ヨロ 文 1 年 生 のための 推 薦 図 書 ブックガイド 2015 目 次 読 書 する 青 春 のために あなた 自 身 の 金 の 鉱 脈 を 探 せ... 1 有 田 英 也 (ヨーロッパの 文 学 文 化 批 評 )... 2 北 山 研 二 ( 広 域 芸 術 論 )... 3 末 永 朱 胤 ( 言 語 学 言 語 文 化 論 )... 3 陶 久 明 日 香 (ドイツの 哲 学 思 想 文 化 )... 5 高 名 康 文 ( 中 世 フランス 文 学 現 代 フランス 事 情 )... 6 高 原 照 弘 (フランス 文 学 17~18 世 紀 フランス 文 化 )... 7 時 田 郁 子 (ドイツ 語 ドイツ 文 学 )... 7 戸 部 順 一 (ギリシア ローマ 古 典 文 化 )... 8 富 山 典 彦 (ドイツ 語 ドイツ 文 学 )... 9 中 野 智 世 (ドイツ 史 )... 9 林 田 伸 一 (フランス 史 )... 10 村 瀬 鋼 (フランス 思 想 哲 学 )... 11 2015 年 4 月 ヨーロッパ 文 化 学 科
ヨーロッパ 文 化 学 科 の1 年 生 の 皆 さんへ 読 書 する 青 春 のために あなた 自 身 の 金 の 鉱 脈 を 探 せ ヨーロッパ 文 化 学 科 の 教 科 内 容 に 属 する 各 分 野 の 基 本 的 な 文 献 を 先 生 方 に 挙 げていただきま した どれも 若 いときに 読 んでおくと 一 生 の 糧 になるような 重 要 な 書 物 です 一 度 は 手 にと り 眼 を 通 して 損 はありません ゆっくりと 本 の 世 界 をさまようぜいたくが 出 来 るのも 皆 さんの 年 頃 しかありません 今 のうちですよ 読 書 する 青 春 のために ぜひこの 読 書 案 内 を 利 用 してく ださい とはいえ このブックガイドは とりわけ 次 のような 具 体 的 な 目 的 を 想 定 してもいます 今 から 卒 論 をにらんで 専 門 的 な 学 習 に 入 っていく 3 年 生 になったとき 戸 惑 わないためにも そして 四 年 間 の 知 的 生 活 が 立 派 な 卒 業 論 文 として 結 実 するためにも 1 2 年 生 のうちに 興 味 のあるものから 読 んで おくことが 大 事 です 今 のうちから 3 年 生 4 年 生 で 取 り 組 むことになる 卒 業 論 文 でどのよう なテーマを 選 ぶか 自 分 の 興 味 がどこにあり その 関 心 をどの 方 向 に 伸 ばしたら 学 生 生 活 が 豊 か なものになるのか 様 々な 本 にあたって 自 分 の 中 の 鉱 脈 を 探 ってみてください 思 いがけない ところに 金 の 鉱 脈 が 埋 まっているかもしれません そのためにも 広 範 囲 な 分 野 での 重 要 文 献 を 挙 げてあるこのリストを 活 用 してください 日 々の 道 しるべとして 皆 さんは 様 々な 授 業 で レポートや 論 文 などの 課 題 を 課 されることがあるでしょう そのよう なとき その 分 野 の 必 読 文 献 が 何 か 参 考 図 書 を 探 す 段 階 で 既 に 壁 に 突 き 当 たるかもしれません もし その 科 目 が 必 ずしもヨーロッパ 文 化 学 科 の 科 目 でなくとも 自 分 が 書 こうとしているテー マが このパンフレットの 中 のいずれかの 分 野 に 関 係 があるならば このブックガイドが 本 を 探 す 良 い 道 しるべになるかもしれません もちろん ヨーロッパ 文 化 学 科 の 授 業 科 目 のほとんどで このガイドが 文 献 案 内 として 役 に 立 つことはいうまでもありません 学 校 の 授 業 で 何 かの 必 要 にせまられて 本 を 探 さなければならないとき このブックガイドが 役 に 立 たないか 開 いてみて 損 にはならないでしょう いずれにせよ このブックガイドが 皆 さんの 学 業 の 助 けとして また 人 生 の 春 の 季 節 を 豊 か にするための 一 つの 道 しるべとして 役 に 立 つことを 願 っています 執 筆 者 一 同 1
有 田 英 也 (ヨーロッパの 文 学 文 化 批 評 ) まず 新 入 生 になんとか 読 み 通 してもらいたい 本 を 挙 げる がんばれば 四 五 日 で 読 める 新 書 サイズ 1. 仲 正 昌 樹 不 自 由 論 ちくま 新 書 人 間 とはこうあるべきだ こうであるはずだ というのは 歴 史 的 に 作 られた 考 えだとしよう それなら 善 悪 とか 生 きる 力 とか ヒューマニズムの 根 源 と 限 界 とかいった 問 題 を わたしたちはそのつど どのよう に 考 えたらいいのだろうか この 本 の 著 者 は テレビや 雑 誌 などで 偉 そうな 発 言 をしている 文 化 人 が 嫌 い な 高 校 生 だったそうだが いまや 大 学 教 員 として 本 を 書 き 職 場 の 権 利 問 題 で 同 僚 の 教 授 とやり 合 う( 訴 訟 のことです)うちに 自 分 の 足 下 を 固 めたくなったようだ 同 じ 著 者 の 今 こそアーレントを 読 みなおす ( 講 談 社 現 代 新 書 )も 難 しいけれど お 勧 めしたい 2. 清 岡 智 比 古 エキゾチック パリ 案 内 平 凡 社 新 書 旅 行 本 と 思 えるタイトルだが そこにはユダヤ 人 街 アラブ アジア 人 街 など 移 民 が 暮 らす 都 市 の 情 景 が 描 かれている ムスリムのスカーフ(ヘジャブ)を 被 る 女 性 たちが 今 日 のフランス 社 会 に 投 げかける 問 題 についても 語 られる 著 者 は NHK のフランス 語 番 組 の 講 師 だったこともある 真 面 目 な 先 生 です 3. 浅 野 素 女 パリ 二 十 区 の 素 顔 集 英 社 新 書 パリガイドというより 現 地 リポートといった 感 じの 本 パリは 住 んでいる 街 区 で 生 活 習 慣 から 交 際 範 囲 まで 大 きく 異 なる 街 2008 年 3 月 の 地 方 選 挙 では 右 翼 と 左 翼 の 区 長 たちが 街 を 東 西 真 っぷたつに 分 けた もち ろんこの 本 は 社 会 調 査 ではないが 現 代 フランス 人 の 家 族 観 を 描 いた 著 書 がすでに 数 冊 ある 浅 野 ならではの 興 味 深 いインタヴューが 読 める 次 は ヨーロッパの 文 学 思 想 から おおむね 文 庫 サイズで 4.セルバンテス 牛 島 信 昭 訳 ドン キホーテ 岩 波 文 庫 ( 新 版 ) ディスカウントの 店 ではないよ ハムレット と 並 んで ヨーロッパ 近 代 文 学 の 主 人 公 の 典 型 を 作 り 出 し た 作 品 ちなみに 両 作 の 共 通 点 は 主 人 公 の 憂 い 顔 と 狂 気 です 5.チャペック 園 芸 家 の 一 年 平 凡 社 ライブラリー チェコの 作 家 チャペックの 存 在 は ユーラシア 大 陸 の 半 島 ヨーロッパが 小 国 の 集 まりだと 教 えてくれ る 最 初 に 読 んだのはドイツ 語 から 重 訳 された 園 芸 家 十 二 ヶ 月 ( 中 公 文 庫 )だったが これはチェコ 語 原 典 からの 翻 訳 6.ベンヤミン 子 どものための 文 化 史 平 凡 社 ライブラリー ベンヤミンの 主 著 はこれではなく 芸 術 論 なら 複 製 技 術 アウラ(オーラ) といった 術 語 が 大 切 だろ う けれども 切 手 人 形 劇 大 道 芸 ジプシー( 流 浪 の 人 びと) カリオストロ おもちゃ といったテ ーマについてのエッセイは ここ 10 年 ほど 幼 年 時 代 の 回 想 というフランス 文 学 のジャンルについて 勉 強 しているわたしにとって 珠 玉 の 作 品 ばかりだ 7.コクトー 河 盛 好 蔵 訳 山 師 トマ 角 川 文 庫 フランス 映 画 によく 出 てくる 愛 すべき 不 良 たちの 泣 き 笑 い これで 卒 論 を 書 いた 学 生 もいた 2
8.ジオノ 丘 岩 波 文 庫 この 作 家 の 短 編 木 を 植 えた 男 を 読 んだ 人 その 色 鉛 筆 によるアニメ 化 作 品 を 観 た 人 もいるかもしれない この 小 説 は 南 仏 の 住 民 数 世 帯 の 山 村 で 自 然 が 人 間 たちに 襲 いかかるさまを 詩 的 に 描 く スタジオジブリ のアニメや 漆 原 友 紀 のマンガ 蟲 師 と 比 較 してもいいだろう ゼミナールでテキストにしました 北 山 研 二 ( 広 域 芸 術 論 ) (アート 関 係 ) 1. マルセル デュシャン 著 ミシェル サヌイエ 編 マルセル デュシャン 全 著 作 北 山 研 二 訳 未 知 谷 1995 年 2. ジョルジュ シャルボニエ デュシャンとの 対 話 北 山 研 二 訳 みすず 書 房 1997 年 3.サルヴァドール ダリ 著 ダリはダリだ 北 山 研 二 訳 未 知 谷 2011 年 4. 三 井 秀 樹 美 のジャポニズム 文 春 新 書 1999 年 5. 馬 渕 明 子 ジャポニスム 幻 想 の 日 本 ブリュッケ 2004 年 6. 高 階 秀 爾 近 代 絵 画 史 ゴヤからモンドリアンまで ( 上 下 ) 中 公 新 書 1975 年 7. 田 中 英 道 画 家 と 自 画 像 描 かれた 西 洋 の 精 神 講 談 社 学 術 文 庫 2003 年 ( 庭 園 風 景 関 係 ) 8. 岩 切 正 介 ヨーロッパの 庭 園 美 の 楽 園 をめぐる 旅 中 公 新 書 2008 年 9.ガブリエーレ ヴァン ズイレン ヨーロッパ 庭 園 物 語 ( 知 の 再 発 見 双 書 ) 小 林 章 夫 訳 創 元 社 1999 年 10. 澤 田 肇 北 山 研 二 南 明 日 香 編 著 パリという 首 都 風 景 の 誕 生 フランス 大 革 命 から 世 界 大 恐 慌 まで 上 智 大 学 出 版 会 2014 年 ( 写 真 関 係 ) 11.ヴァルター ベンヤミン 図 説 写 真 小 史 久 保 哲 司 訳 ちくま 学 芸 文 庫 1998 年 12.ロラン バルト 明 るい 部 屋 花 輪 光 訳 みすず 書 房 1985 年 13.スーザン ソンタグ 写 真 論 ( 近 藤 耕 人 訳 ) 1979 年 ( 映 画 関 係 ) 14.ヴァルター ベンヤミン ベンヤミン コレクション 1 近 代 の 意 味 久 保 哲 司 訳 浅 井 健 二 郎 編 訳 ちくま 学 芸 文 庫 1998 年 15. 小 松 弘 起 源 の 映 画 青 土 社 1991 年 末 永 朱 胤 ( 言 語 学 言 語 文 化 論 ) 三 つのテーマで 紹 介 します A 言 葉 の 不 思 議 言 語 学 入 門 B 日 本 語 も 面 白 い C 言 語 学 の 広 がり 3
A 言 葉 はこんなに 面 白 い 言 語 の 不 思 議 さから 言 語 学 へ 1. 丸 山 圭 三 郎 言 葉 とは 何 か 夏 目 書 房 1994 年 言 語 とは 第 二 の 自 然 である 平 易 な 語 り 口 の 中 に 言 葉 の 不 思 議 さ 奥 深 さに 気 づかされる ソシュール 以 来 の 言 語 学 の 基 本 概 念 がわかりやすく 解 説 され 入 門 に 最 適 2. 鈴 木 孝 夫 ことばと 文 化 岩 波 新 書 1973 年 え そうだったのか!ことばがいかにわたしたちのものの 見 方 や 行 動 に 影 響 を 与 えているかを 多 くの 具 体 例 を 通 して 教 えられる 同 じ 著 者 の 日 本 語 と 外 国 語 岩 波 新 書 1990 年 も 必 読 の 一 冊 3. 大 橋 保 夫 ほか フランス 語 とはどういう 言 語 か 駿 河 台 出 版 社 1993 年 フランス 語 がどのように 使 われるか 具 体 的 な 例 を 通 して 興 味 をかきたてるフランス 語 学 への 恰 好 の 入 門 書 面 白 く 読 み 進 むうちに 言 語 学 の 専 門 的 な 内 容 まで 学 べる 4. 加 賀 野 井 秀 一 20 世 紀 言 語 学 入 門 講 談 社 現 代 新 書 1995 年 言 語 学 は 20 世 紀 最 も 発 達 した 科 学 の 一 つであり 現 在 では 様 々な 専 門 分 野 に 枝 分 かれしているが この 一 冊 で 現 代 言 語 学 の 全 貌 をつかむことができる B 日 本 語 はこんなに 面 白 かったのか! 目 からうろこが 落 ちる 5. 金 谷 武 洋 日 本 語 文 法 の 謎 を 解 く ある 日 本 語 と する 英 語 ちくま 新 書 2003 年 日 本 語 には 主 語 は 要 らない 日 本 語 は 従 来 の 西 洋 式 文 法 ではわからない 言 語 とは 世 界 の 見 方 であり 日 本 語 の 発 想 は 西 洋 語 とは 全 く 違 うからだ それは 自 然 を 受 けいれて 生 きる 独 特 の 行 動 様 式 の 表 われである 6. 柳 父 章 翻 訳 語 成 立 事 情 岩 波 新 書 1982 年 なんと 社 会 個 人 近 代 恋 愛 など 普 段 何 気 なく 使 っている 様 々な 言 葉 が 実 は 一 世 紀 余 り 前 ま では 全 く 日 本 語 になかった! 翻 訳 語 という 視 点 からの 卓 抜 な 日 本 論 C 言 語 について 考 えると 世 界 が 違 って 見 えて 来 る 言 語 学 の 広 がり 7. 丸 山 圭 三 郎 ソシュールの 思 想 岩 波 書 店 1981 年 現 代 思 想 のキーワードは 言 語 だ 言 語 学 が 人 類 学 文 学 哲 学 精 神 分 析 などの 諸 分 野 を 大 きく 変 え た これを 構 造 主 義 という 構 造 主 義 の 父 ソシュールの 全 体 像 を 初 めて 明 らかにした 代 表 的 研 究 書 8. 立 川 健 二 山 田 広 昭 現 代 言 語 論 新 曜 社 1990 年 精 神 分 析 も 哲 学 も 現 代 思 想 は 言 語 理 論 をもとに 大 きく 転 回 した 読 書 案 内 という 形 式 で 20 世 紀 の 代 表 的 な 思 想 を 解 明 する 9. 土 田 知 則 ほか 現 代 文 学 理 論 新 曜 社 1996 年 今 日 では 文 学 も 言 語 理 論 抜 きでは 語 れない 現 代 の 主 要 な 文 学 理 論 を 網 羅 し 鋭 く 解 説 する 10. 丸 山 圭 三 郎 文 化 のフェティシズム 勁 草 書 房 1985 年 人 間 は 言 語 によって 創 り 出 された 幻 想 を 生 きる 動 物 である 日 本 のソシュール 研 究 に 一 時 代 を 画 した 丸 山 が ソシュール 理 論 から 出 発 して 大 胆 に 展 開 した 壮 大 な 文 化 論 おまけ ソシュール 一 般 言 語 学 講 義 小 林 英 夫 訳 岩 波 書 店 1972 年 1916 年 に 出 版 された 原 書 は 現 代 の 言 語 学 と 記 号 学 の 誕 生 をうながし 現 代 の 思 想 に 多 大 の 影 響 を 与 えた 言 語 学 だけでなく 現 代 思 想 のほとんどの 源 がここにある 古 典 4
予 備 知 識 のない 人 は1.から 順 に 読 んでいくとよいでしょう もちろん 自 分 の 興 味 のわくものから 手 当 た り 次 第 に 読 んでいっても 結 構 です 言 語 学 辞 典 次 のようなものがあります 学 習 に 役 立 ててください デュボワほか ラルース 言 語 学 用 語 辞 典 大 修 館 書 店 1980 年 : 基 本 的 かつ 重 要 な 用 語 概 念 を 網 羅 デュクロ トドロフ 言 語 理 論 小 辞 典 朝 日 出 版 社 1975 年 : 論 文 集 としても 読 める 最 強 の 参 考 書 丸 山 圭 三 郎 編 ソシュール 小 事 典 大 修 館 書 店 1985 年 : 天 才 ソシュールと 20 世 紀 への 巨 大 な 影 響 がわかる 質 問 があったら suenaga@seijo.ac.jp へ いつでも 歓 迎 します 陶 久 明 日 香 (ドイツの 哲 学 思 想 文 化 ) 1.ジェームズ レイチェルズ 現 実 をみつめる 道 徳 哲 学 - 安 楽 死 からフェミニズムまで 古 牧 徳 生 次 田 憲 和 訳 晃 洋 書 房 2003 年 :この 本 では 哲 学 の 一 分 野 としての 道 徳 哲 学 においてどのようなことが 問 題 とされるかが 様 々な 具 体 例 実 際 に 起 こったケースに 即 して 説 明 されていてとても 面 白 く 読 めます ドイツ 哲 学 に 直 接 関 連 するのは 第 九 章 と 第 十 章 ですが 読 みながら 筆 者 と 共 に 考 えることを 求 められるような 内 容 なので 他 にも 興 味 が 持 てそう なところを 拾 い 読 みすることをお 勧 めします 特 に 第 二 章 からは 文 化 の 違 いというものを 考 える 上 での 様 々な 問 題 を 知 ることができると 思 います 2. 谷 徹 著 これが 現 象 学 だ 講 談 社 現 代 新 書 2002 年 : 現 象 学 関 係 の 入 門 書 です 現 象 学 とはなにか それにおいて 意 識 時 間 空 間 世 界 自 我 といったことが そもそもなぜ 問 題 になるのか 問 われざるを 得 ないのか ということに 興 味 がある 人 は 是 非 手 に 取 ってみ てください 3. 秋 富 克 哉 安 部 浩 古 荘 真 敬 森 一 郎 編 ハイデガー 読 本 法 政 大 学 出 版 局 2014 年 :ハイデッガーの 主 要 作 品 の 内 容 が 諸 学 者 向 けに 紹 介 されています これを 読 んで 興 味 が 持 てた 著 作 や 論 稿 が あったら ハイデッガー 自 身 のものを 読 んでみましょう 初 学 者 のみなさんにお 勧 めしたいのは 形 而 上 学 の 根 本 諸 概 念 ( 川 原 栄 峰 セヴェリン ミュラー 訳 創 文 社 1998 年 )です 大 学 で 実 際 に 行 われた 講 義 原 稿 を 基 にした 本 なので 比 較 的 分 かりやすく 退 屈 とか 動 物 など 身 近 な 事 象 についての 考 察 が 面 白 いです また この 法 政 大 学 出 版 局 の 読 本 シリーズは 他 にも ライプニッツ 読 本 ショー ペンハウアー 読 本 などいろいろあります 4.ジャン=リュック ナンシー 著 侵 入 者 -いま< 生 命 >はどこに? 西 谷 修 訳 編 以 文 社 2000 年 : 自 身 の 心 臓 移 植 の 経 験 を 綴 ったドキュメンタリーです ドイツではなくフランスの 現 象 学 者 の 本 なのですが 引 き 込 まれるように 読 んでしまえるのでお 勧 めします 小 論 ですが 私 他 者 身 体 技 術 など 様 々なことを 考 えるきっかけを 与 えてくれます 5
5. 和 辻 哲 郎 著 風 土 岩 波 文 庫 1979 年 :ドイツの 現 象 学 者 たちからの 影 響 を 受 けつつも 独 自 の 仕 方 で 風 土 という 事 象 を 究 明 したものです 風 土 気 候 の 違 いがもたらす 様 々な 文 化 的 な 違 いが 分 かりやすく 描 かれています 自 分 で 思 考 しながら 言 葉 を 紡 ぐということの 大 変 さと 面 白 さが 伝 わってきます 6. 大 橋 良 介 著 日 本 的 なもの ヨーロッパ 的 なもの 講 談 社 学 術 文 庫 2009 年 : 筆 者 は ヨーロッパ 由 来 の 哲 学 を 己 のものにするために 奮 闘 した 日 本 人 たちの 試 みを 見 ていき その ことを 通 じて 逆 にヨーロッパ 近 代 にも 新 たな 光 をあてて 考 察 しています 日 本 的 なもの ヨーロッパ 的 なもの といっても 2 つの 文 化 がたんに 横 並 びに 別 個 に 論 じられるのではないというのが この 本 の 魅 力 です 7. 田 村 光 彰 村 上 和 光 岩 淵 正 明 編 著 現 代 ドイツの 社 会 文 化 を 知 るための48 章 明 石 書 店 2003 年 8. 浜 本 隆 志 柳 原 初 樹 著 最 新 ドイツ 事 情 を 知 るための50 章 明 石 書 店 2009 年 9. 浜 本 隆 志 高 橋 憲 編 著 現 代 ドイツを 知 るための62 章 ( 第 2 版 ) 明 石 書 店 2013 年 :7~9 はいずれも 現 代 ドイツ 社 会 ならびに 文 化 についてのかなり 基 本 的 な 情 報 を 提 供 してくれます 常 識 として 知 っておくべき 最 低 限 のことはこれらを 読 むと 分 かるようになります 10.フランク リースナー 著 私 は 東 ドイツに 生 まれた- 壁 の 向 こうの 日 常 生 活 清 野 智 昭 監 修 生 田 幸 子 訳 東 洋 書 店 2012 年 : 今 はない 旧 東 ドイツ(ドイツ 民 主 共 和 国 )に 関 するいろんな 情 報 が 分 かりやすく 描 かれています 高 名 康 文 ( 中 世 フランス 文 学 現 代 フランス 事 情 ) 私 が 中 世 フランス 文 学 を 研 究 するきっかけになった 本 を 思 いつくがままにあげておきます 中 にはいま 書 店 に 出 回 っていないものもありますが 大 学 や 公 共 の 図 書 館 に 蔵 書 されています 文 庫 本 になっている 翻 訳 には 次 のようなものがあります 1. ベディエ 編 佐 藤 輝 夫 訳 トリスタン イズー 物 語 岩 波 文 庫 2. 新 倉 俊 一 訳 結 婚 十 五 の 歓 び 岩 波 文 庫 3. マリー ド フランス 月 村 辰 雄 訳 12 の 恋 の 物 語 岩 波 文 庫 4. 鈴 木 福 本 原 野 訳 狐 物 語 岩 波 文 庫 また 5. 新 倉 神 沢 天 沢 訳 フランス 中 世 文 学 集 全 4 巻 白 水 社 は 上 に 紹 介 した 作 品 も 含 めた 中 世 文 学 のアンソロジーです 新 入 生 のみなさんには 2 巻 と4 巻 に 収 められた クレチアン ド トロワらによるアーサー 王 の 物 語 がお 勧 めです 6
私 は1,3 のような 作 品 でケルト 文 化 を 背 景 とした 驚 異 騎 士 たちの 宮 廷 風 の 恋 愛 作 法 といったものが 描 かれ ている 横 で 2,4 のような 作 品 では 時 としてどうしょうもないエロチックな 話 スカトロジーがあけすけに 展 開 されているのを 見 て 中 世 文 学 というのは 人 間 にとって 喜 ばしいものの 詰 まった 宝 箱 のようだなと 感 じたの でした 同 じように 感 じてくれる 人 がいれば 6. 原 野 昇 編 フランス 中 世 文 学 を 学 ぶ 人 のために 世 界 思 想 社 を 読 むと この 時 代 の 文 学 の 魅 力 を 知 ると 同 時 に 原 典 に 接 するためにはどのような 勉 強 をしなくてはならな いのかを 知 ることができるでしょう やがて 時 代 背 景 を 知 るために 7. ホイジンガ 堀 越 孝 一 訳 中 世 の 秋 ( 上 下 巻 ) 中 公 文 庫 のような 大 著 にも 挑 戦 することになるのではないでしょうか? ゼミと 演 習 を 担 当 する 現 代 フランス 事 情 については 8. 井 上 たか 子 編 著 フランス 女 性 はなぜ 結 婚 しないで 子 どもを 産 むのか 勁 草 書 房 9. 平 野 千 果 子 フランス 植 民 地 主 義 の 歴 史 奴 隷 制 廃 止 から 植 民 地 帝 国 の 崩 壊 まで 人 文 書 院 10. 宮 島 喬 移 民 社 会 フランスの 聞 き 岩 波 書 店 を 挙 げておきます 現 代 フランスの 魅 力 ばかりではなく この 国 が 抱 える 様 々な 問 題 が 見 えてくるでしょう 高 原 照 弘 (フランス 文 学 17~18 世 紀 フランス 文 化 ) 1. デカルト 方 法 序 説 ほか 野 田 又 夫 訳 ほか 中 公 クラシックス 2001 年 2. ルネ デカルト 方 法 序 説 山 田 弘 明 訳 ちくま 学 芸 文 庫 2010 年 3. 山 田 弘 明 デカルト 方 法 序 説 晃 洋 書 房 哲 学 書 概 説 シリーズⅠ 2011 年 4. ラ ロシュフコー 箴 言 集 二 宮 フサ 訳 岩 波 文 庫 1989 年 5. 塩 川 徹 也 パスカル パンセ を 読 む 岩 波 書 店 2014 年 6. ルソー 人 間 不 平 等 起 原 論 本 田 喜 代 治 平 岡 昇 訳 岩 波 文 庫 1972 年 改 訳 7. ルソー 人 間 不 平 等 起 原 論 / 社 会 契 約 論 小 林 善 彦 / 井 上 幸 治 訳 中 公 クラシックス 2005 年 8. ルソー エミール 今 野 一 雄 訳 岩 波 文 庫 上 中 下 1962~64 年 9. 長 谷 川 輝 夫 大 久 保 桂 子 土 肥 恒 之 ヨーロッパ 近 世 の 開 花 中 公 文 庫 世 界 の 歴 史 17 2009 年 10. 松 本 宣 郎 編 キリスト 教 の 歴 史 1 山 川 出 版 社 宗 教 の 世 界 史 8 2009 年 高 柳 俊 一 松 本 宣 郎 編 キリスト 教 の 歴 史 2 山 川 出 版 社 宗 教 の 世 界 史 9 2009 年 時 田 郁 子 (ドイツ 語 ドイツ 文 学 ) 皆 さんの 中 には 文 学 研 究 はただの 読 書 と 違 うけれども 具 体 的 には 何 をすればよいのか 疑 問 に 思 っている 人 も 多 いと 思 います 以 下 に まず テクストに 面 白 い 角 度 からアプローチする 具 体 例 となる 本 を 次 いで テクストが 成 立 した 時 代 の 思 想 的 状 況 を 理 解 するための 本 を 最 後 に 時 間 のある 学 生 時 代 にこそ 読 むべき 長 編 小 説 をいくつか 挙 げます 古 典 的 作 品 にはさまざまな 翻 訳 がありますので お 好 きなものを 選 んでください 翻 訳 では 物 足 りないと 思 ったら 原 典 に 挑 戦 しましょう! 7
文 学 作 品 を 面 白 く 読 むものとして 1. 種 村 季 弘 畸 形 の 神 あるいは 魔 術 的 跛 者 ( 青 土 社 ) 2. 今 橋 映 子 異 都 憧 憬 - 日 本 人 のパリ ( 平 凡 社 ライブラリー) 3. 高 山 宏 奇 想 天 外 英 文 学 講 義 -シェイクスピアから ホームズ へ ( 講 談 社 選 書 メチエ) ドイツ モデルネの 状 況 を 知 る 糸 口 として 4. 生 松 敬 三 二 十 世 紀 思 想 渉 猟 ( 岩 波 現 代 文 庫 ) 5. 上 山 安 敏 神 話 と 科 学 -ヨーロッパ 知 識 社 会 世 紀 末 ~20 世 紀 ( 岩 波 現 代 文 庫 ) 6. 木 田 元 マッハとニーチェ 世 紀 転 換 期 思 想 史 ( 講 談 社 学 術 文 庫 ) 7. フリードリヒ ニーチェ ツァラトゥストラ ( 中 公 文 庫 ) 8. ジークムント フロイト 精 神 分 析 学 入 門 ( 中 公 文 庫 ) ヨーロッパの 長 編 小 説 9. ヨハン ヴォルフガング フォン ゲーテ ファウスト ( 岩 波 文 庫 ) 10. ヘンリク シェンキェヴィチ クォ ヴァディス-ネロの 時 代 の 物 語 ( 上 中 下 ) ( 岩 波 文 庫 ) 11. フョードル ドストエフスキ- カラマーゾフの 兄 弟 ( 第 一 巻 ~ 第 四 巻 ) ( 岩 波 文 庫 ) 12. ミハイル ブルガーコフ 巨 匠 とマルガリータ ( 河 出 書 房 新 社 ) 戸 部 順 一 (ギリシア ローマ 古 典 文 化 ) 西 洋 古 典 関 連 の 読 んでおくべき 図 書 ギリシア ローマ 文 学 作 品 は 多 岐 に 渡 り 多 数 あるゆえ どれを 読 めと 指 示 することは 困 難 まずはどんな 作 品 であれ 手 にとって 読 んでみよう ただ まず 最 初 に ということなら 叙 事 詩 (ホメロス ヘシオド ス ローマ 文 学 ではウエルギリウス オイディウスの 作 品 ) 悲 劇 (アイスキュロス ソポクレス エウリピ デス) 喜 劇 (アリストパネス メナンドロス) 歴 史 文 学 (ヘロドトス トゥキュディアス) 哲 学 (プラ トン)あたりから 入 るのがよろしいか また 古 代 ギリシャ ローマ 文 学 を 生 んだ 素 地 としての 古 代 世 界 を 理 解 するための 参 考 書 として 以 下 の 図 書 を 薦 めておく 1. 私 たちのギリシア 人 K.J.ドヴァー 久 保 正 彰 訳 青 土 社 2. ギリシア 人 と 非 理 性 E.R.ドッズ 岩 田 靖 夫 水 野 一 訳 みすず 書 房 3. ギリシア 人 の 経 験 C.M.バウラ 水 野 一 土 屋 賢 二 訳 みすず 書 房 4. ゼウスの 正 義 ロイド ジョーンズ 真 方 忠 道 陽 子 訳 岩 波 書 店 5. ギリシア 人 ロイド ジョーンズ 三 浦 一 郎 訳 岩 波 書 店 6. ギリシア 神 話 呉 茂 一 新 潮 社 7. 神 秘 哲 学 Ⅰ Ⅱ 井 筒 俊 彦 人 文 書 院 8. 古 代 の 芸 術 と 祭 祀 J.E.ハリスン 星 野 徹 訳 法 政 大 学 出 版 9. 世 界 の 歴 史 (ギリシアとローマ) 桜 井 万 里 子 本 村 凌 二 中 央 公 論 社 10. 古 代 ギリシア ローマの 文 学 逸 身 喜 一 郎 法 政 大 学 教 材 8
富 山 典 彦 (ドイツ 語 ドイツ 文 学 ) 1. 藤 本 淳 雄 他 ドイツ 文 学 史 [ 第 2 版 ] 東 京 大 学 出 版 会 1995 年 2. 高 木 昌 史 グリム 童 話 を 読 む 事 典 三 交 社 2002 年 3. エルンスト ヨーゼフ ゲルリヒ オーストリア 文 学 史 清 水 健 次 土 屋 明 人 訳 南 江 堂 1983 年 4. 南 塚 信 吾 編 ドナウ ヨーロッパ 史 山 川 出 版 社 1999 年 5. 大 津 留 厚 ハプスブルク 帝 国 山 川 出 版 社 1996 年 6. セルデン ラマーン ガイドブック 現 代 文 学 理 論 栗 原 裕 訳 大 修 館 書 店 1989 年 7. C マグリス オーストリア 文 学 とハプスブルク 神 話 鈴 木 隆 雄 他 訳 書 肆 風 の 薔 薇 1990 年 8. 平 岡 達 治 輪 舞 の 都 ウィーン 円 型 都 市 の 歴 史 と 文 化 人 文 書 院 1996 年 9. 小 塩 節 監 修 聖 書 を 彩 る 女 性 たち その 文 化 への 反 映 毎 日 新 聞 社 2002 年 10. 池 内 紀 ウィーン -ある 都 市 の 物 語 - ちくま 文 庫 1989 年 中 野 智 世 (ドイツ 史 ) 手 軽 に 手 に 取 れる 1 冊 として これまで 学 生 の 皆 さんに 薦 めてきたものをいくつかあげます まず 19 20 世 紀 の 近 現 代 ヨーロッパ 史 の 諸 問 題 を 知 るためには 通 勤 通 学 の 間 に 読 むことのできる 手 軽 さをめざして 編 まれた 世 界 史 リブレット シリーズの 以 下 のものなどがあります 1. 谷 川 稔 国 民 国 家 とナショナリズム 山 川 出 版 社 1999 年 2. 木 谷 勤 帝 国 主 義 と 世 界 の 一 体 化 山 川 出 版 社 1997 年 また 古 代 から 現 代 まで 歴 史 のなかの 女 性 に 目 をむけたものとして 3. 三 成 美 保 ほか 編 歴 史 を 読 み 替 える ジェンダーから 見 た 世 界 史 大 月 書 店 2014 年 ドイツ 史 に 限 定 してみると 最 もコンパクトな 概 説 で 図 版 やデータも 豊 富 な 次 のもの 4. 石 田 勇 治 編 図 説 ドイツの 歴 史 河 出 書 房 新 社 2007 年 その 逆 に もっとも 詳 細 な 正 史 で 読 みとおすというよりは いろいろと 調 べるための 最 強 のツールと なるのが 歴 史 大 系 シリーズの 以 下 のものです 5. 成 瀬 治 ほか 世 界 歴 史 大 系 ドイツ 史 1~3 巻 山 川 出 版 社 1996~97 年 さらに 卒 業 論 文 をみすえ ドイツ 史 を 研 究 しようとうする 際 の 手 引 きとなるのが 6. 木 村 靖 二 ほか 編 ドイツ 史 研 究 入 門 山 川 出 版 社 2014 年 個 別 のテーマについてはそれこそ 数 限 りなくありますが さしあたりの 基 本 文 献 として 7. 藤 原 辰 史 カブラの 冬 第 一 次 世 界 大 戦 期 ドイツの 飢 饉 と 民 衆 人 文 書 院 2011 年 8. 芝 健 介 ホロコースト ( 中 公 新 書 ) 中 央 公 論 新 社 2008 年 などはいかがでしょうか 9
最 後 に 歴 史 書 ではありませんが 時 代 や 社 会 の 変 化 過 去 と 現 在 についてさまざまに 考 えるきっかけを 与 えてくれる 小 説 と 自 伝 演 説 をひとつずつあげておきます 特 に 9 10 は 重 厚 で 手 軽 どころではありませ んが 興 味 のある 人 は 挑 戦 してみて 下 さい 9.T.マン 望 月 市 恵 訳 ブッデンブローク 家 の 人 びと 上 中 下 岩 波 文 庫 1969 年 10.S.ツヴァイク 原 田 義 人 訳 昨 日 の 世 界 I,II みすず 書 房 1999 年 11.R.v.ヴァイツゼッカー 永 井 清 彦 訳 新 版 荒 れ 野 の 40 年 岩 波 ブックレット 2009 年 林 田 伸 一 (フランス 史 ) 1. 福 井 憲 彦 編 フランス 史 < 世 界 各 国 史 12> 山 川 出 版 社 2001 年 2. 柴 田 三 千 雄 ほか 編 世 界 歴 史 大 系 フランス 史 1 ~3 山 川 出 版 社 1995~96 年 3. 望 田 幸 男 ほか 編 増 補 西 洋 近 現 代 史 研 究 入 門 名 古 屋 大 学 出 版 会 2000 年 4. 佐 藤 彰 一 ほか 編 西 洋 中 世 史 研 究 入 門 名 古 屋 大 学 出 版 会 2001 年 5. 饗 庭 孝 男 編 フランス 六 章 有 斐 閣 1980 年 6. 西 川 長 夫 国 境 の 越 え 方 筑 摩 書 房 1992 年 V 文 化 の 国 境 を 越 えるために 7. 阿 部 謹 也 ヨーロッパ 中 世 の 宇 宙 観 講 談 社 学 術 文 庫 1991 年 8. 堀 米 庸 三 編 中 世 の 森 の 中 で 生 活 の 世 界 歴 史 6 河 出 書 房 新 社 1975 年 ( 現 在 は 河 出 文 庫 に 収 録 ) 9. 角 山 栄 編 産 業 革 命 と 民 衆 生 活 の 世 界 歴 史 10 河 出 書 房 新 社 1975 年 ( 現 在 は 河 出 文 庫 に 収 録 ) 10. E.パウア 中 世 に 生 きる 人 々 東 大 出 版 会 1969 年 11. G.ルフェーヴル 1789 年 -フランス 革 命 序 論 1975 年 岩 波 書 店 ( 現 在 は 岩 波 文 庫 に 収 録 ) 12. 平 野 千 果 子 フランス 植 民 地 の 歴 史 人 文 書 院 2002 年 フランスの 通 史 としては 1 2 がある それぞれの 巻 末 に 詳 しい 文 献 案 内 がついているので 自 分 でさら に 勉 強 を 深 めようとする 者 にとっても 利 用 価 値 が 高 い さらに 詳 しい 研 究 案 内 としては 3 4 がある 日 本 の 西 洋 史 研 究 が 何 を 問 題 にしているかが 分 かる 卒 論 のテーマを 設 定 するときのヒントにもなる また 図 書 館 の 端 末 による 検 索 では 単 行 本 についての 情 報 しか 得 られないが 研 究 者 が 書 いた 専 門 的 な 論 文 卒 業 論 文 では これを 利 用 することが 多 くなる-の 分 野 別 リストがある 点 でも 有 益 フランス 文 化 の 特 質 を 考 えるためには 5 6 がよい 欧 米 でも 日 本 でも 1960 年 代 末 から 国 民 国 家 の 枠 組 やその 中 での 政 治 的 大 事 件 よりも 人 々の 日 常 生 活 や 心 性 のあり 方 を 重 視 する 傾 向 を 強 めたが( 社 会 史 と 呼 ばれる) そうした 研 究 の 代 表 的 なものとして 7 8 9 がある そのほかに 高 度 な 内 容 と 読 みやすい 叙 述 が 結 びついている 10 11 と フランスの 歴 史 を 考 える 上 で 欠 か すことのできない 植 民 地 問 題 の 基 本 的 な 文 献 である 12 を 挙 げておこう 10
村 瀬 鋼 (フランス 思 想 哲 学 ) 1. 中 島 義 道 哲 学 の 教 科 書 講 談 社 学 術 文 庫 2001 年 一 見 タイトルとは 裏 腹 に しかしうがって 言 えばまさにタイトルに 忠 実 に 著 者 の 私 的 人 生 の 哀 切 感 がに じんだ 絶 好 の 哲 学 入 門 となっています その 繊 細 で 小 心 で 巧 みな 語 り 口 に うならされ また 笑 わせられる 愉 しい 本 です 2. 森 有 正 生 きることと 考 えること 講 談 社 現 代 新 書 1984 年 著 者 は 日 本 人 としてフランス 哲 学 の 核 心 にあるものを 最 も 深 く 汲 んだ 思 想 家 の 一 人 です 安 定 した 地 位 をなげうって 四 十 歳 近 くからフランスに 移 り 住 んだ 彼 は 日 本 とヨーロッパとの 鋭 い 差 異 の 底 で 日 本 でも ヨーロッパでもないただの 私 の 経 験 に 直 面 します そんな 思 考 の 経 緯 をかみくだいて 語 った 本 3. デカルト 省 察 デカルトは 方 法 叙 説 が 一 番 有 名 で そっちもぜひ 読 んで 欲 しいのですが 哲 学 の 本 としてはむしろ 省 察 を 奨 めます 省 察 は 私 を 主 人 公 にした 思 考 の 冒 険 譚 です 面 白 いですよ 私 とは むろ ん いまこれを 読 んでいるあなたのことでもあります とりあえず 第 二 省 察 まで 読 んでみて 下 さい あ 私 ってこれだ ということがわかる 仕 組 みになっています 翻 訳 はいくつかあるので 読 みやすそうなもの を 選 んでください 4. ベルクソン 思 想 と 動 くもの 河 野 与 一 訳 岩 波 文 庫 1998 年 ベルクソンはフランス 哲 学 でデカルトと 並 んで 大 きなまた 個 性 的 な 哲 学 者 です 時 間 と 私 と 生 命 を 主 題 にした 彼 の 驚 くべき 哲 学 の 入 門 として 論 文 集 思 想 と 動 くもの のなかの 形 而 上 学 入 門 (た だしこの 訳 書 では 哲 学 入 門 と 訳 されている)と 変 化 の 知 覚 という 二 つの 論 文 を 勧 めます 読 んだ 後 では 世 界 の 見 え 方 がすっかり 違 ってしまうような そんな 論 文 たちです 翻 訳 はいくつかあり 白 水 社 のベ ルグソン 全 集 に 収 められているものが 一 番 読 みやすいですが 入 手 の 便 の 点 からここでは 岩 波 文 庫 版 を 挙 げ ました 5. 夏 目 漱 石 私 の 個 人 主 義 講 談 社 学 術 文 庫 1978 年 私 の 個 人 主 義 は 最 晩 年 の 漱 石 が 自 分 自 身 の 青 春 期 の 煩 悶 を 辿 り 直 しながら 私 が 私 の 生 を 生 きるということの 意 味 について 学 生 たちに 語 った 日 本 版 の 方 法 叙 説 とも 言 える 講 演 です 私 は この 世 に 生 れた 以 上 何 かしなければならん といって 何 をして 好 いか 少 しも 見 当 がつかない 私 はちょうど 霧 の 中 に 閉 じ 込 められた 孤 独 の 人 間 のように 立 ち 竦 んでしまったのです 6. 内 田 樹 寝 ながら 学 べる 構 造 主 義 文 春 新 書 2002 年 著 者 は おじさんの 思 想 で 有 名 になった 名 エッセイストでもありますが 実 は 現 代 フランス 思 想 の 或 る 分 野 の 専 門 家 でもこの 本 は 専 門 的 な 論 文 などを 読 むと 頭 痛 がしてくる と 言 う 著 者 が あえてシロウ トの 視 点 からいわゆる 現 代 思 想 を 噛 み 砕 いて 説 明 した 本 知 識 内 容 以 前 に その 素 朴 で 正 しい 姿 勢 を 学 んでほしいと 思 います 11
7. トマス ネーゲル 哲 学 ってどんなこと? とっても 短 い 哲 学 入 門 岡 本 裕 一 郎 訳 昭 和 堂 1993 年 私 とは? 他 人 とは?よく 生 きるとは? 知 るとは?といった 哲 学 の 基 本 的 な 問 いに 関 する 哲 学 的 考 察 の 基 本 形 を どんな 専 門 知 識 も 前 提 とせずどんな 書 物 も 引 用 せずに 簡 潔 にシミュレーションした 哲 学 入 門 のお 手 本 のような 本 です 8. 永 井 均 子 供 のための 哲 学 講 談 社 現 代 新 書 1996 年 ニーチェも 思 想 家 の 最 高 の 境 地 として 子 供 を 挙 げていますが( 同 じ 永 井 さんの これがニーチェだ 講 談 社 現 代 新 書 などを 参 照 ) 哲 学 は ある 意 味 ではじっさい 子 供 の 思 考 です 子 供 のとき いまここに 私 がいる ということの 不 思 議 さに 驚 いたことはありませんか 9. 鷲 田 清 一 じぶん この 不 思 議 な 存 在 講 談 社 現 代 新 書 1996 年 やはり 私 の 存 在 の 不 思 議 さが 主 題 なのですが 私 の 絶 対 的 孤 独 に 注 目 する 上 記 の 永 井 さんとは 違 って 鷲 田 さんは 私 が 他 人 なしには 成 立 しえない 仕 儀 を 自 分 の 日 常 的 な 感 覚 をていねいに 辿 り 直 しながら 示 そうとしています 10. 木 田 元 現 象 学 岩 波 新 書 1991 年 二 十 世 紀 最 大 の 哲 学 思 潮 と 言 える 現 象 学 について ぜひその 基 本 的 な 発 想 を 学 んでほしいと 思 います 絶 好 の 良 書 と 言 えるものは 見 つかりませんが 日 本 で 出 された 入 門 書 の 最 も 代 表 的 なものの 一 つを 挙 げてお きます ( 付 け 加 えて) 全 部 は 挙 げきれませんが 講 談 社 現 代 新 書 は 入 門 的 でありながら 本 格 派 でもある 哲 学 関 係 の 良 書 の 隠 れた 宝 庫 です 上 掲 の 人 々の 他 にも 野 矢 茂 樹 ( 哲 学 の 謎 など) 小 泉 義 之 ( デカルト 哲 学 の すすめ など) 入 不 二 基 義 ( 時 間 は 実 在 するか ) 谷 徹 ( これが 現 象 学 だ )など 日 本 の 新 進 気 鋭 の 哲 学 者 哲 学 研 究 者 たちの 気 合 いのこもった 本 がめじろ 押 しです 廉 価 で 入 手 も 容 易 なので 自 分 で 面 白 そうなものを 探 して 読 んでみて 下 さい なお 事 典 としては フランス 哲 学 思 想 事 典 ( 弘 文 堂 )が 現 在 邦 語 ではこの 分 野 最 大 の 信 頼 できる 事 典 です それから 本 を 買 うお 金 をあんまりケチらないように 読 むことで 人 生 全 体 が 一 変 してしまうような 本 だ ってあるんですから! 本 冊 子 は ヨーロッパ 文 化 学 科 ホームページの ヨロ ナビ のページからPDF ファイル 形 式 でダウンロード 可 能 です 12