武 家 と 鳥 狩 鳥 構 場 延 宝 年 間 金 沢 城 下 図 (090-598) 飼 の 秘 書 巻 物 (090-1025-4-1)
はじめに 江 戸 時 代 狩 は 将 軍 家 諸 大 名 家 の 間 でさかんに 行 われていました 将 軍 が 及 び を 用 いて 捕 った 獲 物 を 下 賜 する 行 為 や 諸 大 名 がそれらを 将 軍 へ 献 上 する 行 為 は 当 時 の 権 力 関 係 そのものを 示 すものでした また 江 戸 時 代 中 期 以 降 加 賀 藩 家 臣 の 間 では 鳥 構 場 (とりかまえば) ( 小 鳥 を 捕 獲 する 場 所 )において 様 々な 小 鳥 を 捕 獲 することが 流 行 していました このように 鳥 は 武 家 の 生 活 にとって 身 近 なものでした 本 展 示 ではそれらの 様 相 を 古 文 書 絵 図 から 紹 介 します 1. を 飼 う 藩 主 は 複 数 の を 城 下 の 部 屋 で 飼 いその 管 理 を 匠 に 請 け 負 わせました また を 飼 うに は 餌 となる 小 鳥 が 必 要 でしたがその 確 保 は 餌 指 役 が 担 い 諸 村 で 鳥 を 捕 まえていました ただ それだけでは 補 いきれず 購 入 した 鳥 を 与 えることもあったようです (1) 村 との 関 係 ここでは の 餌 となる 小 鳥 捕 獲 の 勤 めを 担 っていた 餌 指 役 の 村 における 行 動 村 内 の 諸 鳥 の 様 子 を 把 握 することや 狩 の 際 の 案 内 役 を 勤 めとしていた 鳥 見 役 の 任 命 など に 関 する 事 柄 と 村 の 関 係 をみていきます 新 川 郡 粟 嶋 村 三 右 衛 門 新 川 郡 蓮 町 村 弥 三 郎 方 覚 書 類 (16.15-1192) ( 上 ) 元 禄 8 年 (1695) 当 時 の 餌 指 役 が 書 かれ ています 当 時 餌 指 役 は14 人 であったこと がわかります 彼 らには 扶 持 として15~20 俵 ほどが 与 えられていました 方 諸 事 控 帳 (16.45-773) ( 左 ) 村 のなかには 藩 から 任 命 された 鳥 見 役 と 呼 ばれる 者 がいました 彼 らの 主 な 勤 め は 村 内 の 諸 鳥 の 様 子 を 把 握 することや 狩 の 際 の 案 内 役 でした この 史 料 から 新 川 郡 蓮 町 村 の 弥 三 郎 が 幼 少 や 病 気 によりいとこ の 粟 嶋 村 三 右 衛 門 が 代 わりに 鳥 見 役 を 勤 める ようになったことがわかります なおその 任 命 にあたっては 十 村 ( 他 藩 の 大 庄 屋 )によ る 詮 議 も 行 われていました 1
餌 指 一 件 留 (16.45-95) 政 隣 記 (16.28-1113) 一 葭 茅 場 畠 作 場 網 張 節 葭 等 并 作 物 荒 シ 不 申 義 者 常 々 申 渡 置 尚 更 餌 指 共 江 申 渡 事 国 事 雑 鈔 (16.28-7725) 村 における 餌 指 役 の 行 動 を 定 めたもの の 一 部 の 餌 とな る 小 鳥 を 捕 らえるた め 葭 茅 がある 場 所 や 畠 に 網 を 張 り 葭 作 物 などを 踏 み 荒 らすことがあった ようです この 定 で はこうした 餌 指 役 の 行 動 を 禁 止 してい ることがわかります 匠 役 歩 同 足 軽 餌 指 獫 牽 寄 小 者 鳥 見 共 至 迄 郡 方 お ゐ て お こ り た る 仕 形 并 不 備 義 無 様 急 度 夫 々 頭 支 配 等 より 為 申 渡 生 駒 右 膳 ( 直 敬 算 用 場 奉 行 )が 年 寄 村 井 又 兵 衛 ( 長 穹 )へ 稲 が 実 りだす 期 間 に 家 中 の 狩 を 禁 止 するように 命 じることを 依 頼 し たもの おそらく 狩 を 行 うことで 田 ん ぼが 荒 れるおそれがあったためこのよう な 依 頼 をしたと 考 えられます 匠 役 歩 役 足 軽 餌 指 獫 牽 寄 小 者 鳥 見 が 村 々において おこりた る 仕 形 不 備 のことがないようそれぞれの 頭 支 配 等 から 申 し 渡 すようにとあります 狩 に 関 係 する 者 は 上 でみたように 村 での 横 暴 な 行 動 が 問 題 視 されていたようです なお 獫 と はおそらく 狩 に 同 行 する 犬 のことで 獫 牽 寄 小 者 とは 犬 を 率 いていた 者 のことである と 考 えられます 稲 花 付 実 入 相 成 付 来 ル 八 月 四 日 より 十 月 晦 日 迄 石 川 河 北 両 郡 家 中 野 致 遠 慮 様 仕 度 旨 改 作 奉 行 申 聞 条 此 段 被 仰 渡 様 仕 度 奉 存 以 上 七 月 廿 四 日 ( 天 明 六 年 ) 生 駒 右 膳 村 井 又 兵 衛 様 2
(2) の 所 有 と 管 理 ここでは 藩 主 の を 管 理 していた 匠 を 飼 っていた 場 所 である 部 屋 家 臣 の 所 持 の 規 定 などについてみていきます 延 宝 年 間 金 沢 城 下 図 (090-598) この 辺 りは 匠 の 屋 敷 ( 丸 囲 い) 部 屋 ( 矢 印 )があったことから 匠 町 と 呼 ばれていました( 現 在 の 石 引 24 丁 目 辺 り) 七 尺 間 部 屋 七 尺 間 部 屋 図 (16.89-10) 弘 化 2 年 (1845)に 大 工 中 村 理 助 が 所 持 していた 部 屋 図 を 写 したもの 部 屋 の 大 きさは 玄 関 を 含 めると7 尺 ( 約 2m10cm) 四 方 であったことがわかります 3
部 屋 見 分 詮 議 留 (16.26-40) 部 屋 の 修 復 に 関 する 史 料 風 木 の 倒 木 雪 により 部 屋 が 壊 れることがあったようです 方 覚 書 類 (16.15-1192) 先 祖 由 緒 并 一 類 附 帳 宇 野 大 作 (16.31-65) 4 ( 上 ) 元 禄 7 年 (1694)における 藩 主 所 有 の 数 が 書 き 上 げられ ています の 右 側 に 書 かれて いる 鶴 捉 雁 (がん) 捉 鴨 捉 水 札 (ケリ) 捉 ( 上 位 順 )は のランクを 各 の 下 に 書 かれている 名 前 は その を 管 理 していた 匠 を 示 しています ( 左 ) 宇 野 家 は3 代 藩 主 利 常 の 時 に 匠 として 召 し 出 され 代 々 匠 を 勤 めていた 家 です 7 代 富 潤 は 文 化 元 年 (1804)9 月 歩 並 役 として 召 し 出 され 同 8 年 7 月 に 父 の 遺 知 130 石 を 拝 領 し 匠 となりました 同 12 年 7 月 には 治 療 方 と 方 稽 古 師 範 を 天 保 2 年 (1831)7 月 に は 塒 (ねぐら) 飼 定 役 を 仰 せ 付 けられています 塒 とは 部 屋 のことであると 考 えられます
屋 のことであると 考 えられます 飼 の 秘 書 巻 物 (090-1025-4-1) の 飼 育 に 関 することを 書 き 留 めた 巻 物 羽 に 名 前 があったことがわかります また にお 灸 をすえる 箇 所 なども 書 かれていま す (1) 政 隣 記 (16.28-116) 藩 主 だけ を 所 持 していたわけではなく 家 臣 も を 制 限 付 で 所 持 していました この 史 料 には 家 臣 の 所 持 についての 規 定 が 書 かれています( 享 保 14 年 7 月 ) 禄 高 により 以 下 のように 所 持 数 が 決 められていました 800 石 以 上 児 鷂 鷂 (はいたか) 隼 のうち1 羽 3,000 石 以 上 児 鷂 鷂 隼 のうち1 羽 か2 羽 5,000 石 以 上 児 鷂 鷂 隼 のうち3 羽 と 大 10,000 石 以 上 児 鷂 鷂 隼 のうち4 羽 と 大 なお800 石 以 下 の 者 は を 借 りることも 禁 止 されていました (2) 政 隣 記 (16.28-1118) 寛 政 6 年 (1794)1 月 29 日 倹 約 のため 藩 主 治 脩 や 年 寄 等 が 所 持 していた が 取 り 払 われ た( 逃 がした)ことが 書 かれています しか しこれは 一 時 的 なものだったようで 同 8 年 には 治 脩 が 狩 を 再 開 しています( 加 賀 藩 史 料 10 編 ) (1) (2) 5
方 諸 事 控 帳 (16.45-773) 方 諸 事 控 帳 (16.45-772) 羽 鳩 右 当 六 日 大 坂 より 当 地 江 参 着 仕 餌 米 儀 計 ( 斗 ) 充 相 渡 三 弐 拾 匁 鳩 羽 代 但 羽 付 六 拾 匁 充 鳩 一 羽 付 当 地 而 者 弐 匁 四 分 大 坂 て ハ 品 々 入 用 共 一 羽 壱 匁 壱 分 四 厘 九 毛 惣 而 年 中 積 鳩 数 壱 万 仕 銀 高 拾 弐 貫 目 余 大 坂 方 下 直 ( 値 ) (1) (3) の 餌 はどのような 餌 を 食 べていたのでしょうか ここでは 餌 確 保 の 実 態 その 確 保 に 関 わっ た 餌 指 役 についてみていきます ( 左 ) の 餌 となる 鳩 500 羽 を 大 坂 から 取 り 寄 せていたことがわかります 鳩 そのものの 代 金 鳩 を 入 れる 籠 の 代 金 なども 書 かれています また 鳩 500 羽 に 与 えた 餌 の 量 は1 日 米 5 斗 でした ( 右 ) の 餌 となっていた 鳩 の 代 金 が 書 かれています 金 沢 では 鳩 1 羽 2 匁 4 分 であるのに 対 し 大 坂 では1 匁 1 分 4 厘 9 毛 でした 年 間 1 万 羽 で 計 算 すると 大 坂 から 鳩 を 購 入 する 方 が12 貫 500 匁 余 安 かったようです 6
( 左 ) の 餌 となる 小 鳥 が1 日 346 羽 必 要 なのに 対 し 約 100 羽 足 りないと 書 かれています 同 史 料 の 続 きの 部 分 ( 省 略 )では 金 沢 町 人 から 小 鳥 を 購 入 しており 取 引 内 容 は 銀 100 匁 で 小 鳥 550 羽 とあり ます ここから の 餌 は 餌 指 役 による 捕 獲 で 全 て 足 りていたわけではなく 足 りない 分 を 町 人 から 購 入 していたことがわかります ( 中 ) 餌 指 役 には 年 15 俵 与 えられていました また 餌 指 役 が1 年 間 に 捕 れる 鳥 数 も 決 められてお りこの 史 料 によればその 数 は3,000 羽 であったことがわかります ( 右 ) 餌 指 役 の 中 には 高 齢 の 者 もいました 岸 藤 左 衛 門 は97 歳 まで 餌 指 役 を 勤 めていましたが 殺 生 もできないようになったことからこの 職 を 辞 めたと 書 かれています しかし 長 年 の 功 績 が 認 め られそれまで 与 えられていた20 俵 4 斗 3 人 扶 持 のうち3 人 扶 持 以 外 をその 後 も 与 えられたようで す 方 諸 事 控 帳 (16.45-772) 年 中 役 鳥 高 一 人 分 三 千 充 餌 指 九 拾 七 歳 岸 藤 左 衛 門 右 藤 左 衛 門 儀 切 米 弐 拾 俵 四 斗 三 人 扶 持 被 下 切 米 其 侭 被 下 三 人 ふ ち 被 差 除 餌 鳥 不 足 仕 段 宇 野 七 丞 及 断 付 段 々 遂 吟 味 処 に 一 日 餌 大 鶴 兄 等 而 三 四 拾 六 入 申 処 弐 十 二 羽 餌 指 差 上 計 小 鳥 数 不 足 方 諸 事 控 帳 (16.45-773) 安 かったようです 7
餌 指 町 浅 野 川 古 餌 指 町 延 宝 年 間 金 沢 城 下 図 (090-598) 餌 指 役 はもともと 古 餌 指 町 ( 現 在 の 笠 市 町 辺 り)と 呼 ばれた 辺 りに 住 んでいまし たがこの 絵 図 でもわかるように 延 宝 年 間 にはすでに 浅 野 川 を 隔 てた 対 岸 の 餌 指 町 ( 現 在 の 昌 永 町 )に 住 んでいたようです 2. 狩 藩 主 の 狩 は 場 に 設 定 された 場 所 で 行 われました 場 へは 行 列 を 組 みながら 向 かい 場 に 到 着 すると 犬 を 用 いて 狩 を 行 いました 以 下 行 列 の 様 子 狩 に 必 要 だった 犬 のことな どについてみていきます 能 美 郡 越 中 筋 野 日 記 并 道 書 (16.45-79) 越 中 方 面 に 狩 へ 行 った 際 の 宿 泊 立 ち 寄 った 場 所 などが 記 されています 8
越 中 方 面 に 狩 へ 行 った 際 の 宿 泊 立 ち 寄 った 場 所 などが 記 されています ( 左 ) 方 諸 事 控 帳 (16.45-772) 狩 で 使 う 犬 には 獲 物 を 追 って 藪 などへ 入 っ た 時 にでも 居 場 所 を 特 定 できるように 鈴 ( は 板 状 の もの)が 付 けられていました 宛 国 飼 犬 ハ 飯 外 肴 并 汁 相 渡 国 江 戸 共 飼 犬 一 日 壱 疋 飯 合 宛 相 渡 申 但 江 戸 犬 ハ 外 壱 ケ 月 鰹 節 六 つ 程 犬 鈴 鈴 板 史 料 表 紙 馬 茶 弁 当 文 久 2 年 (1862)10 月 に13 代 藩 主 斉 泰 とその 嫡 子 慶 寧 が 狩 に 行 った 時 の 行 列 帳 史 料 の 中 納 言 様 筑 前 守 様 はそれぞれ 斉 泰 慶 寧 のことを 指 しています 史 料 か ら2 人 分 の 茶 弁 当 を 持 つ 者 がいたことがわかります また 斉 泰 は 馬 とある 通 り 馬 に 乗 っ ていたと 考 えられます 野 中 納 言 様 同 道 出 節 行 列 附 (16.45-90) 茶 弁 当 中 納 言 様 筑 前 守 様 ( 左 ) 方 諸 事 控 帳 (16.45-773) 狩 とは 場 にいる 鳥 を 犬 がはやしたてて 飛 び 立 った 鳥 を が 捕 まえると いうものでした そのため 狩 では 犬 も 重 要 な 役 割 を 担 っていたといえます この 史 料 から 犬 の 餌 の 内 容 がわかります( 享 保 9 年 当 時 ) 金 沢 江 戸 にいる 犬 と もに 餌 は1 日 で 米 5 合 でした 江 戸 の 犬 はこれに 加 え1ヶ 月 約 6 本 の 鰹 節 が 与 え られていました 一 方 金 沢 の 飼 犬 には 米 の 他 に 魚 や 汁 が 与 えられていまし た 9
3. を 通 じた 下 賜 献 上 儀 礼 及 び で 捕 った 獲 物 を 将 軍 が 下 賜 諸 大 名 が 将 軍 へ 献 上 することは 江 戸 時 代 を 通 じて 多 く みられました ここではそれらの 事 例 をみていきます 捕 獲 した 鳥 の 種 類 捕 獲 した 鳥 の 種 類 拝 領 於 国 許 頂 戴 一 件 (16.13-94) 天 保 元 年 (1830)12 月 に13 代 藩 主 斉 泰 が 将 軍 家 斉 から 2 羽 を 拝 領 した 時 の 史 料 掲 載 部 分 は 2 羽 の がどのような であるのかを 記 した 箇 所 です その2 羽 はもともと 南 部 信 濃 守 ( 盛 岡 藩 主 12 代 利 済 ) 佐 竹 右 京 太 夫 ( 秋 田 藩 主 10 代 義 厚 )がそれぞれ 将 軍 へ 献 上 したものでした また の 能 力 を 示 すものとして 狩 猟 実 績 ( 鳥 の 種 類 数 )も 書 かれています なお 戸 田 助 内 山 七 兵 衛 は 幕 府 の 役 人 である 匠 支 配 の 者 です 梅 首 鶏 鷭 ツ 宛 政 隣 記 (16.28-115) 政 隣 記 (16.28-119) ( 左 ) 享 保 2 年 (1717)5 月 将 軍 吉 宗 が 初 めて 狩 で 捕 らえた 梅 首 鶏 ( 鷭 (ばん))を5 代 藩 主 綱 紀 が 受 け 取 った 時 のことが 記 されています ( 右 ) 宝 暦 元 年 (1751)4 月 8 代 藩 主 重 熈 が 狩 で 捕 らえた 鷭 を 将 軍 家 重 大 所 吉 宗 へ 献 上 した 時 のことが 記 されています 10
4 鳥構場 江戸時代中期以降加賀藩の家中では鳥構場において網で小鳥を捕獲することが流行しました 詳細は不明ですがその主な目的は小鳥を飼育するためであったと考えられます 以下鳥構場を めぐる規定実態をみていきます 官私随筆 16.41-159⑬ 傍線部分 年寄中ハ六七場迄請取申筈人持中ハ以前場数多所持 面々三千石以上ハ三四場千石以上ハ四場 万石以上ハ六場 家臣が所持できた鳥構場数は次のように定められ ていました 年寄 67場 人持組の 3,000石以上 34場 5,000石以上 45場 10,000石以上 56場 ただこの数は実際に鳥構を行う場所 定構場 を 示しており使用しない鳥構場があればこの規定数 以上の鳥構場を所持することができたようです ま た13頁の掲載史料で見られるように 永井従周の事 例 規定の禄高より低い者も鳥構場を所持する場合 がありました 11
( 左 右 ) 官 私 随 筆 (16.41-15913) 先 でみたように 鳥 構 場 の 所 持 数 は 禄 高 によって 決 められていまし た しかしその 数 は 常 に 使 用 する 定 構 場 の 数 であって 実 際 に 所 持 す る 鳥 構 場 は 規 定 数 以 上 あったと 思 わ れます 左 の 史 料 では 年 寄 奥 村 栄 実 が 郡 所 へ 対 し 所 持 する11 場 の 鳥 構 場 の 内 左 に 書 き 上 げている7 場 を 定 構 場 にしたいと 願 っていま す なお 栄 実 が 所 持 していた11 場 の 鳥 構 場 は 右 の 通 りです 石 川 河 北 両 郡 に 鳥 構 場 を 所 持 していたこ とがわかります 彼 是 山 々 荒 申 或 ハ 生 松 皮 を 批 ギ 根 火 を 焼 損 木 等 多 出 来 石 川 河 北 両 郡 山 々 家 中 鳥 構 場 内 松 枝 等 下 シ 政 隣 記 (16.28-1119) 寛 政 11 年 (1799)9 月 20 日 加 州 郡 奉 行 の 馬 場 孫 三 栂 喜 左 衛 門 から 年 寄 前 田 大 炊 ( 孝 友 )へ 宛 てた ものの 写 し 石 川 河 北 両 郡 の 家 中 鳥 構 場 において 松 枝 などを 切 る 松 の 皮 を 剥 がす 根 に 火 をつ ける 行 為 などが 多 く 行 われ 山 が 荒 れていることからこうした 行 為 の 禁 止 徹 底 を 家 中 家 来 の 者 へ 伝 えるように 願 っています 12
郡 所 拾 本 松 小 枝 拾 本 松 小 枝 寺 西 蔵 人 判 鳥 構 場 松 小 枝 下 し 願 覚 (16.73-27) 上 級 家 臣 は 自 分 の 鳥 構 場 を 複 数 所 持 していましたが 自 分 の 鳥 構 場 であって も 自 由 に 木 の 枝 を 切 ることはできませんでした この 史 料 では 人 持 組 の 寺 西 蔵 人 が 郡 所 へ 対 し 所 持 していた 鳥 構 場 ( 河 北 郡 牧 村 同 郡 山 上 村 内 )にある 松 の 小 枝 を200 本 切 ることを 願 っています 心 得 違 趣 茂 有 蟄 居 被 仰 付 天 保 十 一 年 四 月 鳥 構 を 相 好 彼 是 先 祖 由 緒 并 一 類 附 帳 永 井 孫 六 (16.31-65) 永 井 従 周 は 人 持 組 今 枝 内 記 3 男 でしたが 文 政 5 年 (1822)7 月 に 聟 養 子 として 永 井 家 を 相 続 し(2,000 石 内 50 石 茶 湯 料 ) 同 9 年 8 月 からは 金 谷 請 取 火 消 を 勤 めてい ました 鳥 構 場 で 鳥 を 捕 獲 することを 好 んでいたようで 天 保 11 年 (1840)4 月 鳥 構 関 係 で 心 得 違 いのことがあり 蟄 居 ( 自 宅 謹 慎 )を 命 じられました 13
左 日記 094.0-81① 中 日記 094.0-81② 右 日記 094.0-81④ 日記 は年寄奥村栄通 史料では名前を従とする が文政12年 1829 天保3年 1832 当時12 15歳 の間に書き留めたものです この日記には鳥構場へ行った記録が多く書き留めら れています 左 は文政12年10月14日に鈴見山赤倉尾 中 は同13年9月28日に卯辰山の三 坂 右 は天保3年9月22日に春日山蜘取山の鳥構場へ行ったことを記したものです 三坂 卯辰山開拓録 13.0-30 14
春 日 山 鈴 見 山 卯 辰 山 卯 辰 山 図 (19.9-181) ひ わ し め 鶫 い す か ひ わ あ と り 鶫 あ と り ぬ か 目 白 日 記 (094.0-813) 鳥 構 場 で 捕 獲 した 小 鳥 は 全 て 奥 村 栄 通 が 飼 育 していたわけではなくこの 史 料 にあるように 自 分 で 飼 育 する 鳥 以 外 は 他 の 者 ( 詳 細 不 明 )へ 与 えることがありました 史 料 から 栄 通 は 鶫 (つぐみ)を 3 羽 目 白 を2 羽 飼 育 することにし あとり (アトリ) ひわ ( 鶸 )などを 他 の 者 へ 与 えている ことがわかります 参 考 文 献 岡 崎 寬 徳 と 将 軍 徳 川 社 会 の 贈 答 システム ( 講 談 社 2009 年 ) 根 崎 光 男 犬 と の 江 戸 時 代 犬 公 方 綱 吉 と 将 軍 吉 宗 ( 吉 川 弘 文 館 2016 年 ) 15