2. 河 川 の 現 状 と 課 題 2.1 治 水 の 現 状 と 課 題 2.1.1 過 去 の 主 要 な 洪 水 の 概 要 い せ の 流 域 及 びその 近 傍 で 発 生 した 主 要 な 洪 水 被 害 としては 1959 年 ( 昭 和 34 年 )の 伊 勢 わんたいふう 湾 台 風 時 に 流 域 を 含 む 広 い 範 囲 で 高 潮 被 害 が 発 生 した 1974 年 ( 昭 和 49 年 )7 月 には 低 気 圧 による 大 雨 と 高 潮 によって 破 堤 溢 水 し 床 上 浸 水 1,964 戸 床 下 浸 水 3,464 戸 の 被 害 が あった 2004 年 ( 平 成 16 年 )9 月 降 雨 では 最 大 時 間 雨 量 47mm の 降 雨 により 流 域 内 で 内 水 による 浸 水 被 害 が 発 生 している 近 年 では 2012 年 ( 平 成 24 年 )9 月 の 台 風 17 号 により 時 間 雨 量 が 89mm の 降 雨 が 発 生 し 堤 防 からの 越 水 により 水 田 の 湛 水 が 生 じている 図 2-1 浸 水 被 害 状 況 ( 撮 影 場 所 : 鈴 鹿 市 白 子 町 国 道 23 号 寺 家 町 撮 影 日 S49.7.25) 表 2.1 既 往 洪 水 による 被 害 状 況 年 異 常 気 象 名 ( 水 害 発 生 年 月 ) 水 系 沿 岸 名 河 川 沿 岸 名 市 区 町 村 名 河 川 等 種 別 水 害 原 因 水 害 区 域 面 積 (m2) 被 災 家 屋 棟 数 ( 棟 ) 被 害 数 一 般 資 産 等 被 害 ( 千 円 ) 床 上 浸 水 (cm) 全 壊 一 般 資 産 農 地 宅 地 その 他 計 床 下 浸 水 半 壊 計 床 下 世 帯 床 上 世 帯 事 務 所 従 業 者 農 漁 家 農 作 物 合 計 1~49 50~99 100 以 上 計 流 失 営 業 停 止 損 失 昭 和 49 年 昭 和 49 年 断 続 した 豪 雨 7.13~8.1 豪 雨 及 び 波 浪 S49.7 鈴 鹿 市 2 破 堤 溢 水 6,660,000 13,225,000 19,885,000 338 461 122 26 609 947 1,045 115 463 189 1,434,729 44,198 1,478,927 破 堤 溢 水 3464 1964 昭 和 57 年 流 域 内 14 平 成 5 年 平 成 5 年 平 成 12 年 平 成 16 年 豪 雨 及 び 波 浪 H5.1 台 風 21 号 9.28~10.1 普 通 河 川 磯 山 川 釜 屋 川 内 水 11 準 用 河 川 稲 生 新 川 3 2 合 計 628,300 628,300 279 9 1 10 289 231 2 157 1 707,550 707,550 釜 屋 川 合 計 132,600 132,600 167 4 4 171 169 34 228,607 228,607 鈴 鹿 市 二 級 二 級 内 水 8,800 8,800 4 4 3 3,381 3,381 二 級 二 級 内 水 22,000 22,000 4 4 4 3,819 3,819 二 級 二 級 内 水 80,000 80,000 155 4 4 159 159 4 163,005 163,005 二 級 二 級 内 水 4,900 4,900 1 1 1 954 954 二 級 準 用 内 水 1,300 1,300 2 2 2 1,909 1,909 二 級 準 用 内 水 15,600 15,600 1 1 30 55,539 55,539 稲 生 新 川 合 計 34,000 34,000 2 2 2 0 1,908 1,908 鈴 鹿 市 二 級 準 用 内 水 30,000 30,000 1 1 1 954 954 二 級 準 用 内 水 4,000 4,000 1 1 1 954 954 旭 が 丘 都 市 下 水 路 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 5,500 5,500 2 2 2 1,909 1,909 栗 真 皮 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 21,000 21,000 4 4 4 3,819 3,819 新 生 川 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 125,000 125,000 73 73 29 104 391,472 391,472 十 文 字 川 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 4,800 4,800 8 8 4 8 18,428 18,428 世 川 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 2,400 2,400 1 1 1 954 954 磯 山 川 合 計 206,000 206,000 17 4 4 21 16 11 44,636 44,636 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 133,000 133,000 12 1 1 13 9 6 25,925 25,925 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 73,000 73,000 5 3 3 8 7 5 18,711 18,711 34 号 河 川 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 68,000 68,000 4 1 1 2 6 3 2 1 14,863 14,863 花 咲 川 鈴 鹿 市 二 級 普 通 内 水 29,000 29,000 1 1 1 954 954 平 成 24 年 台 風 17 号 鈴 鹿 市 溢 水 平 成 24 年 は 溢 水 による 浸 水 は 確 認 されているが 水 害 統 計 に 被 害 等 が 記 載 されていない 10
2.1.2 治 水 事 業 の 現 状 ほりきりかわ い せ わん における 治 水 事 業 としては 昭 和 34 年 度 から 伊 勢 湾 高 潮 対 策 事 業 として 河 口 から 1.4km 区 間 までの 改 良 復 旧 工 事 を 行 っている また 河 川 局 部 改 良 事 業 小 規 模 河 川 改 修 事 業 に より 近 鉄 な ご や 名 古 屋 せん 線 橋 梁 から 上 流 端 の 護 岸 整 備 を 行 っている さらに 昭 和 63 年 度 からは 高 潮 対 策 事 業 として 下 流 区 間 で 排 水 機 場 堤 防 嵩 上 げ 引 堤 等 の 整 備 が 実 施 されている 小 規 模 河 川 改 修 事 業 (S48~H2) 災 害 復 旧 事 業 (S36) ( 本 川 延 長 )L=1,400m 高 潮 対 策 事 業 (S63~) ( 本 川 延 長 )L=1,500m 局 部 改 修 事 業 (S44~S47) 図 2-2 河 道 改 修 状 況 11
2.1.3 内 水 対 策 事 業 の 現 状 流 域 の 内 水 地 区 の 排 水 については 平 成 37 年 度 を 目 標 とし 図 2-3 及 び 表 2-2 に 示 した す ず か し ポンプ 場 が 計 画 されている 現 在 4 箇 所 全 てで 稼 動 しており 鈴 鹿 市 下 水 道 計 画 ( 雨 水 )にお じょうのぐち なぎさ いて 将 来 錠 之 口 ポンプ 場 が 12.65m3/s 小 山 ポンプ 場 が 12.00m3/s 渚 ポンプ 場 が 4.013m3/s に 増 強 される 計 画 となっている す ず か し また 鈴 鹿 市 が 公 表 している 都 市 浸 水 対 策 達 成 率 は 平 成 26 年 時 点 で 30%となっている : 都 市 浸 水 対 策 達 成 率 : 公 共 下 水 道 又 は 都 市 下 水 路 による 都 市 浸 水 対 策 の 整 備 対 象 地 域 の 面 積 のうち 概 ね 10 年 に 1 度 の 大 雨 に 対 して 安 全 であるよう 既 に 整 備 が 完 了 している 区 域 の 面 積 の 割 合 凡 例 : 公 共 下 水 道 ( 雨 水 ) 計 画 区 域 : 雨 水 ポンプ 排 水 区 域 : 雨 水 排 水 区 :ポンプ 場 ( 県 ) :ポンプ 場 ( 市 ) : 県 管 理 河 川 図 2-3 鈴 鹿 市 下 水 道 計 画 ( 雨 水 ) 区 域 及 びポンプ 場 か ま や がわ 表 2.2 釜 屋 川 に 流 入 する 雨 水 排 水 ポンプ 計 画 ポンプ 場 名 位 置 面 積 (km 2 ) ポンプ 流 量 (m 3 /s) 現 況 (H26 現 在 ) 下 水 道 計 画 (H37 年 ) 錠 之 口 2.1k 左 0.799 3.05 12.65 小 山 2.0k 右 0.913 2.26 12.00 木 の 花 1.9k 左 0.108 0.361 - 渚 0.8k 左 0.227 1.35 4.013 12
2.1.4 治 水 の 課 題 における 治 水 の 課 題 は 以 下 のとおりである 表 2.3 治 水 面 の 課 題 一 覧 表 項 目 現 状 課 題 流 域 河 道 治 水 計 画 河 口 の 市 街 地 の 地 盤 高 は 朔 望 満 潮 位 よ りも 低 く 自 己 流 での 排 水 は 困 難 である ため 内 水 被 害 が 多 い 流 域 貯 留 効 果 のある 田 畑 が 存 在 してい る ほぼ 全 区 間 において 流 下 能 力 が 不 足 して いる 近 鉄 橋 梁 や 水 門 等 の 横 断 工 作 物 が 存 在 する 河 口 から 磯 山 井 堰 の 区 間 は 感 潮 区 間 とな っており 河 口 から 水 門 の 区 間 は 高 潮 堤 防 が 整 備 されている いそやま 磯 山 井 堰 上 流 において 堤 防 高 不 足 区 間 が ある か ま や がわ 釜 屋 川 ほぼ 全 区 間 において 流 下 能 力 が 不 足 して いる か ま や がわ 近 鉄 橋 梁 や 釜 屋 川 水 門 等 の 横 断 工 作 物 が 存 在 する 合 流 点 から 0.3k までの 区 間 はバ ック 堤 があり 0.3k より 上 流 は 掘 りこみ 河 道 である 左 右 岸 が 住 居 連 たん 地 域 となっている 既 往 の 計 画 では 流 域 貯 留 ( 水 田 ため 池 等 )を 見 込 んでいない 早 期 の 治 水 安 全 度 の 向 上 が 必 要 とされ る 開 発 による 流 域 貯 留 効 果 が 減 少 し 流 出 量 が 増 加 する 可 能 性 がある 河 道 改 修 ( 引 堤 掘 削 等 )による 河 積 確 保 が 必 要 となる 流 下 能 力 不 足 区 間 を 改 修 する 場 合 近 鉄 橋 梁 等 の 架 け 替 えが 必 要 となった 場 合 多 大 な 費 用 が 必 要 である 感 潮 区 間 であること 地 盤 高 が 朔 望 満 潮 位 よりも 低 いことから 掘 削 等 の 改 修 だ けでは 流 下 能 力 の 確 保 が 困 難 となる 可 能 性 がある か ま や がわ 釜 屋 川 河 道 改 修 ( 引 堤 掘 削 等 )による 河 積 確 保 が 必 要 となる 流 下 能 力 不 足 区 間 を 改 修 する 場 合 近 鉄 橋 梁 等 の 架 け 替 えが 必 要 となった 場 合 多 大 な 費 用 が 必 要 である 住 居 連 たん 地 域 であるため 大 規 模 な 改 修 ( 引 堤 )が 困 難 である 流 域 貯 留 ( 水 田 ため 池 等 ) ポンプ 規 模 の 見 直 し 等 を 考 慮 し 目 標 流 量 を 設 定 する 必 要 がある 13
図 2-4 の 現 況 流 下 能 力 か ま や がわ 図 2-5 釜 屋 川 の 現 況 流 下 能 力 14
2.2 河 川 の 利 用 及 び 河 川 環 境 の 現 状 と 課 題 2.2.1 河 川 水 の 利 用 流 域 は 水 道 用 水 工 業 用 水 発 電 用 水 としての 取 水 は 行 われておらず 農 業 用 水 とし て 水 利 用 ( 慣 行 水 利 権 のみ)がなされている の 取 水 箇 所 は 3 箇 所 あり 総 受 益 面 積 は 77ha となっている すべて 慣 行 水 利 であり 現 状 では 水 位 観 測 等 に 基 づいて 実 際 の 取 水 量 を 観 測 記 録 していない 聞 き 取 り 調 査 を 行 った 結 いそやま 果 現 在 までに 水 不 足 や 水 質 の 障 害 等 の 報 告 は 無 い なお 大 潮 時 等 には 磯 山 井 堰 上 流 側 の 湛 水 域 に 海 水 が 混 じることがあり 井 堰 直 上 流 の 取 水 樋 管 は 使 用 せずに 上 流 側 2 箇 所 の 取 水 口 で 取 水 を 行 っている また 内 水 面 漁 業 や 舟 運 は 行 われていない か ま や がわ す ず か し 釜 屋 川 における 水 利 用 は 無 いが 上 流 部 ( 鈴 鹿 市 管 理 )にはかんがい 用 のため 池 が 点 在 する なお 近 年 において 流 域 における 渇 水 被 害 は 報 告 されていない 表 2.4 水 利 権 一 覧 No 井 堰 名 水 利 使 用 権 者 使 用 目 的 水 利 対 象 届 出 日 慣 行 始 期 取 水 方 法 1 2 3 いそやま 磯 山 井 堰 ぬま の い 沼 ノ 井 井 堰 い がわ 井 川 井 堰 いそやま 磯 山 土 地 改 良 区 かんがい 40ha S42.1.13 江 戸 初 期 堰 上 取 水 ぬま の い 沼 ノ 井 利 水 組 合 かんがい 27ha S42.1.13 明 治 初 期 堰 上 取 水 よこ ち 横 知 土 地 改 良 区 かんがい 10ha S42.1.13 昭 和 10 年 自 然 取 水 図 2-6 水 利 権 の 設 定 状 況 15
2.2.2 河 川 空 間 の 利 用 流 域 内 の 観 光 スポット レクリエーションスポットとしては 下 流 部 には 大 正 時 代 に 海 水 浴 つづみがうら はくしゃ せいしょう 場 として 開 かれた 鼓 ヶ 浦 海 水 浴 場 があり 美 しい 弧 を 描 く 砂 浜 は 日 本 の 白 砂 青 松 100 選 (( 社 ) し ろ こ 日 本 の 松 の 緑 を 守 る 会 )( 昭 和 62 年 ) にも 選 出 されている また 国 道 23 号 周 辺 の 白 子 地 区 い せ い せ かたがみ す ず か ずみ は 旧 伊 勢 街 道 宿 場 町 の 面 影 を 残 した 建 物 が 残 り 伊 勢 型 紙 鈴 鹿 墨 等 の 伝 統 工 芸 を 体 験 す ず か し できる 鈴 鹿 市 伝 統 産 業 会 館 等 歴 史 的 な 風 情 を 感 じられる 名 所 も 存 在 する 上 流 部 の 丘 陵 地 には す ず か 日 本 初 の 本 格 的 サーキットとして 建 設 された 鈴 鹿 サーキットがあり 国 際 レーシングコースでは す ず か F1 日 本 グランプリや 鈴 鹿 8 時 間 耐 久 ロードレースをはじめ 多 くの 4 輪 2 輪 レースが 開 催 される ことから 県 内 外 から 多 くのモータースポーツファンが 訪 れる 図 2-7 河 川 利 用 状 況 16
BOD75% 値 (mg/l) 2.2.3 水 質 水 質 については 水 質 環 境 基 準 の 類 型 指 定 はされていないが 鈴 鹿 市 が 磯 山 井 堰 付 近 で 水 質 測 定 を 行 っている BOD75% 値 は 変 動 があるもの 平 成 15 年 度 に 3.6mg/l(C 類 型 相 当 ) となって 以 降 改 善 傾 向 となっており 平 成 24 年 度 は 2.4mg/l(B 類 型 相 当 )となっている 6.0 5.0 C 類 型 (5mg/l 以 下 ) 4.0 3.0 2.0 B 類 型 (3mg/l 以 下 ) A 類 型 (2mg/l 以 下 ) 1.0 0.0 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 図 2-8 水 質 の 推 移 なお 流 域 における 下 水 道 整 備 ( 汚 水 処 理 )については 南 部 浄 化 センター( 四 日 市 市 )が 平 成 7 年 度 から 稼 働 しており 平 成 26 年 で 約 50%の 整 備 進 捗 率 である 図 2-9 汚 水 処 理 施 設 状 況 17
2.2.4 動 植 物 の 生 息 生 育 環 境 流 域 の 自 然 環 境 は 干 潮 時 に 下 流 域 にあらわれる 干 潟 や 国 道 23 号 橋 梁 付 近 のヨシ 群 落 が 大 き な 特 徴 となっている 植 物 としては 河 道 内 の 植 生 は かんがい 期 に 湛 水 区 間 となるため それほど 豊 かではない 確 認 種 の 多 くが 人 為 的 な 影 響 下 に 生 育 しており また 確 認 種 のほぼ 1/3 が 帰 化 種 や 逸 出 種 とな っており 重 要 種 は 特 に 確 認 されていない 魚 類 については 平 成 20 年 度 の 現 地 調 査 より ニホンウナギ メダカ 南 日 本 集 団 カワアナゴ ヒモハゼ エドハゼ カダヤシ ブルーギル 等 14 科 32 種 が 確 認 されている 両 生 類 爬 虫 類 については 特 定 外 来 生 物 であるウシガエル ミシシッピアカミミガメが 多 数 確 認 されている 1k000 付 近 2k700 付 近 2k100 付 近 4k100 付 近 18