなさい 貸借対照表 1 3 7 8 9 2 4 11 5 10 12 6 13 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13