資料 1-1 財政制度等審議会財政投融資分科会 説明資料 株式会社商工組合中央金庫 平成 26 年 11 月 28 日 経 済 産 業 省 中 小 企 業 庁
商工中金の概要 概要 ( 平成 26 年 3 月 31 日現在 ) 設立 昭和 11 年 11 月 国と中小企業組合の共同出資により設立 ( 平成 20 年 10 月に株式会社化 ) 店舗数 104( 国内 100 全都道府県に配置 海外 4) 職員数 3,973 名 ( うち 取締役 12 名 監査役 4 名 ) 株主数 26,373 人全国の中小企業組合及び会員 ( 株主組合の組合員数推定約 300 万社 ) がネットワーク 資本金 2,186 億円 ( うち 政府保有分 1,016 億円 民間保有分 1,170 億円 ) 資金量 97,588 億円 ( うち 債券 48,252 億円 預金 48,574 億円 他 ) 貸出金 94,884 億円 ( うち 設備 18,354 億円 長期運転 59,737 億円 短期運転 16,793 億円 ) 特徴 全国 2 万を超える中小企業組合及び組合員に対し 総合金融サービス ( フルバンキング機能 ) を提供 全都道府県に有する店舗網で中小企業等に長期安定的な資金を供給 危機時には 指定金融機関として 危機対応業務を実施し セーフティネット機能を果たす また 個人保証に頼らない融資 ( 停止条件付保証など ) を先駆的に実施するなど 中小企業の振興 支援に関する様々な取組みを行っている
商工中金の特色 (1) 地域支援 : 商工中金は中小企業組合及び構成員企業向け融資を基本とする機関 現在も全国の 2 万を超える組合及びその構成員の中堅 中小企業を通じ 民間金融機関との協調により 地域経済と繋がり地域を支えている 協同組合支援による地域支援の例 温泉街の旅館協同組合が 老朽化した休眠大型宿泊施設を解体し 多目的広場やイベントスペースとし 温泉街を再活性化 このための整備資金を 組合金融のノウハウを活かし 商工中金が融資 これが呼び水となり 地元信用金庫と地方銀行も協調融資を実施 温泉街全景 解体された宿泊施設 フルバンク機能によるきめ細かな支援 : 商工中金では フルバンク機能を発揮し手形割引 外国為替取引など中堅 中小企業を幅広く日常的にサポート また海外サポートデスクでの相談などのきめ細かな海外展開支援にも取り組んでいる 外為取引件数 貿易等取扱い数 海外サポートデスク ( 国別相談件数 ) 集計期間 H23/2~H26/9
商工中金の特色 (2) 指定金融機関として 危機時に迅速に融資業務を実施 平成 26 年 3 月末時点で累計 16 万 1 千件 9 兆 5 千億円超の実績 うち東日本大震災実績は約 3 万 8 千件 2 兆 1 千億円 うち原材料高 デフレ等実績は約 5 万件 2 兆 5 千億円 また 商工中金では停止条件付保証など個人保証によらない融資に早くから先駆的に取り組んでいる また 今年 2 月に公表された経営者保証ガイドラインの活用 普及 啓発にも尽力している 危機対応融資実績 ( 平成 26 年 3 月末時点 ) ( 単位 : 億円 ) 経営者保証ガイドラインの活用状況 ( 平成 26 年 2 月 ~9 月実績 ) 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 合計 3,864 740 3,124 合計 27,143 4,449 22,694 合計 48,255 5,673 42,581 6,451 59,585 7,152 74,182 7,504 88,162 平成 21/3 月 22/3 月 23/3 月 24/3 月 25/3 月 26/3 月 中堅企業等向け 合計 66,037 合計 71,334 中小企業等向け 危機対応融資実績内訳 ( 平成 26 年 3 月末時点 ) 合計 95,667 件数金額 ( 億円 ) 新規無保証融資 4,301 5,367 停止条件付連帯保証 62 49 ABL 247 268 保証契約解除 521 1,411 保証債務整理 18 51 計算書類の正確性 各種報告 届出等の義務違反が生じない限り連帯保証債務が発生しない保証制度 中小企業等向け中堅企業等向け合計 20 年 10 月 ~ 26 年 3 月末の実績 8 兆 8,163 億円 (158,377 件 ) 7,504 億円 (2,949 件 ) 9 兆 5,667 億円 (161,326 件 ) うち円高 原材料高 デフレ等関連 (22 年 9 月 10 日 ~26 年 3 月末 ) うち東日本大震災関連 (23 年 3 月 12 日うち経営支援型 ~26 年 3 月末 ) 利子補給制度 2 兆 5,207 億円 (49,640 件 ) 576 億円 (373 件 ) 2 兆 5,783 億円 (50,013 件 ) 7,578 億円 (14,378 件 ) 7,578 億円 (14,378 件 ) 2 兆 549 億円 (37,418 件 ) 1,254 億円 (642 件 ) 2 兆 1,804 億円 (38,060 件 ) 経営者保証ガイドラインの説明状況 ( 平成 26 年 9 月 ) 説明の態様 説明件数 個別説明 12,265 先 都道府県中小企業団体中央会 67 団体 商工会議所 113 会議所 集計期間 H23/2~H26/9
グローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付制度 に関する財投要求 ( 平成 26 年度から創設 )
経済財政運営と改革の基本方針 2014 等における位置づけ 平成 26 年 6 月 24 日に閣議決定された 経済財政運営と改革の基本方針 2014 において 特に国際展開に優れ 我が国 経済の牽引役となる企業 ( グローバルニッチトップ企業 ) への支援に取り組む と示された 経済財政運営と改革の基本方針 2014( 平成 26 年 6 月 24 日閣議決定 )( 抄 ) 第 2 章. 経済再生の進展と中長期の発展に向けた重点課題 3. 魅力ある地域づくり 農林水産業 中小企業等の再生 (5) 中堅 中小企業 小規模事業者の躍進 ( 略 ) 中堅 中小企業 小規模事業者の更なる躍進を促すため 新事業展開の促進 IT 活用等による国内外での販路開拓海外への事業展開 人材確保 地域資源を活用した事業展開 若者 女性を中心とした創業促進 商店街の活性化 地域の多様な関係者との広域的ネットワークの形成 中核企業や産学官連携による開発等に対する支援の充実を図る 特に 国際展開に優れ 我が国経済の牽引役となる企業 ( グローバルニッチトップ企業 ) への支援に取り組む 財政投融資を巡る課題と今後の在り方について ( 平成 26 年 6 月 ) 3. 産業投資の対象分野 ⅳ. 中堅 中小企業の海外展開劣後ローン等の長期資金やファンドを通じたエクイティ性の資金の供給により 中堅 中小企業の海外展開を促進し アジアを中心とする新興国の需要を獲得する
グローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付制度による海外展開支援 平成 26 年度から グローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付制度を実施 GNT 企業及び GNT 候補企業に対して 1 海外拠点の設立等の資金 2 国内の生産拠点の整備 拡大等の資金を長期一括返済等の条件で貸付け 事業が軌道に乗るまでの間 一貫した支援を行う 海外展開は事業リスクが大きく 成果が出るまでの期間が長期になるため 長期一括返済 成功払い金利等の条件での当支援が極めて有効 平成 26 年度から事業実施 上期で 80 件 約 91 億円の実績であり 全件民間金融機関との協調融資となっている GNT 支援の対象イメージ GNT 支援上期実績 金額単位 : 百万円 NT 企業 ( ニッチトップ企業 ) 国内市場において高いシェアを確立し 又は優位な地位を確立し ニッチトップ戦略をとる企業群 GNT 企業 ( グローバルニッチトップ企業 ) NT 企業の内 グローバルな展開を行っている企業群 GNT 候補企業 NT 企業の内 グローバルニッチトップ企業を志向する企業群 GNT 企業 ~ 更なる発展を支援 GNT 候補企業 ~GNT 企業への育成支援 国別 件数 金額 タイ 15 1,700 中国 15 1,495 インド 4 850 イント ネシア 6 800 ヘ トナム 7 550 アメリカ 3 450 シンカ ホ ール 2 400 フィリヒ ン 2 385 その他 ( ) 26 2,466 計 80 9,096 メキシコ 韓国 台湾 オランダ 輸出用国内設備等
グローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付制度の実績企業 平成 26 年度から実施したグローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付制度により 民間金融機関と協調して長期資金を供給 高度な技術 ノウハウを有する我が国の優れた中堅 中小企業が海外展開を行い 世界シェア獲得 ( 拡大 ) を見据えた取組みを本格化している GNT 企業の例 1 : 金属加工等製造業 金属材料の耐久加工用の金属粒ショットピーニング用高精度ショット粒で国内で9 割超のシェア 日本とタイ工場から 27か国へ輸出 今般 市場の大きな米国に販売法人を設立し 新たな営業体制を構築することを計画 営業 販売網構築等に長期間を要するため GNT 支援貸付制度にて資金調達 ( 民間金融機関も協調 ) ショットピーニング 高精度ショット粒 ( 金属粒 ) GNT 企業の例 2 : ベアリング製造業 ベアリング組込用ローラ ( ころ ) 等の製造業 ころがり軸受向けのころ全品種を生産している日本で唯一のころ製造専門メーカー 今般 中国において現地調達を進める世界の自動車メーカー向けに自動車のベアリングに組み込まれる円すいローラの製造を開始 一昨年に中国に現地法人を設立後 増産投資により 向こう 3 年程度をかけて生産量の増加を計画 大口設備であり投資回収に長期間を要するため GNT 支援貸付制度にて資金調達 ( 民間金融機関も協調 ) 軸受 球面ころ 軸受に使用される球面ころ 同時加工を実現した設備
グロバールニッチトップ (GNT) 支援貸付制度の概要 GNT 企業と GNT 候補企業による海外事業展開を支援するグローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付制度を来年度も継続 海外事業展開はリスクが高く 長期の投資が必要となるため 長期一括償還型貸付 ( 成功払い金利 ) などの供給により支援 ( 民間金融機関と協調 ) 当該制度設計とするために 産業投資貸付の活用が必要 事業規模 :200 億円 ( 産投貸付必要額 :200 億円 ) 参考 : 平成 26 年度 135 億円 グローバルニッチトップ (GNT) 支援貸付制度のイメージ ( 民間金融機関との協調により実施 ) 利息 利息 個別貸付の実績に応じた利息支払 成功払い 国 ( 産業投資貸付 ) 貸付 満期一括返済 ( 期間 :10 年 ) 商工中金 規模 200 億円 リスクマネー 長期一括償還型貸付 (10 年 ) 無保証融資 停止条件付連帯保証等 対象企業 GNT 企業 GNT 候補企業 ( 国内 NT)
地域中核企業支援貸付制度 に関する財投要求 ( 新規創設 )
日本再興戦略 改訂 2014 等における位置づけ 平成 26 年 6 月 24 日に閣議決定された 日本再興戦略改訂 2014 において 地域を支える企業の合従連衡や新陳代 謝を通じて 地域の雇用と賃金の安定を実現する 地域の中堅企業等を核とした戦略産業の育成を実施する と示され ている 日本再興戦略 改訂 2014( 平成 26 年 6 月 24 日閣議決定 )( 抄 ) Ⅱ. 改訂戦略における鍵となる施策 4. 地域活性化と中堅 中小企業 小規模事業者の革新地域活性化の鍵は 若者を含めた魅力ある雇用の場を実現できるかどうかにかかっている そのためには 地域を支える企業の合従連衡や新陳代謝を通じて 収益性 生産性の向上を図り 地域の雇用と賃金の安定を実現する必要がある Ⅳ. 改訂戦略の主要施策例 4. 地域活性化と中堅 中小企業 小規模事業者の革新 / 地域の経済構造改革地域の中小企業 小規模事業者が中心となった ふるさと名物応援 と地域の中堅企業等を核とした戦略産業の育成 財政投融資を巡る課題と今後の在り方について ( 平成 26 年 6 月 ) 3. 産業投資の対象分野 ⅵ. 地域活性化地域産業の成長を図るため 中小企業の創業支援や地域企業の事業再生を支援するとともに 農業の 6 次産業化 地域クールジャパン企業 の海外展開などにも新たに取り組む
地域中核企業の新事業展開等の取組み支援 地域には 確かな技術 ノウハウやブランド力等を有する 中核的な中堅 中小企業が多数存在 これら企業は 地域で多くの中小企業等と取引を行い 地域から多くの雇用を行うなど地域経済のまさに中核を担っている 一方 これら中核企業の中には 人口減によるマーケットの縮小や 取引先大手企業の海外進出等による売上減少等により事業が縮小することを懸念し 新事業展開 や 技術ノウハウの開発 等 更なる成長へ向けて取組む例が見られる これら潜在的意欲 能力のある地域中核企業に対し 長期一括返済による資金を供給することにより 収益確保までに時間がかかり かつリスクの高い 新分野への進出 等の取組みの促進と 民間資金の呼び水効果を期待 地域中核企業の地域での重要性 取引先中小企業等への波及 地域中核企業の成長は 取引先中小企業への波及を通じ地域経済全体への波及が期待される 安定雇用の源泉として 新分野への挑戦等を通じ その波及効果から地域に新たな雇用を生み出すきっかけとなることが期待される イノベーションの源泉として 地域中核企業のイノベーションは地元取引先企業の幅広いイノベーションを誘発する可能性が期待される 支援が必要な地域中核企業の取組み 新分野進出等のリスクの高いイノベーションの取組み 地域中核企業が 新分野への進出や新たな研究開発に取組む場合 事業が軌道に乗るまでのリスクの高い期間に対し 長期一括返済により 民間と協調し資金供給を行う支援が有効 前向きな経営改善の取組み 経営改善が必要な中核企業 ( しかし再生ステージまでは至っていない ) が 新たな成長を目指し 前向きな取組みを行う場合 事業が軌道に乗るまでのリスクの高い期間に対し 長期一括返済により 民間と協調し資金供給を行う支援が有効 商工中金による貸付制度の創設 地域中核企業支援貸付制度 長期一括返済 (10 年 ) 成功払い型金利 民間銀行との協調により中核企業の次のような取組みを支援 1 新事業展開や技術 ノウハウの開発等のリスクの高いイノベーションの取組み 2 経営改善が必要ながらも 地域の中核を担う企業の前向きな取組み
地域中核企業支援貸付の対象として想定される企業例 (1) 地域中核企業による収益確保まで時間がかかり かつリスクが高い イノベーション ( 新事業進出や研究開発 ) の取組み や 前向きな経営改善 の取組みを金融面から支援する 例 1: 眼鏡製造業が医療機器分野へ進出する例 県内トップの眼鏡メーカー 高機能素材及びレーザー加工溶接技術により製品の高付加価値化に成功 地域に協力企業も多く 地元経済の中核的企業 眼鏡製造で蓄積した技術 ノウハウを活かし 医療器具分野への本格進出のため 製品開発等を進めているところ 医療機器は 国の厳しい規制 独特の商流 販売先など 新規の参入が難しい分野であり 新事業が軌道に乗り 安定収益を獲得できるまでリスクが大きく長期間を要する 民間との協調による長期一括返済資金導入支援が有効 例 2: 老舗旅館が外国人客獲得に取り組む例 県内有数の温泉街のシンボル的な旅館 過年度の設備投資負担が重く 法人客の減少により 業績及び財務状態が悪化 ( 再生ステージでは無いものの経営改善が必要な状況 ) 意欲の高い従業員とともに 海外旅行客の取込拡大を柱としたビジネスモデルの再構築を検討中だが 既存借入の返済負担もあり 目先の資金繰り悪化懸念もあり 通常の新規融資のみによる対応では難しい状況であり 民間との協調による長期一括返済資金導入が有効
地域中核企業支援貸付の対象として想定される企業例 (2) 例 3: 航空部品企業が技術革新と販路拡大を目指す例 航空機の関連部品等の製造を行う企業 地域に工場等の新設 設備の導入等を検討 同工場で更なる技術革新と販路拡大等を目指す計画 航空機は先端分野であり技術革新のスピードが速い難しい分野 新拠点への投資はリスクを伴うものである一方 投資は回収期間が長期になる可能性が高い 軌道に乗るまでの資金繰り安定化のため 民間との協調融資による長期資金による支援が有効 例 4: 米穀卸会社が食品製造など 6 次産業化に挑戦する例 大潟村内の農家が集まり設立した米穀卸売業者 大潟村農家約 100 名が参加し 精米卸売等を中心に営業基盤確立している地域の中核的事業者 米の消費減の傾向に地域全体として危機感が高まる中 食物アレルギーを持つ人も食べられる 米粉パスタ を開発し 大潟村の米を使い製造 卸 販売を行う6 次産業化の取組みとして実施しているところ 地域の期待を担う取組みだが 本格的な取組みの際には 加工用機械導入や開発費用等 先行投資が必要 また 販路開拓 消費者への対応など 時間がかかりリスクも高い 民間との協調による長期資金による支援が有効
地域中核企業支援貸付制度の概要 地域中核企業等によるリスクの高いイノベーション ( 新事業展開等 ) や前向きな経営改善の取組みを支援する目的として 地域中核企業支援貸付制度 を創設 新事業展開や前向きな経営改善への取組みは 既存事業に比べリスクが高く 回収までに長期間を要するため 長期一括償還型貸付 ( 成功払い金利 ) の供給により支援 ( 民間金融機関と協調 ) 当該制度設計には 産業投資貸付の活用が必要 事業規模 :100 億円 ( 産投貸付必要額 :100 億円 ) 新規 地域中核企業支援貸付制度イメージ ( 民間金融機関との協調により実施 ) 利息 利息 個別貸付の実績に応じた利息支払 成功払い 国 ( 産業投資貸付 ) 貸付 満期一括返済 ( 期間 :10 年 ) 商工中金 規模 100 億円 リスクマネー 長期一括償還型貸付 (10 年 ) 無保証融資 停止条件付連帯保証等 対象企業 地域中核企業