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0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

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(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

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区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

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2008年6月XX日

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ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

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事業事前評価表

事業事前評価表

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は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

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西アフリカ 3億人ビジネス市場マップ ―2035年5億人市場に向けて―

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貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

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( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

国際協力銀行 (JBIC) の海外インフラ支援事業に関する要望 わが国政府は 成長戦略の重要な柱の 1 つとしてインフラシステム輸出を位置づけており 2016 年 5 月に公表した 質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ においても 今後 5 年間にインフラ分野に対して 約 2,000 億ドルの資金

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5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

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表1-4

事業事前評価表

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

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国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

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と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

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資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

また 関係省庁等においては 今般の措置も踏まえ 本スキームを前提とした以下のような制度を構築する予定である - 政府系金融機関による 災害対応型劣後ローン の供給 ( 三次補正 ) 政府系金融機関が 旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に対して 資本性借入金 の条件に合致した

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平成 30 年 8 月 31 日 平成 31 年度の財政投融資計画要求書 ( 機関名 : 株式会社日本政策金融公庫 ( 特定事業等促進円滑化業務 )) 1. 平成 31 年度の財政投融資計画要求額 ( 単位 : 億円 %) 平成 31 年度平成 30 年度対前年度比区分要求額当初計画額金額伸率 (1

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事業事前評価表


事業事前評価表

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社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

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(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

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1 はじめに 日本の原油輸入の 2 割を占める重要なパートナーである中東のアラブ首長国連邦 (UAE) 近年急激な経済成長を背景に 年平均 16 % 以上の電力需要増加が見込まれるこの国で 最近日本の総合商社が取組む大型電力案件の話題が相次いで報じられた 5 月 9 日 UAE のフジャイラ首長国に

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02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

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規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

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事業事前評価表

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現代資本主義論

Transcription:

円借款用 事業事前評価表 1. 案件名国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 外国直接投資促進事業 L/A 調印日 :2015 年 12 月 13 日承諾金額 :15,825 百万円借入人 : バングラデシュ人民共和国政府 (The Government of the People s Republic of Bangladesh) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における民間セクター開発の開発実績 ( 現状 ) と課題バングラデシュ人民共和国 ( 以下 バングラデシュ という ) は 近年 欧米や我が国の縫製品メーカーの進出及び海外労働者送金 (GDP の約 1 割 ) に支えられ 年率 6% 以上の高いペースで成長を継続しており 今後も堅調な発展が見込まれている バングラデシュの縫製業は 労働コストが中国等と比較しても低いことが強みとなっており 同国の輸出の 8 割を占める しかしそのほとんどが欧米市場向けの低価格衣料品の委託加工で 原材料を輸入に依存しているため 輸出先市場の景気動向に左右され 更に関連産業への波及効果が薄く地場製造業が育たないことから バングラデシュとしての経済的メリットは加工労賃所得に留まり 低賃金の国際競争にさらされる脆弱な経済構造となっている 同国がこのような経済構造から抜け出し さらなる経済成長を実現していくためには 縫製品の高付加価値化や輸出競争力のある製造業の育成 ひいては産業全体の多角化を図っていく必要がある そのためには投資の拡大が不可欠であり 技術の導入を伴う外国からの投資が期待される しかしながら バングラデシュにおける外国直接投資額は GDP 比で 1.1%(2013 年 ) に過ぎない ストックベースでも GDP 比 6.1%( 同 ) と南アジア平均 10.9%( 同 ) と比較しても低く 東南アジア平均 44.1%( 同 ) とは大きく差が開いている 従って 同国の外国直接投資促進は急務であるが 同国内で操業する際の金融アクセスの悪さや基礎インフラの不足 煩雑な行政手続きなど 劣悪な投資環境は民間企業が進出を検討する際の大きなボトルネックになっている かかる状況に対応すべく 投資環境改善のための外国企業向けの中長期低利融資の拡大やインフラの整備が求められる また 外国直接投資の受け皿となる工業団地などの大型インフラの整備に向け 煩雑な行政手続きの簡素化を実現し 我が国民間企業等によるインフラ輸出にもつながる PPP 事業の拡大が望まれる (2) 当該国における民間セクター開発の開発政策と本事業の位置づけ同国の国家開発戦略の最上位に位置づけられる 第 6 次五ヶ年計画 (2011/12~ 2015/16 年度 ) では 製造業の多様化 輸出産業の強化を重点分野としており また 国家産業振興計画 (2010 年 ) では民間セクター主導による国内産業の成長等を重要視しており 本事業はこれらの計画や政策と合致している

(3) 民間セクター開発に対する我が国及び JICA の援助方針と実績対バングラデシュ JICA 国別分析ペーパー (2013 年 4 月 ) において バングラデシュの経済成長と日 バの更なる経済関係促進に資する経済特区整備等の投資環境整備への支援を最重点として取り組む ことが必要であると分析しており 対バングラデシュ国別援助方針 (2012 年 6 月 ) における重点目標としても 中所得国化に向けた 全国民が受益可能な経済成長の加速化 が定められ 本事業はこれら分析 方針に合致する また PPP 事業の促進は 我が国成長戦略にあるインフラ輸出の促進にも貢献する 当該セクターに対する近年の主な実績は以下の通り 有償資金協力 : 中小企業振興金融セクター事業 (2011 年度承諾 ) 技術協力 : 投資環境整備アドバイザー (2012 年 ~2014 年 2014 年 ~2016 年 ) 産業政策アドバイザー (2013 年 ~2015 年 ) (4) 他の援助機関の対応世界銀行は経済特区法整備やハイテクパーク (IT 工業団地 ) 設立にかかる支援を行っている アジア開発銀行は 中小企業金融 工業団地整備に係る官民連携支援を行っている (5) 事業の必要性バングラデシュ政府は 製造業の多様化 輸出産業の強化を重点分野と位置づけており 外国直接投資を活用した民間セクター主導による国内産業の成長を図る上で 我が国を主とした外国企業等向けに現地通貨建ての短期及び中長期資金を供与し これら企業が必要とするインフラの整備を進めることは バングラデシュの産業開発を進めていく上で大きな意義を有する 本事業は 金融アクセスの改善や工業団地開発等の PPP 事業によるインフラ整備の促進を通じて同国の投資環境の改善を目指すものであり 我が国及び JICA の援助重点分野とも整合性があり 本事業を実施する必要性 妥当性は高い 3. 事業概要 (1) 事業の目的本事業は バングラデシュにおける日本向け経済特区の開発などの開発事業の実施や事業資金を供与することを通じて 金融アクセスの悪さやインフラの不足 煩雑な行政手続きなど 劣悪な投資環境を改善することにより 外国直接投資の促進を図り もって同国の経済発展に資するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 バングラデシュ人民共和国全土 (3) 事業概要 1) ツーステップローンにより 我が国を主とした外国企業等に対して短期及び中長期の設備投資及び事業運転のための資金を供与 2) バングラデシュ政府に対するエクイティバックファイナンスにより 我が国企業と同国政府とによる PPP 事業を促進することにより 経済特区における工業団地開発等 外国企業の進出にあたって不可欠な大型インフラを整備 3) 事業地へのアクセス道路や電力 ガス供給など 外国からの進出企業が直接裨

益する基礎インフラを整備 1)~3) を通じ 日本政府やバングラデシュ政府が事業に関与することにより 煩雑な行政手続きの簡素化が期待できる 4) コンサルティング サービス : 参加金融機関の選定支援 及び事業進捗にかかるモニタリング支援 (4) 総事業費 23,349 百万円 ( うち 円借款対象額 :15,825 百万円 ) (5) 事業実施スケジュール 2015 年 12 月 ~2025 年 4 月を予定 ( 計 113 ヵ月 ) ツーステップローン貸付完了時 (2025 年 4 月 ) をもって事業完成とする (6) 事業実施体制 1) 借入人 : バングラデシュ人民共和国政府 (The Government of the People s 2) 保証人 : なし Republic of Bangladesh) 3) 事業実施機関 : i. ツーステップローン 実施機関 財務省銀行局(Bank and Financial Institutions Division, Ministry of Finance 以下 BFID という ) 執行機関 バングラデシュ銀行(Bangladesh Bank 以下 BB という ) ii. エクイティバックファイナンス 実施機関 財務省財務局(Financial Division, Ministry of Finance 以下 FD という ) 執行機関 バングラデシュインフラ融資基金 (Bangladesh Infrastructure Financial Fund Ltd. 以下 BIFFL という ) iii. 周辺インフラ整備 実施機関 首相府(Prime Minister s Office 以下 PMO という ) 執行機関 バングラデシュ経済特区庁(Bangladesh Economic Zones Authority 以下 BEZA という ) 4) 操業 運営 / 維持 管理体制 : 本事業の運営は各執行機関 (BB BIFFL BEZA) が行う 周辺インフラの維持 管理については BEZA が予算の確保及び責任を担うが 技術面については実際 に建設を担う機関 ( 道路交通 橋梁省道路 国道部 (Roads and Highways Department, Ministry of Road Transport and Bridges 以下 RHD という ) 地方行政農村開発組合省 地方行政技術局 (Local Government Engineering Department 以下 LGED という ) バングラデシュ送電会社 (Power Grid Company of Bangladesh Limited 以下 PGCB という ) が担う

(7) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境社会配慮 1 カテゴリ分類 :FI 2 カテゴリ分類の根拠本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 JICA の融資承諾前にサブプロジェクトが特定できず 且つそのようなサブプロジェクトが環境への影響をもつことが想定されるため 3 その他 モニタリングその他 モニタリング : 本事業では 3 つのコンポーネントの執行機関が 円借款で雇用されるコンサルタントの支援を受けつつ バングラデシュ国内法制度及び 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) に基づき 各サブプロジェクトについてカテゴリ分類を行い 該当するカテゴリに必要な対応策がとられることとなっている なお サブプロジェクトにカテゴリ A 案件は含まれない 2) 貧困削減促進 : 特になし 3) 社会開発促進 ( ジェンダーの視点 エイズ等感染症対策 参加型開発 障害者配慮等 ) ジェンダー対象外 : ジェンダー視点に立った具体的な活動内容の実施可能性が見込めないことから対象外とする (8) 他ドナー等との連携世界銀行は BEZA 設立に合わせて 2011 年 8 月より 民間セクター開発支援プロジェクト (PSDS:Private Sector Development Support) により BEZA による経済特区開発を支援 (2011 年 8 月 ~2016 年 6 月 1.2 億ドル ) 5 候補地の経済特区の事業化調査 (Pre-FS) を実施 本事業では 同候補地も対象として検討 (9) その他特記事項 特になし 4. 事業効果 (1) 定量的効果 1) アウトカム ( 運用 効果指標 ) 指標名 基準値 (2014) 目標値 (2027 年 ) 事業完成 2 年後 日本の対バングラデシュ直接投資額 ( 百万 US$/ 年 ) 117 我が国からバングラデシュへの進出企業数 ( 社 ) 181 事業で裨益する進出外国企業等の売上高 ( 百万 US$/ 年 ) 事業で裨益する進出外国企業等と取引のあるバングラデシュ企業の収益 ( 百万タカ ) 本事業で裨益する進出外国企業等による雇用人数 ( 人 ) サブローン 供与時にデ ータ記録

(2) 定性的効果外国直接投資の拡大 外国企業に対する資金アクセスの改善 本邦企業による優れた経営ノウハウの移転 創造 経営資源の移転や新技術 新システムの導入を通じた新技術の創造 輸入代替効果による外貨の蓄積及び輸出産業への発展 雇用機会の創出 消費者利益の増大 (3) 内部収益率 サブプロジェクトが特定できないため 算出せず 5. 外部条件 リスクコントロール (1) 前提条件 : 特になし (2) 外部条件 : 特になし 6. 過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓 (1) 類似案件からの教訓開発金融借款 ( ツーステップローン ) に関する類似事業であるマレーシア 中小企業育成事業 の事後評価から 複数の実施機関 ( 金融機関 ) を並列的に介在させる場合 融資対象 企業及びサブローン条件を一律限定的なものとせず 各機関がターゲットとするエンドユーザーの資金需要や規模に応じて弾力的に取り扱えるように設計することが有効であるとの教訓を得ている また ミャンマー ティラワ経済特別区開発事業 ( 海外投融資出資事業 ) の経験から 1 民間企業の投資判断を促すためには 両国政府の強いサポートとリスク軽減策が必要 2 民間企業の投資促進には投資先周辺インフラの整備が必要 との教訓があげられる (2) 本事業への教訓の活用本事業では 融資条件 ( 金利 ) の弾力性を確保することとしている また 両国政府間で進出企業に対する免税等のインセンティブ付与に係る検討を進めるとともに 周辺インフラの整備を組み合わせた協力を予定している 7. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる指標 1) 日本の対バングラデシュ直接投資額 ( 百万 US$/ 年 ) 2) 我が国からバングラデシュへの進出企業数 ( 社 ) 3) 事業で裨益する進出外国企業等の売上高 ( 百万 US$/ 年 ) 4) 事業で裨益する進出外国企業等と取引のあるバングラデシュ企業の収益 ( 百万タカ ) 5) 本事業で裨益する進出外国企業等による雇用人数 ( 人 ) (2) 今後の評価のタイミング : 事業完成 2 年後 ( 事後評価 ) 以上