ミニアクアポニクスの製作手順 ペットボトルを利用した小さなアクアポニクス 2016/08/31 静岡大学教育学部 室伏春樹
説明の流れ 1. 必要な材料 2. 必要な道具 3. 加工の手順 4. 生体の配置 5. 維持 管理のポイント
1. 必要な材料 一覧
1. 必要な材料 1 培地植物を固定するために水耕栽培用の培地を利用する おすすめの培地 ハイドロコーン ゼオライト 軽石を利用することでカサ増し可能 軽石 ( 左 ) とハイドロコーン ( 右 )
1. 必要な材料 2エアポンプ水中の酸素供給機能と水の汲みあげ機能を提供する 金魚用エアポンプ ( 400~) セット品 ( 800~ ) 利用の場合はソフトチューブの購入不要 エアチューブ ( 300~) エアポンプ ( 左 ) とソフトチューブ ( 右 ) 上記のエアポンプでは吐出量が少ないので共用は不可能でした 二口タイプのエアポンプや, 吐出量の大きいエアポンプの利用を推奨します
1. 必要な材料 3ペットボトル栽培 飼育のための容器を選定する 1.5リットル空きペットボトル 炭酸飲料のものは凹凸がないので水産生物の観察が容易 丸い形状が魚によってはストレス要因になり得るので注意 水量が多いほど水質は安定 炭酸飲料 (1.5 リットル ) の空きペットボトル 100 円ショップで底が深いタッパーなどを利用しても良いです
1. 必要な材料 4 ストロー汲み上げる水の経路として機能する タピオカストロー 100 円ショップでまとめ買い可能 (30 本で 100) タピオカストロー
1. 必要な材料 4 生体栽培のための苗と養殖のための魚を準備する 栽培する生体 葉物がオススメ 養殖する生体 パイロットフィッシュがオススメ シソの苗 ( 左 ) とアカヒレの生体 ( 右 ) 今回示しているシソの苗は小さいです 本葉が 4 枚程度のものを利用したほうが失敗しにくいです
1. 必要な材料 5 苗の準備培地を洗い流して水耕栽培の準備をする 苗の洗浄 根を傷めないように優しく取り扱う 水で根に付着する土を洗い流す 苗の洗浄過程培地上の苗 ( 左 ) と培地から抜いた苗 ( 中央 ) および洗浄した苗 ( 右 )
説明の流れ 1. 必要な材料 2. 必要な道具 3. 加工の手順 4. 生体の配置 5. 維持 管理のポイント
2. 必要な道具 一覧 定規 キリ ( 四つ目錐 ) カッターナイフ ハサミ テーパーリーマー (1cm の穴が開けられるもの ) サインペン
説明の流れ 1. 必要な材料 2. 必要な道具 3. 加工の手順 4. 生体の配置 5. 維持 管理のポイント
3. 加工の手順 1ペットボトルの切断養殖部と栽培部になるよう分割する 1. ペットボトルのフタから10cm 程度のところに印をつける 2. 印に対してカッターで切れ目をいれる 3. 切れ目にハサミの刃を入れて切断する ハサミの位置を固定してペットボトルを回すように切ると良い 切断の印の位置ハサミによる切断養殖部 ( 左 ) と栽培部 ( 右 )
3. 加工の手順 2 切断部の後処理切断部の ささくれ や ゆがみ を修正する ささくれ ペットボトルのフチで怪我しないように処理 ゆがみ 切り過ぎに注意 ささくれ ゆがみ
3. 加工の手順 3 養殖部の加工養殖部の上部に栽培部を設置するツメを製作する 1. 養殖部の切断面から3cmの線を6 本けがく 2. けがいた線をハサミで切断する 3. 養殖部の内側に折り込む けがきの様子 折り曲げ後
3. 加工の手順 4フタの加工ストローを通す穴を開ける 1. ペットボトルのフタの中心に印をつける 2. 印のところにキリで穴を開ける 3. ストローが通るようにテーパーリーマーで穴を広げる ストローの直径を測っておく ( 通常 1cm) 下穴開け 下穴の拡張 ストローを通した様子 下穴の拡張のときに穴を広げすぎた場合は 3-9,10 で実施するペットボトル排水口の加工が不要になるかわりに水が栽培部に貯まることなく直接落ちます 生育に与える影響は現段階で未検証です
3. 加工の手順 5ストローの高さ調節水の汲み上げ位置を現物に合わせて決定する 1. ストローを通したフタを取り付ける 2. 栽培部を養殖部の上に設置する 3. ストロー下端が底面から1mm 程度浮く位置に調整する 4. 調整後の位置をストローにサインペンで印をつける 栽培部の設置 ストローの調整 印づけ 養殖部に放流する生体が小さい場合は, ポンプに吸い込まれる恐れがあります その場合はストローを浮かせないように押し付けることで解消できます
3. 加工の手順 6ストロー排水口の位置確認養殖部の水を排水する位置を決定して加工の準備をする 1. 栽培部のくびれるところを目安にストローに印をつける ストロー上端から 3cm 程度 2. フタからストローを取り外す 3. ストローの印を目安に排水口をけがく 写真 図参照 - - - - - - - - - - 印づけけがきの様子けがく線 ( 黒の実線 ) ストロー排水口の方式は様々な工夫が可能です 排水口の切断形状を変えたり, 折れ曲がるストローをホットボンド等で接着して方向を変えやすくしたりすることが検討できます
3. 加工の手順 7ストロー排水口の加工栽培部の生体に水が直接かからないように加工する 1. けがいた線をハサミで切断する 2. 切断したところを利用してストローを折り曲げる ストロー切断後 横から見たストロー 折り曲げたストロー
3. 加工の手順 8 空気口の位置確認と加工エアポンプの空気を取り入れる位置を確認して加工する 1. ストロー下端から2cmと3cmのところに印をつける 2. 印を利用して給水口をけがく 切断後の様子の写真参照 3. けがいた線をハサミで切断する ハサミによる切断 1 印づけハサミによる切断 2 切断後の様子 V 字の深さを工夫することで水中にも空気を送ることができます
3. 加工の手順 9ペットボトル排水口の位置確認栽培部の水の排水位置を決定して加工の準備をする ペットボトルの製造番号を目安に印をつける ペットボトル先端から 5cm 程度 印を目安に排水口をけがく 写真参照 製造番号の位置でけがいた線
3. 加工の手順 10ペットボトル排水口の加工と栽培部の設置排水口を加工して栽培部を完成させる けがいた線をカッターナイフで切断する 加工したストローをフタに通す フタをペットボトルに取り付ける 貯水部 切断中の様子 切断した排水口 取り付けたストローと水の流れ 排水口の形状は一例です キリで複数箇所を貫通させたり, もっと大きな穴にしたりすることが可能です ポンプによる給水とのバランスを見て, 形状を工夫してください
説明の流れ 1. 必要な材料 2. 必要な道具 3. 加工の手順 4. 生体の配置 5. 維持 管理のポイント
4. 生体の配置 1 栽培培地の配置栽培する生体を固定する培地を配置する 1. 最下層に大きい軽石を配置する 2. 折り曲げたストローが隠れるまでハイドロコーンを配置する 軽石の配置 ハイドロコーンの配置
4. 生体の配置 2 栽培する生体の配置栽培する生体を配置する 1. ストローからの排水が直接かからない位置に生体を配置する 2. 生体を固定するハイドロコーンを配置する 生体の設置 完成した様子 生体が小さい場合は目の細かいハイドロコーンを利用するなど, 生体の大きさにあわせて培地を工夫してください
4. 生体の配置 3 ソフトチューブの取り付けストローの空気口にソフトチューブを取り付ける 1. 3-8で開けたストローの空気口にソフトチューブを差し込む 2. 差し込みを維持しながら栽培部を養殖部の上に設置する 3. 栽培部からゆっくりと水を入れる すぐに養殖部に生体を入れる場合はカルキ抜きをした水を使用 水はペットボトルのフタが隠れる程度 ソフトチューブの差し込み 設置した様子 水を入れた様子 空気を送ることで水を揚水する仕組みをエアリフトポンプと呼びます エアポンプから送られる気体が気泡となり, 気泡の浮上とともに水を揚水します
4. 生体の配置 4 飼育する生体の配置飼育する生体を養殖部に放流する 1. ポンプを稼働させる 2. ペットボトル排水口から排水が行われているか確認する 排水が行われない場合は写真のようにエアポンプの空気が全て水中に放出されている可能性がある 3. 魚を放流する 正しく排水されている様子 ソフトチューブを差し込みすぎた例
ミニアクアポニクスの完成
説明の流れ 1. 必要な材料 2. 必要な道具 3. 加工の手順 4. 生体の配置 5. 維持 管理のポイント
5. 維持 管理のポイント水耕栽培と水産養殖についての知識を増やすことが重要です 1. 水は一週間に一度を目安に変える 汲み置きすることで水道水のカルキが抜けて魚に安全です 餌のあげすぎで水が汚くなったら早めに交換しましょう 2. 小さな生体は維持が難しい 植物も魚も小さな生体は環境の変化に弱いです 小さな魚はストローに吸い込まれてしまうこともあります 3. いろいろな観点で育成に挑戦する 栽培部の野菜と養殖部の魚の組み合わせは無限大です プラスの効果 マイナスの効果が発生しないか確認してみましょう 生体の数を変えることで成長にどのような変化がでるのでしょう 4. 原理を応用してオリジナルのミニアクアポニクスを作る 100 円ショップを活用して自分だけのシステムを完成させましょう
様々なミニアクアポニクスの稼働例 100 円ショップの商品を利用した構成例 食品ストッカーと鉢を利用した構成 大型ストッカーと鉢を利用した構成 ドリルでフタに複数の穴を開け, 鉢がはまるように加工しています 魚はネオンテトラ一匹です ベタ ( 闘魚 ) は口呼吸が可能で水が少なくても飼いやすいのでおすすめです
ステップアップ水質の計測やポンプの制御などの計測 制御を取り入れる 教材用アクアポニクス 茨城県の飯島アクアポニクスで実際に稼働しているシステムを参考に, 主要な機能はそのまま教材として利用できるように開発をしました 飯島アクアポニクスにおける実稼働システム