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始まりは剥げかけたパオロ ウッチェロのフレスコ画や 精巧な彫刻が摩擦で失われてしまい くぼみだけに なってしまった古代のレリーフを見たことだった その姿は 膨大な歳月がいつしか基底こそをもういちど蘇生 させようとする あるいは始まりの基盤がどんなに覆いつくしても吹き返し 等化を迫ってくる そんな力 の中に留まろうとするものの姿だった それでは それは場所に閉じ込められた姿だったのだろうか 剥離し なら たフレスコ画も均されたレリーフも 基底に繋がれながら しかしコブのように起き上がっている 私はまさにそ のことを 見たのではないか さらには セザンヌ ジャコメッティの絵画 ロッソの彫刻 キルヒナーやベーコン といった作家たち 世 界を築こうとした作家たちの絵画や彫刻の中で起きていること があった それぞれの作家の目指したものは まったくちがう しかし 通じるものがある 彼らの絵画では 絵画はなかなか始まらないのだ 姿 は容易に 姿を持たせてもらえない 見えるものになったとしても また初めからそこにいたとしても それは束の間そうあ るようであり まだ行く先があるような様子をしている そしてそれ故に イメージ(像)は唯一の在り方として画 面に現れているようである 彼らの絵画には それと分かる事物が現れるその以前と以後に あるいは背 後の中間地帯として常に それ自体リズムとベクトルを持った 大気 のようなもの が存在し充満し 画面 の向かう先を探っているのだ イメージはその厚みをくぐって現われ また その厚みを持つことで見えうるも のになる 本論考では こうした成り立ちを持つ作品群を念頭において 論を進めて行きたいと考えている 何が今 も絵画に向かわせるのか 絵画はどのように いつ始まるのか イメージはどのような姿をしているのか そし てこうした問いを貫く 絵画においてものの現れとは何か ということについて追っていきたい 図2 作者未詳 レリーフ作品 著者撮影 図 3 パオロ ウッチェロ ノアの燔祭 (部分) 1447 年 フレスコ サンタ マリア ノヴェッラ教会(フィレンツェ) 図 4 パオロ ウッチェロ ノアの燔祭 (全体) 以下 図 3 に同じ 5
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