鼎談 地域医療に漢方をどう生かすか 鼎談メンバー 水嶋 丈雄 先生 長野県 水嶋クリニック 中田 薫 先生 山梨県 中田医院 中国医学研究所 篠原 明徳 先生 高知県 四万十市立中医学研究所 司会 人は体調を崩したとき まずは自分の生活圏のなか 強をしていました 私は地域医療に取り組むのには最 にある医療機関にかかることが多い そこで行われる 高レベルの医学をもっていかないと役に立たない 地 地域医療 は あくまでも患者を主体とした生活全 域だからいい加減でよいということは許されないと思 般の質の向上まで目標とするようなものが望まれる っていたので 卒業後は全科ローテートをさせてくれ そのような地域医療の場で漢方治療をうまく取り入れ る佐久総合病院に入りました その頃院長だった若月 て成果をあげていらっしゃる先生方に それぞれの取 俊一先生にお願いして10年間で外科 整形外科 内 り組みについてお話をうかがった 科 婦人科 皮膚科などを回って研修させていただ 漢方治療に出合って 篠原 き 一通りの手術もできるようになりました ある日若月先生から 君は漢方や鍼灸をやるそうじ 今日のテーマである地域医療の内容は 僻地医 ゃないか ちょっと中国に行って勉強しておいで と 療 一次救急 在宅医療 健康増進のための取り組 いわれて 急に中国に留学することになりました 若 み など多岐にわたりますが 症例もまじえながらそ 月先生は病院に入るとプーンと漢方薬の臭いがしてく れぞれについて具体的に話を進めていきたいと思いま るような病院にしたいとおっしゃるのです 私が帰国 す まず水嶋先生から自己紹介を兼ねて漢方に取り組 してからは佐久総合病院の中に東洋医学研究所を作っ むようになった経緯をお話いただけますか て漢方や鍼灸による治療を始めました 若月先生は漢 水嶋 私は学生の頃から僻地 離島医療などの地域医 方治療をやりながら地域全体で老人をみるような仕組 療に携わりたいと思っていました また いわゆる医 み作りに取り組まれました 私は今は開業しています 療資源の少ない僻地や離島では必ず漢方や鍼灸などに が その理念は若月先生とまったく同じで 漢方や鍼 よる治療が必要になるだろうと思い 学生の頃から勉 灸を通じて 地域を守る運動をやっていると思ってい 1 伝統医学 Vol.9 No.1 2006.3 1
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