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製品紹介 ブルドーザ D155AX-8/AXi-8 製品紹介 Introduction of Bulldozers D155AX-8/AXi-8 中上博司 Hiroshi Nakagami 尾嵜平 Taira Ozaki 久禮一樹 Kazuki Kure 環境, 安全, ICT をコンセプトに開発した高性能ブルドーザ D155AX-6 および D155AX-7 のダントツの燃費効率を継承すると同時に, 排出ガス 4 次規制に適合した, 環境に優しく最大限のユーザ利益を確保する新型ブルドーザ D155AX-8/AXi-8 を開発, 市場導入した. その主な特徴を紹介する. The new bulldozers, D155AX-8/AXi-8, inheritor of the excellent fuel consumption efficiency of high performance bulldozers, D155AX-6 and D155AX-7 developed under the concept of environment, safety and ICT, have been developed and launched to the market. D155AX-8/AXi-8 conforms to the 4th exhaust gas regulations, is environmentally-friendly and secure maximum user profits. This report introduces the main features of the new models. Key Words: ブルドーザ, 排出ガス規制, 情報化施工,intelligent Machine Controlシグマドーザ, 自動変速, ロックアップ, オートアイドルストップ, リッパオートリターン, オートピッチ 1. はじめに 現行の D155AX-7 は排出ガス 4 次規制 (EPA Tier4 Interim 他 ) に適合対応しており, 市場においてそのダントツな燃費, 生産性と耐久性, 経済性が高く評価されている. このたび日本 米国 欧州において更に厳しい排出ガス規制が施行された. そこで日本オフロード法 2014 年基準 北米 EPA Tier4Final 欧州 EU StageⅣに適合した新エンジンを搭載すると共に, 現行のダントツ性能を継承した大型ブルドーザ D155AX-8( 図 1), 近年注目を集めている ICT 建機について,TOPCON 社との協業により従来のアフタマーケット品には無い機能を追加した D155AXi-8( 図 2) を開発, 市場導入したのでその特徴について紹介する. 図 1 コマツ D155AX-8 外観図 39

図 3 エンジン外観 図 2 コマツ D155AXi-8 外観図 2. 開発のねらい排気ガス 4 次規制へ対応すると共に D155AX-6/7 で確立したダントツの燃費効率を継承し, 環境に優しく最大限のユーザ利益を確保する商品の開発をコンセプトとし, 品質と信頼性 をベースに, 環境規制への対応と同時に ICT 技術の活用を図り, 商品力を大幅にアップさせた. D155AX-8/AXi-8 へ織り込まれた特徴は以下の通りである. 2.1 新規項目 1) 日米欧排出ガス4 次規制適合 (Tier4Final) エンジン搭載 2) 外観デザインの見直し 3) オートアイドルストップ機能採用 4) リッパオートリターンの採用 5) PLUSの採用 6) intelligent Machine Controlの採用 2.2 継続した主な項目 1) シグマドーザの採用 2) ロックアップ付自動変速パワーライン 3) 省エネガイダンスによる燃費低減サポート 4) 高精細 7インチLCDモニタの採用 5) KOMTRAX 情報の充実 3. 主な特徴 (1) 日欧米排出ガス4 次規制適合エンジン長年積み重ねてきた当社独自のエンジンテクノロジーを結集した新エンジン コマツ SAA6D140E-7 を搭載することで NOx( 窒素酸化物 ) と PM( 粒子状物質 ) の排出量を大幅に低減, オフロード法 2014 年規制をクリアしている. このエンジン ( 図 3) に採用している新テクノロジーを以下に紹介する. 1) 燃焼システム燃焼システムは Tier4Interim 排出ガス規制対応エンジン用として開発した最高噴射圧力 200MPa の電子制御コモンレール噴射システムと新燃焼室を継続採用し, 性能チューニングを行った. 後処理装置である尿素 Selective Catalytic Reduction システムを追加したにも関わらず, 尿素水消費量を考慮しても従来機に対して同等以下の燃料消費量 ( 軽油 + 尿素水 ) とすることが出来た. 2) 後処理装置 Tier4Interim 排出ガス規制対応エンジン用として, 排気ガス中のすすを捕捉し浄化する装置である Komatsu Diesel Particulate Filter を開発した. 図 4 Komatsu Diesel Particulate Filter Tier4Final 排出ガス規制に対応するために, 今回の開発で,Komatsu Diesel Particulate Filter に加え, エンジンから排出される NOx を 1/5 以下に低減する尿素 Selective Catalytic Reduction システムを新たに搭載する. 本システムは, 排気ガス中の NOx を無害な窒素 (N 2 ) と水 (H 2 O) に分解する装置である. 図 5 に示すとおり尿素水を排気ガス中に噴射し, 尿素水から生成するアンモニアと NOx を触媒で反応させ, 窒素と水に分解する. 40

図 5 NOx 還元の化学反応また, 図 6 に示すとおり本システムは, 大きく分けて, 排気ガス中に尿素水を噴射する尿素水供給システム, 噴射された尿素水をアンモニアに分解し排気ガス中に分散させる尿素水ミキシング配管,NOx の分解反応を促進させる触媒を内蔵した Selective Catalytic Reduction アセンブリから構成される. 働する建設機械においては, 本システムを作動させるために尿素水の解凍 保温機能が必須になる. 尿素水タンク 尿素水ポンプの各機器の接続配管用尿素水ホースには, ヒータ線が内蔵されており, 周囲の温度に対して適切な解凍 保温ができるように制御される. 2 尿素水ミキシング配管尿素水ミキシング配管では, 排気ガス中に噴射された尿素水が, 触媒に到達する前にアンモニアに分解し, 排気ガス中に均一に分散される. アンモニアを均一に分散させるために複雑な内部構造とすると, 内部構造物に尿素の析出物が生成される可能性がある. 建設機械の限られた搭載スペースの中で効率よく均一な分散ができるように, 尿素水ミキシング配管の内部構造は, 流れ解析を活用して, 最適に設計されている. 図 7 に尿素水ミキシング配管の解析例を示す. 図 7 尿素水ミキシング配管の解析例 図 6 尿素 Selective Catalytic Reduction 1 尿素水供給システム尿素水供給システムは, 尿素水タンク, 尿素水ポンプおよび, 尿素水インジェクタから構成される. 尿素水ポンプで加圧された尿素水を尿素水インジェクタから排気ガス中に噴射する. 噴射する尿素水の量が少なすぎると NOx の分解が不足し, 排出される NOx が増加する. 一方で, 尿素水の量が多すぎると排気管の内部に尿素の析出物が生成したり,NOx の分解に使われずに余ったアンモニアが排出されてしまう. 建設機械の稼働中は車両の負荷に応じてエンジン回転数や出力が常に変動するため, 排気ガス中の NOx の量も常に変化する. 尿素水供給システムは, エンジンの稼働状態と Selective Catalytic Reduction アセンブリの状態を検出し, 常に適切な量の尿素水を噴射できる制御システムを搭載している. また, 尿素水は-11 で凍結するため, 低温環境下で稼 3 Selective Catalytic Reductionアセンブリ Selective Catalytic Reduction アセンブリは, 排気ガス中の NOx を, 尿素水の分解で生成されたアンモニアと選択的に反応させ, 無害な窒素と水への分解を促進させる触媒を内蔵している. その反応過程は, 触媒内にアンモニアが吸着し, 吸着したアンモニアと排ガス中の NOx が反応する ( 図 8). このため, 触媒内に多くのアンモニアを吸着させておくことにより, より多くの NOx を分解させることができる. 搭載されるセンサ類で, 車両稼働中のアセンブリの状態を常に監視し, 触媒に吸着されているアンモニアの量が推定されて, 触媒で消費されるアンモニアの量やエンジンから流入してくる NOx の量に応じて, 必要なアンモニアを供給するための最適な尿素水噴射量を決定している. また, 反応で余ったアンモニアが排気管より大気へ排出されることを防止するために, 触媒の後流にアンモニア酸化触媒を配置している. これらの触媒は,Komatsu Diesel Particulate Filter に内蔵されている酸化触媒やスーツフィルタと同様に, セラミック製の基材上に担持され, その基材は高い耐熱性をもった特殊な繊維でできたマットで保持され, 金属製の筐体に内蔵される. このような構造は,2011 年からの市場での稼働実績のある Komatsu Diesel Particulate Filter と類 41

似構造であり, 大きな衝撃が加わる建設機械の過酷な使用環境下においても, 十分な信頼性 耐久性をもっている. 図 9 にアセンブリの内部構造を示す. 図 8 触媒の NOx 還元 図 10 外観デザイン フードデザインを図 11 に示す. 従来機に対し大きくボリュームをとったが, オペレータの前方視界は確保されている. 図 9 アセンブリの内部構造 建設機械の稼働条件では商用車 乗用車に比べて負荷頻度が高く, 排気ガス温度も高くなる傾向があり, 後処理装置での各種化学反応が促進されやすい. 今回開発した Komatsu Diesel Particulate Filter 尿素ミキシング配管 Selective Catalytic Reduction アセンブリは, 断熱構造で内部の温度低下を防止し, 高い排気ガス温度を有効に活用するとともに, 軽負荷での稼働や低温環境下での稼働による排気ガス温度の低下に対しても, 機能低下を最小限に抑制することができるなど, 建設機械への搭載のために最適に設計されている. なお, 今回開発した Komatsu Diesel Particulate Filter 尿素ミキシング配管 Selective Catalytic Reduction アセンブリは, 自社内で製造し高品質が保証されている. (2) 外観デザイン Tough & Powerful をデザインコンセプトとし, より大きく, 力強く見えるように車両全体の形状をデザイン. 特徴的なフード形状と燃料タンク形状は視界性に配慮したものとなっている. 図 11 フードデザイン燃料タンクデザインを図 12 に示す. タンク全高を高くし従来機に対し大きく張り出した形状となるが, タンク中央部に凹み構造をとることでリッパポイントの視認性を確保した. 42

ガス放出を抑制. 環境に配慮した機能となっている. アイドルストップ作動までの時間は規制のある地域には規制に沿った時間が工場出荷時に設定される. 規制の無い地域には設定可能な状態で出荷される. (4) リッパオートリターンリッパ作業時の上げ操作およびチルトバック操作をレバー操作 1 回で可能とした. これによりリッパ作業時のオペレータの負担が軽減される. 図 12 燃料タンクデザイン キャブマウントしたエアコンコンデンサのデザインを図 13 に示す. クーリングアセンブリより独立させキャブ後方上部に設置したことで目詰まりしづらくなった. なお, 冷却風は冬季の積雪を考慮し, 下側より吸込み後方に排気させることとした. 図 15 例 ) リッパオートリターン (5) PLUS これまで小型機種にて展開されてきたロータリブッシュ式足回り PLUS(Parallel Link Undercarriage System) が D155 にもオプション設定された. これによりブルドーザにおいて Repair and Maintenance コストの 20% 以上を占める履帯 スプロケットの Repair and Maintenance コストの大幅低減が可能となった. 図 13 エアコンコンデンサ 尿素水の補給口を図 14 に示す.Bag In Box タイプの尿素水でも容易に持ち運び, 補給可能となる様左フェンダ前端に補給口を設けた. 図 16 PLUS の構造 図 14 尿素水補給口 (3) オートアイドルストップ移動や作業機操作が無く, アイドル状態が継続した場合に自動的にエンジンを停止させることで不必要な排気 (6) intelligent Machine Control GNSS を利用した情報化施工市場はユーザのコストメリット ( 工期短縮, 丁張り大幅削減, 人件費削減他 ) が大きく, 飛躍的に拡大している. この度, 当社の車体制御と TOPCON 社のブレード制御を融合することで更に作業効率を高め, ユーザのコストメリット拡大を実現すべく intelligent Machine Control 仕様を開発した. 本仕様は D155AXi-8 として販売される. 43

ルーフトップアンテナ ( 図 17) の採用により不安定なアンテナポールを不要とし信頼性を向上させた. 図 17 ルーフトップアンテナ また従来のアフタマーケット品では不可能だった重負荷作業にも対応. 大型機で頻度の高い重負荷掘削作業から仕上げ整地作業まで一連の作業を自動制御にて対応可能とした ( 図 18). 仕上げ精度向上や作業時間短縮はもちろんだが, 近年顕在化してきた熟練オペレータの減少問題の解決にも寄与するものと期待できる. 図 19 Sitelink3D の画面 4. おわりに大型ブルドーザ D155AX-8/AXi-8 について, 新規の特徴を中心に紹介した. 排出ガス規制という命題をクリアしつつ同時に他の点も進化させ, お客様に納得いただける車となったと自負している. 環境, 安全, ICT の 3 点をメインテーマとし, 常に進化させるべく日々研究 開発に取り組んでおり, 今後も各種規制や市場ニーズについて迅速に対応し, お客様にとってなくてはならない機械となるよう努力していく所存である. 図 18 重掘削作業から整地まで可能 更に本仕様は TOPCON 社製施工管理システム sitelink3d( 図 19) に対応可能であり, 施工現場全体の効率向上にも寄与できる. 44

筆者紹介 Hiroshi Nakagami なか 中 がみ 上 ひろ 博 し 司 現在インドネシア総代表付 1973 年, コマツ入社. Taira Ozaki お ざき たいら平 尾嵜 1996 年, コマツ入社. 現在開発本部建機第一開発センタブルドーザ開発グループ所属 Kazuki Kure く れ かず き樹 久禮一 1998 年, コマツ入社. 現在開発本部建機第一開発センタブルドーザ開発グループ所属 筆者からひと言 社会より要求されている排ガス規制対応は勿論 それ以外の特徴も付加した魅力ある製品に仕上がりました 開発 生産のみならず 関係する全ての部門が一致団結して作り込みをしたブルドーザを世の中に送り出しますが この開発は関係各位のご協力無しには成立しないものでした 各位に感謝するとともに 厚く御礼申し上げます 45