地域密着型金融の取り組み状況 平成 22 年 4 月 ~ 平成 23 年 3 月 平成 23 年 5 月 飯能信用金庫 当金庫では 地域密着型金融 ( リレーションシップバンキング ) の推進にあたり 平成 15 年から 2 度のアクションプログラムを掲げ 平成 19 年 3 月末の 地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム の終了後も 地域の活性化を恒久的な経営課題として位置付け その取り組みを強化し成果をあげてきました 平成 22 年度は 前年度に引き続き次に挙げる 3 項目を柱として各種施策に取り組みました Ⅰ. ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化 Ⅱ. 事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給方法の徹底 Ⅲ. 地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献 これらの取り組みの状況は以下のとおりとなっています Ⅰ. ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化 創業 新事業支援 創業期のお客様に向けて 創業 新事業支援融資 企業育成ファンドへの出資な どの支援をしています 1
経営改善支援 平成 22 年度は 32 先の取引先に対して 経営支援を実施しました 経営改善計画の作成支援や 継続的なモニタリングを通して 助言や提案を実施しております 支援対象先のランクアップはございませんが 経営改善計画の策定先は29 先 経営改善計画策定率は90.6% となっております また 必要に応じて 職員を派遣したり 経営コンサルタントなどの外部専門家と連携するなど 取引先の状況に応じたきめ細かな経営支援を実施しました 外部専門家との連携による経営改善支援の概要は以下の通りです 1. 取り組みの経緯創業 30 年の総合病院である経営改善支援先は 長年に亘り赤字体質に陥っていながらも 経営管理機能の欠如により 現状の認識が薄く 抜本的な対策を講じないままとなっていました 建物の老朽化により患者数が減少したため 新病院の建設に着手しましたが 財務内容は改善せず 資金繰りに窮乏しました 当医院の理事長は著名な医師で 経営管理機能を立て直せば再建は可能であり また 地域に無くてはならない病院であると判断し経営改善支援に取り組みました まず 経理機能を整え 経理を明確にするために職員を派遣し財務機能の強化に着手しました その後 経営改善委員会を立ち上げるなど 病院と当金庫の 2 者で経営改善に取り組んでいましたが 抜本的な経営改善を図るには 外部専門家の協力が不可欠と判断し 公認会計事務所に財務部門 病院専門のコンサルティング会社に事業部門の支援を依頼しました また 当金庫から経営陣に職員を派遣し 病院 外部専門家 当金庫の3 者により 経営管理態勢を構築し 経営改善に取り組んでおり 医業収入が増加するなど効果が出始め 月間の収支は黒字化しております また 次年度は損益についても黒字計上を予想しております 2. 取り組み内容 (1) 病院 外部専門家 関係金融機関の連携により 経営改善計画書を作成 (2) 財務部門の建て直し (3) 条件変更の実施による 資金繰りの安定化 ( 関係金融機関の連携 ) (4) 外部専門家による財務内容 事業内容の実態把握 ( デューデリジェンスの実施 ) (5) 経営管理態勢の構築 ( 当金庫職員の派遣 ) (6) 経営改善委員会の設置 2
(7) 経営改善計画書の作成 (8) 経営改善計画の進捗管理 3. 成果 ( 効果 ) (1) お客様にとっての成果 1 経営課題が具体的に抽出できました 2 経営改善に取り組む組織態勢が構築できました 3 職員の意識が変わりました 4 病床の稼働率が向上しました 5 資金繰りが安定しました 6 第三機関との連携により策定された経営改善計画のため 他金融機関の合意も得られました 7 三者による進捗管理が実施されているため 実効性のある経営改善計画でした (2) 当金庫にとっての成果 1お客様の経営課題を明確に把握することができました 2 外部専門家の支援により 客観的にも妥当な経営改善計画書が作成できました 3 職員の派遣 経営改善計画作成の共同作業により 情報の共有化が図られ より密接な関係を構築できました 財務コンサルティングツールとして 企業診断 の積極的な活用 ( 財務診断資料 の提供 ) に取組みました 平成 22 年度の活用実績は 2,178 先となっております 幅広くコンサルティング機能を発揮するため 融資担当者および営業担当者に対 して 中小企業経営改善支援実務研修を実施し 人材育成に取組んでおります 3
Ⅱ. 事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給方法の徹底 取引先の事業価値を見極める中小企業に適した資金供給方法 財務制限条項を活用した商品により お客様の事業内容や経営計画に柔軟に対 応した資金の供給を行っています また 財務内容の精度が相対的に高いお客様 に対する融資商品の提供により 様々な資金ニーズに対応しています 企業の将来性 技術力を的確に評価できる能力等 人材育成への取り組み 目利き機能 の向上企業の実態を把握し 定性情報を重視した融資推進を図るため 4 年前から職員の自主的な夜間勉強会として 業種別夜間勉強会 を開始しており 成果が上がっております また 併せて中小企業診断士の育成に力を入れ お客様へのアドバイザー能力の向上を図っています 1. 業種別夜間勉強会の実施営業係を中心に実施しています 講師は本部職員が担当しています お客様の事業について予備知識を有することによって 目利き力 向上に繋げています 月に2 回 木曜日 夕方 6 時 ~8 時 (2 時間 ) で実施全 12 回平成 22 年度実績 3 班編制 78 名 12 業種 2. 中小企業診断士の育成中小企業診断士は 毎年 1 名 ~2 名程度の合格者を輩出しており 平成 23 年 3 月現在で有資格者は 13 名となりました 企業再生部門やまちづくり担当部門でそのスキルを積極的に活用しています 4
地域金融円滑化への取り組み 地域金融円滑化のための基本方針を定めました 飯能信用金庫は 地域の中小企業および個人のお客様に必要な資金を安定的に供給し 地域経済の発展に寄与するため 以下の方針に基づき地域金融の円滑化に全力を傾注して取り組んでいます 1. 取組方針地域の中小企業および個人のお客様への安定した資金供給は 事業地域が限定された協同組織金融機関である信用金庫にとって 最も重要な社会的使命です 私共は お客様の資金需要や貸付条件の変更等のお申込みがあった場合は これまでと同様 お客様の抱えている問題を十分に把握したうえで その解決に向け真摯に取り組みます 2. 金融円滑化措置の円滑な実施に向けた態勢整備当金庫は 上記取組方針を適切に実施するため 以下のとおり 必要な態勢整備を図っております 金融円滑化管理を行うため金融円滑化管理責任者を定め 関係業務部内及び営業店等に対し 金融円滑化の適切な実施を確保するための具体的な方策を指示しております また金融円滑化管理方針 金融円滑化管理規程を定め 信用金庫の最も重要な役割の一つである地域金融の円滑化に資しております (1) お客様へのきめ細かな経営改善支援を行うため 本部審査管理部内に中小企業診断士で組織される企業サポートグループを設置しております (2) お客様への事業価値を見極める能力 ( 目利き力 ) を向上させるため 研修所にて定期的に業種別夜間勉強会等を実施しております (3) 各営業店にて 相談責任者を支店長 担当者を融資担当代理として任命いたしました (4) お客様からの貸付条件の変更等に関する相談受付窓口を審査グループ 審査企画グループ また苦情受付窓口をコンプライアンスグループに設置いたしました 3. 他の金融機関等との緊密な連携 当金庫は 複数の金融機関から借入れを行っているお客様から貸付条件の変更 5
等の申し出があった場合など 他の金融機関や信用保証協会等と緊密な連携を図る必要が生じたときは 守秘義務に留意しつつ お客様の同意を得たうえで これらの関係機関と情報の確認 照会を行うなど 緊密な連携を図りながら地域金融の円滑化に努めてまいります 4. お客様からの貸付条件の変更等に関する相談 苦情の受付窓口 お客様からの貸付条件の変更等に関するご相談は 次の窓口をご利用ください ご返済相談の受付 当金庫取引店の地区担当者 もしくは 融資窓口までご相談ください お電話をいただければ お取引店担当者からご連絡させていただきます ご返済相談受付ダイヤル 取引店へのご相談が困難な場合には ご返済相談受付ダイヤル にご連絡をいただくことで 取引店の担当者からご連絡をさせていただきます ( ダイヤル番号 ) 042-972-8111( 代表 ) ( 事業資金 ) 審査グループ ( 住宅ローン ) 審査企画グループ お問合せ時間平日営業日の9:00~17:00 ご返済相談対応に関する苦情受付窓口 ( ダイヤル番号 ) 042-973-5132 コンプライアンスグループ お問合せ時間平日営業日の9:00~17:00 地域貢献資金 CSR による融資 地域社会の活性化に繋がる事業 を金融面から支援し 社会的責任を果たすことを目的として 地域貢献資金 CSR を平成 19 年 4 月から販売しています 平成 21 年 11 月には 緑化や農業振興 介護事業等 の分野にも資金活用できるよう対象範囲を拡大し 社会的事業や地域貢献事業をさらに強力にバックアップできるようになりました 平成 22 年度は 49 件で 817 百万円の融資を実行しています 6
Ⅲ. 地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献 地域活性化につながる多様なサービスの提供 当金庫では 産官学および市民の協働により 地域の活性化に関して取り組んで おりますが その取り組み状況を紹介します 産官学連携を通じた地域活性化への取り組み 1. 駿河台大学との取り組み当金庫は 駿河台大学と 産学連携に関する協定 を平成 19 年 3 月に締結し 地域活性化に関して様々なプロジェクトを実施しております 平成 22 年度の各プロジェクトの成果は 以下のとおりとなっています (1) 地域の経済および企業経営に関する調査 研究 1 日高市消費動向調査 の実施 報告書 作成 (2) 地域振興活動の推進への助言 指導 1 第 4 回 輝け! 飯能プランニングコンテスト 開催 ( 後援 : 飯能市 飯能市観光協会等 ) 2 第 4 回 地域活性化講演会 開催講師 : みやのかわ商店街振興組合理事長島田憲一氏演題 : 地域と生きる商店街秩父市みやのかわ商店街の事例 (3) 地域企業へのインターンシップの促進 38 社の企業を紹介し 7 企業 団体へ学生 9 名を取次ぎしました 当金庫でも 4 名のインターンシップ生の受入を実施しました (4) 地域教育機関における金融教育方法の共同研究 駿河台大学経済学部寄付講座 金融 TODAY への講師を派遣しました ( 講 義内容 : 中小企業の現状 財務分析入門など全 12 回 2 単位 ) (5) その他産学連携活動に寄与する事項の推進飯能商工会議所と平成 20 年 4 月に立ち上げた まちづくり 飯能 協議会 において 輝け! 飯能プランニングコンテスト の優秀なプランの事業化支援活動や商店街振興活動への支援を行いました 7
2. 城西大学との取り組み当金庫は城西大学と 産学連携に関する協定 を平成 22 年 6 月に締結し 地域活性化に関して様々なプロジェクトを実施しております (1) 地域企業へのインターンシップの促進当金庫へ2 名のインターンシップ生の受入を実施しました (2) 地域教育機関における金融教育方法の共同研究城西大学経済学部寄付講座 地域金融機関のトゥディ & フューチャー への講師派遣しました ( 講義内容 : 中小企業の現状 財務分析入門など全 12 回 2 単位 ) 3. 東洋大学との取り組み平成 18 年 7 月 産学連携における業務連携 協力に関する協定書 を締結し 平成 23 年 3 月末までに技術相談の取次ぎを10 件行っています また 平成 23 年 5 月に同大学の川越キャンパスにおいて 第 3 回はんしん産学連携セミナー in 東洋大学工業技術研究所 を開催するべく準備を行っています 4. 東京国際大学との取組 平成 22 年 9 月に 相互協力 連携に関する包括協定書 を締結しています 平 成 23 年度の寄附講座実施に向け 準備を行っています 5. 文京学院大学との取組 平成 23 年 3 月に 相互協力 連携に関する包括協定書 を締結しています 平 成 23 年度に当金庫職員による研究会の実施を予定し 準備を行っています 8
経営塾 竹林舎 の開講若手経営者 後継者の経営塾としての 竹林舎 は 平成 18 年 9 月の開講以来 第 1 期生 31 名 第 2 期生 30 名 第 3 期生 29 名 第 4 期 30 名の卒業生を輩出しました 平成 23 年 2 月には第 5 期を開講し 立教大学大学院の講師陣のもと塾生 30 名が学んでいます また 卒業生の組織として 竹林舎 OB 会 を平成 20 年 4 月に立ち上げ セミナー等の活動も並行しています 埼玉県西部地域雇用促進協議会 を通じた地域活性化への取り組み埼玉県西部地域に所在する大学の学生を同地域の企業への就職を促進する取組として 埼玉県西部地域雇用促進協議会に参加しています 同協議会では年 2 回 埼玉県西部地域企業合同説明会を開催しており 当金庫も地域のお客様に向けて合同企業説明会への出展を呼びかけています 平成 22 年度は第 8 回 第 9 回の合同企業説明会が実施されました 第 8 回には54 社の企業と348 名の学生が 第 9 回には73 社の企業と425 名の学生が説明会に参加しました まちづくり 飯能 協議会 を通じた地域活性化への取り組み (1) 取り組みの経緯当金庫は 産官学に住民を加えた産官学民が四位一体となり これらを使命共同体として組織 資金両面から積極的に支援 協力することで地域が競争力を持つようになると考え 環境 歴史 文化 住民 知恵といった競争力の要素である ソフト面 を活かす地域活性化の取組方針を固めました その取り組みの一環として 当金庫と地元商工会議所とで まちづくり 飯能 協議会 を平成 20 年 4 月に立ち上げ 地域活性化に関する具体策の検討 協議を行っています (2) 取り組み内容 ( 商工会議所との連携事業 ) 1 良好な市街地を形成するためのまちづくりに関する事業 2 市街地開発 観光開発及び土地 建物の有効利用に関する事業 ( コーディネート及びコンサルタント業務を含む ) 3 活性化事業にかかるイベント セミナーの企画及び運営事業 4 前各号に付帯関連する一切の事業 9
(3) 成果平成 22 年度の活動の成果は以下のとおりです 1 地域の皆様にとっての成果地元商店街の飯能銀座商店街と意見交換を続けた結果 同商店街で平成 2 2 年 5 月に 第 1 回 100 円商店街 の実施に漕ぎ着けました 平成 22 年度中は5 回実施しており 来街者が次第に増えています 当金庫としては実施日に来訪者向けアンケート調査を実施し 結果の分析などを協力しています はんしん地域貢献セミナーの開催当金庫の経営理念でもあります 地域社会繁栄への奉仕 の具体策の一つとして はんしん地域貢献セミナー をお客様向けに開講しています 平成 22 年度は 新入社員教育 ホスピタリティ 子どもの心のコーチング 事務効率化 アサーティブ をテーマに外部講師を招聘し実施しました 平成 20 年 7 月の開講以来 セミナーの実施回数は15 回となりました ビジネスアリーナ2011への取組財団法人埼玉県産業振興公社を中心に 県内金融機関とともに主催者としてお客様企業の出展を後押ししました 平成 23 年 1 月 26 日 ( 水 ) 27 日 ( 木 ) の開催日には埼玉県内の640 企業が技術や製品について展示をし 1 万 4 千人を超える来場者が見学 商談を行いました 以上 10