第 48 号 平成19年3月発行 神奈川県高等学校体育連盟広報誌 県高体連表彰式報告 日 時 平成19年2月14日 水 14:00 会 場 横浜市西公会堂 受賞者数 優秀選手 団体の部 31団体(男子175名 女子32名) 個人の部 102名(男子85名 女子17名) 三年連続優勝の部 団体21校 個人5名 国際競技大会の部 個人20名 優秀監督 12名 体育功労賞 92名 特別功労賞 1名 受賞者代表のことば 全国高等学校総合体育大会 優勝 英 剛太郎 (桐蔭学園高校柔道部 必死 の気持ちで勝ち取った全国優勝 本日は 神奈川県高等学校体育連盟より 今年度優秀 団体賞受賞の栄誉を賜り 大変光栄に思っております 私達桐蔭学園高等学校柔道部は 大阪で行われたイン ターハイで 10年振りに優勝することが出来ました そ こまでに至る道のりはとても厳しく どん底からのスタ ートでした 高校柔道界では 春の高校選手権 金鷲旗 インター ハイの3つの大会が 3大タイトル と呼ばれています そして平成17年度 私は2年生でレギュラーに選ばれ この内の2つ 春の選手権 金鷲旗で全国制覇をしまし た ところが残るインターハイを取れば三冠というとこ ろまで迫りましたが 大将戦で私が負けてしまい イン ターハイ優勝を逃してしまいました この時に流した悔 し涙は忘れられません そして心の中で 来年 自分 達の代で絶対に優勝するんだ と強く誓いました 1月になり チームも新しくなり 春の選手権神奈川 予選が近づいてきました 新チームは前年に比べてとて も体が小さく全国でも稀な軽量チームでした しかし 予選では重量級の選手が揃う宿敵東海相模高と決勝戦を 戦い 完勝ともいうべき内容で優勝し 全国大会出場を 決めました 神奈川を制するものは全国を制す とい われるほど神奈川県の高校柔道はレベルが高いことで知 られています その予選を軽量チームで優勝できたこと もあり 予選で勝った瞬間から 部員全員が全国優勝を 頭に描いていました 3月に迎えた本選では 前年度優 勝チームということもあり 前評判で軒並み優勝候補筆 頭に挙げられ 私達選手も自信を持って大会に臨みまし た しかし 試合になって見えないプレッシャーが立ち はだかり 選手全員が思うように動くことが出来ません でした 結果は無惨にも1回戦敗退となり 言葉も出な いほどショックを受け 呆然と立ち尽くしました 2 年の時に負けた悔し涙はどこに忘れたのか なぜ勝て なかったのか 今年のチームは去年と何が違うのか を全員で話し合いました そして 出た答えは 必死 になって取り組む気持ちを忘れていたことでした いさ さかの実績に寄りかかって 私達選手の心の中にはいつ しか思い上がりの傲慢が巣くっていたのです 全国大会 には各地から予選を勝ち抜いた強豪校が出場します 残 す全国大会を優勝するためにも すぐに部員全員の意識 を変えなければなりませんでした 鈴木監督も 挑戦者 の意識で挑まなければ 全国で勝つことは出来ない 一 回一回の練習を 全力で 必死でやれば勝てる と言わ れ それまでぬるま湯に浸かってたんだと認識させられ ました そして いつも練習している道場と寮に 必死 の文字を書いた紙を張り出し いつでも意識を高めてお けるようにしました その後 毎日毎日を必死に練習し 全国制覇に向けて着実に力をつけていきました 7月になり2つ目のタイトル 金鷲旗 が福岡で行わ れました この大会はオープン参加で 全国各地から35 0チームが参加するとても大規模なもので チーム数が 多いため 予選から決勝までを3日間にわたって戦いま す 私達のチームは 体が小さいながらも 元々のチー ムワークの良さを発揮して6試合を勝ち抜き 決勝まで 進みました 決勝の相手は強豪 東京の国士舘高校でし たが あと一歩のところで負けてしまい 2位に終わり ました 優勝こそ逃したものの この時 私は確かな手 応えを感じました それはほとんどのチームが重量級で メンバーを固めるなか 軽量級中心のチームで しかも オープン参加で出場チーム数が多い大会で2位という成 績を残せたからです この時 最後のインターハイで全 国制覇をすることが現実味を帯びてきました それから2週間後の8月に大阪でインターハイが行わ れました 私は去年のこの大会で失点をし チームも負 けてしまったという苦い経験があったので 大会にかけ る思いは人一倍強いものがありました この大会でも私 達は軽量級中心のチームでしたので 他に比べ不利であ ることに変わりはありませんでした それでも 日々 必死 の言葉を頭に焼きつけながら厳しい稽古をこな した練習量を信じて試合に臨みました 選手全員の気合 いもみなぎり 体格では劣るもののスタミナと技術を武 器に初戦から順調に勝ち進んでいき 試合の合間にはお 互いを励まし合いながら 決勝戦を迎えました 決勝の 相手は富山の小杉高校で 毎年インターハイに出場して いる強豪校です 私は決勝戦を前に 去年のインターハ イを思い出していました 絶対に優勝して去年の借り を返す と 人並みならぬ決意で試合に臨みました 先 鋒が引き分けに終わり 迎えた2番手次鋒戦 私に出番 が回ってきました 何が何でも勝ちたいという思いがあ りましたので 開始から終始技を掛け続け 相手に反則 ポイントが与えられ 先取点をあげました その後も選 手全員が奮闘し 優勝を決めることが出来ました その 瞬間 選手全員で抱き合い 喜びを分かち合いました 歓喜の輪がとけた時 一年かけての念願を果たした私は ひとり 静かに 喜びをかみしめました 私は昨年の全国制覇で 必死 になることの大切さを 学びました 必死 になるということは半端な気持ち では出来ず 自分で覚悟を決めなければやり遂げられま せん それが出来れば その後の自分にプラスになって 返ってくるはずです この経験はこれから私が大人にな ってからもかけがいのない財産になると思います 受賞者代表の言葉を述べる - 1 - 英 剛太郎選手(桐蔭学園)