ナールビコワの詩的言語について る 言語実践は原始人にとっても本当は事物に対する距 ではなく 時間毎に女の子は育ち この子はターニャと 離を前提としているのに ことばが精神的外界 抽象過 名づけられた 118 アーニャという名前の女の子が 程としては 泣いている 同上 この子はカーチャと名づけられ えられないのである ことばが 肉体や自 然の動力と混同されて 肉体や自然の宇宙的要素として た 同上 あの子の名前はマーシャだ 119 11 参加するのだ ことばと肉体的 自然的現実とのつなが りが 抽象的もしくは慣習的ではなくて 現実的で物質 より オカルティックな興味が先立つもものようだ そ 的なのである 原始人は素材と精神 現実とことばを れはアダムとイヴの関係や 聖母とマグダラのマリヤの したがって 指向対象 対照性など 聖書のエピソードに対する 冒涜 と 言語記号 ましてや 記 号表現 と 記号内容 を はっきり切り離す二 7 8 9 法に 的なエ ロティックなパロディ化を頻繁に行っていること そし は え及ばない ジュリア クリステヴァ ことば こ てなによりもヤコブ ベーメの の未知なるもの 谷口勇 枝川昌雄訳 国文社 1983 強調は原著者 82 衡 全般に見られることからも窺える 世記 同上 1 クリステヴァ 前掲書 149 光 の影響が 12 新共同訳 特等車両に移れないかしら つまりアヴァクーム 空虚 と 78 列車の特等車両 13 新共同訳 聖書 の用語解説によると 聖霊 の別名で ある 神の霊 は ヘブライ語及びギリシア語で 風 にかけた言葉遊び // 訳文は以下の翻 訳 に よ る 吉 岡 ゆ き 訳 あるいは 息 と同じ言葉である 生命の証 拠 と し て 14 息 肉体と区別されたという意味で 霊 といった用 法もある したがって 霊は 生命そのもの あるいは ざわめきのささやき 群像社 1997 178 ヴィクトル シクロフスキー 散文の理論 水野忠夫訳 せりか書房 1971 年 416 15 精神的存在としての人間も意味するという 10 ナールビコワにとって 聖書は敬虔な信仰の対象という // 女の子にどんな名前をつけようか アンナでもいい 16 オーストリアのアンナがすでにいる エレーナは こ // れ も い た エ カ チェリーナ は ア レ ク サ ン ド ラ は ラーリナ ナターシャは ロストワかゴ 17 ンチャロワか アデライーダ イワンナは一組のトラン 18 ターニャは プ もうみんないた 名前がない どうやってもだめ ジュディス バトラー 触発する言葉 言語 権力 行為体 竹村和子訳 岩波書店 2004 年 9 燕とか太陽って名前をつけよう ラストチカ イワーノ 19 ヴナとかソルニシコ イワーノヴネとか 116 日毎 20 63