電波環境を考慮したバックオフアルゴリズムの最適化に関する実証的考察 渡辺正浩 許涛 萬代雅希 渡辺尚 キャリアセンスによる待機時間について, 現行の IEEE82.11 DCF (Distributed Coordination Function) による 2 進指数バックオフアルゴリズムでは, 特に再送時の待機時間が長くなり, スループットへの影響が大きい. そこで, 送信成功や再送に係わらず, 周辺端末の台数と電波伝搬状況として, 受信信号の強度 (RSSI: Received Signal Strength Indicator) やエラーレートとの関係を考慮した方式を提案する. ここでは, 実環境において, スループットを高くするバックオフ時間の最適値を実験により求める. 実験の条件としては, 通信ペアを 1 対 N として, 順次 N の値を増やしていきながら, それぞれのケースにおいて,CW (Contention Window) の値と RSSI の値を変化させて, スループットが最大となる時の CW 値を求めることとする. 実験の結果,2way の DATA/ACK 方式と,4way の RTS/CTS/DATA/ACK 方式の両ケースについて,CW によるスロット競合だけでなく, 電波環境が良くないことによるパケットロスも含まれるため, スループットを最大にする CW 値が比較的小さくなる. また,CW 値に応じて単調現象するスループット値は, 最大値からの比率が比較的小さくなり,CW 値に応じたスループットの低下率が大きくなる ( 感度が高くなる ) ことを示す. Experiment of Spatial Reuse on Backoff Algorithm Related to Propagation Condition MASAHIRO WATANABE XU TAO MASAKI BANDAI TAKASHI WATANABE When using random access method, such as CSMA/CA (Career Sense Multiple Access / Collision Avoidance) scheme with BEB (binary exponential backoff algorithm), which is defined for IEEE82.11 DCF (Distributed Coordination Function), a large bandwidth capacity is wasted due to collisions, which affects the severe performance of throughput and so on. We propose a backoff algorithm due to the numbers of neighborhood related 三菱電機 ( 株 ) 先端技術総合研究所 Mitsubishi Electric Corporation Advanced Technology R&D Center 静岡大学情報学部 Faculty of Informatics, Shizuoka University to the information of RSSI (Received Signal Strength Indicator) or PER (Packet Error Rate). We evaluate the proposed backoff algorithm in the actual environments and consider the optimal value of CW (Contention Window) for higher throughput in the experiments. The experimental process is the measurement of throughput related to variable RSSI or PER in both cases of 2way (DATA/ACK) and 4way (RTS/CTS/DATA/ACK). We show the experimental results, which has a smaller CW for the peak throughput with PER in not good propagation conditions compared to that in good propagation conditions besides slot competition due to CW, that make a little bit sensitive setup in an adaptation of CW for the higher throughput acquisition. 1. はじめに 無線データ通信におけるスループット低下の要因として, ネットワークレイヤの比較的下位層においては, 実データ部に対するヘッダ部の比率の大きさ, キャリアセンスによるバックオフアルゴリズムの待機時間があげられる. フレーム構成については, 実データ部やヘッダ部の比率変更を行えば良いが, 現行の装置ではファームウエアに関わる部分なので, 変更は比較的容易ではなく, 他インターフェースとの関連も考慮して調整が必要となる. また, 少なくともヘッダ部の伝送レートを高速化する方法があるが, 新たな機能のハードウエアとして, 例えば伝送レートの高い変復調方式が必要となり, 無線装置全体への影響が大きい. キャリアセンスによる待機時間については, 現行の IEEE82.11 DCF (Distributed Coordination Function) [1],[2] による 2 進指数バックオフアルゴリズムは, 特に再送後の待機時間が長くなり, スループットへの影響が大きいので, 待機時間の低減はフレーム構成の変更よりもスループット向上への効果が大きい. また, 現行の無線装置として, 例えば,IEEE82.15.4(/ZigBee) [3],[4] のようなドライバソフトウエアが公開されているものでは, 新たな提案方式の実装が可能である. そこで, 本研究では, スループットを向上させるために, キャリアセンスによる待機時間を低減させるバックオフアルゴリズムについて, 実環境での最適化を実証的に把握することを目的とする. 近年, 低価格化により広く普及された無線 LAN のアクセス制御方式は,IEEE82.11 DCF (Distributed Coordination Function) であり, 同一周波数チャネルで複数の端末に公平な通信機会を与えるために, キャリアセンスを行い, 電波が使用されていないアイドル状態であれば乱数値を発生させて,CW (Contention Window) 値を範囲内 [ CW CWmax ] で設定し, ランダムなバックオフ時間後に DATA フレームを送信する. 相手から ACK フレームを受信出来なければ DATA フレームが衝突して受け取れなかったと判断し,DATA フレームを再送する. その際, 再び衝突することを回避するために, 式 (1) に示すように, 再送するごとに乱数値である CW の値を 2 倍に増加する 2 進指数バックオフ制御を行う. 従って, 再送回数が増えるとバックオフ時間が大きな値となり, スループットに与える影響が大きい.
CW = random[, ] ( 初期時 ) CW = min [ 2 n -1, CWmax ] ( 再送時 ) n: 再送回数 (1) そこで, 衝突や成功に係わらず, 周辺端末の台数と電波伝搬状況として, 受信信号の強度 (RSSI: Received Signal Strength Indicator) やエラーレートとの関係を考慮した方式を提案する. ここでは, 実環境において, スループットを高くするバックオフ時間の最適値を実験により求める. 実験の条件としては 通信ペアを 1 対 n として, 順次 n の値を増やしていきながら, それぞれのケースにおいて,CW の値と RSSI の値を変化さえて, スループットが最大となる時の CW 値を求めることとする. また, 通信のハンドシェイクとしては,2way の DATA/ACK 方式と,4way の RTS/CTS/DATA/ACK 方式の両ケースについて実験を行った. 本研究では スループットを向上させるために, キャリアセンスによる待機時間を低減させるバックオフアルゴリズムについて, 実環境での最適化を実証的に把握し, 比較的電波環境が良くない時は, スループットを最大にする CW 値に広がりがあり, 最小受信感度付近ではスループットの半値幅は倍になることを示す. 但し, 実際に無線装置を使用する際のスループット低下の要因としては, 無線装置のハードウエアとドライバソフトウエアとの整合性や, 無線機の処理速度や暗号化による処理遅延等々も含まれてくる. また,TCP(Transmission Control Protocol) 処理による輻輳制御も関係し, 更にネットワークレイヤの比較的上位層においては, アプリケーションや OS に関わる処理遅延等のオーバーヘッドも関係する. 本論文では, 第 2 章にて関連研究について説明を行い, 第 3 章にて使用した無線装置の構成についてと, 第 4 章にて実験結果と考察について説明を行い, 第 5 章にてまとめを述べる. 2. 関連研究現行の IEEE82.11 DCF (Distributed Coordination Function) [1],[2] による 2 進指数バックオフアルゴリズムは, 特に再送時の待機時間が長くなり, スループットへの影響が大きいため, 性能向上に向けて各種研究がなされている. IEEE82.11 DCF の 2 進指数バックオフアルゴリズムが送信成功時にはバックオフカウンタ値をリセットしていることに対して, 文献 [5] では, 少し改修を加え, 最適値辺 りを狙うようにバックオフカウンタを変化させている. ここでは, 再送回数が設定した制限値に達すると CW 値はそのままでリセットせずに CW 値の変化を緩やかにしている. 送信成功の場合には CW のイニシャル値とそのときの CW 値の半分の範囲の最大値を選択し, 再送の場合には CWmax とそのときの CW 値の 2 倍の範囲の最小値を選択する方法が提案されている. また, 文献 [6] の FCR (Fast Collision Resolution) 方式では, 送信が成功した端末には, より小さな CW 値を設定し, バックオフタイマを指数関数的に低減することにより,IEEE82.11 DCF よりも高いスループットが得られることが提案されている. しかし, この FCR 方式では, 公平性について影響があり, 新たに公平化するスケジューリングが必要であることも示されている. 文献 [7] の EIED (an Exponential Increase and an Exponential decrease) 方式では, 衝突時には CW 値を指数関数的に増加させ, 成功時には CW 値を指数関数的に減少させることにより,IEEE82.11 DCF の性能向上が提案されている. 文献 [8] の MILD(Multiple Increase Linear Decrease) 方式では, 衝突時には CW 値を 1.5 倍に増加させ, 成功時には CW 値をリニアに減少させることにより,IEEE82.11 DCF の性能向上が提案されている. しかし,MILD 方式の成功時には CW 値をリニアに減少させる方式では, 周辺端末の台数が急激に減少した場合には, すばやく適合できないことが示されている. 文献 [9] の LMILD(A Linear/Multiplicative Increase and Linear Decease) 方式では, 基本的に衝突時も成功時もリニアに CW 値をそれぞれ増加と減少させているが, リニアに CW 値を増加させている端末が衝突していることが検知出来たなら,CW 値を 2 倍に増加させることにより,IEEE82.11 DCF の性能向上が提案されている. これらの文献 [5]~[9] は, 衝突や成功の時に CW 値の増加や減少のさせ方について工夫したものであるが,CW 値の急激な減少は不公正を招き, 緩やかな減少は端末台数の急激な変化に適応できないことが示されている. また, アクティブな周辺端末の台数を把握することが重要となっている. そこで, 衝突や成功に係わらず, 端末台数のみで一義的に CW 値を決定する方式として, 文献 [1] があるが, 電波伝搬状況として, 受信信号の強度 (RSSI: Received Signal Strength Indicator) やエラーレートとの関係を考慮する必要がある. 本研究では, シミュレーションによる評価ではなく, 提案方式を無線装置へ実装を行い, 実環境にて実験評価を行うことを特徴としている. 3. 無線装置 3.1 概要実験で使用する無線装置 [11] は, 物理層に IEEE82.15.4(/ZigBee), アンテナに ESPAR
アンテナを使用している.ESPAR アンテナは, 電子的に送受信ビームの指向性や電力を制御することが出来るアンテナであり, 外観を図 1, ビームパターンを図 2 に示す. 12cm ESPAR アンテナは 1 本の通信アンテナ ( 図 1 の #) と 6 本の制御アンテナ ( 図 1 の #1-6) から構成される. 制御アンテナにかける電圧を操作する事により送受信ビームの指向性の制御を可能にする. 無指向性は図 2( 左 ) で示すように 36 全方向同じ利得となるが, 図 2( 右 ) で示すように指向性ビームは目的の方向に丸くビームが延長される形となる. そして実際にはビームは特定方向だけでなく, 比較的弱いが他の方向にも出力されている. 無線チップには IEEE82.15.4 規格の型名 :CC242(Chipcon 社製 ) を利用している. また, 装置を拡張することによって GPS や GYRO による位置情報の取得も可能であり. 外観を図 3 に示す. 通信部 図 1 ESPAR アンテナ Fig.1 Configuration of ESPAR Antenna 1 [dbi] 5[dBi] [dbi] 1 [dbi] 5[dBi] [dbi] 拡張 : 方位計測部 -5 [dbi] -1 [dbi] -5 [dbi] -1 [dbi] 図 3 無線装置の外観 Fig.3 Overview of Testbed 図 3 内の右上にあるライターを利用して制御用のマイコンにプログラムを書き込む. そしてマイコンによってパケットの発生等の制御を行う. また,PC と USB で接続することで, 各種パラメータの設定や実験開始の指示, 通信結果の取得を行う. 図 2 ESPAR アンテナのビームパターン ( 左 : 無指向性, 右 : 指向性 ) Fig.2 Beam Pattern of ESPAR Antenna 3.2 基本特性 2way の DATA/ACK 方式と 4way の RTS/CTS/DATA/ACK 方式によるハンドシェイクのデータ通信におけるスループットの見積もりを図 4 に示す [12]. 図中, IEEE82.15.4(/ZigBee) の伝送レートである 25Kbits/sec をベースに, 各フレームの
bit 長と,Slotted Time / SIFS / DIFS をそれぞれ 34 / 17 / 85 μsec とし, キャリアセンスによる平均バックオフ時間 (CW=1/2 (31) とする ) を考慮して伝搬時間から見積もった実効スループットである. 但し,Retry は計算に含めていない. ここでは, データ用のフレームを用いて各種パケット (RTS/CTS/DATA/ACK) を構成している. 従って, 実際には無線装置を制御するマイコン等の処理時間も加味されるので, 若干スループットは低下する. また, 実際の通信状況においては, 再送等の発生によっても, スループットは低下する. 一般の公園において,1 回当たりのデータとして 512Bytes 及び 15Bytes のデータを連続 1 分間, 送信した時における DATA/ACK 方式と,RTS/CTS/DATA/ACK 方式における 1 回当たりのスループットと統計情報 (CCAcount: キャリアセンスによる回数, NOCTS:CTS を受信できなった回数,NOACK:ACK を受信できなった回数 ) の実測を行った.512Bytes のデータ送信時における実測結果を図 5 から図 6 に示し,15Bytes でのデータ送信時も含めて, まとめた結果を表 1 に示す. 実験時における端末間の距離は 2m である. この時の受信信号強度は -6dBm から -5dBm の範囲であった. 実測した実効スループットの最高値は, 図 4 に示す見積もり値に対して最低でも 94% 以上となって, 近い値が得られたと考えられる. スループットがバースト的に低下する時は CTS か ACK が受け取れなかった時と同じタイミングである. 統計情報 ( 回 ) 2 16 12 8 4 1 21 41 61 81 11 121 141 送信回数 ( 回 ) 図 5 2way (512Bytes データを送信 ) Fig.5 2way (512Bytes date transmission) 25 2 15 1 5 Throughput(Kbits/sec) CCAcount NoACK Throughput 25 2 25 実効スループット (Kbits/sec) 2 15 1 5 DATA/ACK RTS/CTS/DATA/ACK 統計情報 ( 回 ) 16 12 8 4 2 15 1 5 Thrpughput(Kbits/sec) 2 4 6 8 1 12 14 16 18 一回辺りの送信データサイズ (bytes) 1 21 41 61 81 11 121 送信回数 ( 回 ) CCAcount NoCTS NoACK Throughput 図 4 実効スループットの見積もり ( 再送無し ) Fig.4 Estimation for Effective Throughput (without Retry) 図 6 4way (512Bytes データを送信 ) Fig.6 4way (512Bytes date transmission)
表 1 実効スループットの計測結果一覧 Table 1 Effective Throughput results 項目 2way 4way A 最高値 158 135 平均値 128 11 512Bytes 標準偏差 17 17 B 見積もり値 16 14 A/B 98.8% 96.4% A 最高値 184 174 平均値 169 156 15Bytes 標準偏差 9 18 B 見積もり値 185 18 A/B 99.5% 96.7% 表中のスループット単位は Kbps 4. 実験 4.1 基礎検討文献 [1] により, スループットを最大にする CW 値は, 式 (2) で表される. (2) 4way (RTS/CTS/DATA/ACK) 方式 512 byte データ送信前の RTS 送信後の CTS で衝突を検知するものとする. Tc = DIFS + RTS = 1778μs ここで slot time (34μs) で正規化すると = 5.23 従って, CW min = N * 2*5.23 = 3. 23 N 4.2 実験結果通信ペアである 1 対 N について, 順次 N の値を増やしていきながら, それぞれのケースにおいて,CW (Contention Window) の値と RSSI の値を変化させて, スループットが最大となる時の CW 値を求めることとする. ここでは, 無線装置を 6 台用意し,1 対 1 から 1 対 5 までのスループットの計測を行った. 図 7 に実験の様子を示す. 図においては,1 対 5 でのスループットの計測の様子を示している. 中心の端末が受信側で, 周辺の 5 台が送信側である. CW = [, ] = N 2 Tc N: 端末台数,Tc 衝突検出までの時間 (2) (1) 2way (DATA/ACK) 方式 512 byte データ送信後の ACK で衝突を検知するものとする. Tc = DIFS + DATA + SIFS + DATA + SIFS + DATA + SIFS + DATA + SIFS + DATA = 26562μs ここで slot time (34μs) で正規化すると = 78.1 図 7 実験シーン (1 対 5 通信 ) Fig.7 Experiment Scene (1-5) 従って, CW min = N * 2*78 = 12. 48 N
事前に, 電波伝搬状況の把握のために,1 対 1 における RSSI とパケット到達率との関係の測定を行った. 図 8 に測定結果を示す. フェージング無しの状態として,2 つの無線装置を同軸ケーブルで直結し, 周辺環境の影響を受けない状態で実施し, 無線装置として最小受信感度は -9dBm 付近である. フェージング有りの状態として, 環境によっては RSSI の値が -6dBm からパケット到達率が低下する場合もあるが,RSSI の値が -8dBm 付近までパケット到達率が低下しない場合もある. パケット到達率 (2way) 1% 8% 6% 4% 2% フェージング有り ( 環境による変化 ) フェージング無し ( 同軸ケーブル ) % -1-8 -6-4 -2 RSSI (dbm) 図 8 パケット到達率 (1 対 1 通信 ) Fig.8 Packet Arrival Ratio (1 to 1) 本実験においては,RSSI が -8dBm 付近からパケット到達率が低下するときに実施した. ここでは, 電波伝搬状況がかなり良い状態を RSSI=-3dBm として,2way と 4way のスループット計測結果をそれぞれ図 9 及び図 1 に示す. また, 電波伝搬状況が比較的悪い状態を RSSI=-85dBm として,2way と 4way のスループット計測結果をそれぞれ図 11 から図 12 に示す. 更に, 電波伝搬状況がかなり悪い状態を RSSI=-9dBm として, 2way と 4way のスループット計測結果をそれぞれ図 13 から図 14 に示す. 電波伝搬状況が比較的悪い状態について, 図 11 のスループット (2way/RSSI=-3dBm) における 1 対 4 通信のスループット値は, ピーク値が低く, 一時的な環境変化による影響を受けたものと考える. また, 電波伝搬状況がかなり悪い状態について, 図 13 のスループット (2way/RSSI=-9dBm) から図 14 のスループット (4way/RSSI=-9dBm) においては, 無線装置の最小受信感度付近での実験であるため, スループットの値が安定せずに, 正確なスループット値の把握が難しく,4.1 章の基礎検討での式 (2) で示される理論値との照合が難しい. 16 14 12 1 8 6 4 2 16 14 12 1 8 6 4 2 2way aggregate throughput B.O = [, Cwmin(fixed)] * SlotTime RSSI=-3dBm 2way (1-1) 2way (1-2) 2way (1-3) 2way (1-4) 2way (1-5) 5 1 15 2 25 3 35 図 9 スループット (2way/RSSI=-3dBm) Fig.9 Throughput (2way/RSSI=-3dBm) 4way aggregate throughput B.O = [, Cwmin(fixed)] * SlotTime RSSI=-3dBm 4way (1-1) 4way (1-2) 4way (1-3) 4way (1-4) 4way (1-5) 5 1 15 2 25 3 35 図 1 スループット (4way/RSSI=-3dBm) Fig.1 Throughput (4way/RSSI=-3dBm)
16 14 12 1 8 6 4 2 16 14 12 1 8 6 4 2 2way aggregate throughput B.O = [, Cwmin(fixed)] * SlotTime RSSI=-85dBm 2way (1-1) 2way (1-2) 2way (1-3) 2way (1-4) 2way (1-5) 5 1 15 2 25 3 35 図 11 スループット (2way/RSSI=-85dBm) Fig.11 Throughput (2way/RSSI=-85dBm) 4way aggregate throughput B.O = [, Cwmin(fixed)] * SlotTime RSSI=-85dBm 4way (1-1) 4way (1-2) 4way (1-3) 4way (1-4) 4way (1-5) 5 1 15 2 25 3 35 図 12 スループット (4way/RSSI=-85dBm) Fig.12 Throughput (4way/RSSI=-85dBm) 16 14 12 1 8 6 4 2 16 14 12 1 8 6 4 2 2way aggregate throughput B.O = [, Cwmin(fixed)] * SlotTime RSSI=-9dBm 2way (1-1) 2way (1-2) 2way (1-3) 2way (1-4) 2way (1-5) 5 1 15 2 25 3 35 図 13 スループット (2way/RSSI=-9dBm) Fig.13 Throughput (2way/RSSI=-9dBm) 4way aggregate throughput B.O = [, Cwmin(fixed)] * SlotTime RSSI=-9dBm 4way (1-1) 4way (1-2) 4way (1-3) 4way (1-4) 4way (1-5) 5 1 15 2 25 3 35 図 14 スループット (4way/RSSI=-9dBm) Fig.14 Throughput (4way/RSSI=9dBm)
4.3 考察 4.2 章の実験結果の図 9 から図 14 により,2way 及び 4way において,RSSI の値を変化 (-3dBm と -85dBm) させたときのスループットが最大となる時の CW 値を求めた結果について. それぞれ図 15 から図 16 に示す. 図 13 と図 14 の RSSI=-9dBm のときについては, 計測したスループットの安定度が良くなく, 評価の対象としては難しいので, 図 15 から図 16 のグラフには用いていない. また, 図 15 から図 16 には, スループットを最大にする CW 値について ±5 程度の幅を示している. これはベースとなる図 9 から図 12 のグラフからのデータで判るように, ピークの位置が判明し難いためである. そして,CW 値が十分に大きな CW=3 のときのスループット値と,CW 値に応じた最大スループット値との比率を求め, それぞれ図 17 から図 18 に示す. 図 11 (2way/RSSI=-85dBm) における 1 対 4 通信のスループットについては, 一時的な環境の影響を受けたものとして図 17 のグラフには用いていない. 図 15 から図 16 により, 比較的 RSSI が低い (-85dBm) ときの方が,RSSI が高い (-3dBm) ときよりも, スループットを最大にする CW 値が小さくなる傾向がある. 図 17 から図 18 により, 比較的 RSSI が低い (-85dBm) ときの方が,RSSI が高い (-3dBm) ときよりも, 単調現象するスループット値と, 最大値との比率が比較的小さくなる傾向がある. これらの理由は,CW 値に応じたスロット競合における衝突だけでなく,RSSI が比較的低い場合には, 既に伝搬によるパケットロスが発生しており, 両方の影響を受けているためである. 従って,RSSI が比較的低い場合には, スループットを最大する CW 値が比較的小さくなる. また,CW 値が十分に大きくなってスロット競合が減っても, 伝搬によるパケットロスのために,CW 値に応じて単調現象するスループット値は, 最大値からの比率が比較的小さくなり,CW 値に応じたスループットの低下率が大きくなる ( 感度が高くなる ). また, 比較的 RSSI が低い場合には,RSSI が高いときに比べて総じてスループットの絶対値は低い. スルーップトを最高にする Cwmin 値 (2way) スループットを最高にする 値 (4way) 8 7 6 5 4 3 2 1 理論値 [2way] 実測値 (-3dBm) 実測値 (-85dBm) 1 2 3 4 5 6 8 7 6 5 4 3 2 1 周辺端末台数 図 15 スループットが最大となる CW 値 (2way) Fig.15 Max Throughput vs. CW (2way) 理論値 [4way] 実測値 (-3dBm) 実測値 (-85dBm) 1 2 3 4 5 6 周辺端末台数 図 16 スループットが最大となる CW 値 (4way) Fig.16 Max Throughput vs. CW (4way)
スループット比率 [Cwmin=3 時 / 最大値 ] (2way) スループット比率 [Cwmin=3 時 / 最大値 ] (4way) 1% 8% 6% 4% 2% % 1 2 3 4 5 6 1% 8% 6% 4% 2% % 周辺端末台数 実測値 (-3dBm) 実測値 (-85dBm) 図 17 最大スループットからの比率 (2way) Fig.17 Slope of Throughput (2way) 実測値 (-3dBm) 実測値 (-85dBm) 1 2 3 4 5 6 周辺端末台数 図 18 最大スループットからの比率 (4way) Fig.17 Slope of Throughput (4way) 5. まとめキャリアセンスによる待機時間について, 送信成功や再送に係わらず, 周辺端末の台数と電波伝搬状況を考慮した方式を提案し, スループットを高くするバックオフ時間の最適値を実験により求めた. 実験は,2way の DATA/ACK 方式と,4way の RTS/CTS/DATA/ACK 方式の両ケースについて, 通信ペアを 1 対 1 から 1 対 5 までの範囲で, CW (Contention Window) の値 [~3] と RSSI の値 [-3dBm~-95dBm] を変化させて, スループットが最大となる時の CW 値を求めた. 実験の結果, CW によるスロット競合による衝突と, 比較的電波伝搬状況が良くない時には, これに起因するパケットロスとが含まれるために, スループットを最大にする CW 値が比較的小さくなり, また,CW 値に応じて単調現象するスループット値は, 最大値との比率が小さくなり,CW 値のスループットへの感度が高くなることを示した. 謝辞 本研究は科研費基盤研究 A(1723) の助成を受けて行った. 参考文献 [1] IEEE Standard for Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and physical Layer (PHY) Specication, Nov 1997. [2] 守倉正博, 久保田周治, 82.11 高速無線 LAN 教科書, pp. 8.99, インプレス, 25. [3] Wireless Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications for Low-Rate Wireless Personal Area Networks, IEEE Std 82.15.4-23 [4] CC242 Datasheet rev.1.2, June 24, http://www.chipcon.com/files/cc242_data_sheet_1_2.pdf [5] H. Wu, S. Cheng, Y. Peng, K. Long, and J. Ma,.IEEE 82.11 Distributed Coordination Function (DCF): Analysis and Enhancement, Proc. IEEE ICC, New York, NY, 22/4-5. [6] Y. Kwon, Y. Fang, and H. Latchman,.A Novel MAC Protocol with Fast Collision Resolution for Wireless LANs, IIEEE INFOCOM, Apr 23. [7] F. P. Kelly, and I. M. McPhee,.The Number of Packets Transmitted by Collision Detect Random Access Schemes, Annals of Probability, vol. 15, pp. 1557. 1568, 1987. [8] V. Bharghavan, A. Demers, S. Shenker, and L. Zhang,.MACAW: A Media Access Protocol for Wireless LAN's, in Proc. ACM SIGCOMM'94, London, England, 1994, pp. 212-225 [9] J. Deng, P. K. Varshney, and Z. J. Haas,.A New Backoff Algorithm for the IEEE 82.11 Distributed Coordination Function, in Proc. of Communication Networks and Distributed Systems Modeling and Simulation (CNDS 4, San Diego, CA, USA, January 18-21, 24. [1] G. Bianchi,.Performance Analysis of the IEEE 82.11 Distributed Coordination Function, IEEE JSAC, vol. 18, no. 3, pp. 535. 547, Mar 2. [11] 河村直哉, 渡辺正浩, 萬代雅希, 小花貞夫, 渡辺尚, [ 技術展示 ] UNAGI: スマートアンテナを用いるアドホックネットワークテストベッドの構築 信学技報, MoMuC27-93, pp.15-16, 28 [12] 渡辺正浩, 小花貞夫, 渡辺尚, スマートアンテナを用いた ZigBee 無線装置の構築とマルチホップ通信基本特性, 信学技報, RCS27-44, pp.89-94, 28