情報通信プロフェッショナル概論 2012 年 12 月 21 日 ( 金 ) 岡山大学大学院自然科学研究科 加藤英洋 @ 株式会社 OTSL 1
はじめに 自己紹介 岡山大学工学部通信ネットワーク工学科卒 岡山大学大学院自然科学研究科終了 株式会社 OTSL 入社 エンジニア ( 技術者 ) 車載 Bluetooth モジュール開発 現在はミリ波レーダを用いた物標認識システムのソフトウェア開発を行っている 2
目次 Bluetooth Bluetooth とは 認証 プロファイル HFP A2DP AVRCP HID SPP PAN 低消費電力 Bluetooth LE ミリ波レーダを用いた物体認識 ミリ波レーダーとは FM-CW 方式 おわりに 3
Bluetooth とは ディジタル機器用の近距離無線端末 2.4GHz 帯 (ISM バンド ) を使用 帯域を 79 チャネルに分割し ランダムに使用する周波数を換える ( 周波数ホッピング ) ことで他の電波との干渉を抑える 最大転送速度 24Mbps セキュリティ等の 厳密さ より 便利さ に重点が置かれた通信方式 接続機器の認証にはペアリングと呼ばれる簡易的な認証機能を用いる 機能毎にプロファイルが規定されている 4
周波数ホッピング 通信を行う周波数帯をランダムに変更する 2.402GHz ホッピング 2.480GHz t+625 t+625x2 t+625x3 t+625x4 t+625x5 t+625x6 t+625x7 t(μs) 5
Bluetooth の詳細 Bluetooth SIG によって仕様が規定されている 細かく規定されている箇所もあれば 大枠のみ規定されていて詳細は実装依存となる箇所も多々ある 漠然と記載されているため メーカーによって解釈が異なる場合もある 相性の問題が度々発生 6
Bluetooth の認証 機器同士の接続の際にペアリングと呼ばれる認証方式が用いられる PIN 認証 BT Core2.0 以前の方式 PINコードの一致によって機器同士の認証を行う 4 桁の数字がよく使用される Secure Simple Pairing (SSP) BT Core2.1 以降で使用可能 公開鍵暗号を使用して安全に認証を行う 接続相手の確認のためにUIを用いる方法もある SSP の例数値比較認証 デバイス A パスキー :123456 デバイス B に表示されたパスキーと等しいか? パスキー :123456 デバイス A に表示されたパスキーと等しいか? デバイス B YES NO YES NO 7
プロファイル Bluetooth で通信する際には双方で同一のプロファイルに対応している必要あり プロファイルによってはサーバ クライアントの区別あり プロファイル ( 一部 ) Hands-Free Profile (HFP) Advanced Audio Distribution Profile (A2DP) Audio/Video Remote Control Profile (AVRCP) Human Interface Device Profile (HID) Serial Port Profile (SPP) Personal Area Network (PAN) 8
参考 ) プロファイル一覧 GAP Generic Access Profile BPP Basic Printing Profile SDAP Service Discovery Application Profile BIP Basic Imaging Profile DUN Dial-up Networking Profile PBAP Phonebook Access Profile SYNC Synchronization Profile MAP Message Access Profile OPP Object Push Profile PAN Personal Area Network Profile FTP File Transfer Profile HCRP Hardcopy Cable Replacement Profile CTP Cordless Telephony Profile LAP LAN Access Profile ICP Intercom Profile HDP Health Device Profile FAX Fax Profile HSP Headset Profile 9
Hands-Free Profile(HFP) 音声通話を行うオーディオゲートウェイ (AG) とハンズフリーを実現するヘッドセット (HF) に分類される 電話の発信や着信時の受話も可能 昨今の Bluetooth 対応携帯電話では殆どの機種が対応 (AG) 自動車運転中のハンズフリー通話機能として車載ナビで使用 (HF) HFP を使用すると通常 音声品質は劣化するが この劣化を抑えた Wideband Speech という技術がある 通信事業者が提供している音声品質とほぼ等しい音質でハンズフリー通話が可能 10
Advanced Audio Distribution Profile (A2DP) Audio/Video Remote Control Profile (AVRCP) A2DP 音声伝送のためのプロファイル HFP は通話用のためモノラル / 低音質であるのに対し A2DP はステレオ / 高音質を実現 AVRCP 音楽プレイヤーを搭載した Bluetooth 対応携帯電話では HFP と並び標準搭載されているプロファイル AV 機器のリモコン機能を実現するためのプロファイル 曲送り / 戻し 曲名表示 プレイリスト取得等に対応 11
Human Interface Device Profile (HID) マウスやキーボード等の周辺機器を接続するためのプロファイル USB の HID デバイスクラスをエミュレート HID(Bluetooth) で接続することで周辺機器の無線接続を実現 ゲームコントローラの無線化にも使用されている Wii (U) Playstation3 一番身近なプロファイル? 12
Serial Port Profile (SPP) シリアルポートの通信をエミュレートし 仮想的なシリアルポート通信を実現 データの送受信に適したプロファイル シリアルポートを規定しているのみのため 汎用的な用途に使用が可能 ios 端末では特殊な SSP として iap が用いられる Apple 独自の ipod Accessory Protocol を使用 本質的には SPP と同じ 13
Personal Area Network Profile (PAN) 小規模なネットワークを実現するためのプロファイル Bluetooth を用いて携帯電話のテザリングを行う場合は PAN が使用される ネットワークアクセスポイント (NAP) グループ臨時ネットワーク (GN) PAN ユーザ (PANU) の 3 種類の機能をもつ NAP:Ethernet への接続サービスを提供する端末 GN:Ethernet フレームを転送端末 PANU:NAP GN を利用する端末 上記テザリングの際は携帯電話が NAP を使用し 接続機器が PANU を使用する 14
Bluetooth の低消費電力化 Bluetooth Low Energy (LE) Bluetooth 4.0 にて規定された低消費電力駆動方式 ボタン電池 1 つのみで数年駆動可能 LE プロファイル TIME: 携帯の日時を腕時計等に反映させる ALERT: 電話やメールの着信を通知する FIND-ME: 携帯のアラームを鳴らし どこにあるかを探す PROXIMITY: 機器同士が近づくとロックが解除され 遠ざかるとロックされるなどの 機器同士の距離による制御を行う 15
Bluetooth の今後 Bluetooth LE の普及には携帯電話の対応が必須 現在 Bluetooth LE に対応している携帯電話は iphone ipad と一部のスマートフォンのみ採用 今後対応は増えていくと思われる また 普及の起爆剤となるアプリ ( プロファイル ) がまだ足りない HFP,A2DP に匹敵する LE プロファイルの策定が必要 16
ミリ波レーダとは ミリ波 30GHz~300GHz の間の波長がミリ単位となる電波帯域 指向性が高く車載レーダに向いている ミリ波レーダ 自動車の前方にある物体との距離 相対速度をミリ波を用いて計測 前方の物体との距離 相対速度を知ることで自動追従 / 自動ブレーキ等の操作を行う 自動で加速 or 減速 17
ミリ波レーダを用いた物体認識 プリクラッシュセーフティシステム (PCS) 物体と衝突しそうになった際に運転者への警告やブレーキの補助を行うシステム 大型トラック / バスに 2014 年 11 月以降義務化 Volkswagen のシティエマージェンシーブレーキ ミリ波ではなくレーザーでした メルセデス ベンツ レーダセーフティパッケージ アダプティブクルーズコントロール (ACC) 前を走行している車の速度を検知し 追従運転を自動で行う CM でよく聞くスバルの EyeSight 等 ただし EyeSight はミリ波ではなくパノラマ画像を利用 18
参考 )PCS AAC に使用されている技術 ミリ波 メルセデス ベンツ : レーダセーフティパッケージ 画像 スバル EyeSight レーザー ダイハツスマートアシスト Volkswagen シティエマージェンシーブレーキ マツダ : スマートシティブレーキサポート 19
ミリ波レーダを用いた物体認識方法 Frequency Moduolated Continuous Wave (FM-CW) 方式 周波数変調を行った連続波を用いて物体の速度と距離を算出する方式 複数の波を連続して発射し 送受信間の遅延で距離を 送受信間の周波数の差で速度を算出 図を使用して簡単な原理を紹介 20
FM-CW 方式 (1) 周波数のビート ( うなり ) を用いて距離 速度を推定 距離による遅延 速度差による周波数変化 周波数 f 送信波 受信波 周波数差 fu fd fu:up 時ビート周波数 fd:dn 時ビート周波数 距離 :fu+fd に比例速度 :fu-fd に比例 21
FM-CW 方式 (2) 周波数のビート ( うなり ) を用いて距離 速度を推定 変調周期 1/fm 距離による遅延 速度差による周波数変化 変調周波数幅 f 変調周波数 周波数 f 送信波 受信波 周波数差 fu fd fu=fr-fv fd=fr+fv fr: 距離周波数 fv: 速度周波数 22
FM-CW 方式 (3) 距離 速度の算出 2R/c fr= 1/(2fm) 4 Δf R fm Δf= c fu=fr-fv fd=fr+fv fr: 距離周波数 fv: 速度周波数 fv=f R= 2V = c (fu+fd)c 8 Δf fm 2 f V c V= (fu-fd)c 4 f 周波数増減区間毎にビート周波数 fu fd を計測し 和と差を計算することで距離と相対速度を算出可能 23
ミリ波レーダの他の機能 距離 速度の算出以外に 物体の角度 高さといった 3 次元情報の検出が可能 具体的な手法については割愛 これらの検出アルゴリズムを組み込むためには数学的知識が必要 また 誤認識の防止のために検出物体のフィルタ処理等も必要となる 連続して観測されない物体は誤検出とする など 24
おわりに 実際のものづくりの現場では ノウハウはもちろんのこと 数学的知識がとくに重要となる場面が多々 みなさん 数学的知識をつけましょう 知識は裏切りません むしろ 無知だとまずいです 25