INDEX はじめに 大競争時代のアジア観光 新成長戦略 訪日外国人 3000 万人計画 訪日外国人 3,000 万人達成の鍵は航空 2

国際観光と航空 淑徳大学国際コミュニケーション学部教授廻洋子

INDEX はじめに 大競争時代のアジア観光 新成長戦略 訪日外国人 3000 万人計画 訪日外国人 3,000 万人達成の鍵は航空 2

の自由化 国際観光の歴史は航空の歴史 ( 万人 ) 1800 1600 航空が牽引した海外旅行 日本人海外旅行者数 1782 1670 1680 1636 1622 1652 1581 1530 1683 1740 1754 1730 1599 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 訪日外国人旅行者数海13 16 21 27 34 49 35 37 43 48 52 61 パックツアー料金大幅値下げ包括旅行航空運賃スタートジャルパック第一陣出発外旅行66 85 466 404 391 401 409 423 353 315 285 229 234 247 197 211 179 139 96 66 72 79 76 81 92 103 104 111 132 158 新東京国際空港開港制度開始 空の大衆化へジャンボ機運航開始 バルク料金495 552 テンミリオン計画683 843 966 1100 1063 1179 1193 1358 324 353 358 384 341 347開335 西港国284 233 206 216 236 争第一次湾岸戦関港際空ゾーンペックス運賃制度導入422 411 444 476 477 入キャリアIT 運賃制度導1330 524 521 サーズ614 第2 次湾岸戦争673 733 運賃の下限撤廃中部開国際空港ゾーンペックス835 835 港3 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 ( 注 ) 訪日外国人旅行者数 とは 法務省編集の 出入国管理統計年報 の入国外国人数から日本に居住する外国人を除き これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者数のことである 出典 : 観光白書 ( 平成 21 年版 )

1. 大競争時代のアジア観光 東アジアの国際旅行者数は 4 億人へ

急増する国際旅行市場 東アジア 2009 年 1.95 億人 2020 年 3.97 億人 ( 国際観光におけるシェア 25.4%) 5 資料 : 世界観光機構 (UNWTO)

WTO 東アジア等観光需要予測 (2010 年 2020 年 ) その 1 インバウンド千人 実績予測市場占有率年平均伸率 1995 2010 2020 1995 2020 1995 2020 東アジア / 大洋州 81,355 195,235 397,241 100 100 6.5 北東アジア 44,102 109,301 224,360 54.2 56.5 6.7 中国 20,034 61,800 130,000 24.6 32.7 7.8 香港 10,200 22,500 56,550 12.5 14.2 7.1 韓国 3,753 6,550 10,272 4.6 2.6 4.1 日本 3,345 7,109 10,055 4.1 2.5 4.5 マカオ 4,202 6,058 9,274 5.2 2.3 3.2 東南アジア 29,173 66,714 135,789 35.9 34.2 6.3 タイ 6,952 17,573 36,959 8.5 9.3 6.9 インドネシア 4,324 11,957 27,385 5.3 6.9 7.7 6

WTO 東アジア等観光需要予測 (2010 年 2020 年 ) その 2 インバウンド千人 実績予測市場占有率年平均伸率 1995 2010 2020 1995 2020 1995 2020 東南アジア 29,173 66,714 135,789 35.9 34.2 6.3 マレーシア 7,469 13,095 25,046 9.2 6.3 5.0 シンガポール 7,137 10,120 15,321 8.8 3.9 3.1 ベトナム 1,351 6,048 13,528 1.7 3.4 9.7 フィリピン 1,760 5,307 11,293 2.2 2.8 7.7 カンボディア 220 855 1,779 0.3 0.4 8.7 ミャンマー 117 610 1,258 0.1 0.3 10.0 ラオス 60 501 1,032 0.1 0.3 12.1 南洋州 5,135 12,039 22,949 6.3 5.8 6.2 オーストラリア 3,726 9,134 17,553 4.6 4.4 6.4 メラ / ミクロ / ポリネシア 2,945 7,180 14,143 3.6 3.6 6.5 7

アジア主要国の出国者数 (2008) 千人 中国 34,524 日本 17,535 韓国 台湾 インド 8,671 8,370 11,610 出国者数 香港 5,739 0 10,000 20,000 30,000 40,000 8

中国発の訪問地別割合 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 中国発の海外旅行者数の各国訪問地割合 香港 台湾 マカオ行きを除く 欧州 年 シェアでは欧州が高く 米州が低い 他諸国 米州 ベトナム タイ シンガポール マレーシア 韓国 日本 世界観光機構より作成

アジア主要国への外国人訪問者数 (2008) 千人 中国 54,720 マレーシア香港タイマカオシンカ ホ ール日本韓国 20,973 17,154 14,464 12,942 7,957 8,347 6,448 0 20000 40000 60000 出国者数 資料 :JNTO 日本の国際観光統計 2006 10

加速するアジアのインバウンド 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 1990 2000 2002 2006 10,000 5,000 0 中国 マレーシア 香港 タイ マカオ シンカ ホ ール 日本 韓国 11 World Tourism Organization 資料より作成

韓国発アウトバウンドの訪問地別割合 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 日本 他諸国 中国 韓国発アウトバウンドの各国訪問地割合 2005 2006 2007 年 欧州北米 中南米タイシンガポールマレーシア香港台湾 日本へのシェアは急激に減少 中国が急激に増加 12 世界観光機構より作成

シンガポール発の訪問地別割合 100% 80% 60% 40% 20% 0% マレーシア着を除く タイ 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 インドネシア 中国 シンガポール発アウトバウンドの各国訪問地割合 欧米州のシェアは低く 中国 香港等が徐々に上昇 年 他諸国 欧州 北米 中南米 韓国 日本 香港 台湾 13 世界観光機構より作成

今後20 年間で世界の航空需要と観光需要の動向 航空産業は 2008 年から 2028 年で 2.5 倍に成長 ~ 世界の国際航空需要動向 ~ 倍に成長2.5 航空産業は世界全体の航空旅客数は アジアを中心に飛躍的に増加傾向にあり 経済産業省の統計によると 2028 年頃には 現在の約 2.5 倍もの成長となると予測 出典 : 経済産業省 ( ものづくり白書 ) 出典 : 世界観光機関 (UNWTO) (UNWTOが2008 年までに収集したデータ 14 )

2. 新成長戦略 訪日外国人 3000 万人計画

訪日外国人 3,000 万人へのロードマップ ~3 期ローリングプランで 2,500 万人 (2019 年 )~ 世界経済や為替が安定していること 戦争や疾病の流行が発生しないこと等を前提とする 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 万人 ビジット ジャパン キャンペーン開始 521 614 673 733 平均伸び率 14.5% の成長目標 1,000 万人の確実な達成 835 835 平均伸び率 10.5% の成長目標 1,000 第 1 期 タイ (18 位 ) 1,433 平均伸び率 8% の成長目標 1,500 第 1 期目標 1,500 万人 第 2 期 ドイツ (9 位 ) 2,487 2,000 第 2 期目標 2,000 万人 第 3 期 2,500 第 3 期目標 2,500 万人 英国 (6 位 ) 3,019 3,000 0 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 ( 平成 15 ( 平成 18 ( 平成 20 ( 平成 22 年 ) ( 平成 25 年 ) ( 平成 28 ( 平成 31 16

訪日外国人を 2019 年初めまでに 2,500 万人に どこから どのように どのように 対象は? アジア発海外旅行客 アジアの外需をわが国の内需に 急増する国際旅行市場 WTO 観光需要予測

東アジア主要国からの訪日外客数 700 600 500 400 300 200 100 0 205 2003 年 VJC 開始後 4 年間で 1.8 倍 10 年間で 1.6 倍 318 台湾 韓国 578 年 タイ シンガポール マレーシア 香港 中国 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 訪日外客数 ( 万人 / 年 ) 特に韓国 台湾からの訪日外客が多数 18 法務省および日本政府観光局 (JNTO) より作成

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主な施策 訪日観光査証の取得容易化中国からのインバウンド拡大を狙って 2000 年の団体観光ビザ解禁の後 発給対象地域を段階的に拡大し 2005 年以降は中国全土を対象 2008 年 3 月から家族観光ビザ 2009 年 7 月から個人観光ビザの発給を開始 2010 年 7 月から個人観光ビザについて経済力要件 ( 現行 年収 25 万元以上の上限 ) を緩和 休暇取得の分散化など ローカル ホリデー制度 ( 仮称 ) の検討 20

3. 訪日外国人 3,000 万人 達成の鍵は航空 訪日外国人 3,000 万人海外旅行者 2,000 万人座席数は?

課題 : 供給座席数は十分か 高収益 非レジャー路線へのシフト ( イールド重視 ) 機材の小型化 供給の抑制 ( アライアンス コードシェア ) エージェントコミッションの引き下げ 地方空港から国際定期便の運休 減便 ( 利用率が高くとも 低料金のため ) 国際観光振興と航空政策の連携座席の確保 22

航空自由化 ( オープンスカイ ) の促進 1.EU パッケージ Ⅲ 後の変化 ( 効果 ) (1) 便数 航空路線数の増 ( 航空ネットワークの充実 拡大 ) (2) 航空運賃の低廉化 (3) 域内旅客流動 貨物流動の増航空自由化による 国際交流の促進 経済の活性化 雇用機会の増 2. わが国も現在 韓国 香港 マカオ ベトナム タイ マレーシア シンガポール カナダ 米国とオープンスカイが合意済み 2010 年以降 成田で 21 カ国 地域と 羽田で 12 カ国 地域と新規路線開設 増便に合意 23

首都圏空港 ( 羽田 成田 ) の国際競争力の強化 羽田空港アジアをターゲット : 再拡張に伴う羽田の本格国際化 本年 10 月に第 4 滑走路が供用 発着容量が 30.3 万回から段階的に 40.7 万回まで拡大 その結果 国際定期便が就航アジアへのネットワークの強化成田空港 本年 3 月に発着容量が 20 万回から 22 万回に拡大 ( 最速で 2014 年には 30 万回 ) 38 カ国 2 地域より 73 社が乗り入れ ( 平成 21 年 10 月現在 ) 新たにマカオ チェンナイ カルガリー ドーハ ドバイ アブダビまで就航都市が拡大 成田空港アクセスの改善 24

羽田空港の容量拡大に伴う各国との合意概要 各国等と合意された1 日当たりの便数 1 昼間時間帯中国 ( 交渉中 ) 2 深夜早朝時間帯中国 ( 交渉中 ) 韓国 6 便 韓国 2 便 香港 2 便ア香港 2 便ジ台湾 4 便アタイ 1 便 マレーシア 1 便 米州 ヨーロッパ シンガポールアメリカカナダドイツオランダフランスイギリス 2 便 4 便 1 便 2 便 1 便 1 便 1 便 25 出典 : 国土交通省資料

成田空港の容量拡大に伴う各国との合意概要 各国等と合意された1 週間当たりの便数 ( 相手国等のみ ) 中国 ( 交渉中 ) アフリカエジプト 4 便 香港 2 便 米 カナダ 1 便 マカオ 3 便 州 メキシコ 2 便 アジア ベトナム 10 便 ポーランド 3 便 タイ 1 便 オーストリア 1 便 シンガポール 1 便 ドイツ 7 便 インド 10 便 スイス 2 便 カタール 7 便 イタリア 4 便 アラブ首長国連邦 10 便 オランダ 5 便 トルコ 2 便 スカンジナビア三国 3 便 オセアニアパプアニューギニア 1 便 フィンランド 3 便 現在 38カ国 2 地域より73 社が成田空港へ乗り入れている 26 ヨーロッパ 出典 : 国土交通省資料

地方空港の利用促進アウトバウンドの推進 - その 1 地方空港は 既に自由化 : アジア ゲートウェイ構想 において 地方空港については 航空交渉妥結前でも 路線開設や増便等を暫定的に認める 地方 成田国内便 ( 内際便 ) の強化 : 現行 8 路線 倍増 国際線への乗継ぎ利便の向上 ( インチョンではなく 成田から ) 若年層向け対策 : 海外修学旅行の実施の拡大 ( 含む 助成 ) 27

我が国の地方空港における国際航空ネットワークの展開 福岡空港 (17 都市 164 便 ) 13 社ソウル :35 便釜山 :21 便済州 :5 便北京 :11 便 ( うち大連経由 7 便 青島経由 4 便 ) 大連 :11 便 ( うち北京行 7 便 ) 青島 :4 便 ( 北京行 ) 上海 :21 便広州 :2 便瀋陽 :2 便台北 :19 便 ( うち香港行 7 便 ) 香港 :7 便 ( うち台北経由 7 便 ) シンガポール :5 便バンコク :5 便マニラ :5 便ホーチミン :2 便ハノイ :2 便グアム :7 便 広島空港 (7 都市 35 便 ) 7 社ソウル :7 便上海 :7 便北京 :5 便 ( 大連経由 ) 大連 :8 便 ( うち北京行 5 便 ) 台北 :5 便バンコク :1 便グアム :2 便 北九州空港 1 社ソウル :4 便 長崎空港 (2 都市 5 便 ) 2 社ソウル :3 便上海 :2 便 大分空港 1 社ソウル :3 便 熊本空港 1 社ソウル :3 便 新千歳空港 (9 都市 41 便 ) 10 社 ソウル :7 便釜山 :3 便香港 :6 便上海 :3 便北京 :2 便大連 :2 便台北 :13 便グアム :4 便ユジノサハリンスク :1 便 鹿児島空港 (2 都市 5 便 ) 2 社ソウル :3 便上海 2 便 秋田空港 1 社ソウル :3 便 小松空港 (3 都市 10 便 ) 3 社ソウル :4 便上海 :4 便台北 :2 便 美保空港 1 社ソウル :3 便 新潟空港 (6 都市 19 便 ) 5 社ソウル :7 便上海 :2 便ハルビン :4 便ウラジオストック :2 便ハバロフスク :2 便グアム :2 便 高松空港 1 社ソウル :3 便 松山空港 (2 都市 5 便 ) 2 社ソウル :3 便上海 :2 便 宮崎空港 1 社ソウル :3 便 地方空港 24 空港において週 418 便の定期国際旅客便が就航就航都市数 :22 都市 ( うちアジア 極東ロシアへ 21 都市 週 397 便 ) 青森空港 1 社ソウル :3 便 旭川空港 1 社ソウル :4 便 福島空港 (2 都市 5 便 ) 2 社ソウル :3 便上海 :2 便 富山空港 (4 都市 9 便 ) 4 社ソウル :3 便上海 :2 便大連 :3 便ウラジオストック :1 便 静岡空港 (2 都市 16 便 ) 3 社ソウル :14 便上海 :2 便岡山空港 (5 都市 22 便 ) 3 社ソウル :7 便上海 :7 便北京 :3 便 ( 大連経由 ) 大連 :3 便 ( 北京行 ) グアム :2 便 那覇空港 (4 都市 23 便 ) 4 社 ソウル :3 便 上海 :2 便 台北 :11 便 香港 :7 便 函館空港 (2 都市 5 便 ) 2 社ソウル :3 便ユジノサハリンスク :2 便 仙台空港 (7 都市 25 便 ) 5 社ソウル :7 便台北 :2 便長春 :2 便北京 :5 便 ( うち大連経由 2 便 上海経由 3 便 ) 大連 :2 便 ( 北京行 ) 上海 :3 便 ( 北京行 ) グアム :4 便 2009 年 10 月 25 日現在の定期旅客便数 (2009 年冬期期首事業計画による ) 便数は週当たりの往復便数 経由便の場合 経由地も1 便としてカウント 28 就航都市数には経由地も含む 出典 : 国土交通省資料

アジア域内新たな旅客層の取り込み LCC の参入促進 富裕層に加え 新たな需要 ( 中間層 ) の掘り起こし アジアからの旅行者を増やす取組み 国内観光需要の拡大等の観点から LCCが参入しやすい環境をつくる 具体的には (1) 成田 関空などでのLCC 専用ターミナル建設 (2) 航空交渉や発着枠配分でLCC 参入への積極的取組み (3) 国内 LCC 企業の参入障壁となる規制の緩和を行う 29

チャータールールの緩和アウトバウンドの推進 - その 2 個札販売の拡大 : 国際チャーター便の座席のみの直接販売 ( 個札販売 ) を可能にした アジア ゲートウェイ構想 に基づく航空自由化が実現されている路線では 総座席数の 100% その他の路線では 総座席数の 50% を上限とする 第三国の航空会社を利用した国際チャーター便 : 旅行会社がコスト面や機材調達可能性も考慮した上で 幅広い選択肢の中から調達が可能 ( 第三国チャーター ) 成田空港での国際チャーター便の促進 : 成田空港においても 国際定期便が就航している路線での国際チャーター便が可能 30

課題 CIQ 体制の充実に向けて : 地方空港からの / への国際チャーター便にあっては CIQ 関係職員が常駐していないケースがほとんどであり 事前の調整及び申請 許可に時間を要する 特に 運航日が土日に係る場合 何等かの制約を伴う局面が多い 関係機関への働きかけ強化 地方空港の運用時間の柔軟な対応 : 国際チャーター便の遅着等により 空港の制限運用時間内に収まらない場合 可能な限り柔軟な対応が望まれる 地方空港発着国際便へのインセンティブ ( 含むチャーター便 ) 公租公課の減免措置等 31