九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 地震火山観測研究センター年報 : 2009 年度版 九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター Institute of Seismology and Volcanology,

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地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

この資料は速報値であり 後日の調査で変更されることがあります 時間帯 最大震度別回数 震度 1 以上を観測した回数 弱 5 強 6 弱 6 強 7 回数 累計 4/14 21 時 -24 時 /15 00 時 -24 時 30

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京都盆地の地下水

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* ** Casualties by the 3 June 1991 pyroclastic flow at Unzen volcano Shinichi SUGIMOTO * and Daisuke NAGAI ** Abstract The eruption of Unzen

Memoirs Dep. of Health Scis. Sch. of Med Kyushu Univ., 2006, vol.7, Kyoko WatanabeHarumi ShinkodaEtsuko Kitahara Key Words

ISSN X 山梨衛公研年報 第53号 2009 山梨の名水百選における水質調査について 辻 敬太郎 佐々木 裕也 小林 浩 清水 源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best 100 of

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平成 28 年 4 月 16 日 01 時 25 分頃の熊本県熊本地方の地震 震度分布図 各地域の震度分布 : 震央 各観測点の震度分布図 ( 震央近傍を拡大 )

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火山ガスの状況 ( 図 8-5 図 9-4) 10 月 2 日 9 日 17 日 18 日 23 日に実施した現地調査では 火山ガス ( 二酸化硫黄 ) の 1 日あ たりの放出量は 500~1,700 トン (9 月 :90~1,400 トン ) と 概ねやや多い状態で経過しました 地殻変動の状況

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i ( 23 ) ) SPP Science Partnership Project ( (1) (2) 2010 SSH

火山ガスの状況( 図 8-5 図 9-4) 12 日 18 日 25 日 27 日に実施した現地調査では 火山ガス ( 二酸化硫黄 ) の1 日あたりの放出量は 900~1,600 トン (11 月 :700~1,800 トン ) と 増減を繰り返しながら概ねやや多い状態で経過しました 地殻変動の状

富士山南麓の地下水水質と流動 ( 藤川 ) 研究ノート 富士山南麓の地下水水質と流動 Groundwater Quality and Flow at the Southern Foot of Mt.Fuji 榑林直紀 1 小長谷裕紀 2 藤川格司 KUREBAYASHI Naoki, KONAGAY


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草 津 白 根 山

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地下水の水質及び水位地下水の水質及び水位について 工事の実施による影響 ( 工事の実施に伴う地下水位の変化 地下水位流動方向に対する影響 並びに土地の造成工事による降雨時の濁水の影響及びコンクリート打設工事及び地盤改良によるアルカリ排水の影響 ) を把握するために調査を実施した また

< イオン 電離練習問題 > No. 1 次のイオンの名称を書きなさい (1) H + ( ) (2) Na + ( ) (3) K + ( ) (4) Mg 2+ ( ) (5) Cu 2+ ( ) (6) Zn 2+ ( ) (7) NH4 + ( ) (8) Cl - ( ) (9) OH -

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

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詳細な説明 2016 年 4 月 16 日に発生した熊本地震 ( マグニチュード (M) 7.3)( 図 1) は 熊本県 大分県を中心に甚大な被害をもたらしました 九州地方は 北東 - 南西方向に縦走する 別府 - 島原地溝帯 と呼ばれる顕著な地殻の裂け目によって特徴づけられます 別府 - 島原地

0.45m1.00m 1.00m 1.00m 0.33m 0.33m 0.33m 0.45m 1.00m 2


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日本海地震・津波調査プロジェクト

平成14年度仙台市地震被害想定調査報告書

 資  料 

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2011calendar

本文(横組)2/YAX334AU

0 5 15

2004 年度センター化学 ⅠB p1 第 1 問問 1 a 水素結合 X HLY X,Y= F,O,N ( ) この形をもつ分子は 5 NH 3 である 1 5 b 昇華性の物質 ドライアイス CO 2, ヨウ素 I 2, ナフタレン 2 3 c 総電子数 = ( 原子番号 ) d CH 4 :6

電子配置と価電子 P H 2He 第 4 回化学概論 3Li 4Be 5B 6C 7N 8O 9F 10Ne 周期表と元素イオン 11Na 12Mg 13Al 14Si 15P 16S 17Cl 18Ar 価電子数 陽

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S1:Chl-a 濃度 18.6μg/L S1:Chl-a 濃度 15.4μg/L B3:Chl-a 濃度 19.5μg/L B3:Chl-a 濃度 11.0μg/L B2:Chl-a 濃度実測値 33.7μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S1:Chl-a 濃度 16.6μg/

地震や微動の発生状況( 図 5-23 図 6-2~4 図 7 表 1~4) 火山性微動の振幅は 3 月にやや大きな状態となる期間もありましたが その他の月は概ね小さな状態で経過しました 火山性地震は 1 月から2 月にかけてやや少ない状態で経過しましたが 3 月以降は概ね多い状態で経過しました 火山

ガス観測の状況( 図 3-36) 2 日に実施した現地調査では 二酸化硫黄は検出されませんでした ( 最後に検出されたのは 2012 年 9 月 26 日の1 日あたり 10 トン ) 図 1 ( 新燃岳 ) 噴煙の状況 (10 月 18 日 韓国岳遠望カメラによる ) :2015 年 10 月の震

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平成 29 年度 一般廃棄物最終処分場の維持管理記録 施設の名称 : 弘前市埋立処分場第 2 次 ( 第 1 区画 第 2 区画 ) 施設の位置 : 弘前市大字十腰内字猿沢 埋立廃棄物の種類及び数量 ( 単位 :kg) 区分 種類 平成 29 年平成 30 年 4 月 5 月 6 月

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火山活動解説資料平成 31 年 4 月 19 日 19 時 40 分発表 阿蘇山の火山活動解説資料 福岡管区気象台地域火山監視 警報センター < 噴火警戒レベル2( 火口周辺規制 ) が継続 > 中岳第一火口では 16 日にごく小規模な噴火が発生しました その後 本日 (19 日 )08 時 24

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地震や微動の発生状況( 図 8-2~4 図 9-23 図 10~11 表 1~4) 火山性地震は 3 月から5 月にかけて一時的に減少した期間もありましたが 概ね多い状態で経過しました 火山性地震の震源は 主に中岳第一火口付近のごく浅い所から深さ0km に分布しました 孤立型微動は 3 月以降増加し

図 年 [ 高度利用者向け ] 半月ごとの緊急地震速報発報回数 東北地方太平洋沖地震からほぼ単調に減少していた緊急地震速報の発報回数は 2015 年のほぼ安定した発報回数分布が 2016 年は急増しました 熊本地震直後では半月で最大 158 回 福島県沖の地震の後には 98 回となり

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35.25 MO47 SE22 MO35 SE14 SE16 MO46 SE12 SE13 MY17 MY115 MY63 MY87 MY67 MY117 MY94 MY99 ON97 ON128 MY121 ON122 ON92 ON129 ON134 MO27 YM18 OD4 YM87 ON1


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ADVNET2017-(06) 『臨時地震観測へのIoT キャラバンシステム適用の検討』

温泉の化学 1

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第3章 焼却灰溶融システムの現状、焼却灰溶融スラグのリサイクルの動向・問題点



平成27年度 前期日程 化学 解答例

紀伊半島~四国の歪・傾斜・地下水観測結果(2012年5月~2012年10月)

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九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 地震火山観測研究センター年報 : 2009 年度版 九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター Institute of Seismology and Volcanology, Faculty of Sciences, Kyushu University https://doi.org/10.15017/18908 出版情報 : 九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター年報. 2009, 2011-01. 九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センターバージョン :published 権利関係 :

大分県西部の地震活動について 平 成 21 年 10 月 8 日 開 催 地 震 調 査 委 員 会 資 料 九州大学地震火山観測研究センター 2009 年 6 月 25 日 23 時 03 頃 大分県西部の日田市を震央とする M4.7 の地震が深さ 11km 付近で発生し 日田市などで震度4を観測した また 8 月 31 日にはこの地震の東側で M4.1 の地震が発生した 九州大学地震火山観測研究センターではこれら一連の地震活動を詳細 に調べるために 6 月 26 日より震央域周辺に臨時観測点を5カ所設置し このうちデータの 取得出来た3カ所のデータも用いて解析を行った 図1 臨時点の含まれている解析期間 は 6 月 26 日から 7 月 28 日である 6 月 25 日から 10 月 7 日までの地震について 手動検測で読み取り観測点数が 10 以上の 地震 439 個を用いて JHD 法により一次元地震波速度構造を求めた その構造を用いて DD 法により求めた震源分布と 初動極性より求めた主な地震の発震機構解を図2に 時空間 分布を図3に示す およそ N70 80 E 4 5km の広がり の走向で南東方向に傾斜した 面に集中して発生している M3.5 以上の地震の発震機構解については 震源分布の西側で 正断層型 東側で横ずれ断層型の解が求まっている 図1 大分県西部周辺の観測点配置図 赤三角が今回使用した臨時観測点 3カ所 黒三角は九州大学のテレメータ観測点 +印は他機関の観測点 - 70 -

DD 2009 6 25 10 7

2009 6 28 (M4.4) 21 7 9 2009 6 28 09 35 M4.4Mj4.0 10km 6 28 7 3 10 57 JHD DD M3.0 2km 6/28 10:14 6/28 6/30 7/1 VSAT OMIQ 1DD 2009 6 28 7 3

図3 長崎県大村湾周辺の観測点配置図 赤三角が今回設置した観測点 黒三角は九 州大学のテレメータ観測点 +印は他機関の観測点 - 73 -

32 50 32 40 130 10 130 20 10 0-10 -20-30 NS EW Tilt (microradian) Tilt (microradian) 5 0-5 -10-15 -20-25 N down -30 1992 1997 2002 2007 E down N down Monthly Rain(mm) at UWS,JMA E down 1000 500 25 20 15 10 5 0-5 -10-15 NS EW E down N down -20 Tilt (microradian) Tilt (microradian) 15 10 5 0-5 -10-15 NS EW E down N down

-300-304 -308-312 -316-320 1992 1997 2002 2007 47000 proton1 46750 proton1 (nt) 3 46900 46800 46700 proton2 46650 46550 46450 proton2 (nt) 2 1 0 P2 - P1*1.01-0.80*yr + 857 46600 1992 1997 2002 2007 46350-1 1992 1997 2002 2007

カルデラ縁 C 点 ( 透明 ) F 点 ( 透明 ) スパイン D 点 ( 透明 ) 崩落堆積物 N 破砕された溶岩からなる台地 霧氷沢 11 A 点 ( 透明 ) 古い溶岩の残骸 E 点 ( 高温 透明刺激臭 ) G 点 ( 透明 ) 0 100 200m 島の峰 溶岩ドームの主な噴気分布 ( 中田節也 (5/19/95) の図に加筆 ) Temperature

第 115 回火山噴火予知連絡会 九州大学地震火山観測研究センター * 雲仙火山における地下水観測 地下水位 (cm) 地下水位 (SHV 観測井 ) 月平均水位 800.0 700.0 600.0 500.0 400.0 300.0 200.0 100.0 ( 基準面は標高 17.4m) 0.0 1986 年 1988 年 1990 年 1992 年 1994 年 1996 年 1998 年 2000 年 2002 年 2004 年 2006 年 2008 年 2010 年 30.000 水温 (SHV 観測井 ) 月平均水温 29.800 水温 ( ) 29.600 29.400 29.200 29.000 1986 年 1988 年 1990 年 1992 年 1994 年 1996 年 1998 年 2000 年 2002 年 2004 年 2006 年 2008 年 2010 年 雨量 (mm) 1000.0 900.0 800.0 700.0 600.0 500.0 400.0 300.0 200.0 100.0 月間総雨量 (SEVO) 月間総雨量 0.0 1986 年 1988 年 1990 年 1992 年 1994 年 1996 年 1998 年 2000 年 2002 年 2004 年 2006 年 2008 年 2010 年 地震火山観測研究センター 島原観測所温泉観測井 (SHV 観測井 ) における月平均水位 月平均水温 月間総雨量の観測結果 (2005 年 5 月以降の月間総雨量は気象庁アメダス島原を使用 ) 地震火山観測研究センター 島原観測所温泉観測井 (SHV 観測井 ) は, 構内の標高 47.9m の場所に設置された深さ 365m の坑井である. 全長にわたり, ケーシングパイプが挿入されており,255~355m 間にはストレーナーが配置されている. 水圧式水位計を地表から 30.5m, 水晶温度計を 329m の深さに設置している. 被圧地下水であり, 泉質はアルカリ土類金属 (Mg Ca) を含むナトリウム - 炭酸水素塩泉である. 当観測井の地下水位は, 時差 2 ヶ月 半減期 12 ヶ月の実効雨量 ( 雲仙岳 ) と正の相関が強いことがわかっている ( 回帰期間 :1998 年 1 月 ~1999 年 12 月 ). 水温は,1988 年 10 月 ~1991 年 8 月の期間は, やや高い値を示している. その後は, 微細変動が観測されるだけで, ほぼ安定している. * 福井理作 清水洋 太田一也 雲仙岳

第 115 回火山噴火予知連絡会九州大学地震火山観測研究センター * SHV 観測井 水温 ( ) 雲仙火山における温泉観測 SHV 観測井水温の推移水温 ( ) 29.0 28.0 27.0 26.0 25.0 24.0 2003/7 2004/1 2004/7 2005/1 2005/7 2006/1 2006/7 2007/1 2007/7 2008/1 2008/7 2009/1 2009/7 2010/1 ph SHV 観測井 phの推移 ph 7.4 7.2 7.0 6.8 6.6 2003/7 2004/1 2004/7 2005/1 2005/7 2006/1 2006/7 2007/1 2007/7 2008/1 2008/7 2009/1 2009/7 2010/1 電気伝導率 (ms/m) SHV 観測井電気伝導率の推移電気伝導率 (ms/m) 110 105 100 95 2003/7 2004/1 2004/7 2005/1 2005/7 2006/1 2006/7 2007/1 2007/7 2008/1 2008/7 2009/1 2009/7 2010/1 陽イオン (mg/l) 陰イオン (mg/l) SHV 観測井 陽イオン濃度の推移 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 2003/7 2004/1 2004/7 2005/1 2005/7 2006/1 2006/7 2007/1 2007/7 2008/1 2008/7 2009/1 2009/7 2010/1 SHV 観測井 陰イオン濃度の推移 700 600 500 400 300 200 100 0 2003/7 2004/1 2004/7 2005/1 2005/7 2006/1 2006/7 2007/1 2007/7 2008/1 2008/7 2009/1 2009/7 2010/1 Na + K + Ca 2+ Mg 2+ - HCO 3 Cl - SO 4 2- CO 2 /Re 0.14 0.12 0.10 0.08 0.06 SHV 観測井 CO 2 /Re( 蒸発残留物 ) 濃度比の推移 CO 2 /R e 0.04 2003/7 2004/1 2004/7 2005/1 2005/7 2006/1 2006/7 2007/1 2007/7 2008/1 2008/7 2009/1 2009/7 2010/1 地震火山観測研究センター 島原観測所温泉観測井 (SHV 観測井 ) の水温 ph 電気伝導率 主要化学成分濃度 CO 2 /Re( 蒸発残留物 ) 濃度比の推移 2003 年 9 月の観測再開以降, 火山活動に起因すると思われる顕著な変動はない. * 福井理作 清水洋 太田一也 雲仙岳