入門 講座 症例で学ぶ 中医学② 脾の弁証 木本 裕由紀 脾とは何か 木本クリニック 脾は昇清を主る 脾は中焦に位置し横隔膜の下にある 脾とは中医学でい 脾は水穀の精微 清 栄養物質 を 主として脾の上 う五臓の1つであり 西洋医学でいう脾臓と同一ではない 部にある心 肺 肝の三臓に運輸 上向散布 するので 脾には胃腸も脾臓も膵臓も含まれ さらに所属経絡 肌肉 昇を主る という 脾気不昇 では 内臓を正常な位 筋肉 四肢 口 唇なども含まれている 脾と胃は五行 置に維持できないために腹部や肛門の下墜感 内臓下垂 ではいずれも土に属するが 表裏の関係にあり 胃は陽で がみられたり 全身が精微の供給が受けられないために 脾は陰である 脾の生理機能は 運化 昇清 統血である 頭暈 目眩 疲れやすい 息切れ 痩せる などの症状 がみられたりする 中気下陥 とは 脾虚 気虚 陽虚 つかさど 脾は運化を主 る によって中焦の気の下陥を生じることである 脾は中焦 運化の 運 とは 運輸 輸送の意味である 運化の 化 とは 消化 変化の意味である 脾気とは 水穀 にあるので 中気下陥 と名づけられているが 脾気下 陥 とも呼ばれる 飲食物 を消化し 精微物質に化生 変化 させ 人体 各部に輸送する働きのこと 脾虚で精微が化生 運輸され この 脾は統血を主る にく ないと湿が生じる 脾は燥を喜み湿を悪む 逆に 胃 脾気の作用で血液が血管外に漏れることなく正常運行 は燥を悪み湿を喜む 胃気は降を主るが 痰飲の邪が生 できることをいう もし脾気虚で統血を失うと 臨床上 じると 胃気不降 で嚥下困難 咽の詰まった感じ 便 いろいろな出血病 月経過多 崩漏 血便 鼻出血 皮 秘などの症状がみられたり 胃気上逆 して しゃっく 下出血 尿血がみられるようになる また舌淡 脈細弱 り げっぷ 嘔気 嘔吐などの症状がみられたりする もみられるようになる かいきょう 大阪市中央区天満橋京町3-5 15 伝統医学 Vol.9 No.3 2006.9 91
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