リチウムイオンバッテリーについて 2018.06.14
電池の種類 一般社団法人電池工業会 http://www.baj.or.jp/index.html
電池の特徴比較 比較項目鉛蓄電池ニッカド電池 ニッケル水素電池 リチウムイオン電池 サイズ 重量 メモリー効果 大電流放電 * コスト 環境性 : 特に優れる : 優れる : 平均的 : 劣る : 特に劣る * 一時的に 6C が取り出せるが 継続的に流すと寿命が極端に短くなる 通常 0.2~0.5C C レート的にはリチウムの方が大きい
電池のエネルギー比較 電池の種類 公称電圧 体積エネルギー密度 重量エネルギー密度 リチウムイオン 3.7V 520Wh/L 201Wh/kg 鉛蓄電池 12V(2V x 6) 82Wh/L 40Wh/kg ニッカド 1.2V 172Wh/L 55Wh/kg ニッケル水素 1.2V 390Wh/L 100Wh/kg アルカリ乾電池 1.5V 142Wh/L 47Wh/kg
リチウムイオンバッテリーの特徴 最も小さく 最も軽い二次電池 電圧は乾電池 NiCd NiMH の単セル 1.2V に対してほぼ 3 倍の 3.7V メモリー効果がなく 継ぎ足し充電が可能 ( 鉛バッテリーも同様 ) 充放電効率が高いため 環境に良い ( 鉛バッテリー :50%~90% リチウムイオンバッテリー :80%~95%) 複数セル BMS 電解液に溶剤
リチウムイオンバッテリーの用途 身近なさまざまなものに展開
リチウムイオンバッテリーの種類 セルの形状による分類 角型 ( 鉄缶 アルミ缶 ) 円筒型 ノートパソコン電動工具アシスト自転車 ラジコン機器携帯電話携帯テレビ携帯ゲーム機ポータブル非常電源 ラミネート型金属缶の代わりにアルミラミネートフィルムサイズ容量は多種多様 アシスト自転車放送用撮影機器ロボットポータブル非常電源日産 EV 車
リチウムイオンバッテリーの種類 正負極材料による分類 セルの + 極 - 極材料によっても分類される Ex. コバルト系 ニッケル系 マンガン系 三元系 ( コバルト ニッケル マンガン ) リン酸鉄系 チタン酸系
リチウムイオンバッテリーの構成 リチウムイオン電池の特徴として複数セルの場合 電池内に BMS 回路が搭載されているものが多い セル +BMS 各セルは BMS を介してつながっており 制御されている
リチウムイオンバッテリーの構成 Ex. 鉛バッテリーの場合 各セルを直列につないであるだけ セル 鉛バッテリーの場合は BMS はない
リチウムイオンバッテリーの構成 リチウムイオン電池の特徴として複数セルの場合 電池内に BMS 回路が搭載されているものが多い セル +BMS 各セルは BMS を介してつながっており 制御されている
リチウムイオンバッテリーの構成 ラミネート型 セル +BMS 各セルは BMS を介してつながっており 制御されている BMS セル バッテリーの構成単位の一つで 単電池とも呼ばれる 一定の出力 電圧 容量を得られるように複数のセルを接続してパッケージングしたものが一般にバッテリーと呼ばれる
リチウムイオンバッテリーの構成 円筒型も同様に組電池になると BMS で制御
BMS の働き BMS : Battery Management System BMS 回路ソフトウェア = + Ex. パソコン本体 + ソフト バッテリーを高度に管理保護機能 バランシング機能
BMS の働き 保護機能 1 2 3 4 5 過充電時の充電の停止各セル電圧を監視 1 本のセルでも過充電であれば停止過放電時の放電の停止各セル電圧を監視 1 本のセルでも過放電であれば停止外部短絡等の大電流放電の停止外部短絡等により 大電流が流れ続けることを阻止温度保護による充放電の停止バッテリー内温度を監視し 適正範囲を超えると停止低電圧時の動作停止充放電にかかわらず電圧を監視 適正外で停止
BMS の働き 保護機能 停止後 停止後 非復帰 自動復帰 原因除去検知復帰 復帰信号検知復帰
BMS の働き バランシング機能 電池内部放電 ( 自己放電 ) ゼロにすることはできない 速度はセルごとに異なる セル毎の電圧のバラツキ 過放電 過充電の原因 修正を行う 完全には困難 劣化したセルはさらに困難
9A リチウムイオンバッテリーの特性 セルバランスの崩れ リチウムイオンバッテリーは安全の為 過充電や過放電にならないように 容量ギリギリまで使用しないよう設定されている セル 上限 下限 充電後 放電後
9A リチウムイオンバッテリーの特性 バッテリーパックの中にセルが 2 本使われている場合 セルの性能が全く同じなら放電する速度も同じ セル 2 本の場合
9A リチウムイオンバッテリーの特性 リチウムイオンバッテリーは 2 本のセルのどちらか一つでも下限値もしくは上限値に達したら放電もしくは充電を停止する よって B のセルの放電速度が若干速いとした場合 A は少し電力を残した状態で止まる A B A B A B ここから充電すると A は少し電気が残っているので B より先に満充電となり全体の充電が止まる これで見かけの容量が少し減ってしまうことになる
6A 9A リチウムイオンバッテリーの特性 充放電を繰り返すと A と B の差はどんどん開いてしまい 見かけの容量はどんどん下がってしまう
リチウムイオンバッテリーの特性 TDK HP より
9A リチウムイオンバッテリーの特性 BMS のバランシング機能により充電量の少ないセルに多めに充電され バランスの崩れがある程度解消される 放電速度の違いで崩れが発生した場合などには有効だが セルの劣化でそのセルの容量そのものが下がってしまっている場合は効果がない
リチウムイオンバッテリーの特性 サイクル特性 電池は充放電を繰り返せば 当然 劣化 通常サイクル数は製品では記載されるケースはまれ使用状況及び保管状態によってサイクル数はかなり影響を受ける 18650に代表される丸型円筒形 300~500サイクル (LS626N,LV9N) 携帯電話用角型 300~400サイクル マンガン系 三元系ラミネートタイプ 300~500サイクル (LS626,LV626,LV925,LV14) 燐酸鉄系 1000~2000サイクル 東芝 SCiB 3000~6000サイクル ( マイティメイド4000) ( 新品時の容量が70%~80% になった時の充放電回数 ) サイクル性能に及ぼす影響は 充電電流が大きい ( 急速充電 LV925 LV14) 放電電流が大きい 保管状態が 20 以上で高温多湿 連続使用でバッテリー温度が高い 深放電 ( 空になるまで使用する ) 上記の場合はサイクル性能に大きく影響がでる場合がある
リチウムイオンバッテリーの特性 他社サイクル特性例 P 社 HP より抜粋
リチウムイオンバッテリーの特性 P 社 HP より抜粋
リチウムイオンバッテリーの特性 サイクル特性 他のバッテリー 資料 リチウムイオンバッテリーに限らず 他のバッテリーでもサイクル寿命を明確にするのは困難 P 社 HP より抜粋 ニッケル水素充電池は JIS の規格上は数 100 回から数 1000 回の充放電くり返し寿命をうたっておりますが 実際には充電器やご使用の機器が異なる条件下では JIS の試験規格と同じ条件で何 100 回もくり返し使用することはほとんど不可能であります ダメージの二大要素 過放電放置 : 使い切った状態で充電せず長期放置すると 内部の電極に大きなダメージが加わり短寿命となります 高温さらし : 高温状態での大電流使用などでは 膨張により内部圧力が上がり液漏れを促進させ短寿命となります
リチウムイオンバッテリーの特性 リチウムイオンバッテリーの寿命例 容量 使用回数 サイクル試験例 LS626
リチウムイオンバッテリーの管理 保管 高温多湿を避ける 劣化を少しでも少なくするには 50% 充電で保管するのがベターだが そのまま放置すると自然放電して使えなくなるリスクを考えると使用後すぐに満充電し保管するのがおすすめ 火のそばは絶対さける中身は可燃性なので危険 ショートの危険性がある水 金属小片のあるところに置かない
リチウムイオンバッテリーの安全性 代表的な発火のメカニズム 1. ショートが危険 リチウムに限らず 鉛などの他バッテリー AC コンセントなど全てにおいて電極をショートさせるとバチバチと火花が飛び近くにあるものに引火する危険がある 外部ショート
リチウムイオンバッテリーの安全性 2. 内部でも起こるショート NHK 解説アーカイブス 急増! リチウムイオン電池の事故 2017 年 09 月 21 日 ( 木 ) 抜粋 プラス極とマイナス極の間は特殊な液体に浸され ショートしないよう特殊なフィルムで仕切られている フィルム : セパレータ 事故の中で最も多いのは製品自体の不良 去年 11 月 大阪で女性がベッドでモバイルバッテリーを充電中 発火する事故 調査の結果 製造の過程で電池内部に金属片が混入し 電極同士を分けていたフィルムが破れてショートし 発火したことがわかった
リチウムイオンバッテリーの安全性 3. 内部ショートの主要因 機械的な原因 電気的な原因 セル不良 (1) 機械的な原因 1 2 3 強い衝撃や圧迫 はさみなどの鋭利なものが刺さったりした場合などに電池構成部材のセパレータが破れ 正極と負極がショートしてしまう ショート部に非常に大きな電流が流れ 大きく発熱する 熱により電解液自体の分解反応 正極と電解液との反応 ショートのスパーク 燃焼反応等々 様々な発熱反応が次々と起こり 最終的に熱暴走 発火に至る
リチウムイオンバッテリーの安全性 (2) 電気的な原因 過充電は過放電よりも危険な状態となる場合が多い 1 2 BMS が故障し各々のセルバランスが崩れた場合や対応していない充電器を使用してしまった場合などに過充電となる場合がある 過充電で異常に電圧が上がると電解液が分解され 発熱によって電池温度が上昇し セパレータが縮み始める 3 電極の端の方のセパレータが無くなり 微小なショートが発生 さらに発熱が進み セパレータの縮む速度が上昇し 機械的原因の場合と同様に熱暴走 発火に至る
リチウムイオンバッテリーの安全性 (3) セル不良 異物混入 製造の過程で電池内部に金属片など異物が混入し セパレータが破れてショートし 発火に至る * 異物が充放電を繰り返すうちに成長していく場合もある もともと強度が十分でない 振動や衝撃によってセパレータが破れやすい リチウムイオン電池からの火災にご注意を _ 東京消防庁
リチウムイオンバッテリーの安全性 4. 安全性 実績のある信頼性の高いメーカー 入念なBMS 保護の設定 メーカーの信頼性試験による確認 社内での数百回の繰返し充放電 その他試験
リチウムイオンバッテリーの安全性 リチウムイオンバッテリーの膨らみ 基本的にラミネート型 経年劣化の場合 経年使用による若干の膨らみは直ちに深刻な危険性はない 不具合 異常使用の場合 一目でわかるくらいの膨らみ 急速な膨らみは危険な場合あり メーカーへ連絡
トラブルシューティング 急に動かなくなった スイッチをゆっくり入れなおす 端子のチェック バッテリーを手でさわって熱い場合は温度保護が働いている場合があるので送風で冷やしてみる 6A バッテリー用充電器に挿してみる 充電する 放置していたら動かなくなった 外観に膨れ 液漏れなどチェック あれば使用不可 端子のチェック 充電する 6A バッテリー用充電器に挿してみる
トラブルシューティング 充電できない 充電器のスイッチを入れなおす 充電器のLEDが点灯していなければ コード ヒューズをチェックする 外観の膨れ 液漏れなどチェック あれば使用不可 端子のチェック 使用後すぐの場合 バッテリーを手でさわって熱い場合は温度保護がはたらいている場合があるので送風で冷やしてみる 6Aバッテリー用充電器に挿してみる