Windows Server 2008 R2とPRIMERGYによる消費電力削減効果

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Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY による 消費電力削減効果 第 1.0 版 2010 年 2 月 富士通株式会社

改版日時版数改版内容 2010.2 1.0 新規作成 - 2 -

目次 はじめに...- 4-1. Windows Server 2008 R2 の電力制御機能...- 6-1.1 機能概要...- 6-1.1.1 コアパーキング機能...- 6-1.1.2 Pステート調整機能...- 7-1.2 設定方法...- 8-1.2.1 コントロールパネルの 電源オプション による設定...- 9-1.2.2 コマンドラインの Powercfg コマンドによる設定... - 10-2. PRIMERGYの電力制御機能... - 11-2.1 機能概要... - 11-2.2 設定方法... - 11-3. Windows Server 2008 R2 とPRIMERGYの電力制御機能検証... - 12-3.1 検証概要... - 12-3.2 検証環境... - 13-3.3 検証内容... - 14-3.4 検証結果... - 17-3.4.1 PRIMERGY TX200 S5 検証結果... - 17-3.4.2 PRIMERGY RX300 S5 検証結果... - 19-3.5 まとめ... - 21 - - 3 -

はじめに 近年 環境への意識が高まっており 企業の環境問題への取り組みが注目されてきています そのため 企業においては環境への対策が課題となっています IT においても例外ではなく 消費電力を抑えて CO2 の削減や電力資源の有効活用に繋げることが重要となっています この流れを汲み 最新の OS/ ハードウェアには 消費電力削減を考慮した機能が組み込まれています その中で Microsoft Windows Server 2008 R2 には マルチコアプロセッサ環境における消費電力を削減するための機能が組み込まれています また 富士通 PC サーバ PRIMERGY に標準搭載されているリモートマネジメントコントローラには サーバの消費電力を削減するための機能が組み込まれています 本書では PC サーバの導入を検討されているお客様を対象に Microsoft Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能の組み合わせによる消費電力削減効果について 検証結果を交えてご紹介します 免責事項 著作権 商標権 その他の知的財産権について本資料は 著作権 商標権 その他の知的財産権で保護されています 個人的に使用する範囲で本書をプリントアウトまたはダウンロードできます ただし これ以外の利用 ( 資料の改変 ご自分のページへの再利用や他のサーバへのアップロード等 ) については 当社または権利者の許諾が必要となります 保証の制限本資料について 当社は その正確性 商品性 ご利用目的への適合性等に関して保証するものではなく そのご利用により生じた損害について 当社は法律上のいかなる責任も負いかねます 本書は 予告なく変更 廃止されることがあります 注意事項本書に記載されている数値は 検証用に構築した環境において計測した数値です お客様環境で保証されるものではありませんのでご注意ください - 4 -

略称について 本書では 以下の略称を使用することがあります 製品名称 Microsoft Windows Server 2008 R2 Enterprise Microsoft Windows Server 2003 R2, Enterprise x64 Edition Microsoft Windows Server 2003 x64 Service Pack 2 略称 Windows Server 2008 R2 Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 (Windows Server 2003 R2 に適用できるサービスパックの名称です ) Microsoft SQL Server 2005 Enterprise x64 Edition SQL Server 2005 Microsoft SQL Server 2005 x64 Service Pack 3 Service Pack 3 (SQL Server 2005 に適用できるサービスパックの名称です ) ServerView Operations Manager リモートマネジメントコントローラ SVOM irmc S2 商標登記について Microsoft, Windows Server, SQL Server は Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です 記載されている会社名 製品名等の固有名詞は 各社の商号 登録商標または商標です その他 本資料に記載されている会社名 システム名 製品名等には必ずしも商標表示を付記しておりません - 5 -

1. Windows Server 2008 R2 の電力制御機能 本章では 消費電力を削減するために Microsoft Windows Server 2008 R2 で新たに組み込まれている電力制御の機能と その制御方法を説明します 1.1 機能概要 1.1.1 コアパーキング機能コアパーキング機能は プロセッサのコアにかかる負荷が少ない時に 処理をできるだけ少ない数のコアに集約し 使用していないコアを保留 ( 一時停止 ) 状態にする機能です これまでの OS では 処理の量にかかわらず プロセッサに含まれるすべてのコアに処理が割り当てられていました しかし Microsoft Windows Server 2008 R2 では コアが保留状態になり そのコアへの電力供給が抑えられることで 消費電力を削減することができます また プロセスが増え コアが多くの処理を行わなければならなくなった時には OS が自動的にコアの保留を解除して 処理能力を一気に高めることができます デュアルコアプロセッサ デュアルコアプロセッサ アクティブ アクティブ アクティブ 一時停止 低負荷時は 一方のコアに処理を集約 コア 0 コア 1 コア 0 コア 1 従来コアパーキング図 1-1 コアパーキング機能動作イメージ図 1-1 は コアパーキング機能動作イメージを 各コアの使用率のイメージで表したものです 左側は マルチコアを最大限使用するという従来の動作の様子です 2 つのコアにかかっている負荷がどちらも低い状態ですが 2 つのコアがどちらもアクティブになっています 右側は コアパーキング機能が動作している状態です このように 低負荷な 2 つの処理を 1 つのコアでまとめて行うことで もう一方のコアを一時停止させ コア 1 つ分の消費電力を削減することができます なお 本機能は インテルの Xeon 5500 番台のプロセッサに組み込まれている インテリジェントパワーテクノロジー ( コア単位で電力供給や動作クロック周波数を制御する機能 ) を活用しています そのため Xeon 5500 番台のプロセッサが搭載されているサーバにおいて 動作する機能となります - 6 -

1.1.2 P ステート調整機能 P ステートとは プロセッサのパフォーマンス状態 ( 動作クロック周波数や電圧 ) を ACPI (Advanced Configuration and Power Interface) によって規定されている レベルで表したものです プロセッサごとに 最大の周波数がレベル 0 最小の周波数がレベル n ( 1) として定義されています この P ステートを OS が自動的に調整することで コアごとに異なる周波数で動作させ 消費電力を削減することができます デュアルコアプロセッサ ( プロセッサの最大周波数 1.86GHz) 低負荷 P ステートレベル 2 で動作 高負荷 1 2 3の中で最も P ステートレベル 0 で動作 P ステート 周波数 (GH z) P ステート 周波数 (GHz) 0 1.862 0 1.862 1 1.733 1 1.733 2 1.596 2 1.596 コア 0 コア 1 図 1-2 P ステート調整機能動作イメージ 図 1-2 は P ステート調整機能動作イメージを 各コアの使用率のイメージと使用している周波数で表したものです 左側は 低負荷で高速な処理が必要ないため 低い周波数で動作しています 右側は 高負荷がかかっており高速に処理する必要があるため 高い周波数で動作しています このように OS がコアごとの使用率から自動的に判断して 周波数を変えることができます そして 必要のない高い周波数での動作を抑えることで 消費電力を削減することができます なお 本機能がコアごとに異なる周波数で動作するためには インテルの Xeon 5500 番台のプロセッサに組み込まれている インテリジェントパワーテクノロジーを活用しています そのため Xeon 5500 番台のプロセッサが搭載されているサーバにおいて 動作する機能となります Xeon 5500 番台のプロセッサが搭載されていないサーバの場合 すべてのコアで同じ動作クロック周波数の調整が行われることになります ( 1)n はプロセッサの最大周波数によって変動します - 7 -

1.2 設定方法コアパーキング機能と P ステート調整機能は 以下の 2 通りの方法で設定できます コントロールパネルの 電源オプション による設定 ( グループポリシーの 電源オプション からも同様の設定ができます ) コマンドラインの Powercfg コマンドによる設定 また Microsoft Windows Server 2008 R2 の電源設定の構成は 図 1-3 のようになっています バランス 省電力 高パフォーマンス 電源プラン Etc. プロセッサの電源管理 ハードディスク 最大のプロセッサの状態 : 100% 最小のプロセッサの状態 : 5% プロセッサパフォーマンスコア保留の最大コア数 : 100% プロセッサパフォーマンスコア保留の最小コア数 : 10% プロセッサパフォーマンスコア保留の増加しきい値 : 30% プロセッサパフォーマンスコア保留の減少しきい値 : 10% Etc. ディスプレイ サブグループ パラメータ 詳細な値は コマンドラインからのみ設定できる 図 1-3 電源設定の構成 - 8 -

1.2.1 コントロールパネルの 電源オプション による設定既存の電源設定のプランとして バランス 省電力 高パフォーマンス の 3 つのプランがあります これらのプランは あらかじめパラメータ値が設定されており 省電力 は消費電力を抑えることを重視した動作 高パフォーマンス はパフォーマンスを重視した動作 バランス は消費電力とパフォーマンスのバランスをとる動的な動作をすることになります なお バランス のパラメータ値は 全ての電力制御機能が動作するように設定されていますが 省電力 または 高パフォーマンス のパラメータ値は コアで使用される周波数を固定し P ステート調整機能が動作しないように設定されています 図 1-4 のように コントロールパネルからは 電源プランの選択 作成 一部のパラメータ値の設定変更を行うことができます 図 1-4 コントロールパネルの 電源オプション - 9 -

1.2.2 コマンドラインの Powercfg コマンドによる設定 Powercfg コマンドによる設定では 電源プラン サブグループ パラメータに対応する GUID を使用することで 電源プランの選択 作成 すべてのパラメータ値の設定変更を行うことができます コマンドのオプションの一部を以下にご紹介します 表 1-1 Powercfg コマンドオプション オプション 使用例 説明 -LIST Powercfg LIST 存在する電源プランの一覧と それぞれに対応する GUID を表示する -SETACTIVE Powercfg SETACTIVE < 電源プランの GUID> 指定された電源プランをシステム上でアクティブにする -QH Powercfg QH 現在アクティブになっている電源プラン のサブグループ パラメータと それぞれに対応する GUID を表示する Powercfg QH < 電源プランの GUID> < サブグループの GUID > 指定された電源プランのサブグループのパラメータと それぞれに対応する GUID を表示する SETACVALUEINDEX Powercfg SETACVALUEINDEX < 電源プランの GUID> 指定されたパラメータを 新しい値に変更する < サブグループの GUID> < パラメータ名の GUID> < 新しいパラメータ値 > -HELP Powercfg -HELP Powercfg コマンドの使い方を表示する - 10 -

2. PRIMERGY の電力制御機能 本章では 消費電力を削減するために PRIMERGY に組み込まれている電力制御の機能と その制御方法を説明します 2.1 機能概要 PRIMERGY に標準搭載されている irmc S2 ( 2) を使用することで PRIMERGY の消費電力制御を行うことができます irmc S2 は サーバのリモート監視 管理のためのハードウェアモジュールであり PRIMERGY の消費電力制御機能を持っています また irmc S2 の Web インターフェースを使用することで irmc S2 の消費電力制御を設定することができます irmc S2 の Web インターフェースで 消費電力を制御するために設定可能な項目は 無効 省電力 性能優先 スケジュール です この設定により irmc S2 が自動でプロセッサの動作制御を行います 省電力 は消費電力を最も抑える動作 性能優先 は消費電力にかかわらず性能が最大となる動作を行い 無効 は消費電力に対する特別な動作は行いません また スケジュール を選択すると 曜日 / 時間単位で 無効 省電力 性能優先 の動作を切り替えるスケジューリングを行うことができます 2.2 設定方法 irmc S2 での消費電力制御は 図 2-1 のように irmc S2 の Web インターフェースの 電力制御オプション を設定することで 行うことができます 無効 性能優先動作 省電力 スケジュール の中から選択する 図 2-1 irmc S2 の Web インターフェース ( 2) 一部搭載していないモデルがあります そのモデルでは ここで紹介している電力制御機能は使用できません - 11 -

3. Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能検証 本章では Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能の組み合わせによる消費電力削減効果を評価するために 実機を使用して行った検証について説明します 3.1 検証概要 OS やサーバの電力制御機能を使用することにより 消費電力に差は出るのか 消費電力削減効果はあるのかといった疑問の答えは 実際に消費電力を計測することで明らかになります そこで 表 3-1 の 3 つの検証パターンを準備し 実際に プロセッサに負荷をかけている状態での消費電力を計測しました そして 計測結果から 消費電力削減効果について評価しました なお 今回の検証では タワー型 / ラックマウント型サーバの主力モデルである PRIMERGY TX200 S5 と RX300 S5 を使用しました 表 3-1 検証パターン 検証パターン名 使用 OS PRIMERGY の電力制御機能 WS2003 R2 SP2 Windows Server 2003 R2 ( 3) Service Pack 2 irmc S2 の電力制御を 無効 に設定 WS2008 R2 Windows Server 2008 R2 irmc S2 の電力制御を 無効 に設定 WS2008 R2 + irmc S2 Windows Server 2008 R2 irmc S2 の電力制御を 省電力 に設定 ( 3)Windows Server 2008 R2 の電力制御機能による効果を検証するために 比較対象 OS として Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 を使用しました - 12 -

3.2 検証環境消費電力計測を行うにあたり使用したハードウェア ソフトウェア環境は 以下の通りです irmc S2 用 HUB 管理用クライアント PC PRIMERGY TX200 S5 ( 4) 図 3-1 ハードウェア環境 表 3-2 モデル別サーバ基本スペック 項目 PRIMERGY TX200 S5 PRIMERGY RX300 S5 CPU Xeon 5502(1.86GHz/2 コア /4MB) 2CPU Xeon 5540(2.53GHz/4 コア /8MB) 2CPU メモリ 1GB(U-DIMM) 2GB(U-DIMM) ハードディスク 160GB(SATA 7,200rpm) 147GB(SAS 10,000rpm) 監視 管理 irmc S2 irmc S2 OS Windows Server 2008 R2 Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 Windows Server 2008 R2 Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 表 3-3 使用ソフトウェア ハードウェア 項目 構成 サーバ サーバ監視 ServerView Windows エージェント V4.81.06 データベース SQL Server 2005 Service Pack 3 管理用クライアント サーバ管理 ServerView Operations Manager V4.81.05.02 ( 5) 負荷ツール DBLoader V2.1.1.1 ( 6) ( 4)PRIMERGY RX300 S5 においても 同様の環境を使用しました ( 5)SVOM は PRIMERGY に標準添付されているサーバ管理ツールです 検証では サーバの消費電力を計測するために SVOM のパワーモニタを使用しました ( 6)DBLoaderは データベースシステムの性能を測定するために富士通で開発したデータベース用ベンチマークです ( 富士通非公開 ) データベースに対してSQL 文を送信し 指定した時間のトランザクション数を計測します なお 本ベンチマークは富士通独自のベンチマークのため 測定結果は 他社製品と比較することはできません - 13 -

3.3 検証内容本検証では 3 つの検証パターンを準備しました そして 各検証パターンにおいて DBLoader の同時接続数を増加させ その時の消費電力を計測しました 計測は 同時接続数ごとに 3 回ずつ行い 検証結果にはその平均値を用いました 図 3-2 図 3-3 は 検証時に PRIMERGY TX200 S5 RX300 S5 に対して設定した内容をそれぞれ表しています Windows Server 2008 R2 の電源プランに 省電力 または 高パフォーマンス を選択すると コアで使用される周波数を固定し P ステート調整機能が動作しなくなります そこで 今回の検証では Windows Server 2008 R2 の電力制御機能をすべて動作させたときの消費電力削減効果を計測するために バランス を選択しました PRIMERGY TX200 S5 サーバ :PRIMERGY TX200 S5 DBLoader 同時接続数 1, 2, 3,, 10 クライアント PC 検証パターン検証パターン名 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 WS2008 R2 + irmc S2 データベース < サーバ > OS の電力制御設定 Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 Adaptive Windows Server 2008 R2 バランス Windows Server 2008 R2 バランス ( 7) < クライアント PC> PRIMERGY の電力制御設定 irmc S2 の電力制御を 無効 に設定 irmc S2 の電力制御を 無効 に設定 irmc S2 の電力制御を 省電力 に設定 計測ツール SVOM パワーモニタ ( 消費電力 ) DBLoader( トランザクション数 ( 8) ) 図 3-2 PRIMERGY TX200 S5 検証時設定内容 - 14 -

PRIMERGY RX300 S5 サーバ :PRIMERGY RX300 S5 DBLoader 同時接続数 4, 8, 12,, 40 クライアント PC 検証パターン検証パターン名 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 WS2008 R2 + irmc S2 データベース < サーバ > OS の電力制御設定 Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 Adaptive Windows Server 2008 R2 バランス Windows Server 2008 R2 バランス ( 7) < クライアント PC> PRIMERGY の電力制御設定 irmc S2 の電力制御を 無効 に設定 irmc S2 の電力制御を 無効 に設定 irmc S2 の電力制御を 省電力 に設定 計測ツール SVOM パワーモニタ ( 消費電力 ) DBLoader( トランザクション数 ( 8) ) 図 3-3 PRIMERGY RX300 S5 検証時設定内容 - 15 -

( 7) 図 3-4 のように Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 の電源設定は Windows Server 2008 R2 と異なります Windows Server 2003 R2 Service Pack 2 では バランス に相当する Adaptive に設定し 検証を行いました 自宅または会社のデス自宅または会社のデス自宅または会社のデスク 電源プラン Etc. プロセッサ調整 モニタの電源を切る システムスタンバイ サブグループ (= パラメータ ) : 以下から選択 Adaptive ( 動的 ) Constant ( 最小パフォーマンス ) Degrade ( 最小パフォーマンス ( バッテリ用 )) None ( 最大パフォーマンス ) 図 3-4 電源設定の構成 (Windows Server 2003 R2 Service Pack 2) ( 8) 各検証パターンでの消費電力を比較する際 基準としてスループット (1 秒あたりのトランザク ション数 ) を使用するために トランザクション数を計測しました - 16 -

3.4 検証結果 3.4.1 PRIMERGY TX200 S5 検証結果 以下に PRMIERGY TX200 S5 の検証結果を示します 1 Widows Server 2008 R2 の電力制御制御機能による消費電力削減効果 消費電力 [W] 150 120 90 60 平均約 9.3% 最大約 13.8% の消費電力削減 スループットあたりの消費電力を比較すると ( 図 3-5) WS2003 R2 SP2 より WS2008 R2 のほうが 全体的に低くなりました ( 平均約 9.3% 最大約 13.8% の消費電力削減効果 ) これより Windows Server 2008 R2 の電力制御機能を使用することで 消費電力を削減できる という結果になりました 30 0 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 0 1 2 3 4 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-5 スループットと消費電力 (TX200 S5 1) 2 PRIMERGY の電力制御機能による消費電力削減効果 消費電力 [W] 150 120 90 60 平均約 9.0% 最大約 11.3% の消費電力削減 スループットあたりの消費電力を比較すると ( 図 3-6) WS2008 R2 より WS2008 R2 + irmc S2 のほうが 全体的に低くなりました ( 平均約 9.0% 最大約 11.3% の消費電力削減効果 ) これより PRIMERGY の電力制御機能を使用することで 消費電力を削減できる という結果になりました 30 WS2008 R2 WS2008 R2 + irmc S2 0 0 1 2 3 4 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-6 スループットと消費電力 (TX200 S5 2) - 17 -

3 Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能の組み合わせによる消費電力削減 効果 消費電力 [W] 150 120 90 60 30 平均約 17.4% 最大約 23.5% の消費電力削減 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 + irmc S2 0 0 1 2 3 4 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-7 スループットと消費電力 (TX200 S5 3) スループットあたりの消費電力を比較すると ( 図 3-7) WS2003 R2 SP2 より WS2008 R2 + irmc S2 のほうが 全体的に低くなりました ( 平均約 17.4% 最大約 23.5% の消費電力削減効果 ) これより Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能を組み合わせて使用することで 消費電力を削減できる という結果になりました < まとめ > 消費電力 [W] 150 120 90 60 1 2 3の検証結果から ( 図 3-8) Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能を組み合わせて使用することで 最大の消費電力削減効果が得られることが分かりました 30 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 WS2008 R2 + irmc S2 0 0 1 2 3 4 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-8 スループットと消費電力 (TX200 S5) - 18 -

3.4.2 PRIMERGY RX300 S5 検証結果 以下に PRMIERGY RX300 S5 の検証結果を示します 1 Widows Server 2008 R2 の電力制御機能による消費電力削減効果 消費電力 [W] 250 220 190 160 130 平均約 5.4% 最大約 5.9% の消費電力削減 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 100 0 2 4 6 8 10 12 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-9 スループットと消費電力 (RX300 S5 1) スループットあたりの消費電力を比較すると ( 図 3-9) WS2003 R2 SP2 より WS2008 R2 のほうが 全体的に低くなりました ( 平均約 5.4% 最大約 5.9% の消費電力削減効果 ) これより Windows Server 2008 R2 の電力制御機能を使用することで 消費電力を削減できる という結果になりました 2 PRIMERGY の電力制御機能による消費電力削減効果 消費電力 [W] 250 220 190 160 130 平均約 7.9% 最大約 8.3% の消費電力削減 WS2008 R2 WS2008 R2 + irmc S2 100 0 2 4 6 8 10 12 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-10 スループットと消費電力 (RX300 S5 2) スループットあたりの消費電力を比較すると ( 図 3-10) WS2008 R2 より WS2008 R2 + irmc S2 のほうが 全体的に低くなりました ( 平均約 7.9% 最大約 8.3% の消費電力削減効果 ) これより PRIMERGY の電力制御機能を使用することで 消費電力を削減できる という結果になりました - 19 -

3 Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能の組み合わせによる消費電力削減 効果 消費電力 [W] 250 220 190 160 130 平均約 12.9% 最大約 13.4% の消費電力削減 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 + irmc S2 100 0 2 4 6 8 10 12 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-11 スループットと消費電力 (RX300 S5 3) スループットあたりの消費電力を比較すると ( 図 3-11) WS2003 R2 SP2 より WS2008 R2 + irmc S2 のほうが 全体的に低くなりました ( 平均約 12.9% 最大約 13.4% の消費電力削減効果 ) これより Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能を組み合わせて使用することで 消費電力を削減できる という結果になりました < まとめ > 消費電力 [W] 250 220 190 160 1 2 3の検証結果から ( 図 3-12) Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能を組み合わせて使用することで 最大の消費電力削減効果が得られることが分かりました 130 100 WS2003 R2 SP2 WS2008 R2 WS2008 R2 + irmc S2 0 2 4 6 8 10 12 スループット [ トランザクション数 /sec] 図 3-12 スループットと消費電力 (RX300 S5) - 20 -

3.5 まとめ OS 比較を行った結果から Windows Server 2008 R2 の電力制御機能が消費電力削減効果を得るのに有効な機能であることが分かりました また 同じ OS で PRIMERGY の電力制御機能を使用しなかった場合と使用した場合の比較を行った結果から PRIMERGY の電力制御機能が消費電力削減効果を得るのに有効な機能であることが分かりました さらに Windows Server 2008 R2 と PRIMERGY の電力制御機能を組み合わせて使用することで より大きな消費電力削減効果が得られることも分かりました 今回の検証では PRIMERGY のモデルに関わらず これらの削減効果が得られました 以上の結果から 下記の構成を 消費電力削減に効果的な組み合わせとして推奨します OS に Windows Server 2008 R2 サーバに PRIMERGY を使用した 構成 - 21 -

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