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海 外 と の 日 本 文 化 日 本 文 学 交 流 史 展 望 伊 井 春 樹 ( 国 文 学 研 究 資 料 館 ) 1 海 外 と の 交 流 始 発 中 国 か ら 日 本 に 文 字 が も た ら さ れ た の は 三 世 紀 か ら 五 世 紀 の 頃 6 世 紀 に な る と 仏 教 も 伝 来 し そ れ ま で の 自 然 崇 拝 と し て 形 成 さ れ て い た 神 道 と 融 合 し な が ら 新 し い 文 化 が 日 本 列 島 に 根 づ い て き た そ の 中 国 の 文 字 を 用 い 日 本 語 を 表 現 し よ う と 古 代 の 人 々 は さ ま ざ ま 工 夫 を し 本 格 的 な 日 本 文 学 と 称 し て も よ い 作 品 が 生 ま れ た の が 古 事 記 (712 年 )で あ っ た 神 話 と し て の 日 本 国 土 の 生 成 か ら 7 世 紀 の 第 33 代 推 古 天 皇 ま で が 語 ら れ る た だ 文 字 は 中 国 の い わ ゆ る 漢 字 を 用 い て の 日 本 語 の 表 記 で あ っ た そ れ が 八 世 紀 に な っ て 漢 字 か ら 日 本 独 自 の 文 字 か な 文 字 が 発 明 さ れ や が て 日 本 の 文 字 に よ る 独 自 の 文 学 が 次 々 と 生 み 出 さ れ て く る こ と に な る 10 世 紀 初 頭 の 韻 文 の 古 今 集 散 文 で は 土 佐 日 記 が あ り こ れ 以 降 に つ い て は 今 さ ら 述 べ る ま で も な い こ と で あ ろ う 19 世 紀 の 江 戸 時 代 末 ま で に 日 本 で は ど れ ほ ど の 文 学 作 品 が 生 ま れ た の か そ の 数 は 膨 大 で あ ろ う し 伝 来 し な い で 消 失 し た の も 多 い は ず で あ る 千 年 以 上 も の 間 中 国 の 影 響 は 大 き く 仏 典 以 外 に も 多 様 な 本 や 思 想 が 輸 入 さ れ 人 々 に 読 ま れ る と と も に 日 本 の 文 学 に 取 り 込 ま れ 日 本 式 に 翻 訳 も さ れ て い っ た そ れ 以 外 の 海 外 か ら の 摂 取 は 16 世 紀 に な っ て で ポ ル ト ガ ル の 宣 教 師 た ち が 日 本 語 を 学 ぶ た め に 作 っ た 天 草 本 平 家 物 語 17 世 紀 に 日 本 語 と な っ た 伊 曽 保 物 語 (イ ソ ッ プ 物 語 ) ド イ ツ 人 の 医 師 が 書 き オ ラ ン ダ 語 に 訳 さ れ た の を 日 本 語 に 翻 訳 し た 杉 田 玄 白 な ど に よ る 解 体 新 書 が 出 版 さ れ た の は 十 八 世 紀 で あ っ た 江 戸 期 の 大 半 は 海 外 と の 交 渉 を 禁 止 す る 鎖 国 政 策 を と り 長 崎 の 港 を 開 放 し 中 国 と オ ラ ン ダ と の 交 流 だ け を 認 め て き た 背 景 が あ る 61

2 近 代 化 へ の 道 日 本 が 近 代 化 に と っ て 大 き な 変 革 を も た ら し の が 1868 年 の 明 治 維 新 で あ っ た そ れ 以 前 に 日 本 は 諸 外 国 か ら 開 国 を 迫 ら れ 1853 年 7 月 に ア メ リ カ の ペ リ ー 提 督 が 神 奈 川 県 の 浦 賀 に 来 航 し た 折 は 巨 大 な 船 と 蒸 気 船 と い う 動 力 を 用 い た 新 し い 文 明 に 驚 愕 し て し ま っ た も っ と も 日 本 人 が 中 国 は 別 に し て 海 外 に 行 っ た 例 が な い わ け で は な い た だ そ れ は 漁 船 な ど が 遭 難 し て 漂 流 し た こ と に よ っ て お り 結 果 と し て 日 本 文 化 が 海 外 に も 知 ら れ る よ う に な り も し た 大 黒 屋 光 太 夫 一 行 が 伊 勢 か ら 江 戸 ( 東 京 )に 向 か う 途 中 遭 難 し て ア リ ュ ー シ ャ ン 列 島 に 漂 着 し 苦 難 の 末 に ロ シ ア の 首 都 ペ テ ル ブ ル グ に 行 き エ カ テ リ ー ナ 二 世 に も 対 面 す る に い た る 彼 ら は ロ シ ア 語 も 学 び 日 本 語 も 教 え て お り ロ シ ア に お け る 日 本 語 教 育 は こ の 頃 か ら 始 ま っ た と も さ れ る 9 年 半 後 に 帰 国 を 果 た し た 光 太 夫 は 海 外 の 情 報 が 庶 民 に 漏 れ な い よ う に す る 措 置 と し て 江 戸 で 軟 禁 状 態 に な っ た よ う だ が 完 全 に 遮 断 す る こ と は で き な か っ た な お 彼 は 1828 年 に 78 歳 で 亡 く な っ て い る 明 治 維 新 が 起 こ る 40 年 前 の 事 件 で あ っ た も う 一 人 土 佐 の 漁 師 万 次 郎 が お り 14 歳 の 1841 年 に 漂 流 し ア メ リ カ の 捕 鯨 船 に 救 助 さ れ ア メ リ カ で 英 語 を 学 ぶ と と も に 数 学 航 海 術 も 学 ぶ 彼 の 冒 険 談 が ア メ リ カ 文 学 の 代 表 作 の 一 つ と さ れ る メ ル ヴ ィ ル の 白 鯨 (1851) に も 影 響 を 与 え た と さ れ る ジ ョ ン 万 次 郎 と 呼 ば れ る よ う に な っ た 彼 の 存 在 が そ の 後 ア メ リ カ に お け る 日 本 研 究 の 出 発 点 に な っ た と も さ れ モ ー ス フ ェ ノ ロ サ 等 へ と 繋 が っ て く る 一 つ の 偶 然 が 国 と の 関 係 科 学 技 術 文 化 の 形 成 に 大 き な 影 響 を 与 え る か が 知 ら れ る で あ ろ う 江 戸 時 代 も 末 期 に な り 日 本 は 函 館 新 潟 横 浜 神 戸 長 崎 を 外 国 に 開 港 し 領 事 館 も 設 置 さ れ る こ れ に よ っ て 欧 米 か ら 人 々 が 日 本 を 訪 れ 日 本 を 記 録 し さ ま ざ ま な 美 術 品 書 籍 等 も 購 入 し て 持 ち 帰 り そ こ か ら 発 見 さ れ た 日 本 が 紹 介 さ れ て い く 江 戸 幕 府 も 海 外 へ 使 節 団 を 送 り 西 欧 の 文 化 を 学 び 1867 年 に パ リ で 催 さ れ た 万 国 博 覧 会 に 日 本 は 初 め て 参 加 し 幕 府 の ほ か に 薩 摩 藩 佐 賀 藩 も 出 品 す る と い う あ り さ ま で あ っ た 日 本 が 一 国 家 と し て 正 式 に 参 加 し 62

た の は 1873 年 の ウ ィ ー ン に お け る 博 覧 会 で あ っ た 1878 年 に ふ た た び パ リ で の 博 覧 会 に 参 加 し た 日 本 の 浮 世 絵 は そ の 後 の フ ラ ン ス 画 壇 に 大 き な 影 響 を 与 え ジ ャ ポ ニ ズ ム ブ ー ム の 到 来 と な り モ ネ ド ガ ル ノ ワ ー ル セ ザ ン ヌ な ど の 画 家 が 誕 生 も し て い く 3 日 本 へ の 大 波 明 治 維 新 に よ っ て 新 し い 国 家 が 誕 生 し 欧 米 に 追 い つ か な け れ ば と 日 本 は 大 量 の 若 い 世 代 を 海 外 へ 留 学 さ せ る と と も に お 雇 い 外 国 人 と 呼 ば れ る 人 々 を 招 き も し た 明 治 初 年 か ら 22 年 の 1889 年 ま で に そ の 数 は 2200 人 余 も い た よ う で 欧 米 か ら 毎 年 百 人 ば か り が 日 本 を 訪 れ 最 新 の 技 術 法 律 思 想 文 化 を 持 ち 込 ん で き た こ の よ う に し て 日 本 の 文 化 や 文 学 も 海 外 へ と 広 が っ て い く こ と に な る イ ギ リ ス 人 の バ ジ ル ホ ー ル チ ャ ン バ レ ン が 招 か れ た の は 1873 年 ( 明 治 6) 彼 は ま だ 23 歳 で あ っ た 今 日 で も 翻 訳 の 古 典 的 な 名 著 と さ れ る 古 事 記 の 翻 訳 は 1883 年 日 本 文 学 の 海 外 へ の 紹 介 の 早 い 例 で あ っ た 文 学 作 品 と と も に 海 外 に お け る 日 本 の 存 在 を 大 き く 印 象 づ け た の は 旅 行 記 写 真 等 の 資 料 で あ っ た 明 治 時 代 の 日 本 を 撮 っ た 写 真 は 多 数 存 在 す る し 日 本 人 自 身 も 独 特 の 風 俗 を 写 真 や 本 に し て 海 外 に 発 信 も し て い っ た 最 新 の 文 明 機 器 や 文 化 は ま さ に 大 波 の よ う に 日 本 を 襲 い そ れ ら を 吸 収 し て 日 本 の 独 立 を 維 持 し よ う と 明 治 政 府 は 汲 々 に な っ て も い た 今 日 時 に 目 に す る チ リ メ ン 本 は 布 の チ リ メ ン の よ う な 紙 に 印 刷 し た 本 の 総 称 で 日 本 の 昔 話 が 中 心 に な っ て お り 各 国 語 に 翻 訳 さ れ た 簡 単 な 本 文 と 挿 絵 か ら な る 英 語 が 多 い と は い え ド イ ツ 語 フ ラ ン ス 語 ス ペ イ ン 語 オ ラ ン ダ 語 ポ ル ト ガ ル 語 も 存 し 日 本 の 書 店 が 外 国 人 の 協 力 の も と に 出 版 し て 輸 出 を 意 図 と し て い た 現 存 す る の で も っ と も 古 い の は 1885 年 ( 明 治 18)の 桃 太 郎 舌 切 雀 猿 蟹 合 戦 カ チ カ チ 山 鼠 の 嫁 入 り で こ の 後 も 浦 島 か ぐ や 姫 因 幡 の 白 兎 な ど と 続 き 日 本 の 人 々 の 生 活 (1895) 日 本 の 印 象 (1896) 日 本 の 愛 す べ き 花 々 (1901)な ど 日 本 紹 介 を か ね た 各 種 の 本 63

が 出 版 さ れ る 日 本 発 信 に よ る 日 本 文 学 そ の 大 半 は 日 本 の 昔 話 を 中 心 と し て お り そ の 他 の 情 報 も 加 わ り 欧 米 と は 文 化 を 異 に す る 日 本 が 知 ら れ る よ う に な り 東 洋 へ の 関 心 と も あ い ま っ て 島 国 を 目 ざ す 人 々 も 増 加 し て く る こ の よ う な 大 き な う ね り の 一 つ の 現 象 と し て 登 場 し た の が ラ フ カ デ ィ オ ハ ー ン の 存 在 で ア メ リ カ で 新 聞 記 者 を し て い た 彼 は 日 本 取 材 の た め に 訪 れ た こ と か ら そ の 生 涯 は 運 命 を 大 き く 変 え て い っ た 1890 年 ( 明 治 23)の 40 歳 で 日 本 を 訪 れ た ハ ー ン は 服 部 一 三 チ ェ ン バ レ ン な ど の 紹 介 に よ っ て 島 根 県 の 中 学 校 の 教 師 に な り 小 泉 せ つ と 結 婚 し そ の 後 日 本 国 籍 を 得 て 小 泉 八 雲 と 名 の る ハ ー ン は 島 根 か ら 熊 本 第 五 高 等 学 校 神 戸 ク ロ ニ ク ル 新 聞 社 主 幹 東 京 大 学 の 英 語 教 師 と な っ て い く そ の 間 日 本 の 風 土 歴 史 昔 話 な ど を 次 々 と 英 語 に よ っ て 発 表 し 亡 く な る 1904 年 ( 明 治 37)に 出 版 さ れ た の が よ く 知 ら れ て い る 怪 談 (kwaidan)で あ っ た 彼 と 同 じ よ う な 運 命 を た ど っ た の が イ ギ リ ス 人 の ゴ ー ド ン ス ミ ス で 初 め て 日 本 を 訪 れ た の は 1898 年 ( 明 治 31) ハ ー ン と 同 じ く 40 歳 の 年 で あ っ た そ の 後 帰 国 を 繰 り 返 し な が ら も 1915 年 ( 大 正 7)ま で 滞 在 し 8 冊 か ら な る 日 記 を 残 す そ れ 以 外 に も 日 本 で 生 活 す る う ち に 伝 説 民 話 に 関 心 を 持 ち 怪 奇 的 な 内 容 の 昔 話 集 も 書 き ま と め る と い う こ と を し て お り こ の 一 部 に つ い て は 別 に ま と め た も の が あ る ( 拙 著 ゴ ー ド ン ス ミ ス の 見 た 明 治 の 日 本 2007 年 角 川 選 書 ) 4 多 様 な 日 本 文 化 の 発 信 日 本 文 学 の う ち も っ と も よ く 知 ら れ て い る 作 品 と な る と 源 氏 物 語 で そ れ が 初 め て 翻 訳 さ れ た の は 1882 年 ( 明 治 15)の こ と 末 松 兼 澄 が ケ ン ブ リ ッ ジ 大 学 在 学 中 に 桐 壺 か ら 絵 合 巻 ま で を ロ ン ド ン で 出 版 し て い る ど の よ う な 事 情 に よ る の か 明 ら か で は な い が 28 歳 の 年 の こ と で 彼 は 日 本 を 代 表 す る 作 家 と し て 紫 式 部 を 意 識 し た の は 確 か で あ ろ う た だ 源 氏 物 語 が 欧 米 の 文 学 世 界 に 大 き な 影 響 を 与 え た の は イ ギ リ ス 人 の ア ー サ ー ウ ェ イ リ ー 訳 で 1925 64

年 か ら 3 年 か け て の 4 冊 本 で こ の 出 現 は 日 本 文 学 と り わ け 源 氏 物 語 は 西 欧 の 文 学 と 同 列 に 扱 わ れ 独 自 の 文 化 国 家 と し て み な さ れ る よ う に な る そ れ か ら 50 年 後 の 1976 年 に エ ド ワ ー ド サ イ デ ン ス テ ッ カ ー 訳 2001 年 に は ロ イ ヤ ル タ イ ラ ー 訳 が 出 さ れ 今 日 で は こ の 3 種 が 広 く 読 ま れ ま た 日 本 古 典 文 学 研 究 の テ キ ス ト と し も 利 用 さ れ る 源 氏 物 語 の 翻 訳 に 限 る と 英 語 版 の ほ か に 中 国 語 ロ シ ア 語 フ ラ ン ス 語 チ ェ コ 語 韓 国 語 が あ り 現 在 原 典 か ら 直 接 翻 訳 が 進 行 し て い る の は イ タ リ ア 語 近 く 出 版 さ れ る と い う ト ル コ 語 で あ る オ ラ ン ダ 語 も 計 画 さ れ て い る と 聞 く し フ ラ ン ス 語 の 新 し い 翻 訳 も 桐 壺 巻 が 出 き た よ う で 韓 国 語 も す で に 数 巻 の 新 訳 が 明 ら か に さ れ て い る こ れ 以 外 の 日 本 文 学 作 品 と な る と 英 語 で は 古 代 か ら 平 安 中 世 の 作 品 の 大 半 は 翻 訳 さ れ 研 究 書 も 数 多 く こ の よ う な 傾 向 は ま す ま す 活 発 に な っ て い く で あ ろ う た だ サ イ デ ン ス テ ッ カ ー が 川 端 康 成 の 雪 国 な ど を 翻 訳 し そ れ が ノ ー ベ ル 文 学 賞 へ と 結 び つ い た よ う な い わ ば 文 学 作 品 に 仕 立 て て い く ま さ に プ ロ 的 な 翻 訳 を す る 人 が 英 語 圏 に も 少 な く な っ て い る と は 聞 く た だ 現 代 文 学 に な る と 村 上 春 樹 や 吉 本 ば な な と い っ た 作 家 は も は や 世 界 的 な ブ ー ム と い っ て も よ く そ の 翻 訳 作 品 は 数 多 く フ ァ ン ク ラ ブ も 世 界 に 存 す る と い う さ ら に 近 年 で は 日 本 の マ ン ガ は も は や 無 視 で き な い 存 在 と な っ て お り 主 人 公 に 扮 し た コ ス チ ュ ー ム の 大 会 が フ ラ ン ス な ど で は 流 行 ま で し て お り ア ニ メ に な る と 世 界 の テ レ ビ 番 組 を 席 捲 し て い る と い っ て も よ い で あ ろ う そ こ に は も は や 日 本 独 自 と い う よ り も 世 界 共 通 の 文 化 が 内 包 さ れ て お り そ れ が 民 族 の 壁 を 越 え て 受 け 入 れ ら れ て も い る の で あ ろ う か タ イ と 日 本 と は 文 化 的 に 関 係 が 深 く 三 島 由 紀 夫 の 豊 饒 の 海 第 3 部 暁 の 寺 は バ ン コ ク 市 内 の 名 刹 を 舞 台 に し て い る の に よ っ て も 知 ら れ る よ う に ア ジ ア で あ り な が ら 日 本 と は 異 な っ た 文 化 を 持 っ た 国 の イ メ ー ジ が あ る 文 学 作 品 は ま だ そ れ ほ ど 多 く 翻 訳 さ れ て い な い と は い え 相 互 に 交 流 を 深 め る こ と が 今 後 さ ら に 重 要 に な っ て く る で あ ろ う 文 化 と は 行 き 来 す る こ と に よ っ て 65

知り そこからますます人と物とが動き 互いに影響しあい またあらたな文 化を派生することであろう 以下 日本文化が海外で需要された例として写真 を示しておく 杭 州 ( 中 国 )市 内 の 書 店 ラ イ デ ン (オ ラ ン ダ )市 内 の 建 物 パ リ (フ ラ ン ス )市 内 の マ ン ガ 喫 茶 66

パ リ 市 内 の 映 画 看 板 ( 硫 黄 島 か ら の 手 紙 ) 67