米国情報 電源系統の設計における脆弱性 に係る報告について 平成 25 年 12 月 独立行政法人 日本原子力研究開発機構
目 次 1. はじめに 1 2. 米国 Byron2 号機の事象の概要及び米国の対応状況について 1 3. 電源系の設備構成及び負荷の状態について 2 4. 外部電源系の 1 相開放故障の発生想定箇所について 2 5. 報告内容 3 6. まとめ 5 添付資料 -1 高速増殖原型炉もんじゅ電源構成概要図 6 添付資料 -2 高速増殖原型炉もんじゅ主要な負荷一覧 7 添付資料 -3 高速増殖原型炉もんじゅ変圧器 1 次側の接続構造概要図 8 ⅰ
1. はじめに本報告書は 米国原子力規制委員会による情報 電源系統の設計における脆弱性 (Bulletin2012-01) に記載された Byron 2 号機での1 相開放故障に係る事象を受け 原子力規制委員会より平成 25 年 10 月 24 日に発出された文書 米国情報 電源系統の設計における脆弱性 に係る報告の指示について ( 原規技発第 1310091 号平成 25 年 10 月 24 日 ) における指示事項に関して報告するものである 指示事項 (1) 外部電源系に 1 相開放故障が発生した場合の検知の可否及び検知後の対応について 報告すること (2) 外部電源系における 1 相開放故障の状態が検知されない場合 発生すると予想される状態及び安全上の問題について 報告すること なお 当該報告には 電源系の設備構成及び負荷の状態についての説明を含めること 2. 米国 Byron2 号機の事象の概要及び米国の対応状況について (1) 米国 Byron2 号機の事象概要 2012 年 1 月 30 日 米国 Byron2 号機において定格出力運転中 以下の事象が発生した 1 起動用変圧器の故障 ( 架線の碍子の破損 ) により 三相交流電源の1 相が開放故障した状態が発生した ( 故障概要は図 1. 参照 ) 2 このため 常用母線の電圧が低下し 原子炉がトリップした 3 三相交流電源の1 相開放故障状態が検知されなかったため 非常用母線の外部電源への接続が維持され 非常用母線各相の電圧が不平衡となった 4 原子炉トリップ後に起動した安全系補機類が 非常用母線の電圧不平衡のために過電流によりトリップした 5 運転員が1 相開放故障状態に気付き 外部電源の遮断器を手動で動作させることにより 外部電源系から非常用母線が開放され 非常用ディーゼル発電機が自動起動し 電源を回復した 碍子 鉄構 所内母線側 ( 変圧器側 ) 導体 断路器 外部電源側 所内母線側 ( 変圧器側 ) 導体 断路器 導体を吊り下げていた碍子が損傷し 断路器の所内母線側 ( 変圧器側 ) の導体が落下した ( 完全地絡せず ) 外部電源側 図 1. 米国 Byron2 号機の 1 相開放故障の概要 1
(2) 米国の対応状況米国原子力規制委員会では 所内電源における三相交流のうち1 相開放故障が検知されることなく 非常用母線への給電が維持されたことを電源系統の設計の脆弱性 問題点として捉えており 米国事業者と対応検討しているところである 3. 電源系の設備構成及び負荷の状態について高速増殖原型炉もんじゅ ( 以下 もんじゅ という ) の外部電源系統の概要を 以下に示す また もんじゅ における電源系の設備構成および主要な接続負荷について 添付資料 -1 2に示す もんじゅ に接続する送電線は 275kV 送電線 2 回線 ( 関西電力株式会社 敦賀線 ) 77kV 送電線 1 回線 ( 北陸電力株式会社 もんじゅ支線 ) で構成されている 特高開閉所は275kV 送電線と主変圧器及び起動変圧器 77kV 送電線と予備変圧器を連系するそれぞれの母線 遮断器及び断路器等から成り ガス絶縁開閉装置を用いた構成としている 停止中 所内電源系の常用母線は起動変圧器から給電し 発電機が系統に併入した後は所内変圧器からの給電に切り替える構成であり 所内電源系統の非常用母線は起動変圧器 非常用ディーゼル発電機又は予備変圧器に接続し 工学的安全施設に関連する補機と保安に必要な非常用補機に給電する構成となっている 4. 外部電源系の 1 相開放故障の発生想定箇所について もんじゅ の所内電源系の非常用母線に電源を供給するための外部電源とし て 以下の 2 つの経路が存在する (a) 起動変圧器からの電源 (b) 予備変圧器からの電源 所内電源系統の高圧母線における三相の各相には 低電圧を検知する交流不足電圧継電器 ( 以下 不足電圧継電器 という ) が設置されている この系統の三相のうち1 相の開放故障が発生し 不足電圧継電器の検知電圧がある程度 (3 割以上 ) 低下すると 不足電圧継電器が動作し 1 相開放故障を含めた電源系の異常を検知することが可能である 加えて 所内母線の遮断器は機械的連結によって三相が連動する方式となっていることからも 1 相のみの開放故障発生の可能性は極めて低い 2
また (a) (b) の各変圧器 2 次側 ( 所内電源系側 ) の接続部位は 接地された筐体内等に収納されており 万一接続部における断線等により1 相開放故障が発生したとしても 完全地絡に移行して大きな電圧低下が発生することから 不足電圧継電器により検知することが可能である よって 今回の外部電源系の 1 相開放故障の発生想定箇所としては 米国 Byron 2 号機と同様に 外部電源から非常用母線に直接給電している変圧器の 1 次側を 想定箇所としている 5. 報告内容 (1) 外部電源系に 1 相開放故障が発生した場合の検知の可否及び検知後の対応につ いて 1 1 相開放故障が発生した場合の検知の可否について前項 4. の発生想定箇所 ( 変圧器の1 次側 ) において 米国 Byron2 号機の事象のように1 相開放故障が発生した場合に 所内電源系の三相の各相には 母線の低電圧を検知する不足電圧継電器が設置されており 変圧器 1 次側の1 相開放故障に伴い 不足電圧継電器の検知側電圧がある程度 (3 割以上 ) 低下した場合 不足電圧継電器が動作し警報が発信することにより 1 相開放故障を含めた電源系の異常を検知することが可能である ただし 変圧器の負荷が非常に少ない場合や 変圧器に安定巻線を含む場合 所内電源系側の不足電圧継電器の検知電圧が当該継電器の動作範囲まで低下せず 不足電圧継電器での1 相開放故障が検知できない可能性がある ( 三相交流の1 相のみの開放故障では変圧器鉄心に磁束の励磁が継続されるため 2 次側が三相不平衡になることなく ほぼ正常な電圧が維持されるケースがある そのため 不足電圧継電器による変圧器 1 次側の1 相開放故障が検知できない可能性がある ) しかし 変圧器の1 次側 ( 外部電源系側 ) の接続部位は 米国 Byron2 号機の接続構造と異なり 接地された筐体 管路内に配線が収納 接続された構造である ( 添付資料 -3の図 1 及び図 2を参照 ) このような構造の場合 変圧器 1 次側に破損が想定される架線の碍子は存在せず また仮に導体の断線による1 相開放故障が発生したとしても 変圧器の 2 次側同様に接地された筐体 管路を通じ完全地絡となることで 保護継電器による検知が可能である 3
また 米国 Byron2 号機の事象の内容及びその対応方法について 運転員に周知 教育を行っており 運転員による設備機器の定期的な巡視点検等により いずれの変圧器においても 変圧器 1 次側に想定される1 相開放故障を発見することが可能と考えられる さらに 変圧器 1 次側が1 相開放故障により欠相した場合 当該母線から給電された補機 ( 電動機 ) に異常な挙動 ( 振動 異音 ) があったり 連続的に補機が過負荷トリップする等の挙動を示す場合もあり ( 米国 Byron2 号機においても確認されている ) これらの事象で1 相開放故障が発見される場合も考えられる 2 1 相開放故障が発生した場合の検知後の対応について非常用母線に給電中の変圧器において 変圧器 1 次側の1 相開放故障を検知した場合 運転 停止状態に応じ 給電中の変圧器を手動にて切離すことにより 自動的に非常用ディーゼル発電機が起動するとともに 非常用母線に給電される 仮に点検や運用上の理由から 待機中の非常用ディーゼル発電機も健全な状態でない場合 手動にて待機側の変圧器より非常用母線に給電する また 万一非常用母線に通常給電している2つの起動変圧器のうち 片方の起動変圧器が故障しても 他方の起動変圧器にて給電が継続されることにより 原子炉停止後の原子炉冷却が可能である さらに 交流電源喪失した場合でも原子炉停止後の原子炉冷却は 補助冷却設備による自然循環冷却が可能で 所内安全系蓄電池からの直流給電により 必要な監視 操作を継続することができる (2) 外部電源系における1 相開放故障の状態が検知されない場合 発生すると予想される状態及び安全上の問題について ( 注 ) ( 注 )1 相開放故障の状態が検知されない場合には 検知可能な場合でも設備故障により 検知されない場合を含む もんじゅ運転中に これらの変圧器の外部電源側で地絡を伴わない 1 相開放故障が発生した場合 原子炉補機冷却海水ポンプ 補機冷却水ポンプ等が過負荷トリップし 機器によっては待機中の補機類が自動起動するが これらも過負荷トリップすると予想され 事象が長期化した場合 1 次主冷却系 2 次主冷却系の循環ポンプ保護装置が作動して 当該循環ポンプトリップに至り 原子炉が自動停止する可能性がある これらの事象が発生した後 運転員は電源系の異常と判断して非常用ディーゼル発電機の起動等 前項 5.(1)2 の検知が可能である場合と同様の対処により 安全上の問題に至る前に 事象を収束することが可能である 4
6. まとめ今回想定した変圧器 1 次側の1 相開放故障は 過去国内において 当該事象の発生事例はなく 通常発生する確率は非常に低いと考えられる また もんじゅ の対象変圧器においては 前述のとおり 事象を把握することが可能であると考えられる なお 仮に発生した場合にも 非常用ディーゼル発電機の起動や待機側の電源系への切り替えにより 安全上の問題に至る前に 事象を収束することが可能である 1 相開放故障が発生した際 運転員による確実な対応操作ができるように 当機構は当該事象の内容及びその対応方法について 運転員に周知 教育を行っており 運転手順書に反映する予定である また 日々行っている運転員による変圧器等の設備機器の定期的な巡視点検時にも注意を配り 早期の異常発見に努めている 今後 米国原子力規制委員会及び米国事業者等の動向を注視しながら 必要により設備面の追加対策についても要否を含め検討を継続する 以 上 5
添付付資資料 -1 高速増増殖殖原原型型炉炉もんじゅ 電源源構構成成概概要要図 凡例 : 故障想想定定対象象変圧圧器 : 非常用用高高圧母母線 : 遮断器 *1 同様な構構成で 2A2,3A1 低圧圧母線もある *2 同様な構成で 2B2,,3B1 低圧母線線もある *3 同様様な構成成で 2C2,3C11 低圧母母線もある 6
添付資料 -2 高速増殖原型炉もんじゅ 主要な負荷一覧 所内電源系統各母線の主要な負荷備考 非常用母線 常用母線 1A-M/C 1B-M/C 1C-M/C 1D-M/C 1E-M/C 原子炉補機冷却海水ポンプ 補助冷却設備空気冷却器用送風機 等 1 次主冷却系循環ポンプ MFG* セット 2 次主冷却系循環ポンプ可変周波数電源装置 循環水ポンプ 復水ブースタポンプ 非常用母線 常用母線とも 高圧母線の主要な補機を記載している 等 MFG*: 可変速流体継手付電動発電機 7
圧器油入ケーブル変変圧器添付資料 -3 高速増殖原型炉もんじゅ 変圧器 1 次側の接続構造概要図 変圧器 2 次側 ( 所内母線側 ) はハ スタ クト ( 又はケーフ ル接続箱 ) にて接続 変圧器 1 次側 ( 外部電源側 ) は筐体内で油入ケーフ ルと接続 所内母線側 GIS *1 外部電源側 *1 GIS: ガス絶縁開閉装置 図 1. 起動変圧器 1 次側の接続構造 ( 油入ケーブルにて接続 ) 変圧器 2 次側 ( 所内母線側 ) はケーフ ル接続箱にて接続 変圧器 1 次側 ( 外部電源側 ) は筐体内に収納された導体にて接続 所内母線側 GIS *1 外部電源側 *1 GIS: ガス絶縁開閉装置 図 2. 予備変圧器 1 次側の接続構造 ( 筐体内に収納された導体で接続 ) 8