都 市 計 画 -5 用 途 地 域 建 蔽 率 容 積 率 と 建 築
互 いの 生 活 環 境 の 悪 化 業 務 利 便 性 の 悪 化 住 宅 地 商 業 地 工 業 地 用 途 地 区 として 指 定 2
用 途 地 域 とその 指 定 土 地 の 利 用 と 建 築 物 建 設 には 規 制 がある 都 市 計 画 では 住 宅 地 商 業 地 工 業 地 など いくつかの 種 類 に 区 分 し 用 途 地 域 として 定 めている 用 途 地 域 は 地 域 地 区 のうちで 最 も 基 礎 的 な ものであり 都 市 全 体 の 土 地 利 用 の 基 本 的 枠 組 みを 設 定 するものであり 市 街 化 区 域 に 指 定 される
用 途 地 域 区 分 用 途 地 域 の 区 分 は 建 築 基 準 法 により 定 め られており 平 成 4 年 の 同 法 改 正 によって8 種 類 から12 種 類 となった
用 途 地 域 の 指 定 地 域 地 区 の 区 分 ( 都 市 計 画 法 に 基 づく) 本 県 では 用 途 地 域 高 度 利 用 地 区 防 火 地 域 準 防 火 地 域 駐 車 場 整 備 地 区 臨 海 地 区 市 街 化 区 域 にのみ 指 定 都 市 計 画 区 域 内 の 土 地 をその 利 用 目 的 などによって 区 分 し 建 物 などについての 必 要 な 制 限 を 行 うことにより 土 地 の 合 理 的 な 利 用 を 図 るもの 5
香 美 市 の 用 途 地 域 香 美 市 では 9 種 類 の 用 途 地 域 が 指 定 されて おり 第 2 種 低 層 住 居 専 用 地 域 準 住 居 地 域 工 業 専 用 地 域 の3 種 類 は 指 定 され ていない 香 美 市 で 最 も 大 きい 面 積 を 占 めているのは 第 1 種 住 居 地 域 で89 ha(39.6%) 次 いで 第 1 種 低 層 住 居 専 用 地 域 の48 ha(4.3%)で ある
用 途 地 域 の 区 分 11
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高 知 市 の 都 市 計 画
特 別 用 途 地 域 都 市 計 画 では この 用 途 地 域 のほか 学 校 の 周 りを 特 に 静 かな 環 境 とするために 用 途 地 域 以 上 に 建 物 の 用 途 を 制 限 する 地 区 まちの 中 の 自 然 や 緑 を 守 るために 建 物 の 建 築 を 制 限 する 地 域 建 物 が 密 集 していて 火 災 の 危 険 が 大 きいために 燃 えにくい 建 物 構 造 を 義 務 づける 地 域 など 地 域 ごとの 色 々な 制 限 を 加 えることができる
用 途 地 域 に 関 わる 規 制 日 照 条 件 などの 保 護 による 住 環 境 保 護 を 目 的 容 積 率 ( 敷 地 面 積 に 対 する 延 べ 床 面 積 の 割 合 ) 建 ペイ 率 ( 敷 地 面 積 に 対 する 建 築 面 積 の 割 合 ) 高 さ 制 限 外 壁 後 退 距 離 最 低 敷 地 規 模 斜 線 制 限 ( 道 路 斜 線 隣 地 斜 線 北 側 斜 線 ) 日 影 規 制 36
(1) 建 ペイ 率 容 積 率 都 市 計 画 区 域 内 で 建 物 を 建 築 する 場 合 建 ペイ 率 と 容 積 率 の 規 定 が 定 められており 敷 地 に 対 して 建 てられる 建 物 の 大 きさが 制 限 さ れている 建 ペイ 率 とは 敷 地 面 積 に 対 する 建 築 面 積 の 割 合 をいう 容 積 率 は 敷 地 面 積 に 対 する 延 べ 床 面 積 の 割 合 をいう 用 途 別 に 決 められている
容 積 率 と 建 ぺい 率 の 算 出 方 法 述 べ 床 面 積 容 積 率 = 敷 地 面 積 100% 建 築 面 積 建 ぺい 率 = 100% 敷 地 面 積 例 ) 敷 地 面 積 200m2で 容 積 率 200% 建 ぺい 率 50%の 場 合 述 べ 床 面 積 ( 各 階 床 面 積 の 合 計 ) 400m2まで 敷 地 面 積 建 築 面 積 200m2 100m2まで 39
(2) 高 さ 制 限 斜 線 制 限 ( 道 路 斜 線 隣 地 斜 線 北 側 斜 線 ) 公 共 の 空 間 である 道 路 に 面 して 建 物 の 壁 が 無 制 限 にそそり 建 つと 井 戸 の 底 のような 暗 く 閉 ざ された 空 間 となってしまう 建 物 の 高 さは 道 路 の 境 界 線 や 隣 地 との 境 界 線 からの 距 離 に 応 じて 一 定 の 高 さ 以 下 にするよう 地 域 ごとに 制 限 している 敷 地 の 大 きさや 形 によって 高 さは 異 なる 低 層 住 居 においては 敷 地 の 大 きさに 関 係 なく 10mまたは12mの 高 さ 制 限 が 行 われている
高 さ 制 限 41
(3) 日 影 規 制 住 んでいる 家 の 前 に 高 い 建 物 が 建 って 陽 が 当 たらなくなっては 困 る 建 物 を 建 てる 場 合 には 建 物 が 周 囲 の 敷 地 に 影 を 落 とす 時 間 が 市 街 地 のタイプに 応 じ た 一 定 の 時 間 内 となるように ルールを 定 め ている
接 道 義 務 の 原 則 建 築 物 の 敷 地 には 原 則 として 道 路 に 2m 以 上 接 しなければならないという 接 道 義 務 がある したがって 2m 以 上 の 接 道 が 不 可 能 な 建 築 敷 地 では 基 本 的 には 建 築 物 の 建 築 はできない 有 効 に 接 道 していると 認 められない 例
道 路 法 による 道 路 建 築 基 準 法 では 共 用 の 開 始 前 であっても 幅 員 4m 以 上 の 道 路 として 形 態 が 整 い 使 用 可 能 であれば 道 路 としてみなすことができる
2 項 道 路 2 項 道 路 とは 集 団 規 定 が 適 用 されるに 至 った 際 において 現 に 建 築 基 準 法 が 立 ち 並 んでいる 場 所 の 幅 員 4m 未 満 の 道 で 特 定 行 政 規 定 されていることからこの 呼 び 名 がある 指 定 を 受 けた2 項 道 路 は 道 路 中 心 線 から2m 後 退 した 位 置 を 持 って4mの 道 路 とみなされる ただし 道 路 の 片 側 が 川 線 路 敷 等 で 物 理 的 に 拡 幅 ができない 場 合 は それらとの 境 界 線 から 一 方 的 に4m 後 退 した 線 が 道 路 の 境 界 線 とみなされる
建 築 の 評 価 軸 と 法 私 的 所 有 権 に 内 在 する 制 約 尾 谷 恒 治 ( 建 築 雑 誌 vol128 No16452013 年 5 月 号 p26)
建 築 自 由 の 原 則 所 有 者 は 原 則 として 自 由 にその 所 有 物 を 使 用 収 益 および 処 分 する 権 利 を 有 する( 民 法 206 条 ) だとすれば 土 地 所 有 者 は 自 己 の 土 地 でどのよう な 建 築 をしてもいいし 既 存 の 建 築 を 取 り 壊 してもい いはず(これを 建 築 自 由 の 原 則 という) この 原 則 を 貫 くのであれば 他 者 との 利 害 調 整 のた めの 仕 組 みである 法 が 建 築 を 評 価 し 関 与 すること はない だが 個 々の 土 地 は 物 理 的 に 連 続 し 合 いながら 人 々が 生 活 し 経 済 活 動 を 営 む 都 市 空 間 を 形 成 して いる そのため 他 者 との 利 害 調 整 は 必 然 的 に 求 め られることになる
公 法 これをあらかじめルール 化 したのが 行 政 法 規 などの 公 法 都 市 計 画 法 建 築 基 準 法 高 齢 者 障 害 者 等 移 動 等 円 滑 化 促 進 法 ( 高 齢 者 障 害 者 等 の 移 動 等 の 円 滑 化 の 促 進 に 関 する 法 律 ) 耐 震 改 修 促 進 法 ( 建 築 物 の 耐 震 改 修 の 促 進 に 関 する 法 律 ) 消 防 法 都 市 再 開 発 法 土 地 区 画 整 理 法 国 土 利 用 計 画 法 景 観 法 道 路 法 駐 車 場 法 等 など
建 築 の 評 価 と 法 このうち 建 築 を 評 価 し 自 由 な 現 状 変 更 行 為 などを 制 限 等 することでその 保 存 活 用 を 図 る 仕 組 みとしては 文 化 財 保 護 法 の 重 要 文 化 財 国 宝 登 録 有 形 文 化 財 重 要 伝 統 的 建 造 物 群 および 景 観 法 の 景 観 重 要 建 造 物 などがある 前 者 は 文 化 的 価 値 を 後 者 は 景 観 的 価 値 を 建 築 の 評 価 軸 とするもの 時 の 試 練 に 耐 え 人 々の 記 憶 を 形 づくってきた 建 築 を 保 存 活 用 する 点 で 通 底 する 評 価 軸 は 同 じ 文 化 振 興 芸 術 基 本 法 に 基 づく 歴 史 文 化 基 本 構 想 や 歴 史 まちづくり 法 は こうした 文 化 財 や 景 観 財 が 当 該 地 域 の 住 民 のアイデンティティや 人 格 形 成 の 基 礎 を 成 すものととらえており その 保 存 活 用 における 市 民 参 加 の 重 要 性 を 打 ち 出 している
民 法 建 築 と 都 市 空 間 との 関 係 性 は 公 法 による 規 律 だけで 表 さ れるものではない 民 法 ( 明 治 29 年 4 月 27 日 法 律 第 89 号 ) 日 本 における 私 法 の 一 般 法 について 定 めた 法 律 日 本 において 形 式 的 意 味 の 民 法 といえば この 法 律 を 指 す 第 1 条 から 第 1044 条 で 構 成 第 1~3 編 ( 総 則 物 権 債 権 )を 財 産 法 又 は 契 約 法 第 4 5 編 ( 親 族 相 続 )を 身 分 法 又 は 家 族 法 と 呼 ぶ 財 産 法 が 対 象 とする 法 律 関 係 に 関 するルールは 所 有 関 係 に 関 するルール( 所 有 権 に 関 する 法 ) 契 約 関 係 に 関 する ルール( 契 約 法 ) 侵 害 関 係 に 関 するルール( 不 法 行 為 法 ) に 分 けられる 公 法 が 適 切 に 機 能 しない 場 合 や そもそもこれが 存 在 しない 場 合 には 裁 判 所 において 私 法 上 個 別 的 な 救 済 が 図 ら れうる
愛 知 県 立 旭 丘 高 等 学 校 校 舎 保 存 ( 名 古 屋 地 方 裁 判 所 平 成 12 年 11 月 8 日 決 定 ) 文 化 庁 建 造 物 課 から 登 録 有 形 文 化 財 の 登 録 基 準 に 合 致 しているとの 見 解 が 示 されていた 愛 知 県 立 旭 丘 高 等 学 校 校 舎 の 保 存 が 問 題 になった 事 案 特 定 の 有 形 文 化 財 が 特 定 の 者 の 人 格 と 密 接 に 結 び ついており その 人 格 的 生 存 に 右 文 化 財 の 存 在 が 不 可 欠 である 場 合 には 右 文 化 財 の 破 壊 をなす 者 に 対 して 差 止 請 求 権 を 有 する としている 人 格 権 は 憲 法 13 条 の 個 人 の 尊 厳 に 由 来 し 人 の 人 格 的 生 存 に 必 要 不 可 欠 な 生 活 利 益 を 保 障 するもの 上 記 決 定 は 建 築 が 所 有 者 以 外 の 第 三 者 の 権 利 利 益 をも 構 成 し 所 有 権 との 利 害 調 整 を 求 めうる 存 在 に なることを 示 している
国 立 市 の 大 学 通 りに 建 築 された 高 層 マンション( 高 さ44m)が 景 観 を 侵 害 す るか 否 かが 争 われた 事 案 ( 最 高 裁 判 所 平 成 18 年 3 月 30 日 判 決 ) 都 市 の 景 観 は 良 好 な 風 景 として 人 々の 歴 史 的 又 は 文 化 的 環 境 を 形 作 り 豊 かな 生 活 環 境 を 構 成 する 場 合 には 客 観 的 価 値 を 有 するものと いうべきである 良 好 な 景 観 に 近 接 する 地 域 内 に 居 住 し その 恵 沢 を 日 常 的 に 享 受 している 者 は 良 好 な 景 観 が 有 する 客 観 的 な 価 値 の 侵 害 に 対 して 密 接 な 利 害 関 係 を 有 するものというべ きであり これらの 者 が 有 する 良 好 な 景 観 の 恵 沢 を 享 受 する 利 益 ( 以 下 景 観 利 益 )は 法 律 上 保 護 に 借 するものと 解 するのが 相 当 である
その 侵 害 行 為 が 刑 罰 法 規 や 行 政 法 規 の 規 制 に 違 反 するものであったり 公 序 良 俗 違 反 や 権 利 の 濫 用 に 該 当 するものであるなど 侵 害 行 為 の 態 様 や 程 度 の 面 において 社 会 的 に 容 認 され た 行 為 としての 相 当 性 を 欠 く 場 合 には 違 法 であ ると 判 示 行 政 法 規 違 反 がない 場 合 であっても 景 観 利 益 に 対 する 違 法 な 侵 害 は 民 法 上 の 不 法 行 為 (709 条 )となりうることを 認 めている これは 都 市 景 観 との 調 和 の 観 点 から 建 築 設 計 に 対 して 消 極 的 評 価 がされる 場 合 があることを 表 すものである
建 築 の 評 価 軸 このように 都 市 の 文 脈 や 環 境 と 調 和 し 時 を 経 た 建 築 は 人 々の 記 憶 の 器 として 公 法 に よって 保 存 活 用 が 図 られ 私 法 により 個 別 的 な 救 済 が 図 られうる これは 他 方 で 所 有 者 の 私 的 な 所 有 権 を 制 約 することを 意 味 するが 私 的 所 有 権 がもともと 持 つ 内 在 的 な 制 約 として 正 当 化 される 私 的 所 有 権 との 相 克 に 耐 える 建 築 これが 法 における 建 築 の 評 価 軸 ではないだ ろうか