JICA日本伝統治療（柔道整復術）普及事業 報告書

JICA 日 本 伝 統 治 療 ( 柔 道 整 復 術 ) 普 及 事 業 報 告 書 モンゴル 国 立 健 康 科 学 大 学 附 属 医 療 技 術 大 学 編 派 遣 メンバー 団 長 : 本 間 琢 英 ( 国 際 部 ) 金 井 英 樹 ( 国 際 部 ) 浪 尾 敬 一 ( 香 川 県 接 骨 師 会 ) 横 田 良 介 ( 宮 城 県 柔 道 整 復 師 会 ) 楠 美 明 人 ( 埼 玉 県 接 骨 師 会 ) 日 程 2 月 22 日 ( 金 ) MIAT モンゴル 航 空 502 便 にて 成 田 から 寒 冷 の 地 モンゴル ウランバートルへ 向 かった 飛 行 機 は 定 刻 通 り 21:30 に 到 着 する 到 着 時 の 気 温 は-17 度 で 道 路 は 所 々で 凍 ってい た ホテルに 向 かう 途 中 車 がパンクするなどのトラブルもあったが 無 事 到 着 する 翌 日 から 地 方 班 と 一 緒 にアルハンガイ 県 に 移 動 するため 講 義 内 容 の 打 ち 合 わせを 深 夜 まで 行 っ た 2 月 23 日 ( 土 )~3 月 2 日 ( 土 ) 地 方 班 の 報 告 書 JICA 一 般 公 開 セミナー 参 照 指 導 者 候 補 生 5 名 と 一 緒 に 地 方 班 の 活 動 に 参 加 する バク 医 師 を 対 象 としたアルハン ガイ 県 での 講 習 会 市 民 公 開 講 座 (アルハンガイ 県 ツェツェルレグ 保 健 所 ウランバートル 市 モンゴル 日 本 センター)に 参 加 日 本 大 使 館 を 訪 問 する 3 月 3 日 ( 日 ) 晴 れ モンゴル 国 立 健 康 科 学 大 学 付 属 医 療 技 術 大 学 にて 使 用 する 包 帯 針 金 など 材 料 の 確 認 翌 日 から 始 まる 講 義 の 打 ち 合 わせを 行 う 3 月 4 日 ( 月 ) 晴 れ モンゴル 健 康 科 学 大 学 付 属 医 療 技 術 大 学 において 開 講 式 が 行 われた 昨 年 受 講 した 生 徒 との 再 会 で 和 やかな 雰 囲 気 の 中 スタートした 昨 年 受 講 により 得 られた 柔 道 整 復 術 の 理 解 度 を 検 証 するため 前 回 の 内 容 について 復 習 を 行 った 各 疾 患 における 理 論 はある 程 度 理 解 できているものの 整 復 実 技 に 関 しては 練 習 不 足 が 否 めず 及 第 点 とはいかなかった 今 年 卒 業 する 本 生 徒 に 対 し 即 実 践 のためには 今 後 の 反 復 練 習 が 不 可 欠 だと 促 した

[ 写 真 1] A クラスとの 記 念 撮 影 A クラス 対 象 者 ( 柔 道 整 復 術 普 及 員 3 名 指 導 者 候 補 生 5 名 准 医 師 コースの 3 年 生 30 名 ダルハンからの 准 医 師 コースの 学 生 8 名 ) [ 写 真 1] 8:00~ 8:30: 開 講 式 8:40~10:20: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 橈 骨 遠 位 端 骨 折 )( 楠 美 ) 10:20~11:10: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 鎖 骨 骨 折 )( 浪 尾 ) 11:10~11:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 11:40~13:10:: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 上 腕 骨 近 位 端 骨 折 )( 浪 尾 ) 13:20~14:50: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 肩 関 節 脱 臼 )( 横 田 ) 14:50~16:30: ダルハンからの 学 生 に 対 する 三 角 巾 を 用 いた 実 技 指 導 ( 横 田 ) 翌 日 の 実 技 の 準 備 3 月 5 日 ( 火 ) 晴 れ 8:00~ 9:30: 中 手 骨 骨 折 指 骨 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) [ 写 真 2] 9:40~11:10: 指 骨 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) 11:10~11:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 11:40~13:10: 指 骨 骨 折 の 実 技 副 子 作 成 ( 浪 尾 ) 13:20~14:50: 指 骨 骨 折 の 実 技 包 帯 固 定 ( 浪 尾 横 田 楠 美 ) [ 写 真 3] 14:50~16:30: 翌 日 の 実 技 の 準 備

[ 写 真 2] 指 骨 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) [ 写 真 3] 指 骨 骨 折 の 実 技 ( 浪 尾 ) 3 月 6 日 ( 水 ) 晴 れ 8:00~ 9:30: 中 手 骨 骨 折 指 骨 骨 折 の 復 習 ( 浪 尾 ) 9:40~11:10: 肘 関 節 脱 臼 の 理 論 ( 横 田 ) [ 写 真 4] 11:10~11:40: 昼 食 臨 床 実 習 (1) ストレッチ 体 操 11:40~13:10: 肘 関 節 脱 臼 の 実 技 副 子 作 成 ( 横 田 ) [ 写 真 5] 13:20~14:50: 肘 関 節 脱 臼 の 実 技 包 帯 固 定 ( 横 田 浪 尾 楠 美 ) 14:50~16:30:ダルハンからの 准 医 師 に 対 する 包 帯 法 の 実 技 指 導 ( 浪 尾 横 田 楠 美 ) 翌 日 の 実 技 の 準 備 [ 写 真 4] 肘 関 節 脱 臼 の 理 論 ( 横 田 ) [ 写 真 5] 肘 関 節 脱 臼 の 実 技 ( 横 田 ) 臨 床 実 習 (1) 20 代 女 性 右 膝 ACL 損 傷 H25.01.22 風 呂 場 にて 滑 り 転 倒 同 日 近 医 にて X-P MRI 検 査 の 結 果 ACL 損 傷 と 診 断 サポーターにて 固 定 前 方 引 き 出 し(-) 膝 関 節 屈 曲 30 でやや 動 揺 が 認 められるものの 歩 行 痛 なし

また 右 大 腿 前 面 ( 内 側 広 筋 )に 萎 縮 が 認 められる 患 部 の 可 動 域 訓 練 大 腿 四 頭 筋 の 筋 力 強 化 などの 指 導 を 行 う 3 月 7 日 ( 木 ) 晴 れ 8:00~ 9:30: 肘 関 節 脱 臼 の 復 習 ( 横 田 ) 9:40~11:10: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) 11:10~11:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 11:40~13:10: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 実 技 副 子 作 成 ( 浪 尾 ) 13:20~14:50: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 実 技 包 帯 固 定 ( 浪 尾 横 田 楠 美 ) 14:50~16:30:ファーストエイドクラブに 対 する 講 義 実 技 指 導 災 害 時 の 移 送 方 法 ( 浪 尾 横 田 楠 美 ) [ 写 真 6] ダルハンからの 学 生 たちと [ 写 真 7] 災 害 時 の 移 送 方 法 ( 実 技 指 導 ) 3 月 8 日 ( 金 ) 曇 り 休 日 ( 国 際 女 性 の 日 ) 翌 日 からの 講 義 の 打 ち 合 わせ 3 月 9 日 ( 土 ) 晴 れ 9:00~10:30: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 復 習 ( 浪 尾 )

10:40~12:10: 下 腿 骨 果 部 骨 折 の 理 論 ( 楠 美 ) 12:10~12:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 12:40~14:10: 下 腿 骨 果 部 骨 折 の 実 技 副 子 作 成 ( 楠 美 ) 14:20~15:50: 下 腿 骨 果 部 骨 折 の 実 技 包 帯 固 定 ( 楠 美 浪 尾 横 田 ) 3 月 11 日 ( 月 ) 試 験 についての 説 明 15:50~16:30:ファーストエイドクラブに 対 する 講 義 実 技 指 導 3 月 10 日 ( 日 ) 晴 れ 休 日 翌 日 からの 講 義 の 打 ち 合 わせ 3 月 11 日 ( 月 ) 晴 れ 8:20~ 8:40: 筆 記 試 験 ( 浪 尾 横 田 楠 美 ) [ 写 真 8] 9:00~12:00: 実 技 試 験 ( 浪 尾 横 田 楠 美 ) [ 写 真 9] 12:00~12:30: 閉 講 式 12:30~13:30: 昼 食 臨 床 実 習 (2) [ 写 真 8] 筆 記 試 験 [ 写 真 9] 実 技 試 験 臨 床 実 習 (2) 30 代 男 性 左 足 関 節 痛 2ヶ 月 前 にバスケットボール 中 捻 り 受 傷 近 医 にて X-P 検 査 の 結 果 骨 折 なし 靭 帯 損 傷 との 報 告 3 日 間 ギプス 固 定 その 後 サポーターに 変 更 現 在 右 足 関 節 前 面 に 腫 脹 疼 痛 並 びに 長 時 間 の 歩 行 後 腫 脹 認 められる [ 写 真 10] 足 関 節 周 辺 の 筋 力 並 びに 可 動 域 訓 練 片 脚 での 固 有 受 容 器 のトレーニングを 指 導 した [ 写 真 11]

[ 写 真 10] 臨 床 実 習 [ 写 真 11] バランストレーニング 3 月 12 日 ( 火 ) 晴 れ B クラス 対 象 者 ( 指 導 者 候 補 生 5 名 准 医 師 コースの 3 年 生 30 名 ) 本 日 の 開 講 式 にはダグア 学 長 も 出 席 された 8:00~ 8:30: 開 講 式 8:40~10:20: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 橈 骨 遠 位 端 骨 折 )( 楠 美 ) 10:20~11:10: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 肩 関 節 脱 臼 )( 横 田 ) 11:10~11:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 11:40~13:10:: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 鎖 骨 骨 折 )( 浪 尾 ) 13:20~14:50: 前 回 の 講 義 の 復 習 ( 上 腕 骨 近 位 端 骨 折 )( 金 井 ) 14:50~16:30: 指 導 者 候 補 生 に 対 する 実 技 指 導 前 回 の 骨 折 脱 臼 の 整 復 動 作 の 確 認 翌 日 の 実 技 の 準 備

3 月 13 日 ( 水 ) 晴 れ 8:00~ 9:30: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) [ 写 真 12] 9:40~11:10: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) 11:10~11:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 11:40~13:10: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 実 技 副 子 作 成 ( 浪 尾 ) [ 写 真 13] 13:20~14:50: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 実 技 包 帯 固 定 ( 浪 尾 横 田 金 井 楠 美 ) 14:50~16:30: 指 導 者 候 補 生 に 対 する 実 技 指 導 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 整 復 動 作 の 確 認 翌 日 の 実 技 の 準 備 臨 床 実 習 (3) [ 写 真 13] 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) [ 写 真 14] 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 実 技 ( 浪 尾 ) 臨 床 実 習 (3) 52 歳 男 性 左 手 関 節 痛 約 2 週 間 前 に 手 を 衝 き 受 傷 近 医 にて X-P 検 査 の 結 果 骨 異 常 なしとのこと [ 写 真 15] 左 橈 骨 遠 位 端 部 に 腫 脹 疼 痛 自 発 押 圧 痛 が 認 められる (スナッフボックス 押 圧 痛 左 前 腕 回 外 時 TFCC 部 にも 疼 痛 あり) 患 部 に 対 して キャ ストライトを 用 いたギプスシーネを 作 成 包 帯 三 角 巾 にて 固 定 する [ 写 真 16] [ 写 真 15] X-P 写 真 [ 写 真 16] キャストライトによる 固 定

3 月 14 日 ( 木 ) 晴 れ 8:00~ 9:30: 肘 関 節 脱 臼 の 理 論 ( 横 田 ) 9:40~11:10: 肘 関 節 脱 臼 の 理 論 と 実 技 : 整 復 操 作 ( 横 田 ) 11:10~11:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 11:40~13:10: 肘 関 節 脱 臼 の 実 技 : 副 子 作 成 ( 横 田 ) 包 帯 固 定 ( 横 田 浪 尾 金 井 楠 美 ) 13:20~14:50: 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 の 復 習 救 急 搬 送 の 仕 方 ( 浪 尾 ) 14:50~16:30: 指 導 者 候 補 生 に 対 する 実 技 指 導 肘 関 節 脱 臼 下 腿 骨 骨 幹 部 骨 折 下 腿 骨 果 部 骨 折 の 整 復 動 作 の 確 認 翌 日 の 実 技 の 準 備 3 月 15 日 ( 金 ) 晴 れ 9:00~10:30: 肘 関 節 脱 臼 の 復 習 ( 横 田 ) 10:40~12:10: 下 腿 骨 果 部 骨 折 の 理 論 ( 楠 美 ) [ 写 真 17] 12:10~12:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 12:40~14:10: 下 腿 骨 果 部 骨 折 の 実 技 整 復 操 作 ( 楠 美 ) [ 写 真 18] 14:20~15:50: 特 別 授 業 ( 肩 関 節 脱 臼 の 実 技 ) 下 腿 骨 果 部 骨 折 の 実 技 包 帯 固 定 ( 楠 美 浪 尾 横 田 金 井 ) 15:30~16:30: 指 導 者 候 補 生 に 対 する 講 義 実 技 指 導 プレゼンテーションを 行 う バトムンク アルタンエルデネ : 鎖 骨 骨 折 ガントルガ ノミンテンギス : 整 形 外 科 徒 手 検 査 法 オユンバートル ダリンチュルン: 足 関 節 捻 挫 ダシュラウタン ボロルトゥヤ : 顎 関 節 脱 臼 月 曜 日 の 実 技 の 準 備 [ 写 真 17] 下 腿 骨 果 部 骨 折 理 論 ( 楠 美 ) [ 写 真 18] 下 腿 骨 果 部 骨 折 実 技 ( 楠 美 )

特 別 授 業 今 回 講 義 を 受 講 した 准 医 師 コースの 学 生 が モンゴル 相 撲 で 負 傷 した 左 肩 関 節 脱 臼 の 疑 いがある 患 者 ( 学 生 の 兄 )に 対 しコッヘル 法 を 用 いて 整 復 操 作 を 行 った 直 後 から 疼 痛 は 消 失 したが 症 状 を 観 察 してほしいと 翌 日 患 者 と 一 緒 に 我 々の 元 に 訪 れた 講 習 では 受 講 生 の 前 で 整 復 をした 学 生 が 肩 関 節 の 麦 穂 帯 三 角 巾 による 提 肘 を 行 った [ 写 真 19 写 真 20] [ 写 真 19] 受 傷 機 転 を 再 現 [ 写 真 20] 包 帯 固 定 3 月 16 日 ( 土 ) 晴 れ 17 日 ( 日 ) 晴 れ 夕 方 より 雪 休 日 翌 日 からの 講 義 試 験 についての 打 ち 合 わせ 3 月 18 日 ( 月 ) 雪 のち 晴 れ 8:00~ 9:30: 中 手 骨 骨 折 指 骨 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) 9:40~11:10: 指 骨 骨 折 の 理 論 ( 浪 尾 ) 11:10~11:40: 昼 食 ストレッチ 体 操 11:40~13:10: 指 骨 骨 折 の 実 技 副 子 作 成 ( 浪 尾 ) 13:20~14:50: 指 骨 骨 折 の 実 技 包 帯 固 定 ( 浪 尾 横 田 金 井 楠 美 ) 翌 日 の 試 験 の 説 明 14:50~15:30: 今 回 の 実 技 試 験 対 策 指 導 3 月 19 日 ( 火 ) 晴 れ 8:20~ 8:50: 筆 記 試 験 ( 浪 尾 横 田 金 井 楠 美 ) [ 写 真 21] 9:00~12:00: 実 技 試 験 ( 浪 尾 横 田 金 井 楠 美 ) [ 写 真 22] 12:00~12:30: 閉 講 式 [ 写 真 23] 12:30~13:30: 昼 食

[ 写 真 21] 筆 記 試 験 [ 写 真 22] 実 技 試 験 [ 写 真 23] B クラスとの 記 念 撮 影 3 月 20 日 ( 水 ) 晴 れ 12:00~13;00 モンゴル 国 立 健 康 科 学 大 学 附 属 医 療 技 術 大 学 とのミーティング ダウガ 学 長 本 間 日 本 柔 道 整 復 師 会 国 際 部 員 を 中 心 に 今 後 の JICA 日 本 伝 統 治 療 ( 柔 道 整 復 術 ) 普 及 事 業 について 話 し 合 った 柔 道 整 復 術 が モンゴルの 地 に 根 付 きモンゴルの 人 たちのために 貢 献 できるよう 真 剣 に 論 議 を 重 ねた