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評価調査結果要約表 1. 案件の概要 国名 : マダガスカル共和国 案件名 : エイズ予防対策強化プロジェクト 分野 : 保健医療分野 援助形態 : 技術協力プロジェクト 所轄部署 :JICA マダガスカル事務所 協力金額 ( 評価時点 ):1 億 5,000 万円 協力期間 R/D 締結 :2008 年 2 月 19 日協力実施期間 :2008 年 3 月 25 日 ~2012 年 3 月 24 日 (4 年間 ) 先方関係機関 : 公衆衛生担当副首相府エイズ 結核 マラリアプログラム担当副保健総局国家性感染症 エイズ対策プログラム 県保健局エイズ対策担当部署日本側協力機関 : 財団法人エイズ予防財団 財団法人ジョイセフ 保健医療経営大学 ( 以上 3 団体 国内支援委員会として協力 ) 他の関連協力 : なし 1-1 協力の背景と概要マダガスカル共和国 ( 以下 マダガスカル と記す ) の成人ヒト免疫不全ウイルス (Human Immunodeficiency Virus:HIV) 陽性率は 0.1%(UNAIDS 2008 年 ) と推定されており サブサハラアフリカ諸国のなかでは低い HIV 陽性率を維持しているが 性感染症 (Infections Sexuellement Transmissibles:IST) 感染率は高く HIV 感染の拡大が懸念されるため HIV 予防対策は国の重要な課題となっている HIV/ エイズ後天性免疫不全症候群 ( エイズ )(syndrome d'immuno-déficience acquise:sida) 対策の重要な柱のひとつである HIV 検査 カウンセリングに関して 人々の HIV/ エイズに関する知識がいまだ乏しいことから 予防教育の強化の必要性が高く マダガスカル政府は 既存の一般保健医療施設に統合して HIV 検査 カウンセリングも普及させていくことで 効果的に HIV 予防へとつなげていく方針である しかしながら カウンセラーが適切な研修を受けていない 定められた検査手順が守られていない等 質の面での問題が多く生じている さらに 中央 地方行政担当者が これらの問題や施設や人材の情報を把握できていないなど マネージメント上の課題もある 特に マダガスカルでは感染率や感染経路が地域によって相違があること 又 2007 年から地方分権化が進展していることから 中央保健省だけではなく県保健局 (Direction Régionale de la Santé Publique:DRSP) 郡保健局(Service de District de la Santé Publique:SDSP) による HIV/ エイズ対策実施能力の強化が早急に必要となっている 1-2 協力内容 (1) 上位目標マダガスカルにおける HIV 感染率が 1% 未満に維持される (2) プロジェクト目標マダガスカル全国における質の高い HIV 検査 カウンセリングサービス カウンセリング 検査 (Counseling and Testing:CT) の実施体制が強化される

(3) 期待される成果 1) HIV 検査 カウンセリングに関する国家政策 基準 ガイドラインが整備され 保健医療施設等の関係機関に活用されるために改訂される 2) 保健省 DRSP における HIV 検査 カウンセリングに関する情報収集 分析が強化され 計画策定 モニタリングが改善される 3) HIV 検査 カウンセリング受診促進のための方策が試行され 保健省関係部局 DRSP/SDSP 国家エイズ対策委員会事務局(Secrétariat Exécutif / Comité National de Lutte contre le SIDA:SE/CNLS) 及び UNICEF 等他援助機関等の関係機関で共有される (4) 投入 ( 評価時点 ) 1) 日本側 : 長期専門家派遣 3 名 ( チーフアドバイザー / 保健行政 業務調整 / エイズ対策 ) 短期専門家派遣 2 名 (HIV カウンセリング ロジスティックス管理 ) 本邦研修 1 名 ( プロジェクト予算外 ) 第三国研修 4 名 ( プロジェクト予算外 ) 機材供与 HIV 迅速検査キット コンピューター プリンター コピー 機 車両 携帯型無線機等 ローカルコスト負担 約 1,509 万 7,000 円 2) マダガスカル側 : 主なカウンターパート 20 名 ( その他 本プロジェクトの協力対象である DRSP/IST エイズ対策担当者 22 名 ) 施設の提供エイズ 結核 Tuberculosis( 英 )/ Tuberculose( 仏 ) マラリアプロ グラム担当副保健総局内プロジェクト事務所 プロジェクト事務所の水道 光熱費 カウンターパート 2 名のプロジェクト事務所配置 2. 評価調査団の概要 氏名 担当分野 所属 小森正勝 団長 / 総括 JICA 人間開発部保健人材 感染症グループ感染症対策課企画役 調査者 入江路代調査計画 JICA マダガスカル事務所企画調査員橋本麻衣子計画管理 JICA 人間開発部保健人材 感染症グループ感染 症対策課 Jr. 専門員 芹澤明美 評価分析 グローバルリンクマネージメント株式会社研究員 調査期間 2010 年 1 月 14 日 ~2 月 12 日 評価種類 : 中間レビュー 3. 評価結果の概要 3-1 実績の確認 (1) 成果の達成度 1) 成果 1: HIV 検査 カウンセリングサービス (CT サービス ) に関する国家政策 基

準 ガイドラインが 保健医療施設及び関係機関に改訂され 使用される 自発的 HIV 検査 カウンセリング国家政策 (2005 年 ) Politique Nationale CTV) を改訂し マダガスカル HIV 検査国家政策 (2009 年 )(Politique Nationale de dépistage du VIH à Madagascar を策定した これは HIV 検査 カウンセリングサービス (CT サービス ) 実施保健機関及び関係機関に配布される予定である 2) 成果 2: 保健省中央レベル及び県レベルにおいて CT サービスに関するデータの収集と分析が強化され 計画策定とモニタリングが改善される CT サービスを提供する国内すべての施設のインベントリー ( 人材情報含む ) を作成した 定期的に改訂を行う方策については検討中である 3) 成果 3: CT サービスへのアクセスを改善するための方策が共有される 関連の活動は中間レビュー後 ( プロジェクト期間後半 ) に実施される予定 (2) プロジェクト目標の達成度 マダガスカル全国における質の高い HIV 検査 カウンセリングサービス (CT サービス ) の実施体制が強化される まず指標 1 について CT サービス実施施設の数が増えており 実施体制の量的拡大が確認された しかしながら これには本プロジェクト以外の要因も関係していると思われる また 2009 年 1 月末の政変の影響で支援を中断した援助機関があるため プロジェクト デザイン マトリックス (PDM) におけるアウトプットからプロジェクト目標への外部条件 ( 研修予算や HIV 検査キット等が計画どおり確保される ) が満たされておらず その結果 保健施設で CT サービスを恒常的に実施できていない状況がある 指標 2 3 4 については国家エイズ対策委員会 (CNLS) が設定した指標を活用したが 予定されていた調査が政変の影響等により CNLS が実施していないため 中間評価時点で指標の入手が困難であった ( そのため 今回の中間レビュー時に指標の見直しを行った ) (3) 上位目標の達成度 マダガスカルの HIV 感染率が 1% 未満に維持される 入手可能な直近のデータでは マダガスカルの HIV 感染率は 0.13% と推計されている (UNAIDS 2007 年 ) プロジェクト終了から 3~5 年以内に上位目標が達成されるかどうか現時点で判断するのは時期尚早であるが 中間レビューでインタビューした関係者の見解では 状況がこれまでと同様に推移すれば 感染率 1% 未満を維持する可能性は十分あるとのことであった 3-2 評価結果の要約 (1) 妥当性マダガスカルのニーズと日本の対マダガスカル援助政策に整合しており 妥当性が高い 2005 年 マダガスカルの HIV 感染率は 0.95% であったが 保健セクター開発計画によ

ると 過去 20 年間で急激に増加している また 妊婦の梅毒の感染率が 4.2%(2003 年 ) と高く HIV 感染拡大への影響が指摘されている マダガスカル HIV/ エイズに対する効果的対策のための行動計画 (Plan d action de Madagascar pour une réponse efficace face au VIH et au SIDA)(2007~2012 年 ) においては HIV 感染率を 1% 未満に維持することを目標としている 本プロジェクトはマダガスカルの国家政策に沿っており 特に HIV 対策国家戦略計画 (Plan Stratégique National:PSN) の 戦略 2:IST と HIV 予防のための質の高い情報及び保健サービスへのアクセスを改善する に合致している SE/CNLS から 保健セクターにおける HIV 関連業務が 2008 年に公衆衛生担当副首相府 (Vice Primature chargée de la Santé Publique:VPMSP) へ移管されたことから VPMSP の能力は更に強化される必要がある JICA の対マダガスカル事業展開計画において 本プロジェクトは援助重点分野 基礎生活 そのなかの開発課題 保健医療サービスの改善 に位置づけられる (2) 有効性 HIV 検査国家政策の改訂や CT サービス実施施設のインベントリー作成 報告様式の改訂等 重要な成果品が既に作成されており 一定の成果が確認できた しかしながら 現在のプロジェクト目標の指標のなかにはデータが入手できないもの等があるため CT サービス提供能力の強化について測ることはできなかった ( そのため 今回の中間レビュー時に指標の見直しを行った ) また 本プロジェクトの直接的介入は主に中央レベルと県レベルに対して行われるため 郡や施設のレベルにおける CT サービス改善への影響は間接的なものになる また 他援助機関が計画していた HIV 検査キットの供給や研修の支援が政変の影響で減少又は停止されたため PDM の外部条件が満たされないことになり 本プロジェクトの活動が遅れた (3) 効率性効率性に関しては正 負両面がみられる 効率性を損ねた要因として 政変の影響で投入 活動が計画どおりには進まなかったこと 又 保健省の組織改編やプロジェクトメンバーの入れ替えがあったことで それまでの投入 活動が生かされないことがあった 一方で このような状況のなかでも前節で述べたような主要な成果品 ( 政策改訂 施設インベントリー等 ) を既に作成していることから 効率性が高いといえる 効率性を高めた要因としては 本プロジェクトが他援助機関と調整して活動を進めてきたこと 例えば本プロジェクトが保健情報システムの改善を支援したのに合わせて UNICEF がそれに係るワークショップ開催を支援したこと また保健セクター HIV 対策調整会議 (2009 年 12 月 ) では UNDP UNICEF との合同開催支援などがあげられる (4) インパクト上述のとおり 上位目標 (HIV 感染率を 1% 未満に維持すること ) が達成される可能性は十分にある

予期しなかった正のインパクトとして HIV 関連データが保健情報管理システムに取り 込まれたことで 中央から施設に至るまでのあらゆるレベルで データを適時収集することができ データ収集 処理に係る手間も削減されることが見込まれる (5) 自立発展性マダガスカルの HIV 政策は維持されることが見込まれる 財政的自立発展性は 政府及び他援助機関がどれだけの資金を確保できるかによる 組織的及び技術的自立発展性は 本プロジェクトの人材育成の結果によるが 同時に カウンターパートの定年退職や異動により影響を受ける可能性がある 3-3 効果発現に貢献した要因 (1) 計画内容に関すること ( 特になし ) (2) 実施プロセスに関すること 2009 年 1 月末に起きた政変により プロジェクト活動が 4 ヵ月ほど中断したものの 他援助機関が支援を停止するなかで本プロジェクトは現在に至るまで活動を継続した 国家政策の改訂等 重要な成果品を作成することができた 3-4 問題点及び問題を惹起した要因 (1) 計画内容に関すること本プロジェクトの直接的介入は主に中央レベルと県レベルに対して行われるため 郡や施設のレベルにおける CT サービス改善への影響は間接的なものになる また 上位目標 (HIV 感染率 1% 以下維持 ) の達成は本プロジェクト以外の外部要因も考慮すべきである (2) 実施プロセスに関すること政変の影響でプロジェクト活動が中断 延期された また 他援助機関の活動が中断されたこと ( 研修や HIV 検査キットの提供がされない ) が 本プロジェクトへも影響を及ぼした プロジェクト開始以降 日本人専門家及びマダガスカル側カウンターパートの交替があり 加えて VPMSP の組織改編が何度かあった 各メンバーのプロジェクトへの期待 参加状況 理解の程度が一定ではなかった 3-5 結論 VPMSP 特別顧問 緊急疾病対策局 (Direction des Urgences et de la Lutte contre les Maladies: DULM) 局長 SE/CNLS との面談を通じ 2009 年の政変後も マダガスカル政府においては HIV 対策の重要性と CT サービスの強化 改善の優先度が高く 本プロジェクトはその政策と整合していることを確認でき プロジェクトの妥当性は高い また 政変により 組織改編や組織内人員の変更 及び他援助機関の支援の停滞があり プロジェクトの進捗状況に一部遅れがみられたものの 主に以下 4 つの成果が確認された 1サ

イト調査等を通じ CT サービスの現状の把握 分析がなされ サービスの現状についての基礎資料 データがまとめられた 2CT サービスに関する施設 人材に関するインベントリーの作成 3 既存の政策のレビュー 他国における CT サービスの先行経験の分析 サイト調査等の結果に基づき CT サービスに関する国家政策の見直し 設定を行い HIV 検査国家政策 が完成した 4CT サービスの報告様式の改訂に関し UNICEF と共同で支援を行い DRSP 担当に新報告様式電子版が配布された 3-6 提言 今後の課題 ( 当該プロジェクトに関する具体的な措置 提案 助言 ) (1) ロジスティック管理ガイドライン については 目次案を国家 IST エイズ対策プログラム ( 以下 エイズ対策プログラム と記す ) が作成し 今後詳細が詰められる予定 これら文書の普及に関し 本プロジェクトにおいて各県責任者へのセミナー等を実施することを改定 PDM に明確に記述した (2) 研修カリキュラムの作成と研修の実施については 県レベルの研修責任者を対象にした講師養成研修 (Training of Trainers:TOT) を実施することとし エイズ対策プログラムは その研修のテーマや枠組み 対象グループや施設などの大枠の方針を早急に決定し プロジェクトは具体的なカリキュラム作成に取り掛かる必要がある (3)2010 年に再開予定の世界銀行のプログラム エイズ予防マルチセクタープロジェクト ( 世界銀行 )(Projet Multisetoriel pour la Prévention du SIDA: PMPS II) による研修に関し プロジェクトは右研修実施に係るカリキュラム作成などに関し エイズ対策プログラムを支援し 新しい政策に沿った CT サービスの普及に努めることが望まれる ( ただし PMPS II の実施スケジュールがタイトであることが予想され 世界銀行側との調整が必要である ) (4)VPMSP は 継続的 安定的な CT サービスの実施のため 物品管理と配送手段に係る予算確保を早急に行う必要がある (5) 成果 2 の HIV プログラム関連のデータ収集 分析の強化に関しては 一般保健情報報告様式 月間活動報告書 (Rapport Mensuel d Activité:RMA) に HIV 関連の項目を加えたものが各レベルの保健機関に配布された状況であり 今後は SDSP 及び DRSP レベルにて情報システム 保健情報コンピューター管理システム ( ソフト名 )(GeStion de l Information Sanitaire:GESIS) に入力される このことにより HIV 関連の統計の収集 分析が著しく容易になることが期待される (6) 現在までの進捗状況と残り期間を鑑み RMA/GESIS によるデータの収集 入力や分析が正確になされるための研修などに活動が優先されると判断し 又計画能力 モニタリング向上にかかわる指標入手が難しいため 活動は残すものの 成果 2 から 計画能力とモニタリングの向上 を削除し 成果指標は収集 分析に関連する項目のみを残すこととした (7) 計画能力とモニタリングの向上 に関する活動については 残りプロジェクト期間を鑑みて パイロット地域を選定し CT サービスの実施状況のスーパービジョンをパイロット的に行うことを PDM の活動として記述した VPMSP は パイロットとなる地域の選定方法を早急に設定する必要がある

3-7 団長所感 (1) 検査キットの調達に関して 他援助機関の状況を把握しつつ 2010 年度も必要に応じ支援を行い 定常的な CT サービスの実施が確保されることに寄与することが望まれる (2) 政変の影響により一部の活動の遅れがみられることから 日本人専門家の追加的投入が望まれる (3) 上位目標 について よりプロジェクトの寄与が期待できるような中間的な 上位目標 への変更を検討したが 入手可能な指標の設定も含め適切な案を得るに至らなかった 加えて政策的な一貫性を保ちたいという先方の要望もあった (4) 政策やガイドラインの整備 情報システム モニタリング 評価 計画能力の向上 オペレーショナルリサーチ を成果としてとらえており プロジェクト目標である保健行政側からの質の高い CT サービス提供能力向上との関連で 末端レベルでの CT サービスの向上 ( 量的 質的 ) あるいは末端レベルでの CT サービスの向上による効果 (HIV 陽性者がより早く確実に発見され治療を開始する等 ただし指標の測定は困難 ) を上位目標としてとらえるのがより現実にあっていると考える しかしながら中央 県レベルの 能力向上 そのものを図る指標の設定が難しく 末端のサービス向上に係る指標で代替せざるを得なかった (5) ナレーティブサマリーを含む大幅な PDM の見直し案も 事前の国内の打合せでは提案されたが 先方の混乱や時間的な制約などを考慮し 対処方針どおり既存 PDM の修正にとどめた 終了時評価及び事後評価において 特に上位目標に向けてのインパクト評価を行う際には 日本側としては上記の点を考慮して評価する必要があると考える