社会保険労務士 & 事業主のための オンライン申請入門講座 - 基礎編 - 平成 28 年 3 月総務省行政管理局
目次 1. オンライン申請のメリット 2. 電子政府の総合窓口 (e-gov) の紹介 3. オンライン申請の準備 4. オンライン申請の流れ 5.e-Gov 電子申請の4つの方法 6. オンライン申請の現状 2
1 オンライン申請のメリット いつでも 窓口の開設時間にとらわれず 夜間や休日でも どこでも いつでも申請できます 窓口に出向くことなく 自宅や職場 遠隔地からでも インターネットを通じて申請できます 快適 お得 複数の窓口をまわらなければならない場合でも 一度に手続を行なってしまうことができます 申請情報を機械的にチェックできるため 記入ミスや記載漏れを防止できます オンライン申請により 窓口に出向く時間と費用 窓口での待ち時間等が不要になります 申請 1 回当たり平均 2,500 円 ~3,300 円のコスト削減 ( 厚生労働省による試算 ) 3
1 オンライン申請のメリット e-gov の Web ページ上にて オンライン申請の利用者の声を掲載しています 利用者側からみた オンライン申請のメリットや活用方法など 利用を始めるにあたり 参考となる情報が紹介されています http://www.e-gov.go.jp/shinsei/voice/index.html 4
2 電子政府の総合窓口 (e-gov) の紹介 各府省の行政情報をインターネットを通じて総合的に提供 インターネット上の一つの窓口から 24 時間 365 日いつでも申請 届出が可能 民間ソフトウェア等から直接 e-gov オンライン申請を行う機能の本格運用 (27 年度 ~) 行政情報を調べる オンラインで申請 http://www.e-gov.go.jp 意見 要望を送る 調べる 法令検索現在施行されている法令の検索 各府省のウェブページリンク集 申請 手続 e-gov 電子申請システム行政機関に対する申請 届出等の手続が電子データで行なえる 意見 要望 パブリックコメントパブリックコメントの投稿や 募集結果の確認 利用実績 ( 平成 26 年度 ) 1. 総アクセス件数約 3 億 2000 万件 ( 前年度比 122%) 2. 電子申請の受付件数約 320 万件 ( 前年度比 138%) 申請受領公文書発行 情報登録 国民 企業等 パブリックコメント受付 各府省 5
2 電子政府の総合窓口 (e-gov) の紹介 電子申請システム http://www.e-gov.go.jp/shinsei/index.html 平成 28 年 1 月 31 日時点 e-gov 電子申請システムは 6 省庁のシステムと連携を行っています 4151 手続が電子申請可能となっており そのうちの9 割が厚生労働省所管の手続です 6
3 オンライン申請の準備 オンライン申請を行うためには以下の 2 点が必要です 1. 電子証明書の取得 電子証明書は 署名されたファイルの本人性を証明するものです すなわち 書面申請の際の印鑑に相当するものと言えます 2. パソコンの環境設定 電子証明書は いずれも有料で 必ず有効期限がありますのでご注意ください (2016 年 3 月時点では公的個人認証の初期発行のみ無料です ) Windows 及び Internet Explorer である必要があります また 電子申請用プログラム (e-govにて配布を行っております) のインストール及び ブラウザの設定が必要です 7
3 オンライン申請の準備 ( 電子証明書の取得 ) 電子証明書の選び方 基本的には e-govにて利用可能な認証局であれば何を選んでも構いませんが 選択の基準となりそうな事柄について いくつか示します 認証局 ( 発行元 ) の違い 名義の違い 官公庁 公的個人認証サービス 商業登記に基礎を置く電子認証制度 機能的な違いは特に無いと考えて差し支えありません 個人名義 民間 各種民間認証局 法人名義 個人として手続をしたいのか 法人として手続をしたいのかによって選択 発行タイプの違い IC カードタイプ 電子証明書が入った IC カードとして使うタイプ カードリーダを別途購入する必要があります 紛失する恐れがあります 物として存在するので運用管理が容易 複数人で同時に使用するのがやや困難 ファイルタイプ パソコンにインストールして使うタイプ 一度インストールしてしまえば便利 複数台のパソコンで同じ証明書を同時に使用できます どのパソコンにインストールされているかなど 管理が大変になる可能性があります 用途の違い 電子申請のみに用いる 電子申請以外 ( 電子入札など ) でも用いる e-gov 電子申請システム以外でも電子証明書を用いる可能性がある場合には それらでも利用可能な認証局サービスである必要があります 8
3 オンライン申請の準備 ( 電子証明書の取得 ) e-gov にて利用可能な電子証明書サービスの一覧を公開しております http://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup04/manu_certificate.html また 社会保険労務士の場合は 社会保険労務士電子証明書がありますので 全国社会保険労務士会連合会にお尋ねください 9
3 オンライン申請の準備 ( パソコンの環境設定 ) 1. パソコンとブラウザソフトの確認 WindowsとInternet Explorer 2.Javaの確認 Javaのインストール 3. 電子証明書の確認電子証明書の取得 4. ブラウザの設定確認ポップアップの許可 5. 信頼済みのサイトとしての登録確認 e-govを信頼済みのサイトとしてブラウザに登録 6.e-Gov 電子申請用プログラムの確認電子申請プログラムをインストール 詳しくは e-gov 実習編の中の利用準備編にて説明を行います 10
4 オンライン申請の流れ e-gov 電子申請システムの場合 事前準備 ( 電子証明書の取得 +パソコンの環境設定 ) が完了した後 基本的に以下のような手順にてオンライン申請は進行します 申請者 電子申請システム 1.e-Gov 電子申請システムの Web ページにて 申請する 手続の検索を行います 雇用保険被保険者 2. 申請データの入力を行います 3. 入力し終えた申請データに対して電子証明書を用いて署名を付与します 4. 申請内容確認と電子署名検証を行い 正しい場合には申請書の到達とします 5. 到達番号 問合せ番号を返信します 6. 到達番号で問合せを行い 進捗が確認できます 7. 進捗状況を都度返却します 8. 公文書発行済みの場合には公文書がダウンロード可能 11
5 e-gov 電子申請の 4 つの方法 e-govのオンライン申請の方法には 現在 直接入力方式 連記式 CSVファイル添付方式 外部の事業者が開発したソフトウェア ( 有料 ) を利用した 一括申請方式 及び API 利用方式 の4 種類があります 入力 直接入力方式 連記式 CSV ファイル添付方式 電子申請ページ 利用者 入力 出力 添付 届書作成プログラム 磁気媒体届書 入力 一括申請対応ソフトウェア 一括申請方式 出力 申請データ アップロード 電子申請システム 電子申請 API 入力 API 利用方式 申請 API 対応ソフトウェア 12
5 e-gov 電子申請の 4 つの方法 直接入力方式 先程 オンライン申請の流れにて紹介した最も基本的な方法です e-gov 電子申請の Web ページに申請情報を入力して一件ずつ申請を行います 利便性が高い 連記式 CSVファイル添付方式日本年金機構が配布 ( 無料 ) している届書作成プログラムを利用して 磁気媒体届書ファイルを作成し e-gov 電子申請のWebページにて申請を行う際にその届書を添付ファイルとして設定します 一件の手続を行う際に 複数人の対象者を一度に設定することが可能です 一括申請方式外部の事業者が作成したソフトウェア ( 有料 ) を利用して 複数件の申請データを束ねた圧縮ファイルを作成し e-gov 電子申請のWebページにアップロードをすることで 複数件の手続を一度に申請可能とした機能です API 利用方式外部の事業者が作成したソフトウェア ( 有料 ) を利用して e-gov 電子申請の Webページを見ることなく ソフトウェアから直接に申請が可能となる機能です 一括申請と同じく複数件の手続を一度に申請可能です 13
5 e-gov 電子申請の 4 つの方法 連記式 CSV ファイル添付方式について 雇用保険関係 雇用保険被保険者資格取得届 ( 連記式 ) 雇用保険被保険者資格喪失届 ( 連記式 ) 離職票交付ありを除く 雇用保険被保険者転勤届 ( 連記式 ) 社会保険関係 健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届 (CSV ファイル添付方式 ) 健康保険 厚生年金保険被保険者資格喪失届 (CSV ファイル添付方式 ) 健康保険 厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届 (CSV ファイル添付方式 ) 健康保険 厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 (CSV ファイル添付方式 ) 健康保険 厚生年金保険被保険者賞与支払届 (CSV ファイル添付方式 ) 厚生年金保険被保険者住所変更届 (CSV ファイル添付方式 ) 健康保険被扶養者 ( 異動 ) 届 (CSV ファイル添付方式 ) 国民年金第 3 号被保険者関係届 ( 資格取得 資格喪失 死亡 ) (CSV ファイル添付方式 ) 国民年金第 3 号被保険者被扶養配偶者非該当届 (CSV ファイル添付方式 ) は CSV ファイル添付方式のみ利用でき 直接入力方式では利用できない手続を示しています 届書作成プログラムは日本年金機構の Web ページで配布を行っています https://www.nenkin.go.jp/denshibenri/denshibaitai.html 14
5 e-gov 電子申請の 4 つの方法 一括申請方式について イメージとしては 申請書データの束をあらかじめ作成しておくことで複数件の申請を同時に行えるようにしたものです e-govでは 申請書データの作成仕様を公開しており その仕様に準拠した申請データを作成できるソフトウェア ( 業務用ソフトなど ) を利用することで一括申請が行えます 申請データ作成をサポートするソフトウェアが必要 大量の申請 届出を行う際に便利 申請 届出の進行状況が一覧形式で確認可能です 事前のパソコンの環境設定は引き続き必要です 申請件数に応じて e-govから通知のメールが届きます ( メール内容については実習編参照 ) 一括申請対象手続一覧 http://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/collectively/list.html 雇用保険被保険者資格取得届 雇用保険被保険者資格喪失届 健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届 健康保険 厚生年金保険被保険者資格喪失届 健康保険 厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届 健康保険 厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 など 15
5 e-gov 電子申請の 4 つの方法 API 利用方式について アプリケーションプログラミング インターフェース API(Application Programming Interface) データを外部のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約 プログラム同士でのデータのやり取り方法 つまり 人間が読める形ではなく 機械 (= ソフトウェア ) が読める形としてのデータ記述方法 ソフトウェアが読めるとどのような利点が API 対応ソフトウェアを利用している場合 入力データからソフトウェアが自動的に申請データを作ってくれます ソフトウェア上から申請 電子署名 進捗確認 公文書ダウンロードを行うことができます e-gov 電子申請システムのWebサイト上の操作が不要になります 労務会計ソフトウェア 入力 データ管理 申請ボタン 申請データ作成 送信 手続の進捗具合を確認 手続完了したら公文書をダウンロード 電子申請 API 16
5 e-gov 電子申請の 4 つの方法 e-govのwebページ上において APIを利用した申請の利点 及び対応ソフトウェアの紹介を行っております http://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/api_software/index.html 17
6 オンライン申請の現状 e-gov 電子申請のオンライン申請の受付状況 年間受付件数 月別受付件数 3,500,000 3,000,000 3,202,203 450,000 400,000 350,000 386,444 26 年度 25 年度 24 年度 2,500,000 2,000,000 1,500,000 2,326,107 1,625,464 300,000 250,000 200,000 307,642 274,614 227,131 249,684 212,631 275,406 273,048 278,530 265,440 240,413 211,220 1,004,370 150,000 1,000,000 650,386 409,003 100,000 500,000 0 286,657 34,337 932 50,000 0 平成 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月出典 : 総務省 平成 26 年度における行政手続等オンライン化等の状況 18
6 オンライン申請の現状 国の行政手続のオンライン利用の現状 オンライン利用率は年々上昇しています 分野によっては半分以上がオンラインで行われているものもありますが 社会保険 労働保険では低調な数値となっています (%) 70 60 54.0 57.8 61.2 64.1 50 44.6 50.0 50.8 52.7 55.6 57 40 42.9 46.8 38.5 41.2 44.1 45.4 30 31.5 31.8 オンライン化手続全体登記 20 国税 社会保険 労働保険 10 1.4 1.7 2.7 4.3 5.6 6.9 0 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 出典 : 総務省 平成 26 年度における行政手続等オンライン化等の状況 19