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1 適用範囲 対象事業場 対象となる事業場は 労働基準法のうち労働時間に係る規定 ( 労働基準法第 4 章 ) が適用される 全ての事業場です 対象労働者 対象となる労働者は 労働基準法第 41 条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者 ( 事業場外労働を行う者にあっては みなし労働時間制

36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針 (労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針)

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中央教育審議会(第119回)配付資料

改正労働基準法

025 of 訪問介護員のための魅力ある就労環境づくり

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(3) 始業 終業時刻が労働者に委ねられることの明確化裁量労働制において 使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化する (4) 専門業務型裁量労働制の対象労働者への事前通知の法定化専門業務型裁量労働制の導入に当たり 事前に 対象労働者に対して 1 専

改正労働基準法

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様式 第9号

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

労働基準法の一部を改正する法律案要綱

基発 第 16 号 平成 30 年 12 月 28 日 都道府県労働局長殿 厚生労働省労働基準局長 ( 公印省略 ) 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の 労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法

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第 3 章服務規律 ( 服務 ) 第 10 条労働者は 職務上の責任を自覚し 誠実に職務を遂行するとともに 会社の 指示命令に従い 職務能率の向上及び職場秩序の維持に努めなければならない ( 遵守事項 ) 第 11 条労働者は 以下の事項を守らなければならない 1 許可なく職務以外の目的で会社の施設

★HP版調整事件解説集h28[023]

Microsoft PowerPoint 【別紙】外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検の状況(平成29年)

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< 是正勧告書の例 > 是正勧告書はあくまで勧告であり事業主の主体的な是正措置を期待するものですから 強制力は持っていません 法違反に対する行政指導上の措置であり 法的効果は生じません 改善しないことによる罰則はありません しかし 是正勧告書という行政指導文書の中に書かれていることは 罰則のある法令

労働基準法等の一部を改正する法律案要綱

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Taro-(番号入り)案文・理由

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

の業務について派遣先が九の 1 に抵触することとなる最初の日 六派遣先への通知 1 派遣元事業主は 労働者派遣をするときは 当該労働者派遣に係る派遣労働者が九の 1の ( 二 ) の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること ( 第三十五条第一項関係

この冊子を手に取っている皆さんへ

て 労働者派遣契約書に休業手当等の支払いに要する費用を確保するための費用負担等に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) ウ派遣料金額の明示派遣労働者に対して 書面の交付 ファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信の方法により労働者派遣に関する料金の額を明示していないもの (5

09資料4-3<統合版> (300216差し替え)雇用型テレワークガイドライン(案)


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事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律

2 就業規則について 労働条件は個別に労働者に説明しているため 就業規則は作成していない 常時雇用している労働者が 10 人未満の場合は除く 就業規則について 使用者が一方的に作成しており 労働者からの意見は聴いていない 就業規則を作っているものの 担当者が管理しており 労働者が自由に見られるように

二頁労働時間を延長し 又は休日に労働させることができる場合( 三 ) 対象期間における一日 一箇月及び一年のそれぞれの期間について 労働時間を延長して労働さ( 四 ) せることができる時間又は労働させることができる休日の日数労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働

役務契約における労働社会保険諸法令遵守状況確認実施方針

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株式会社フロンティアビジネス 別紙 1 1 処分内容 (1) 労働者派遣法第 21 条第 2 項に基づく労働者派遣事業停止命令 ( 労働者派遣事業停止命令の内容は 3 のとおり ) (2) 労働者派遣法第 49 条第 1 項に基づく労働者派遣事業改善命令 ( 労働者派遣事業改善命令の内容は 4 のと

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

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Press Release 参考配布 平成 30 年 10 月 5 日 照会先 職業安定局需給調整事業課課長 牛島 聡 主任中央需給調整事業指導官新田峰雄 課長補佐 冨田英晴 ( 代表電話 )03(5253)1111( 内線 ) ( 直通電話 )03(3502)5227 常時雇用す

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

平均賃金を支払わなければならない この予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮される ( 労基法 20 条 ) 3 試用期間中の労働者であっても 14 日を超えて雇用された場合は 上記 2の予告の手続きが必要である ( 労基法 21 条 ) 4 例外として 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の

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第22回規制改革会議 資料3

(案)

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平29・6・13(火) 平成29年度 神奈川県医師会 産業医部会 総会・研修会

の場合は 届出書にも労働者の代表者が署名又は記名押印し その協定書の写しを事業場に 3 年間保存しておく必要があります (3) 届出部数届出書は 2 部提出してください 受付印を押し 1 部を事業場の控分としてお返しします (4) 届出はいつまでに行うのか 36 協定は届出をもって有効になりますので

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は社員の育児 介護休業 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短 時間勤務等に関する取り扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2 条 ( 育児休業の対象者 ) 1. 育児のために休業す

労働基準関係法令に違反するおそれがある事項 労働時間 15 タイムカード等の客観的な記録から確認するなどにより 実際に働いた時間を適正に把握していますか 16 準備や片付けの時間 ( 学習塾等の場合 授業以外に行う質問対応 報告書の作成等に要した時間 ) を労働時間としていますか 賃金 17 賃金を

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2 ちょっと得する! 経営情報 第 85 号 Ⅰ. 若者の 使い捨て が疑われる企業等への重点監督の実施状況若者の使い捨てが疑われる企業等に対して集中的に実施した 過重労働重点監督 の結果 約 8 割の事業場で何らかの労働基準関係法令違反が見つかり これらの事業場に対して是正勧告書を交付しています

企業 メリット : 1 労働者が社内では得られない知識 スキルを獲得することができる 2 優秀な人材の獲得 流出の防止ができ 競争力が向上する 3 労働者が社外から新たな知識 情報や人脈を入れることで 事業機会の拡大につながる 留意点 : 1 必要な就業時間の把握 管理や健康管理への対応 労働者の職

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- 2 - り 又は知り得る状態であったと認められる場合には この限りでない 2~7 略 (保険料を控除した事実に係る判断)第一条の二前条第一項に規定する機関は 厚生年金保険制度及び国民年金制度により生活の安定が図られる国民の立場に立って同項に規定する事実がある者が不利益を被ることがないようにする観

一公職の候補者となる労働者の雇用の継続の確保のための立候補休暇に関する法律案目次第一章総則 ( 第一条 第二条 ) 第二章立候補休暇 ( 第三条 第六条 ) 第三章雑則 ( 第七条 第九条 ) 附則第一章総則 ( 目的 ) 第一条この法律は 立候補休暇の制度を設けることにより 公職の候補者となる労働

第 11 条育児休業を終了して復帰する教職員の年次有給休暇については 理事長が別に定める ( 育児短時間勤務 ) 第 12 条小学校就学の始期に達するまでの子と同居し 当該子を養育する教職員が申し出た場合には 当該子がその始期に達するまで 当該教職員の所定勤務時間を 6 時間とすること ( 以下 育

題名

Microsoft Word 第二弾【公開版】改正育介法Q&A

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年金の日 をご存じですか 国民一人ひとり ねんきんネット 等を活用しながら高齢期の生活設計に思いを巡らす日として 厚生労働省が 2014 年度から 11 月 30 日 ( いいみらい ) の日としたそうです 掲載内容に関してご不明点等があれば お気軽に当事務所までお問い合わせください

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36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針 (労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針)

個人情報の保護に関する規程(案)

(2) 特定機関からの報告の受理及び聴取に関すること (3) 特定機関に対する監査に関すること (4) 外国人家事支援人材の保護に関すること (5) 特定機関において外国人家事支援人材の雇用の継続が不可能となった場合の措置に関すること (6) その他 本事業の適正かつ確実な実施のために必要なこと 3

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(発表用)260819 求人内容及び労働条件の適正化発表資料(案)

必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲内で 3 回を上限として介護休業をすることができる ただし 有期契約従業員にあっては 申出時点において 次のいずれにも該当する者に限り 介護休業をすることができる 一入社 1 年以上であること二介護休業開始予定日から 93 日を経過する日から

2. 使用者は 労働者を解雇しようとする場合においては 少なくとも30 日前にその予告をしなければならない 30 日前に予告をしない使用者は 30 日分以上の平均賃金を支払わなければならない 但し 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づ

 

基発第 号 「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する指針」の周知等について

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テーマ 5 労働時間 71

学生アルバイトの労働条件に関する自主点検表 労働基準関係法令に違反する事項 労働条件の明示 1 アルバイトを雇い入れる際 賃金や労働時間などの労働条件を記載した書面を交付していますか 解説 労働条件を明確にすることは全てのトラブル防止の基本です そこで 労基法では 労働者との間で労働契約を締結するに

として採用するものとする 第 2 条の3 前条に定めるほか 職員就業規則第 11 条第 1 項により退職 ( 以下 定年退職という ) した者であって 退職後引き続き研究所以外の機関 ( 以下 再就職先 という ) において勤務する者 ( 定年退職後 任期付職員就業規則または契約職員就業規則の適用を

2 取組実績 ( 選択した取組事項について記入すること ) (1) 労働時間等設定改善委員会の設置等労使の話し合いの機会の整備 ( 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第 7 条第 2 項の規定による衛生委員会のみなしを含む ) 労働時間等設定改善委員会などの設置の有無 名称 話し合いの機会の頻

プロフェッショナル制度 ) 創設の4つである なかでも 高度プロフェッショナル制度は過重労働を招くとして批判も大きく 今後 国会で改正労働基準法案が審議される際には 創設の是非や制度設計をめぐって大きな議論が生じることが予想される 2. 高度プロフェッショナル制度の特徴 (1) 幅広い適用除外の範囲

者が負う民事上の安全配慮義務の履行であり そのために必要な心身の状態の情報を適正に収集し 活用する必要がある 一方 労働者の個人情報を保護する観点から 現行制度においては 事業者が心身の状態の情報を取り扱えるのは 労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や本人が同意している場合のほか 労働者の生

内部統制ガイドラインについて 資料

補助事業等の実施に要する人件費の算定等の適正化について 平成 22 年 9 月 27 日 22 経第 960 号大臣官房経理課長から大臣官房総務課長 大臣官房政策課長 大臣官房厚生課長 大臣官房地方課長 大臣官房環境バイオ マス政策課長 大臣官房国際部長 大臣官房統計部長 各局 ( 庁 ) 長 沖縄

Taro-別紙2

都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 ( 平成十二年東京都条例第二百十五号 ) 新旧対照表 ( 抄 ) 改正案現行目次 ( 現行のとおり ) 目次 ( 略 ) 第一条から第百十二条まで ( 現行のとおり ) 第一条から第百十二条まで ( 略 ) ( 土壌汚染対策指針の作成等 ) 第百十三条知事

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

( イ ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり 1 歳 6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡 負傷 疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合 6 育児休業をすることを希望する従業員は 原則として 育児休業を開始しようとする日の1か月前 (4 及び5に基づく1 歳

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●労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案

第 1 章育児休業 第 1 条 ( 対象者 ) 生後 1 年未満 ( 第 5 条による育児休業の場合は 1 歳 6 ヶ月 ) の子と同居し養育する従業員であって 休業後も引き続き勤務する意思のある者は 育児のための休業をすることができる ただし 日々雇用者 期間雇用者 ( 申出時点において雇用期間が

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(参考)女性の活躍推進企業データベース記入要領

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2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又


22 1 退職時の証明労働者の退職時 労働者から使用期間 業務 地位 賃金 退職事由について証明書の請求があったとき 交付している ( 労働者が請求していない事項は記 明書を請求されたとき 交付している ( 労働者が請求していない事項は記入して 2 解雇理由の証明労働者が解雇の予告をされた日から退職

特定個人情報の取扱いに関する管理規程 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 特定個人情報の漏えい 滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のための措置を講ずるに当たり遵守すべき行為及び判断等の基準その他必要な事項を定めるものとする ( 定義 ) 第 2 条 この規定における用語の意義は 江戸川区個人情報保

平成 31 年 4 月 1 日から平成 34 年 3 月 31 日まで 63 歳平成 34 年 4 月 1 日から平成 37 年 3 月 31 日まで 64 歳 4 定年について 労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません ( 均等法第 6 条 ) ( 退職 ) 第 48 条前条に定める

Transcription:

労働時間の適正な把握のために 使用者が講ずべき措置に関する基準 労働基準法により 使用者は労働時間を適切に管理する責務を有していますが 労働時間の把握に係る自己申告制 ( 労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの 以下同じ ) の不適正な運用に伴い 割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じているなど 使用者が労働時間を適切に管理していない現状も見られます 本基準は こうした現状を踏まえ 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにすることにより 労働時間の適切な管理の促進を図るものです 使用者は 本基準を尊重し 労働時間を適正に把握するなど 適切な労働時間管理を行って下さい

1 対象事業場 対象となる事業場は です 対象労働者 対象となる労働者は です 1. 管理 監督者とは 一般的には部長 工場長等労働条件の決定その他労務 管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり 役職名にとらわれ ず職務の内容等から実態に即して判断されます 2. みなし労働時間制とは 1 事業場外で労働する者であって 労働時間の算定が困難なもの ( 労働基準法第 38 条の2) 2 専門業務型裁量労働制が適用される者 ( 労働基準法第 38 条の3) 3 企画業務型裁量労働制が適用される者 ( 労働基準法第 38 条の4) をいいます 3. 本基準が適用されない労働者についても 健康確保を図る必要があります ので 使用者は過重な長時間労働を行わせないようにするなど 適正な労働時 間管理を行う責務があります 2

2 始業 終業時刻の確認 記録使用者は 労働時間を適正に管理するため 労働者の労働日ごとの始業 終業時刻を確認し これを記録すること 使用者には労働時間を適正に把握する責務があります 労働時間の適正な把握を行うためには 単に 1 日何時間働いたかを把握するのではなく 労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認 記録し これを基に何時間働いたかを把握 確定する必要があります 始業 終業時刻の確認及び記録の原則的な方法使用者が始業 終業時刻を確認し 記録する方法としては 原則として次のいずれかの方法によること ( ア ) 使用者が 自ら現認することにより確認し 記録すること ( イ ) タイムカード ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し 記録すること 始業時刻や終業時刻を確認 記録する方法として 原則的な方法を示したも のです ( ア ) について 自ら現認する とは 使用者自ら あるいは労働時間管理を行う者が 直接始業時刻や終業時刻を確認することです なお 確認した始業時刻や終業時刻については 該当労働者からも確認することが望ましいものです 3

( イ ) についてタイムカード ICカード等の客観的な記録を基本情報とし 必要に応じて 例えば使用者の残業命令書及びこれに対する報告書など 使用者が労働者の労働時間を算出するために有している記録とを突き合わせることにより確認し 記録して下さい なお タイムカード ICカード等には IDカード パソコン入力等が含まれます 自己申告制により始業 終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置その2の方法によることなく 自己申告制により行わざるを得ない場合 以下の措置を講ずること ( ア ) 自己申告制を導入する前に その対象となる労働者に対して 労働時間の実態を正しく記録し 適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと ( イ ) 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて 必要に応じて実態調査を実施すること ( ウ ) 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと また 時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに 当該要因となっている場合においては 改善のための措置を講ずること 自己申告による労働時間の把握については あいまいな労働時間管理となり がちであるため やむを得ず 自己申告制により始業時刻や終業時刻を把握す る場合に講ずべき措置を明らかにしたものです 4

( ア ) について労働者に対して説明すべき事項としては 基準で示したもののほか 自己申告制の具体的内容 適正な自己申告を行ったことにより不利益な取扱いが行われることがないこと などがあります ( イ ) について使用者は自己申告制により労働時間が適正に把握されているか否かについて定期的に実態調査を行い 確認することが望ましいものです 特に 自己申告制が適用されている労働者や労働組合等から 労働時間の把握が適正に行われていない旨の指摘がなされた場合などには このような実態調査を行って下さい ( ウ ) について労働時間の適正な申告を阻害する措置としては 基準で示したもののほか 職場単位ごとの割増賃金に係る予算枠や時間外労働の目安時間が設定されている場合において その時間を超える時間外労働を行った際に賞与を減額するなど不利益な取扱いをしているものがあります 労働時間の記録に関する書類の保存労働時間の記録に関する書類について 労働基準法第 109 条に基づき 3 年間保存すること 1. 労働基準法第 109 条においては その他労働関係に関する重要な書類 について保存義務を課していますが 始業 終業時刻など労働時間の記録に関する書類もこれに該当し 3 年間保存しなければならないことを明らかにしたものです 具体的には 使用者が自ら始業 終業時刻を記録したもの タイムカード等の記録 残業命令書及びその報告書 労働者が自ら労働時間を記録した報 5

告書などが該当します なお 保存期間である 3 年間の起算点は それらの書類ごとに最後の記載 がなされた日となります 2. また 労働基準法第 108 条において 使用者は賃金台帳を作成しなければならないこととされていますが その記載事項としては 労働日数 労働時間数 残業時間数 休日労働時間数 深夜労働時間数が掲げられています このため 賃金台帳にも労働時間の記録を記載しなければなりません 労働時間を管理する者の職務事業場において労務管理を行う部署の責任者は 当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し 労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること 労務担当役員 労務部長 総務部長等労務管理を行う部署の責任者は 労働時間が適正に把握されているか 過重な長時間労働が行われていないか 労働時間管理上の問題点があればどのような措置を講ずべきかなどについて把握 検討すべきであることを明らかにしたものです 労働時間等設定改善委員会等の活用事業場の労働時間管理の状況を踏まえ 必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用し 労働時間管理の現状を把握の上 労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと この措置を講ずる必要がある場合としては 次のような状況が認められる場 合があります (1) 自己申告制により労働時間の管理が行われている場合 6

(2) 一つの事業場において複数の労働時間制度を採用しており これに対応した労働時間の把握方法がそれぞれ定められている場合また 労働時間等設定改善委員会 安全 衛生委員会等の労使協議組織がない場合には 新たに労使協議組織を設けることを検討すべきでしょう 関連法令 労働基準法 ( 昭和 22 年法律第 49 号 )( 抄 ) ( 労働時間 ) 第三十二条使用者は 労働者に 休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて 労働させてはならない 2 使用者は 一週間の各日については 労働者に 休憩時間を除き一日について八時間を超えて 労働させてはならない ( 時間外及び休日の労働 ) 第三十六条使用者は 当該事業場に 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし これを行政官庁に届け出た場合においては 第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間 ( 以下この条において 労働時間 という ) 又は前条の休日 ( 以下この項において 休日 という ) に関する規定にかかわらず その協定で定めるところによつて労働時間を延長し 又は休日に労働させることができる ただし 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は 一日について二時間を超えてはならない ( 第 2 項 ~ 第 4 項略 ) ( 時間外 休日及び深夜の割増賃金 ) 第三十七条使用者が 第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し 又は休日に労働させた場合においては その時間又はその日の労働については 通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない ただし 当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては その超えた時間の労働については 通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない ( 第 2 項 ~ 第 5 項略 ) ( 賃金台帳 ) 第百八条使用者は 各事業場ごとに賃金台帳を調製し 賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない ( 記録の保存 ) 第百九条使用者は 労働者名簿 賃金台帳及び雇入 解雇 災害補償 賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない 労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令 ( 抄 ) 労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は 同法第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする 7

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準 労働基準法においては 労働時間 休日 深夜業等について規定を設けていることから 使用者は 労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである しかしながら 現状をみると 労働時間の把握に係る自己申告制 ( 労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの 以下同じ ) の不適正な運用に伴い 割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じているなど 使用者が労働時間を適切に管理していない状況もみられるところである こうした中で 中央労働基準審議会においても平成 12 年 11 月 30 日に 時間外 休日 深夜労働の割増賃金を含めた賃金を全額支払うなど労働基準法の規定に違反しないようにするため 使用者が始業 終業時刻を把握し 労働時間を管理することを同法が当然の前提としていることから この前提を改めて明確にし 始業 終業時刻の把握に関して 事業主が講ずべき措置を明らかにした上で適切な指導を行うなど 現行法の履行を確保する観点から所要の措置を講ずることが適当である との建議がなされたところである このため 本基準において 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにすることにより 労働時間の適切な管理の促進を図り もって労働基準法の遵守に資するものとする 1 適用の範囲本基準の対象事業場は 労働基準法のうち労働時間に係る規定が適用される全ての事業場とすること また 本基準に基づき使用者 ( 使用者から労働時間を管理する権限の委譲を受けた者を含む 以下同じ ) が労働時間の適正な把握を行うべき対象労働者は いわゆる管理監督者及びみなし労働時間制が適用される労働者 ( 事業場外労働を行う者にあっては みなし労働時間制が適用される時間に限る ) を除くすべての者とすること なお 本基準の適用から除外する労働者についても 健康確保を図る必要があることから 使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること 2 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 (1) 始業 終業時刻の確認及び記録使用者は 労働時間を適正に管理するため 労働者の労働日ごとの始業 終業時刻を確認し これを記録すること (2) 始業 終業時刻の確認及び記録の原則的な方法使用者が始業 終業時刻を確認し 記録する方法としては 原則として次のいずれかの方法によること ア使用者が 自ら現認することにより確認し 記録すること イタイムカード ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し 記録すること (3) 自己申告制により始業 終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置上記 (2) の方法によることなく 自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合 使用者は 次の措置を講ずること ア自己申告制を導入する前に その対象となる労働者に対して 労働時間の実態を正しく記録し 適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと イ自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて 必要に応じて実態調査を実施すること ウ労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと また 時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに 当該要因となっている場合においては 改善のための措置を講ずること (4) 労働時間の記録に関する書類の保存労働時間の記録に関する書類について 労働基準法第 109 条に基づき 3 年間保存すること (5) 労働時間を管理する者の職務事業場において労務管理を行う部署の責任者は 当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し 労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること (6) 労働時間等設定改善委員会等の活用事業場の労働時間管理の状況を踏まえ 必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用し 労働時間管理の現状を把握の上 労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと (H24.3) 8