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長 井 市 に 残 る 近 代 洋 風 建 築 と 歴 史 的 背 景 長 井 市 には 二 十 一 世 紀 の 現 在 も 市 内 に 多 くの 近 代 建 築 が 残 存 します 近 代 建 築 の 定 義 は 明 治 時 代 以 降 に 日 本 で 欧 米 の 影 響 を 受 けて 建 てられた 建 築 物 の 総 称 と 言 われています 建 築 物 は 富 の 集 積 がなければ 築 くことが できません まして 欧 米 の 影 響 を 受 けた 建 築 物 を 構 築 しようとすれば 富 にとどまらず 情 報 も 重 要 なファクターとなります その2つが 長 井 市 にあっ たということが 言 えるでしょう それらは 1694( 元 禄 7) 年 に 京 都 の 豪 商 西 村 久 左 衛 門 によって 黒 滝 ( 現 在 の 最 上 川 白 鷹 町 )の 開 削 が 行 われ 米 沢 藩 の 舟 着 場 が 長 井 にできたことに 起 因 します 1702( 元 禄 15) 年 には 現 在 の やませ 蔵 美 術 館 を 運 営 する 山 清 が 創 業 しました 最 上 川 沿 いの 湿 地 帯 であった 舟 場 が 一 躍 米 沢 藩 の 物 流 拠 点 となりました 物 資 を 運 ぶ 人 や 牛 馬 物 資 の 商 い 往 来 の 宿 管 理 の 陣 屋 等 々が 長 井 の 町 を 次 第 に 発 展 させ 江 戸 末 期 には 酒 田 経 由 の 最 上 川 舟 運 は 関 税 が 高 すぎると 朝 日 連 峰 を 横 断 し 村 上 までの 西 山 新 道 を 自 前 で 開 削 するま で 勢 力 を 有 し 長 井 商 人 恐 るべし との 言 い 伝 えが 残 っています この 西 山 新 道 は 現 在 も 長 井 ダム 周 辺 に 残 存 し 往 時 完 成 を 待 たずに 明 治 維 新 となったものの この 最 上 川 舟 運 拠 点 としての 200 年 の 間 に 富 と 情 報 が 蓄 えられました それは 1855( 安 政 2) 年 発 行 の 東 講 商 人 鑑 に 記 された 街 道 沿 いの 豪 商 群 にも 見 ることができます 明 治 以 降 長 井 はこの 江 戸 時 代 に 蓄 えられた 富 と 情 報 によって 他 の 地 域 に 先 駆 け 郡 役 所 の 創 建 養 蚕 か ら 織 物 産 業 の 振 興 へ つつじやあやめ 園 の 開 園 舟 運 から 鉄 道 への 移 行 もすばやく 対 応 し 1914( 大 正 3) 年 の 国 鉄 長 井 線 開 業 と 同 時 の 電 気 会 社 の 設 立 郡 是 工 場 東 京 芝 浦 電 気 の 誘 致 と 時 代 に 対 応 した 発 展 を 続 け てきました そして それぞれの 時 代 の 象 徴 ともいえる 建 築 物 を 構 築 し その 一 端 が 現 在 も 残 存 しているの です 長 井 市 の 主 な 近 代 洋 風 建 築 長 井 市 が 今 に 大 切 に 保 存 している 近 代 洋 風 建 築 その 代 表 的 な 建 物 をご 紹 介 します

長 井 市 立 長 井 小 学 校 1881( 明 治 14) 年 長 井 駅 東 に 宮 小 出 学 校 として 創 設 1914( 大 正 3) 年 の 長 井 線 開 業 に 合 わせて 1915( 大 正 4) 年 駅 前 通 りの 突 き 当 りに 改 築 移 転 しました その 後 1933 ( 昭 和 8) 年 現 在 地 に 移 転 し 第 1 校 舎 創 建 間 口 5 間 (9.1 メートル) 奥 行 き 50 間 の 総 2 階 建 て 瓦 葺 き 朱 色 のス トレート 外 壁 の 校 舎 は 往 時 これが 小 学 校 の 校 舎 か と 言 わしめたものでした 南 に 面 した 50 間 の 中 ほどに 間 口 4 間 張 り 出 し 3 間 の 玄 関 部 を 設 けています 1 階 が 昇 降 口 2 階 が 応 接 室 外 観 デザインは 柱 を 見 せる 真 壁 作 り 柱 がクリーム 色 で ストレート 外 壁 の 朱 色 との 対 比 が 特 徴 的 です 窓 は 1 間 2 つ 割 りの 欄 間 付 き 引 違 い 窓 となっています 1872( 明 治 5) 年 の 学 制 発 布 から 全 国 に 擬 洋 風 の 学 舎 が 建 てられはじめ 山 形 県 では 1876( 明 治 9) 年 鶴 岡 に 朝 暘 学 校 がもっとも 早 く 建 てら れていますが 上 下 窓 です 明 治 の 擬 洋 風 学 舎 は 上 下 窓 の 洋 風 が 多 く それは 明 治 政 府 の 方 針 もあっ たようですが 日 本 の 風 土 や 使 い 勝 手 などで 次 第 に 引 き 違 い 窓 になっていったと 思 われています 玄 関 部 は 妻 入 りの 切 妻 屋 根 で 頂 部 半 分 を 小 屋 壁 と 共 にわずかに 迫 出 し もち 送 り 庇 の 下 部 に 対 の 小 窓 を 設 けています 2 階 床 の 桁 部 分 に 庇 を 設 け 1 階 教 室 への 日 射 の 遮 断 と 水 平 線 が 強 調 された 作 りとなっています 内 部 は 洋 館 にもみられる 重 厚 な 階 段 船 底 天 井 縁 甲 板 張 りの 廊 下 木 製 の 出 入 り 口 であり すべて 木 材 でつくられています 新 築 当 時 は 木 の 香 りが 漂 う 学 舎 であったことでしょう 黒 光 りする 縁 甲 板 張 りの 廊 下 は 今 年 で 77 年 目 となり これは 受 け 継 がれた 児 童 の 拭 き 掃 除 の 成 果 です 国 指 定 有 形 登 録 文 化 財 となっています

桑 島 記 念 館 1927( 昭 和 2) 年 初 代 桑 島 五 郎 院 長 が 当 時 洋 行 費 用 16,000 円 あまりを 建 設 費 に 投 入 して 創 建 されました 間 口 7 間 奥 行 き 4.5 間 総 2 階 建 てで 正 面 2 階 に 鉄 製 バルコニー 玄 関 部 に 化 粧 持 ち 送 りの 庇 がついています ゴシック 建 築 名 残 の 棟 飾 りや 屋 根 のドーマー 窓 石 造 りに 似 せた 洗 い 出 しの 外 壁 などが 特 徴 です 当 時 の 新 聞 には 鉄 鋼 コンクリート と 紹 介 されていますが 実 際 は 木 造 の 骨 組 み ただし 外 の 洗 い 出 し 壁 は 5 センチもあり その 下 地 は らせん 状 の 鉄 網 へ 砂 利 を 入 れたモルタルで 固 めた 強 固 なもので 鉄 鋼 コンクリート と 表 現 されたとおりです 2 代 目 桑 島 誠 院 長 が 働 き 盛 りで 急 逝 の 後 商 店 街 の 倉 庫 として 利 用 されていましたが 1995( 平 成 7) 年 3 代 目 桑 島 一 郎 院 長 が 新 医 院 建 設 のため やむなく 取 り 壊 しを 決 定 しました しかし 旧 桑 島 眼 科 医 院 保 存 の 会 が 中 心 となって 120 メートル 先 の 商 店 街 組 合 の 事 務 所 跡 に 移 転 保 全 し 現 在 中 心 市 街 地 活 性 化 の 拠 点 となっています 約 半 年 の 間 に 行 われた 曳 き 移 転 でしたが 日 本 各 地 には 建 物 を 移 動 する 曳 き 師 (ひきし) の 技 術 があり 戦 前 までは 道 路 をまたいでの 建 物 移 動 は 当 たり 前 の 光 景 でした この 建 物 を 曳 く ことに よって 不 要 になった 人 が 建 物 を 譲 る という 今 でいうリユース 建 物 のブックオフ です 戦 後 自 動 車 社 会 になり 簡 単 に 道 路 を 遮 断 しての 曳 き 移 転 は 難 しく また 戦 後 の 高 度 経 済 成 長 時 代 は スクラ ップアンドビルドが 主 流 となり 曳 き 師 そのものが 不 要 になりました ただし 長 井 地 域 にはまだそ の 伝 統 があり さらに 曳 き 師 の 技 術 もコンピュータ 利 用 の 現 代 的 なものとなり 120 メートルの 曳 き 移 転 が 実 現 しました また 費 用 も 商 店 街 だけでなく 市 民 より 広 く 募 金 さらには 日 本 財 団 に よる 補 助 も 受 け 1995( 平 成 7) 年 の 年 末 には 外 装 も 改 修 曳 き 移 転 完 成 セレモニーが 行 われました 長 井 市 指 定 文 化 財

小 桜 館 ( 旧 西 置 賜 郡 役 所 ) 旧 西 置 賜 郡 役 所 は 1878( 明 治 11) 年 7 月 の 郡 区 町 村 編 成 法 発 布 により 8 月 着 工 11 月 竣 工 12 月 1 日 開 所 創 建 の 建 物 です 擬 洋 風 の 郡 役 所 で 現 存 するものでは 全 国 唯 一 です 1カ 月 遅 れで 建 てられた 物 では 寒 河 江 にある 旧 西 村 山 郡 役 所 があります 郡 役 所 制 度 が 廃 止 される 1925( 大 正 14) 年 まで 使 用 され それ 以 後 も 県 や 国 の 出 先 機 関 事 務 所 として 利 用 され 増 改 築 が 繰 り 返 されていましたが 1990( 平 成 2) 年 から 2002( 平 成 14) 年 まで 倉 庫 途 中 取 り 壊 しも 想 定 されましたが 文 化 財 保 護 団 体 を 中 心 とした 市 民 運 動 で 保 全 されました 平 成 15 年 度 山 形 県 歴 史 的 建 造 物 活 用 事 業 で 平 成 の 改 修 工 事 が 行 われ それまでの 倉 庫 から 会 議 や 展 示 ができる 施 設 となりました 時 代 的 にも 地 域 の 歴 史 文 化 が 見 直 される 風 潮 となり ゆったりとした 駐 車 場 中 心 市 街 地 の 立 地 明 治 の 洋 館 の 雰 囲 気 などもあり 2005 ( 平 成 15) 年 より 小 桜 館 の 愛 称 となり 幅 広 く 市 民 に 活 用 されるようになりました さらに 2010( 平 成 22) 年 には 創 建 時 復 元 の 改 修 工 事 が 行 われました 間 口 15 間 奥 行 き 4.5 間 の 当 時 の 郡 役 所 建 築 の 定 型 ともいえる 造 りであり 中 央 玄 関 部 のみ 間 口 5 間 の 総 2 階 建 てです 玄 関 は 間 口 2 間 奥 行 き1 間 のポーチとなっており 庇 上 部 に 木 製 のバルコニーがつい ています 屋 根 は 創 建 時 瓦 でしたが 1908( 明 治 41) 年 の 写 真 では 木 羽 葺 き 戦 後 はトタン 葺 き 2010( 平 成 22) 年 の 改 修 工 事 では 耐 久 性 の 高 い 鋼 板 横 葺 きとなりました 長 井 市 指 定 文 化 財 小 桜 館 ~ 建 物 と 歴 史 をつなぐエピソード~ ここからは 実 際 に 二 宮 さんに 現 地 小 桜 館 を 案 内 していただきながら 建 物 と 歴 史 についてお 聞 きしました 質 問 1 山 形 県 の 郡 役 所 が 全 国 から 見 て 早 く 建 てられたのはなぜですか? 文 明 開 化 明 治 維 新 という 新 しい 時 代 になったということを 明 治 政 府 は 国 民 に 知 らしめなければなりませんでした そのために 明 治 政 府 は なかなか 東 北 地 方 が 江 戸 時 代 から 抜 け 出 せないということから 山 形 県 令 と して 鹿 児 島 出 身 の 三 島 通 庸 が 着 任 しました そして 山 形 県 には 11 の 郡 役 所 が 建 てられ その 第 1 号 が 長 井 の 西 置 賜 郡 役 所 だったのです 郡 役 所 を 西 洋 館 で 建 てたのは 時 代 は 明 治 だ!! という 政 府 の 動 きからです 長 井 がいち 早 く 郡 役 所 建 設 に 踏 み 切 ったのは 最 上 川 舟 運 の 拠 点 となっていたことにより 富 と 日 本 の 中 心 からの

情 報 を 有 することができたからだったのです 質 問 2 当 時 の 西 洋 館 の 特 徴 が 小 桜 館 なのですか? 1878( 明 治 11) 年 まさに 明 治 維 新 から 10 年 ほどで 東 北 の 長 井 まで 洋 館 が 建 てられるようになったと 考 えたいのですが 実 際 はペリー 来 航 が 1853( 嘉 永 6) 年 1859( 安 政 6) 年 の 横 浜 開 港 以 降 洋 館 が 建 ち 始 め 最 も 古 い 1864( 元 治 元 ) 年 の 写 真 にはおびただしい 数 の 洋 館 が 写 っています つまり 長 井 の 小 桜 館 は 横 浜 に 西 洋 館 が 建 てられてから 約 20 年 も 経 過 の 後 の 建 物 だと 言 えます だから 西 洋 館 の 特 徴 といわれる 要 素 は ほとんど 小 桜 館 にみられるのです 軒 下 に 壁 から 直 角 に 出 ている ディンティル( 歯 飾 り) 木 の 板 を 横 方 向 に 重 ねた 下 見 板 張 り さら にその 板 の 上 に 白 っぽいペンキを 塗 り 窓 は 上 げ 下 げ 窓 基 礎 は 石 積 みの 連 続 基 礎 ポーチのついた 玄 関 と 2 階 の 窓 から 出 入 りするバルコニーなど これらはすべて 西 洋 館 の 特 徴 です 質 問 3 玄 関 廻 りは 西 洋 館 というより 日 本 の 神 社 のように 見 えますが? 西 洋 館 のデザインは 建 築 家 がマニュアルをつくったりしていますが 日 本 の 建 築 家 が 誕 生 するのは 明 治 12 年 以 降 なのです つまり 小 桜 館 は 日 本 人 の 建 築 家 がデザインしたものではなく おそらく 西 洋 雛 型 と いった 建 築 指 南 書 を 参 考 にしながら 地 元 の 宮 大 工 が 造 ったもので 玄 関 の 出 入 り 口 の 上 にかかっている 横 の 部 材 を 虹 梁 (こうりょう) 柱 から 伸 びている 部 材 を 木 鼻 (きばな)と 呼 びますが このデザインは 江 戸 後 期 の 神 社 の 向 拝 部 分 に 近 いものです 質 問 4 現 在 は 西 側 の 新 設 された 玄 関 から 出 入 りしていますが 郡 役 所 としての 建 物 だったときはこのポ ーチのある 玄 関 から 出 入 りしていたのですか? 実 際 この 玄 関 から 出 入 りしていたのは 当 時 の 議 員 役 員 のような 身 分 の 高 い 人 たちです 小 桜 館 を 正 面 から 見 るとわかるように 左 側 にもう 一 つ 入 り 口 のようなものがあるのがわかります 当 時 様 々な 届 出 をしにやってくる 人 々はそちらから 出 入 りしていたものと 思 われます 現 在 の1 階 フロ アは 改 築 され 間 取 りもやや 変 わっていますが 当 時 はそういった 人 たちのための 窓 口 もあったのではない かと 想 定 されます 質 問 5 建 物 の 内 部 を 見 るときは どんなところに 近 代 洋 風 建 築 の 特 徴 がみられますか? 特 にこれというのは 難 しいが 室 内 天 井 が 高 いのは そのころの 公 共 物 建 築 の 大 きな 特 徴 の 一 つだと 思 い ます あとは 1 階 ホールの 床 フローリングの 張 り 方 は 非 常 に 特 徴 的 で おしゃれにできています これは 私 たちが 改 修 工 事 を 手 掛 けるようになってから 張 り 替 えたものなのですが 元 々 このような 斜 めにはられていたのをそのままの 形 で 改 修 したのです なかなかいいでしょう? まるで 広 葉 樹 の 葉 脈 のようになっているんです ここは 偶 然 にも 写 真 がないので 気 になった 方 は 直 接 小 桜 館 に 足 を 運 んでみて 下 さいね!

掲 載 日 平 成 23 年 9 月 執 筆 者 二 宮 正 一 ( 日 本 建 築 家 協 会 会 員 一 級 建 築 士 地 域 プランナー) 写 真 提 供 取 材 協 力 関 連 ページ