狂 犬 病 について (ファクトシート) 2016 年 3 月 WHO 要 点 狂 犬 病 は 150 以 上 の 国 と 地 域 で 発 生 していますが ワクチンで 予 防 できるウイルス 性 疾 患 で す イヌは 人 の 狂 犬 病 の 感 染 源 の 99%を 占 めており 大 多 数 の 死 亡 者 の 原 因 になっています 狂 犬 病 の 撲 滅 はイヌにワクチン 接 種 することで 実 現 可 能 です 毎 年 数 万 人 が 狂 犬 病 によって 死 亡 しており そのほとんどがアジアとアフリカで 発 生 していま す 狂 犬 病 が 疑 われる 動 物 に 咬 まれた 人 の 40%は 15 歳 未 満 の 子 どもです 狂 犬 病 が 疑 われる 動 物 と 接 触 したときには 直 ちに 傷 を 石 鹸 と 水 で 洗 浄 することで 命 を 救 う ことができます 毎 年 狂 犬 病 を 予 防 するために 世 界 で 1,500 万 以 上 の 人 が 暴 露 後 予 防 接 種 を 受 けています これは 毎 年 数 十 万 人 の 狂 犬 病 患 者 の 命 が 救 われている 計 算 になります 概 要 狂 犬 病 は 発 症 後 にはほとんど 全 員 が 死 に 至 るウイルス 感 染 症 です 狂 犬 病 ウイルスは 患 者 ( 人 )の 99%で 飼 いイヌから 感 染 伝 播 しています 狂 犬 病 は ペット 動 物 や 野 生 動 物 が 感 染 し た 後 これらが 咬 む 又 は 引 っ 掻 くことで 唾 液 を 通 して 人 に 拡 がります 狂 犬 病 は 南 極 大 陸 を 除 く 全 ての 大 陸 に 存 在 します しかし 死 亡 者 の 95% 以 上 はアジアとアフ リカで 発 生 しています 狂 犬 病 は 死 者 が 出 てもほとんど 届 けられることのない 貧 困 で 体 制 の 脆 弱 な 集 団 そして 人 用 の 狂 犬 病 ワクチンと 免 疫 グロブリンが 確 実 に 接 種 できない 又 は 接 種 できる 環 境 を 利 用 でき ない 地 域 の 集 団 で 発 生 する 顧 みられない 疾 患 です 主 に 遠 隔 の 農 村 部 で 発 生 し 5-14 歳 の 子 どもが 最 も 多 く 犠 牲 になっています 狂 犬 病 暴 露 後 予 防 接 種 (PEP)の 平 均 費 用 は アフリカでは 40US ドル アジアでは 49 US ドル となるため 1 日 の 平 均 収 入 が 1-2 US ドルほどしかない 貧 困 な 人 々にとっては 破 滅 的 な 高 額 で す 予 防 イヌの 狂 犬 病 の 撲 滅
狂 犬 病 はワクチンで 予 防 できる 疾 患 です イヌへのワクチン 接 種 は 人 に 対 する 狂 犬 病 予 防 の 最 も 対 費 用 効 果 のある 対 策 です イヌへのワクチン 接 種 は 狂 犬 病 による 死 に 着 目 させるだけで なく イヌ 咬 傷 治 療 の 一 部 としての 暴 露 後 予 防 接 種 (PEP)の 必 要 性 にも 着 目 させています 人 に 対 する 予 防 接 種 狂 犬 病 暴 露 前 予 防 接 種 も 安 全 かつ 有 効 なワクチンとして 使 用 されています 狂 犬 病 暴 露 前 予 防 接 種 は 長 時 間 を 野 外 で 過 ごす 旅 行 者 特 に サイクリング キャンプ ハイキングなどの 農 村 地 域 での 活 動 やウイルス 暴 露 への 大 きなリスクのある 地 域 で 長 期 間 を 過 ごす 旅 行 者 や 滞 在 者 に 勧 められます 狂 犬 病 暴 露 前 予 防 接 種 は 活 性 のある 狂 犬 病 ウイルスやその 他 の 狂 犬 病 関 連 ウイルス(リッ サウイルス 属 )を 扱 う 研 究 施 設 関 係 者 のようなリスクの 高 い 職 種 の 人 々 さらに 専 門 的 または 何 らかの 機 会 に 狂 犬 病 が 常 在 する 地 域 でのコウモリ 肉 食 動 物 その 他 の 哺 乳 動 物 がもつ 直 接 ウイルスと 接 触 する 可 能 性 のある 活 動 をする 人 々にも 勧 められます 動 物 と 良 く 遊 ぶ 子 供 は 強 く 咬 まれることがあり また 咬 まれたりしたことを 報 告 しないため 狂 犬 病 のリスクがより 高 くなるこ とが 考 えられます そのため 子 どもたちへの 予 防 接 種 は 居 住 地 や 感 染 リスクの 高 い 遊 び 場 を 考 慮 する 必 要 があります 症 状 狂 犬 病 の 潜 伏 期 間 は 一 般 的 には 1 か 月 から 3 か 月 ですが 狂 犬 病 ウイルスの 侵 入 経 路 とウ イルス 量 により 1 週 間 未 満 から 1 年 以 上 の 可 能 性 があります 狂 犬 病 の 初 発 症 状 には 発 熱 頻 繁 な 創 傷 部 位 の 痛 み 説 明 のつかない 異 常 なヒリヒリ 感 やチクチク 感 咬 傷 部 位 の 灼 熱 感 ( 錯 感 覚 )があります ウイルスは 中 枢 神 経 系 に 広 がるに 攣 れ 脳 と 脊 髄 に 進 行 性 で 致 命 的 な 炎 症 を 起 こします この 疾 患 には 2 つの 病 型 があります 狂 躁 型 の 狂 犬 病 では 活 動 性 の 亢 進 易 興 奮 性 恐 水 症 状 また 時 に 恐 風 症 状 が 現 れます 数 日 後 には 心 肺 停 止 によって 死 亡 します 麻 痺 型 の 狂 犬 病 は 人 における 狂 犬 病 全 体 の 約 30%を 占 めます 狂 躁 型 ほどの 激 烈 さはなく 通 常 長 い 経 過 をたどります 筋 肉 は 咬 傷 または 擦 過 傷 部 位 から 徐 々に 麻 痺 を 起 こします 昏 睡 が 徐 々に 進 行 し 最 後 には 死 に 至 ります 麻 痺 型 の 狂 犬 病 は しばしば 誤 診 され 疾 患 の 過 少 報 告 につながっています 診 断 発 症 前 に 狂 犬 病 の 感 染 を 診 断 できる 検 査 法 はありません また 恐 水 症 状 や 恐 風 症 状 のよう
な 狂 犬 病 に 特 有 の 症 状 が 出 現 するまでは 臨 床 診 断 が 困 難 です 人 での 狂 犬 病 は 生 検 か 死 亡 解 剖 のいずれかの 方 法 であれば 脳 脊 髄 液 中 のウイルスの 全 貌 ウイルス 抗 原 ウイルス 特 異 的 抗 体 や 感 染 した 組 織 ( 脳 皮 膚 尿 唾 液 ) 中 の 核 酸 を 標 的 とした 様 々な 診 断 技 術 によって 検 査 を 確 定 させることができます 感 染 伝 播 通 常 人 は 感 染 した 動 物 に 深 く 咬 まれたり 引 っ 掻 かれたりすることで 感 染 します イヌは 狂 犬 病 の 主 たる 宿 主 であり 媒 介 動 物 です アジアとアフリカでは イヌは 人 の 狂 犬 病 全 体 の 95% 以 上 の 死 亡 原 因 になっています アメリカ 大 陸 では コウモリが 最 も 多 い 人 の 狂 犬 病 死 亡 の 原 因 になっています また コウモリ の 狂 犬 病 は 最 近 オーストラリア 西 ヨーロッパでも 公 衆 衛 生 上 の 脅 威 となっています 非 常 に 稀 ですが 狂 犬 病 が キツネ アライグマ スカンク ジャッカル マングースやその 他 の 野 生 動 物 肉 食 種 から 人 に 感 染 し 死 に 至 ることがあります 感 染 伝 播 は 感 染 性 物 質 ( 通 常 は 唾 液 )が 人 の 粘 膜 や 新 鮮 な 創 傷 に 直 接 接 触 することで 成 立 することもあります 理 論 上 は 人 が 人 を 咬 むことによるヒト-ヒト 感 染 も 起 こり 得 ますが 確 認 さ れたことはありません 稀 に 狂 犬 病 はウイルスを 含 むエアゾールの 吸 入 や 感 染 した 臓 器 の 移 植 を 通 しても 感 染 しま す 狂 犬 病 に 感 染 している 動 物 の 生 肉 または 他 の 組 織 の 摂 取 は 人 への 感 染 源 として 確 認 され たことはありません 暴 露 後 予 防 接 種 (post-exposure prophylaxis : PEP) 狂 犬 病 暴 露 後 予 防 接 種 (PEP)は 狂 犬 病 感 染 を 防 ぐために 狂 犬 病 に 曝 露 された 後 直 ちに 咬 傷 被 害 者 に 開 始 される 治 療 のことです 暴 露 後 予 防 接 種 は 次 のように 構 成 されています 暴 露 後 できるだけ 早 く 創 部 の 局 所 処 置 を 開 始 する WHO の 標 準 治 療 に 合 わせて 強 力 かつ 有 効 な 狂 犬 病 ワクチンを 定 められたコースで 接 種 する 適 応 がある 場 合 には 狂 犬 病 の 免 疫 グロブリン(RIG)を 投 与 する 狂 犬 病 に 暴 露 後 早 期 に 有 効 な 治 療 を 行 えば 発 症 と 死 を 防 ぐことができます
創 部 の 局 所 処 置 これは 咬 傷 に 必 要 とされる 応 急 処 置 で 石 鹸 と 水 洗 剤 ポビドンヨードなど 狂 犬 病 ウイルス を 殺 菌 する 物 質 で 最 低 15 分 間 感 染 性 物 質 の 洗 い 出 しと 傷 の 洗 浄 を 直 ちに 徹 底 して 行 います 推 奨 される 暴 露 後 予 防 接 種 暴 露 後 予 防 接 種 は 狂 犬 病 が 疑 われる 動 物 と 接 した 状 況 にしたがって 行 われます( 下 表 参 照 ) < 表 > 接 触 状 況 の 区 分 と 推 奨 される 暴 露 後 予 防 (PEP) 狂 犬 病 が 疑 われる 動 物 との 接 触 状 況 による 区 分 暴 露 後 予 防 接 種 の 方 法 区 分 1- 動 物 に 触 れた 動 物 に 餌 を 与 えた 動 物 なし に 正 常 な 皮 膚 をなめられた 区 分 2- 素 肌 を 軽 くかじられ 出 血 のない 小 さな 迅 速 なワクチン 接 種 と 創 部 擦 過 傷 ができた 区 分 3- 単 回 または 複 数 回 の 皮 膚 を 貫 く 咬 傷 擦 過 傷 ができた 傷 のある 皮 膚 をなめられた なめ られて 粘 膜 が 唾 液 に 汚 染 された コウモリと 接 触 した の 処 置 迅 速 なワクチン 接 種 狂 犬 病 免 疫 グロブリンの 投 与 創 部 の 処 置 区 分 2 と 区 分 3 の 暴 露 はすべて 狂 犬 病 を 発 症 するリスクがあると 評 価 され 暴 露 後 予 防 接 種 を 必 要 とします 以 下 の 場 合 は このリスクが 高 くなります 咬 まれた 動 物 が 狂 犬 病 の 保 有 が 知 られている 種 または 媒 介 種 である 場 合 咬 まれた 動 物 が 病 気 のようだったり 異 常 な 行 動 を 起 こしたりしている 場 合 傷 や 粘 膜 が 動 物 の 唾 液 で 汚 染 された 場 合 突 然 に 動 物 に 咬 まれた 場 合 咬 まれた 動 物 が 予 防 接 種 を 受 けていなかった 場 合 発 展 途 上 国 では 暴 露 後 予 防 接 種 を 受 けるか 否 かを 決 める 際 に 疑 いのある 動 物 の 予 防 接 種 歴 のみで 考 えるべきではありません WHO は イヌの 狂 犬 病 の 撲 滅 を 通 じて 人 の 狂 犬 病 を 予 防 するだけでなく 皮 内 投 与 をより 広 く 普 及 させることによって 投 与 量 を 減 らすことで 細 胞 培 養 ワクチンの 生 産 コストの 60% 80%を 削 減 することも 推 進 しています
WHO の 取 り 組 み 狂 犬 病 のような 人 獣 共 通 感 染 症 に 対 しては 国 と 地 域 および 大 陸 レベル 間 で 動 物 領 域 と 人 間 領 域 で 密 接 に 連 携 する 必 要 があります 2015 年 12 月 には WHO と 国 際 獣 疫 事 務 局 (OIE)によって 国 際 連 合 食 料 農 業 機 関 (FAO: Food and Agriculture Organization)と 狂 犬 病 制 御 世 界 同 盟 (GARC:Global Alliance for Rabies Control)と 共 同 で 2030 年 までに 狂 犬 病 による 死 亡 者 ゼロに 到 達 させる 世 界 的 な 枠 組 みが 立 て られました この 主 導 的 な 姿 勢 には 人 および 動 物 の 医 療 分 野 がこの 壊 滅 的 かつ 大 規 模 な 顧 み られない 疾 患 に 対 する 共 通 戦 略 を 採 り 入 れ 共 に 進 むことが 初 めて 記 されました 人 に 対 する 狂 犬 病 の 抑 制 は 犬 への 予 防 接 種 暴 露 後 予 防 接 種 への 利 便 性 の 向 上 調 査 活 動 の 強 化 と 国 民 の 公 共 意 識 向 上 が 関 わる 介 入 を 組 み 合 わせることによって 可 能 であるとの 考 え 方 でのプロジェクトの 正 しさが 証 明 され フィリピン 南 アフリカおよびタンザニアで 大 きな 進 歩 を 成 し 遂 げました イヌと 人 の 狂 犬 病 ワクチンの 備 蓄 は 各 国 の 狂 犬 病 撲 滅 への 取 り 組 みを 促 進 する 効 果 があり ました WHO は WHO/UNICEF( 人 間 のワクチンと RIG)と OIE/WHO( 動 物 のワクチン)の 体 制 を 通 じて 世 界 での 生 産 能 力 を 理 解 し 各 国 が 一 括 購 買 する 選 択 肢 を 模 索 するために 人 とイヌの ワクチンの 供 給 と 狂 犬 病 免 疫 グロブリンの 必 要 量 について 予 測 する 調 査 に 取 り 組 んでいます 狂 犬 病 が 常 在 する 国 と 地 域 において 常 に 狂 犬 病 予 防 プログラムを 技 術 的 および 物 質 的 に 支 援 に 支 援 する 一 貫 した 刺 激 策 を 採 り 入 れることが 成 功 を 収 めました 実 績 のある 制 御 戦 略 の 実 行 を 可 能 にすれば 持 続 可 能 な 狂 犬 病 撲 滅 プログラムを 作 成 し 理 想 的 には 近 隣 地 域 や 国 に 拡 大 されることになります イヌから 感 染 する 狂 犬 病 が ラテンアメリカの 多 く 国 チリ コスタリカ パナマ ウルグアイ ア ルゼンチンのほとんどの 地 域 ブラジルのサンパウロ 州 リオデジャネイロ 州 メキシコの 大 部 分 の 地 域 およびペルーからは 撲 滅 されました WHO 東 南 アジア 地 域 事 務 局 の 多 くの 国 が 2020 年 までに 地 域 から 狂 犬 病 を 撲 滅 する 目 標 に 沿 って 狂 犬 病 撲 滅 キャンペーンを 始 めています バングラデシュでは 2010 年 に 撲 滅 プログラ ムを 開 始 し イヌの 咬 傷 大 規 模 なイヌの 予 防 接 種 無 料 でのワクチン 利 用 機 会 の 強 化 を 通 して 2010-2013 年 での 狂 犬 病 死 亡 者 数 が 50% 低 下 しました
出 典 WHO. Media centre. Fact sheet Rabies, Updated March 2016 http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs099/en/ この PDF ファイルは 厚 労 省 ( FORTH )が WHO のファクトシート( 英 文 )を 翻 訳 したものです 海 外 渡 航 を 安 全 なものにするためにご 利 用 下 さい 新 道 有 限 会 社 特 殊 清 掃 事 業 部 http://deo.2lala.net